JP2018072024A - センサ及び把持装置及びロボット及びセンサ初期化方法 - Google Patents
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Abstract
Description
振動荷重によって変形する弾性シートと、弾性シートの表面に設置された高分子圧電体であるPVDF(ポリフッ化ビニリデン)製の圧電フィルムと、圧電フィルムの両面に配置された電極とを有し、弾性シートの変形に伴う圧電フィルムの引っ張り力又は圧縮力による歪みで発電する素子が提案されている(例えば、特許文献1)。
一対の電極と、ゴム又はゴム組成物で形成されて一対の電極間に設けられた中間層を備え、摩擦帯電に似たメカニズムでの帯電と、内部電荷留保による表面電位差の発生とが、中間層の両面の硬度差に基づく変形量の差に起因して静電容量の偏りを生み出すことにより、電荷が移動して発電すると推測される素子が提案されている(特許文献2、3。
特許文献1の場合、圧電フィルムの材質がPVDFであり、柔軟性を有しているが、圧電フィルムを変形させるために十分な負荷をかける時間が必要であり、センサが被把持物に接触した瞬間から電圧信号の出力が開始されるまでの時間が長くなって接触時の圧力検出感度が低下することがある。
特許文献2、3の場合、被把持物の特性の違いにかかわらず接触時の圧力検出感度を向上させることはできるが、長時間圧力がかからない状態であると、帯電量が低下し、最初の摩擦帯電に似たメカニズムでの帯電が必要となり、接触時の検出感度が低下することがある。
本発明は、接触時のセンサの検出感度の向上を図ることを、その目的とする。
図1乃至図8に基づいて第1の実施形態を説明する。図1(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態に係るセンサとしての感圧センサ24、24を備えた把持装置18を有するロボット2の構成と動作を説明する図である。感圧センサ24は、発電素子からなるセンサであり、圧力を電気信号として出力するものである。
ロボット2は、例えば製造ラインで用いられる組み立てロボットである。ロボット2は、図1(a)に示すように、被把持物(対象物)としての部品4が載置されるベース6と、ベース6に固定された支軸8と、支軸8に固定された固定リンク10と、固定リンク10に連続して支持された可動リンク12、14、16と、先端の可動リンク16の端部に設けられた把持装置18とを備えている。本実施形態では、支軸8、固定リンク10、可動リンク12、14、16及び把持装置18によりロボットアームが構成されている。部品4は、可動リンク12、14、16及び把持装置18が作動することで、所定の位置で把持装置18によって把持され、ロボットアームの変位動作により組み立て位置へ移送される。
感圧センサ24、24は、把持部20、22によって部品4が把持されると、部品4との接触によってそれぞれ変形することで電圧信号(電気信号)が出力される。電圧信号は、例えばロボット2に備えられた制御装置100に送られる。
制御装置100は、図2に示すように、演算部、記憶部、タイマなどを備えたコンピュータで構成されている。制御装置100には、ロボット2の電源101と感圧センサ24,24と、把持部20、22を開閉動作するための駆動源203とが信号線を介して接続されている。制御装置100は、感圧センサ24,24からの出力に応じて把持装置18の把持力を、駆動源203を制御することで制御するとともに、感圧センサ24,24の初期化動作と初期化制御を実行するように構成されている。ここで、図1(b)は把持装置18の把持部20、22が開いた状態を示し、図1(c)は、把持部20、22が閉じた状態を示す。この把持装置18の把持部20、22の開閉動作は、後で述べる感圧センサ24、24の初期化動作でもある。この初期化動作は、図1(b)と図1(c)の状態となるように開閉動作を所定回数繰り返し、感圧センサ24、24に測定時以外に圧力を複数回付与する加圧動作である。つまり、感圧センサ24は、測定時以外に圧力が付与されることで初期化される。
このような初期化動作による初期化方法を行うことにより、感圧センサ24、24からの電圧信号の線形性を持つ測定が高感度で可能となる。初期化動作による効果については後述する。なお、感圧センサ24、24の構成は、同一構成であるので、以下、一方の感圧センサ24の構成について説明する。
このため、カバー32は、部品4との接触による第1の電極26の保護を主目的としており、中間層30への接触圧の伝達を阻害しない厚み、材質(硬さ)を有する。可撓性を有するカバー32の材質としては、例えば樹脂材であるPET(ポリエチレンテレフタレート)を採用することができるが、PETに限定するものではなく、類似の特性の樹脂材であってもよい。なお、本実施形態では、第2の電極28の表面28aもカバーで覆っているので、感圧センサ24は第1の電極26と第2の電極28とをひっくり返して使用することも可能である。
