JP2019149446A - スピン流磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ - Google Patents

スピン流磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ Download PDF

Info

Publication number
JP2019149446A
JP2019149446A JP2018033102A JP2018033102A JP2019149446A JP 2019149446 A JP2019149446 A JP 2019149446A JP 2018033102 A JP2018033102 A JP 2018033102A JP 2018033102 A JP2018033102 A JP 2018033102A JP 2019149446 A JP2019149446 A JP 2019149446A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spin
orbit torque
torque wiring
wiring layer
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018033102A
Other languages
English (en)
Inventor
陽平 塩川
Yohei SHIOKAWA
陽平 塩川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2018033102A priority Critical patent/JP2019149446A/ja
Priority to US15/965,053 priority patent/US20190267540A1/en
Publication of JP2019149446A publication Critical patent/JP2019149446A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N50/00Galvanomagnetic devices
    • H10N50/80Constructional details
    • H10N50/85Magnetic active materials
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11CSTATIC STORES
    • G11C11/00Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor
    • G11C11/02Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using magnetic elements
    • G11C11/16Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using magnetic elements using elements in which the storage effect is based on magnetic spin effect
    • G11C11/161Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using magnetic elements using elements in which the storage effect is based on magnetic spin effect details concerning the memory cell structure, e.g. the layers of the ferromagnetic memory cell
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/324Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer
    • H01F10/3254Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the spacer being semiconducting or insulating, e.g. for spin tunnel junction [STJ]
    • H01F10/3259Spin-exchange-coupled multilayers comprising at least a nanooxide layer [NOL], e.g. with a NOL spacer
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/324Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer
    • H01F10/329Spin-exchange coupled multilayers wherein the magnetisation of the free layer is switched by a spin-polarised current, e.g. spin torque effect
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10BELECTRONIC MEMORY DEVICES
    • H10B61/00Magnetic memory devices, e.g. magnetoresistive RAM [MRAM] devices
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10BELECTRONIC MEMORY DEVICES
    • H10B61/00Magnetic memory devices, e.g. magnetoresistive RAM [MRAM] devices
    • H10B61/20Magnetic memory devices, e.g. magnetoresistive RAM [MRAM] devices comprising components having three or more electrodes, e.g. transistors
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N50/00Galvanomagnetic devices
    • H10N50/01Manufacture or treatment
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N50/00Galvanomagnetic devices
    • H10N50/10Magnetoresistive devices
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N52/00Hall-effect devices
    • H10N52/80Constructional details
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11CSTATIC STORES
    • G11C11/00Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor
    • G11C11/18Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using Hall-effect devices

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Mram Or Spin Memory Techniques (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)

