JP2005156086A - スケール状態予測方法、ボイラ伝熱管状態予測方法、及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ボイラ伝熱管におけるスケールの状態を正確に予測することができるスケール状態予測方法及びその装置、及び、ボイラ伝熱管の状態予測方法及びその装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 ボイラ伝熱管状態予測装置11を、スケール状態予測装置12と、スケール状態予測装置12によって得られたスケール状態の情報に基づいて、ボイラ伝熱管の温度予測とクリープ破断時期予測とを行う伝熱管状態予測手段13とを有する構成とする。スケール状態予測装置12を、スケールの構造を決定し、スケール構造に基づいてその成長、及び応力を受けることにより生じる構造破壊の進行をシミュレートするシミュレート手段16と、シミュレート手段16のシミュレーションによって得た前記構造破壊の進行過程の情報に基づいて、実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの剥離時期を予測する剥離時期予測手段17とを有する構成とする。
【選択図】 図2
【解決手段】 ボイラ伝熱管状態予測装置11を、スケール状態予測装置12と、スケール状態予測装置12によって得られたスケール状態の情報に基づいて、ボイラ伝熱管の温度予測とクリープ破断時期予測とを行う伝熱管状態予測手段13とを有する構成とする。スケール状態予測装置12を、スケールの構造を決定し、スケール構造に基づいてその成長、及び応力を受けることにより生じる構造破壊の進行をシミュレートするシミュレート手段16と、シミュレート手段16のシミュレーションによって得た前記構造破壊の進行過程の情報に基づいて、実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの剥離時期を予測する剥離時期予測手段17とを有する構成とする。
【選択図】 図2
Description
本発明は、スケール状態予測方法、ボイラ伝熱管状態予測方法、及びその装置に関するものである。
ボイラ設備において流体の熱交換に用いられるボイラ伝熱管の内壁には、流体と接触することによりスケールが発生する。
このスケールが成長することで、ボイラ伝熱管の伝熱が阻害されて高温となり、ボイラ伝熱管にクリープ現象による損傷が生じやすくなる。
そこで、ボイラ伝熱管の破損を未然に防止することができるよう、ボイラ伝熱管の寿命予測を行う技術が求められている。
このスケールが成長することで、ボイラ伝熱管の伝熱が阻害されて高温となり、ボイラ伝熱管にクリープ現象による損傷が生じやすくなる。
そこで、ボイラ伝熱管の破損を未然に防止することができるよう、ボイラ伝熱管の寿命予測を行う技術が求められている。
ボイラ伝熱管の寿命予測の方法としては、例えば、後記の特許文献1に記載のボイラ伝熱管の寿命診断方法がある。
このボイラ伝熱管の寿命診断方法は、多数のボイラ伝熱管の管内面に発生した水蒸気酸化スケールの厚さを非破壊試験により計測して、最もスケール厚さの大きい管を代表管として抽出し、この代表管から寿命を診断するものである。
そして、具体的な寿命診断は、代表管の一部を切り出して、引張試験、高度計測、顕微鏡観察や材料の組成分析、等を実施することによって行う。
このボイラ伝熱管の寿命診断方法は、多数のボイラ伝熱管の管内面に発生した水蒸気酸化スケールの厚さを非破壊試験により計測して、最もスケール厚さの大きい管を代表管として抽出し、この代表管から寿命を診断するものである。
そして、具体的な寿命診断は、代表管の一部を切り出して、引張試験、高度計測、顕微鏡観察や材料の組成分析、等を実施することによって行う。
ここで、ボイラ設備において生じる諸問題は、実際には、スケールの厚さのみならず、スケールの剥離(浮き上がりも含む)によって引き起こされる。
例えば、ボイラ伝熱管とスケールとの間、もしくはスケール内に隙間が形成されると(いわゆるスケールの浮き上がりが生じると)、ボイラ伝熱管における伝熱阻害を大幅に加速してボイラ伝熱管の温度上昇を引き起こすので、ボイラ伝熱管の寿命を著しく縮める要因となる。
また、スケールが完全に剥離してボイラ伝熱管から脱落すると、ボイラ伝熱管において剥離位置の下流側での詰まりを招いて、ボイラ伝熱管の内圧上昇やこれによるボイラ伝熱管の噴破の要因となる他、剥離位置の後流側にある部材(例えばタービン翼等)にエロージョンを生じさせる要因となる。
すなわち、ボイラ設備の健全な運用のためには、スケールの厚さだけでなく、スケールの剥離も含めたスケールの状態を把握する必要がある。
しかし、特許文献1は、スケールの厚さのみに着目していて、スケールの剥離がトラブルの要因となるということについての知見がない。
例えば、ボイラ伝熱管とスケールとの間、もしくはスケール内に隙間が形成されると(いわゆるスケールの浮き上がりが生じると)、ボイラ伝熱管における伝熱阻害を大幅に加速してボイラ伝熱管の温度上昇を引き起こすので、ボイラ伝熱管の寿命を著しく縮める要因となる。
また、スケールが完全に剥離してボイラ伝熱管から脱落すると、ボイラ伝熱管において剥離位置の下流側での詰まりを招いて、ボイラ伝熱管の内圧上昇やこれによるボイラ伝熱管の噴破の要因となる他、剥離位置の後流側にある部材(例えばタービン翼等)にエロージョンを生じさせる要因となる。
すなわち、ボイラ設備の健全な運用のためには、スケールの厚さだけでなく、スケールの剥離も含めたスケールの状態を把握する必要がある。
しかし、特許文献1は、スケールの厚さのみに着目していて、スケールの剥離がトラブルの要因となるということについての知見がない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ボイラ伝熱管におけるスケールの状態を正確に予測することができるスケール状態予測方法及びその装置、及び、ボイラ伝熱管の状態予測方法及びその装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のスケール状態予測方法、ボイラ伝熱管状態予測方法、スケール状態予測装置、ボイラ伝熱管状態予測装置、は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるスケール状態予測方法は、ボイラ伝熱管に生じるスケールの状態を予測するスケール状態予測方法であって、前記スケールの構造を決定し、該スケール構造に基づいてその成長、及び応力を受けることにより生じる構造破壊の進行をシミュレートし、このシミュレーションによって得た前記構造破壊の進行過程の情報に基づいて、実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの剥離時期を予測することを特徴とする。
すなわち、本発明にかかるスケール状態予測方法は、ボイラ伝熱管に生じるスケールの状態を予測するスケール状態予測方法であって、前記スケールの構造を決定し、該スケール構造に基づいてその成長、及び応力を受けることにより生じる構造破壊の進行をシミュレートし、このシミュレーションによって得た前記構造破壊の進行過程の情報に基づいて、実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの剥離時期を予測することを特徴とする。
このスケール状態予測方法では、スケール(例えば水蒸気酸化スケール)の構造に着目して、その構造破壊のメカニズムをシミュレートすることによって、構造破壊の進行過程の情報を得る。
ここで、スケールが受ける応力としては、スケール自体が受ける熱応力や、ボイラ伝熱管とスケールとの熱膨張率の差から生じる応力等がある。
そして、このようにして得た構造破壊の進行過程の情報に基づいて、実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの状態を予測して、スケールの剥離(完全な剥離だけでなく浮き上がりも含む)の生じる時期を予測する。
ここで、スケールが受ける応力としては、スケール自体が受ける熱応力や、ボイラ伝熱管とスケールとの熱膨張率の差から生じる応力等がある。
そして、このようにして得た構造破壊の進行過程の情報に基づいて、実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの状態を予測して、スケールの剥離(完全な剥離だけでなく浮き上がりも含む)の生じる時期を予測する。
このように、本発明にかかるスケール状態予測方法では、上記のようにスケールの構造破壊のメカニズムをシミュレートすることによって得た構造破壊の進行過程の情報に基づいてスケールの状態を予測するので、スケールの剥離時期を正確に予測することができる。
また、このスケール状態予測方法では、シミュレーションによって得た情報に基づいて実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの状態を予測するので、非破壊で、かつボイラ設備を停止させることなく、ボイラ伝熱管のスケール状態を予測することができる。
