JP2018072027A - ボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法、決定装置、及び決定プログラム - Google Patents

ボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法、決定装置、及び決定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】ボイラ水冷壁管材のクリープ寿命評価に基づいて化学洗浄時期を合理的に決定する方法を提供する。
【解決手段】材料温度と破断時間との相関関係が設定され、相関関係から目標寿命に対応する許容管壁平均温度が特定され、評価対象のボイラに関する管壁平均温度データが作成され、管壁平均温度データから温度階級毎の出現時間が計算され、相関関係から特定される温度階級毎の温度階級破断時間に対する出現時間の比が合計されてクリープ寿命消費率積算値が計算されると共に温度階級毎の出現時間が合計されて総出現時間が計算され、総出現時間がクリープ寿命消費率積算値で除されて換算温度破断時間が計算されると共に相関関係から換算温度破断時間に対応する換算管壁平均温度が特定され、各経過時間における単位時間当たりの寿命消費率が計算され、寿命の未消費分に寿命消費率が等しくなる経過時間が実質化学洗浄時期として特定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、ボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法、決定装置、及び決定プログラムに関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば火力発電所ボイラにおける水冷壁管の内面に付着するスケールを化学洗浄する時期の決定に用いて好適な技術に関する。
火力発電所ボイラにおける化学洗浄は、ボイラ運転時間の経過と共に成長する水冷壁管内面付着スケールによる伝熱阻害,流動阻害,腐食促進といった障害を防ぐため、許容基準に達する前に洗浄・除去することにより、ボイラの信頼性確保や性能維持に寄与する。
化学洗浄時期の決定においては、主に水冷壁管の過熱によるクリープ破断を回避する観点から、管材質毎に提案されている許容温度を超えないように、冷却を阻害する付着スケールを除去する時期が決定される。
化学洗浄時期の判定では、スケール付着に伴い、伝熱阻害による管材温度の上昇や流動阻害による流路の差圧上昇が許容値を超える前に化学洗浄が計画される。伝熱阻害は管材過熱によってクリープ寿命消費,疲労寿命消費,腐食の加速に繋がり、また、流動阻害はポンプ動力の増大などに繋がる。
発電所で運用されている化学洗浄基準は主に管材温度の上昇に伴う管の噴破や膨出を防ぐ目的で設定されており、化学洗浄間隔は管材質毎の提案許容温度を運転期間中に超えないように化学洗浄を計画するものである(非特許文献1)。化学洗浄間隔は、以下の数式1のように表される。
ここで、スケール付着によって生じる温度上昇の速度は、熱流束,スケール成長速度,スケール熱伝導率などを考慮して決められる値であり、使用燃料,ボイラ燃焼状態,スケール付着状況などによって異なるため、各ボイラで個別に算出することが必要とされる。
現行の火力発電所における化学洗浄基準としては、各種水冷壁管材の許容温度として、「ボイラ化学洗浄懇談会」において検討された管壁平均温度,管外面温度が提案されている(非特許文献1)。基準としては、提案値と各ボイラでの評価値とを比較し、裕度が一層小さい方の温度で規制されることになる。
石川ほか「超臨界圧ボイラの化学洗浄時期判定法」,日本機械学会論文集(B編),50巻450号,1984年
上述のように火力発電所ボイラでは主に水冷壁管の過熱によるクリープ破断を回避する観点から管材のクリープ破断時間を目安に決められた管理基準を超えないように化学洗浄が行われている。しかしながら、現状の化学洗浄基準では、その根拠になっているクリープ破断強度については、ボイラ毎の運転中の応力や温度変動の影響は考慮されておらず、管材質毎に一律の温度制限(言い換えると、材料許容温度)が与えられている。このため、現状の化学洗浄基準は、過剰な裕度が見込まれていると考えられ、合理性が高いとは言い難い。
そこで、本発明は、ボイラ水冷壁管材のクリープ寿命を適切に評価して当該評価に基づいて化学洗浄時期を合理的に決定することができるボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法、決定装置、及び決定プログラムを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法は、ボイラの水冷壁管材に関する材料温度と破断時間との間の関係が用いられて水冷壁管の目標寿命に相当する破断時間に対応する材料温度が特定されて許容管壁平均温度に設定され、評価対象のボイラの水冷壁管材に関する管壁平均温度データが用いられて温度階級毎の出現時間が計算され、材料温度と破断時間との間の関係が用いられて温度階級のそれぞれに相当する材料温度に対応する破断時間が特定されて温度階級毎の温度階級破断時間に設定され、温度階級毎の温度階級破断時間に対する温度階級毎の出現時間の比が合計されてクリープ寿命消費率積算値が計算されると共に温度階級毎の出現時間が合計されて総出現時間が計算され、総出現時間がクリープ寿命消費率積算値で除されて換算温度破断時間が計算され、材料温度と破断時間との間の関係が用いられて換算温度破断時間に相当する破断時間に対応する材料温度が特定されて換算管壁平均温度に設定され、所定の期間毎に特定される換算管壁平均温度と所定の期間それぞれの時間長さに基づいて特定される経過時間との間の関係が用いられて経過時間のそれぞれについて換算管壁平均温度の推算値が計算されると共に材料温度と破断時間との間の関係が用いられて経過時間のそれぞれにおける換算管壁平均温度の推算値に相当する材料温度での単位時間当たりの寿命消費率がそれぞれ計算され、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間における経過時間のそれぞれの単位時間当たりの寿命消費率の積分値と1との差分に、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達した後における経過時間のそれぞれの単位時間当たりの寿命消費率の積分値が等しくなる経過時間が実質化学洗浄時期として特定されるようにしている。
本発明のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定装置は、ボイラの水冷壁管材に関する材料温度と破断時間との間の関係を用いて水冷壁管の目標寿命に相当する破断時間に対応する材料温度を特定して許容管壁平均温度に設定する手段と、評価対象のボイラの水冷壁管材に関する管壁平均温度データを用いて温度階級毎の出現時間を計算する手段と、材料温度と破断時間との間の関係を用いて温度階級のそれぞれに相当する材料温度に対応する破断時間を特定して温度階級毎の温度階級破断時間に設定する手段と、温度階級毎の温度階級破断時間に対する温度階級毎の出現時間の比を合計してクリープ寿命消費率積算値を計算すると共に温度階級毎の出現時間を合計して総出現時間を計算する手段と、総出現時間をクリープ寿命消費率積算値で除して換算温度破断時間を計算する手段と、材料温度と破断時間との間の関係を用いて換算温度破断時間に相当する破断時間に対応する材料温度を特定して換算管壁平均温度に設定する手段と、所定の期間毎に特定される換算管壁平均温度と所定の期間それぞれの時間長さに基づいて特定される経過時間との間の関係を用いて経過時間のそれぞれについて換算管壁平均温度の推算値を計算すると共に材料温度と破断時間との間の関係を用いて経過時間のそれぞれにおける換算管壁平均温度の推算値に相当する材料温度での単位時間当たりの寿命消費率をそれぞれ計算する手段と、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間における経過時間のそれぞれの単位時間当たりの寿命消費率の積分値と1との差分に、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達した後における経過時間のそれぞれの単位時間当たりの寿命消費率の積分値が等しくなる経過時間を実質化学洗浄時期として特定する手段とを有するようにしている。
