JP2020035792A - スピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ - Google Patents

スピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ Download PDF

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Abstract

【課題】反転電流によって形成された磁場からの影響が低減されたスピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリを提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係るスピン軌道トルク型磁化回転素子は、第1方向に延在するスピン軌道トルク配線と、前記スピン軌道トルク配線に積層された第1強磁性層と、平面視で前記第1強磁性層を少なくとも部分的に囲む第1軟磁性体と、前記第1軟磁性体と前記第1強磁性層との間に位置する第1絶縁体とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、スピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリに関する。
強磁性層と非磁性層の多層膜からなる巨大磁気抵抗(GMR)素子、及び、非磁性層に絶縁層(トンネルバリア層、バリア層)を用いたトンネル磁気抵抗(TMR)素子が磁気抵抗効果素子として知られている。一般に、TMR素子は、GMR素子と比較して素子抵抗が高く、磁気抵抗(MR)比が大きい。そのため、磁気センサ、高周波部品、磁気ヘッド及び不揮発性ランダムアクセスメモリ(MRAM)用の素子として、TMR素子に注目が集まっている。
MRAMは、絶縁層を挟む二つの強磁性層の互いの磁化の向きが変化するとTMR素子の素子抵抗が変化するという特性を利用してデータを読み書きする。MRAMの書き込み方式としては、電流が作る磁場を利用して書き込み(磁化反転)を行う方式や磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流して生ずるスピントランスファートルク(STT)を利用して書き込み(磁化反転)を行う方式が知られている。
STTを用いたTMR素子の磁化反転はエネルギーの効率の視点から考えると効率的ではあるが、データを書き込む際に磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流す必要がある。書き込み電流は、磁気抵抗効果素子の特性を劣化させる場合がある。
そこで近年、STTとは異なったメカニズムで磁化反転を行う、スピン軌道相互作用により生成された純スピン流を利用した磁化反転に注目が集まっている(例えば、特許文献1)。スピン軌道トルク(SOT)は、スピン軌道相互作用によって生じた純スピン流又は異種材料の界面におけるラシュバ効果により誘起される。磁気抵抗効果素子内にSOTを誘起するための電流は、磁気抵抗効果素子の積層方向と交差する方向に流す。即ち、磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流す必要がなく、磁気抵抗効果素子の長寿命化が期待されている。
特開2017−216286号公報
SOTを利用した磁化回転素子(SOT型磁化回転素子)は、長寿命を期待できる一方で、磁場の影響を受けやすい。従って、SOT型磁化回転素子は、磁化回転素子の磁化自由層に印加される磁場を厳密に制限することが求められる。
SOT型磁化回転素子に影響を与える磁場の発生源としては、外部磁場の他に、磁化を反転させるための反転電流が形成する磁場が考えられる。SOT型磁化回転素子の場合、磁気抵抗効果素子の積層方向と交差する方向に反転電流が流れるため、右ねじの法則に従って反転電流から生じた磁場は、磁気抵抗効果素子に印加される。即ち、SOT型磁化回転素子の効率を高めるために、反転電流からの影響を低減することが必要であることに本発明者は着目した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、反転電流によって形成された磁場からの影響が低減されたスピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子は、第1方向に延在するスピン軌道トルク配線と、前記スピン軌道トルク配線に積層された第1強磁性層と、平面視で前記第1強磁性層を少なくとも部分的に囲む第1軟磁性体と、前記第1軟磁性体と前記第1強磁性層との間に位置する第1絶縁体とを備える。
(2)上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子は、前記第1軟磁性体が、平面視で前記スピン軌道トルク配線を少なくとも部分的に囲んでもよい。
(3)上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子は、前記第1軟磁性体がフェライトからなってもよい。
(4)上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子は、平面視で前記第1軟磁性体を少なくとも部分的に囲む第2軟磁性体と、前記第2軟磁性体と前記第1軟磁性体との間に位置する第2絶縁体とを更に備えてもよい。
(5)上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子は、前記第1強磁性層を複数有してもよく、前記第1軟磁性体は、隣接する前記第1強磁性層に亘って設けられていてもよい。