本発明にかかるスケール状態予測方法は、請求項1記載のスケール状態予測方法であって、前記スケール構造を粒界モデルで表し、該粒界モデルに応力を加えるシミュレーションを行うことによって前記スケール構造の破壊の進行をシミュレートすることを特徴とする。
本発明者らが実際にボイラ伝熱管に生じるスケールの構造を解析したところ、スケールは結晶構造を有しており、スケールの剥離は、結晶構造中の結晶粒界の損傷によって生じるということがわかった。
このスケール状態予測方法では、上記の知見に基づいて、スケールの構造を粒界モデルとして表し、実際のスケールの構造破壊のメカニズムである、結晶粒界の損傷をシミュレートしている。
すなわち、このスケール状態予測方法では、より実際のスケール構造の破壊メカニズムに忠実なシミュレーションを行うので、スケール状態の予測精度が高い。
このスケール状態予測方法では、上記の知見に基づいて、スケールの構造を粒界モデルとして表し、実際のスケールの構造破壊のメカニズムである、結晶粒界の損傷をシミュレートしている。
すなわち、このスケール状態予測方法では、より実際のスケール構造の破壊メカニズムに忠実なシミュレーションを行うので、スケール状態の予測精度が高い。
本発明にかかるスケール状態予測方法は、請求項1または2に記載のスケール状態予測方法であって、前記スケール構造の一部の変態についても前記シミュレーションの要素として用いることを特徴とする。
本発明者らが実際にボイラ伝熱管に生じるスケールの構造を解析したところ、スケールにおいて流体との接触面側では、変態が生じていることがわかった。
例えば、ボイラ伝熱管が9Cr(クローム)鋼(Cr含有量9wt%)、2Cr鋼(Cr含有量2wt%)等の低合金鋼からなる場合には、主にマグネタイト(Fe3O4)から構成されるスケールが生じる。そして、このスケールにおいて流体と接触する側では、マグネタイトが変態して、より酸素原子の含有量が多いヘマタイト(Fe2O3)となる。
これは、スケールにおいて流体との接触面側では、ボイラ伝熱管との境界面側に比べて酸素濃度が高く酸化がより進行しやすいためと考えられる。すなわち、スケールにおいて流体との接触面側では、他の領域に比べてより多くの酸素と結合しやすいために、スケールの変態が生じるものと考えられる。
例えば、ボイラ伝熱管が9Cr(クローム)鋼(Cr含有量9wt%)、2Cr鋼(Cr含有量2wt%)等の低合金鋼からなる場合には、主にマグネタイト(Fe3O4)から構成されるスケールが生じる。そして、このスケールにおいて流体と接触する側では、マグネタイトが変態して、より酸素原子の含有量が多いヘマタイト(Fe2O3)となる。
これは、スケールにおいて流体との接触面側では、ボイラ伝熱管との境界面側に比べて酸素濃度が高く酸化がより進行しやすいためと考えられる。すなわち、スケールにおいて流体との接触面側では、他の領域に比べてより多くの酸素と結合しやすいために、スケールの変態が生じるものと考えられる。
このようにスケール構造の一部に変態が生じると、変態によってスケール構造に生じたひずみや、変態した部分と変態していない部分との間の物性の差(熱膨張率の差やヤング率の差)等が影響して、変態を考慮せずに行ったスケール状態のシミュレーション結果と実際のスケール状態との間に差が生じる。
このスケール状態予測方法では、上記の知見に基づいて、スケール構造の一部の変態についてもシミュレーションの要素として用いる。
すなわち、このスケール状態予測方法では、より実際のスケール構造に忠実なシミュレーションを行うので、スケール状態の予測精度が高い。
すなわち、このスケール状態予測方法では、より実際のスケール構造に忠実なシミュレーションを行うので、スケール状態の予測精度が高い。
本発明にかかるスケール状態予測方法は、請求項1から3のいずれかに記載のスケール状態予測方法であって、前記スケール構造の結晶構造の変化についても前記シミュレーションの要素として用いることを特徴とする。
ここで、本発明者らは、実験等により、スケールの発生原理は一つだけではなく、複数あるという知見を得た。
具体的には、スケールは、ボイラ伝熱管を構成する金属内に流体からの酸素が拡散してボイラ伝熱管を構成する金属が酸化されることによって生じるものと、ボイラ伝熱管から流体側に金属成分が拡散してこの金属成分が酸化されることによって生じるものとがある、ということがわかった。これは、スケールが、ボイラ伝熱管の元の表面上に形成されるだけでなく、ボイラ伝熱管の元の表面よりも厚さ方向内側にも形成されることからも明らかである。
具体的には、スケールは、ボイラ伝熱管を構成する金属内に流体からの酸素が拡散してボイラ伝熱管を構成する金属が酸化されることによって生じるものと、ボイラ伝熱管から流体側に金属成分が拡散してこの金属成分が酸化されることによって生じるものとがある、ということがわかった。これは、スケールが、ボイラ伝熱管の元の表面上に形成されるだけでなく、ボイラ伝熱管の元の表面よりも厚さ方向内側にも形成されることからも明らかである。
また、本発明者らは、スケールにおいて流体側とボイラ伝熱管側とでは、結晶構造が異なる場合がある、という知見を得た。
例えば、ボイラ伝熱管が9Cr鋼等の低合金鋼からなる場合には、スケールにおいて流体との接触面側は主に柱状結晶によって構成され、ボイラ伝熱管との境界面側では主に粒状結晶によって構成されることがわかった。このように結晶構造の違いが生じるのは、以下の理由によるものと考えられる。
例えば、ボイラ伝熱管が9Cr鋼等の低合金鋼からなる場合には、スケールにおいて流体との接触面側は主に柱状結晶によって構成され、ボイラ伝熱管との境界面側では主に粒状結晶によって構成されることがわかった。このように結晶構造の違いが生じるのは、以下の理由によるものと考えられる。
ボイラ伝熱管を構成する金属中のFe(鉄)が流体側に拡散することで、ボイラ伝熱管の元の表面上には酸化鉄(主にマグネタイト)の結晶が成長して、酸化鉄の結晶からなるスケールが形成される。一方、このようにFeが拡散することで、ボイラ伝熱管内には拡散したFeと結合していたCrが残されることとなる。
そして、Feの拡散が進行していくにつれて、ボイラ伝熱管にはCrの濃度の高い層(高Cr層Cr)が形成される。このCr濃度の高い層においても、流体から拡散した酸素による酸化が生じるので、この層ではFeとCrとのスピネル構造からなるスケールが形成される。
そして、Feの拡散が進行していくにつれて、ボイラ伝熱管にはCrの濃度の高い層(高Cr層Cr)が形成される。このCr濃度の高い層においても、流体から拡散した酸素による酸化が生じるので、この層ではFeとCrとのスピネル構造からなるスケールが形成される。
そして、従来、スケールの剥離は、ボイラ伝熱管との境界部分で生じると思われていたが、本発明者らは、実験等により、スケールの剥離は、スケール内部の構造が破壊されることによって生じる場合もある、という知見を得た。
すなわち、前記のようにスケールにおいて流体側とボイラ伝熱管側とで結晶構造が異なる場合には、スケールの剥離は、スケール内部で生じる場合がある、との知見を得た。
具体的には、このようにスケールの厚さ方向に結晶構造の違いが生じることにより、結晶構造の境界部分(柱状結晶部分と粒状結晶部分との境界)で結晶粒界の破壊が生じて、スケールの剥離が生じる。
すなわち、前記のようにスケールにおいて流体側とボイラ伝熱管側とで結晶構造が異なる場合には、スケールの剥離は、スケール内部で生じる場合がある、との知見を得た。
具体的には、このようにスケールの厚さ方向に結晶構造の違いが生じることにより、結晶構造の境界部分(柱状結晶部分と粒状結晶部分との境界)で結晶粒界の破壊が生じて、スケールの剥離が生じる。
このスケール状態予測方法では、上記の知見に基づいて、スケール構造の結晶構造の変化についてもシミュレーションの要素として用いる。
すなわち、このスケール状態予測方法では、より実際のスケール構造に忠実なシミュレーションを行うので、スケール状態の予測精度が高い。
すなわち、このスケール状態予測方法では、より実際のスケール構造に忠実なシミュレーションを行うので、スケール状態の予測精度が高い。
本発明にかかるスケール状態予測方法は、請求項1から4のいずれかに記載のスケール状態予測方法であって、前記スケール構造のシミュレーションにて、前記スケール構造中でのボイドの発生及び成長と、前記スケールと前記ボイラ伝熱管との間でのボイドの発生及び成長とのうちの、少なくともいずれか一方をシミュレートすることを特徴とする。
本発明者らが実際にボイラ伝熱管に生じるスケールの構造を解析したところ、スケールの剥離は、スケール構造中や、スケールとボイラ伝熱管との間にボイドが発生し、このボイドが成長することによって生じるということがわかった。
このボイドは、以下の理由によって生じるものと考えられる。
このボイドは、以下の理由によって生じるものと考えられる。
前述したボイラ伝熱管からのFeの拡散によって、スケールにおいてボイラ伝熱管側、またはボイラ伝熱管自体の内周面には、Cr濃度の高い層や、FeとCrとのスピネル構造層とが形成される。
Cr濃度の高い層やFeとCrとのスピネル構造層は、いずれもFeの通過を阻害するので、これらの層よりも流体側には、Feが移動しにくい。しかし、これらの層よりも流体側では、Feが流体側へ比較的自由に移動できる。このため、これらの層の流体側では、Feが欠乏することになり、ボイドが発生する。