Abstract

【課題】高いスピンホール効果を生み出すことにより反転電流密度を低減するスピン流磁化回転素子を提供することを目的とする。【解決手段】このスピン流磁化回転素子は、磁化方向が変化可能な磁化を有する第1強磁性層と、第1強磁性層の面直方向である第1方向に対して交差する第2の方向に延在し、第1強磁性層の前記第1方向に位置するスピン軌道トルク配線層と、を備え、スピン軌道トルク配線層は、内部に超常磁性体を有し、超常磁性体がFe、Co、Ni、Gdのうちいずれかの磁性元素を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、スピン流磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリに関する。
強磁性層と非磁性層の多層膜からなる巨大磁気抵抗(GMR)素子及び、非磁性層に絶縁層(トンネルバリア層、バリア層)を用いたトンネル磁気抵抗効果(TMR)素子が知られている。一般に、TMR素子は、GMR素子と比較して素子抵抗が高いものの、TMR素子の磁気抵抗(MR)比は、GMR素子のMR比より大きい。そのため、磁気センサ、高周波部品、磁気ヘッド及び不揮発性ランダムアクセスメモリ(MRAM)用の素子として、TMR素子に注目が集まっている。
TMR素子は、2つの強磁性層と、強磁性層の間に挟持された絶縁層からなる。2つの強磁性層の互いの磁化の向きが変化すると、TMR素子の素子抵抗が変化する。MRAMは、このTMR素子の特性を利用してデータを読み書きする。MRAMの書込み方式としては、電流が作る磁場を利用して書込み(磁化回転)を行う方式や磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流して生ずるスピントランスファートルク(STT)を利用して書込み(磁化回転)を行う方式が知られている。STTを用いたTMR素子の磁化回転はエネルギーの効率の視点から考えると効率的ではあるが、データを書き込む際に磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流す必要がある。書き込み電流は、磁気抵抗効果素子の特性を劣化させる場合がある。
そこで近年、磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流さずに磁化回転を可能とする手段として、スピン軌道相互作用により生成された純スピン流によるスピン軌道トルク(SOT)を利用したスピン流磁化回転素子に注目が集まっている(例えば、非特許文献1)。SOTは、スピン軌道相互作用によって生じた純スピン流又は異種材料の界面におけるラシュバ効果により誘起される。磁気抵抗効果素子内にSOTを誘起するための電流は、磁気抵抗効果素子の積層方向と交差する方向に流す。すなわち、磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流す必要がなく、磁気抵抗効果素子の長寿命化が期待されている。
非特許文献1によれば、SOTによる反転電流密度はSTTによる反転電流密度と同程度であると報告されている。そのため現在のSOT方式の反転電流密度では、磁気抵抗効果素子の高集積化や低消費エネルギー化を実現するためには不十分である。さらなる反転電流密度の低減のためには、高いスピンホール効果を生じる材料を使用する必要がある。
また、スピン軌道トルク配線の材料としては、非特許文献1で用いられているTaをはじめとする重金属材料が挙げられる。これらの材料は抵抗率が高いため、これらの材料から作製した薄膜配線を用いると、消費電力が高くなるという問題がある。
S. Fukami, T. Anekawa, C. Zhang, and H. Ohno, Nature Nanotechnology (2016) DOI: 10.1038/NNANO2016.29.
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、高いスピンホール効果を生み出すことにより反転電流密度を低減するスピン流磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリを提供することを目的とする。
本発明者らは、超常磁性体を有するスピン軌道トルク配線を採用することにより、高いスピンホール効果を生じさせて強磁性層の磁化回転をより容易に行うことができること、すなわちスピン軌道トルク配線層を流れる反転電流の電流密度を低減しても従来のスピン流磁化回転素子と同等以上の効率で磁化回転を行うことができることを見出した。すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様に係るスピン流磁化回転素子は、磁化方向が変化可能な第1強磁性層と、第1強磁性層の面直方向である第1方向に対して交差する第2の方向に延在し、第1強磁性層の前記第1方向に位置するスピン軌道トルク配線層と、を備え、スピン軌道トルク配線層は、内部に超常磁性体を有し、超常磁性体がFe、Co、Ni、Gdのうちいずれかの磁性元素を含む。
(2)上記態様に係るスピン流磁化回転素子は、超常磁性体がスピン軌道トルク配線層内に分散して配設される。
(3)上記態様に係るスピン流磁化回転素子は、超常磁性体が、スピン軌道トルク配線層内において島状領域の超常磁性部を形成するように配設される。
(4)上記態様に係るスピン流磁化回転素子は、超常磁性体が、層状領域の超常磁性部を形成するように配設され、超常磁性部が、スピン軌道トルク配線層の面直方向において、第1強磁性層側のスピン軌道トルク配線層の第1の面と、第1の面とは反対側のスピン軌道トルク配線層の第2の面との間のいずれかの位置に配設される。
(5)上記態様に係るスピン流磁化回転素子は、層状領域の超常磁性部を挟んで配置されたスピン軌道トルク配線層の2つの領域が、互いに異なる材料を含む。
(6)上記態様に係るスピン流磁化回転素子は、スピン軌道トルク配線層が、イットリウム以上の原子番号を有する重金属元素を含む。
(7)上記態様に係るスピン流磁化回転素子は、超常磁性体の粒径が10nm以下である。
(8)上記態様に係るスピン流磁化回転素子は、超常磁性体が、Fe、Co、Ni、Gdのうちいずれかの磁性元素の酸化物を含む。
(9)第2の態様に係る磁気抵抗効果素子は、上記態様に係るスピン流磁化回転素子と、磁化の方向が固定された第2強磁性層と、第1強磁性層と第2強磁性層とに挟持された非磁性層と、を備える。
(10)第3の態様に係る磁気メモリは、上記態様に係る磁気抵抗効果素子を複数備える。
上記態様に係るスピン流磁化回転素子によれば、スピン軌道トルク配線層を流れる反転電流の電流密度を低減しても従来のスピン流磁化回転素子と同等以上の効率で磁化回転を行うことが可能である。