本発明のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定プログラムは、ボイラの水冷壁管材に関する材料温度と破断時間との間の関係を用いて水冷壁管の目標寿命に相当する破断時間に対応する材料温度を特定して許容管壁平均温度に設定する処理と、評価対象のボイラの水冷壁管材に関する管壁平均温度データを用いて温度階級毎の出現時間を計算する処理と、材料温度と破断時間との間の関係を用いて温度階級のそれぞれに相当する材料温度に対応する破断時間を特定して温度階級毎の温度階級破断時間に設定する処理と、温度階級毎の温度階級破断時間に対する温度階級毎の出現時間の比を合計してクリープ寿命消費率積算値を計算すると共に温度階級毎の出現時間を合計して総出現時間を計算する処理と、総出現時間をクリープ寿命消費率積算値で除して換算温度破断時間を計算する処理と、材料温度と破断時間との間の関係を用いて換算温度破断時間に相当する破断時間に対応する材料温度を特定して換算管壁平均温度に設定する処理と、所定の期間毎に特定される換算管壁平均温度と所定の期間それぞれの時間長さに基づいて特定される経過時間との間の関係を用いて経過時間のそれぞれについて換算管壁平均温度の推算値を計算すると共に材料温度と破断時間との間の関係を用いて経過時間のそれぞれにおける換算管壁平均温度の推算値に相当する材料温度での単位時間当たりの寿命消費率をそれぞれ計算する処理と、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間における経過時間のそれぞれの単位時間当たりの寿命消費率の積分値と1との差分に、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達した後における経過時間のそれぞれの単位時間当たりの寿命消費率の積分値が等しくなる経過時間を実質化学洗浄時期として特定する処理とをコンピュータに行わせるようにしている。
したがって、これらのボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法、決定装置、及び決定プログラムによると、ボイラの水冷壁管材に関する材料温度と破断時間との間の関係を用いると共に評価対象のボイラの水冷壁管材に関する管壁平均温度データを用いるようにしているので、ボイラ毎の運転実態が反映されたクリープ寿命消費状態を把握することによってボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の判断が行われる。
本発明のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定装置や決定プログラムは、材料温度と破断時間との間の関係は、評価対象のボイラの水冷壁管から採取された試験片が用いられて単軸クリープ試験が実施されて得られた材料温度とクリープ破断時間との組み合わせデータが用いられて設定されるようにしても良い。この場合には、材料温度と破断時間との間の関係が適切に設定される。
本発明のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法、決定装置、及び決定プログラムによれば、ボイラ毎の運転実態が反映されたクリープ寿命消費状態を把握することによってボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の判断を行うことができるので、クリープ寿命を的確に評価してボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期を合理的に決定することが可能になり、延いては、ボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定手法としての信頼性の向上が可能になる。
本発明のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定装置、決定プログラムは、評価対象のボイラの水冷壁管から採取された試験片が用いられて単軸クリープ試験が実施されて得られたデータが利用されるようにした場合には、材料温度と破断時間との間の関係を適切に設定することができるので、クリープ寿命を一層的確に評価してボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期を一層合理的に決定することが可能になり、延いては、ボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定手法としての信頼性の一層の向上が可能になる。
本発明のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法,決定プログラムの実施形態の一例を示すフローチャートである。 実施形態のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法をボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定プログラムを用いて実施する場合の当該プログラムによって実現されるボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定装置の機能ブロック図である。 材料温度と破断時間との間の関係に係る参照線に基づく目標寿命に対応する材料の許容管壁平均温度の特定の仕方を説明する図である。 管壁平均温度の分布状況と換算管壁平均温度及び破断時間との間の関係を説明する図である。 材料温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間におけるクリープ寿命消費率が少ない分と等価なクリープ寿命消費分だけ材料温度が許容管壁平均温度に到達した後において上乗せが許容されることを説明する図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図5に、本発明のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法、決定装置、及び決定プログラムの実施形態の一例を示す。
本実施形態のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法は、ボイラの水冷壁管材に関する材料温度と破断時間との間の関係が設定され(S1)、当該ボイラの水冷壁管材に関する材料温度と破断時間との間の関係が用いられて水冷壁管の目標寿命に相当する破断時間に対応する材料温度が特定されて許容管壁平均温度に設定され(S2)、評価対象のボイラの水冷壁管材に関する管壁平均温度データが作成され(S3)、当該管壁平均温度データが用いられて温度階級毎の出現時間が計算され(S4)、材料温度と破断時間との間の関係が用いられて温度階級のそれぞれに相当する材料温度に対応する破断時間が特定されて温度階級毎の温度階級破断時間に設定され(S5)、温度階級毎の温度階級破断時間に対する温度階級毎の出現時間の比が合計されてクリープ寿命消費率積算値が計算されると共に温度階級毎の出現時間が合計されて総出現時間が計算され(S5)、総出現時間がクリープ寿命消費率積算値で除されて換算温度破断時間が計算され(S6)、材料温度と破断時間との間の関係が用いられて換算温度破断時間に相当する破断時間に対応する材料温度が特定されて換算管壁平均温度に設定され(S6)、所定の期間毎に特定される換算管壁平均温度と所定の期間それぞれの時間長さに基づいて特定される経過時間との間の関係が用いられて各経過時間について換算管壁平均温度の推算値が計算されると共に材料温度と破断時間との間の関係が用いられて各経過時間における換算管壁平均温度の推算値に相当する材料温度での単位時間当たりの寿命消費率がそれぞれ計算され(S7)、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間における各経過時間の単位時間当たりの寿命消費率の積分値と1との差分に、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達した後における各経過時間の単位時間当たりの寿命消費率の積分値が等しくなる経過時間が実質化学洗浄時期として特定される(S7)ようにしている(図1参照)。