中間層30はゴム又はゴム組成物からなり、積層方向(厚み方向)aにおける一方側が、該一方側と他方側とで同じ変形付与力に対する変形の度合いが異なるように且つ電荷を蓄積できるように表面改質処理及び/又は不活性化処理がなされている。この点については後で詳細に説明する。
(2)図5に示すように、プローブ42の先端にスポンジ44を貼り付け、タッキングを行う。
(3)図4のオシロスコープ40に表示された電圧波形を記録し、3回繰り返した平均データを取得する。
本実施形態に係る感圧センサ24の中間層30のヤング率は0.01Gpaである。中間層30のヤング率は、後述するゴム組成物の詳細な記載において硬度を測定している測定機(フィッシャー社製、超微小硬度計WIN−HUD)、及び同測定条件を用い、10μm深さの硬度より換算した値を用いている。
図6は、複数の感圧センサ24の発生電圧の例である。横軸は、タッキング試験機による同一センサへの押しつけ(測定)回数である。また、出力をVmin(V)で示しているのは、圧縮時にセンサの出力が、この構成では、負になるためである。便宜的に示している。複数の感圧センサ24のサンプルは、同一仕様で、4つ作製し、グラフ上では、サンプル1,2,3,4と示している。なお、図7、図8のグラフに出てきたサンプルの場合、数字が同じものはこの構成と同一センサである。また、図6において、規定値Bは、図7に示されているものと同一である。図6の計測結果から分かるように、サンプル1−4ともに、最初の数回とそれ以上では、発生している電圧が異なることが分かる。この影響で加重に対するセンサからの出力の線形性に問題があった。本実施形態では、センサごとの規定値B(今回の構成では、負の値)を測定し、それに対応した初期化を行うことにより、より正確な測定が可能となる。
制御装置100は、ステップST1において電源101のオン状態を検知し、オン状態であるとステップST2に進む。制御装置100は、ステップST2において感圧センサ24,24からの出力電圧Vを測定部103で測定する。制御装置100はステップST3において規定値Aと出力電圧Vとを比較する。規定値Aは、ノイズの大きさや他の電源に接触しているか否かを確認するためのものであり、初期化の有無の必要性を判定する。出力電圧Vが規定値Aよりも低い場合、例えば0に近い場合には初期化必要と判定してステップST4に進む。
制御手段100は、ステップST4において、最初の押しつけ動作を実行し、ステップST5において、押しつけ動作時の感圧センサ24、24の出力電圧V1を測定部103で測定し、ステップST6において規定値Bと出力電圧V1とを比較する。押しつけ動作とは、把持部20,22を図1(b)の開状態から図1(c)に示すように閉状態として感圧センサ24、24を互いに圧接する動作である。ここでの加重は、例えば表5の375gf(所定加重)とする。所定加重が作用したか否かは、駆動部103の作動状態から制御装置100で判定してもよいし、感圧センサ24、24からの出力電圧から判定してもよい。
制御装置100は、出力電圧V1が規定値Bに達しない場合には、ステップST4に戻り、閉状態の把持部20,22を一旦離して開状態とし、同一の加重で閉状態として押しつけ動作を行う。本構成では、出力電圧Vが負になるので、V>Bの場合、出力電圧Vがよりゼロ(アースレベル)に近いことになる。つまり、本実施形態において、規定値Bは予め設定した電圧であり、感圧センサ24は複数回加圧することにより初期化する。そして、制御装置100は、出力電圧V1が規定値Bと等しいか、負の値として大きくなったときにステップST7に進んで測定準備完了とし、ステップST8に進んで部品4を把持して圧力測定を開始する。
一方、制御装置100は、ステップST3において、出力電圧Vが規定値A以上の場合には異常であると判定し、ステップST9に進んでセンサ初期化動作を停止する。ここでの異常とは、例えばノイズ大、短絡などを指す。
図8は、同一構成で、前記初期化を行った場合で、加重を変化させた例である。図9は、同一構成で、前記初期化を行わない場合で、加重を変化させた例である。前記初期化を行わないとは、感圧センサ24をセットしたまま2日間放置して、すぐ測定を始めた場合である。
測定は、どちらも100gfから加重値を増やして測定している。初期化を行ったものは、図8に示すように、サンプル1〜サンプル4とも1000gf程度まで、線形性を持った形の電圧で出力されている。しかし、初期化を行わなかった測定では、図9に示すように、小さな加重値で線形性が失われている。これより大きい部分では、線形性を持つように見えるが、これは、徐々に初期化と同じような効果が、測定によりなされているためと考えられる。
本実施形態では、特開2016−103967(特許文献2)と同様に、中間層30とこれに対向する第1の電極26、第2の電極28との間に摩擦ないし剥離帯電が生じ、電荷が蓄えられる。電荷が蓄えられると、中間層30と第1の電極26、第2の電極28との間に静電容量の変化が生じて発電がなされると考えられる。この初期化の有無による結果の違いは、まさに、初期の電荷蓄積プロセスの存在により起こっていると考えられる。