Cr濃度の高い層やFeとCrとのスピネル構造層は、いずれもFeの通過を阻害するので、これらの層よりも流体側には、Feが移動しにくい。しかし、これらの層よりも流体側では、Feが流体側へ比較的自由に移動できる。このため、これらの層の流体側では、Feが欠乏することになり、ボイドが発生する。
このスケール状態予測方法では、上記の知見に基づいて、スケール構造中でのボイドの発生及び成長と、スケールとボイラ伝熱管との間でのボイドの発生及び成長とのうちの少なくともいずれか一方をシミュレートしている。
すなわち、このスケール状態予測方法では、より実際のスケール構造の破壊に忠実なシミュレーションを行うので、スケール状態の予測精度が高い。
すなわち、このスケール状態予測方法では、より実際のスケール構造の破壊に忠実なシミュレーションを行うので、スケール状態の予測精度が高い。
本発明にかかるスケール状態予測方法は、請求項1から5のいずれかに記載のスケール状態予測方法であって、前記シミュレーションに用いる要素の情報として、実際に使用中のボイラ伝熱管から得たスケールの状態の情報に基づいて前記シミュレーションを行うことを特徴とする。
このスケール状態予測方法では、実際に使用中のボイラ伝熱管から得たスケールの状態の情報に基づいてシミュレーションを行う。
すなわち、このスケール状態予測方法では、現在稼動中のボイラ設備のボイラ伝熱管について、正確なスケール状態の予測を行うことができる。
すなわち、このスケール状態予測方法では、現在稼動中のボイラ設備のボイラ伝熱管について、正確なスケール状態の予測を行うことができる。
本発明にかかるボイラ伝熱管状態予測方法は、請求項1から6のいずれかに記載のスケール状態予測方法によって得たスケール状態の情報に基づいて、前記ボイラ伝熱管の温度予測と前記クリープ破断時期予測のうちの少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする。
このボイラ伝熱管状態予測方法では、高精度なスケール状態の予測に基づいて、前記ボイラ伝熱管の温度予測と前記クリープ破断時期予測のうちの少なくともいずれか一方を行うので、ボイラ伝熱管の温度の予測精度や、クリープ破断時期の予測精度が高い。
また、クリープ破断の要因となるスケールの浮き上がりを、その発生前から予測するので、クリープ破断の原因段階でクリープ破断時期を予測して、適切な対処を行うことができる。
また、クリープ破断の要因となるスケールの浮き上がりを、その発生前から予測するので、クリープ破断の原因段階でクリープ破断時期を予測して、適切な対処を行うことができる。
本発明にかかるスケール状態予測装置は、ボイラ伝熱管に生じるスケールの剥離時期を予測するスケール状態予測装置であって、前記スケールの構造を決定し、該スケール構造に基づいてその成長、及び応力を受けることにより生じる構造破壊の進行をシミュレートするシミュレート手段と、該シミュレート手段のシミュレーションによって得た前記構造破壊の進行過程の情報に基づいて、実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの剥離時期を予測する剥離時期予測手段とを有していることを特徴とする。
このスケール状態予測装置では、シミュレート手段によって行われるシミュレーションから得た情報に基づいて、剥離時期予測手段によって、実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの剥離時期の予測が行われる。
すなわち、シミュレーションによってボイラ伝熱管に生じるスケールの状態を予測するので、非破壊で、かつボイラ設備を停止させることなく、ボイラ伝熱管のスケール状態を予測することができる。
すなわち、シミュレーションによってボイラ伝熱管に生じるスケールの状態を予測するので、非破壊で、かつボイラ設備を停止させることなく、ボイラ伝熱管のスケール状態を予測することができる。
ここで、このスケール状態予測装置では、例えば、請求項1から6のいずれかに記載のスケール状態予測方法を用いてスケールの状態の予測が行われる。
これにより、スケールの剥離時期をより正確に予測することができ、スケールに浮き上がりが生じる前にボイラ伝熱管のメンテナンスを行って、スケールの浮き上がりや完全な剥離に由来する不具合の発生を未然に防ぐことができる。
これにより、スケールの剥離時期をより正確に予測することができ、スケールに浮き上がりが生じる前にボイラ伝熱管のメンテナンスを行って、スケールの浮き上がりや完全な剥離に由来する不具合の発生を未然に防ぐことができる。
本発明にかかるボイラ伝熱管状態予測装置は、ボイラ伝熱管の状態を予測するボイラ伝熱管状態予測装置であって、請求項8記載のスケール状態予測装置と、該スケール状態予測装置によって得られたスケール状態の情報に基づいて、前記ボイラ伝熱管の温度予測と前記クリープ破断時期予測とのうちの少なくともいずれか一方を行う伝熱管状態予測手段とを有していることを特徴とする。
このボイラ伝熱管状態予測装置では、伝熱管状態予測手段によるボイラ伝熱管の温度予測とクリープ破断時期予測とのうちの少なくともいずれか一方が、本発明にかかるスケール状態予測装置による高精度なスケール状態の予測に基づいて行われるので、ボイラ伝熱管の温度の予測精度や、クリープ破断時期の予測精度が高い。
また、シミュレーションに基づいてボイラ伝熱管の状態を予測するので、非破壊で、かつボイラ設備を停止させることなく、ボイラ伝熱管の状態を予測することができる。
また、クリープ破断の要因となるスケールの浮き上がりを、その発生前から予測するので、クリープ破断の原因段階でクリープ破断を予測して、適切な対処を行うことができる。
また、シミュレーションに基づいてボイラ伝熱管の状態を予測するので、非破壊で、かつボイラ設備を停止させることなく、ボイラ伝熱管の状態を予測することができる。
また、クリープ破断の要因となるスケールの浮き上がりを、その発生前から予測するので、クリープ破断の原因段階でクリープ破断を予測して、適切な対処を行うことができる。
本発明にかかるスケール状態予測方法では、スケールの剥離時期を正確に予測することができる。
これにより、スケールに浮き上がりや完全な剥離が生じる前にボイラ伝熱管のメンテナンスを行って、スケールの浮き上がりや完全な剥離に由来する不具合の発生を未然に防ぐことができる。
また、このスケール状態予測方法では、シミュレーションによって得た情報に基づいて実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの状態を予測するので、非破壊で、かつボイラ設備を停止させることなく、ボイラ伝熱管のスケール状態を予測することができる。
これにより、スケールに浮き上がりや完全な剥離が生じる前にボイラ伝熱管のメンテナンスを行って、スケールの浮き上がりや完全な剥離に由来する不具合の発生を未然に防ぐことができる。
また、このスケール状態予測方法では、シミュレーションによって得た情報に基づいて実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの状態を予測するので、非破壊で、かつボイラ設備を停止させることなく、ボイラ伝熱管のスケール状態を予測することができる。
本発明にかかるボイラ伝熱管状態予測方法によれば、高精度なスケール状態の予測に基づいて、前記ボイラ伝熱管の温度予測と前記クリープ破断時期予測のうちの少なくともいずれか一方を行うので、ボイラ伝熱管の温度の予測精度や、クリープ破断時期の予測精度が高い。
また、クリープ破断の要因となるスケールの浮き上がりを、その発生前から予測するので、クリープ破断の原因段階でクリープ破断時期を予測して、適切な対処を行うことができる。
また、クリープ破断の要因となるスケールの浮き上がりを、その発生前から予測するので、クリープ破断の原因段階でクリープ破断時期を予測して、適切な対処を行うことができる。
本発明にかかるスケール状態予測装置によれば、シミュレーションによってボイラ伝熱管に生じるスケールの状態を予測するので、非破壊で、かつボイラ設備を停止させることなく、ボイラ伝熱管のスケール状態を予測することができる。
本発明にかかるボイラ伝熱管状態予測装置によれば、伝熱管状態予測手段によるボイラ伝熱管の温度予測とクリープ破断時期予測とのうちの少なくともいずれか一方が、本発明にかかるスケール状態予測装置による高精度なスケール状態の予測に基づいて行われるので、ボイラ伝熱管の温度の予測精度や、クリープ破断時期の予測精度が高い。
また、シミュレーションに基づいてボイラ伝熱管の状態を予測するので、非破壊で、かつボイラ設備を停止させることなく、ボイラ伝熱管の状態を予測することができる。
また、クリープ破断の要因となるスケールの浮き上がりを、その発生前から予測するので、クリープ破断の原因段階でクリープ破断を予測して、適切な対処を行うことができる。
また、シミュレーションに基づいてボイラ伝熱管の状態を予測するので、非破壊で、かつボイラ設備を停止させることなく、ボイラ伝熱管の状態を予測することができる。
また、クリープ破断の要因となるスケールの浮き上がりを、その発生前から予測するので、クリープ破断の原因段階でクリープ破断を予測して、適切な対処を行うことができる。