また、本実施形態のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定装置は、ボイラの水冷壁管材に関する材料温度と破断時間との間の関係を設定する手段(11a)と、材料温度と破断時間との間の関係を用いて水冷壁管の目標寿命に相当する破断時間に対応する材料温度を特定して許容管壁平均温度に設定する手段(11b)と、評価対象のボイラの水冷壁管材に関する管壁平均温度データを作成する手段(11c)と、管壁平均温度データを用いて温度階級毎の出現時間を計算する手段(11d)と、材料温度と破断時間との間の関係を用いて温度階級のそれぞれに相当する材料温度に対応する破断時間を特定して温度階級毎の温度階級破断時間に設定する手段(11e)と、温度階級毎の温度階級破断時間に対する温度階級毎の出現時間の比を合計してクリープ寿命消費率積算値を計算すると共に温度階級毎の出現時間を合計して総出現時間を計算する手段(11e)と、総出現時間をクリープ寿命消費率積算値で除して換算温度破断時間を計算する手段(11f)と、材料温度と破断時間との間の関係を用いて換算温度破断時間に相当する破断時間に対応する材料温度を特定して換算管壁平均温度に設定する手段(11f)と、所定の期間毎に特定される換算管壁平均温度と所定の期間それぞれの時間長さに基づいて特定される経過時間との間の関係を用いて各経過時間について換算管壁平均温度の推算値を計算すると共に材料温度と破断時間との間の関係を用いて各経過時間における換算管壁平均温度の推算値に相当する材料温度での単位時間当たりの寿命消費率をそれぞれ計算する手段(11g)と、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間における各経過時間の単位時間当たりの寿命消費率の積分値と1との差分に、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達した後における各経過時間の単位時間当たりの寿命消費率の積分値が等しくなる経過時間を実質化学洗浄時期として特定する手段(11g)とを有するようにしている。
上記ボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法及びボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定装置は、ボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定プログラムがコンピュータ上で実行されることによっても実施・実現され得る。ここでは、ボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定プログラムがコンピュータ上で実行されることによってボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法が実施されると共にボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定装置が実現される場合を説明する。
本実施形態のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定プログラム17(以下、「化学洗浄時期の決定プログラム17」と呼ぶ)を実行するためのコンピュータ10(本実施形態では、ボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定装置10でもある)の全体構成を図2に示す。
このコンピュータ10(ボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定装置10)は制御部11,記憶部12,入力部13,表示部14,及びメモリ15を備え、これらが相互にバス等の信号回線によって接続されている。
制御部11は、記憶部12に記憶されている化学洗浄時期の決定プログラム17に従ってコンピュータ10全体の制御並びにボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定に係る演算を行うものであり、例えばCPU(中央演算処理装置)である。
記憶部12は、少なくともデータやプログラムを記憶可能な装置であり、例えばハードディスクである。
入力部13は、少なくとも作業者の命令や種々の情報を制御部11に与えるためのインターフェイス(即ち、情報入力の仕組み)であり、例えばキーボードやマウスである。なお、例えばキーボードとマウスとの両方のように複数種類のインターフェイスを入力部13として有するようにしても良い。
表示部14は、制御部11の制御によって文字や図形或いは画像等の描画・表示を行うものであり、例えばディスプレイである。
メモリ15は、制御部11が種々の制御や演算を実行する際の作業領域であるメモリ空間となるものであり、例えばRAM(Random Access Memory の略)である。
そして、コンピュータ10(以下、「化学洗浄時期の決定装置10」と呼ぶ)の制御部11には、化学洗浄時期の決定プログラム17が実行されることにより、ボイラの水冷壁管材に関する材料温度と破断時間との間の関係を設定する処理(S1)を行う相関関係設定部11aと、材料温度と破断時間との間の関係を用いて水冷壁管の目標寿命に相当する破断時間に対応する材料温度を特定して許容管壁平均温度に設定する処理(S2)を行う許容温度特定部11bと、評価対象のボイラの水冷壁管材に関する管壁平均温度データを作成する処理(S3)を行う管壁平均温度算出部11cと、管壁平均温度データを用いて温度階級毎の出現時間を計算する処理(S4)を行う出現時間積算部11dと、材料温度と破断時間との間の関係を用いて温度階級のそれぞれに相当する材料温度に対応する破断時間を特定して温度階級毎の温度階級破断時間に設定する処理(S5)、及び、温度階級毎の温度階級破断時間に対する温度階級毎の出現時間の比を合計してクリープ寿命消費率積算値を計算すると共に温度階級毎の出現時間を合計して総出現時間を計算する処理(S5)を行う寿命消費率積算部11eと、総出現時間をクリープ寿命消費率積算値で除して換算温度破断時間を計算する処理(S6)、及び、材料温度と破断時間との間の関係を用いて換算温度破断時間に相当する破断時間に対応する材料温度を特定して換算管壁平均温度に設定する処理(S6)を行う換算温度特定部11fと、所定の期間毎に特定される換算管壁平均温度と所定の期間それぞれの時間長さに基づいて特定される経過時間との間の関係を用いて各経過時間について換算管壁平均温度の推算値を計算すると共に材料温度と破断時間との間の関係を用いて各経過時間における換算管壁平均温度の推算値に相当する材料温度での単位時間当たりの寿命消費率をそれぞれ計算する処理(S7)、及び、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間における各経過時間の単位時間当たりの寿命消費率の積分値と1との差分に、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達した後における各経過時間の単位時間当たりの寿命消費率の積分値が等しくなる経過時間を実質化学洗浄時期として特定する処理(S7)を行う実質洗浄時期算定部11gとが構成される。
