JPH11237912A - 高温構造部材の保守管理方法および装置 - Google Patents

高温構造部材の保守管理方法および装置

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JPH11237912A
JPH11237912A JP3774998A JP3774998A JPH11237912A JP H11237912 A JPH11237912 A JP H11237912A JP 3774998 A JP3774998 A JP 3774998A JP 3774998 A JP3774998 A JP 3774998A JP H11237912 A JPH11237912 A JP H11237912A
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JP
Japan
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crack
structural member
crack length
temperature
future
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JP3774998A
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English (en)
Inventor
Itaru Murakami
格 村上
Takahiro Kubo
貴博 久保
Kazunari Fujiyama
一成 藤山
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】損傷の正確な評価と予測に基づき、構造部材の
健全性を確保しつつ補修量の最適化を図る。 【解決手段】高温構造部材に発生したき裂長さを計測す
ることにより、最大き裂長さとき裂長さ総和とを算出
し、この算出した2つの要素に基づいて、将来の年間運
用時間または起動停止回数の頻度に対応する将来の最大
き裂長さとき裂長さ総和を予測する。予測された最大き
裂長さと構造部材が許容する限界き裂長さとの比較によ
り、構造部材の補修間隔の最大値を求める。一方予測さ
れたき裂長さの総和より補修時のき裂補修量を算出し、
前記構造部材の補修間隔の最大値を超えず、かつ補修量
が最小となる補修間隔または部品の交換寿命を設定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温構造部材の保
守管理方法および装置に係り、特に微小き裂を許容する
部材のき裂損傷に対する保守管理方法あるいは高温状態
で長期間に亘り使用され部材材質が劣化する高温構造部
材の保守管理方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばガスタービンなどの大型の原動機
では、起動および停止の繰り返しに伴う温度変化により
ガスタービン燃焼器、ガスタービン静翼、ガスタービン
動翼などの構造部材に熱応力が発生し、この熱応力によ
る熱疲労損傷が長期間の運用に亘って蓄積され、構造部
材にき裂が発生する。最近の構造物には、損傷許容設計
の概念が取り入れられており、急速に進展して機器全体
の損傷に至る恐れがあるき裂や、構造物の性能を著しく
低下させるき裂以外は、検査によりき裂が認められて
も、無補修で運用に供される場合がある。
【0003】この場合、き裂を許容するか補修するかの
判定は、定期検査を行った時点で、き裂長さ、き裂深さ
などを判断基準として行われているが、この判断基準は
構造部材の設計温度、設計応力あるいは同型機種の使用
実績などに基づいて設定されており、構造部材の製造状
態や運用条件のばらつきなどを包括して安全側の設定と
なっている。
【0004】また、高温構造部材は長期間の運用に亘っ
て高温にさらされると、材質の変化を生じるが、この変
化が材質劣化となる構造部材では、その材質劣化を考慮
して構造部材の健全性を評価する必要がある。さらに、
構造部材の健全性の観点から、き裂が許容される場合で
も、き裂が残存することによって構造部材の損傷が加速
度的に進み、結果的に補修量が増大する可能性も考えら
れる。
【0005】そこで、これらの要因を考慮した構造部材
の合理的な保守管理方法が強く求められている。
【0006】構造部材に発生するき裂の発達過程とし
て、例えば特開昭63−241341号の技術では、構
造部材のき裂の極値統計解析により、実機構造部材のき
裂長さを推定している。しかし、この技術は高温疲労試
験のテストピースの表面観察結果をもとに、実機き裂の
き裂長さを予測するものであり、テストピースのき裂と
比較して1桁〜2桁以上大きい実機き裂にそのまま適用
する事が困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】高温構造部材の補修間
隔や交換時期の設定を的確に行うためには、損傷の正確
な評価と予測に基づき、構造部材の健全性を確保しつつ
補修量の最適化を図る方法が必要とされる。
【0008】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、き裂の発生および成長が主要損傷因子となる構
造部材について、保守管理を適正に行うことができる方
法を提供することを目的とする。
【0009】また、本発明は運用に伴う構造部材の材質
劣化がき裂成長の挙動に影響を与える場合や、材質劣化
が部材の構造信頼性を大きく損なう場合において、構造
部材の合理的な保守管理を行うことができる方法を提供
することを目的とする。
【0010】さらに、本発明は、前記の方法を好適に実
施するたことができる保守管理装置を提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明では、高温構造部材に発生したき
裂長さを計測することにより、最大き裂長さとき裂長さ
総和とを算出し、この算出した2つの要素に基づいて、
将来の年間運用時間または起動停止回数の頻度に対応す
る将来の最大き裂長さとき裂長さ総和を予測し、予測さ
れた最大き裂長さと構造部材が許容する限界き裂長さと
の比較により、構造部材の補修間隔の最大値を求め、一
方予測されたき裂長さの総和より補修時のき裂補修量を
算出し、前記構造部材の補修間隔の最大値を超えず、か
つ補修量が最小となる補修間隔または部品の交換寿命を
設定することを特徴とする高温構造部材の保守管理方法
を提供する。
【0012】請求項2の発明では、請求項1記載の高温
構造部材の保守管理方法において、管理対象となる高温
構造部材が運用に伴って材質劣化するものである場合、
材質劣化度を分極法により計測し、予め求めた材質劣化
度とき裂進展速度との関係により、将来の年間運用時間
または起動停止回数の頻度に対応して構造部材のき裂の
成長を予測することを特徴とする高温構造部材の保守管
理方法を提供する。
【0013】請求項3の発明では、請求項1記載の高温
構造部材の保守管理方法において、管理対象となる高温
構造部材が運用に伴って材質劣化するものである場合、
材質劣化度を分極法により計測し、予め求めた材質劣化
度と材料の破壊じん性との関係により、将来の年間運用
時間または起動停止回数の頻度に対応して、構造部材の
破損に至る限界き裂長さを算出することを特徴とする高
温構造部材の保守管理方法を提供する。
【0014】請求項4の発明では、請求項3記載の高温
構造部材の保守管理方法において、構造部材の破損に至
る限界き裂長の算出方法として、劣化材について計測さ
れた不安定破壊に移行する弾性応力拡大係数に基づい
て、前記劣化材におけるKR 曲線部材の弾性応力解析か
ら限界き裂長さを求めるKR 曲線法を適用することを特
徴とする高温構造部材の保守管理方法を提供する。
【0015】請求項5の発明では、請求項3記載の高温
構造部材の保守管理方法において、構造部材の破損に至
る限界き裂長の算出方法として、劣化材につき不安定破
壊に移行するJ積分値または修正J積分値に基づいて、
劣化材におけるJR 曲線またはJM −R曲線を求め、前
記構造部材の弾塑性応力解析結果から限界き裂長さを求