(6)上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子は、前記第1強磁性層を複数有してもよく、前記第1軟磁性体は、複数の前記第1強磁性層のそれぞれに分離して設けられていてもよい。
(7)第2の態様にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子は、上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁化回転素子と、前記スピン軌道トルク配線とは反対側で前記第1強磁性層と対向する第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間に位置する非磁性層と、を備える。
(8)第3の態様にかかる磁気メモリは、上記態様にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子を複数備える。
反転電流によって形成された磁場からの影響が低減されたスピン軌道トルク型磁化回転素子、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子及び磁気メモリを提供できる。
第1実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の断面模式図である。 製造例2で製造された第1実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の断面模式図である。 製造例3で製造された第1実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の断面模式図である。 製造例4で製造された第1実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の断面模式図である。 第1実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の別の例の断面模式図である。 第1実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の別の例の平面模式図である。 第1実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の別の例の平面模式図である。 第2実施形態に係るスピン軌道トルク型磁化回転素子の断面模式図である。 第3実施形態に係る磁気メモリを模式的に示した図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
「第1実施形態」
図1は、第1実施形態に係るスピン軌道トルク(SOT)型磁気抵抗効果素子100の、yz平面(図1(a))及びxz平面(図1(b))における断面模式図である。第1実施形態に係るSOT型磁気抵抗効果素子100は、第1強磁性層1と、スピン軌道トルク配線2と、非磁性層3と、第2強磁性層4と、平面視で第1強磁性層1を少なくとも部分的に囲む第1軟磁性体121と、第1軟磁性体121と第1強磁性層1との間に位置する第1絶縁体111とを有する。第1強磁性層1と非磁性層3と第2強磁性層4とが積層された積層体は機能部10を形成する。機能部10において、第1強磁性層1の磁化と第2強磁性層4の磁化との相対角の違いにより抵抗値変化が生じる。
以下、スピン軌道トルク配線2が延在する第1の方向をx方向、スピン軌道トルク配線2が存在する面内で第1の方向と直交する方向をy方向、x方向及びy方向のいずれにも直交する方向をz方向と規定して説明する。図1においてz方向は、第1強磁性層1の積層方向及びスピン軌道トルク配線2の厚み方向と一致する。
<第1強磁性層>
第1強磁性層1はスピン軌道トルク配線2に積層されている。第1強磁性層1はその磁化の向きが変化することで機能する。図1において、第1強磁性層1は、磁化がz方向に配向した垂直磁化膜でもよく、磁化がxy面内方向に配向した面内磁化膜でもよい。
第1強磁性層1には、強磁性材料、特に軟磁性材料を適用できる。例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属、これらの金属を1種以上含む合金、これらの金属とB、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とが含まれる合金等を用いることができる。具体的には、Co−Fe、Co−Fe−B、Ni−Feを例示できる。また第1強磁性層1が面内磁化膜の場合は、例えば、Co−Ho合金(CoHo)、Sm−Fe合金(SmFe12)等を用いることが好ましい。
第1強磁性層1を構成する材料は、ホイスラー合金でもよい。ホイスラー合金はハーフメタルであり、高いスピン分極率を有する。ホイスラー合金は、XYZまたはXYZの化学組成をもつ金属間化合物を含み、Xは、周期表上でCo、Fe、Ni、あるいはCu族の遷移金属元素または貴金属元素であり、Yは、Mn、V、CrあるいはTi族の遷移金属又はXの元素種であり、Zは、III族からV族の典型元素である。例えば、CoFeSi、CoFeGe、CoFeGa、CoMnSiやCoMn1−aFeAlSi1−b、CoFeGe1−cGa等が挙げられる。
<スピン軌道トルク配線>
スピン軌道トルク配線2は、x方向に延在する。スピン軌道トルク配線2は、第1強磁性層1に接続されている。スピン軌道トルク配線2は、第1強磁性層1に直接接続されていてもよいし、他の層を介し接続されていてもよい。