本発明の第1実施形態に係るスピン流磁化回転素子を模式的に示した斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るスピン流磁化回転素子を模式的に示した斜視図である。 本発明の第3実施形態に係るスピン流磁化回転素子を模式的に示した斜視図である。 スピン流磁化回転素子の第1の実施形態に係る製造方法を模式的に示した断面図である。 スピン流磁化回転素子の第1の実施形態に係る製造方法を模式的に示した断面図である。 スピン流磁化回転素子の第2の実施形態に係る製造方法を模式的に示した断面図である。 スピン流磁化回転素子の第2の実施形態に係る製造方法を模式的に示した断面図である。 スピン流磁化回転素子の第3の実施形態に係る製造方法を模式的に示した断面図である。 スピン流磁化回転素子の第3の実施形態に係る製造方法を模式的に示した断面図である。 本発明に係る磁気抵抗効果素子を模式的に示した斜視図である。 本発明に係る磁気メモリの平面図である。
以下、本発明について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(第1実施形態に係るスピン流磁化回転素子)
図1は、本発明の第1実施形態に係るスピン流磁化回転素子1を模式的に示した斜視図である。スピン流磁化回転素子1は、第1強磁性層4と、第1強磁性層4の面直方向であるZ方向に対して交差するX方向に延在し、第1強磁性層4の−Z方向に位置するスピン軌道トルク配線層2と、を備える。
<スピン軌道トルク配線層>
図1においてスピン軌道トルク配線層2は第1強磁性層4に接合している。スピン軌道トルク配線層2は、第1強磁性層4に直接接続されていてもよいし、他の層を介して接続されていてもよい。
スピン軌道トルク配線層2と第1強磁性層4との間に介在する層は、スピン軌道トルク配線層2から伝搬するスピンを散逸しないことが好ましい。例えば、銀、銅、マグネシウム、及びアルミニウム等は、スピン拡散長が100nm以上と長く、スピンが散逸しにくいことが知られている。
また、この層の厚みは、層を構成する物質のスピン拡散長以下であることが好ましい。層の厚みがスピン拡散長以下であれば、スピン軌道トルク配線層2から伝搬するスピンを第1強磁性層4に十分に伝えることができる。
スピン軌道トルク配線層2は、電流が流れるとスピンホール効果によってスピン流が生成される材料からなる。かかる材料としては、スピン軌道トルク配線層2中にスピン流が生成される構成のものであれば足りる。従って、単体の元素からなる材料に限らないし、スピン流が生成される材料で構成される部分とスピン流が生成されない材料で構成される部分とからなるものであってもよい。
配線に電流を流した場合に、スピン軌道相互作用に基づき、電流の向きに直交する方法に第1スピンS1と第2スピンS2とが逆方向に曲げられ、スピン流が誘起される現象を、スピンホール効果と呼ぶ。通常のホール効果とスピンホール効果とは、運動(移動)する電荷(電子)が運動(移動)方向を曲げられる点で共通するが、通常のホール効果は磁場中で運動する荷電粒子がローレンツ力を受けて運動方向を曲げられるのに対して、スピンホール効果では磁場が存在しないのに電子が移動するだけ(電流が流れるだけ)で移動方向が曲げられる点で大きく異なる。
非磁性体(強磁性体ではない材料)では第1スピンS1の電子数と第2スピンS2の電子数とが等しいので、図中でスピン軌道トルク配線層2の第1強磁性層8が配設された面の方向へ向かう第1スピンS1の電子数と、第1スピンS1の電子の流れとは反対の方向へ向かう第2スピンS2の電子数とが等しい。そのため、電荷の正味の流れとしての電流はゼロである。この電流を伴わないスピン流は特に純スピン流と呼ばれる。
ここで、第1スピンS1の電子の流れをJ、第2スピンS2の電子の流れをJ、スピン流をJと表すと、J=J−Jで定義される。図1においては、純スピン流としてJが図中の上方向に流れる。ここで、Jは分極率が100%の電子の流れである。
スピン軌道トルク配線層2は、非磁性の重金属を含んでもよい。ここで、重金属とは、イットリウム以上の比重を有する金属の意味で用いている。
この場合、非磁性重金属は、最外殻にd電子またはf電子を有する原子番号39、すなわちイットリウム以上の原子番号が大きい非磁性金属であることが好ましい。かかる非磁性金属は、スピンホール効果を生じさせるスピン軌道相互作用が大きいからである。
通常、金属に電流を流すとすべての電子はそのスピンの向きにかかわりなく電流とは逆向きに動くのに対して、最外殻にd電子またはf電子を有する原子番号が大きい非磁性金属はスピン軌道相互作用が大きいためにスピンホール効果によって電子の動く方向が電子のスピンの向きに依存し、純スピン流Jが発生しやすい。
また、スピン軌道トルク配線層2は、トポロジカル絶縁体を含んでもよい。トポロジカル絶縁体とは、物質内部が絶縁体または高抵抗体であるが、その表面にスピン偏極した金属状態が生じている物質である。物質にはスピン軌道相互作用という内部磁場のようなものがある。そこで外部磁場がなくてもスピン軌道相互作用の効果で新たなトポロジカル相が発現する。これがトポロジカル絶縁体であり、強いスピン軌道相互作用とエッジにおける反転対称性の破れにより純スピン流を高効率に生成することができる。
トポロジカル絶縁体としては例えば、SnTe、Bi1.5Sb0.5Te1.7Se1.3、TlBiSe、BiTe、Bi1−xSb、(Bi1−xSbTeなどが好ましい。これらのトポロジカル絶縁体は、高効率にスピン流を生成することが可能である。
また本実施形態にかかるスピン軌道トルク配線層2は、内部に超常磁性体16を有する。本明細書では、超常磁性体とは、超常磁性を示す微粒子を言う。超常磁性とは、非常に小さな強磁性体の微粒子では、自発磁化の方向が熱擾乱に負けて熱的に揺らぎ、微粒子の見かけ上の磁化が0になる効果を言う。超常磁性体においては、隣接する強磁性原子のスピンを同じ向きに揃えようとするエネルギー(磁気異方性エネルギー)より、個々のスピンが熱擾乱により振動するエネルギーの方が大きい。個々のスピンは強磁性状態と同じ大きさの磁気モーメントを維持するが、超常磁性体の見かけ上の磁化はベクトル的に相殺して0になる。単位体積当たりの磁気異方性エネルギーをK(異方性定数)と書くと、体積Vの微粒子の磁気異方性エネルギーはKVで表される。絶対温度Tにおける熱振動のエネルギーkbT(ただし、kbはボルツマン定数を表す)がこのポテンシャルよりも大きい場合、すなわちkbT>KVを満たす場合に、微粒子は超常磁性体となる。従って、強磁性体からなる微粒子の体積を小さくすることにより、超常磁性状態を作り出すことができる。一般に、微粒子の粒径が10nm以下になると、超常磁性状態となる。微粒子が球形でない場合、粒径とは、粒子を外接する外接球の直径を意味する。
スピン軌道トルク配線層2が内部に超常磁性体16を含む場合、伝導スピンが超常磁性体16によりスピン散乱され、スピン軌道トルク配線層2内の対称性の崩れが生み出される。この対称性の崩れは、スピン軌道トルク配線層2内に内場を生み出し、純スピン流を高効率に生成する。また、超常磁性体は極小的なスピン情報を維持しており、スピンの状態を残した常磁性状態を作り出すことでスピン流を生成することができる。