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施の形態では、本発明の構成を、図1に示す発電設備1に用いられるボイラに適用した例を示す。
本実施の形態では、本発明の構成を、図1に示す発電設備1に用いられるボイラに適用した例を示す。
発電設備1は、ボイラ設備2と、ボイラ設備2が発生させた高温高圧の蒸気によって駆動されるタービン3とを有している。
ボイラ設備2は、水を加熱して蒸気を発生させるボイラ6と、ボイラ6が発生させた蒸気を過熱して高温高圧の蒸気とする過熱器7とを有している。
ここで、タービン3は、高圧タービン3aと低圧タービン3bとを有しており、過熱器7によって過熱されて高温高圧となった蒸気は、高圧タービン3aに供給されて、高圧タービン3aを駆動する動力として利用される。
また、ボイラ設備2は、高圧タービン3aの駆動に利用された蒸気を再び過熱する再熱器8を有している。この再熱器8によって過熱されて高温高圧となった蒸気は、低圧タービン3bに供給されて、低圧タービン3bを駆動する動力として利用される。
ボイラ設備2は、水を加熱して蒸気を発生させるボイラ6と、ボイラ6が発生させた蒸気を過熱して高温高圧の蒸気とする過熱器7とを有している。
ここで、タービン3は、高圧タービン3aと低圧タービン3bとを有しており、過熱器7によって過熱されて高温高圧となった蒸気は、高圧タービン3aに供給されて、高圧タービン3aを駆動する動力として利用される。
また、ボイラ設備2は、高圧タービン3aの駆動に利用された蒸気を再び過熱する再熱器8を有している。この再熱器8によって過熱されて高温高圧となった蒸気は、低圧タービン3bに供給されて、低圧タービン3bを駆動する動力として利用される。
タービン4の後段には、タービン4の駆動に用いられた蒸気を冷却して水に戻す復水器9と、復水器9の水をボイラ2に供給する給水ポンプPとを有している。
すなわち、このボイラ設備2では、タービン4の駆動に用いられた蒸気は、復水器9によって水に戻されたのち、給水ポンプPによって再びボイラ6に送り込まれて、蒸気源として再利用される。
すなわち、このボイラ設備2では、タービン4の駆動に用いられた蒸気は、復水器9によって水に戻されたのち、給水ポンプPによって再びボイラ6に送り込まれて、蒸気源として再利用される。
本発明にかかるボイラ伝熱管状態予測装置11は、上記のボイラ設備2のうち、過熱器7に用いられるボイラ伝熱管と再熱器8に用いられるボイラ伝熱管とのうちの少なくともいずれか一方のボイラ伝熱管の状態を予測するものである。
具体的には、ボイラ伝熱管状態予測装置11は、図2に示すように、本発明にかかるスケール状態予測装置12と、スケール状態予測装置12によって得られたスケール状態の情報に基づいて、ボイラ伝熱管の温度予測とクリープ破断時期予測とのうちの少なくともいずれか一方を行う伝熱管状態予測手段13とを有している。
具体的には、ボイラ伝熱管状態予測装置11は、図2に示すように、本発明にかかるスケール状態予測装置12と、スケール状態予測装置12によって得られたスケール状態の情報に基づいて、ボイラ伝熱管の温度予測とクリープ破断時期予測とのうちの少なくともいずれか一方を行う伝熱管状態予測手段13とを有している。
スケール状態予測装置12は、ボイラ伝熱管に生じるスケールの剥離時期を予測するものである。
具体的には、スケールの構造を決定し、スケール構造に基づいてその成長、及び応力を受けることにより生じる構造破壊の進行をシミュレートするシミュレート手段16と、シミュレート手段16のシミュレーションによって得た前記構造破壊の進行過程の情報に基づいて、実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの剥離時期(浮き上がりも含む)を予測する剥離時期予測手段17とを有している。
具体的には、スケールの構造を決定し、スケール構造に基づいてその成長、及び応力を受けることにより生じる構造破壊の進行をシミュレートするシミュレート手段16と、シミュレート手段16のシミュレーションによって得た前記構造破壊の進行過程の情報に基づいて、実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの剥離時期(浮き上がりも含む)を予測する剥離時期予測手段17とを有している。
ここで、図示しないが、シミュレート手段16は、シミュレーションに用いる情報及びシミュレーション結果を記憶する記憶装置と、記憶装置に情報を入力するための入力装置と、記憶装置に記憶された情報に基づいてシミュレーションを行う演算装置(CPU)とを有している。
また、剥離時期予測手段17は、スケール状態の予測に用いる情報を記憶する記憶装置と、記憶装置に情報を入力するための入力装置と、記憶装置に記憶された情報に基づいてシミュレーション結果を分析してスケール状態の予測を行う演算装置とを有している。
また、伝熱管状態予測手段13は、ボイラ伝熱管の状態の予測に用いる情報を記憶する記憶装置と、記憶装置に情報を入力するための入力装置と、記憶装置に記憶された情報とスケール状態予測装置12の予測とに基づいてボイラ伝熱管の状態を予測する演算装置とを有している。
また、剥離時期予測手段17は、スケール状態の予測に用いる情報を記憶する記憶装置と、記憶装置に情報を入力するための入力装置と、記憶装置に記憶された情報に基づいてシミュレーション結果を分析してスケール状態の予測を行う演算装置とを有している。
また、伝熱管状態予測手段13は、ボイラ伝熱管の状態の予測に用いる情報を記憶する記憶装置と、記憶装置に情報を入力するための入力装置と、記憶装置に記憶された情報とスケール状態予測装置12の予測とに基づいてボイラ伝熱管の状態を予測する演算装置とを有している。
これらシミュレート手段16、剥離時期予測手段17、及び伝熱管状態予測手段13の記憶装置、入力装置、及び演算装置は、各手段でそれぞれの装置を独立して有する構成としてもよく、二つ以上の手段で同一の装置を共有する構成としてもよい。
このように構成されるボイラ伝熱管状態予測装置11では、伝熱管状態予測手段13によるボイラ伝熱管の温度予測とクリープ破断時期予測とのうちの少なくともいずれか一方が、スケール状態予測装置12によるスケール状態の予測に基づいて行われる。
以下、スケール状態予測装置12の動作の流れを、図3を用いて示す。
まず、シミュレート手段16によって、以下のシミュレーションを行う。
始めに、スケール構造モデルの作成を行う(ステップS1)。
次に、このようにして作成したスケール構造に基づいて、所定時間経過後におけるその成長、及び応力を受けることにより生じる構造破壊の進行をシミュレートする(ステップS2)。
さらに、このシミュレーションによって得た構造破壊の進行過程の情報に基づいて、スケールの剥離についてもシミュレーションを行い(ステップS3)、スケールの剥離が生じたかどうかを判定する(ステップS4)。
まず、シミュレート手段16によって、以下のシミュレーションを行う。
始めに、スケール構造モデルの作成を行う(ステップS1)。
次に、このようにして作成したスケール構造に基づいて、所定時間経過後におけるその成長、及び応力を受けることにより生じる構造破壊の進行をシミュレートする(ステップS2)。
さらに、このシミュレーションによって得た構造破壊の進行過程の情報に基づいて、スケールの剥離についてもシミュレーションを行い(ステップS3)、スケールの剥離が生じたかどうかを判定する(ステップS4)。
そして、ステップS4にて、スケールの剥離が生じていないと判定された場合には、ステップS2で得た構造破壊の進行過程の情報を加味した上で、再びステップS1以降の処理を行う。すなわち、初回のシミュレーション段階からさらに所定時間が経過した後のスケール構造について、改めて構造破壊の進行のシミュレートを行うとともに、その時点におけるスケールの剥離の有無の判定を行う。
一方、ステップS4にてスケールの剥離が生じたと判定された場合には、ステップS5に移行して、シミュレート手段16によるシミュレーションを終了する。
上記のシミュレーションにおいて、スタート時点からステップS5に移行するまでに経過したシミュレーション上での累積経過時間が、ボイラ設備2の運用開始時点(すなわちスケールの付着が生じていない状態)から、スケールの剥離が生じるまでにかかる時間の予想値である。
そして、剥離時期予想手段17は、上記シミュレーション上での累積経過時間を算出して、スケールの剥離の生じる時期を算出する。
上記のシミュレーションにおいて、スタート時点からステップS5に移行するまでに経過したシミュレーション上での累積経過時間が、ボイラ設備2の運用開始時点(すなわちスケールの付着が生じていない状態)から、スケールの剥離が生じるまでにかかる時間の予想値である。
そして、剥離時期予想手段17は、上記シミュレーション上での累積経過時間を算出して、スケールの剥離の生じる時期を算出する。
以下、上記各ステップS1〜S4について、詳細に説明する。
ステップS1にて行うスケール構造モデルの作成にあたっては、シミュレート手段16には、ボイラ伝熱管に生じるスケールの実際の構造に基づいた情報が与えられ、この情報に基づいて、シミュレート手段16によるスケール構造モデルの作成が行われる。このシミュレート手段16では、例えば有限要素法を用いたシミュレーションが行われる。