スピン軌道トルク配線2は、電流が流れるとスピンホール効果によってスピン流が生成される材料からなる。このような材料としては、スピン軌道トルク配線2中にスピン流が生成される構成のものであれば足りる。従って、単体の元素からなる材料に限らないし、スピン流を生成しやすい材料で構成される部分とスピン流を生成しにくい材料で構成される部分とからなるもの等であってもよい。スピンホール効果とは、配線に電流を流した場合にスピン軌道相互作用に基づき、電流の向きに直交する方向にスピン流が誘起される現象である。以下、スピンホール効果によりスピン流が生み出されるメカニズムについて説明する。
スピン軌道トルク配線2のx方向の両端に電位差を与えると、x方向に沿って電流Iが流れる。電流Iが流れると、y方向に配向した第1スピンS1と−y方向に配向した第2スピンS2はそれぞれ電流と直交する方向に曲げられる。通常のホール効果とスピンホール効果とは運動(移動)する電荷(電子)が運動(移動)方向を曲げられる点で共通する。しかし、通常のホール効果は磁場中で運動する荷電粒子がローレンツ力を受けて運動方向を曲げられるのに対して、スピンホール効果では磁場が存在しないのに電子が移動するだけ(電流が流れるだけ)で移動方向が曲げられる点で、通常のホール効果とスピンホール効果とは大きく異なる。
非磁性体(強磁性体ではない材料)では第1スピンS1の電子数と第2スピンS2の電子数とが等しい。従って、x方向に電流Iを流した場合、z方向に向かう第1スピンS1の電子数と−z方向に向かう第2スピンS2の電子数が等しい。そのため、z方向について、電荷の正味の流れとしての電流はゼロである。この電流を伴わないスピン流は、特に純スピン流と呼ばれる。
ここで、第1スピンS1の電子の流れをJ、第2スピンS2の電子の流れをJ、スピン流をJと表すと、J=J−Jで定義される。図1においては、x方向に電流を流すと、純スピン流としてJが図中のz方向に流れる。ここで、Jは分極率が100%の電子の流れである。
図1において、スピン軌道トルク配線2の上面に強磁性体を接触させると、純スピン流は強磁性体中に拡散して流れ込む。即ち、第1強磁性層1にスピンが注入される。
スピン軌道トルク配線2の主構成は、非磁性の重金属であることが好ましい。ここで、重金属とは、イットリウム以上の比重を有する金属を意味する。非磁性の重金属は最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号39以上の原子番号が大きい非磁性金属であることが好ましい。
またスピン軌道トルク配線2の材料としては、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、及び、それらの金属を少なくとも1つ以上含む合金からなる群から選択された材料からなるものであることが特に好ましい。タングステン、レニウム、オスミウム及びイリジウムは、最外殻に5dの電子を持ち、d軌道の5つの軌道が縮退している場合に、大きな軌道角運動量を持つ。そのため、スピンホール効果を生じさせるスピン軌道相互作用が大きくなり、効率的にスピン流を発生できる。
通常、金属に電流を流すとすべての電子はそのスピンの向きに関わりなく、電流とは逆向きに動くのに対して、最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号が大きい非磁性金属はスピン軌道相互作用が大きいためにスピンホール効果によって電子の動く方向が電子のスピンの向きに依存し、純スピン流Jが発生しやすい。特に、非磁性の重金属としてIrを用いると、スピンホール効果が大きい。さらに、Irと第1強磁性層1の界面において従来材料よりも大きな垂直磁気異方性を第1強磁性層1に付加することができる。
また、スピン軌道トルク配線2は、磁性金属を含んでもよい。磁性金属とは、強磁性金属、又は、反強磁性金属を指す。非磁性金属に微量な磁性金属が含まれるとスピン軌道相互作用が増強され、スピン軌道トルク配線2に流す電流に対するスピン流生成効率が高くなる。スピン軌道トルク配線2は、反強磁性金属だけからなっていてもよい。
スピン軌道相互作用はスピン軌道トルク配線材料の物質の固有の内場によって生じる。そのため、非磁性材料でもスピン流が生じる。スピン軌道トルク配線材料に微量の磁性金属を添加すると、磁性金属自体が流れる電子スピンを散乱するためにスピン流生成効率が向上する。ただし、磁性金属の添加量が増大し過ぎると、発生したスピン流が添加された磁性金属によって散乱されるため、結果としてスピン流が減少する作用が強くなる。従って、添加される磁性金属のモル比はスピン軌道トルク配線におけるスピン生成部の主成分のモル比よりも十分小さい方が好ましい。目安で言えば、添加される磁性金属のモル比は3%以下であることが好ましい。
また例えばスピン軌道トルク配線2は、トポロジカル絶縁体を含んでもよい。スピン軌道トルク配線2の主構成要素は、トポロジカル絶縁体でもよい。トポロジカル絶縁体とは、物質内部が絶縁体、あるいは、高抵抗体であるが、その表面にスピン偏極した金属状態が生じている物質である。この物質にはスピン軌道相互作用という内部磁場のようなものがある。そこで外部磁場が無くてもスピン軌道相互作用の効果で新たなトポロジカル相が発現する。これがトポロジカル絶縁体であり、強いスピン軌道相互作用とエッジにおける反転対称性の破れによりスピン流を高効率に生成できる。
トポロジカル絶縁体としては例えば、SnTe、Bi1.5Sb0.5Te1.7Se1.3、TlBiSe、BiTe、Bi1−xSb、(Bi1−xSbTeなどが好ましい。これらのトポロジカル絶縁体は、高効率にスピン流を生成することが可能である。