超常磁性体16は、Fe、Co、Ni、Gdなどの強磁性を示す磁性元素を含む微粒子である。超常磁性体16は、Fe、Co、Ni、Gdなどの強磁性体を示す磁性元素の酸化物を含んでもよい。これらの酸化物としては、例えばFeO、CoFeO、NiOなどが挙げられる。超常磁性体16は、図1に示されるように、スピン軌道トルク配線層2内に分散して配設されている。超常磁性体16の粒径は、超常磁性を発現するように、前述のように10nm以下であることが好ましい。
<第1強磁性層>
第1強磁性層4は、スピン軌道トルク配線層2に、X方向に交差する+Z方向に積層されて配設される。第1強磁性層4は、磁化方向が変化可能な磁化8を有する。図1では、磁化8はZ方向に対して平行であるが、X方向に対して平行、または、X方向及びZ方向のいずれに対しても交差するY方向に対して平行であってもよい。また、磁化8は、X方向、Y方向、Z方向のいずれかまたは全てに対して傾いていてもよい。
第1強磁性層4には、強磁性材料を適用できる。例えば第1強磁性層4には、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属、これらの金属を1種以上含む合金、これらの金属とB、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とが含まれる合金等を用いることができる。具体的には、Co−Fe、Co−Fe−B、Ni−Feを第1強磁性層4として例示できる。またこの他、CoFeSi、CoFeGe、CoFeGa、CoMnSi、CoMn1−aFeAlSi1−b、CoFeGe1−cGa等のホイスラー合金も用いることができる。
<スピン軌道トルク型磁化回転素子の原理>
次に、図1を参照しながら、スピン流磁化回転素子1の原理について説明する。
図1に示すように、スピン軌道トルク配線層2に反転電流Iを印加すると、第1スピンS1と第2スピンS2とがスピンホール効果によって曲げられる。その結果、純スピン流JがZ方向に生じる。第1スピンS1及び第2スピンS2は、スピン軌道トルク配線層2内に配設された超常磁性体16によって散乱されるため、純スピン流Jが高効率に生成される。
図1において、第1強磁性層4は、スピン軌道トルク配線層2の+Z方向に積層して配設されているため、純スピン流Jは第1強磁性層4中に拡散して流れ込む。すなわち、第1強磁性層4にスピンが注入される。注入されたスピンは、第1強磁性層4の磁化8にスピン軌道トルク(SOT)を与え、磁化回転が生じる。図1では、第1強磁性層4の磁化8を、第1強磁性層4の重心に位置する1つの磁化として模式的に表している。
従って、図1に示すスピン流磁化回転素子は、超常磁性体16によって純スピン流Jが高効率に生成されるため、反転電流Iの電流密度を低減しても従来のスピン流磁化回転素子と同等以上の効率で磁化回転を行うことが可能である。
(第2実施形態に係るスピン流磁化回転素子)
図2は、本発明の第2実施形態に係るスピン流磁化回転素子101を模式的に示した斜視図である。スピン流磁化回転素子101は、第1強磁性層104と、第1強磁性層104の面直方向であるZ方向に対して交差するX方向に延在し、第1強磁性層104の−Z方向に位置するスピン軌道トルク配線層102と、を備える。第1強磁性層104は、磁化方向が変化可能な磁化108を有する。
図2に示されたスピン流磁化回転素子101は、超常磁性体116がスピン軌道トルク配線層102内において島状領域の超常磁性部118を形成するように配設されている点で、図1に示されたスピン流磁化回転素子1と異なる。その他の構成は、スピン流磁化回転素子1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
図2には、スピン軌道トルク配線層102が島状領域の超常磁性部118を1つだけ含むことが示されているが、スピン軌道トルク配線層102は超常磁性部118を複数含んでもよい。
スピン流磁化回転素子101の超常磁性部118は島状領域であるため、スピン軌道トルク配線層102内を流れるスピンは、超常磁性部118に局在された超常磁性体116によって局所的に強く散乱を受ける。従って、純スピン流Jが高効率に生成され、反転電流Iの電流密度を低減しても従来のスピン流磁化回転素子と同等以上の効率で磁化回転を行うことが可能である。また、第1強磁性層104の近傍領域に超常磁性部118を形成することができる。そのため、純スピン流Jを第1強磁性層104の近傍に発生させることができ、高効率で磁化回転を行うことが可能である。
(第3実施形態に係るスピン流磁化回転素子)
図3は、本発明の第3実施形態に係るスピン流磁化回転素子201を模式的に示した斜視図である。スピン流磁化回転素子201は、第1強磁性層204と、第1強磁性層204の面直方向であるZ方向に対して交差するX方向に延在し、第1強磁性層204の−Z方向に位置するスピン軌道トルク配線層202と、を備える。第1強磁性層204は、磁化方向が変化可能な磁化208を有する。
図3に示されたスピン流磁化回転素子208は、超常磁性体216がスピン軌道トルク配線層202内において層状領域の超常磁性部218を形成するように配設されている点で、図1に示されたスピン流磁化回転素子1及び図2に示されたスピン流磁化回転素子101と異なる。その他の構成は、スピン流磁化回転素子1、101と同様であるため、詳細な説明を省略する。
層状領域の超常磁性部218は、スピン軌道トルク配線層202の面直方向において、第1強磁性層204側に位置するスピン軌道トルク配線層202の第1の面と、第1の面とは反対側の第2の面との間のいずれの位置に配設されてもよい。スピン軌道トルク配線層202内を流れるスピンは、超常磁性部218に局在された超常磁性体216によって局所的に強く散乱を受ける。従って、純スピン流Jが高効率に生成され、反転電流Iの電流密度を低減しても従来のスピン流磁化回転素子と同等以上の効率で磁化回転を行うことが可能である。また、第1強磁性層204の近傍領域に超常磁性部218を形成することができる。そのため、純スピン流Jを第1強磁性層204の近傍に発生させることができ、高効率で磁化回転を行うことが可能である。
また、層状構造の超常磁性部218を挟んで配置されたスピン軌道トルク配線層202の2つの領域が、互いに異なる材料を含んでもよい。この場合、スピン軌道トルク配線層202内を流れるスピンは、スピン軌道トルク配線層202の厚み方向の非対称性によって生じる内場の影響を受ける。従って、純スピン流Jが高効率に生成され、反転電流Iの電流密度を低減しても従来のスピン流磁化回転素子と同等以上の効率で磁化回転を行うことが可能である。
(スピン流磁化回転素子の第1の実施形態に係る製造方法)