ステップS1にて行うスケール構造モデルの作成にあたっては、シミュレート手段16には、ボイラ伝熱管に生じるスケールの実際の構造に基づいた情報が与えられ、この情報に基づいて、シミュレート手段16によるスケール構造モデルの作成が行われる。このシミュレート手段16では、例えば有限要素法を用いたシミュレーションが行われる。
具体的には、ステップS1では、シミュレート手段16には、スケール構造の成長則が与えられる(図4の上側のグラフ参照)。
スケール構造の厚さd(詳細は後述)は、次式(1)で表される放物線則に従うことが知られており、本実施形態においても、スケール構造の成長則は次式(1)を用いている。
d=kt1/2 (1)
ここで、式(1)において、tは時間である。また、kは母材Mの物性によって定まる定数であって、その値は実験により求められる。
なお、図4のグラフによれば、ボイラ伝熱管に供給される蒸気の温度が550°Cから630°Cの範囲内にある場合、ボイラ設備2を数万時間運転させた時点で、スケールの厚さdが100μmに達する。
スケール構造の厚さd(詳細は後述)は、次式(1)で表される放物線則に従うことが知られており、本実施形態においても、スケール構造の成長則は次式(1)を用いている。
d=kt1/2 (1)
ここで、式(1)において、tは時間である。また、kは母材Mの物性によって定まる定数であって、その値は実験により求められる。
なお、図4のグラフによれば、ボイラ伝熱管に供給される蒸気の温度が550°Cから630°Cの範囲内にある場合、ボイラ設備2を数万時間運転させた時点で、スケールの厚さdが100μmに達する。
以下、実際にボイラ伝熱管に生じるスケールの詳細について述べる。
本発明者らの解析によれば、実際にボイラ伝熱管に生じるスケールは、図5のEBSP(Electron Backscatter diffraction Pattern:後方散乱電子回折像)写真に示すように、ボイラ伝熱管の母材M上に形成される、結晶構造の異なる複数の層を有している。
具体的には、スケールは、母材M上に形成される内層スケールSiと、内層スケールSi上に形成される外層スケールSoとを有している。これら内層スケールSiと外層スケールSoとは、ほぼ同一の厚さdに形成される。
また、内層スケールSiは、FeとCrとのスピネル構造(FeCrO3)を有しており、外層スケールSoは、主にマグネタイト(Fe3O4)層によって構成されている。
さらに、外層スケールSoの表面(すなわちボイラ伝熱管内を流れる蒸気に接する表面)には、ヘマタイト(Fe2O3)層Hが形成されている。
このスケール構造の更なる理解のために、図5のEBSP写真に示すスケール構造を、図6に模式的に示す。また、スケール構造の成長の様子を表す模式図を、図7に示す。
本発明者らの解析によれば、実際にボイラ伝熱管に生じるスケールは、図5のEBSP(Electron Backscatter diffraction Pattern:後方散乱電子回折像)写真に示すように、ボイラ伝熱管の母材M上に形成される、結晶構造の異なる複数の層を有している。
具体的には、スケールは、母材M上に形成される内層スケールSiと、内層スケールSi上に形成される外層スケールSoとを有している。これら内層スケールSiと外層スケールSoとは、ほぼ同一の厚さdに形成される。
また、内層スケールSiは、FeとCrとのスピネル構造(FeCrO3)を有しており、外層スケールSoは、主にマグネタイト(Fe3O4)層によって構成されている。
さらに、外層スケールSoの表面(すなわちボイラ伝熱管内を流れる蒸気に接する表面)には、ヘマタイト(Fe2O3)層Hが形成されている。
このスケール構造の更なる理解のために、図5のEBSP写真に示すスケール構造を、図6に模式的に示す。また、スケール構造の成長の様子を表す模式図を、図7に示す。
ここで、本発明者らは、実験等により、スケールの発生原理は一つだけではなく、複数あるという知見を得た。
具体的には、スケールは、ボイラ伝熱管にスケールが存在していない状態(図7(a)参照)から、ボイラ伝熱管を構成する金属(母材M)内に、高温高圧の蒸気からの酸素(O2 2−)が拡散してボイラ伝熱管を構成する金属が酸化されることによって生じるものと、ボイラ伝熱管から蒸気側に金属成分が拡散してこの金属成分が蒸気中の酸素によって酸化されることによって生じるものとがある、ということがわかった。
これは、図6及び図7(b)に示すように、スケールが、旧母材界面W(もともとのボイラ伝熱管の内面)上だけではなく、旧母材界面Wよりも母材M内側(厚さ方向内側)にも形成されていることからも明らかである。
具体的には、スケールは、ボイラ伝熱管にスケールが存在していない状態(図7(a)参照)から、ボイラ伝熱管を構成する金属(母材M)内に、高温高圧の蒸気からの酸素(O2 2−)が拡散してボイラ伝熱管を構成する金属が酸化されることによって生じるものと、ボイラ伝熱管から蒸気側に金属成分が拡散してこの金属成分が蒸気中の酸素によって酸化されることによって生じるものとがある、ということがわかった。
これは、図6及び図7(b)に示すように、スケールが、旧母材界面W(もともとのボイラ伝熱管の内面)上だけではなく、旧母材界面Wよりも母材M内側(厚さ方向内側)にも形成されていることからも明らかである。
また、本発明者らは、スケールにおいて外層スケールSoと内層スケールSiとでは、結晶構造が異なる場合がある、という知見を得た。
例えば、本実施形態で示すボイラ伝熱管は、9Cr鋼によって構成されている。このような低合金鋼からなるボイラ伝熱管では、スケールにおいて蒸気との接触面側(外層スケールSo)は主に柱状結晶によって構成され、母材Mとの境界面側(内層スケールSi)は主に粒状結晶によって構成されることがわかった。このように結晶構造の違いが生じるのは、以下の理由によるものと考えられる。
例えば、本実施形態で示すボイラ伝熱管は、9Cr鋼によって構成されている。このような低合金鋼からなるボイラ伝熱管では、スケールにおいて蒸気との接触面側(外層スケールSo)は主に柱状結晶によって構成され、母材Mとの境界面側(内層スケールSi)は主に粒状結晶によって構成されることがわかった。このように結晶構造の違いが生じるのは、以下の理由によるものと考えられる。
ボイラ伝熱管を構成する金属中のFeが蒸気側に拡散することで、ボイラ伝熱管の旧母材界面W上には酸化鉄(主にマグネタイト)の結晶が成長し、酸化鉄の結晶からなるスケールが形成される。このように形成されるスケールが、外層スケールSoを構成している。
一方、このようにFeが拡散することで、母材M内には拡散したFeと結合していたCrが残されることとなる。そして、Feの拡散が進行していくにつれて、母材M内にはCrの濃度の高い層が形成される。このCr濃度の高い層においても、蒸気から拡散した酸素による酸化が生じるので、この層ではFeとCrとのスピネル構造からなるスケールが形成される。このように形成されるスケールが、内層スケールSiを構成している。
なお、実際には、内層スケールSiは均一な組成ではなく、厚み方向の一部に、局所的にCr濃度の高い層Crが形成されている。
ここで、柱状結晶構造を有する外層スケールSo中では、酸素はO2ガスとして結晶間の隙間を通過することによって拡散する。一方、粒状結晶構造を有する内層スケールSi中では、酸素は酸素イオンO2−としてスケール中を移動することによって拡散する。
一方、このようにFeが拡散することで、母材M内には拡散したFeと結合していたCrが残されることとなる。そして、Feの拡散が進行していくにつれて、母材M内にはCrの濃度の高い層が形成される。このCr濃度の高い層においても、蒸気から拡散した酸素による酸化が生じるので、この層ではFeとCrとのスピネル構造からなるスケールが形成される。このように形成されるスケールが、内層スケールSiを構成している。
なお、実際には、内層スケールSiは均一な組成ではなく、厚み方向の一部に、局所的にCr濃度の高い層Crが形成されている。
ここで、柱状結晶構造を有する外層スケールSo中では、酸素はO2ガスとして結晶間の隙間を通過することによって拡散する。一方、粒状結晶構造を有する内層スケールSi中では、酸素は酸素イオンO2−としてスケール中を移動することによって拡散する。
また、本発明者らが実際にボイラ伝熱管に生じるスケールの構造を解析したところ、スケールにおいて蒸気との接触面側では、変態が生じていることがわかった。
具体的には、スケールにおいて蒸気との接触面側では、主にマグネタイトから構成されるスケールが生じる。そして、このスケールにおいて蒸気と接触する側では、マグネタイトが変態して、より酸素原子の含有量が多いヘマタイトとなる。すなわち、外層スケールSoの表面には、ヘマタイト層Hが形成される。
これは、スケールにおいて蒸気との接触面側では、母材Mとの境界面側に比べて酸素濃度が高く(すなわち酸素分圧PO2が高く)、酸化がより進行しやすいためと考えられる。すなわち、スケールにおいて蒸気との接触面側では、他の領域に比べてより多くの酸素と結合しやすいために、スケールの変態が生じるものと考えられる。
