JP6669270B2 - スピン流磁化反転素子及び素子集合体 - Google Patents

スピン流磁化反転素子及び素子集合体 Download PDF

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Description

本発明は、スピン流磁化反転素子及び素子集合体に関する。本願は、2016年9月28日に、日本に出願された特願2016−189886に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
強磁性層と非磁性層の多層膜からなる巨大磁気抵抗(GMR)素子、及び、非磁性層に絶縁層(トンネルバリア層、バリア層)を用いたトンネル磁気抵抗(TMR)素子が知られている。一般に、TMR素子は、GMR素子と比較して、素子抵抗が大きく、磁気抵抗(MR)比も大きい。そのためTMR素子は、磁気センサ、高周波部品、磁気ヘッド及び不揮発性ランダムアクセスメモリ(MRAM)用の素子として注目されている。
MRAMは、絶縁層を挟む二つの強磁性層の互いの磁化の向きが変化するとTMR素子の素子抵抗が変化するという特性を利用してデータを読み書きする。MRAMの書き込み方式としては、電流が作る磁場を利用して書き込み(磁化反転)を行う方式や磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流して生ずるスピントランスファートルク(STT)を利用して書き込み(磁化反転)を行う方式が知られている。
STTを用いたTMR素子の磁化反転は、エネルギーの効率の視点から考えると効率的ではあるが、磁化反転をさせるための反転電流密度が高い。 TMR素子の長寿命の観点からはこの反転電流密度は低いことが望ましい。この点は、GMR素子についても同様である。
そこで近年、反転電流を低減する手段としてスピン軌道相互作用により生成された純スピン流を利用した磁化反転に注目が集まっている(例えば、非特許文献1)。スピン軌道相互作用によって生じた純スピン流は、スピン軌道トルク(SOT)を誘起し、SOTにより磁化反転を起こす。またSOTは、メカニズムは明確ではないが、異種材料の界面におけるラシュバ効果によっても生じると言われている。純スピン流は上向きスピンの電子と下向きスピン電子が同数で互いに逆向きに流れることで生み出されるものであり、電荷の流れは相殺されている。そのため磁気抵抗効果素子に流れる電流はゼロであり、磁気抵抗効果素子の長寿命化が期待されている。
ところで、MRAMはデータ記録と言う観点で二つの性能が求められる。一つは一度書き込んだデータを長期保存できることであり、もう一つはデータを読み書きしやすいことである。
例えば、特許文献1には、データを長期保存するために、磁気抵抗効果素子への外部からの影響を抑える方法が記載されている。具体的には、磁気抵抗効果素子を積層方向から見た形状を円形にしている。
一方で、特許文献2及び非特許文献2には、SOTを利用した磁化反転(データの読み書き)を行うために、磁化反転する磁化の対称性を乱す必要があることが記載されている。磁化対称性を乱す方法として、外部磁場を印加する方法や、磁気抵抗効果素子の面内方向において磁気異方性の大きさを変える方法が記載されている。
特開2010−16260号公報 米国特許出願公開第2015/0129995号明細書
I.M.Miron,K.Garello,G.Gaudin,P.-J.Zermatten,M.V.Costache,S.Auffret,S.Bandiera,B.Rodmacq,A.Schuhl,and P.Gambardella,Nature,476,189(2011). Guoqiang Yu, et al., Nature Nanotechnology,DOI:10.1038/NNANO.2014.94.
しかしながら、外部磁場を印加するためには磁場の発生源が必要である。磁場の発生源を別途設けることは、スピン流磁化反転素子を含む集積回路の集積度の低下につながる。
また磁気抵抗効果素子の面内方向において磁気異方性の大きさが異なると、意図しない外力(外部磁場、熱等)が加わった際に、磁気異方性の小さい部分の磁化が反転する場合がある。意図しない磁化の反転は、データのノイズとなり、データの長期保存を阻害する。
特に磁気抵抗効果素子の強磁性体の大きさが磁壁を形成できる大きさの場合、磁気異方性の小さい部分の磁化反転が、その他の部分の磁化反転も誘発し、データを書き換えてしまうおそれがある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、外部磁場を印加せずに、磁化反転できるスピン流磁化反転素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、磁気抵抗効果素子に働く反磁場に異方性を与えることで、強磁性体の磁化が反転しやすい方向を生み出し、外部磁場を印加しなくてもSOTによる磁化反転を行うことができることを見出した。すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかるスピン流磁化反転素子は、強磁性金属層と、前記強磁性金属層の積層方向に対して交差する第1の方向に延在し、前記強磁性金属層に接合するスピン軌道トルク配線と、を備え、前記スピン軌道トルク配線から前記強磁性金属層に注入されるスピンの向きは、前記強磁性金属層の磁化の向きに対して交差し、前記磁気抵抗効果素子は形状異方性を有すると共に、形状異方性に伴う反磁場の分布を有し、前記反磁場の分布は、前記強磁性金属層の磁化が最も磁化反転しやすい磁化反転容易方向を生み出し、前記磁化反転容易方向は、前記積層方向からの平面視で前記第1の方向と交差している。
(2)上記態様にかかるスピン流磁化反転素子において、前記強磁性金属層は前記積層方向からの平面視で、前記第1の方向に直交する第2の方向に最も離れた2点の中点を通り、前記第1の方向と平行な線分で分割した時に、分割された二つの部分の面積が異なる構成でもよい。
(3)上記態様にかかるスピン流磁化反転素子において、前記強磁性金属層を前記積層方向から平面視した形状が、2n+1(nは自然数)個の頂部を有する多角形であってもよい。
(4)上記態様にかかるスピン流磁化反転素子において、前記多角形の重心から前記頂部への方向ベクトルが、いずれも前記スピン軌道トルク配線を流れる電流の向きと異なる構成でもよい。
(5)上記態様にかかるスピン流磁化反転素子において、前記多角形の頂部が、曲線状である構成でもよい。
(6)上記態様にかかるスピン流磁化反転素子において、前記強磁性金属層の磁化は、前記積層方向に配向していてもよい。
(7)上記態様にかかるスピン流磁化反転素子において、前記強磁性金属層の前記スピン軌道トルク配線と反対側の面に、非磁性層と、磁化方向が固定された固定層とをさらに有してもよい。
(8)上記態様にかかるスピン流磁化反転素子において、前記強磁性金属層が、前記スピン軌道トルク配線が延在する第1の方向に沿って複数存在し、隣接する前記強磁性金属層の磁化反転容易方向が逆向きでもよい。
(9)第2の態様にかかる素子集合体は、上記態様にかかるスピン流磁化反転素子を複数備える。