図4及び5は、スピン流磁化回転素子の第1の実施形態に係る製造方法を模式的に示した断面図である。
まず、図4に示されるように、支持体となる基板上に、スピン軌道トルク配線層302を作製する。スピン軌道トルク配線層302は、スパッタ等の公知の成膜手段を用いて作製できる。
次いで、スパッタ等の公知の成膜手段を用いて、超常磁性体を形成することとなる強磁性材料320を成膜する。強磁性材料320は、Fe、Co、Ni、Gdを含む元素から選択される。強磁性材料320の成膜時に、低速度の成膜レートを用いると、成膜された強磁性材料320はスピン軌道トルク配線層302の表面上で凝集し、微粒子を形成する。この微粒子の粒径が10nm以下となるように成膜レートを調整することによって、超常磁性体316を形成することができる。例えば、強磁性材料320としてFeを用いた場合には、0.1Å/秒程度以下とすることにより、粒径が10nm以下の微粒子を形成することができる。
また、強磁性材料320の成膜中に、または強磁性材料320の成膜終了後に成膜チャンバーから取り出すことなく基板を加熱することによっても、スピン軌道トルク配線層302の表面上における強磁性材料320の凝集を促進することができる。例えば、強磁性材料320としてFeを用いた場合には、基板を100℃以上300℃以下に加熱することにより、粒径が10nm以下の微粒子を形成することができる。
また、強磁性材料320として、スピン軌道トルク配線層302に含まれる材料よりも表面エネルギーの大きな材料を用いることができる。この場合、強磁性材料320は表面エネルギーによって凝集し、微粒子を形成することができる。例えば、スピン軌道トルク配線層302の材料としてWを採用した場合、強磁性材料320の材料としてCoを採用することにより、粒径が10nm以下の微粒子を形成することができる。
超常磁性体316を形成したのち、図5に示されるように、さらにスパッタ等の公知の成膜手段を用いてスピン軌道トルク配線層302を成膜する。超常磁性体316の形成後のスピン軌道トルク配線層302の成膜に使用される材料は、超常磁性体316の形成前のスピン軌道トルク配線層302の成膜に使用される材料と同じものとすることができるが、異なる材料を選択することもできる。次いで、スパッタ等の公知の成膜手段を用いて第1強磁性層304をスピン軌道トルク配線層302に積層して成膜し、スピン流磁化回転素子301を得る。
超常磁性体316の磁化測定を行うことにより、超常磁性体316が形成されていることを確認することができる。強磁性材料320を成膜したにもかかわらず、成膜面において磁化が測定されなければ、超常磁性体316が形成されたと判断することができる。また、強磁性材料からなる微粒子の粒径が10nm以下であれば超常磁性体としてふるまうことが分かっているため、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて粒径が10nm以下の微粒子が形成されていることを観察し、超常磁性体316が形成されていることを確認することができる。
(スピン流磁化回転素子の第2の実施形態に係る製造方法)
図6及び7は、スピン流磁化回転素子の第2の実施形態に係る製造方法を模式的に示した断面図である。
まず、図6に示されるように、支持体となる基板上に、強磁性材料を用いてスピン軌道トルク配線層402を作製する。スピン軌道トルク配線層402は、スパッタ等の公知の成膜手段を用いて作製できる。
次いで、非磁性元素424を高い成膜エネルギーでスパッタリングする。非磁性元素424としては、例えばTaを選択でき、成膜エネルギーとしては、例えば10〜50eVを選択することができる。非磁性元素424はスピン軌道トルク配線層402内の、成膜エネルギーに応じた所定の深さ領域に打ち込まれる。その結果、いわゆるミキシング層またはデッドレイヤーと呼ばれる領域が形成される。この領域内では、スピン軌道トルク配線層402を構成する強磁性材料が非磁性元素424によって分断され、強磁性材料の有効体積が小さくなり、粒径が10nm以下である強磁性材料からなる微粒子状の構造、すなわち超常磁性体が形成される。従って、図6に示されるように、スピン軌道トルク配線層402内の所定の領域に、超常磁性体を含む層状の超常磁性部418が形成されることとなる。なお、非磁性元素424を打ち込む深さや平面方向の領域を調整することにより、超常磁性部418を島状領域とすることも可能である。
次いで、図7に示されるように、スパッタ等の公知の成膜手段を用いて第1強磁性層404をスピン軌道トルク配線層402に積層して成膜し、スピン流磁化回転素子401を得る。また、図7では超常磁性部418はスピン軌道トルク配線層402内の所定の深さに配設されている。しかし、超常磁性部418の深さはゼロであってもよい。すなわち、超常磁性部418は、スピン軌道トルク配線層402と第1強磁性層との間の界面に配設されてもよい。
(スピン流磁化回転素子の第3の実施形態に係る製造方法)
図8及び9は、スピン流磁化回転素子の第3の実施形態に係る製造方法を模式的に示した断面図である。
まず、図8に示されるように、支持体となる基板上に、強磁性材料からなるスピン軌道トルク配線層502を作製する。スピン軌道トルク配線層502は、スパッタ等の公知の成膜手段を用いて作製できる。次いで、スピン軌道トルク配線層502の一部の領域、または全領域において、表面を酸化させる。この酸化領域526は、例えば深さが10nm以下である。酸化領域526は非常に薄いため、スピン軌道トルク配線層502を構成する強磁性材料が、酸化物(例えば、FeO、CoFeO、NiOなど)によって分断され、粒径が10nm以下の微粒子状の構造を形成する。この微粒子状の構造が、超常磁性体としてふるまう。
次いで、図9に示されるように、さらにスパッタ等の公知の成膜手段を用いてスピン軌道トルク配線層502を成膜する。これによって、スピン軌道トルク配線層内に、超常磁性体を含む層状の超常磁性部518が形成される。酸化領域526の形成後のスピン軌道トルク配線層502の成膜に使用される材料は、酸化領域526の形成後のスピン軌道トルク配線層502の成膜に使用される材料と同じものとすることができるが、異なる材料を選択することもできる。次いで、スパッタ等の公知の成膜手段を用いて第1強磁性層504をスピン軌道トルク配線層502に積層して成膜し、スピン流磁化回転素子501を得る。なお、酸化領域526の形成後のスピン軌道トルク配線層502の成膜は省略可能である。この場合、酸化領域526、すなわち超常磁性部518はスピン軌道トルク配線層502と第1強磁性層504との間の界面に配設される。
(磁気抵抗効果素子)
図10は、本発明に係る磁気抵抗効果素子601を模式的に示した斜視図である。
磁気抵抗効果素子601は、第1強磁性層604と、第1強磁性層604の面直方向であるZ方向に対して交差するX方向に延在し、第1強磁性層4に接合するスピン軌道トルク配線層602と、を備えたスピン流磁化回転素子と、第2強磁性層628と、第1強磁性層604と第2強磁性層628とに挟持された非磁性層632と、を備える。