<非磁性層及び第2強磁性層>
第1実施形態に係るSOT型磁気抵抗効果素子100は、第1強磁性層1のスピン軌道トルク配線2とは反対側に第2強磁性層4を有し、第1強磁性層1と第2強磁性層4との間に非磁性層3を有する。
第1強磁性層1と非磁性層3と第2強磁性層4とが積層された積層体(機能部10)は、通常の磁気抵抗効果素子と同様に機能する。機能部は、第2強磁性層4の磁化が一方向に固定され、第1強磁性層1の磁化の向きが相対的に変化することで機能する。保磁力差型(擬似スピンバルブ型;Pseudo spin valve型)のMRAMに適用する場合には、第2強磁性層4の保磁力を第1強磁性層1の保磁力よりも大きくする。交換バイアス型(スピンバルブ;spin valve型)のMRAMに適用する場合には、第2強磁性層4の磁化を反強磁性層との交換結合によって固定する。
また機能部において、非磁性層3が絶縁体からなる場合は、機能部はトンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magnetoresistance)素子と同様の構成であり、機能部が金属からなる場合は巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetoresistance)素子と同様の構成である。
非磁性層3には、公知の材料を用いることができる。例えば、非磁性層3が絶縁体からなる場合(トンネルバリア層である場合)、その材料としては、Al、SiO、MgO、及び、MgAl等を用いることができる。また、これらの他にも、Al、Si、Mgの一部が、Zn、Be等に置換された材料等も用いることができる。これらの中でも、MgOやMgAlはコヒーレントトンネルを実現できる材料であるため、スピンを効率よく注入できる。非磁性層3が金属からなる場合、その材料としては、Cu、Au、Ag等を用いることができる。さらに、非磁性層3が半導体からなる場合、その材料としてはSi、Ge、CuInSe、CuGaSe、Cu(In,Ga)Seなどを用いることができる。
第2強磁性層4の材料には、公知の強磁性材料を用いることができる。例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属及びこれらの金属を1種以上含み強磁性を示す合金を用いることができる。これらの金属と、B、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とを含む合金を用いることもできる。具体的には、Co−FeやCo−Fe−Bが挙げられる。
第2強磁性層4を構成する材料は、ホイスラー合金でもよい。ホイスラー合金はハーフメタルであり、高いスピン分極率を有する。ホイスラー合金は、XYZまたはXYZの化学組成をもつ金属間化合物を含み、Xは、周期表上でCo、Fe、Ni、あるいはCu族の遷移金属元素または貴金属元素であり、Yは、Mn、V、CrあるいはTi族の遷移金属またはXの元素種であり、Zは、III族からV族の典型元素である。例えば、CoFeSi、CoMnSiやCoMn1−aFeAlSi1−bなどが挙げられる。
機能部10の積層構成は、公知の磁気抵抗効果素子の積層構成を採用できる。例えば、機能部は、第2強磁性層4の磁化方向を固定するための反強磁性結合層5及び磁化固定層6等を備えてもよい。この場合、磁化固定層6は強磁性体で構成されてよく、第2強磁性層4、反強磁性結合層5、及び磁化固定層6は合成反強磁性(SAF)構造を形成してよい。このようなSAF構造では、第2強磁性層4と磁化固定層6とが、反強磁性結合層5を介してRKKY相互作用によって反強磁性結合する。その結果、第2強磁性層4の磁化の向きと磁化固定層6の磁化の向きは反平行になる。
反強磁性結合層5は非磁性層であり、反強磁性結合層を構成する材料として、非磁性金属であるRu、Rh又はIrが挙げられる。
磁化固定層6は強磁性体からなる。磁化固定層6を構成する材料は、第1強磁性層1や第2強磁性層4と同様の材料を用いることができる。例えば、磁化固定層6はCo−Fe−Bから構成されてよい。
機能部10は、その他の層を有していてもよい。例えば、第1強磁性層1の非磁性層3と反対側の面に下地層を有していてもよいし、第2強磁性層4の非磁性層3と反対側の面にキャップ層を有していてもよい。
スピン軌道トルク配線2と第1強磁性層1との間に配設される層は、スピン軌道トルク配線2から伝播するスピンを散逸しないことが好ましい。例えば、銀、銅、マグネシウム、及び、アルミニウム等は、スピン拡散長が100nm以上と長く、スピンが散逸しにくいことが知られている。また、この層の厚みは、層を構成する物質のスピン拡散長以下であることが好ましい。層の厚みがスピン拡散長以下であれば、スピン軌道トルク配線2から伝播するスピンを第1強磁性層1に十分伝えることができる。
<第1軟磁性体>
第1実施形態に係るSOT型磁気抵抗効果素子100は、平面視で第1強磁性層1を少なくとも部分的に囲む第1軟磁性体121を備える。「平面視で第1強磁性層1を少なくとも部分的に囲む」とは、第1強磁性層1の積層方向(z方向)と直交する平面(xy平面)における第1強磁性層1の断面において、第1軟磁性体121の内側に第1強磁性層1の少なくとも一部が含まれることを意味する。例えば、第1軟磁性体121は、平面視で第1強磁性層1を挟むように配置されてもよい。図1(a)、(b)において、yz断面における第1軟磁性体121と、xz断面における第1軟磁性体121とは、連続する一つの層である。各断面で確認される第1軟磁性体121は、異なる部材の断面でもよい。