めるJR 曲線法またはJM −R曲線法を適用することを
特徴とする高温構造部材の保守管理方法を提供する。
【0016】請求項6の発明では、請求項3記載の高温
構造部材の保守管理方法において、構造部材の破損に至
る限界き裂長の算出方法として、劣化材につき不安定破
壊に移行する際の応力と応力拡大係数との関係を表す破
壊評価線図に基づいて、構造部材の弾性応力解析より求
めた応力と応力拡大係数との組合せが前記破壊評価線図
に達するときのき裂長さを求める方法を適用することを
特徴とする高温構造部材の保守管理方法を提供する。
【0017】請求項7の発明では、請求項3記載の高温
構造部材の保守管理方法において、構造部材の破損に至
る限界き裂長の算出方法として、劣化材につき不安定破
壊に移行する応力とJ積分値との関係を表す破壊評価線
図に基づいて、構造部材の弾塑性応力解析より求めた応
力とJ積分値との組合せが前記破壊評価線図に達すると
きのき裂長さを求める方法を適用することを特徴とする
高温構造部材の保守管理方法を提供する。
【0018】請求項8の発明では、運用に伴い材質が劣
化し熱処理により材質が回復する高温構造部材につき、
運用後の材質劣化度および熱処理後の材質回復度を分極
法により計測し、将来の年間運用時間または起動停止回
数の頻度に対応して将来の材質を予測し、その予測され
た材質と前記構造部材の健全性を確保するために必要な
材質との比較により、前記高温部材の保守間隔または交
換寿命を設定することを特徴とする高温構造部材の保守
管理方法を提供する。
【0019】請求項9の発明では、運用に伴い材質が劣
化する高温構造部材につき、酸化層厚さを、超音波法を
用いて非破壊的に計測し、酸化層厚さと運転時間から被
計測部の使用温度を推定し、予め計測した温度および時
間と材質劣化との関係、ならびに前記推定された高温部
材の温度と将来の年間運用時間または起動停止回数の頻
度とに対応して将来の材質の変化を予測し、その予測さ
れた材質と構造部材の健全性を確保するために必要な材
質との比較により、保守間隔または交換寿命を設定する
ことを特徴とする高温構造部材の保守管理方法を提供す
る。
【0020】請求項10の発明では、運用に伴い材質が
劣化する高温構造部材につき、酸化層厚さを電磁気法を
用いて非破壊的に計測し、酸化層厚さと運転時間から被
計測部の使用温度を推定し、予め計測した温度および時
間と材質劣化との関係、ならびに前記推定された高温部
材の温度と将来の年間運用時間または起動停止回数の頻
度に対応して将来の材質の変化を予測し、その予測され
た材質と構造部材の健全性を確保するために必要な材質
との比較により、保守間隔または交換寿命を設定するこ
とを特徴とする高温構造部材の保守管理方法を提供す
る。
【0021】請求項11の発明では、コーティングを有
する高温構造部材表面に発生したき裂深さを超音波法ま
たは電磁気法または電位差法により計測し、将来の年間
運用時間または起動停止回数の頻度に対応して将来のき
裂深さを予測し、許容する限界き裂長さとの比較により
コーティングの交換寿命を設定することを特徴とする高
温構造部材の保守管理方法を提供する。
【0022】請求項12の発明では、高温構造部材の表
面き裂画像を入力する表面画像入力手段と、入力画像か
らき裂の位置および形状を計測する画像処理手段と、き
裂の位置および形状から最大き裂の位置および長さを計
測する最大き裂計測手段と、き裂の位置および形状から
き裂長さ総和を計測する総き裂長さ計測手段と、ガスタ
ービンの運転条件データに基づき構造部材に発生する応
力を解析する応力解析手段と、年間起動停止回数および
年間運用時間等の将来の運用条件を設定する運用条件設
定手段と、将来の運用条件より将来の最大き裂長さを予
測する最大き裂長さ予測手段と、最大き裂位置より構造
部材の破損限界き裂長さを設定する限界き裂設定手段
と、将来の運用条件より将来の総き裂長さを予測する総
き裂長さ予測手段と、総き裂長さより将来の補修量を推
定する補修量推定手段と、最大き裂を限界き裂以下に制
限しながら最適補修間隔を設定する補修間隔最適化手段
とを備えたことを特徴とする高温構造部材の保守管理装
置を提供する。
【0023】請求項13の発明では、高温構造部材のア
ノードピーク電流密度を計測する分極法計測手段と、ア
ノードピーク電流密度の計測データから材質を推定する
材質推定手段と、高温構造部材の材質劣化を回復させる
再熱処理などの材質回復手段と、材質回復手段適用前後
の材質の差から材質の回復度を推定する材質回復度推定
手段と、将来の年間運用時間または年間起動停止回数の
運用形態を加味して将来の材質を予測し、高温構造部材
の保守間隔または交換寿命を推定する保守間隔または交
換寿命推定手段とを備えたことを特徴とする高温構造部
材の保守管理装置を提供する。
【0024】請求項14の発明では、コーティング厚さ
計測手段と、コーティング内に導入されたき裂深さの計
測手段と、年間起動停止回数および年間運用時間等の将
来の運用条件を設定する運用条件設定手段と、現在のコ
ーティング内き裂深さと将来の運用条件より、将来のコ
ーティング内き裂深さを予測するコーティング内き裂深
さ予測手段と、コーティング内き裂深さ予測結果よりコ
ーティング内き裂が基材まで到達する時間を予測するコ
ーティング内き裂の基材到達時期予測手段と、基材に到
達する時間より最適なコーティングの交換寿命を設定す
るコーティング交換寿命設定手段とを備えたことを特徴
とする高温構造部材の保守管理装置を提供する。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る高温構造部材
の保守管理方法の実施形態について、図面を参照して説
明する。なお、以下の実施形態はガスタービンの構造部
材を対象とする保守管理に適用したものである。
【0026】第1実施形態(図1〜図16) 図1は、本実施形態による高温構造部材の保守管理装置
を概念的に示すブロック図である。
【0027】本実施形態では、構造部材の表面き裂画像
を入力する表面画像入力手段1と、この表面画像入力手
段1で得られた入力画像から、き裂の位置および形状を
計測する画像処理手段2と、この画像処理手段2で計測
されたき裂の位置および形状から、最大き裂の位置およ
び長さを計測する最大き裂計測手段3と、き裂の位置お
よび形状から、き裂長さ総和を計測する総き裂長さ計測
手段4と、ガスタービンの運転条件データに基づき構造
部材に発生する応力を解析する応力解析手段5と、ガス
タービンの年間起動停止回数および年間運用時間等の将
来の運用条件を設定する運用条件設定手段6と、将来の
運用条件より将来の最大き裂長さを予測する最大き裂長
さ予測手段7と、最大き裂位置より構造部材の破損限界
き裂長さを設定する限界き裂設定手段8と、将来の運用
条件より将来の総き裂長さを予測する総き裂長さ予測手
段9と、総き裂長さより将来の補修量を推定する補修量
推定手段10と、最大き裂を限界き裂以下に制限しなが
ら最適補修間隔を設定する補修間隔最適化手段11とを
備える。
【0028】以下、各手段1〜11による処理A〜Uに
ついて詳細に説明する。
【0029】A(表面画像入力手段) 表面画像入力手段1は、例えばガスタービン静翼の翼面
画像をCCDカメラなどの画像入力装置より入力するも
のである。画像位置の特定は、翼形状に合わせた専用の
マウント装置に画像入力を固定することにより、もしく
は翼面の形状や特定のマーカー位置を自動判別すること
により行う。また、画像入力に先立ち、染色探傷法や蛍
光探傷法を用いて、き裂の鮮明化処理を行ってもよい。
また、磁粉探傷やレーザ顕微鏡などのスキャニング装置
を用いる場合には、構造部材の曲率に沿ったガイドに画
像入力装置をセットし、計測を行う。
【0030】B(画像処理手段) 画像処理手段2は、画像入力手段1から入力されたデー
タを画像処理し、2値化、細線化等を行い、構造部材の
形状データを参照して、き裂データをディジタル化す
る。なお、画像入力手段としてスキャニング装置を用い
た場合には、画像入力時に画像入力手段の移動量を記録
し、画像データと照合すれば、構造部材の形状データを