(10)上記態様にかかる素子集合体において、複数の前記スピン流磁化反転素子を構成する前記強磁性金属層のそれぞれは、同一の方向に形状異方性を有する構成でもよい。
(11)上記態様にかかる素子集合体において、隣接する前記強磁性金属層の磁化反転容易方向が逆向きでもよい。
上記態様にかかるスピン流磁化反転素子によれば、外部磁場を印加せずに、磁化反転できる。
本発明の一実施形態に係るスピン流磁化反転素子を模式的に示した斜視図である。 スピンホール効果について説明するための模式図である。 スピン流磁化反転素子の動作を説明するための模式図である。 磁気抵抗効果素子をz方向から見た平面図である。 形状異方性を有さない磁気抵抗効果素子を備えたスピン流磁化反転素子を模式的に示した図である。 磁気抵抗効果素子のy方向への対称性が、磁化反転に及ぼす影響を模式的に示した図である。 磁気抵抗効果素子の平面形状が多角形であり、多角形の頂部が曲線状であるスピン流磁化反転素子をz方向から見た平面図である。 フォトマスクの形状と、得られる磁気抵抗効果素子のz方向からの平面形状の対応関係を示した図である。 スピン流磁化反転素子の別の例をz方向から見た平面形状を示す図である。 スピン軌道トルク配線の一実施形態を説明するための模式図であり、(a)は断面図であり、(b)は平面図である。 スピン軌道トルク配線の他の実施形態を説明するための模式図であり、(a)は断面図であり、(b)は平面図である。 スピン軌道トルク配線の他の実施形態を説明するための模式図であり、(a)は断面図であり、(b)は平面図である。 スピン軌道トルク配線の他の実施形態を説明するための模式図であり、(a)は断面図であり、(b)は平面図である。 一つのスピン軌道トルク配線に対して複数の磁気抵抗効果素子が形成されたスピン流磁化反転素子の平面図である。 複数のスピン流磁化反転素子を備える素子集合体を模式的に示した図である。 複数のスピン流磁化反転素子を備える素子集合体を模式的に示した図である。 複数のスピン流磁化反転素子を備える素子集合体を模式的に示した図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(スピン流磁化反転素子)
図1は、本発明の一態様に係るスピン流磁化反転素子を模式的に示した斜視図である。
本発明の一態様に係るスピン流磁化反転素子100は、磁気抵抗効果素子10と、スピン軌道トルク配線20とを有する。
以下、磁気抵抗効果素子10の積層方向をz方向、スピン軌道トルク配線20が延在する第1の方向をx方向、z方向及びx方向のいずれにも直交する第2の方向をy方向とする。
<磁気抵抗効果素子>
磁気抵抗効果素子10は、磁化方向が固定された第1強磁性金属層1と、磁化方向が変化する第2強磁性金属層2と、第1強磁性金属層1及び第2強磁性金属層2に挟持された非磁性層3とを有する。特許請求の範囲における「強磁性金属層」は、第2強磁性金属層に対応する。
磁気抵抗効果素子10は、第1強磁性金属層1の磁化が一方向に固定され、第2強磁性金属層2の磁化の向きが相対的に変化することで機能する。保磁力差型(擬似スピンバルブ型;Pseudo spin valve 型)の磁気抵抗効果素子10では、第1強磁性金属層の保持力が第2強磁性金属層の保磁力よりも大きいことで、第1強磁性金属層の磁化方向が固定される。交換バイアス型(スピンバルブ;spin valve型)の磁気抵抗効果素子10では、反強磁性層との交換結合によって第1強磁性金属層の磁化方向が固定される。
磁気抵抗効果素子10は、非磁性層3が絶縁体からなる場合は、トンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magnetoresistance)素子となり、非磁性層3が金属からなる場合は巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetoresistance)素子となる。
磁気抵抗効果素子の積層構成は、公知の磁気抵抗効果素子の積層構成を採用できる。例えば、各層は複数の層からなるものでもよいし、第1強磁性金属層1の磁化方向を固定するための反強磁性層等の他の層を備えてもよい。第1強磁性金属層1は固定層や参照層、第2強磁性金属層2は自由層や記憶層などと呼ばれる。
第1強磁性金属層1の材料には、公知のものを用いることができる。例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属及びこれらの金属を1種以上含み強磁性を示す合金を用いることができる。またこれらの金属と、B、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とを含む合金を用いることもできる。第1強磁性金属層1の具体例としては、Co−FeやCo−Fe−Bが挙げられる。
また、より高い出力を得るためには、第1強磁性金属層1としてCoFeSiなどのホイスラー合金を用いることが好ましい。ホイスラー合金は、XYZの化学組成をもつ金属間化合物を含み、Xは、周期表上でCo、Fe、Ni、Cu族の遷移金属元素または貴金属元素であり、Yは、Mn、V、Cr、Ti族の遷移金属、またはXの元素種であり、Zは、III族からV族の典型元素である。例えば、CoFeSi、CoMnSiやCoMn1−aFeAlSi1−bなどがホイスラー合金として挙げられる。
第1強磁性金属層1の第2強磁性金属層2に対する保磁力をより大きくするために、第1強磁性金属層1にIrMn,PtMnなどの反強磁性材料を含む層を隣接させた構成としてもよい。さらに、第1強磁性金属層1の漏れ磁場を第2強磁性金属層2に影響させないようにするために、磁気抵抗効果素子をシンセティック強磁性結合の構造としてもよい。
さらに第1強磁性金属層1の磁化の向きを積層面に対して垂直にする場合には、第1強磁性金属層1をCoとPtの積層膜とすることが好ましい。具体的には、第1強磁性金属層1を、非磁性層3側から順にFeB(1.0nm)/Ta(0.2nm)/[Pt(0.16nm)/Co(0.16nm)]/Ru(0.9nm)/[Co(0.24nm)/Pt(0.16nm)]とすることができる。
第2強磁性金属層2の材料には、強磁性材料、特に軟磁性材料を適用できる。例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属、これらの金属を1種以上含む合金、これらの金属とB、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とが含まれる合金等を第2強磁性金属層2の材料として用いることができる。第2強磁性金属層2の具体例としては、Co−Fe、Co−Fe−B、Ni−Feが挙げられる。
第2強磁性金属層2の磁化の向きを積層面に対して垂直にする場合には、第2強磁性金属層2の厚みを2.5nm以下とすることが好ましい。第2強磁性金属層2と非磁性層3の界面で、第2強磁性金属層2に垂直磁気異方性を付加することができる。また、第2強磁性金属層2の垂直磁気異方性は、第2強磁性金属層2の膜厚を厚くすることによって減衰するため、第2強磁性金属層2の膜厚は薄い方が好ましい。
非磁性層3には、公知の材料を用いることができる。
