JP2018070941A - ニッケル粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
これら、用途では、ニッケル粉末が凝集することは好まれない。
このようなPTC特性を有する素子(以下、PTC素子と呼ぶ)は、PTC素子に過剰電流が流れることで、そのPTC素子の温度自体がある温度T0(変曲点)に達した場合、又は機器の環境温度が上昇し、PTC素子の温度がT0に達した場合、PTC素子は急激に高抵抗(トリップ状態)となることにより、素子に流れる電流を遮断することにより、PTC素子が組み込まれた電気回路を保護する、保護回路として用いられている。
ポリマーPTC組成では、凝集したニッケル粉末が求められていることがある。
即ち、還元処理前の還元工程水溶液中には、ニッケル塩由来の陰イオンと前記ニッケル塩由来のニッケルの化学種及びニッケル塩の水和物並びに還元剤が存在している。
この錯化剤を含むことで、ニッケルの化学種から還元されるニッケル粉末の形状を制御できる。錯化剤を添加しない場合、ニッケルの化学種から生成するニッケル粉末は海胆の様なとげを多方向に伸ばした粉末となる。ニッケルイオンが錯化剤とニッケルの錯イオンを形成していれば、錯化剤の配位の効果によりニッケル粉末の成長が全方向に略一定となる。錯化剤の効果は、ニッケルの錯イオンからニッケルの水酸化物を経由してニッケル粉末を生成する場合も同様である。
その錯化剤の添加量は、ニッケルイオン1molに対して、0.01〜1molとするのが好ましい。
このニッケルよりもイオン化傾向の小さい異種金属として、金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、銅の各元素が挙げられる。還元工程水溶液には、それらの異種金属の溶液や異種金属の塩として添加されたものが含まれている。異種金属は、ニッケルと固溶する銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、銅が、適している。還元工程水溶液への異種金属の添加は、特に水溶性のパラジウムイオンを含む溶液がより適し、さらにはパラジウムと銀の複合体でもよい。なお、異種金属のイオンには、錯イオンも含まれる。
異種金属の微粒子の凝集を抑制するために保護コロイド剤が、還元工程水溶液に含まれることが望ましい。
保護コロイド剤の添加量は、ニッケル質量100%に対して、保護コロイド剤が0.025〜0.2質量%が望ましい。理由としては、ニッケル中に有機化合物である分散剤が不純物として残留しやすいためである。
異種金属の微粒子からなるコロイド粒子は、ニッケル塩の水和物の表面に付着して、凝集したニッケル粉末を形成しやすい。
さらに、異種金属の微粒子からなるコロイド粒子を作製する際の温度は、特に制限されないが、50℃〜95℃が好ましく、特に60℃〜85℃が好ましい。また、パラジウム塩と銀塩の混合液、還元剤を添加する前の水溶液は、極力撹拌されていることが望ましい。
還元工程水溶液がpH10以上のアルカリ性ならば、ニッケルイオンの一部がニッケルの水酸化物に変化する。反応の系内に異種金属の微粒子からなるコロイドが存在するならば、ニッケルの水酸化物は、異種金属のコロイドを核としてニッケルの水酸化物として晶析する。
還元工程水溶液の温度が、50℃〜85℃になれば還元処理が進行してニッケルの化学種とニッケル塩の水和物がニッケルまで還元される。このように還元工程水溶液中で、ニッケルの化学種とニッケル塩の水和物がニッケルまで還元されてニッケル粉末を生じる工程が、本発明におけるニッケル還元工程であり、その還元処理の進行に伴い、還元工程水溶液中のニッケルの化学種とニッケル塩の水和物と還元剤が消費され、ニッケル粉末を得るものである。
なお、反応の系内に異種金属の微粒子からなるコロイド粒子が存在せずに、異種金属のイオンが存在する場合は、ニッケルの化学種の還元より先に、異種金属のイオンが還元され、異種金属の微粒子からなるコロイド粒子が析出し、ニッケル粉末生成の核となる。
即ち、ニッケル塩由来のニッケルの化学種が、アルカリ性の下でニッケルの水酸化物が発生する反応の前段階、ニッケルイオンが錯化剤と反応しニッケルの錯イオンが発生する反応の前段階、或いはニッケルの化学種に対し還元剤と反応しニッケル粉末が発生する還元処理の前に、ニッケル塩由来のニッケルの化学種と未溶解のニッケル塩の水和物が均一に混合されていることが望ましい。
ニッケル塩由来のニッケルイオンからニッケルの水酸化物が生じる際や、ニッケルの化学種から金属ニッケルまで還元される際の、一連のイオンから固体へ変化する反応である晶析の際に、ニッケル塩の水和物が反応の系内に分散して存在すればよい。その理由は、系全体を均一にし、系全体で所望とする凝集体を発生させるためである。
ニッケルよりもイオン化傾向が小さい異種金属元素の水溶液、ニッケル塩水溶液、還元剤、錯化剤が、混合される際の反応器は、回分式反応器、半回分式反応器もしくは流通管型反応器いずれでもよい。