スピン軌道トルク配線層602は、内部に超常磁性体616を有し、図10に示された例では、超常磁性体616は、層状領域の超磁性体部618を形成するように配設されている。しかしながら、超常磁性体616は、例えば図1に示されるようにスピン軌道トルク配線層602内に分散されて配設されていてもよい。また、超常磁性体616は、図2に示されるようにスピン軌道トルク配線層602の内部で島状領域の超常磁性部618を形成するように配設されていてもよい。超常磁性体616及び超常磁性部618の構成及び効果については、図1から3に示されたスピン流磁化回転素子1、101、201について説明した構成及び効果と同様であるので、詳細な説明を省略する。
第1強磁性層604は、磁化方向が変化可能な磁化608を有する。また、第2強磁性層は、方向が固定された磁化630を有する。
<第2強磁性層>
磁気抵抗効果素子601は、第2強磁性層628の磁化630が一方向に固定され、第1強磁性層604の磁化608の方向が相対的に変化することで機能する。保持力差型(疑似スピンバルブ型;Pseudo Spin Valve型)のMRAMに適用する場合には、第2強磁性層628の保持力は第1強磁性層604の保持力よりも大きいものとする。交換バイアス型(スピンバルブ型;Spin Valve型)のMRAMに適用する場合には、半強磁性層との交換結合によって第2強磁性層628の磁化方向を固定する。
また磁気抵抗効果素子601は、非磁性層632が絶縁体からなる場合は、トンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magnetoresistance)素子であり、非磁性層632が金属からなる場合は巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetoresistance)素子である。
磁気抵抗効果素子601の積層構成は、公知の磁気抵抗効果素子の積層構成を採用できる。例えば、各層は複数の層からなるものでもよいし、第2強磁性層628の磁化方向を固定するための反強磁性層などの他の層を備えてもよい。第2強磁性層628は固定層や参照層、第1強磁性層604は自由層や記録層などと呼ばれる。
第2強磁性層628の材料には、公知の材料を用いることができ、第1強磁性層628と同様の材料を用いることができる。図10に示された例では、第1強磁性層604が面直方向に磁化を有するため、第2強磁性層628も面直方向に磁化を有することが望ましい。第1強磁性層604が面内方向に磁化を有する場合には、第2強磁性層628も面内方向に磁化を有することが望ましい。
また、第2強磁性層628の第1強磁性層604に対する保磁力をより大きくするために、第2強磁性層628と接する材料としてIrMn、PtMnなどの反強磁性材料を用いてもよい。さらに、第2強磁性層628の漏れ磁場を第1強磁性層604に影響させないようにするため、シンセティック強磁性結合の構造としてもよい。
<非磁性層>
非磁性層632には、公知の材料を用いることができる。例えば、非磁性層632が絶縁体からなる場合(トンネルバリア層である場合)、その材料としては、Al、SiO、MgO、及びMgAlなどを用いることができる。また、これらのほかにも、Al、Si、Mgの一部がZn、Beなどに置換された材料なども用いることができる。これらの中でも、MgOやMgAlはコヒーレントトンネルが実現できる材料であるため、スピンを効率よく注入できる。また、非磁性層632が金属からなる場合、その材料としてはCu、Au、Agなどを用いることができる。さらに、非磁性層632が半導体からなる場合、その材料としてはSi、Ge、CuInSe、CuGaSe、Cu(In,Ga)Seなどを用いることができる。
また、磁気抵抗効果素子601は、その他の層を有していてもよい。例えば、第1強磁性層604の非磁性層632と反対側の面に下地層を有していてもよいし、第2強磁性層628の非磁性層632と反対側の面にキャップ層を有していてもよい。
(磁気抵抗効果素子の原理)
次いで、磁気抵抗効果素子601の原理について説明する。
図10は、磁化608が磁化630と平行で向きが反対である(反平行状態)。この場合、第1強磁性層604と第2強磁性層628との間の電気抵抗は高抵抗状態となる。
スピン軌道トルク配線層602に反転電流Iを流すと、第1強磁性層604にスピン流Jが注入される。この時、第1強磁性層604の磁化608が回転して反転し、磁化608は第2強磁性層628の磁化630と平行で向きが一致する(平行状態)。この場合、第1強磁性層604と第2強磁性層628との間の電気抵抗は高抵抗状態となる。従って、磁化608と磁化630との向きが平行状態であるか反平行状態であるかによって、磁気抵抗効果素子601は、第1強磁性層604と第2強磁性層628との間の電気抵抗の状態に対応した0/1のデータを保持する磁気メモリとして働く。
(磁気メモリ)
図11は、本発明に係る磁気メモリ700の平面図である。図11に示す磁気メモリ700は、磁気抵抗効果素子601がアレイ状に3×3のマトリックス配置をしている。図11は磁気メモリの一例であり、磁気抵抗効果素子601の種類、数および配置は任意である。また制御部は、すべての磁気抵抗効果素子601にわたって存在してもよいし、磁気抵抗効果素子601ごとに設けてもよい。
磁気抵抗効果素子601には、それぞれ1本のワードラインWL1〜3と、それぞれ1本のビットラインBL1〜3と、それぞれ1本のリードラインRL1〜3とが接続されている。
電流を印加するワードラインWL1〜3及びビットラインBL1〜3を選択することで、任意の磁気抵抗効果素子601のスピン軌道トルク配線602にパルス電流を流し、書込み動作を行う。また電流を印加するリードラインRL1〜3及びビットラインBL1〜3を洗濯することで、任意の磁気抵抗効果素子601の積層方向に電流を流し、読み込み動作を行う。電流を印加するワードラインWL1〜3、ビットラインBL1〜3、及びリードラインRL1〜3はトランジスタ等により選択できる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
1、101、201…スピン流磁化回転素子、2、102、202、302、402、502、602…スピン軌道トルク配線層、4、104、204、304、404、504、604…第1強磁性層、8、108、208…第1強磁性層の磁化、16、116、216、316…超常磁性体、118、218、418、518…超常磁性部、320…強磁性材料、424…非磁性元素、526…酸化領域、628…第2強磁性層、630…第2強磁性層の磁化、632…非磁性層、601…磁気抵抗効果素子、700…磁気メモリ、S1…第1スピン、S2…第2スピン、I…電流、Js…純スピン流