例えば、非磁性層3が絶縁体からなる場合(トンネルバリア層である場合)、その材料としては、Al、SiO、MgO、及び、MgAl等を用いることができる。またこれらの他にも、材料中のAl、Si、Mgの一部が、Zn、Be等に置換された材料等も非磁性層3として用いることができる。これらの中でも、MgOやMgAlはコヒーレントトンネルが実現できる材料であり、第2強磁性層2へスピンを効率よく注入できる。
非磁性層3が金属からなる場合、その材料としては、Cu、Au、Ag等を用いることができる。
磁気抵抗効果素子10は、その他の層を有していてもよい。例えば、第2強磁性金属層2の非磁性層3と反対側の面に下地層を有していてもよいし、第1強磁性体層1の非磁性層3と反対側の面にキャップ層を有していてもよい。
スピン軌道トルク配線20と磁気抵抗効果素子10との間に配設される層は、スピン軌道トルク配線20から伝播するスピンを散逸しないことが好ましい。例えば、銀、銅、マグネシウム、及び、アルミニウム等は、スピン拡散長が100nm以上と長く、スピンが散逸しにくいことが知られている。
またこの層の厚みは、層を構成する物質のスピン拡散長以下であることが好ましい。層の厚みがスピン拡散長以下であれば、スピン軌道トルク配線20から伝播するスピンを磁気抵抗効果素子10に十分伝えることができる。
<スピン軌道トルク配線>
スピン軌道トルク配線20は、x方向に延在する。スピン軌道トルク配線20は、第2強磁性金属層2のz方向の一面に接続されている。スピン軌道トルク配線20は、第2強磁性金属層2に直接接続されていてもよいし、他の層を介して接続されていてもよい。
スピン軌道トルク配線20は、電流が流れるとスピンホール効果によって純スピン流が生成される材料からなる。かかる材料としては、スピン軌道トルク配線20中に純スピン流が生成される構成のものであれば足りる。従って、スピン軌道トルク配線20は、単体の元素からなる場合に限られず、純スピン流が生成される材料で構成される部分と純スピン流が生成されない材料で構成される部分とからなるもの等であってもよい。
スピンホール効果とは、材料に電流を流した場合にスピン軌道相互作用に基づき、電流の向きに直交する方向に純スピン流が誘起される現象である。
図2は、スピンホール効果について説明するための模式図である。図2は、図1に示すスピン軌道トルク配線20をx方向に沿って切断した断面図である。図2に基づいてスピンホール効果により純スピン流が生み出されるメカニズムを説明する。
図2に示すように、スピン軌道トルク配線20の延在方向に電流Iを流すと、紙面奥側に配向した第1スピンS1と紙面手前側に配向した第2スピンS2はそれぞれ電流と直交する方向に曲げられる。通常のホール効果とスピンホール効果とは運動(移動)する電荷(電子)が運動(移動)方向を曲げられる点で共通する。一方で、通常のホール効果は磁場中で運動する荷電粒子がローレンツ力を受けて運動方向を曲げられるのに対して、スピンホール効果は磁場が存在しないのに電子が移動するだけ(電流が流れるだけ)で移動方向が曲げられる点で大きく異なる。
非磁性体(強磁性体ではない材料)では第1スピンS1の電子数と第2スピンS2の電子数とが等く、図中で上方向に向かう第1スピンS1の電子数と下方向に向かう第2スピンS2の電子数が等しい。そのため、電荷の正味の流れとしての電流はゼロである。この電流を伴わないスピン流は特に純スピン流と呼ばれる。
強磁性体中に電流を流した場合でも、第1スピンS1と第2スピンS2が互いに反対方向に曲げられる。しかしながら、強磁性体中は第1スピンS1と第2スピンS2のいずれかが極端に多い状態であり、結果として電荷の正味の流れが生じてしまう(電圧が発生してしまう)。従って、スピン軌道トルク配線20の材料としては、強磁性体だけからなる材料は含まれない。
ここで、第1スピンS1の電子の流れをJ、第2スピンS2の電子の流れをJ、スピン流をJと表すと、J=J−Jで定義される。図2においては、純スピン流としてJが図中の上方向に流れる。ここで、Jは分極率が100%の電子の流れである。
図1において、スピン軌道トルク配線20の上面に強磁性体を接触させると、純スピン流は強磁性体中に拡散して流れ込む。すなわち、磁気抵抗効果素子10にスピンが注入される。
スピン軌道トルク配線20は、非磁性の重金属を含んでもよい。ここで、重金属とは、イットリウム以上の比重を有する金属の意味で用いている。スピン軌道トルク配線20は、非磁性の重金属だけからなってもよい。
非磁性の重金属は、最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号39以上の原子番号が大きい非磁性金属であることが好ましい。かかる非磁性金属は、スピンホール効果を生じさせるスピン軌道相互作用が大きい。スピン軌道トルク配線40は、最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号39以上の原子番号が大きい非磁性金属だけからなってもよい。
通常、金属に電流を流すとすべての電子はそのスピンの向きに関わりなく、電流とは逆向きに動く。これに対して、最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号が大きい非磁性金属は、スピン軌道相互作用が大きく、スピンホール効果によって電子の動く方向が電子のスピンの向きに依存する。そのため、最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号が大きい非磁性金属は、純スピン流Jを発生しやすい。
スピン軌道トルク配線20は、磁性金属を含んでもよい。磁性金属とは、強磁性金属、あるいは、反強磁性金属を指す。非磁性金属に微量な磁性金属が含まれるとスピン軌道相互作用が増強され、スピン軌道トルク配線20に流す電流に対するスピン流生成効率が高くなる。スピン軌道トルク配線20は、反強磁性金属だけからなってもよい。
スピン軌道相互作用は、スピン軌道トルク配線材料の物質の固有の内場によって生じ、非磁性材料でも純スピン流が生じる。スピン軌道トルク配線材料に微量の磁性金属を添加すると、磁性金属自体が流れる電子スピンを散乱し、スピン流生成効率が向上する。ただし、磁性金属の添加量が増大し過ぎると、発生した純スピン流が添加された磁性金属によって散乱され、結果としてスピン流が減少する。したがって、添加される磁性金属のモル比はスピン軌道トルク配線における純スピン生成部の主成分のモル比よりも十分小さい方が好ましい。目安で言えば、添加される磁性金属のモル比は3%以下であることが好ましい。
スピン軌道トルク配線20は、トポロジカル絶縁体を含んでもよい。スピン軌道トルク配線20は、トポロジカル絶縁体だけからなってもよい。トポロジカル絶縁体とは、物質内部が絶縁体、あるいは、高抵抗体であるが、その表面にスピン偏極した金属状態が生じている物質である。この物質にはスピン軌道相互作用という内部磁場のようなものが生じる。そのため、外部磁場が無くてもスピン軌道相互作用の効果で新たなトポロジカル相が発現する。これがトポロジカル絶縁体であり、強いスピン軌道相互作用とエッジにおける反転対称性の破れにより純スピン流を高効率に生成することができる。