そして、本発明のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法の実施にあたっては、言い換えると、本発明に係る化学洗浄時期の決定プログラム17の処理としては、まず、制御部11の相関関係設定部11aにより、材料温度と破断時間との間の相関関係の設定が行われる(S1)。
具体的には、評価対象のボイラの水冷壁管材に関する材料温度とクリープ破断時間との組み合わせデータが用いられ、材料温度と破断時間との間の関係を表す近似線(近似式)が、非安全側にならないように推定される。
水冷壁管材に関する材料温度とクリープ破断時間との組み合わせデータとしては、例えば、実機抜管材から採取された試験片が用いられて単軸クリープ試験が実施されることによって得られるデータが用いられる。
単軸クリープ試験は、例えば、JIS Z 2271「金属材料のクリープ及びクリープ破断試験方法」(日本規格協会「金属材料のクリープ及びクリープ破断試験方法(Metallic materials-Uniaxial creep testing in tension-Method of test)」,JIS Z 2271,2010年)および公益社団法人日本材料学会「−高温機器の余寿命診断のための−微小サンプルクリープ試験法標準」(日本材料学会・高温強度部門委員会「−高温機器の余寿命診断のための−微小サンプルクリープ試験法標準」,微小サンプルクリープ試験法ワーキンググループ成果報告書,2012年)に基本的に従って実施されることが考えられる。
単軸クリープ試験は、具体的には例えば、抜管材の火炎側の頂部および炉外側の頂部を対象に管肉厚中心部から管肉厚に応じて採取されて直径4 mm 若しくは直径2 mm の丸棒試験片が作製され、アルゴンガス中若しくは大気中にて運転時の実機相当応力を一定値として与え、試験温度をパラメータとした加速クリープ破断試験が行われることによって実施される。
また、管とフィンとの溶接箇所に見られる熱影響部(HAZ:Heat Affected Zone の略)のクリープ強度確認のため、上記標準の推奨範囲(即ち、直径2 mm 以上)を外れる直径1 mm の極微小試験片を用いた試験が実施されるようにしても良い。なお、試験片が小さい場合、試験中の高温酸化による減肉(それに伴う応力増大)の影響が懸念されるため、アルゴンガス中での試験が実施されるようにしても良い。
水冷壁管のクリープ破断寿命消費率評価は、等応力法(iso-stress method)(R.Viswanathan「Damage Mechanisms and Life Assessment of High Temperature Components,Asm International,1989年)に基づいて為されることが多い。クリープ試験応力として、内圧に起因して管に生じる周方向膜応力が以下の数式2の平均径公式に基づいて設定され、試験温度を実際よりも高めた加速試験が実施される。
ここに、 σ:クリープ試験応力,
Do:管外径,
w:管肉厚,
p:内圧 をそれぞれ表す。
等応力法は、経産省通達20120919商局第66号別紙3(経済産業省:電気事業法等告示等:事業者検査・安全管理審査:火力設備における電気事業法施行規則第94条の2第2項第1号に規定する定期事業者検査の時期変更承認に係る標準的な審査基準例及び申請方法等について(平成27年4月3日改正),http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/5-6sekou94no2.pdf(2016年2月16日アクセス確認))において、余寿命診断の方法として採用されている。そこでは、ボイラの余寿命診断はクリープ破断寿命について行うこと、寿命消費率の裕度を2倍取ることなどが定められている。
単軸クリープ試験の圧力条件としては、抜管材の寸法計測値およびプラント計算機データから求められた内圧が数式2に当てはめられて算出された値よりも大きく区切りの良い値が適用されることが考えられる。
温度条件は、例えば670 ℃ 乃至650 ℃ を上限として20 ℃ 刻みで温度が下げられ、材料温度と破断時間との間の相関関係が合理的な期間内に得られるように配慮されることが好ましい。
本実施形態では、水冷壁管材に関する材料温度とクリープ破断時間との組み合わせデータが複数記録されたデータファイルが記憶部12に保存される。なお、材料温度とクリープ破断時間との組み合わせデータの個数は、二つ(言い換えると、二組)以上であれば特定の個数に限定されるものではないものの、三つ(三組)以上であることが好ましい。
そして、相関関係設定部11aにより、記憶部12にデータファイルとして保存されている水冷壁管材に関する材料温度とクリープ破断時間との組み合わせデータが読み込まれ、当該組み合わせデータがメモリ15に記憶させられる。
さらに、相関関係設定部11aにより、上記の処理によってメモリ15に記憶された組み合わせデータが用いられて、材料温度と破断時間との間の関係を表す近似線(近似式)が推定される。この際、組み合わせデータにおけるばらつきが考慮された上で非安全側にならないように破断時間の近似線が作成される。非安全側にならないように、即ち安全側になるように作成された近似線のことを「参照線」と呼ぶ。
そして、相関関係設定部11aにより、作成された参照線の内容(具体的には例えば、参照線としての近似式の係数や定数等のパラメータ)がメモリ15に記憶させられる。
上述の処理により、実機ボイラの運転中応力が反映された等応力法による単軸クリープ試験の結果に基づく、個々のボイラの水冷壁管材の材料温度とクリープ破断時間との間の相関関係としての参照線が得られる。
次に、制御部11の許容温度特定部11bにより、S1の処理で設定された材料温度と破断時間との間の相関関係(本実施形態では具体的には、参照線)が用いられて材料の許容管壁平均温度の特定が行われる(S2)。
具体的には、作業者(例えば、評価対象のボイラの管理者など)によって水冷壁管の目標寿命が設定され、S1の処理で設定された材料温度と破断時間との間の関係に係る参照線において前記目標寿命に相当する破断時間に対応する材料温度が特定され、当該材料温度が材料の許容管壁平均温度に設定される。なお、管壁平均温度は、水冷壁管の火炎側において管外面から管内面へと温度勾配を持つ管材の、肉厚中心位置における温度である。
材料温度と破断時間との間の関係に係る参照線に基づく、目標寿命に対応する材料の許容管壁平均温度の特定のイメージを図3に示す。
図3では、横軸のX軸を対数の破断時間[h(時間)]とすると共に縦軸のY軸を線形の材料温度[℃]とした二軸の領域中に、単軸クリープ試験の結果として得られる水冷壁管材に関する材料温度とクリープ破断時間との組み合わせデータが記号■で図示され、また、当該組み合わせデータに関する参照線が破線で図示されている。
そして、参照線において、作業者によって設定された目標寿命に相当する破断時間に対応する材料温度が特定されて材料の許容管壁平均温度とされる。なお、図3からも分かるように、参照線は、基本的に、上述の通り非安全側にならないように、即ち安全側になるように、作成される。
上述の処理によって得られる許容管壁平均温度に関しては、材料温度が許容管壁平均温度で一定である場合のクリープ寿命消費と同等のクリープ寿命消費になる材料温度分布が許容されると解釈される。
本実施形態では、作業者によって設定された目標寿命の値は、許容温度特定部11bにより、例えば、入力部13を介して作業者によって入力された数値がメモリ15に記憶させられたり、目標寿命が記録されて記憶部12に保存されたデータファイルから数値が読み込まれてメモリ15に記憶させられたりする。