参照する必要はない。
【0031】C(最大き裂計測手段および総き裂長さ計
測手段) 最大き裂計測手段3は、ディジタル化したき裂データか
ら最大き裂を抽出するものであり、総き裂長さ計測手段
4は、ディジタル化したき裂データよりき裂長さの総和
を算出するものである。評価対象部材が複数の部品から
構成されている場合などでは、各部品における最大き裂
もしくは総き裂長さをそれぞれ計測し、各部品につき評
価を行ってもよい。
【0032】D(応力解析手段) 応力解析手段5は、たとえばガスタービンの場合、燃焼
ガスの温度・圧力・流量、冷却媒体の流量、タービン回
転数などの設計条件より、部材各部位の温度・応力解析
を行う。また、上記燃焼ガスの温度・圧力・流量、冷却
媒体の流量、タービン回転数などが運転制御装置等で監
視されている場合、実際の計測値を用いて部材各部位の
温度・応力解析を行ってもよい。
【0033】E(運用条件設定手段) 運用条件設定手段6は、将来の年間起動停止回数や年間
運用時間などの運用条件を設定するもので、将来の部材
の運用が計画的になされる場合は、その数値を入力す
る。将来の部材の運用が不確定である場合は、過去の運
用実績から年間起動停止回数あるいは年間運用時間を推
定してもよい。
【0034】F(最大き裂予測手段) 最大き裂予測手段7は、現在の最大き裂と将来の運用条
件から最大き裂の推移を予測するものである。例えば図
2は、ガスタービン静翼に発生するき裂について、最大
き裂長さと起動停止運転回数との関係を示す特性図であ
る。この図2に示すように、最大き裂は初期に指数的に
成長し、その後その成長速度は低下する。部材の起動停
止回数と翼の最大き裂との関係については、翼毎に大き
なばらつきが見られるが、これは、き裂初生から比較的
小さいき裂に進展するまでの期間のばらつきに依存して
おり、最大き裂が100mm程度であれば、その後のき裂
進展挙動のばらつきは小さい。従って、この場合には図
中の評価線をマスターカーブとして、最大き裂の推移を
予測することができる。
【0035】また、応力解析手段5の結果を用いて、最
大き裂先端でのき裂進展速度を算出し、最大き裂の推移
を予測してもよい。例えば弾性応力解析結果に基づい
て、き裂先端の応力拡大係数幅ΔKを算出し、予め求め
たき裂進展速度da/dNとΔKとの関係から、ΔN回
の起動停止回数の後の最大き裂進展量Δamax を算出
し、検査時の最大き裂amax,0 との和amax,0 +Δa
max により、ΔN回の起動停止回数の後の最大き裂長さ
を予測することができる。
【0036】き裂進展速度da/dNとΔKの関係は、
次の(1)式により整理される。
【0037】
【数1】
【0038】従って、実験室的に材料定数C,mを計測
しておけば、き裂進展速度の予測が行える。
【0039】ただし、ガスタービン静翼材に用いられる
材料、例えばCo基合金であるるFSX414等では、
図3に示す応力拡大係数幅−き裂進展速度の特性図に見
られるように、長時間の運用に伴う加熱時効により、き
裂進展速度の上昇が認められる。このような場合には、
加熱劣化を考慮して、き裂進展速度の補正を行う必要が
ある。
【0040】本実施形態では、材質劣化度を分極法によ
り計測し、予め求めた材質劣化度とき裂進展速度との関
係により、将来の年間運用時間または起動停止回数の頻
度に対応して構造部材のき裂の成長を予測することで、
き裂進展速度の補正を行う。
【0041】図4は、このような補正を行う保守管理装
置の構成を示すブロック図であり、図1における最大き
裂予測手段7が、分極法計測手段12、き裂伝ぱ速度推
定手段13、き裂先端応力解析手段14および最大き裂
算出手段15を備えた構成とされている。
【0042】分極計測手段12は、分極法により材質劣
化度を測定するもので、電解液中で溶解する金属量を電
流の変化として計測するものである。
【0043】図5は、この分極法に用いる計測装置の概
念を示したものであり、例えば計測物121の表面に電
解液122を接触させる状態とし、計測物121と電解
液122との間にポータブル分極装置123の照合電極
124および対極125からなる電極プローブ126を
配置して通電を行わせ、電位Vに基づいて劣化を検出す
るようになっている。
【0044】例えばガスタービン静翼材に用いられる前
記のFSX414などでは、粒界への炭化物の析出によ
り材質が劣化するが、Cr 炭化物の形成により基材中の
r量が低下し、基材金属の溶解量が増加することを利
用する。
【0045】また、ガスタービン動翼材に用いられるN
i基超合金であるIN738等では、基材に分散する析
出強化因子のγ′相が凝集粗大化することにより劣化す
るが、この凝集粗大化によってγ′相の溶解量が増加す
るため、分極法により劣化を検出することができる。
【0046】さらに、ガスタービン燃焼器材に用いられ
るNi基超合金であるHastelloy X等では、劣化に伴う
針状の析出物が電解液に溶解するため、分極法によって
劣化を検出することができる。
【0047】また、き裂伝ぱ速度推定手段13は、分極
計測手段12で得られた材料劣化パラメータから、き裂
伝ぱ速度パラメータを推定するもので、例えば(1)式
を用いて応力拡大係数幅から、き裂進展速度を推定する
場合には、(1)式の定数C,mがき裂伝ぱ速度パラメ
ータとなる。
【0048】図6は、一例としてガスタービン静翼材に
用いられるFSX414について、分極法の最大電流密度Ip
と、き裂進展速度パラメータmとの関係を示したもので
ある。また、図7は、その具体例として、熱時効時間と
分極法の最大電流密度Ip との関係を示している。この
ような対応関係に基づき、図6の評価線をマスターカー
ブとして用いることにより、分極法計測結果から、き裂
伝ぱ速度を推定することができる。
【0049】一方、き裂先端応力解析手段14では、き
裂先端位置、き裂長さ、部材の応力分布等に基づいて、
き裂先端の応力を解析する。例えば(1)式により応力
拡大係数幅ΔKから、き裂進展速度da/dNを推定す
る場合には、き裂先端における応力拡大係数幅ΔKを算
出しておき、このΔKを使用すればよい。
【0050】最大き裂算出手段15は、き裂先端の応力
解析結果およびき裂伝ぱパラメータから最大き裂の変化
を算出するもので、下記の(2)式を使用して最大き裂
長さを推定する。
【0051】
【数2】
【0052】G(限界き裂長さ設定手段) 限界き裂長さ設定手段8は、き裂長さの許容限界を設定
する手段である。
【0053】限界き裂長さの設定法としては、き裂の位
置によらず、予め定めた一定の値(例えば250mm)を
以って限界き裂長さとしてもよいが、この方法は運用が
簡便である反面、き裂発生位置によっては設定限界き裂
長さに大きな裕度が必要とされる場合がある。このため
本実施形態では、構造部材の破損に至る限界のき裂長さ
を、最大き裂予測手段7により予測された最大き裂先端
位置と、応力解析手段1によって求められた構造部材の
応力解析結果から破壊力学的手法により求め、限界き裂
長さとする。
【0054】また、ガスタービン静翼材に用いられるF
SX414等では、長時間の加熱時効により破壊靭性の
低下が認められる。このような場合には、加熱劣化を考
慮して破壊靭性の補正を行う必要がある。
【0055】本実施形態では、予め求めた劣化度と材料
の破壊靭性との関係により、将来の年間運用時間または
起動停止回数の頻度に対応して、構造部材の破損に至る
限界長さにより、破壊靭性の補正を行う。
【0056】図8は、このような補正を行う場合の限界
き裂長さ設定手段8を示すブロック図である。本実施形
態では、この図8に示すように、限界き裂長さ設定手段
8が、分極法計測手段12、破壊靭性値解析手段16、
き裂先端応力解析手段14および破損限界き裂解析手段
17を備えた構成とされている。
【0057】分極計測手段12は、分極法により材質劣
化度を測定するものであり、図5に示したものと同様の
手段を適用することができる。
【0058】破壊靭性推定手段16は、分極計測手段1
2で得られた材料劣化パラメータから、材料の破壊靭性
パラメータを推定するもので、例えばガスタービン静翼