トポロジカル絶縁体としては例えば、SnTe,Bi1.5Sb0.5Te1.7Se1.3,TlBiSe,BiTe,(Bi1−xSbTeなどが好ましい。これらのトポロジカル絶縁体は、高効率にスピン流を生成することが可能である。
スピン流磁化反転素子100は、磁気抵抗効果素子10とスピン軌道トルク配線20以外の構成要素を有していてもよい。例えば、支持体として基板等を有していてもよい。基板は、平坦性に優れることが好ましく、材料として例えば、Si、AlTiC等を用いることができる。
(スピン流磁化反転素子の原理)
次いで、スピン流磁化反転素子100の原理について説明すると共に、磁気抵抗効果素子10の具体的な構成について説明する。
図3は、スピン流磁化反転素子の動作を説明するための模式図である。図3に示すように、スピン軌道トルク配線20に電流Iを印加すると、第1スピンS1と第2スピンS2とがスピンホール効果によって曲げられる。その結果、純スピン流Jsがz方向に生じる。
スピン軌道トルク配線20のz方向には、磁気抵抗効果素子10が配設されている。そのため、スピン軌道トルク配線20から磁気抵抗効果素子10の第2強磁性金属層2にスピンが注入される。注入されたスピンは、第2強磁性金属層2の磁化M2にスピン軌道トルク(SOT)を与え、磁化M2が磁化反転する。図3では、第2強磁性金属層2の磁化M2を、磁気抵抗効果素子の重心に位置する一つの磁化として模式的に表している。
図3に示すスピン流磁化反転素子100において、スピン軌道トルク配線20から磁気抵抗効果素子10に注入されるスピンの向きはy方向に配向している。これに対し、第2強磁性金属層2は厚みが均一であり、第2強磁性金属層2の磁化M2の向きはz方向に配向している。つまり、磁気抵抗効果素子10に注入されるスピンの向きと第2強磁性金属層2の磁化M2の向きは直交している。ここで、「直交している」とは、熱等の揺らぎを無視した理論系において直交していることを意味する。実際には、磁化M2も注入されるスピンもいずれも揺らいでおり、完全に直交していない場合も含まれる。
注入されるスピンの向きと磁化M2の向きが直交している場合、理論的には磁化M2は注入されるスピンによる影響を受けない。そのため、磁化M2を磁化反転させるためには、注入されるスピンに対する磁化M2の対称性を乱す(「対称性の破れ」を生み出す)必要がある。図3に示すスピン流磁化反転素子100は、磁気抵抗効果素子10の形状異方性を利用して「対称性の破れ」を生み出している。以下、具体的に説明する。
図4は、磁気抵抗効果素子をz方向から見た平面図である。図4に示す磁気抵抗効果素子10は、長軸方向Daと短軸方向Dbとを有し、形状異方性を有する。そのため、磁気抵抗効果素子10は、長軸方向Daと短軸方向Dbとで反磁場の大きさが異なり、反磁場の分布を有する。
反磁場は、磁性体の端部に生じる磁極によって強磁性体内部に生じる逆向きの磁場である。反磁場の大きさは、磁極の分極率が大きいほど、磁極間の距離が短いほど、大きくなる。図4に示す磁気抵抗効果素子10の場合、短軸方向Dbの反磁場の大きさは、長軸方向Daの反磁場の大きさより大きい。
反磁場は、磁化M2に対して磁化M2が磁化回転し始めた際に元の状態に戻そうとする復元力を生み出す。復元力は磁化回転に対する反作用であり、復元力が大きい程、磁化M2は回転し難くなる。
図3に示す長軸方向Daに沿った回転方向Ra(以下、第1回転方向という)と、図3に示す短軸方向Dbに沿った回転方向Rb(以下、第2回転方向という)とでは、第2強磁性金属層2の磁化M2の回転しやすさが異なる。磁化M2が回転する際に受ける復元力の大きさは短軸方向Dbの方が大きい。そのため、磁化M2は、第2回転方向Rbに沿って回転するより第1回転方向Raに沿って回転する方が、回転しやすい。つまり、第1回転方向が磁気抵抗効果素子10の磁化反転容易方向となる。
磁気抵抗効果素子10の長軸方向Daの長さは、0.01μm以上0.12μm以下であることが好ましく、短軸方向Dbの長さは、0.005μm以上0.06μm以下であることが好ましい。磁気抵抗効果素子10の大きさが大きいと、第2強磁性層2内に磁区が形成される。磁区が形成されると、第2強磁性層の磁化の安定性が低下する。磁気抵抗効果素子10の長軸方向Daの長さは、短軸方向Dbの長さの2倍以上であることが好ましく、4倍以上であることがより好ましい。磁気抵抗効果素子10の長軸方向Daと短軸方向Dbの比が当該範囲内であれば、反磁場による復元力の違いが十分得られる。
図3に示すスピン流磁化反転素子100は、磁化M2が受ける復元力の大きさと言う点で「対称性の破れ」が生じている。注入されるスピンと磁化M2とが理論的に直交している場合でも、現実には磁化M2が熱等によって僅かに揺らぐことで磁化M2にSOTは作用する。この作用するSOTが、磁化M2は磁化反転容易方向にかかる復元力より大きければ、磁化M2は外部磁場等を印加しなくても磁化反転する。
図5は、形状異方性を有さない磁気抵抗効果素子15を備えたスピン流磁化反転素子101を模式的に示した図である。図5に示す磁気抵抗効果素子15は、非磁性層13を第1強磁性金属層11と第2強磁性金属層12で挟んだ構造である点は、図3に示す磁気抵抗効果素子10と共通するが、z方向の平面視の形状が円形である点が異なる。図5では、第2強磁性金属層12の磁化を、磁気抵抗効果素子の重心に位置する一つの磁化M12として模式的に表している。
図5に示す磁気抵抗効果素子15は、形状異方性を有さず、反磁場の大きさに異方性を有さない。そのため、磁化M12が磁化反転し始めた際に受ける復元力の大きさはいずれの方向にも同等で、復元力はつり合っている。つまり、磁化M12が熱等によって僅かに揺らいだ際に磁化M12に作用するSOTのみでは、復元力を超える回転力を与えることができず、磁化M12は磁化反転できない。
図5に示すスピン流磁化反転素子101における磁化M12を磁化反転させる場合は、外部磁場を印加する等により「対称性の破れ」を生み出し、復元力を超える回転力を与える必要がある。
このように、本実施形態にかかるスピン流磁化反転素子100によれば、形状異方性により「対称性の破れ」が生み出される。その結果、磁気抵抗効果素子10に反磁場の分布が生み出され、磁化に作用する復元力の大きさは方向により異なるようになる。つまり磁化反転容易方向が生み出され、作用するSOTが小さくても磁化反転を行うことができる。つまり、外部磁場を印加しなくても、SOTにより磁化反転を行うことができる。
ここで、スピン軌道トルク配線20内にスピンホール効果で生じるスピンは、スピン軌道トルク配線20の外表面に沿って配向する。つまり、スピン軌道トルク配線20から磁気抵抗効果素子10に注入するスピンはy軸方向に配向している。そのため、磁気抵抗効果素子10は、z方向から平面視してx方向と交差する方向に形状異方性を有していることが求められる。
図6は、磁気抵抗効果素子のy方向への対称性が、磁化反転に及ぼす影響を模式的に示した図である。図6(a)は磁気抵抗効果素子10がx方向と交差する方向に形状異方性を有するスピン流磁化反転素子100であり、図6(b)は磁気抵抗効果素子16がx方向に形状異方性を有するスピン流磁化反転素子102である。図6において、白抜きの矢印はスピン軌道トルク配線20を流れる電流Iの向きであり、黒塗りの矢印は磁気抵抗効果素子10、16に注入されるスピンSの向きを示す。