平面視で第1軟磁性体121が第1強磁性層1を少なくとも部分的に囲むことによって、第1強磁性層1を周囲の磁場から遮蔽することができる。その結果、スピン軌道トルク配線2を流れる反転電流によって形成された磁場が第1強磁性層1に与える影響を低減することができる。
第1軟磁性体121は、平面視で第1強磁性層1を完全に囲むことが好ましい。この場合、スピン軌道トルク配線2を流れる反転電流によって形成された磁場の影響を更に低減することができる。
第1軟磁性体121を構成する材料としては、任意の軟磁性材料を用いることができる。例えば、Ni−Fe、Co−Fe−Si−Bを使用することができる。特に、第1軟磁性体121としてフェライトを用いることが好ましい。第1軟磁性体121をフェライトで形成することによって、第1軟磁性体121は、効率的に磁場を遮蔽することができる。その結果、周囲の磁場が第1強磁性層1に与える影響を更に低減することができる。
第1軟磁性体121は、平面視でスピン軌道トルク配線2を少なくとも部分的に囲んでもよい。平面視で第1軟磁性体121がスピン軌道トルク配線2を少なくとも部分的に囲むことによって、スピン軌道トルク配線2を流れる反転電流によって形成された磁場が第1強磁性層1に与える影響を低減することができる。
第1軟磁性体121は、スピン軌道トルク配線2を流れる反転電流によって形成された磁場を遮蔽するのに十分な厚さを有すればよい。例えば、第1軟磁性体121は0.2nmから2.0μmの厚さを有すればよい。第1軟磁性体121は、平面視で側壁絶縁層150によって囲まれてよい。側壁絶縁層150は、任意の公知な絶縁材料を用いて形成されてよい。
<第1絶縁体>
第1実施形態に係るSOT型磁気抵抗効果素子100は、第1軟磁性体121と第1強磁性体1との間に位置する第1絶縁体111を備える。図1(a)、(b)において、yz断面における第1絶縁層111と、xz断面における第1絶縁層111とは、連続する一つの層である。各断面で確認される第1絶縁層111は、異なる部材の断面でもよい。第1絶縁体111は、スピン軌道トルク配線2及び機能部10と第1軟磁性体121とを電気的に絶縁する。第1絶縁体111は、スピン軌道トルク配線2や機能部10を電気的に絶縁するのに十分な厚さを有すればよい。例えば、第1絶縁体111は0.2nmから1.0μmの厚さを有すればよい。第1絶縁体111の材料としては、酸化物や窒化物を含む任意の絶縁材料を用いることができる。例えば、Al、SiO、MgO、及び、MgAl等を絶縁材料として使用することができる。
<上部ビア及び層間絶縁層>
SOT型磁気抵抗効果素子100は、上部ビア40を備えてよい。上部ビア40は、データを読み書きするための電極の役割を果たす。上部ビア40は、スピン軌道トルク配線2とは反対側で機能部と接触する。しかし、上部ビア40は第1軟磁性体121とは絶縁されている。平面視で、上部ビア40は層間絶縁層30に囲まれてよい。層間絶縁層30は複数の上部ビア40間を電気的に絶縁し、上部ビア40と第1軟磁性体121との間も電気的に絶縁する。
SOT型磁気抵抗効果素子100は、図1に図示されていない構成要素を有していてもよい。例えば、支持体として基板等を有していてもよい。基板は、平坦性に優れることが好ましく、材料として例えば、Si、AlTiC等を用いることができる。またスピン軌道トルク配線2に電流を流すための電極又はビア配線等を有してもよい。
<製造例1>
SOT型磁気抵抗効果素子100の製造方法の一例について、図1を参照して説明する。まず、スピン軌道トルク配線2側から順に、スピン軌道トルク配線2を形成することになる膜、第1強磁性層1を形成することになる膜、非磁性層3を形成することになる膜、第2強磁性層4を形成することになる膜、反強磁性結合層5を形成することになる膜、及び磁化固定層6を形成することになる膜を積層して積層膜を形成する。各層の積層方法としては、スパッタリング法、化学気相成長(CVD)法等の公知の方法を用いることができる。
次いで、フォトリソグラフィー等の技術を用いて積層膜の不要部分を除去し、スピン軌道トルク配線2、第1強磁性層1、非磁性層3、第2強磁性層4、反強磁性結合層5、及び磁化固定層6に加工する。その後、加工された積層体を覆うように第1絶縁体111、第1軟磁性体121、及び側壁絶縁層150を順に積層する。
次いで、CMP研磨(chemical mechanical polishing)により平坦化し、磁化固定層6を露出させることで、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100が得られる。必要に応じて、上部ビア40及び層間絶縁層30を形成する。上部ビア40及び層間絶縁層30は、任意の公知な技術を用いて作製することができる。このようにして図1のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100を製造することができる。
第1実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100は、第1強磁性層1の磁化の方向と第2強磁性層4の磁化の方向との相対角の違いにより生じる機能部10の抵抗値変化を用いてデータの記録、読出しを行うことができる。
<製造例2>
製造例1では、第1強磁性層1のx方向の側部とy方向の側部とを先に加工した後に、絶縁体を積層し、その後、軟磁性体を積層して磁場シールドを形成した。製造例2では、まず第1強磁性層1のy方向の側部に絶縁体及び軟磁性体を順に形成し、次いで、第1強磁性層1のx方向の側部に絶縁体及び軟磁性体を順に形成した場合を説明する。このようにして製造されたスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子200が図2に示されている。