そして、許容温度特定部11bにより、S1の処理においてメモリ15に記憶された参照線の内容が読み込まれると共に例えば上記の処理によってメモリ15に記憶された目標寿命の値が読み込まれ、例えば参照線としての近似式の係数や定数等のパラメータ並びに破断時間として目標寿命の値が用いられて材料温度が算定されることなどにより、参照線において目標寿命に対応する材料温度が特定される。
そして、許容温度特定部11bにより、特定された材料温度の値が材料の許容管壁平均温度としてメモリ15に記憶させられる。
次に、制御部11の管壁平均温度算出部11cにより、評価対象のボイラに関する管壁平均温度データの作成が行われる(S3)。
ここで、本発明では、任意の期間毎にS3乃至S6の処理が行われる。以下の説明では、S3乃至S6の処理が行われる所定の期間としての任意の期間のことを「指標算定期間」と呼ぶ。
指標算定期間は、特定の時間長さに限定されるものではなく、例えば当該指標算定期間の時間長さの差違が評価結果に与える影響の大きさや評価作業にかかる手間の程度などが考慮された上で適当な時間長さに適宜設定される。指標算定期間は、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、15〜90日程度の範囲のうちの適当な日数に設定され得る。
S3の処理としては、ボイラの水冷壁管の路内外に取り付けられたメタル温度計によって指標算定期間において計測されて取得されたデータ(特に、炉内メタル温度データ)が用いられて計算が行われて前記指標算定期間における管壁平均温度データが作成される。
S3の処理では、指標算定期間における、ボイラの定格時(つまり、定格負荷運転時)での複数時点の炉内メタル温度データが用いられて算出された定格時の管壁平均温度の値の集合として管壁平均温度データが作成される。
本実施形態では、評価対象のボイラにおいて指標算定期間のうちの定格時に計測された複数時点の炉内メタル温度データが記録されたデータファイルが記憶部12に保存される。なお、炉内メタル温度データが記録されたデータファイルには、当該炉内メタル温度データの収録間隔時間に関する情報が含まれる。
ここで、例えば、メタル温度計の火炎側の温接点が管表面(即ち、管外面)付近に埋め込まれている場合には、熱流束が算出された後に管表面温度が算出され、当該管表面温度と管内蒸気に接する管内面温度との平均値が管壁平均温度として算出される。具体的には、メタル温度計の火炎側の温接点が管表面(管外面)付近に埋め込まれている場合、炉内メタル温度データは管表面の実際の温度よりも僅かに低い温度になっている。このため、管表面温度として熱流束に応じた埋込深さに対応する温度上昇分ΔTを加えたもの、即ち「管表面温度=炉内メタル温度+ΔT」が算出されて管壁平均温度の算出に用いられる。
本実施形態では、管壁平均温度算出部11cにより、記憶部12にデータファイルとして保存されている炉内メタル温度データが読み込まれ、当該データが用いられて熱流束が算出された後に管表面温度が算出された上で当該管表面温度と管内面温度との平均値が各温度データについて算出され、当該平均値の集合が定格時の管壁平均温度データ群として整理される。
そして、管壁平均温度算出部11cにより、作成された管壁平均温度データ群が、作成の元データである炉内メタル温度データの収録間隔時間に関する情報と合わせて、メモリ15に記憶させられる。
次に、制御部11の出現時間積算部11dにより、S3の処理で作成された管壁平均温度データが用いられて温度階級毎の出現時間の積算が行われる(S4)。
具体的には、温度毎の出現状況の分布を整理するための温度階級が定められ、S3の処理において作成された管壁平均温度データ群に含まれる各温度の値に従い、当該の温度の値が含まれる温度階級に対して当該の温度分の出現時間が割り振られて積み上げられる。
温度階級の幅は、特定の大きさに限定されるものではなく、例えば当該階級の幅の大きさの差違が分布形の滑らかさや評価結果に与える影響の大きさなどが考慮された上で適当な大きさに適宜設定される。温度階級の幅は、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、5〜20 ℃ 程度の範囲のうちの適当な値に設定され得る。
管壁平均温度データ群に含まれる一つの温度データの分として各温度階級に対して割り振られて積み上げられる出現時間としては、管壁平均温度データの元データである炉内メタル温度データの収録間隔時間が用いられる。
したがって、具体的には例えば、温度階級の幅が10[℃]に設定されると共に炉内メタル温度データの収録間隔時間が60[秒]である場合に、S3の処理において作成された管壁平均温度データ群に325[℃]が含まれているときは、当該の温度データ(一つ)分として320〜330[℃]の温度階級の出現時間に対して60[秒]が加えられる。
本実施形態では、出現時間積算部11dにより、S3の処理においてメモリ15に記憶された管壁平均温度データ群(炉内メタル温度データの収録間隔時間に関する情報を含む)が読み込まれ、当該管壁平均温度データ群に含まれる各温度の値が含まれる温度階級に対して収録間隔時間が割り振られて積算される。なお、温度階級の幅は、例えば、化学洗浄時期の決定プログラム17内に規定されたり、S4の処理が行われる段階で入力部13を介して作業者によって入力されたりする。
そして、出現時間積算部11dにより、温度階級毎の出現時間の積算値が、言い換えると温度階級と出現時間の積算値との組み合わせデータがメモリ15に記憶させられる。
次に、制御部11の寿命消費率積算部11eにより、S1の処理で設定された材料温度と破断時間との間の相関関係(本実施形態では具体的には、参照線)とS4の処理で作成された温度階級毎の出現時間の積算値とが用いられてクリープ寿命消費率積算値の算出が行われる(S5)。
具体的には、S1の処理で設定された材料温度と破断時間との間の関係に係る参照線において、S4の処理で作成された組み合わせデータに含まれる各温度階級のそれぞれに相当する材料温度に対応する破断時間(「温度階級破断時間」とも呼ぶ)が特定される。なお、例えば、非安全側の評価とならないようにすることを考慮し、各温度階級の最高の値が当該の温度階級に相当する材料温度として用いられる。
そして、上記の処理によって温度階級毎に特定された温度階級破断時間とS4の処理で作成された組み合わせデータに含まれる温度階級毎の出現時間の積算値とが用いられ、以下の数式3により、クリープ寿命消費率積算値LCsが算出される。
ここに、 LCs:クリープ寿命消費率積算値,
ti:温度階級iの出現時間の積算値[時間],
Ri:温度階級iに対応する破断時間(即ち、温度階級破断時間)[時間],
i:各温度階級を個別に識別するための識別子(i=1,2,3,…,n)
をそれぞれ表す。
また、S4の処理で作成された組み合わせデータに含まれる各温度階級の出現時間の積算値が用いられ、以下の数式4により、総出現時間Tallが算出される。
ここに、 Tall:総出現時間[時間],
ti:温度階級iの出現時間の積算値[時間],
i:各温度階級を個別に識別するための識別子(i=1,2,3,…,n)
をそれぞれ表す。
本実施形態では、寿命消費率積算部11eにより、S1の処理においてメモリ15に記憶された参照線の内容が読み込まれると共にS4の処理においてメモリ15に記憶された温度階級と出現時間の積算値との組み合わせデータが読み込まれ、例えば参照線としての近似式の係数や定数等のパラメータ並びに材料温度として各温度階級の最高の値が用いられて破断時間が算定されることなどにより、参照線において各温度階級に対応する破断時間(即ち、温度階級破断時間)が特定され、その上で、数式3によってクリープ寿命消費率積算値LCsが算出されると共に数式4によって総出現時間Tallが算出される。