材に用いられるFSX414について破壊靭性の指標と
してシャルピ衝撃値を取った場合には、図9に示すよう
に、分極法の最大電流密度Ip とシャルピ衝撃値との間
に良好な相関関係があることから、この図の評価線9を
マスターカーブとして用いることにより、分極法計測結
果から破壊靭性を推定すことができる。
【0059】き裂先端応力解析手段14は、き裂先端位
置、き裂長さ、および構造物の応力分布に基づいてき裂
先端の応力を解析するもので、図4に示した最大き裂予
測手段7のものと同様の手法を適用することができる。
【0060】破損限界き裂解析手段17は、き裂先端の
応力解析結果および材料の破壊靭性値に基づいて、破損
に至る破壊限界き裂長さを算出するもので、き裂先端の
K値またはJ積分値と材料の破壊靭性値KIC、JIC値を
比較し、K≧KICまたは、J≧JICとなる場合に不安定
破壊に至るものとするのが一般的である。しかし、ガス
タービン静翼やガスタービン燃焼器ライナのような薄板
構造部材では、平面ひずみ状態を前提としたKIC、JIC
に基づく破壊力学的評価が成立しないため、板厚効果の
補正が必要となる。
【0061】本実施形態では、この補正を行うため、破
損限界き裂解析手段17として、KR 曲線法、JR 曲線
法もしくはJM-R曲線法を用いる。
【0062】KR 曲線法は、ASTM E561,“St
andard for R-Curve Determination”,pp.563-564. に
規格化されており、主に平面応力状態での弾性応力拡大
係数を用い、き裂長さに塑性域の補正を施して弾塑性状
態への拡張を図ったものである。塑性域補正を行った等
価き裂長さae は、次式(3)で表わされる。
【0063】
【数3】
【0064】従って等価き裂進展量Δae は次式(4)
で表わされ、以下の不安定破壊評価法におけるき裂長さ
として用いる。
【0065】
【数4】
【0066】図10は、荷重制御負荷の場合の不安定破
壊評価法を示している(出典:D.E.McCabe and K.H.Sch
walbe,“Prediction of Instability Using theKR-Cu
rve Approach”,ASTM STP 896, pp.99-113, 1985 )。
この図10におけるKR 曲線は、等価き裂進展量とΔa
e と、材料のき亀裂進展に対する抵抗KRとの関係とし
て、初期き裂長さa0 を基点とした曲線として与えら
れ、各荷重レベルで(P1 ,P2 …)での破壊駆動力と
して、き裂長さaと開口モードの弾性応力拡大係数KI
との関係を引き、両者が接する点Kc が不安定破壊点と
なる。両者が交差する荷重レベルの場合、各々について
交差点の物理的き裂長さからリガメントを求め、そのリ
ガメントに対する塑性崩壊荷重を同時にチェックし、塑
性崩壊が生じない場合について安定・不安定破壊評価を
行う。
【0067】本実施形態では、検査により得られた最大
き裂長さをa0 としとて、部材の負荷応力に基づき、本
評価線図を用いて部材の不安定破壊が生じるか否かを予
測する。
【0068】なお、変位制御の場合には、KI を変位の
関数(き裂駆動力)として表わし、図11に示す変位ご
とのき裂駆動力曲線を描く。本手法は高延性材料につい
ては主に最大荷重点までの評価が有効である。
【0069】また、JR 曲線法は、KR 曲線法のKに代
えてJ積分値を用いる方法であり(J.w.Hutchinson and
P.C.Paris,“Stability Analysis of J-Controlled Cr
ackGrowth",ASTM STP 668,pp.37-64, 1979 )、JM-R
曲線法は、KR 曲線法のKに代えて修正J 積分JM を用
いる方法である(H.A.Ernst,“Further Developmentson
the Modified J-integral", ASTM STP 995, pp.306-31
9, 1989.)。JM は塑性変形など非可逆変形を伴う場合
へのJ 積分の拡張として提案されたもので、次式で定義
される。
【0070】
【数5】
【0071】JR 曲線法およびJM −R曲線法の代表的
なパラメータはTM(TearingModulus )であり、材料
定数である破壊抵抗TMmatと外力駆動力TMappとを計算
し、TMmat=TMappを不安定破壊条件とする。(H.A.Ern
st and J. D. Landes, "Prediction of Instability Us
ing the Modified J, JM −Resistance Curve Approac
h", ASTM STP 896, pp.128-138, 1985.) Jを弾性項Gと塑性項Jplとの和として考えると、T
mmatおよびTmappはそれぞれ次式より求められる。
【0072】
【数6】
【0073】
【数7】
【0074】また、本実施形態では、破損限界き裂解析
手段17として、応力と弾性応力拡大係数Kとの組合せ
または応力とJ積分値との組合せにより、不安定破壊へ
移行するき裂長さを算出する、いわゆる2−パラメータ
法を用いることも可能である。
【0075】応力拡大係数Kに基づく2−パラメータ法
(D.E.McCabe, "A Viewpoint onthe Failure Assessmen
t Diagram", ASTM STP 995, pp.261-279, 1989.) は、
R6法ともよばれ、構造物の破壊に対して次の前提をお
いている。
【0076】(1)純弾性的な脆性破壊は、線形破壊力
学に従う、(2)完全な延性破壊は、塑性崩壊基準に従
う、(3)実際の破壊は、上記の中間であり、(1)と
(2)との組合せで評価できる。
【0077】応力拡大係数と応力との関係は、Dugdale
モデルによっている。即ちDugdaleモデルは、
【数8】
【0078】無限平板の引張りでは、塑性崩壊応力σL
は材料の降伏応力σy に等しいと考えられる。
【0079】R6法では、縦軸に応力拡大係数の無次元
化パラメータKr
【数9】 をとり、横軸に塑性崩壊の無次元化パラメータSr
【数10】 をとる。
【0080】(8),(9),(10)式から、Kr
r の関係は、次式で与えられる。
【0081】
【数11】
【0082】(11)式によって得られた破壊評価線図
を図12に示す。構造部材の応力拡大係数と応力との組
合せが、評価線図の破壊限界の内側にあるときは安全
で、外側にあるときは危険である。
【0083】本実施形態では、設計値A′(K′r
S′r )に対し、検査によって得られた最大き裂長さ、
材料の降伏応力および負荷応力からKr とSr とを定
め、破壊限界値Aとの比較により構造物の不安定破壊を
予測する。
【0084】次に、J積分に基づく2−パラメータ法
は、応力拡大係数Kに基づく2−パラメータ法の弾性−
非弾性換算式の代わりにJ積分またはJM 積分により構
成するものである(J.M.Bloom, "Deformation Plastici
ty Failure Assessment Diagram", ASTM STP 896, pp.1
14-127, 1985. )。(11)式のKr はJ 積分を用いて
次式で表わされる。
【0085】
【数12】
【0086】ここで塑性項JP については、ハンドブッ
クに解析解が掲載されている(Kumar, M.D.German and
C.F.Shih, "An Engineering Approach for Elastic-Pla
sticFracture Analysis" ,EPRI Topical Report NP-193
1, Research Project 1237-1, 1981. )。
【0087】この図13の場合にも、構造部材の応力拡
大係数と応力との組合せが評価線図の破壊限界の内側に
あるときは安定であり、外側にあるときは不安定であ
る。
【0088】J積分に基づく破壊評価線図を図13に示
す。
【0089】H(総き裂長さ予測手段) 総き裂長さ予測手段9は、現在の総き裂長さと将来の運
用条件から総き裂長さの推移を予測するものである。総
き裂長さは、例えばガスタービン静翼き裂の場合、図1