ここで、図6の右辺に、スケールの厚み方向におけるFe2+の濃度を表すグラフ、及び、スケールの厚み方向における酸素分圧PO2を表すグラフを示す。
具体的には、スケールにおいて蒸気との接触面側では、主にマグネタイトから構成されるスケールが生じる。そして、このスケールにおいて蒸気と接触する側では、マグネタイトが変態して、より酸素原子の含有量が多いヘマタイトとなる。すなわち、外層スケールSoの表面には、ヘマタイト層Hが形成される。
これは、スケールにおいて蒸気との接触面側では、母材Mとの境界面側に比べて酸素濃度が高く(すなわち酸素分圧PO2が高く)、酸化がより進行しやすいためと考えられる。すなわち、スケールにおいて蒸気との接触面側では、他の領域に比べてより多くの酸素と結合しやすいために、スケールの変態が生じるものと考えられる。
ここで、図6の右辺に、スケールの厚み方向におけるFe2+の濃度を表すグラフ、及び、スケールの厚み方向における酸素分圧PO2を表すグラフを示す。
上記の知見に基づいて、ステップS1では、シミュレート手段16には、スケールを構成する結晶の結晶粒サイズl、及びヘマタイト層Hの厚さhの情報も与えられる。
発明者らの行った解析の結果、外層スケールSoを構成する結晶の結晶粒サイズをlとすると、lの値の分布はほぼ正規分布に従うものと考えられる。
また、ヘマタイト層Hの厚さhは、スケールの厚さdに依存するものであって、その成長則は実験的に求められる。
発明者らの行った解析の結果、外層スケールSoを構成する結晶の結晶粒サイズをlとすると、lの値の分布はほぼ正規分布に従うものと考えられる。
また、ヘマタイト層Hの厚さhは、スケールの厚さdに依存するものであって、その成長則は実験的に求められる。
次に、ステップS2,S3の説明を行う。
ステップS2,S3にて行うスケール構造の構造破壊の進行のシミュレーション、及びスケール剥離のシミュレーションにあたっては、シミュレート手段16には、スケールの実際の構造破壊のメカニズムに基づいた情報が与えられる。そして、この情報に基づいて、シミュレート手段16によるスケール構造モデルの構造破壊の進行のシミュレーション及びスケール剥離のシミュレーションが行われる。
具体的には、シミュレート手段16には、スケールを構成する結晶の各結晶粒界の粒界破壊抵抗R(各結晶粒界の強度)、各結晶粒界に加わる破壊駆動力F、スケールに加わる外力負荷、外層スケールと母材との温度差ΔT、及び外層スケールの変態ひずみεの情報が与えられる。
ここで、発明者らの行った解析の結果、各結晶粒界の粒界破壊抵抗Rの初期値をR0とすると、R0の値の分布はほぼ正規分布に従うものと考えられる。
ステップS2,S3にて行うスケール構造の構造破壊の進行のシミュレーション、及びスケール剥離のシミュレーションにあたっては、シミュレート手段16には、スケールの実際の構造破壊のメカニズムに基づいた情報が与えられる。そして、この情報に基づいて、シミュレート手段16によるスケール構造モデルの構造破壊の進行のシミュレーション及びスケール剥離のシミュレーションが行われる。
具体的には、シミュレート手段16には、スケールを構成する結晶の各結晶粒界の粒界破壊抵抗R(各結晶粒界の強度)、各結晶粒界に加わる破壊駆動力F、スケールに加わる外力負荷、外層スケールと母材との温度差ΔT、及び外層スケールの変態ひずみεの情報が与えられる。
ここで、発明者らの行った解析の結果、各結晶粒界の粒界破壊抵抗Rの初期値をR0とすると、R0の値の分布はほぼ正規分布に従うものと考えられる。
本発明者らが実際にボイラ伝熱管に生じるスケールの構造を解析したところ、スケールは、上記のように結晶構造を有しており、スケールの剥離(浮き上がりも含む)は、結晶構造中の結晶粒界の損傷によって生じるということがわかった。
このような結晶粒界の損傷は、例えば、ボイラ伝熱管の内圧や、ボイラ設備2の始動時や停止時などに生じる温度変化による熱応力や、スケールと母材Mとの熱膨張率の差によって生じる応力等によって引き起こされる。
このような結晶粒界の損傷は、例えば、ボイラ伝熱管の内圧や、ボイラ設備2の始動時や停止時などに生じる温度変化による熱応力や、スケールと母材Mとの熱膨張率の差によって生じる応力等によって引き起こされる。
さらに、従来、スケールの剥離は、ボイラ伝熱管との境界部分で生じると思われていたが、本発明者らは、実験等により、スケールの剥離は、スケール内部の構造が破壊されることによって生じる場合もある、という知見を得た。
すなわち、前記のようにスケールにおいて蒸気側とボイラ伝熱管側とで結晶構造が異なる場合には、スケールの剥離は、スケール内部で生じる場合がある、との知見を得た。
すなわち、前記のようにスケールにおいて蒸気側とボイラ伝熱管側とで結晶構造が異なる場合には、スケールの剥離は、スケール内部で生じる場合がある、との知見を得た。
具体的には、このようにスケールの厚さ方向に結晶構造の違いが生じることにより、結晶構造の境界部分(柱状結晶部分と粒状結晶部分との境界)で結晶粒界の破壊が生じて、スケールの剥離が生じる。
このようなスケールの内部構造の損傷は、例えば、ボイラ設備2の始動時や停止時などに生じる温度変化によって各層間に生じる応力や、各層間の熱膨張率の差によって生じる応力や、マグネタイト層がヘマタイト層に変態する際に伴う体積膨張によって生じる変態ひずみの応力等によって引き起こされる。以下、これらの応力を総称して、スケール応力σという。
このようなスケールの内部構造の損傷は、例えば、ボイラ設備2の始動時や停止時などに生じる温度変化によって各層間に生じる応力や、各層間の熱膨張率の差によって生じる応力や、マグネタイト層がヘマタイト層に変態する際に伴う体積膨張によって生じる変態ひずみの応力等によって引き起こされる。以下、これらの応力を総称して、スケール応力σという。
スケール応力σは、次式(2)で表される。
σ=K1×E×(α2−α1)×Tm+K2×E×α1×ΔT+K3×E×ε (2)
ここで、α1は外層スケールSoの熱膨張率、α2は母材Mの熱膨張率、εはヘマタイト層Hの変態ひずみ、Eは外層スケールSoのヤング率である。
また、Tmは外層スケールSoの温度と母材Mの温度との平均値、ΔTは外層スケールSoと母材との温度差、K1、K2はそれぞれスケールの厚さと母材Mの厚さとの比に依存する係数、K3はマグネタイト層の厚さとヘマタイト層Hの厚さhとの比に依存する係数である。
σ=K1×E×(α2−α1)×Tm+K2×E×α1×ΔT+K3×E×ε (2)
ここで、α1は外層スケールSoの熱膨張率、α2は母材Mの熱膨張率、εはヘマタイト層Hの変態ひずみ、Eは外層スケールSoのヤング率である。
また、Tmは外層スケールSoの温度と母材Mの温度との平均値、ΔTは外層スケールSoと母材との温度差、K1、K2はそれぞれスケールの厚さと母材Mの厚さとの比に依存する係数、K3はマグネタイト層の厚さとヘマタイト層Hの厚さhとの比に依存する係数である。
また、本発明者らが実際にボイラ伝熱管に生じるスケールの構造を解析したところ、スケールの剥離は、スケール構造中や、スケールとボイラ伝熱管との間にボイドVが発生し、このボイドVが成長することによって生じるということがわかった。
このボイドVは、以下の理由によって生じるものと考えられる。
このボイドVは、以下の理由によって生じるものと考えられる。
前述したボイラ伝熱管からのFeの拡散によって、スケールにおいてボイラ伝熱管側には、Cr濃度の高い層Cr、FeとCrとのスピネル構造層(FeCrO3層)とが形成される。Cr濃度の高い層CrやFeとCrとのスピネル構造層は、いずれもFeの通過を阻害するので、これらの層よりも蒸気側には、Feが移動しにくい。
しかし、これらの層よりも蒸気側では、Feが蒸気側へ比較的自由に移動できる。このため、これらの層の蒸気側では、Feが欠乏することになる。すると、この領域に、結晶粒界を破壊する破壊駆動力Fが生じることとなる。そして、破壊駆動力Fの大きさが結晶粒界の粒界破壊抵抗R以上となると、その結晶粒界が破壊されて、ボイドVが発生する(図7(c)参照)。
しかし、これらの層よりも蒸気側では、Feが蒸気側へ比較的自由に移動できる。このため、これらの層の蒸気側では、Feが欠乏することになる。すると、この領域に、結晶粒界を破壊する破壊駆動力Fが生じることとなる。そして、破壊駆動力Fの大きさが結晶粒界の粒界破壊抵抗R以上となると、その結晶粒界が破壊されて、ボイドVが発生する(図7(c)参照)。
ここで、破壊駆動力F及び各結晶粒界の粒界破壊抵抗Rは時間tの関数であり、各結晶粒界の粒界破壊抵抗Rは、それぞれ次式(3)及び図8のグラフで表される。
R(t)=R0−F(t)・t (3)
シミュレート手段16は、R(t)=0となった時点で、該当する結晶粒界にボイドVが発生したとみなす。
なお、内層スケールSi中にCr濃度の高い層が形成されて、内層スケールSiから外層スケールSoへのFeの移動がしにくくなるにつれて、外層スケールSoにおいて内層スケールSiとの境界近傍でのFeの欠乏が進行する。このため、破壊駆動力Fは、ボイラ設備2の運転時間がある程度経過すると急速に増加するようになる。すなわち、粒界破壊抵抗Rは、ボイラ設備2の運転時間がある程度経過すると急速に減少し、ボイドVの発生数も運転時間がある程度経過すると急激に増加する。
R(t)=R0−F(t)・t (3)