そして、寿命消費率積算部11eにより、算出されたクリープ寿命消費率積算値LCsの値及び総出現時間Tallの値がメモリ15に記憶させられる。
次に、制御部11の換算温度特定部11fにより、S5の処理で算出されたクリープ寿命消費率積算値と総出現時間とが用いられて材料の換算管壁平均温度の算出が行われる(S6)。
S6の処理では、材料温度が或る温度で一定である場合に、S5の処理で算出された総出現時間Tallと同じ時間で同じくS5の処理で算出されたクリープ寿命消費率積算値LCsと同じクリープ寿命消費率になる材料温度(つまり、前記の「或る温度」;「換算管壁平均温度」と呼ぶ)が求められる。
ここで、上記の考え方によって定義される換算管壁平均温度をTxとし、また、S1の処理で設定された材料温度と破断時間との間の関係に係る参照線において、前記換算管壁平均温度Txに相当する材料温度に対応する破断時間をtRalとすると、以下の数式5が成り立つ。
ここに、 LCs:クリープ寿命消費率積算値
(=材料温度が換算管壁平均温度で一定の場合のクリープ寿命消費率),
Tall:総出現時間[時間],
Ral:換算管壁平均温度での破断時間[時間] をそれぞれ表す。
したがって、材料温度が換算管壁平均温度で一定である場合の破断時間tRal(「換算温度破断時間tRal」とも呼ぶ)が、以下の数式6によって算出される。
ここに、 tRal:材料温度が換算管壁平均温度で一定である場合の破断時間[時間],
Tall:総出現時間[時間],
LCs:クリープ寿命消費率積算値
(=材料温度が換算管壁平均温度で一定の場合のクリープ寿命消費率)
をそれぞれ表す。
そして、S1の処理で設定された材料温度と破断時間との間の関係に係る参照線において、数式6によって算出される換算温度破断時間tRalに対応する材料温度が、数式5及び数式6の説明における換算管壁平均温度Tx[℃]として特定される。
管壁平均温度データ群に含まれる各温度の値に関する温度階級別の分布の状況と換算管壁平均温度Tx及び当該温度に対応する換算温度破断時間tRalとの間の関係のイメージを図4に示す。
図4では、横軸を管壁平均温度[℃]に関する温度階級とすると共に縦軸を温度階級毎の出現時間(積算値)[h(時間)]とした二軸の領域中に、指標算定期間の管壁平均温度データ(尚、定格負荷運転時のデータである)に関する温度階級毎の出現時間の積算値が墨塗りのヒストグラムとして図示されている。温度階級1,2,…,i,…,nの出現時間の積算値がそれぞれt1,t2,…,ti,…,tn[h(時間)]であり、温度階級1,2,…,i,…,nのそれぞれに対応する破断時間(即ち、温度階級破断時間)がtR1,tR2,…,tRi,…,tRn[h(時間)]である。
そして、材料温度が或る温度で一定である場合に、「温度階級i毎の出現時間の積算値ti」の総和として得られる総出現時間Tallと同じ時間で「温度階級i毎のクリープ寿命消費率の合計値(=ti/tRi)」の総和として得られるクリープ寿命消費率積算値LCsと同じクリープ寿命消費率になる材料温度即ち換算管壁平均温度がTx[℃]であり、また、当該換算管壁平均温度Txに対応する換算温度破断時間がtRal[h(時間)]である。なお、図示されている、当該の指標算定期間に関する温度階級i毎の出現時間の積算値tiの分布を代表するものとして、換算管壁平均温度Txの出現時間Tallが白抜きの棒グラフとして図示されている。
本実施形態では、換算温度特定部11fにより、S5の処理においてメモリ15に記憶されたクリープ寿命消費率積算値LCsの値及び総出現時間Tallの値が読み込まれ、数式6によって換算温度破断時間tRalが算出される。
さらに、換算温度特定部11fにより、S1の処理においてメモリ15に記憶された参照線の内容が読み込まれ、例えば参照線としての近似式の係数や定数等のパラメータ並びに換算温度破断時間tRalの値が用いられて材料温度が算定されることなどにより、参照線において換算温度破断時間tRalに対応する材料温度が特定される。
そして、換算温度特定部11fにより、特定された材料温度の値が材料の換算管壁平均温度Txとしてメモリ15に記憶させられる。
上述のS3乃至S6の処理が指標算定期間毎に行われ、指標算定期間毎に換算管壁平均温度が特定される。
複数の換算管壁平均温度が特定された上で、制御部11の実質洗浄時期算定部11gにより、指標算定期間毎にS3乃至S6の処理が行われて特定された複数の換算管壁平均温度が用いられて水冷壁管の実質の洗浄時期の算定が行われる(S7)。
S3乃至S6の処理によって特定された換算管壁平均温度Txは、石炭火力などで見られる温度変動の影響も含むものである。また、定格負荷を対象として上述の処理を行うことで、スケール付着に伴う温度上昇傾向も明確になる。
また、材料の許容管壁平均温度は、目標寿命に相当する破断時間に対応する材料温度であり、目標寿命の全期間に亙って材料温度が一定である場合の破断時間に対応する材料温度であるので、換算管壁平均温度Txが許容管壁平均温度に到達する前の期間は目標寿命へと向かう寿命消費速度が遅い期間であると言える。したがって、換算管壁平均温度Txが許容管壁平均温度に到達した後において、換算管壁平均温度Txが許容管壁平均温度に到達する前の期間におけるクリープ寿命消費率が少ない分(言い換えると、クリープ寿命の未消費分)と等価なクリープ寿命消費率の分だけ、追加的な温度上昇が許容されることになる。
換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間におけるクリープ寿命消費率が少ない分(クリープ寿命の未消費分)と等価なクリープ寿命消費率の分だけ、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達した後において追加的な温度上昇が許容されることのイメージを図5に示す。
図5では、横軸を評価対象のボイラの運転開始または前回の化学洗浄時期からの経過時間[h(時間)]とすると共に縦軸を換算管壁平均温度[℃]とした二軸の領域中に、指標算定期間毎に特定された換算管壁平均温度Tx[℃]と各指標算定期間の時間長さに基づいて特定される(具体的には例えば、各指標算定期間が切れ目なく連続している場合にはこれら指標算定期間の合計として特定される)経過時間[時間]との組み合わせデータが記号●で図示され、また、当該組み合わせデータに関する近似線が図示されている。
そして、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間におけるクリープ寿命消費率が少ない分(クリープ寿命の未消費分)が縦縞の領域で図示され、また、当該縦縞の領域分と等価なクリープ寿命消費率の分として換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達した後において温度上昇が許容される分が横縞の領域で図示されている。
上記の考え方に基づく材料許容温度を実質許容管壁平均温度とする。そして、材料温度(具体的には、換算管壁平均温度)が実質許容管壁平均温度へと到達する時点を実質化学洗浄時期と考えることで、計画通りの(言い換えると、目標寿命に対応する本来的な)クリープ寿命消費が進行するものと考えられる。
実質許容管壁平均温度及び実質化学洗浄時期の算定の手順として、まず、指標算定期間毎にS6の処理において特定された換算管壁平均温度Tx[℃]と各指標算定期間の時間長さに基づいて特定される経過時間[時間]との組み合わせデータが複数組用いられ、換算管壁平均温度と経過時間との間の関係を表す近似線(近似式)が推定される。
また、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間におけるクリープ寿命消費率が少ない分(クリープ寿命の未消費分)が算出される。
具体的には、前提として、S1の処理で設定された材料温度と破断時間との間の関係に係る参照線により、材料温度毎に、単位時間当たりの寿命消費率が規定される。すなわち、例えば、或る材料温度における破断時間がtR[時間]であるとすると、当該の材料温度の1時間当たりの寿命消費率は 1/tR である。