Claims (10)

  1. 磁化方向が変化可能な第1強磁性層と、
    前記第1強磁性層の面直方向である第1方向に対して交差する第2の方向に延在し、前記第1強磁性層の前記第1方向に位置するスピン軌道トルク配線層と、を備え、
    前記スピン軌道トルク配線層は、内部に超常磁性体を有し、
    前記超常磁性体がFe、Co、Ni、Gdのうちいずれかの磁性元素を含む、スピン流磁化回転素子。
  2. 前記超常磁性体が前記スピン軌道トルク配線層内に分散して配設された、請求項1に記載のスピン流磁化回転素子。
  3. 前記超常磁性体が、前記スピン軌道トルク配線層内において島状領域の超常磁性部を形成するように配設された、請求項1に記載のスピン流磁化回転素子。
  4. 前記超常磁性体が、層状領域の超常磁性部を形成するように配設され、
    前記超常磁性部が、前記スピン軌道トルク配線層の面直方向において、前記第1強磁性層側の前記スピン軌道トルク配線層の第1の面と、前記第1の面とは反対側の前記スピン軌道トルク配線層の第2の面との間のいずれかの位置に配設された、請求項1に記載のスピン流磁化回転素子。
  5. 前記層状領域の超常磁性部を挟んで配置された前記スピン軌道トルク配線層の2つの領域が、互いに異なる材料を含む、請求項4に記載のスピン流磁化回転素子。
  6. 前記スピン軌道トルク配線層が、イットリウム以上の原子番号を有する重金属元素を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のスピン流磁化回転素子。
  7. 前記超常磁性体の粒径が10nm以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載のスピン流磁化回転素子。
  8. 前記超常磁性体が、Fe、Co、Ni、Gdのうちいずれかの磁性元素の酸化物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のスピン流磁化回転素子。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載のスピン流磁化回転素子と、
    磁化の方向が固定された第2強磁性層と、
    前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とに挟持された非磁性層と、を備える、磁気抵抗効果素子。
  10. 請求項9に記載の磁気抵抗効果素子を複数備える、磁気メモリ。
JP2018033102A 2018-02-27 2018-02-27 スピン流磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ Pending JP2019149446A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018033102A JP2019149446A (ja) 2018-02-27 2018-02-27 スピン流磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
US15/965,053 US20190267540A1 (en) 2018-02-27 2018-04-27 Spin current magnetized rotation element, magnetoresistance effect element and magnetic memory