次に図10、図11、図12を用いて、本発明に係る第2の実施形態について説明する。本実施形態に係るセンサは、シート状のセンサ(以下「センサシート」と記す)50である。センサシート50は、発電素子からなるセンサ(感圧センサ24と同様もの)をマトリックス状にしたものであり、圧力を電気信号として出力する感圧センサとして用いる。
センサシート50は、一対の電極51,52と、一対の電極51,52の間に配置された中間層53を備えている。一方の電極51は、符号51a〜51eで示す複数の上部電極(第1の電極)を備えている。他方の電極52は、符号52a〜52で示す複数の下部電極(第2の電極)を備えている。上部電極51a〜51eと下部電極52a〜52jは、並び方向にそれぞれ間隔をかけて配置されている。上部電極51a〜51eと下部電極52a〜52jとは、中間層53を介して互いに直交するように配置されている。
上部電極51a〜51eと下部電極52a〜52jとの重なり合う部分で1つのセル55が構成されている。本実施形態では、セル55が50セル形成されている。セル55は座標として認識される。本実施形態では、上部電極51aと下部電極52aが重なることで構成されるセル55の座標を(0,0)とし、上部電極51b〜51eにかけて(0,1)〜(0,4)としている。また、セル55の座標は、下部電極52a〜下部電極52jへと進むにつれて(1,0)〜(9,0)とされている。中間層53は、第1の実施形態で説明した中間層30に対応する。中間層53は、絶縁性が高いため隣のセルには影響しない。つまり、センサシート50は、シート状のセンサであり、複数に絶縁さられて直交する部分をセル55とし圧力分布を測定するである。
図12は、センサシート50の初期化制御の例を示すフローチャートである。初期化制御については、基本的には図7のフローチャートと類似している。この制御は、例えば図1(b)に示す制御装置100Aで行うことができる。制御装置100Aの記憶部には、規格値A、規格値Bが予め設定されているとともに、ローラ201またはローラ202の駆動源となく駆動モータ204、電源205と、センサシート50の電圧を計測(検出)する測定部(検出部)206が信号線を介して接続されている。この規格値A、規格値Bは、任意に変更可能にとしてもよい。本実施形態では、制御手段100Aによって駆動モータ204の駆動が制御される。
制御手段100Aは、ステップST14において、最初の押しつけ動作を実行し、ステップST15において、押しつけ動作時のセンサシート50の出力電圧V1を測定部206で計測し、ステップST16において規定値Bと出力電圧V1とを比較する。押しつけ動作とは、図11(a)〜(b)に示すように、センサシート50を、ローラ201、202が接触、好ましくは圧接することで形成される把持部としてのニップ部200Aを通過させることとする。ここでの加重は、例えば表5の375gfである。
制御装置100Aは、1つのセルからの出力電圧V1が規定値Bに達しない場合には、駆動モータ204を逆転駆動してセンサシート50を最初の押し付け時とは逆方向に移動させ、再度、ニップ部200Aを通過させることで加圧を行う。本構成では、出力電圧V1が負になるので、V1>Bの場合、V1がよりゼロ(アースレベル)に近いことになる。そして、制御装置100Aは、全てのセルからの出力電圧V1が規定値Bと等しいか、負の値として大きくなったときにステップST17に進んで測定準備完了とし、ステップST18に進んでセンサシート50による圧力測定を開始する。
一方、制御装置100Aは、ステップST13において、出力電圧Vが規定値A以上の場合には異常であると判定し、ステップST19に進んでセンサ初期化動作を停止する。ここでの異常とは、例えばノイズ大、短絡などを指す。
また、センサシート50の初期化は、ニップ部200Aに対するセンサシート50の通過回数による初期化ではなく、単にセンサシート50を厚さ方向からプレス機などでプレスしてもよい。この場合にはプレス回数やプレス圧をセンサシート50の帯電量に応じて可変制御するようにしてもよい。
第2の実施形態では、制御装置100Aとセンサシート50とを測定部206を介して有線接続しているので、ローラ201を正逆回転させることで、センサシート50を往復動作させて初期化を行ったが、センサシート50に対する初期化動作は、このような形態に限定されるものではない。例えば、センサシート50から出力された出力電圧V、V1の情報を無線で飛ばして制御装置100A側で受信して電圧測定する場合には、往復動作ではなく、正転方向に回転しているローラ201、202のニップ部200Aに対して回転方向上流側から、規定の出力電圧V1となるまで通過させて加圧する動作を初期化動作としてもよい。