4に示すように起動停止回数に伴い指数関数的に増大す
る(村上他、“検査記録の統計解析に基づくガスタービ
ン静翼のき裂分布予測”、材料学会 第11回信頼性シ
ンポジウム前刷集, pp.169-173, 1992)。き裂の補修を
行った後のガスタービン静翼の総き裂長さの成長は図1
5に示すように、補修を行っていないガスタービン静翼
の総き裂長さの成長と同等である。従って、この場合に
は次式(13)をマスターカーブとして総き裂長さLを予測
できる。
【0090】
【数13】
【0091】なお、複数のき裂が初期に発生して、それ
ぞれのき裂が破壊力学的に成長する構造部材の場合に
は、応力解析手段15の結果を用いて、各き裂先端での
き裂進展速度を算出して総き裂長さを予測してもよい
が、ガスタービン静翼など多数のき裂が連続的に発生
し、互いに連結して成長する構造部材ではこの方法は実
用的ではなく、本実施形態では(13)式をマスターカ
ーブとして採用する。
【0092】I(補修量推定手段) 補修量推定手段10では、予測された総き裂長さLに基
づいて、き裂補修量を推定する。き裂補修量の算出に
は、「一定の基準値(例えば20mm以上など)を超えた
き裂のみを補修すると仮定する」、「き裂発生位置の違
いでき裂長さの重みづけを行う」等の方法を採用しても
よいが、本実施の形態では、単純に
【数14】 として補修量の推定を行う。
【0093】J(補修量最適化手段) 補修最適化手段11は、予測された最大き裂が、設定さ
れた限界き裂を超えないことを制約条件に、補修量を最
小化するものである。本実施形態では、ガスタービン高
温部品の定期的な検査を行い、検査時に補修をおこなう
ことから、次の手順で補修の最適化を行う。
【0094】まず、図16に示すように、ガスタービン
の運転から廃却までの検査回数をn−1、評価時点での
検査回数をjとする。また、i回目の検査後に補修を行
う(あるいは行った)場合はRi =1、補修を行わない
(あるいは行わなかった)場合はRi =0と表わすこと
とする。今後の構造部材の補修計画は、全く補修を行わ
ない場合{R}={Rj ,Rj+1 ,…,Rn }={0,
0,…,0}から、毎回補修を行う場合{R}={1,
1,…,1}まで2n-j+1 通りの選択肢があることにな
る。
【0095】この全ての補修パターンについて、最大き
裂amax の予測を行い、廃却までの間に限界き裂長さを
超える場合を排除する。なお、毎回補修を行っても、い
ずれかの検査時期にamax が限界き裂長さを超える場合
には、その1回前の点検時に該構造部材が使用限界に達
すると判定する。
【0096】次に、各補修時における補修量LRi(i番
目の検査時における補修量)を推定し、廃却までの総補
修量CL を次の式で定義する。
【0097】
【数15】 (15)式により求めた廃却までの総補修量CL の内、
最小のCL を与える{R}を最適補修間隔として選定す
る。
【0098】また、構造部材の廃却寿命が一定でない場
合には、n=j,j+1,j+2…とおいて、それぞれ
のnにつき前記手順で最適補修間隔を求める。最適補修
間隔での総補修量をCLmin,nと書くと、(16)式の値
が最小となるnを使用限界として設定する。
【0099】
【数16】 ここで、(16)式右項のCN は構造部材を廃却して新
品交換する場合のコストに対応する値であり、nが大き
くなるほど左項の値が増大し、右項の値は減少する。
【0100】以上のように、本実施形態によれば、最大
き裂長さと、き裂長さの総和という2つの要素に基づい
て、将来の最大き裂長さの予測値と部材が許容する限界
き裂長さの比較により補修間隔の最大値を求める一方、
き裂長さの総和の予測値から補修時のき裂補修量を求め
るという2つの方法により、安全な領域の範囲内で補修
量を最小とすることができる。
【0101】したがって、損傷の予測に基づき、構造物
の健全性を確保しつつ、最適な保守管理を実現すること
ができる。
【0102】第2実施形態(図17〜図25) 図17は、本発明に係る高温構造部材の保守管理装置の
第2実施形態を概念的に示すブロック図である。
【0103】本実施形態では、高温構造部材のアノード
ピーク電流密度を計測する分極法計測手段21(21
a,21b)と、アノードピーク電流密度の計測データ
から材質を推定する材質推定手段22(22a,22
b)と、高温構造部材の材質劣化を回復させる再熱処理
などを行う材質回復手段23と、材質回復手段適用前後
の材質の差から材質の回復度を推定する材質回復度推定
手段24と、将来の年間運用時間または年間起動停止回
数の運用形態を加味して将来の材質を予測し、高温構造
部材の保守間隔または交換寿命を推定する保守間隔また
は交換寿命推定手段25とを備える。
【0104】K(分極法計測手段) 分極法計測手段21aは、構造部材の被計測部を浸した
電解液中にある電圧を印加したときの電流値を計測する
ものである。被計測部から溶解する金属相の量により電
流値が変化するため、金属組織変化を非破壊的に計測す
ることができる。
【0105】L(材質推定手段) 材質推定手段22aは、分極法計測手段21aにより計
測した電流値から、予め得られている電流値と材質との
相関関係を利用して、被計測部の材質を推定するもので
ある。ここで材質とは、金属組織に依存する引張強度、
延性、クリープ特性、疲労特性、き裂伝ぱ特性、衝撃特
性、破壊じん性などのパラメータを指す。
【0106】一例として、図18に、ガスタービンで採
用されているFSX414を高温で長時間時効した材料
を用いて採取した、材質と電流値との相関を示す。この
図18中では材質として、延性を表わすパラメータの一
つである引張試験の伸びを取り上げ、電流値として、ア
ノードピーク電流値を取り上げている。
【0107】この図18に示すように、両値には明瞭な
相関があるので、分極法計測手段21で計測した電流値
に基づいて、より被計測部の材質を精度良く、かつ非破
壊的に推定することが可能である。
【0108】M(材質回復手段) 材質回復手段23は、運用により劣化した高温構造部材
の材質を回復させるもので、たとえば再熱処理などがこ
れにあたる。
【0109】図19は、ガスタービンの使用翼につい
て、再熱処理前後での高温引張試験片の伸び計測結果
を、未使用材のデータとならべて表示したものである。
未使用材に比べて使用翼で低下した伸びが、再熱処理に
より回復していることが明らかである。
【0110】このように、運用による高温暴露により材
料中に劣化相が出現した場合や、強化相が変形した場合
など、製作時の熱処理を再度施すことにより、材料組織
を未使用時に近い状態まで回復させることができる。
【0111】材質回復手段23の適用によって構造部材
の材質を回復させた後にも、分極法計測手段21bおよ
び材質推定手段22bによって分極法計測および材質推
定を行う。これらの分極計測手段21bおよび材質推定
手段22bの構成は、材質回復手段適用前のもの21
a,21bと同じである。
【0112】N(材質回復度推定手段) 材質回復度推定手段24は、材質回復手段23適用前後
における材質推定手段22a,22bによる推定結果の
差を計算して、材質の回復状態を推定し、構造物の健全
性を確保するために必要な材質と比較するものである。
仕様どおりに材質が回復していない場合は、再度材質回
復手段23を適用するように指示を出す。また、再度の
材質回復手段適用にあたっては、条件の変更あるいは手
法の変更を行う場合もある。
【0113】O(保守間隔または交換寿命推定手段) 保守間隔または交換寿命推定手段25は、材質回復度の
推定結果を基に、将来の年間運用時間または年間起動停
止回数の運用形態を加味して、将来の材質を予測するも
のである。
【0114】図20は、図19に示した回復状況に基づ
いて、構造部材の運転時間と高温引張試験における伸び
との関係を示した図である。未使用材(運転時間=0)
の伸びが、約27%と十分な延性を有しているのに対
し、約45000時間運転された部材の伸びは12%程
度まで低下する。
【0115】しかし、再熱処理を施すと、25%まで回
復する。この運用中の劣化カーブと材質回復手段23に