シミュレート手段16は、R(t)=0となった時点で、該当する結晶粒界にボイドVが発生したとみなす。
なお、内層スケールSi中にCr濃度の高い層が形成されて、内層スケールSiから外層スケールSoへのFeの移動がしにくくなるにつれて、外層スケールSoにおいて内層スケールSiとの境界近傍でのFeの欠乏が進行する。このため、破壊駆動力Fは、ボイラ設備2の運転時間がある程度経過すると急速に増加するようになる。すなわち、粒界破壊抵抗Rは、ボイラ設備2の運転時間がある程度経過すると急速に減少し、ボイドVの発生数も運転時間がある程度経過すると急激に増加する。
このようにボイドVが発生して、外層スケールSoと内層スケールSiとの接続部分が減少すると、外層スケールSoと内層スケールSiとの間に生じていたスケール応力σが残りの接続部分に集中することとなる。
このような現象が繰り返されることにより、外層スケールSoと内層スケールSiとの接続部分が破壊されてゆき、外層スケールSoと内層スケールSiとの間にミクロ剥離が形成されてゆく。このようなミクロ剥離が次第に成長することで、外層スケールSoの浮き上がりが生じる。
このような現象が繰り返されることにより、外層スケールSoと内層スケールSiとの接続部分が破壊されてゆき、外層スケールSoと内層スケールSiとの間にミクロ剥離が形成されてゆく。このようなミクロ剥離が次第に成長することで、外層スケールSoの浮き上がりが生じる。
シミュレート手段16は、外層スケールSoを構成する結晶において、ボイラ伝熱管の長手方向、または周方向のうちの少なくともいずれか一方について有限な基準範囲を定めて、この基準範囲内でのシミュレーションを行う。本実施形態では、ボイラ伝熱管の長さLの範囲内でのシミュレーションを行う。
そして、ボイラ伝熱管の長さLに沿った方向の両側にボイドVが形成された結晶(両側をボイドVに挟まれた結晶)では、内層スケールSiとの間に隙間が形成されたものとみなす。
そして、ボイラ伝熱管の長さLに沿った方向の両側にボイドVが形成された結晶(両側をボイドVに挟まれた結晶)では、内層スケールSiとの間に隙間が形成されたものとみなす。
例えば、図7(d)に示す状態では、長さLの範囲内に位置する外層スケールSoの結晶のうち、長さL方向に沿った結晶粒サイズがl1,l2,l3の結晶にて内層スケールSiとの接続部分が破壊されていてミクロ剥離が生じている。すなわち、シミュレート手段16は、長さLのうち、l1+l2+l3の長さだけ、外層スケールSoと内層スケールSiとの間のミクロ剥離が生じているものとみなす。
このようにミクロ剥離が生じた結果、ボイラ伝熱管において長さLの範囲内に残された外層スケールSoと内層スケールSiとの接続部分に作用する有効応力σeffは、次式(4)で表される。
σeff=σ×L/Leff (4)
ここで、Leffは、長さL中に残された接続部分の合計の長さであり、長さL中でミクロ剥離が生じている結晶粒界の長さlに1からiまで番号を付した場合、Leffは次式(5)で表される。
Leff=L−Σli (5)
例えば、図7(d)に示す状態では、式(5)は、次式(6)で表される。
Leff=L−(l1+l2+l3) (6)
σeff=σ×L/Leff (4)
ここで、Leffは、長さL中に残された接続部分の合計の長さであり、長さL中でミクロ剥離が生じている結晶粒界の長さlに1からiまで番号を付した場合、Leffは次式(5)で表される。
Leff=L−Σli (5)
例えば、図7(d)に示す状態では、式(5)は、次式(6)で表される。
Leff=L−(l1+l2+l3) (6)
そして、シミュレート手段16は、この有効応力σeffの値が、限界強度σcritに達した時点で、スケールの剥離(浮き上がり)が生じたものとみなす。
すなわち、スケール状態予測装置12は、上記ステップS4では、剥離時期予測手段17による有効応力σeffと限界強度σcritとの比較を行い、σeff<σcritの場合にはスケールの剥離が生じていないものとしてステップS1に戻り、σeff≧σcritの場合にはスケールに剥離が生じたものとしてステップS5に移行する(図9参照)。
なお、限界強度σcritの値は、実験によって求められる。
すなわち、スケール状態予測装置12は、上記ステップS4では、剥離時期予測手段17による有効応力σeffと限界強度σcritとの比較を行い、σeff<σcritの場合にはスケールの剥離が生じていないものとしてステップS1に戻り、σeff≧σcritの場合にはスケールに剥離が生じたものとしてステップS5に移行する(図9参照)。
なお、限界強度σcritの値は、実験によって求められる。
ここで、前述のように、上記のシミュレーションにおいて、スタート時点からステップS5に移行するまでに経過したシミュレーション上での累積経過時間tfが、ボイラ設備2の運用開始時点から、スケールの剥離が生じるまでにかかる時間の予想値である。
また、前記長さL中にボイドVが占める割合、すなわち次式(7)
(Σli/L)×100) (7)
の値を、ボイド線分率と定義し、その時間変化について、ボイド線分率の値について図4の下段のグラフに示す。
本実施形態にかかるスケール状態検出装置12の剥離時期検出手段17は、このボイド線分率が大きくなった場合に、スケールの剥離が生じているものと判定する構成としてもよい。なお、この判定の閾値は、実験によって求められる。
(Σli/L)×100) (7)
の値を、ボイド線分率と定義し、その時間変化について、ボイド線分率の値について図4の下段のグラフに示す。
本実施形態にかかるスケール状態検出装置12の剥離時期検出手段17は、このボイド線分率が大きくなった場合に、スケールの剥離が生じているものと判定する構成としてもよい。なお、この判定の閾値は、実験によって求められる。
このスケール状態予測装置12では、スケールの構造破壊のメカニズムをシミュレートすることによって得た構造破壊の進行過程の情報に基づいてスケールの状態を予測するので、スケールの剥離時期を正確に予測することができる。
また、このスケール状態予測装置12では、より実際のスケール構造及び実際のスケール構造の破壊メカニズムに忠実なシミュレーションを行うので、スケール状態の予測精度が高い。
また、このスケール状態予測装置12では、より実際のスケール構造及び実際のスケール構造の破壊メカニズムに忠実なシミュレーションを行うので、スケール状態の予測精度が高い。
また、シミュレート手段16によって行われるシミュレーションから得た情報に基づいて、剥離時期予測手段17によって、実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの剥離時期の予測が行われる。
すなわち、シミュレーションによってボイラ伝熱管に生じるスケールの状態を予測するので、非破壊で、かつボイラ設備2を停止させることなく、ボイラ伝熱管のスケール状態を予測することができる。
すなわち、シミュレーションによってボイラ伝熱管に生じるスケールの状態を予測するので、非破壊で、かつボイラ設備2を停止させることなく、ボイラ伝熱管のスケール状態を予測することができる。
そして、本実施形態にかかる伝熱管状態予測手段13は、上記のスケール状態予測装置12によって得たスケール状態の情報に基づいて、ボイラ伝熱管の温度予測とクリープ破断時期の予測とを行う。
具体的には、スケールの剥離が生じていない状態のボイラ伝熱管の温度については、ボイラ伝熱管内に形成されたスケールの厚さの情報に基づいて算出する。
そして、任意時間経過後のボイラ伝熱管の温度を予測する場合には、スケールの成長則に基づいて、予測したい時点でのスケールの厚さを算出し、このスケールの厚さを考慮することで、任意の時間が経過したのちのボイラ伝熱管の温度を算出する。
なお、スケールの厚さとボイラ伝熱管の温度との関係は、実験によって求められる。
具体的には、スケールの剥離が生じていない状態のボイラ伝熱管の温度については、ボイラ伝熱管内に形成されたスケールの厚さの情報に基づいて算出する。
そして、任意時間経過後のボイラ伝熱管の温度を予測する場合には、スケールの成長則に基づいて、予測したい時点でのスケールの厚さを算出し、このスケールの厚さを考慮することで、任意の時間が経過したのちのボイラ伝熱管の温度を算出する。
なお、スケールの厚さとボイラ伝熱管の温度との関係は、実験によって求められる。
一方、スケールの浮き上がりが生じている状態のボイラ伝熱管の温度は、上記の情報に加えて、スケール状態予測装置12によって得たスケールの浮き上がりの規模に基づいて、スケールの浮き上がりによって生じる伝熱の阻害の程度を算出し、この情報に基づいて算出される。
なお、スケールの浮き上がりの規模とスケールの浮き上がりによって生じる伝熱の阻害の程度との関係は、実験によって求められる。
なお、スケールの浮き上がりの規模とスケールの浮き上がりによって生じる伝熱の阻害の程度との関係は、実験によって求められる。
また、このようにしてボイラ伝熱管の温度を予測することで、この温度の情報に基づいて、ボイラ伝熱管のクリープ破断時期を予測する。
ボイラ伝熱管の温度とボイラ伝熱管のクリープ破断時期との関係は、実験によって求められる。
ボイラ伝熱管の温度とボイラ伝熱管のクリープ破断時期との関係は、実験によって求められる。