本実施形態は、図13に示すように、手袋66の手のひらに対応する部分に、センサとしての感圧センサを複数配置したものである。本実施形態に係る感圧センサの構成としては、第1の実施形態で説明した感圧センサ24あるいは第2の実施形態で説明したセンサシート50と同一の構成のものを用いることができる。複数の感圧センサのうち、手の掌の部位には面積の大きい感圧センサ68aが設けられ、各指部にはそれぞれ小面積の感圧センサ68b、68c、68d、68e、68fが設けられている。
そして、このセンサ付き手袋66を人間の手や義手の両手に装着し、事前に両手でセンサ同士を10回程度押しつけ動作させておくことにより、人間の感覚を電気信号に違和感なく変換することができる。すなわち、両手あるいは片手で把持する被把持物に対する接触力を電気信号で定量化することができる。つまり、接触時の検出感度の向上を図ることができる。これにより、人間の皮膚と同程度の感触の再現を行うことができる。また、感圧センサ68a〜68fを脳と信号線で接続することで、脳への直接的な電気刺激による感覚の付与などが可能となる。
例えば、本発明に係るセンサを衣服に装着することにより、人の動作をモニタリングするシステム、あるいは衣服の密着感を数値化し自分に合った着衣をオーダーできるシステムを、接触時の検出感度の向上を図りつつ実現できる。
本発明に係るセンサを靴のインソールに装着することにより、歩くときの重心の移動を検知するシステムを接触時の検出感度の向上を図りつつ実現でき、あるいは靴の内側に張り巡らせることにより靴ずれを予測するシステムを接触時の検出感度の向上を図りつつ実現できる。
この他にも、高感度に圧力を検知し且つ柔軟性が求められる用途での種々の分野に展開が可能である。
以下に、前記特性を発現させるための電極と中間層の材質等の詳細を説明する。
第1の電極、及び第2の電極の材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第1の電極、及び第2の電極において、その材質、形状、大きさ、構造は、同じであってもよいし、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
第1の電極、及び第2の電極の材質としては、例えば、金属、炭素系導電材料、導電性ゴム組成物、導電性高分子、酸化物などが挙げられる。
前記導電性フィラーとしては、例えば、炭素材料(例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンファイバー(CF)、カーボンナノファイバー(CNF)、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェンなど)、金属フィラー(金、銀、白金、銅、アルミニウム、ニッケルなど)、導電性高分子材料(ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、及びポリパラフェニレンビニレンのいずれかの誘導体、又は、これら誘導体にアニオン若しくはカチオンに代表されるドーパントを添加したものなど)、イオン液体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第1の電極の形状、及び第2の電極の形状としては、例えば、薄膜などが挙げられる。第1の電極の構造、及び第2の電極の構造としては、例えば、織物、不織布、編物、メッシュ、スポンジ、繊維状の炭素材料が重なって形成された不織布であってもよい。
中間層は、可撓性を有する。
中間層においては、以下の条件(1)及び条件(2)の少なくともいずれかを満たす。
条件(1):中間層の面に対して直交する方向から中間層が加圧された際に、中間層における第1の電極側(一方側)の変形量と、中間層における第2の電極側(他方側)の変形量とが、異なる。
条件(2):中間層の第1の電極側における10μm押し込み時のユニバーサル硬度(H1)と、中間層の第2の電極側における10μm押し込み時のユニバーサル硬度(H2)とが、異なる。
本発明において、変形量とは、以下の条件で中間層を押し付けた際の、圧子の最大押し込み深さである。
測定機:フィッシャー社製、超微小硬度計WIN−HUD
圧子:対面角度136°の四角錐ダイヤモンド圧子
初期荷重:0.02mN
最大荷重:1mN
初期荷重から最大荷重までの荷重増加時間:10秒間
{測定条件}
測定機:フィッシャー社製、超微小硬度計WIN−HUD
圧子:対面角度136°の四角錐ダイヤモンド圧子
押し込み深さ:10μm
初期荷重:0.02mN
最大荷重:100mN
初期荷重から最大荷重までの荷重増加時間:50秒間
前記ゴム組成物としては、例えば、フィラーと前記ゴムとを含有する組成物などが挙げられる。これらの中でも、前記シリコーンゴムを含有するシリコーンゴム組成物は発電性能が高いため好ましい。
前記無機フィラーとしては、例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、窒化物、炭素類、金属、又はその他の化合物などが挙げられる。