以下、図2を参照しつつ、製造例2によるSOT型磁気抵抗効果素子200の製造方法を具体的に説明する。まず、製造例1と同様に積層膜を形成する。次いで、y軸方向の側部の不要部分をフォトリソグラフィー等の技術を用いて除去し、y軸方向の側部が加工された積層膜を覆うように第1絶縁体111及び第1軟磁性体121を順に積層する。次いで、x軸方向の側部の不要部分をフォトリソグラフィー等の技術を用いて除去し、第2絶縁体131と、第2軟磁性体141と、側壁絶縁層150とを順に積層する。y軸方向の側部においては、積層膜を覆うように、絶縁体と軟磁性体とが2回積層される。すなわち、yz平面においては、第1絶縁層111、第1軟磁性体121、第2絶縁体131、第2軟磁性層141の順で積層される。
次いで、CMP研磨により平坦化し、磁化固定層6を露出させることで、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子200が得られる。必要に応じて、上部ビア40及び層間絶縁層30を形成する。上部ビア40及び層間絶縁層30は、任意の公知な技術を用いて作製することができる。このようにして図2のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子200を製造することができる。本製造例に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子200は、第2軟磁性体141が第1軟磁性体121を少なくとも部分的に囲み、第1軟磁性体121と第2軟磁性体141との間に第2絶縁体131を有する。
図2から分かるように、製造例2によって製造されたSOT型磁気抵抗効果素子200は、第1強磁性層1のy軸方向に2層の軟磁性体(第1軟磁性体121及び第2軟磁性体141)を有する。従って、スピン軌道トルク配線2を流れる反転電流によって形成される磁場が第1強磁性層1に与える影響を効果的に低減することができる。
<製造例3>
製造例3では、まず第1強磁性層1のx方向の側部に絶縁体及び軟磁性体を順に形成し、次いで、第1強磁性層1のy方向の側部に絶縁体及び軟磁性体を順に形成した場合を説明する。このようにして製造されたスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子300が図3に示されている。
以下、図3を参照しつつ、製造例3によるSOT型磁気抵抗効果素子300の製造方法を具体的に説明する。まず、製造例1と同様に積層膜を形成する。次いで、x軸方向の側部の不要部分をフォトリソグラフィー等の技術を用いて除去し、x軸方向の側部が加工された積層膜を覆うように第1絶縁体111及び第1軟磁性体121を順に積層する。次いで、y軸方向の側部の不要部分をフォトリソグラフィー等の技術を用いて除去し、第2絶縁体131と、第2軟磁性体141と、側壁絶縁層150とを順に積層する。x軸方向においては、積層膜を覆うように、絶縁体と軟磁性体とが2回積層される。すなわち、xz平面においては、第1絶縁層111、第1軟磁性体121、第2絶縁体131、第2軟磁性層141の順で積層される。
次いで、CMP研磨により平坦化し、磁化固定層6を露出させることで、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子300が得られる。必要に応じて、上部ビア40及び層間絶縁層30を形成する。上部ビア40及び層間絶縁層30は、任意の公知な技術を用いて作製することができる。このようにして図3のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子300を製造することができる。本製造例に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子300は、第2軟磁性体141が第1軟磁性体121を少なくとも部分的に囲み、第1軟磁性体121と第2軟磁性体141との間に第2絶縁体131を有する。
図3から分かるように、製造例3によって製造されたSOT型磁気抵抗効果素子300は、第1強磁性層1のx方向に2層の軟磁性体(第1軟磁性体121及び第2軟磁性体141)を有する。従って、SOT型磁気抵抗効果素子300の周囲に配置された同様の素子からの磁場が第1強磁性層1に与える影響を効果的に低減することができる。
製造例2及び3で製造されたSOT型磁気抵抗効果素子は、第1強磁性層1のx軸方向の側面又はy軸方向の側面が軟磁性体によって2重に囲まれている。しかし、第1強磁性層1のx軸方向及びy軸方向の両方において第1強磁性層1が軟磁性体で2重に囲まれてもよいし、3重以上に囲まれてもよい。また、第1軟磁性体121及び第2軟磁性体141は、平面視で任意の図形を形成してよい。例えば、それらは平面視で円形、楕円形、又は四角形等の多角形でよい。
<製造例4>
製造例4では、スピン軌道トルク配線2の線幅を第1強磁性層1の幅よりも広くする場合の例を説明する。以下、図4を参照しつつ、製造例4によるSOT型磁気抵抗効果素子400の製造方法を具体的に説明する。まず、製造例1と同様に積層膜を形成する。次いで、x軸方向及びy軸方向の不要部分をフォトリソグラフィー等の技術を用いて除去する。ここで、x軸方向の加工を行う際、スピン軌道トルク配線2の加工は行わず、第1強磁性層1以降の積層膜のみを加工する。次いで、加工された積層膜を覆うように第1絶縁体111と、第1軟磁性体121とを順に積層する。次いで、x軸方向の不要部分をフォトリソグラフィー等の技術を用いて除去し、スピン軌道トルク配線2の線幅を画定する。加工された積層膜を覆うように第2絶縁体131と、第2軟磁性体141と、側壁絶縁層150とを順に積層する。