よる材質回復度から、将来の運用形態を基に、次回の定
期検査時までの材質劣化度合を予測する。例えば健全性
を確保するのに必要な材質を約2%の伸びとすると、回
復を繰り返すことにより約14000時間後に再熱処理
を施すことで、再び材質を回復させることが可能である
と推定される。
【0116】また材質回復手段による材質回復実績か
ら、次回定期検査時に、さらに材質回復手段23を適用
した後の材質を予測することも可能である。その結果に
基づいて、次々回の定期検査時の材質予測など、将来の
運用による材質劣化を的確に評価可能である。
【0117】さらに、この保守間隔または交換寿命推定
手段25では、将来の材質劣化推定結果と、設計で明ら
かになっている構造物の健全性を確保するために必要な
材質との比較により、最も有効な保守間隔を設定できる
だけでなく、構造物の交換寿命を予測することが可能で
ある。
【0118】保守間隔または交換寿命推定においては、
被計測部の温度を正しく評価するために、供試温度推定
手段26から運用中に付着した酸化層厚さに基づく高温
暴露中の供試温度の推定値を入力することで、より正確
な保守管理または交換寿命の推定を行うことが可能であ
る。酸化層厚さの推定方法としては、構造部材を切断し
て顕微鏡などで観察する手法もあるが、部材を非破壊で
計測する手法として、表面超音波法または電磁気法が有
効である。
【0119】表面超音波法では、図21に示すように、
超音波送信プローブ27と超音波受信プローブ28とを
用い、超音波Sを被計測部29に入射させるとともに、
受信する。この表面超音波計測法では、計測周波数を変
化させることにより、図22に示すように、酸化皮膜2
9aと被測定部29表面とのそれぞれを伝ぱする超音波
音速Vの相違が生じる。このため、酸化皮膜29aの厚
さδは図23に示す表面超音波の較正曲線30aによ
り、正確な値を求めることができる。なお被測定部29
の表面超音波音速Vは、予めテストピースにより計測
し、基準線30に対する特性を求めておく。
【0120】一方、渦電流法では、図24に示すように
渦電流プローブ27aを被計測部29に接触または近接
して磁場zを形成し、被計測部29の透磁率と導電率と
から決定される渦電流量を計測する。予め酸化皮膜単独
の渦電流量と、酸化皮膜のない構造材料の渦電流量を計
測しておき、図25に示すように、出力電圧の較正曲線
30bで較正し、酸化皮膜の厚さδを測定するものであ
る。
【0121】以上のように、表面超音波計測法あるいは
渦電流法を用いれば、酸化皮膜の厚さを自動的にかつ非
破壊的に測定できるので、被計測部29の供試温度を精
度良く較正することが可能となり、構造部材の補修間隔
または交換寿命の推定精度を一層高めることができる。
【0122】第3実施形態(図26〜図30) 図26は、本発明の第3実施形態による構造部材の保守
管理装置を概念的に示すブロック図である。
【0123】本実施形態では、コーティング厚さ計測手
段31と、コーティング内に導入されたき裂深さ計測手
段32と、年間起動停止回数および年間運用時間等の将
来の運用条件を設定する運用条件設定手段33と、現在
のコーティング内き裂深さと将来の運用条件より、将来
のコーティング内き裂深さを予測するコーティング内き
裂深さ予測手段34aと、コーティング内き裂深さ予測
結果よりコーティング内き裂が基材まで到達する時間を
予測するコーティング内き裂の基材到達時期予測手段3
4bと、基材に到達する時間より最適なコーティングの
交換寿命を設定するコーティング交換寿命設定手段35
とを備える。
【0124】なお、一般的にコーティングを補修する際
には、全面のコーティングを除去した後、再度コーティ
ングを施すため、き裂深さまたはき裂長さによって補修
量は増減しない。
【0125】P(コーティング厚さ計測手段) コーティング厚さ計測手段31は、運用に伴うコーティ
ングの減肉を計測する手段であり、例えば表面超音波法
によりコーティング層と基材とを伝ぱする超音波の音速
を、あらかじめ定めた周波数で計測することにより得ら
れる。
【0126】図27は、表面超音波法によるコーティン
グ厚さの計測システムを示す図である。物質によって決
定される臨界角方向から送信プローブ36により超音波
を入射した場合、被計測部29の表面を伝ぱする表面超
音波S1が励起され、臨界角方向に漏洩するため、受信
プローブ37にて受信される。
【0127】この表面超音波S1は表面から1波長程度
の深さを伝ぱするため、周波数の選定により特定の深さ
までの情報を選択的に得ることが可能である。ここでは
コーティング層29bの弾性特性と被計測部29の基材
29cの弾性特性とが異なるため、表面超音波S1が伝
ぱする深さの中に、コーティング層29bと基材29c
とがどの程度の割合で含まれるかによって、受信プロー
ブ36で計測される音速が異なる。
【0128】つまり、図28に示すように、表面超音波
S1の伝ぱ深さが、すべてコーティング層29bで占め
られる場合には、コーティング単独の音速が計測され、
コーティング層29bが全くない場合には、基材29c
単独の音速が計測される。さらに、表面超音波が伝ぱす
る深さの中に、コーティング層29bおよび基材29c
の双方が含まれる場合には、コーティング層29bの厚
さによって音速が変化する。
【0129】従って、コーティング施工時のコーティン
グ層29の厚さに対応する周波数の表面超音波の音速を
計測することで、コーティング層29の厚さを計測する
ことが可能である。
【0130】なお、ここでは超音波法による計測技術に
ついて説明したが、他に渦電流法、交流電位差法、直流
電位差法などでも計測可能であるので、それらの手法を
適用してもよい。
【0131】Q(コーティング内き裂深さ計測手段) コーティング内き裂深さ計測手段32は、コーティング
内の最大き裂深さを測定する手段であり、例えば表面超
音波法によりコーティング層近傍を伝ぱする超音波の強
度が、低下する度合いを検出することによって得られ
る。
【0132】図29は表面超音波法によるコーティング
内のき裂深さの計測システム図である。
【0133】コーティング層29bを伝ぱする表面超音
波S1は、コーティング層29b内に存在するき裂38
により反射する。したがって受信プローブ37で検出さ
れる超音波の強度は、プローブ36,37間の最大き裂
深さにより定量的に変化する。
【0134】図30は、検出される超音波強度比と最大
き裂深さとの相関を示した図である。
【0135】き裂38が存在しない(き裂深さが0)場
合の強度を100%として規格化すれば、表面超音波S
1が伝ぱする深さまでき裂38が導入されている場合の
強度は0%となる。表面超音波S1が伝ぱする深さは、
前記のように計測する周波数により決定される。
【0136】本実施形態では、コーティング施工時のコ
ーティング厚さに対応する周波数を計測に用いるが、コ
ーティング厚さ計測手段31により求めた評価時の、コ
ーティング厚さに対応する周波数を用いてもよい。
【0137】また、コーティング層29bのき裂38が
基材29cに達した後の基材29c内部の進展をも考慮
し、その進展量も併せて計測する場合には、より低い周
波数を用いてき裂深さを計測してもよい。ここでは超音
波法による計測技術に説明したが、他に渦電流法、交流
電位差法、直流電位差法などでも計測可能であるので、
それらの手法を適用してもよい。
【0138】R(運用条件設定手段) 運用条件設定手段33は、将来の年間起動停止回数や、
年間運用時間などの運用条件を設定するもので、第1実
施形態で示した運用条件設定手段6と同様のものであ
る。この実施形態の運用条件設定手段33は、将来の部
材の運用が計画的になされる場合には、その数値を入力
する。将来の部材の運用が不確定である場合には、過去
の運用実績に基づいて年間起動停止回数あるいは年間運
用時間を推定してもよい。
【0139】S(コーティング内き裂深さ予測手段) コーティング内き裂深さ予測手段34aは、現在のコー
ティング内き裂の深さと、将来の運用条件から、コーテ
ィング内き裂の進展傾向を予測するものであり、第1実
施形態における最大き裂予測手段と同様である。コーテ