図6(b)に示す磁気抵抗効果素子16において、長軸方向Daに沿った方向に作用する復元力が最も小さくなる。そのため、磁気抵抗効果素子16の第2強磁性金属層の磁化は、長軸方向Daに沿って回転しやすい。すなわち、磁化回転容易方向はx方向である。
一方で、磁気抵抗効果素子16に注入される磁化の向きはy方向であり、SOTが強く作用する方向はy方向である。すなわち、磁化が回転しやすい方向とSOTが強く作用する方向とが直交しており、SOTが磁化反転に作用しない。
これに対し、図6(a)に示す磁気抵抗効果素子10においても、長軸方向Daに沿った方向に作用する復元力が最も小さくなる。そのため、磁気抵抗効果素子10の第2強磁性金属層の磁化は、長軸方向Daに沿って回転しやすい。すなわち、磁化回転容易方向はx方向と交差しており、y方向の成分を有する。そのため、磁化は、y方向に作用するSOTの影響を受けることができる。すなわち、SOTが磁化反転に効率的に作用し、外部磁場等の外力を印加しなくとも磁化を反転できる。
このように、磁気抵抗効果素子10をz方向から平面視した平面形状は、y方向に異方性を有することが好ましい。より具体的には、磁気抵抗効果素子10をz方向から平面視した平面形状において、y方向に最も離れた2点の中点を通り、かつx方向と平行な線分で区切られた2つの領域の面積が異なることが好ましい。以下、図4を基に具体的に説明する。
図4に示すように、磁気抵抗効果素子10をz方向から平面視した際に、y方向に最も離れた2点を第1点Y1、第2点Y2とし、その中点を中点Mとする。そして、中点Mを通り、x方向に平行な線分Lを引く。線分Lは、磁気抵抗効果素子10をz方向から見た平面形状を二つに分割する。以下、磁気抵抗効果素子10の外周と線分Lによって分割された二つの領域を、第1領域A1と、第2領域A2と言う。
第1領域A1と第2領域A2の面積が異なると、磁気抵抗効果素子10はy方向に非対称である。すなわち、磁気抵抗効果素子10はy方向に「対称性の破れ」が生じていると言える。y方向に「対称性の破れ」が生じていれば、上述のように磁気抵抗効果素子10により注入されるスピンが、第2強磁性金属層の磁化にSOTを作用し、磁化反転を起こすことができる。
また「対称性の破れ」が大きいほど、磁化反転は起きやすくなる。第1領域A1と第2領域A2の面積の差が大きくなれば、磁気抵抗効果素子10全体としての「対称性の破れ」は大きくなる。
第1領域A1と第2領域A2の面積は、以下のようにして求めることができる。まず磁気抵抗効果素子10の走査型電子顕微鏡画像(SEM像)をz方向から撮影する。そして、得られたSEM像を線分Lで分割し、それぞれの画像のピクセル数をカウントする。カウントされたピクセル数が5%以上変化している場合は、第1領域A1と第2領域A2の面積が異なると判断できる。
磁気抵抗効果素子10をz方向から平面視した形状は、2n+1(nは自然数)個の頂部を有する多角形であることが好ましい。多角形は、図4に示す3角形に限られない。
磁気抵抗効果素子10をz方向から平面視した形状がいびつで複雑な形状の場合、復元力の異なる部分が多方向に生じ、磁化の安定性が低下する。磁化の安定性が低下すると、データの長期保存の信頼性が低下する。そのため、磁気抵抗効果素子10は、形状異方性を有し、かつ安定性の高い形状であることが好ましい。磁気抵抗効果素子10の作製の容易さの観点からは、z方向からの平面形状が3角形であることが最も好ましい。
多角形の重心から頂部への方向ベクトルは、いずれもスピン軌道トルク配線20を流れる電流の向きと異なることが好ましい。すなわち、多角形の重心から頂部へ引いた線分が、x方向と一致しないことが好ましい。図6(b)に示すように、多角形の重心から頂部へ引いた線分がx方向と一致する場合、y方向に「対称性の破れ」が形成されない可能性が高まる。
図7に示すように、多角形の頂部tは曲線により構成されていることが好ましい。
図7は、磁気抵抗効果素子17の平面形状が多角形であり、多角形の頂部tが曲線状であるスピン流磁化反転素子103をz方向から見た平面図である。
一般に、界面等の不均一な部分において磁束はピンニングされやすい。そのため、多角形においては頂部tが特に不均一であり、磁化がピンニングされやすい。磁化がピンニングすると、磁化反転が生じにくくなる。
頂部tの形状を曲線状にすると、形状の不均一さが緩和され、ピンニングする力(ピン力)が小さくなる。すなわち、磁気抵抗効果素子の自由層の磁化をより容易に反転させることができる。
磁気抵抗効果素子10(図1参照)において、第1強磁性金属層1及び第2強磁性金属層2は、磁化方向が層に平行な面内方向である面内磁化膜と、磁化方向が層に対して垂直方向である垂直磁化膜がある。
上述のように、本実施形態にかかるスピン流磁化反転素子100において、磁気抵抗効果素子10に注入されるスピンの向きと、第2強磁性金属層2の磁化M2の方向は直交している。第2強磁性金属層2の磁化M2の方向は、注入されるスピンの向きに対して直交する成分を有していればよく、必ずしも「直交」している必要はない。すなわち、磁気抵抗効果素子10に注入されるスピンの向きと、第2強磁性金属層2の磁化M2の方向とが「交差」していてもよい。一方で注入されるスピンの向きは、スピン軌道トルク配線20の外表面に沿って配向するため変更できない。そのため、第2強磁性金属層2の磁化M2の方向は、x方向又はz方向であることが好ましい。磁気抵抗効果素子10に注入されるスピンの向きと、第2強磁性金属層2の磁化M2の方向とが直交することで、より効率的にSOTを磁化M2に作用させることができる。
本実施形態にかかる磁気抵抗効果素子10は、第2強磁性金属層2の磁化M2の方向はz方向であることが好ましい。すなわち、第2強磁性金属層2は垂直磁化膜であることが好ましい。磁気抵抗効果素子10を構成する強磁性体が、垂直磁化膜であると、磁気抵抗効果素子の小型化を行い易い。
磁化M2は、第2強磁性金属層2の界面の影響を受けて配向する。そのため、磁化M2を均一にz方向に配向させるためには、第2強磁性金属層2の厚みは均一であることが好ましい。ここで「均一」とは、xy面内の任意の10点で測定した第2強磁性金属層2の厚みの平均値に対して±10%以上厚みの変化が無いことを意味する。
上述のように、本実施形態にかかるスピン流磁化反転素子によれば、外部磁場等の外力を印加しなくても磁気抵抗効果素子の第2強磁性金属層(自由層)の磁化を反転できる。これは、形状異方性に伴い復元力の異方性が生じ、磁気抵抗効果素子に「対称性の破れ」が生じたためである。
(スピン流磁化反転素子の製造方法)
次いで、スピン流磁化反転素子の製造方法について説明する。
スピン流磁化反転素子は、磁気抵抗効果素子がトップピン構造であるかボトムピン構造であるかによって積層順が異なる。トップピン構造の場合は、図1と同様に、固定層である第1強磁性金属層1がz方向上方に形成される。そのため、基板上にスピン軌道トルク配線を作製した後に、磁気抵抗効果素子を作製する。ボトムピン構造の場合は、磁気抵抗効果素子を作製した後に、スピン軌道トルク配線を作製する。いずれの場合でも、積層順が異なるだけであるため、以下トップピン構造の場合について説明する。