前記水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
前記炭酸塩としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。
前記硫酸塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
前記ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)、ケイ酸ジルコン、カオリン、タルク、マイカ、ゼオライト、パーライト、ベントナイト、モンモロナイト、セリサイト、活性白土、ガラス、中空ガラスビーズなどが挙げられる。
前記炭素類としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン(誘導体を含む)、グラフェンなどが挙げられる。
前記金属としては、例えば、金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
前記その他の化合物としては、例えば、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコン酸鉛、炭化ケイ素、硫化モリブテン、などが挙げられる。なお、前記無機フィラーは、表面処理をしていてもよい。
前記有機無機複合フィラーとしては、例えば、シリカ・アクリル複合微粒子、シルセスキオキサンなどが挙げられる。
前記フィラーの平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜30μmが好ましく、0.1μm〜10μmがより好ましい。前記平均粒径が、0.01μm以上であると、発電性能が向上することがある。また、前記平均粒径が、30μm以下であると、中間層が変形可能であり、発電性能の増加を図ることができる。
前記フィラーの含有量は、ゴム100質量部に対して、0.1質量部〜100質量部が好ましく、1質量部〜50質量部がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部以上であると、発電性能が向上することがある。また、前記含有量が、100質量部以下であると、中間層が変形可能であり、発電性能の増加を図ることができる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば添加剤などが挙げられる。前記その他の成分の含有量は、本発明の目的を損なわない程度で適宜選定することができる。
前記中間層を構成する材料の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記ゴム組成物の調製方法としては、前記ゴム及び前記フィラー、更に必要に応じて前記その他の成分を混合し、混錬分散することにより調製することができる。
前記中間層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記ゴム組成物の薄膜の形成方法としては、前記ゴム組成物を、基材上にブレード塗装、ダイ塗装、ディップ塗装などで塗布し、その後、熱や電子線などで硬化する方法が挙げられる。
中間層において、両面での変形量、又は硬度を異ならせる方法としては、例えば、表面改質処理、不活性化処理などが挙げられる。これらの処理は、両方を行ってもよいし、片方のみを行ってもよい。
表面改質処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、オゾン処理、放射線(X線、α線、β線、γ線、中性子線)照射処理などが挙げられる。これらの処理の中でも、処理スピードの点から、プラズマ処理、コロナ放電処理、電子線照射処理が好ましいが、ある程度の照射エネルギーを有し、材料を改質しうるものであれば、これらに限定されない。
プラズマ処理の場合、プラズマ発生装置としては、例えば、平行平板型、容量結合型、誘導結合型のほか、大気圧プラズマ装置でも可能である。耐久性の観点から、減圧プラズマ処理が好ましい。
プラズマ処理における反応圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05Pa〜100Paが好ましく、1Pa〜20Paがより好ましい。
プラズマ処理における反応雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不活性ガス、希ガス、酸素などのガスが有効であるが、効果の持続性においてアルゴンが好ましい。
プラズマ処理における照射電力量は、(出力×照射時間)により規定される。前記照射電力量としては、5Wh〜200Whが好ましく、10Wh〜50Whがより好ましい。照射電力量が、好ましい範囲内であると、中間層に発電機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