ィング厚さと、き裂深さとの差が、き裂先端から基材ま
での距離に相当するため、本実施形態では、検査時にコ
ーティング厚さを追跡計測することによってコーティン
グ厚さの変化量を予測し、一方、き裂深さは、き裂進展
速度と応力との関係から推定する。
【0140】なお、コーティング層の劣化が、き裂進展
速度に寄与する場合には、第1実施形態と同様の手順で
劣化の影響を補正してもよい。
【0141】また、コーティング層29bの減肉速度
が、き裂進展速度と比較して無視できない場合には、コ
ーティング層29bの減肉に伴うき裂深さの減少も考慮
して、評価を行ってもよい。さらに、コーティング厚さ
の予測と同様に、最大き裂進展の追跡調査を行い、その
進展傾向から将来のき裂深さを予測してもよい。
【0142】T(コーティング内き裂の基材到達時期予
測手段) コーティング内き裂の基材到達時期予測手段34bは、
将来の運用条件で運用された場合の、コーティング内き
裂深さの予測結果と、現在のコーティング厚さから、コ
ーティング層をき裂が貫通し、基材にまで到達する時期
を予測するものである。
【0143】U(コーティング交換寿命設定手段) コーティング交換寿命設定手段35は、コーティングの
交換寿命を設定する手段である。ガスタービン動翼など
では、コーティング層は強度を受け持たないものとして
設計されており、き裂が存在しても運用には支障がない
が、基材のき裂は許容しない。
【0144】したがって、本実施形態では、コーティン
グき裂が基材に到達する時期を限界き裂深さとして設定
し、限界き裂深さに至る直前の点検時をコーティング交
換寿命と設定する。なお、基材き裂を許容する設計の場
合には、き裂深さとコーティング厚さとの差を基材き裂
の深さと定義し、第1実施形態の限界き裂設定手段と同
様の手段により限界き裂深さを設定し、コーティング交
換寿命を設定してもよい。
【0145】以上のように、本実施形態ではコーティン
グを有する構造部材につき、き裂深さの合理的な予測が
行え、構造部材の健全性を確保しつつ最適な保守管理を
実現することができる。
【0146】
【発明の効果】以上で詳述したように、本発明によれ
ば、損傷の正確な評価と予測とに基づき、構造部材の健
全性を確保しつつ補修量の最適化を図ることができ、高
温構造部材の補修間隔や交換時期の設定を的確に行うこ
とができる。
【0147】また、本発明によれば、運用に伴う構造部
材の材質劣化がき裂成長挙動に影響を与える場合や、材
質劣化が部材の構造信頼性を大きく損なう場合について
も、合理的な構造部材の最適保守管理が実現できる。
【0148】従って、保守管理の実施に当って、過度の
安全側評価を避けることができ、保守管理コストを低減
できるなどの効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による保守管理方法およ
び装置を説明するためのブロック図。
【図2】前記第1実施形態における起動停止運転回数と
最大き裂長さの関係を示す図。
【図3】前記第1実施形態における応力拡大係数幅ΔK
とき裂進展速度da/dnの関係を示す図。
【図4】前記第1実施形態における最大き裂予測手段の
構成例を示すブロック図。
【図5】前記第1実施形態における分極法計測装置を示
す図。
【図6】前記第1実施形態におけるガスタービン静翼材
のき裂進展速度パラメータと、分極法で計測された電流
密度との関係を示す図。
【図7】前記第1実施形態におけるガスタービン静翼材
の熱時効時間と分極法で計測された電流密度との関係を
示す図。
【図8】前記第1実施形態における限界き裂設定手段の
構成例を示すブロック図。
【図9】前記第1実施形態におけるガスタービン静翼材
のシャルピ衝撃値と分極法で計測された電流密度との関
係を示す図。
【図10】前記第1実施形態における荷重制御負荷の場
合の不安定破壊評価法を示す図。
【図11】前記第1実施形態における変位毎のき裂駆動
力曲線を示す図。
【図12】前記第1実施形態における破壊評価特性を示
す線図。
【図13】前記第1実施形態におけるJ積分に基づく破
壊評価特性を示す線図。
【図14】前記第1実施形態における起動停止か異数と
総き裂長さの関係を示す図。
【図15】前記第1実施形態におけるプラント総運転時
間と総き裂長さの関係を示す図。
【図16】前記第1実施形態における運転開始から廃却
までの定期検査回数と補修有無について示す図。
【図17】本発明の第2実施形態による保守管理方法お
よび装置を説明するためのブロック図。
【図18】前記第2実施形態におけるガスタービン静翼
材の延性と分極法で計測した電流密度との関係を示す
図。
【図19】前記第2実施形態における運用中の劣化と再
熱処理による材質の回復状況を示す図。
【図20】前記第2実施形態における構造部材の運転時
間と高温引張り試験における伸びとの関係を示す図。
【図21】前記第2実施形態における表面超音波法によ
る構造部材の厚み計測方法を示す図。
【図22】前記第2実施形態における表面超音波法によ
る酸化皮膜厚さ計測方法を示す図。
【図23】前記第2実施形態における酸化皮膜厚さと表
面超音波音速との関係を示す図。
【図24】前記第2実施形態における渦電流法による構
造部材の厚み計測方法を示す図。
【図25】前記第2実施形態における酸化皮膜厚さと渦
電流法による出力電圧との関係を示す図。
【図26】本発明の第3実施形態による保持管理方法お
よび装置を説明するためのブロック図。
【図27】前記第3実施形態における表面超音波法によ
るコーティング厚さの計測システムを示す図。
【図28】前記第3実施形態におけるコーティング厚さ
と表面超音波音速との関係を示す図。
【図29】前記第3実施形態における表面超音波法によ
るコーティング内き裂深さの計測システムを示す図。
【図30】前記第3実施形態におけるコーティング内き
裂深さと超音波の受信強度との関係を示す図。
【符号の説明】
1 表面画像入力手段 2 画像処理手段 3 最大き裂計測手段 4 総き裂長さ計測手段 5 応力解析手段 6 運用条件設定手段 7 最大き裂長さ予測手段 8 限界き裂設定手段 9 総き裂長さ予測手段 10 補修量推定手段 11 補修間隔最適化手段11とを備える。 12 分極法計測手段 13 き裂伝ぱ速度推定手段 14 き裂先端応力解析手段 15 最大き裂算出手段 16 破壊靭性推定手段 17 破損限界き裂解析手段 21,21a,21b 分極法計測手段 22,22a,22b アノードピーク電流密度 23 材質回復手段 24 材質回復度推定手段 25 交換寿命推定手段 26 供試温度推定手段 27 超音波送信プローブ 27a 渦電流プローブ 28 超音波受信プローブ 29 被計測部 29a 酸化皮膜 29b コーティング層 29c 基材 30 基準線 30a 較正曲線 30b 較正曲線 31 コーティング厚さ計測手段 32 き裂深さ計測手段 33 運用条件設定手段 34a コーティング内き裂深さ予測手段 34b コーティング内き裂基材到達時期予測手段 35 コーティング交換寿命設定手段 36 送信プローブ 37 受信プローブ 38 き裂 121 計測物 122 電解液 123 ポータブル分極装置 124 照合電極 125 対極 126 電極プローブ

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温構造部材に発生したき裂長さを計測
    することにより、最大き裂長さとき裂長さ総和とを算出
    し、この算出した2つの要素に基づいて、将来の年間運
    用時間または起動停止回数の頻度に対応する将来の最大
    き裂長さとき裂長さ総和を予測し、予測された最大き裂
    長さと構造部材が許容する限界き裂長さとの比較によ
    り、構造部材の補修間隔の最大値を求め、一方予測され
    たき裂長さの総和より補修時のき裂補修量を算出し、前
    記構造部材の補修間隔の最大値を超えず、かつ補修量が
    最小となる補修間隔または部品の交換寿命を設定するこ
    とを特徴とする高温構造部材の保守管理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高温構造部材の保守管理