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018033102A JP2019149446A (ja) 2018-02-27 2018-02-27 スピン流磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019149446A true JP2019149446A (ja) 2019-09-05

Family

ID=67684003

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018033102A Pending JP2019149446A (ja) 2018-02-27 2018-02-27 スピン流磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ

Country Status (2)

Country Link
US (1) US20190267540A1 (ja)
JP (1) JP2019149446A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023162121A1 (ja) * 2022-02-25 2023-08-31 Tdk株式会社 磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6803575B2 (ja) * 2016-06-24 2020-12-23 国立研究開発法人物質・材料研究機構 I−iii−vi2化合物半導体を用いた磁気抵抗素子及びその製造方法、これを用いた磁気記憶装置並びにスピントランジスタ
US11575083B2 (en) 2018-04-02 2023-02-07 Intel Corporation Insertion layer between spin hall effect or spin orbit torque electrode and free magnet for improved magnetic memory
US11476412B2 (en) 2018-06-19 2022-10-18 Intel Corporation Perpendicular exchange bias with antiferromagnet for spin orbit coupling based memory
US11594270B2 (en) * 2018-09-25 2023-02-28 Intel Corporation Perpendicular spin injection via spatial modulation of spin orbit coupling
CN113410379A (zh) * 2021-06-04 2021-09-17 北京航空航天大学 基于拓扑自旋的电控磁各向异性磁性随机存储器
CN113257992B (zh) * 2021-06-24 2021-10-08 华中科技大学 基于拓扑绝缘体材料和自旋轨道转矩效应的磁子阀结构

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7880208B2 (en) * 2003-06-10 2011-02-01 International Business Machines Corporation Magnetic materials having superparamagnetic particles
US7241519B2 (en) * 2003-07-07 2007-07-10 Sony Corporation Magnetic recording medium with columar magnetic layer
KR100702669B1 (ko) * 2006-03-30 2007-04-03 삼성전자주식회사 나노 자기 메모리 소자와 그 제조방법
US10013647B2 (en) * 2010-03-31 2018-07-03 Quantamatrix Inc. Method for magnetically controlling a magnetic structure
US9105830B2 (en) * 2012-08-26 2015-08-11 Samsung Electronics Co., Ltd. Method and system for providing dual magnetic tunneling junctions using spin-orbit interaction-based switching and memories utilizing the dual magnetic tunneling junctions
EP3343655B1 (en) * 2016-12-29 2022-03-02 IMEC vzw Magnetic tunnel junction device

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023162121A1 (ja) * 2022-02-25 2023-08-31 Tdk株式会社 磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ

Also Published As

Publication number Publication date
US20190267540A1 (en) 2019-08-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6833810B2 (ja) 磁気メモリ
CN113346009B (zh) 自旋轨道转矩型磁阻效应元件及其制造方法
JP6557444B1 (ja) スピン素子及び磁気メモリ
JP2019149446A (ja) スピン流磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
WO2019159885A1 (ja) スピン素子及び磁気メモリ
JP6610847B1 (ja) スピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
WO2019159428A1 (ja) スピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
JP2018026525A (ja) スピン流磁化反転素子、素子集合体及びスピン流磁化反転素子の製造方法
JP6819817B2 (ja) スピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
WO2019167197A1 (ja) スピン素子の安定化方法及びスピン素子の製造方法
JP2020035971A (ja) スピン流磁化回転型磁気素子、スピン流磁化回転型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
JP6428988B1 (ja) スピン素子の安定化方法及びスピン素子の製造方法
JP6462191B1 (ja) データの書き込み方法、検査方法、スピン素子の製造方法及び磁気抵抗効果素子
US11521776B2 (en) Spin-orbit-torque magnetization rotational element, spin-orbit-torque magnetoresistance effect element, and spin-orbit-torque magnetization rotational element manufacturing method
JP7211252B2 (ja) スピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
JP7139701B2 (ja) スピン流磁化反転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子、磁気メモリ及び高周波磁気素子
JP2019165244A (ja) 磁化回転素子、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
JP2019057626A (ja) スピン流磁化反転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
JP6551594B1 (ja) スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
JP2019161176A (ja) スピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子、磁気メモリ及び発振器
JP2019041098A (ja) スピン流磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
CN111279489B (zh) 自旋轨道转矩型磁阻效应元件及磁存储器
JP7095490B2 (ja) スピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
JP7056316B2 (ja) 磁壁移動型磁気記録素子、磁壁移動型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
JP7183703B2 (ja) スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子及びスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の製造方法