コロナ放電処理における印加エネルギー(積算エネルギー)としては、6J/cm2〜300J/cm2が好ましく、12J/cm2〜60J/cm2がより好ましい。印加エネルギーが、好ましい範囲内であると、中間層に発電機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
電子線照射処理における照射量としては、1kGy以上が好ましく、300kGy〜10MGyがより好ましい。照射量が、好ましい範囲内であると、中間層に発電機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
電子線照射処理における反応雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルゴン、ネオン、ヘリウム、窒素等の不活性ガスが充填し酸素分圧を5,000ppm以下とすることが好ましい。反応雰囲気における酸素分圧が、5,000ppm以下であると、オゾンの発生を抑制でき、オゾン処理装置の使用を控えることができる。
紫外線照射処理における紫外線としては、波長365nm以下で200nm以上が好ましく、波長320nm以下で240nm以上がより好ましい。
紫外線照射処理における積算光量としては、5J/cm2〜500J/cm2が好ましく、50J/cm2〜400J/cm2がより好ましい。積算光量が、好ましい範囲内であると、中間層に発電機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
さらに加えて「架橋密度向上による緻密化」に起因して離型性が向上すると考えられる。なお、本発明においても一部活性基は形成されてしまうが、後述するカップリング剤や風乾処理にて、活性基を不活性化させている。
中間層の表面は、各種材料を用いて、適宜不活性化処理が施されてもよい。
不活性化処理としては、中間層の表面を不活性化させる処理であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不活性化剤を前記中間層の表面に付与する処理が挙げられる。不活性化とは、中間層の表面を、化学反応を起こしにくい性質に変化させることを意味する。この変化は、プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、電子線照射処理などによる励起又は酸化によって発生した活性基(例えば、−OHなど)を不活性化剤と反応させて、中間層の表面の活性度を下げることで得られる。
カップリング剤としては、例えば、金属アルコキシド、金属アルコキシドを含む溶液などが挙げられる。
R1 (4−n)Si(OR2)n・・・一般式(1)
ただし、一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、アルキルポリエーテル鎖、及びアリール基のいずれかを表す。nは、2〜4の整数を表す。
中間層前駆体としてシリコーンゴムを用いた場合は、前記表面改質処理を行った後に、空気中に静置して風乾することにより、失活させてもよい。
中間層において、酸素濃度のプロファイルが極大値を示す位置と、炭素濃度のプロファイルが極小値を示す位置とは、一致することがより好ましい。
酸素濃度のプロファイル、及び炭素濃度のプロファイルは、X線光電子分光分析法(XPS)によって求めることができる。
測定方法は、例えば、以下の方法が挙げられる。
測定装置:Ulvac−PHI QuanteraSXM、アルバック・ファイ株式会社製
測定光源:Al(mono)
測定出力:100μmφ、25.1W
測定領域:500μm×300μm
パスエネルギー:55eV(narrow scan)
エネルギーstep:0.1eV(narrow scan)
相対感度係数:PHIの相対感度係数を使用
スパッタ源:C60クラスターイオン
Ion Gun 出力:10 kV、10 nA
Raster Control:(X=0.5,Y=2.0)mm
スパッタレート:0.9nm/min(SiO2換算)
XPSでは、光電子効果により飛び出す電子を捕捉することにより、測定対象物中の原子の存在濃度比や結合状態を知ることができる。
図14は、シリコーンゴムを用い、更に前記表面改質処理(プラズマ処理)及び前記不活性処理を行って得られた中間層のサンプルである。図14において、横軸は表面から内部方向への分析深さであり、縦軸は存在濃度比である。
その結果を図15に示す。図15の測定対象は、図14の測定に用いたサンプルである。図15において、横軸は結合エネルギーであり、縦軸は強度比である。また、下から上に向かっては深さ方向での測定スペクトルを示している。
一般に、ピークシフトの量は結合状態に依存することが知られており、本件に関するシリコーンゴムの場合、Si2p軌道において高エネルギー側にピークがシフトするということは、Siに結合している酸素の数が増えていることを示す。