また、上記の処理で推定された換算管壁平均温度と経過時間との間の関係を表す近似線(近似式)により、各経過時間について換算管壁平均温度の値が推算される。なお、この近似線(近似式)により、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する時点に相当する経過時間が特定され、この時点は、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間におけるクリープ寿命の未消費分を考慮しない場合の化学洗浄時期である。
したがって、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間について、当該期間中の各経過時間における換算管壁平均温度の推算値に相当する材料温度での単位時間当たりの寿命消費率が計算される。
そして、上記で計算される、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間中の経過時間毎の単位時間当たりの寿命消費率が、合計、言い換えると、前記期間に亙って積分される。
上記によって算定されるクリープ寿命消費率の合計値(言い換えると、積分値)と1との差分が、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間におけるクリープ余寿命(「付加クリープ寿命消費率」と呼ぶ)である。
さらに、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達した後におけるクリープ寿命消費率が算出される。
具体的には、上述と同様に、前提として材料温度と破断時間との間の関係に係る参照線によって材料温度毎に単位時間当たりの寿命消費率が規定されると共に、換算管壁平均温度と経過時間との間の関係を表す近似線(近似式)によって各経過時間について換算管壁平均温度の値が推算される。
したがって、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達した時点後の時間進行順の経過時間毎に、各経過時間における換算管壁平均温度の推算値に相当する材料温度での単位時間当たりの寿命消費率が計算される。
そして、上記で計算される、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達した時点後の経過時間毎の単位時間当たりの寿命消費率が、時間進行順に積算、言い換えると、前記時点後から次第に進行させられる期間に亙って積分される。
上記によって積算(言い換えると、積分)されていく寿命消費率が付加クリープ寿命消費率と同じになる時点が実質化学洗浄時期であり、当該時点における材料温度が実質許容管壁平均温度である。
本実施形態では、実質洗浄時期算定部11gにより、S1の処理においてメモリ15に記憶された参照線の内容が読み込まれ、材料温度毎の単位時間当たりの寿命消費率が計算される。
また、実質洗浄時期算定部11gにより、S6の処理においてメモリ15に記憶された換算管壁平均温度Txの値が読み込まれると共に指標算定期間の時間長さに基づいて経過時間が特定され、これら換算管壁平均温度Txの値と経過時間との組み合わせデータが用いられて換算管壁平均温度と経過時間との間の関係を表す近似線(近似式)が推定される。
また、実質洗浄時期算定部11gにより、換算管壁平均温度と経過時間との間の関係を表す近似線(近似式)において許容管壁平均温度に相当する換算管壁平均温度に対応する経過時間が特定され、当該経過時間が、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する時点として規定される。
その上で、実質洗浄時期算定部11gにより、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達する前の期間について経過時間毎の換算管壁平均温度の推算値に相当する材料温度での単位時間当たりの寿命消費率が合計され、そして、当該寿命消費率の合計値と1との差(即ち、付加クリープ寿命消費率)が計算される。
さらに、実質洗浄時期算定部11gにより、換算管壁平均温度が許容管壁平均温度に到達した時点後の経過時間毎の換算管壁平均温度の推算値に相当する材料温度での単位時間当たりの寿命消費率が時間進行順に積算され、そして、当該寿命消費率の積算値が付加クリープ寿命消費率と同じになる経過時間が特定される。
そして、実質洗浄時期算定部11gにより、上記によって特定された経過時間が実質化学洗浄時期として表示部14に表示されたり前記経過時間における換算管壁平均温度の推算値が実質許容管壁平均温度として表示部14に表示されたりし、また、前記経過時間や前記換算管壁平均温度の値が演算結果ファイルとして記憶部12に保存される。
そして、制御部11は、評価対象のボイラに関する処理を終了する(終了)。
以上のように構成されたボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法、決定装置、及び決定プログラムによれば、ボイラの水冷壁管材に関する材料温度と破断時間との間の関係を用いると共に評価対象のボイラの水冷壁管材に関する管壁平均温度データを用いるようにしているので、ボイラ毎の運転実態が反映されたクリープ寿命消費状態を把握することによってボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の判断を行うことができる。このため、クリープ寿命を的確に評価してボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期を合理的に決定することが可能になり、延いては、ボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定手法としての信頼性の向上が可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では材料温度と破断時間との間の相関関係の設定(S1)において単軸クリープ試験の結果が使用されるようにしているが、内圧クリープ試験の結果が使用されるようにしても良い。なお、S1の処理において用いられる材料温度とクリープ破断時間との組み合わせデータは、評価対象のボイラの水冷壁管それ自体の抜管材から採取された試験片についてのものであることが望ましいものの、例えば評価対象のボイラと同型式のボイラの水冷壁管の抜管材から採取された試験片についてのものであっても構わない(但し、評価対象のボイラの水冷壁管材と同じ材質であることが必要とされる)。
また、上述の実施形態では材料温度と破断時間との間の相関関係の設定(S1)において材料温度とクリープ破断時間との組み合わせデータにおけるばらつきが考慮された上で非安全側にならない近似線(即ち、参照線)が作成されるようにしているが、材料温度と破断時間との間の相関関係として通常の近似線が作成されるようにしても良く、更に言えば、例えば何らかの考え方や基準に従って導き出される相関関係が設定されるようにしても良い。
また、上述の実施形態では材料温度(具体的には、換算管壁平均温度)が実質許容管壁平均温度へと到達する時点が実質化学洗浄時期として特定(算定)されるようにしているところ、実質許容管壁平均温度に対応するスケール付着量に関係する指標が更に考慮・参照されるようにしても良い。具体的には、水冷壁管の実質許容管壁平均温度が算定された後にその場所の熱流束に対して前記実質許容管壁平均温度になるときのスケール付着量が算定され、当該スケール付着量が許容スケール付着量に設定される。また、ボイラでは例えば凡そ2年に一度程度の頻度で実施される定期検査の際にスケール付着量が計測される。そこで、過去の検査結果としてのスケール付着量の値[mm]と経過時間[時間]との組み合わせデータが用いられてスケール付着量と経過時間との間の関係を表す近似線(近似式)(言い換えると、スケール成長速度、或いは、単位時間当たりのスケール成長量)が推定され、当該近似線(近似式)において前記許容スケール付着量に相当するスケール付着量に対応する経過時間が特定され、当該経過時間がスケール付着量からみた化学洗浄時期とされる。そして、このスケール付着量からみた化学洗浄時期が参照されて実質化学洗浄時期が補正されるようにしても良い。