製造例4によって製造されたSOT型磁気抵抗効果素子400において、第2絶縁体131は、第1絶縁体111と同じ材料から形成されてもよいし、異なる材料から形成されてもよい。第2軟磁性体141は、第1軟磁性体121と同じ材料から形成されてもよいし、異なる材料から形成されてもよい。第1軟磁性体121と第2軟磁性体141とのうち、少なくとも一方がフェライトから形成されることが好ましく、両方がフェライトから形成されることが更に好ましい。
次いで、CMP研磨により平坦化し、磁化固定層6を露出させることで、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子400が得られる。必要に応じて、上部ビア40及び層間絶縁層30を形成する。上部ビア40及び層間絶縁層30は、任意の公知な技術を用いて作製することができる。このようにして図4のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子400を製造することができる。本製造例に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子400は、第2軟磁性体141が第1軟磁性体121を少なくとも部分的に囲み、第1軟磁性体121と第2軟磁性体141との間に第2絶縁体131を有する。
図4から分かるように、製造例4に係るSOT型磁気抵抗効果素子400では、スピン軌道トルク配線2の線幅を、第1強磁性層1の幅よりも広い任意の線幅に設定することができる。スピン軌道トルク配線2の線幅を広くすることによってスピン軌道トルク配線2の抵抗値を下げることができる。その結果、スピン軌道トルク配線2に電流を流す際のエネルギー損失を小さくすることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
図5は、第1実施形態にかかるSOT型磁気抵抗効果素子の別の例の断面模式図である。図5に示すSOT型磁気抵抗効果素子500は、第1絶縁体111及び第1軟磁性体121が、スピン軌道トルク配線2を支持する基板160の下方まで至っている点が、図1に示すSOT型磁気抵抗効果素子100と異なる。図5に示すSOT型磁気抵抗効果素子500は、スピン軌道トルク配線2の加工の際に、基板160を一緒に加工することで作製される。
図5に示すSOT型磁気抵抗効果素子500は、第1軟磁性体121が、スピン軌道トルク配線2の外周(xy側面)を厚み方向(z方向)の全てに亘って覆っている。そのため、スピン軌道トルク配線2から生じる磁場が、他の素子に与える影響を更に抑制できる。
ここまで一つのスピン軌道トルク配線2に対して一つの機能部10が設けられている場合を例に説明したが、一つのスピン軌道トルク配線2に対して複数の機能部10が設けられていてもよい。
図6は、第1実施形態にかかるSOT型磁気抵抗効果素子の別の例の平面模式図である。図6に示すSOT型磁化回転素子600は、スピン軌道トルク配線2の上に複数の機能部10を有する。図6に示す第1軟磁性体121は、隣接する複数の機能部10に亘って設けられている。なお図6では、簡単のため第1絶縁層111を省略している。第1絶縁層111は、機能部10の外周に沿って形成される。この場合、軟磁性体121の端部での磁化発生を抑制することができるので、効率的に磁場を遮蔽することができる。
図7は、第1実施形態にかかるSOT型磁気抵抗効果素子の別の例の平面模式図である。図7に示すSOT型磁化回転素子700は、スピン軌道トルク配線2の上に複数の機能部10を有する。図7に示す第1軟磁性体121は、複数の第1強磁性層1のそれぞれに分離して設けられている。この場合、軟磁性体121が導電性を有していても、素子間のリーク電流を防ぐことができる。
「第2実施形態」
<スピン軌道トルク型磁化回転素子>
図8は、第2実施形態に係るスピン軌道トルク型(SOT型)磁化回転素子800の断面模式図である。第2実施形態に係るスピン軌道トルク型磁化回転素子800は、第1実施形態に係るSOT型磁気抵抗効果素子100から、非磁性層3と、第2強磁性層4と、反強磁性結合層5と、磁化固定層6と、層間絶縁層30と、上部ビア40とを除いた構造である。第1実施形態のSOT型磁気抵抗効果素子と同等の構成については、説明を省略する。
本実施形態に係るSOT型磁化回転素子800は、平面視で第1強磁性層1が少なくとも部分的に第1軟磁性体121で囲まれている。従って、スピン軌道トルク配線2を流れる反転電流によって形成される磁場が第1強磁性層1に与える影響が低減される。
本実施形態に係るSOT型磁化回転素子800は、第1軟磁性体121が、平面視でスピン軌道トルク配線2を少なくとも部分的に囲んでもよい。これにより、スピン軌道トルク配線2を流れる反転電流によって形成される磁場が第1強磁性層1に与える影響を、更に低減することができる。
本実施形態に係るSOT型磁化回転素子800は、第1実施形態に係るSOT型磁気抵抗効果素子の製造例と同様の手順で製造することができる。従って、SOT型磁化回転素子は、平面視で第1軟磁性体121を少なくとも部分的に囲む第2軟磁性体と、第2軟磁性体と第1軟磁性体121との間に位置する第2絶縁体とを更に備えてもよい。