まず支持体となる基板上に、スピン軌道トルク配線を作製する。スピン軌道トルク配線は、スパッタリング等の公知の成膜手段を用いて作製できる。
次いで、磁気抵抗効果素子を作製する。磁気抵抗効果素子はスパッタリング等の公知の成膜手段を用いて作製できる。磁気抵抗効果素子がTMR素子の場合、例えば、トンネルバリア層は金属薄膜を積層後に、酸化させることで得られる。具体例を示すと、第2強磁性金属層上に最初に0.4〜2.0nm程度のマグネシウム、アルミニウム、または複数の非磁性元素の二価の陽イオンとなる金属薄膜をスパッタリングする。そして作製された金属薄膜に、プラズマ酸化あるいは酸素導入による自然酸化を行い、その後の熱処理を行う。成膜法としてはスパッタリング法のほか、蒸着法、レーザアブレーション法、MBE法等が挙げられる。
磁気抵抗効果素子を所定の形状にする方法としては、フォトリソグラフィー等の加工手段を利用できる。まず磁気抵抗効果素子を積層した後、磁気抵抗効果素子のスピン軌道トルク配線と反対側の面に、レジストを塗工する。そして、所定の部分のレジストを硬化し、不要部のレジストを除去する。レジストが硬化した部分は、磁気抵抗効果素子の保護膜となる。レジストが硬化した部分は、最終的に得られる磁気抵抗効果素子の形状と一致する。
そして、保護膜が形成された面に、イオンミリング、反応性イオンエッチング(RIE)等の処理を施す。保護膜が形成されていない部分は除去され、所定の形状の磁気抵抗効果素子が得られる。
ここで、レジストを所定の形状に硬化させる方法について具体的に説明する。
まず一つ目の方法として、マスクを用いてレジストを感光する方法がある。例えば、ポジレジストを用いて、硬化したい部分上にフォトマスクを配設する。そしてフォトマスクを介して露光することで、所定の形状にレジストを加工できる。
磁気抵抗効果素子は、高集積化のために素子サイズの微細化が求められている。そのため、磁気抵抗効果素子のサイズが、露光の解像度限界に近づく場合がある。この場合、図8に示すように、四角形状に加工したフォトマスクPMを複数組み合わせて、レジストを所定の形状に硬化させる。一つのフォトマスクPMの1辺は、現状の技術レベルで数nm程度まで小さくできる。
図8は、フォトマスクPMの形状と、得られる磁気抵抗効果素子18のz方向からの平面形状の対応関係を示した図である。図8に示すように、1つのフォトマスクPMの形状が四角形の場合でも、磁気抵抗効果素子の平面形状を三角形等の多角形に加工できる。これは、フォトマスクPMを通過後の光が、一部拡散してレジストを硬化するためである。またイオンミリング等のエッチング処理において、角となる部分はエッチングが進行しやすいためである。
また別の方法として、レーザー等の指向性を有する光を用いてスポット露光してもよい。例えば、ネガレジストを用いて、硬化したい部分だけに光を当て、所定の形状にレジストを加工する。この場合も同様に、露光するスポットの形状が四角形の場合でも、得られる形状を三角形とすることができる。複数回に分けてスポット露光することで、任意の形状の磁気抵抗効果素子を得ることができる。
本発明は、上記実施形態にかかるスピン流磁化反転素子の構成及び製造方法に必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、スピン流磁化反転素子の磁気抵抗効果素子のz方向の平面形状は、y方向に磁気異方性を有すればよく、形状は多角形に限られない。
図9(a)に示すスピン流磁化反転素子104のように、磁気抵抗効果素子19Aのz方向から見た平面形状が、一つの頂部と頂部を繋ぐ円弧とによって構成された滴状でもよい。また図9(b)に示すスピン流磁化反転素子105のように、磁気抵抗効果素子19Bのz方向から見た平面形状が、楕円状でもよい。
いずれの場合でも、磁気抵抗効果素子は長軸方向Daと短軸方向Dbを有し、形状異方性を有している。そのため、反磁場の分布を有し、復元力の大きさが方向によって異なる。復元力の大きさが最も小さい磁化回転容易方向は長軸方向Daと一致する。長軸方向Daはy方向成分を有しており、SOTを磁化反転に寄与させることができる。
またスピン軌道トルク配線20も種々の形状をとることができる。
図10〜図13は、スピン軌道トルク配線の実施形態を説明するための模式図であり、それぞれ、(a)は断面図であり、(b)は平面図である。
純スピン流を生成しうる材料である重金属は、通常の配線として用いられる金属に比べて電気抵抗が大きく、電流が流れた際に発生するジュール熱の発生量が多い。そのため、スピン軌道トルク配線はすべてが純スピン流を生成しうる材料だけからなるよりも、電気抵抗が小さい部分を有することが好ましい。すなわち、スピン軌道トルク配線は純スピン流を生成する材料からなる部分(スピン流生成部)と、このスピン流生成部よりも電気抵抗が小さい材料からなる部分(低抵抗部)とを有することが好ましい。
スピン流生成部は、純スピン流を生成しえる材料からなっていればよく、例えば、複数種類の材料部分からなる構成等であってもよい。
低抵抗部は、通常の配線として用いられる材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、銀、銅、金等を用いることができる。低抵抗部は、スピン流生成部よりも電気抵抗が小さい材料からなっていればよく、例えば、複数種類の材料部分からなる構成等であってもよい。
低抵抗部において純スピン流が生成されても構わない。この場合、スピン流生成部と低抵抗部との区別は、本明細書中にスピン流生成部及び低抵抗部の材料として記載したものからなる部分はスピン流生成部または低抵抗部であるとして区別できる。純スピン流を生成する主要部以外の部分であって、その主要部より電気抵抗が小さい部分は低抵抗部として、スピン流生成部と区別できる。
スピン流生成部は、非磁性の重金属を含んでもよい。この場合、純スピン流を生成しうる重金属を有限に含んでいればよい。純スピン流を生成しうる重金属の構成比率は、スピン流生成部の主成分よりも十分少ない、または、スピン流生成部の主成分(例えば、90%以上)を占めることが好ましい。重金属がスピン流生成部の主成分を占める場合は、スピン流生成部は最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号39以上の非磁性金属のみから構成されていることが好ましい。
ここで、スピン流生成部の主成分よりも純スピン流を生成しうる重金属が十分少ないとは、例えば、銅を主成分とするスピン流生成部において、モル比で重金属の濃度が10%以下であることを指す。スピン流生成部を構成する主成分が上述の重金属以外からなる場合、スピン流生成部に含まれる重金属の濃度はモル比で50%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。
重金属の濃度がこれらの範囲であれば、電子のスピン散乱の効果が有効に得られる。重金属の濃度が低い場合、重金属よりも原子番号が小さい軽金属がスピン流生成部の主成分を占める。この場合、重金属は軽金属との合金を形成しているのではなく、軽金属中に重金属の原子が無秩序に分散していることを想定している。軽金属中ではスピン軌道相互作用が弱いため、スピンホール効果によって純スピン流は生成しにくい。