このボイラ伝熱管状態予測装置11では、伝熱管状態予測手段13によるボイラ伝熱管の温度予測とクリープ破断時期予測とが、本発明にかかるスケール状態予測装置12による高精度なスケール状態の予測に基づいて行われるので、ボイラ伝熱管の温度の予測精度や、クリープ破断時期の予測精度が高い。
また、クリープ破断の要因となるスケールの浮き上がりを、その発生前から予測するので、クリープ破断の原因段階でクリープ破断を予測して、適切な対処を行うことができる。
これにより、スケールに剥離が生じる前にボイラ伝熱管のメンテナンスを行って、スケールの剥離に由来する不具合の発生を未然に防ぐことができる。
ここで、ボイラ伝熱管のメンテナンスは、例えば、化学洗浄によってスケールを洗い流したり、物理的にスケールを除去することによって行われる。また、必要があれば、ボイラ伝熱管の更新も行う。
また、クリープ破断の要因となるスケールの浮き上がりを、その発生前から予測するので、クリープ破断の原因段階でクリープ破断を予測して、適切な対処を行うことができる。
これにより、スケールに剥離が生じる前にボイラ伝熱管のメンテナンスを行って、スケールの剥離に由来する不具合の発生を未然に防ぐことができる。
ここで、ボイラ伝熱管のメンテナンスは、例えば、化学洗浄によってスケールを洗い流したり、物理的にスケールを除去することによって行われる。また、必要があれば、ボイラ伝熱管の更新も行う。
また、シミュレーションに基づいてボイラ伝熱管の状態を予測するので、非破壊で、かつボイラ設備を停止させることなく、ボイラ伝熱管の状態を予測することができる。
ここで、本実施の形態では、ボイラ伝熱管として、9Cr鋼を用いた場合について示したが、ボイラ伝熱管として、9Cr鋼よりもCr含有量の少ない材質、例えば2Cr鋼を用いた場合には、ボイドVの発生位置が異なってくる。
具体的には、ボイラ伝熱管として2Cr鋼を用いた場合、スケール構造の破壊に寄与するボイドVが、スケール構造中ではなく、スケールにおいてボイラ伝熱管の母材Mとの境界部分に発生しやすくなる。この現象は、以下の理由によって生じるものと考えられる。
前述したように、ボイラ伝熱管の内面からは、スケールが形成されるにしたがって、外層スケールSoに向けてFeの拡散が生じて内層スケールSiが形成される。しかし、ボイラ伝熱管を構成する2Cr鋼は、9Cr鋼に比べてCrの含有量が少ないので、内層スケール中のCr濃度はそれほど高くならず、Feの移動があまり妨げられない。
すると、内層スケールSiにおいてボイラ伝熱管の母材Mとの境界部分からもFeが外層スケールSo側に移動する。このため、内層スケールSiにおいて母材Mとの境界部分でFeが欠乏することとなり、この部分にボイドVが生じるものと考えられる。
すると、内層スケールSiにおいてボイラ伝熱管の母材Mとの境界部分からもFeが外層スケールSo側に移動する。このため、内層スケールSiにおいて母材Mとの境界部分でFeが欠乏することとなり、この部分にボイドVが生じるものと考えられる。
このような場合にも、本実施形態にかかるスケール状態予測装置12では、上記のようにスケールの構造破壊のメカニズムをシミュレートすることによって得た構造破壊の進行過程の情報に基づいてスケールの状態を予測するので、スケールの剥離時期を正確に予測することができる。ここで、この場合におけるスケールの成長則及びボイド線分率の時間的変化を、図11のグラフに示す。
なお、ボイラ伝熱管として2Cr鋼を用いた全ての場合において必ず内層層ケールSiと母材Mとの境界部分にボイドVが形成されるわけではなく、ボイラ設備2の運転条件や蒸気の組成等により、9Cr鋼と同様に、外層スケールSoにおいて内層スケールSiとの境界部分にボイドVが生じることもある。
ここで、本実施の形態にかかるスケール状態予測装置12は、上記のように、ボイラ伝熱管におけるスケールの成長を、スケールの発生時点からシミュレーションする構成のほか、シミュレーションに用いる要素の情報として、実際に使用中のボイラ伝熱管から得たスケールの状態の情報に基づいて前記シミュレーションを行う構成としてもよい。
この場合には、現在稼動中のボイラ設備のボイラ伝熱管について、正確なスケール状態の予測を行うことができる。
この場合には、現在稼動中のボイラ設備のボイラ伝熱管について、正確なスケール状態の予測を行うことができる。
11 ボイラ伝熱管状態予測装置
12 スケール状態予測装置
13 伝熱管状態予測手段
16 シミュレート手段
17 剥離時期予測手段
V ボイド
12 スケール状態予測装置
13 伝熱管状態予測手段
16 シミュレート手段
17 剥離時期予測手段
V ボイド
Claims (9)
- ボイラ伝熱管に生じるスケールの状態を予測するスケール状態予測方法であって、
前記スケールの構造を決定し、
該スケール構造に基づいてその成長、及び応力を受けることにより生じる構造破壊の進行をシミュレートし、
このシミュレーションによって得た前記構造破壊の進行過程の情報に基づいて、実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの剥離時期を予測することを特徴とするスケール状態予測方法。 - 前記スケール構造を粒界モデルで表し、
該粒界モデルに応力を加えるシミュレーションを行うことによって前記スケール構造の破壊の進行をシミュレートすることを特徴とする請求項1記載のスケール状態予測方法。 - 前記スケール構造の一部の変態についても前記シミュレーションの要素として用いることを特徴とする請求項1または2に記載のスケール状態予測方法。
- 前記スケール構造の結晶構造の変化についても前記シミュレーションの要素として用いることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスケール状態予測方法。
- 前記スケール構造のシミュレーションにて、前記スケール構造中でのボイドの発生及び成長と、前記スケールと前記ボイラ伝熱管との間でのボイドの発生及び成長とのうちの、少なくともいずれか一方をシミュレートすることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のスケール状態予測方法。
- 前記シミュレーションに用いる要素の情報として、実際に使用中のボイラ伝熱管から得たスケールの状態の情報に基づいて前記シミュレーションを行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のスケール状態予測方法。
- 請求項1から6のいずれかに記載のスケール状態予測方法によって得たスケール状態の情報に基づいて、前記ボイラ伝熱管の温度予測と前記クリープ破断時期予測のうちの少なくともいずれか一方を行うことを特徴とするボイラ伝熱管状態予測方法。
- ボイラ伝熱管に生じるスケールの剥離時期を予測するスケール状態予測装置であって、
前記スケールの構造を決定し、該スケール構造に基づいてその成長、及び応力を受けることにより生じる構造破壊の進行をシミュレートするシミュレート手段と、
該シミュレート手段のシミュレーションによって得た前記構造破壊の進行過程の情報に基づいて、実際のボイラ伝熱管に生じるスケールの剥離時期を予測する剥離時期予測手段とを有していることを特徴とするスケール状態予測装置。 - ボイラ伝熱管の状態を予測するボイラ伝熱管状態予測装置であって、
請求項8記載のスケール状態予測装置と、
該スケール状態予測装置によって得られたスケール状態の情報に基づいて、前記ボイラ伝熱管の温度予測と前記クリープ破断時期予測とのうちの少なくともいずれか一方を行う伝熱管状態予測手段とを有していることを特徴とするボイラ伝熱管状態予測装置。
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JP2003398501A JP2005156086A (ja) | 2003-11-28 | 2003-11-28 | スケール状態予測方法、ボイラ伝熱管状態予測方法、及びその装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011064381A (ja) * | 2009-09-16 | 2011-03-31 | Babcock Hitachi Kk | ボイラ伝熱管のメタル温度推定方法ならびに寿命推定方法 |
KR101139886B1 (ko) | 2010-07-28 | 2012-05-02 | 한국전력공사 | 증기계통 보일러의 세정 시스템 및 세정 방법 |
JP2018072027A (ja) * | 2016-10-25 | 2018-05-10 | 一般財団法人電力中央研究所 | ボイラ水冷壁管材の化学洗浄時期の決定方法、決定装置、及び決定プログラム |
CN116796621A (zh) * | 2023-03-23 | 2023-09-22 | 国能长源荆门发电有限公司 | 一种用于过热器管的氧化检测方法及系统 |
-
2003
- 2003-11-28 JP JP2003398501A patent/JP2005156086A/ja not_active Withdrawn
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