    方法において、管理対象となる高温構造部材が運用に伴
    って材質劣化するものである場合、材質劣化度を分極法
    により計測し、予め求めた材質劣化度とき裂進展速度と
    の関係により、将来の年間運用時間または起動停止回数
    の頻度に対応して構造部材のき裂の成長を予測すること
    を特徴とする高温構造部材の保守管理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の高温構造部材の保守管理
    方法において、管理対象となる高温構造部材が運用に伴
    って材質劣化するものである場合、材質劣化度を分極法
    により計測し、予め求めた材質劣化度と材料の破壊じん
    性との関係により、将来の年間運用時間または起動停止
    回数の頻度に対応して、構造部材の破損に至る限界き裂
    長さを算出することを特徴とする高温構造部材の保守管
    理方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の高温構造部材の保守管理
    方法において、構造部材の破損に至る限界き裂長の算出
    方法として、劣化材について計測された不安定破壊に移
    行する弾性応力拡大係数に基づいて、前記劣化材におけ
    るKR 曲線部材の弾性応力解析から限界き裂長さを求め
    るKR 曲線法を適用することを特徴とする高温構造部材
    の保守管理方法。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の高温構造部材の保守管理
    方法において、構造部材の破損に至る限界き裂長の算出
    方法として、劣化材につき不安定破壊に移行するJ積分
    値または修正J積分値に基づいて、劣化材におけるJR
    曲線またはJM −R曲線を求め、前記構造部材の弾塑性
    応力解析結果から限界き裂長さを求めるJR 曲線法また
    はJM −R曲線法を適用することを特徴とする高温構造
    部材の保守管理方法。
  6. 【請求項6】 請求項3記載の高温構造部材の保守管理
    方法において、構造部材の破損に至る限界き裂長の算出
    方法として、劣化材につき不安定破壊に移行する際の応
    力と応力拡大係数との関係を表す破壊評価線図に基づい
    て、構造部材の弾性応力解析より求めた応力と応力拡大
    係数との組合せが前記破壊評価線図に達するときのき裂
    長さを求める方法を適用することを特徴とする高温構造
    部材の保守管理方法。
  7. 【請求項7】 請求項3記載の高温構造部材の保守管理
    方法において、構造部材の破損に至る限界き裂長の算出
    方法として、劣化材につき不安定破壊に移行する応力と
    J積分値との関係を表す破壊評価線図に基づいて、構造
    部材の弾塑性応力解析より求めた応力とJ積分値との組
    合せが前記破壊評価線図に達するときのき裂長さを求め
    る方法を適用することを特徴とする高温構造部材の保守
    管理方法。
  8. 【請求項8】 運用に伴い材質が劣化し熱処理により材
    質が回復する高温構造部材につき、運用後の材質劣化度
    および熱処理後の材質回復度を分極法により計測し、将
    来の年間運用時間または起動停止回数の頻度に対応して
    将来の材質を予測し、その予測された材質と前記構造部
    材の健全性を確保するために必要な材質との比較によ
    り、前記高温部材の保守間隔または交換寿命を設定する
    ことを特徴とする高温構造部材の保守管理方法。
  9. 【請求項9】 運用に伴い材質が劣化する高温構造部材
    につき、酸化層厚さを、超音波法を用いて非破壊的に計
    測し、酸化層厚さと運転時間から被計測部の使用温度を
    推定し、予め計測した温度および時間と材質劣化との関
    係、ならびに前記推定された高温部材の温度と将来の年
    間運用時間または起動停止回数の頻度とに対応して将来
    の材質の変化を予測し、その予測された材質と構造部材
    の健全性を確保するために必要な材質との比較により、
    保守間隔または交換寿命を設定することを特徴とする高
    温構造部材の保守管理方法。
  10. 【請求項10】 運用に伴い材質が劣化する高温構造部
    材につき、酸化層厚さを電磁気法を用いて非破壊的に計
    測し、酸化層厚さと運転時間から被計測部の使用温度を
    推定し、予め計測した温度および時間と材質劣化との関
    係、ならびに前記推定された高温部材の温度と将来の年
    間運用時間または起動停止回数の頻度に対応して将来の
    材質の変化を予測し、その予測された材質と構造部材の
    健全性を確保するために必要な材質との比較により、保
    守間隔または交換寿命を設定することを特徴とする高温
    構造部材の保守管理方法。
  11. 【請求項11】 コーティングを有する高温構造部材表
    面に発生したき裂深さを超音波法または電磁気法または
    電位差法により計測し、将来の年間運用時間または起動
    停止回数の頻度に対応して将来のき裂深さを予測し、許
    容する限界き裂長さとの比較によりコーティングの交換
    寿命を設定することを特徴とする高温構造部材の保守管
    理方法。
  12. 【請求項12】 高温構造部材の表面き裂画像を入力す
    る表面画像入力手段と、入力画像からき裂の位置および
    形状を計測する画像処理手段と、き裂の位置および形状
    から最大き裂の位置および長さを計測する最大き裂計測
    手段と、き裂の位置および形状からき裂長さ総和を計測
    する総き裂長さ計測手段と、ガスタービンの運転条件デ
    ータに基づき構造部材に発生する応力を解析する応力解
    析手段と、年間起動停止回数および年間運用時間等の将
    来の運用条件を設定する運用条件設定手段と、将来の運
    用条件より将来の最大き裂長さを予測する最大き裂長さ
    予測手段と、最大き裂位置より構造部材の破損限界き裂
    長さを設定する限界き裂設定手段と、将来の運用条件よ
    り将来の総き裂長さを予測する総き裂長さ予測手段と、
    総き裂長さより将来の補修量を推定する補修量推定手段
    と、最大き裂を限界き裂以下に制限しながら最適補修間
    隔を設定する補修間隔最適化手段とを備えたことを特徴
    とする高温構造部材の保守管理装置。
  13. 【請求項13】 高温構造部材のアノードピーク電流密
    度を計測する分極法計測手段と、アノードピーク電流密
    度の計測データから材質を推定する材質推定手段と、高
    温構造部材の材質劣化を回復させる再熱処理などの材質
    回復手段と、材質回復手段適用前後の材質の差から材質
    の回復度を推定する材質回復度推定手段と、将来の年間
    運用時間または年間起動停止回数の運用形態を加味して
    将来の材質を予測し、高温構造部材の保守間隔または交
    換寿命を推定する保守間隔または交換寿命推定手段とを
    備えたことを特徴とする高温構造部材の保守管理装置。
  14. 【請求項14】 コーティング厚さ計測手段と、コーテ
    ィング内に導入されたき裂深さの計測手段と、年間起動
    停止回数および年間運用時間等の将来の運用条件を設定
    する運用条件設定手段と、現在のコーティング内き裂深
    さと将来の運用条件より、将来のコーティング内き裂深
    さを予測するコーティング内き裂深さ予測手段と、コー
    ティング内き裂深さ予測結果よりコーティング内き裂が
    基材まで到達する時間を予測するコーティング内き裂の
    基材到達時期予測手段と、基材に到達する時間より最適
    なコーティングの交換寿命を設定するコーティング交換
    寿命設定手段とを備えたことを特徴とする高温構造部材
    の保守管理装置。
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