しかしながら、電子が軽金属中の重金属を通過する際に、軽金属と重金属の界面でもスピンが散乱される効果があるため重金属の濃度が低い領域でも純スピン流が効率よく発生させることが可能である。重金属の濃度が50%を超えると、重金属中のスピンホール効果の割合は大きくなるが、軽金属と重金属の界面の効果が低下するため総合的な効果が減少する。したがって、十分な界面の効果が期待できる程度の重金属の濃度が好ましい。
上述のスピン軌道トルク配線が磁性金属を含む場合、スピン軌道トルク配線におけるスピン流生成部には、反強磁性金属を用いることができる。反強磁性金属は重金属が最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号39以上の非磁性金属100%の場合と同等の効果を得ることができる。反強磁性金属は、例えば、IrMnやPtMnが好ましく、熱に対して安定なIrMnがより好ましい。
上述のスピン軌道トルク配線がトポロジカル絶縁体を含む場合、スピン軌道トルク配線におけるスピン流生成部をトポロジカル絶縁体からなるものとすることができる。トポロジカル絶縁体としては例えば、SnTe,Bi1.5Sb0.5Te1.7Se1.3,TlBiSe,BiTe,(Bi1−xSbTeなどが好ましい。これらのトポロジカル絶縁体は高効率でスピン流を生成することが可能である。
スピン軌道トルク配線で生成された純スピン流が実効的に磁気抵抗効果素子に拡散していくためには、スピン流生成部の少なくとも一部が第2強磁性金属層と接触していることが好ましい。キャップ層を備える場合には、スピン流生成部の少なくとも一部がキャップ層に接触していることが好ましい。図10〜図13に示すスピン軌道トルク配線の実施形態はすべて、スピン流生成部は少なくとも一部が第2強磁性金属層に接触した構成である。
図10に示す実施形態では、スピン軌道トルク配線20は、第2強磁性金属層2との接合部20’がすべてスピン流生成部21からなり、スピン流生成部21が低抵抗部22A、22Bに挟まれた構成である。
スピン流生成部と低抵抗部とが電気的に並列に配置する場合には、スピン軌道トルク配線に流れる電流はスピン流生成部及び低抵抗部の抵抗の大きさの逆比の割合に分かれてそれぞれの部分を流れることになる。
スピン軌道トルク配線に流れる電流がすべてスピン流生成部を流れるようにするためには、スピン流生成部と低抵抗部とが電気的に並列に配置する部分がなく、すべて電気的に直列に配置するようにすることが好ましい。SOT反転電流に対する純スピン流の生成効率を高めることができる。
図10〜図13に示すスピン軌道トルク配線は、磁気抵抗効果素子の積層方向からの平面視で、スピン流生成部と低抵抗部とが電気的に並列に配置する部分がない構成であり、流れる電流に対する純スピン流生成効率が最も高い構成である。
図10に示すスピン軌道トルク配線20は、そのスピン流生成部21が磁気抵抗効果素子10の積層方向から平面視して第2強磁性金属層2の接合部2’を含むように重畳している。磁気抵抗効果素子部20と重畳している部分におけるスピン軌道トルク配線20の厚さ方向は、スピン流生成部21だけからなる。スピン流生成部21は、電流の流れる方向に低抵抗部22A、22Bによって挟まれている。図10に示すスピン軌道トルク配線の変形例として、スピン流生成部が磁気抵抗効果素子の積層方向から平面視して第2強磁性金属層の接合部と重なっていてもよい。変形例において、相違点以外は図3に示すスピン軌道トルク配線と同じ構成である。
図11に示すスピン軌道トルク配線20は、そのスピン流生成部21が磁気抵抗効果素子10の積層方向から平面視して第2強磁性金属層2の接合部2’の一部に重畳している。その他の構成は、図10に示すスピン軌道トルク配線20と同じである。
図12に示すスピン軌道トルク配線20は、そのスピン流生成部21が磁気抵抗効果素子20の積層方向から平面視して第2強磁性金属層2の接合部2’を含むように重畳している。磁気抵抗効果素子部20と重畳している部分におけるスピン軌道トルク配線20の厚さ方向は、第2強磁性金属層2側からスピン流生成部21と低抵抗部22Cとが順に積層している。スピン流生成部21及び低抵抗部22Cが積層する部分は、電流の流れる方向に低抵抗部22A、22Bによって挟まれている。図12に示すスピン軌道トルク配線の変形例として、スピン流生成部が磁気抵抗効果素子の積層方向から平面視して第2強磁性金属層の接合部と重なっていてもよい。この変形例において、相違点以外は図12に示すスピン軌道トルク配線と同じ構成がある。
図13に示すスピン軌道トルク配線20は、そのスピン流生成部21が磁気抵抗効果素子20の積層方向から平面視して第2強磁性金属層2の接合部2’を含むように重畳している。重畳部分以外の部分は、低抵抗部22A、22Bとスピン流生成部21の突出部21Aが積層した構造となっている。すなわち、スピン流生成部21は、スピン軌道トルク配線20の一面側に延在している。
図13に示す構成では、スピン流生成部21と低抵抗部22とが接する面積が広いため、スピン流生成部21を構成する原子番号の大きい非磁性金属と低抵抗部22を構成する金属との密着性が高い。
また、一つのスピン軌道トルク配線20に対して磁気抵抗効果素子10が複数設けられていてもよい。図14は、一つのスピン軌道トルク配線に対して複数の磁気抵抗効果素子10が設けられた場合の模式図である。図14の磁気抵抗効果素子10において長軸方向Daは、磁化容易方向となる。磁気抵抗効果素子10はスピン軌道トルク配線20が延在する第1の方向に沿って複数配列する。
それぞれの磁気抵抗効果素子10の磁化容易軸の向きは、同一でもよいし、異なっていてもよい。図14(a)は、それぞれの磁気抵抗効果素子10の磁化容易軸が同一の場合を示している。図14(b)は、隣接する磁気抵抗効果素子10の磁化容易軸が、スピン軌道トルク配線20に平行で、スピン軌道トルク配線20の幅方向中央を通る線分に対して線対称となっている場合を示している。図14(c)は、隣接する磁気抵抗効果素子10の磁化容易方向が逆向きである場合を示している。
図14(a)に示すように磁化容易軸が同一の場合は、スピン流磁化反転素子100の製造が容易になる。これに対し、図14(b)及び図14(c)に示すように、隣接する磁気抵抗効果素子10の磁化容易方向に対称性がある場合は、スピン流磁化反転素子100全体の磁化の安定性が高まる。それぞれの磁気抵抗効果素子10が生み出す磁界が互いに打ち消し合うためである。
ここまで磁気抵抗効果素子10が形成されている場合を例に説明をした。しかしながら、必ずしも磁気抵抗効果素子10が形成されている必要はない。上述のように、SOTによる磁化反転は、スピン軌道トルク配線20から注入されるスピンと、磁化反転可能な第2強磁性層2の磁化の相互作用によって生じる。すなわち、スピン流磁化反転素子100は、第2強磁性層2とスピン軌道トルク配線20とによって構成されていてもよい。このスピン流磁化反転素子は、磁気カー効果を利用した素子等に用いることができる。
(素子集合体)
図15は、複数のスピン流磁化反転素子100を備える素子集合体200を模式的示した図である。図15に示す素子集合体200は、スピン流磁化反転素子100が3×3のマトリックス配置をしている。図15は、素子集合体の一例であり、スピン流磁化反転素子100の数及び配置は任意である。