10 ボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定装置
11 制御部
11a 相関関係設定部
11b 許容温度特定部
11c 管壁平均温度算出部
11d 出現時間積算部
11e 寿命消費率積算部
11f 換算温度特定部
11g 実質洗浄時期算定部
17 ボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定プログラム

Claims (5)

  1. ボイラの水冷壁管材に関する材料温度と破断時間との間の関係が用いられて水冷壁管の目標寿命に相当する前記破断時間に対応する前記材料温度が特定されて許容管壁平均温度に設定され、評価対象のボイラの水冷壁管材に関する管壁平均温度データが用いられて温度階級毎の出現時間が計算され、前記材料温度と破断時間との間の関係が用いられて前記温度階級のそれぞれに相当する前記材料温度に対応する前記破断時間が特定されて前記温度階級毎の温度階級破断時間に設定され、前記温度階級毎の前記温度階級破断時間に対する前記温度階級毎の前記出現時間の比が合計されてクリープ寿命消費率積算値が計算されると共に前記温度階級毎の前記出現時間が合計されて総出現時間が計算され、前記総出現時間が前記クリープ寿命消費率積算値で除されて換算温度破断時間が計算され、前記材料温度と破断時間との間の関係が用いられて前記換算温度破断時間に相当する前記破断時間に対応する前記材料温度が特定されて換算管壁平均温度に設定され、所定の期間毎に特定される前記換算管壁平均温度と前記所定の期間それぞれの時間長さに基づいて特定される経過時間との間の関係が用いられて前記経過時間のそれぞれについて前記換算管壁平均温度の推算値が計算されると共に前記材料温度と破断時間との間の関係が用いられて前記経過時間のそれぞれにおける前記換算管壁平均温度の推算値に相当する前記材料温度での単位時間当たりの寿命消費率がそれぞれ計算され、前記換算管壁平均温度が前記許容管壁平均温度に到達する前の期間における前記経過時間のそれぞれの前記単位時間当たりの寿命消費率の積分値と1との差分に、前記換算管壁平均温度が前記許容管壁平均温度に到達した後における前記経過時間のそれぞれの前記単位時間当たりの寿命消費率の積分値が等しくなる前記経過時間が実質化学洗浄時期として特定されることを特徴とするボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法。
  2. ボイラの水冷壁管材に関する材料温度と破断時間との間の関係を用いて水冷壁管の目標寿命に相当する前記破断時間に対応する前記材料温度を特定して許容管壁平均温度に設定する手段と、評価対象のボイラの水冷壁管材に関する管壁平均温度データを用いて温度階級毎の出現時間を計算する手段と、前記材料温度と破断時間との間の関係を用いて前記温度階級のそれぞれに相当する前記材料温度に対応する前記破断時間を特定して前記温度階級毎の温度階級破断時間に設定する手段と、前記温度階級毎の前記温度階級破断時間に対する前記温度階級毎の前記出現時間の比を合計してクリープ寿命消費率積算値を計算すると共に前記温度階級毎の前記出現時間を合計して総出現時間を計算する手段と、前記総出現時間を前記クリープ寿命消費率積算値で除して換算温度破断時間を計算する手段と、前記材料温度と破断時間との間の関係を用いて前記換算温度破断時間に相当する前記破断時間に対応する前記材料温度を特定して換算管壁平均温度に設定する手段と、所定の期間毎に特定される前記換算管壁平均温度と前記所定の期間それぞれの時間長さに基づいて特定される経過時間との間の関係を用いて前記経過時間のそれぞれについて前記換算管壁平均温度の推算値を計算すると共に前記材料温度と破断時間との間の関係を用いて前記経過時間のそれぞれにおける前記換算管壁平均温度の推算値に相当する前記材料温度での単位時間当たりの寿命消費率をそれぞれ計算する手段と、前記換算管壁平均温度が前記許容管壁平均温度に到達する前の期間における前記経過時間のそれぞれの前記単位時間当たりの寿命消費率の積分値と1との差分に、前記換算管壁平均温度が前記許容管壁平均温度に到達した後における前記経過時間のそれぞれの前記単位時間当たりの寿命消費率の積分値が等しくなる前記経過時間を実質化学洗浄時期として特定する手段とを有することを特徴とするボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定装置。
  3. 前記材料温度と破断時間との間の関係は、前記評価対象のボイラの前記水冷壁管から採取された試験片が用いられて単軸クリープ試験が実施されて得られた材料温度とクリープ破断時間との組み合わせデータが用いられて設定されることを特徴とする請求項2記載のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定装置。
  4. ボイラの水冷壁管材に関する材料温度と破断時間との間の関係を用いて水冷壁管の目標寿命に相当する前記破断時間に対応する前記材料温度を特定して許容管壁平均温度に設定する処理と、評価対象のボイラの水冷壁管材に関する管壁平均温度データを用いて温度階級毎の出現時間を計算する処理と、前記材料温度と破断時間との間の関係を用いて前記温度階級のそれぞれに相当する前記材料温度に対応する前記破断時間を特定して前記温度階級毎の温度階級破断時間に設定する処理と、前記温度階級毎の前記温度階級破断時間に対する前記温度階級毎の前記出現時間の比を合計してクリープ寿命消費率積算値を計算すると共に前記温度階級毎の前記出現時間を合計して総出現時間を計算する処理と、前記総出現時間を前記クリープ寿命消費率積算値で除して換算温度破断時間を計算する処理と、前記材料温度と破断時間との間の関係を用いて前記換算温度破断時間に相当する前記破断時間に対応する前記材料温度を特定して換算管壁平均温度に設定する処理と、所定の期間毎に特定される前記換算管壁平均温度と前記所定の期間それぞれの時間長さに基づいて特定される経過時間との間の関係を用いて前記経過時間のそれぞれについて前記換算管壁平均温度の推算値を計算すると共に前記材料温度と破断時間との間の関係を用いて前記経過時間のそれぞれにおける前記換算管壁平均温度の推算値に相当する前記材料温度での単位時間当たりの寿命消費率をそれぞれ計算する処理と、前記換算管壁平均温度が前記許容管壁平均温度に到達する前の期間における前記経過時間のそれぞれの前記単位時間当たりの寿命消費率の積分値と1との差分に、前記換算管壁平均温度が前記許容管壁平均温度に到達した後における前記経過時間のそれぞれの前記単位時間当たりの寿命消費率の積分値が等しくなる前記経過時間を実質化学洗浄時期として特定する処理とをコンピュータに行わせることを特徴とするボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定プログラム。
  5. 前記材料温度と破断時間との間の関係は、前記評価対象のボイラの前記水冷壁管から採取された試験片が用いられて単軸クリープ試験が実施されて得られた材料温度とクリープ破断時間との組み合わせデータが用いられて設定されることを特徴とする請求項4記載のボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定プログラム。
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