しかし、ニッケルの化学種をニッケルにまで還元するまでの反応に時間がかかる系では反応が完了する前にバッチから排出されるので、反応が完了するまでのリードタイムを担保するための槽を幾槽も設ける必要が発生する。そのため、本反応のように比較的、反応が完了するまでに時間がかかる系では、適用させにくい。
[ニッケル粉末の形態判定]
ニッケル粉末を、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope、日本電子株式会社製、「JSM−5510」)を用いて、倍率5000倍で観察して粒子の凝集状態を判定した。
その5min間の攪拌保持後、Pdがニッケルに対して50ppmになるように5mLのジクロロテトラアンミンPd水溶液を添加し、次いで60体積%水加ヒドラジン0.1mLを添加した。
その後、酒石酸8gを添加し、次いで水酸化ナトリウム50gを添加し、更に180mLの60体積%水加ヒドラジンを添加した。その後、100g/L塩化ニッケル水溶液500mLと塩化ニッケルの水和物5gの混合物を添加して還元工程水溶液を調整した。
調整された還元工程水溶液のpHは13で、温度85℃に加温し、30min間保持する還元処理を行った。
その後、上澄み液を除去した後に、5Lの純水を添加してレパルプ洗浄を行い、ヌッチェにて固液分離して500mLの掛け水洗浄を施した。その後、100℃で24時間、大気乾燥し、形態観察の供試材とした。
得られた凝集したニッケル粉末のSEM像を図1に示す。
SEMで観察した粒子の状態を表1に示す。
SEM観察の結果、図1と同様な凝集したニッケル粉末が確認された。
SEMで観察した粒子の状態を表1に示す。
また、SEM観察の結果、図1と同様な凝集したニッケル粉末が確認された。
実施例1において、塩化ニッケル水溶液に塩化ニッケルの水和物を混合せずに、個別に系内に添加したこと以外は、実施例1と同様とした。
SEMで観察した粒子の状態を表1に示す。
図2にSEM観察結果を示す。実施例1から3のニッケル粉末の凝集した状態とは異なり、ニッケル粉末の凝集体がほとんど見られず微粒子が分散した状態を示しているのが観察された。
Claims (10)
- ニッケル塩由来の陰イオンと、前記ニッケル塩由来のニッケルの化学種及び還元剤を含む還元工程水溶液中での還元処理によりニッケル粉末を生成するニッケル還元工程を経るニッケル粉末の製造方法において、
前記還元処理前に、前記還元工程水溶液がニッケル塩の水和物を含むことと、
前記還元処理で前記ニッケルの化学種と前記ニッケルの水和物を還元することを特徴とするニッケル粉末の製造方法。 - 前記還元工程水溶液が、ニッケルイオンと錯イオンを形成する錯化剤を含むことを特徴とする請求項1記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記還元工程水溶液が、ニッケルよりもイオン化傾向の小さい異種金属の異種金属イオンを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記還元工程水溶液が、アルカリ性であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記異種金属イオンが、
パラジウムイオン、ロジウムイオン、イリジウムイオン、銅イオン、銀イオンのいずれかであることを特徴とする請求項3又は4に記載のニッケル粉末の製造方法。 - 前記ニッケル塩が、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケルのいずれかであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記還元剤が、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウムのいずれかであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記ニッケル塩の水和物が、前記ニッケル塩由来の陰イオン及びニッケルイオンの前記還元工程水溶液への含有前に添加されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記ニッケル塩の水和物が、前記錯化剤の前記還元工程水溶液への含有前に添加されることを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記ニッケル塩由来の陰イオン及び前記ニッケル塩由来のニッケルの化学種を含む水溶液と前記ニッケル塩の水和物との混合物に前記還元剤を添加して前記還元工程水溶液を形成することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のニッケル粉末の製造方法。
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CN115740437A (zh) * | 2022-11-23 | 2023-03-07 | 哈尔滨师范大学 | 一种普适的Ni@C核壳结构及其制备方法和应用 |
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