スピン流磁化反転素子100には、それぞれ1本のワードラインWL1〜3と、1本のソースラインSL1〜3が接続されている。電流を印加するワードラインWL1〜3及びソースラインSL1〜3を選択することで、任意のスピン流磁化反転素子100のスピン軌道トルク配線20に電流を流すことができる。
スピン軌道トルク配線20に電流が流れると、磁気抵抗効果素子10の自由層の磁化がSOT効果により反転する。このようにして、複数のスピン流磁化反転素子100の内の任意の素子にデータを書込みすることができる。
素子集合体200において、複数のスピン流磁化反転素子100を構成する強磁性金属層のそれぞれは、同一の方向に形状異方性を有してもよい。同一の方向に形状異方性を有するということは、同一の方向に反磁場の異方性を有している。そのため、磁化にかかる復元力の大きさが小さい部分も同一の方向を向いている。
素子集合体200を構成する各スピン流磁化反転素子100が同様の構成であれば、それぞれの素子に接続するワードラインWL1〜3及びソースラインSL1〜3の形状も同様にすることができる。すなわち、素子集合体200の配線構成が複雑化することが避けられ、素子集合体200の集積度が高まる。
一方で、図16に示す素子集合体201のように、隣接する磁気抵抗効果素子10(強磁性金属層)の磁化反転容易方向が逆向きで対向していてもよい。隣接する磁化容易軸が対称性を有することで、素子集合体201全体の磁化の安定性が高まる。それぞれの磁気抵抗効果素子10が生み出す磁界が互いに打ち消し合うためである。
またこれらの場合に限られず、同一のソースラインSL1〜3又は同一のワードラインWL1〜3に接続されるスピン流磁化反転素子毎に、磁気抵抗効果素子10(強磁性金属層)の磁化反転容易方向を変えてもよい。例えば、図17は同一のソースラインが同一の磁化容易軸を有する素子集合体の模式図である。
1,11:第1強磁性金属層
2,12:第2強磁性金属層
3,13:非磁性層
10,15,16,17,18,19A,19B:磁気抵抗効果素子
20:スピン軌道トルク配線
100,101,102,103,104,105:スピン流磁化反転素子
200,201,202:素子集合体
S1:第1スピン
S2:第2スピン
I:電流
Js:純スピン流
M2,M12:磁化
Ra:第1回転方向
Rb:第2回転方向
Da:長軸方向
Db:短軸方向
M:中点
Y1:第1点
Y2:第2点
A1:第1領域
A2:第2領域
L:線分
t:頂部
PM:フォトマスク
WL1〜3:ワードライン
SL1〜3:ソースライン

Claims (11)

  1. 強磁性金属層と、
    前記強磁性金属層の積層方向に対して交差する第1の方向に延在し、前記強磁性金属層に接合するスピン軌道トルク配線と、を備え、
    前記スピン軌道トルク配線から前記強磁性金属層に注入されるスピンの向きは、前記強磁性金属層の磁化の向きに対して交差し、
    前記強磁性金属層は形状異方性を有すると共に、形状異方性に伴う反磁場の分布を有し、
    前記反磁場の分布は、前記強磁性金属層の磁化が最も磁化反転しやすい磁化反転容易方向を生み出し、
    前記磁化反転容易方向は、前記積層方向からの平面視で前記第1の方向と交差しており、
    前記強磁性金属層が、前記スピン軌道トルク配線が延在する第1の方向に沿って複数存在し、
    隣接する前記強磁性金属層の磁化反転容易方向が逆向きである、スピン流磁化反転素子。
  2. 前記強磁性金属層は、前記積層方向からの平面視で、前記第1の方向に直交する第2の方向に最も離れた2点の中点を通り、前記第1の方向と平行な線分で分割した時に、分割された前記強磁性金属層の二つの部分の面積が異なる請求項1に記載のスピン流磁化反転素子。
  3. 前記強磁性金属層を前記積層方向から平面視した形状が、2n+1(nは自然数)の頂部を有する多角形である請求項1または2に記載のスピン流磁化反転素子。
  4. 前記多角形の重心から前記頂部への方向ベクトルが、いずれも前記スピン軌道トルク配線を流れる電流の向きと異なる請求項に記載のスピン流磁化反転素子。
  5. 前記多角形の頂部が、曲線状である請求項3または4に記載のスピン流磁化反転素子。
  6. 前記強磁性金属層の前記スピン軌道トルク配線と反対側の面に、非磁性層と、磁化方向が固定された固定層とをさらに有する請求項1〜のいずれか一項に記載のスピン流磁化反転素子。
  7. 複数のスピン流磁化反転素子を備え、
    前記複数のスピン流磁化反転素子のそれぞれは、強磁性金属層と、前記強磁性金属層の積層方向に対して交差する第1の方向に延在し、前記強磁性金属層に接合するスピン軌道トルク配線と、を備え、
    前記複数のスピン流磁化反転素子のそれぞれの前記スピン軌道トルク配線から前記強磁性金属層に注入されるスピンの向きは、前記強磁性金属層の磁化の向きに対して交差し、
    前記複数のスピン流磁化反転素子のそれぞれの前記強磁性金属層は形状異方性を有すると共に、形状異方性に伴う反磁場の分布を有し、
    前記反磁場の分布は、前記強磁性金属層の磁化が最も磁化反転しやすい磁化反転容易方向を生み出し、
    前記磁化反転容易方向は、前記積層方向からの平面視で前記第1の方向と交差しており、
    前記強磁性金属層の磁化は、前記積層方向に配向しており、
    前記複数のスピン流磁化反転素子の隣接する前記強磁性金属層の磁化反転容易方向が逆向きである、素子集合体。
  8. 複数のスピン流磁化反転素子を備え、
    前記複数のスピン流磁化反転素子のそれぞれは、強磁性金属層と、前記強磁性金属層の積層方向に対して交差する第1の方向に延在し、前記強磁性金属層に接合するスピン軌道トルク配線と、を備え、
    前記複数のスピン流磁化反転素子のそれぞれの前記スピン軌道トルク配線から前記強磁性金属層に注入されるスピンの向きは、前記強磁性金属層の磁化の向きに対して交差し、
    前記複数のスピン流磁化反転素子のそれぞれの前記強磁性金属層は形状異方性を有すると共に、形状異方性に伴う反磁場の分布を有し、
    前記反磁場の分布は、前記強磁性金属層の磁化が最も磁化反転しやすい磁化反転容易方向を生み出し、
    前記磁化反転容易方向は、前記積層方向からの平面視で前記第1の方向と交差しており、
    前記強磁性金属層の磁化は、前記積層方向に配向しており、
    前記複数のスピン流磁化反転素子を構成する前記強磁性金属層のそれぞれは、同一の方向に形状異方性を有する、素子集合体
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載のスピン流磁化反転素子を複数備える素子集合体。
  10. 複数の前記スピン流磁化反転素子を構成する前記強磁性金属層のそれぞれは、同一の方向に形状異方性を有する請求項に記載の素子集合体。
  11. 隣接する前記強磁性金属層の磁化反転容易方向が逆向きである請求項8〜10のいずれか一項に記載の素子集合体。
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