さらに図14のαの位置で検出された酸素の極大値は、Si2p結合エネルギーシフトが高エネルギー側にシフトすることと一致(図15のαの位置)しており、酸素増加がSiに結合した酸素の数に起因することが示されている。
図16には、図14にみられたような酸素濃度の極大値、及び炭素濃度の極小値は見られない。更に、図17より、Si2p結合エネルギーシフトが高エネルギー側にシフトする様子もみられないことから、Siに結合した酸素の数も変化していないことが確認された。
結果として、中間層は、3つ〜4つの酸素原子と結合したケイ素原子を有するポリオルガノシロキサンを含有することとなる。
前処理:温度30℃相対湿度40%雰囲気に24h静置後、除電を60sec(Keyence製のSJ−F300を使用)
装置:Treck Model344
測定プローブ:6000B−7C
測定距離:2mm
測定スポット径:直径10mm
感圧センサは、中間層と、第1の電極及び第2の電極の少なくともいずれかとの間に空間を有することが好ましい。そうすることにより、発電量を増やすことができる。
前記空間を設ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中間層と、第1の電極及び第2の電極の少なくともいずれかとの間にスペーサを配置する方法などが挙げられる。
前記高分子材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。前記ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、多硫化ゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、エチレン・プロピレンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ポリイソブチレン、変成シリコーンなどが挙げられる。
前記スペーサの形態としては、例えば、シート、フィルム、織布、不織布、メッシュ、スポンジなどが挙げられる。
前記スペーサの形状、大きさ、厚み、設置場所は、感圧センサの構造に応じて適宜選択することができる。
これにより、同じ変形付与力である加圧力Fが第1の電極a側と第2の電極c側に作用した場合、中間層bの第1の電極a側の変形の度合いが、第2の電極c側よりも小さくなる。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
4 対象物としての部品
18、200 把持装置
20、22、200A 把持部
24、68a〜68f センサ
26,28 一対の電極
26 電極(第1の電極)
28 電極(第2の電極)
30、53 中間層
32 カバー
50 シート状のセンサ
51、52 一対の電極
51a〜51e 電極(第1の電極)
52a〜52j 電極(第1の電極)
55 セル
Claims (11)
- 一対の電極と、
ゴム又はゴム組成物で形成されて前記一対の電極の間に設けられ、対象物との接触による変形で発電する中間層とを有し、
測定時以外に圧力が付与されることで初期化されることを特徴とするセンサ。 - 前記中間層の前記表面改質処理及び/又は不活性化処理がなされている側と、これに対向する電極とが、前記変形時に摩擦ないし剥離帯電が生じるように設けられている請求項1に記載のセンサ。
- 前記中間層がシリコーンゴムである請求項1または2に記載の感圧センサ。
- 前記シリコーンゴムは、シロキサン結合を有し、前記表面改質処理及び/又は不活性化処理がなされている側から内部に向かって酸素が増加して極大値を持ち、且つ、前記表面改質処理及び/又は不活性化処理がなされている側から内部に向かって炭素が減少して極小値を持つ濃度プロファイルを有している請求項3に記載のセンサ。
- 前記初期化は、少なくとも前記中間層に圧力が付与されることで、規定値以上の帯電状態になることである請求項1乃至4の何れか1項に記載のセンサ。
- 前記対象物を把持し、あるいは他の部材と協働して前記対象物を把持する把持部に請求項1乃至5の何れか1項に記載のセンサを備えた把持装置。
- 請求項6に記載の把持装置を有するロボット。
- 一対の電極と、
ゴム又はゴム組成物で形成されて前記一対の電極の間に設けられ、対象物との接触による変形で発電する中間層とを有するセンサに、測定時以外に加圧動作を行うことで初期化することを特徴とするセンサの初期化方法。 - 前記センサは、互いに対向配置された回転体の間を通過させることにより初期化する請求項8に記載のセンサの初期化方法。
- 前記センサは、複数に絶縁さられて直交する部分をセルとし圧力分布を測定するシート状のセンサであり、
前記回転体の間を通過させることにより初期化する請求項9に記載のセンサの初期化方法。 - 予め設定した電圧に達するまで、複数回加圧することにより初期化する請求項8,9または10に記載のセンサの初期化方法。
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