本実施形態に係るSOT型磁化回転素子800は、前述のSOT型磁気抵抗効果素子に適用することができる。しかしながら、用途としては磁気抵抗効果素子に限られず、他の用途にも適用できる。他の用途としては、例えば、上記のSOT型磁化回転素子を各画素に配設して、磁気光学効果を利用して入射光を空間的に変調する空間光変調器においても用いることができるし、磁気センサにおいて磁石の保磁力によるヒステリシスの効果を避けるために磁石の磁化容易軸に印可する磁場をSOTに置き換えてもよい。SOT型磁化回転素子は、磁化が反転する場合に、特にSOT型磁化反転素子と呼ぶことができる。
「第3実施形態」
<磁気メモリ>
図9は、複数のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100(図1参照)を備える磁気メモリ1000の平面図である。図9に示す磁気メモリ1000は、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100が3×3のマトリックス配置をしている。図9は、磁気メモリの一例であり、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100の数及び配置は任意である。
スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100には、それぞれ1本のワードラインWL1〜WL3と、1本のビットラインBL1〜BL3、1本のリードラインRL1〜RL3が接続されている。
電流を印加するワードラインWL1〜WL3及びビットラインBL1〜BL3を選択することで、任意のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100のスピン軌道トルク配線2に電流を流し、書き込み動作を行う。また電流を印加するリードラインRL1〜RL3及びビットラインBL1〜BL3を選択することで、任意のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100の積層方向に電流を流し、読み込み動作を行う。電流を印加するワードラインWL1〜WL3、ビットラインBL1〜BL3、及びリードラインRL1〜RL3はトランジスタ等により選択できる。即ち、これらの複数のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100から任意の素子のデータを読み出すことで磁気メモリとしての活用ができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1 第1強磁性層
2 スピン軌道トルク配線
3 非磁性層
4 第2強磁性層
5 反強磁性結合層
6 磁化固定層
111 第1絶縁体
121 第1軟磁性体
131 第2絶縁体
141 第2軟磁性体
150 側壁絶縁層
30 層間絶縁層
40 上部ビア
100、200、300、400、500、600、700 スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子
800 スピン軌道トルク型磁化回転素子
1000 磁気メモリ

Claims (8)

  1. 第1方向に延在するスピン軌道トルク配線と、
    前記スピン軌道トルク配線に積層された第1強磁性層と、
    平面視で前記第1強磁性層を少なくとも部分的に囲む第1軟磁性体と、
    前記第1軟磁性体と前記第1強磁性層との間に位置する第1絶縁体とを備える、スピン軌道トルク型磁化回転素子。
  2. 前記第1軟磁性体が、平面視で前記スピン軌道トルク配線を少なくとも部分的に囲む、請求項1に記載のスピン軌道トルク型磁化回転素子。
  3. 前記第1軟磁性体がフェライトからなる、請求項1又は2に記載のスピン軌道トルク型磁化回転素子。
  4. 平面視で前記第1軟磁性体を少なくとも部分的に囲む第2軟磁性体と、
    前記第2軟磁性体と前記第1軟磁性体との間に位置する第2絶縁体とを更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のスピン軌道トルク型磁化回転素子。
  5. 前記第1強磁性層を複数有し、
    前記第1軟磁性体は、隣接する前記第1強磁性層に亘って設けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載のスピン軌道トルク型磁化回転素子。
  6. 前記第1強磁性層を複数有し、
    前記第1軟磁性体は、複数の前記第1強磁性層のそれぞれに分離して設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載のスピン軌道トルク型磁化回転素子。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のスピン軌道トルク型磁化回転素子と、
    前記スピン軌道トルク配線とは反対側で前記第1強磁性層と対向する第2強磁性層と、
    前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間に位置する非磁性層と、を備える、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子。
  8. 請求項7に記載のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子を複数備えた磁気メモリ。
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