JP2018070749A - 加工を伴う缶用の塗料組成物、加工を伴う缶の製造方法、及び加工を伴う缶 - Google Patents

加工を伴う缶用の塗料組成物、加工を伴う缶の製造方法、及び加工を伴う缶 Download PDF

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Abstract

【課題】1度塗り部分と2度塗り部分との段差が小さく、検査工程で不良と判定されにくい、技術を提供する。【解決手段】ポリエステル樹脂と、アミノ樹脂と、エポキシ樹脂と、変性シリコーンとを含有し、前記変性シリコーンの含有量が、前記ポリエステル樹脂と前記アミノ樹脂と前記エポキシ樹脂との合計含有量(100質量部)に対して、0.08〜0.42質量部であることを特徴とする、加工を伴う缶用の塗料組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、加工を伴う缶用の塗料組成物、加工を伴う缶の製造方法、及び加工を伴う缶に関するものである。
近年、飲料などの販売用として、ボトル缶などのネジ付缶の需要が高まっている。ネジ付缶では、キャップが着脱自在に装着されているため、一度開栓した後も、キャップを閉ることにより、ボトル缶内の内容物を密閉状態で保持することができる。そのため、自動販売機用の飲料等を中心に、ボトル缶が利用されている。
ボトル缶の製造工程では、金属板材から筒状の缶体が成形された後、缶体の外面塗装及び内面塗装が行われる。外面塗装では、通常、サイズ塗料による下地塗装が行われ、下地塗装の焼付・乾燥の後、印刷、外面仕上げ塗装、及びボトムリム塗装が行われる。ボトムリム塗装後は、印刷、外面仕上げ塗装、及びボトムリム塗装の焼付・乾燥が、同時に行われる。外面塗装後は、内面塗装と内面塗装の乾燥・焼付が行われる。ボトル缶は、外周にネジ部を備えた口金部を有するが、口金部の成形は、塗装工程の後に行われる。口金部成形後は、ボトル缶の洗浄が行われた後、異物、汚れ、キズ、しわ等の有無が検査され、不良と判定されたものは除去される。
ボトル缶における口金部の成形工程においては、ネック加工やネジ加工などの塗膜に対する負荷の高い加工が行われる。そのため、ボトル缶用塗料組成物には、成形性のよい、柔らかい塗膜が選択されることが多い。
塗装後の絞り加工等に耐え得る塗料組成物として、例えば、特許文献1には、絞り加工缶用上塗り外面塗料組成物が記載されている。特許文献1には、特定の数平均分子量を有するポリエステル樹脂と、アミノ樹脂とを含有する塗料組成物が記載されている。
特開2006−137846号公報
しかしながら、上記従来のボトル缶の塗装方法においては、下記の課題を有していた。
缶の塗装工程では、塗り残し部分があると加工できないことから、1度塗装した部分に、部分的にオーバーラップさせて塗装を行う。これにより生じる1度塗り部分と2度塗り部分との段差は、後の検査工程で異物として判断されることがある。また、塗装後の加工工程において、1度塗り部分と2度塗り部分との段差部分にしわが発生することがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、1度塗り部分と2度塗り部分との段差が小さく、検査工程で不良と判定されにくい、技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、ポリエステル樹脂と、アミノ樹脂と、エポキシ樹脂と、変性シリコーンとを含有し、前記変性シリコーンの含有量が、前記ポリエステル樹脂と前記アミノ樹脂と前記エポキシ樹脂との合計含有量(100質量部)に対して、0.08〜0.42質量部であることを特徴とする、加工を伴う缶用の塗料組成物である。
本明細書において、「加工を伴う缶」とは、筒状の缶体が成形された後、缶体に対してダイネック加工、スピンフローネック加工、ネック加工、スカート加工、ネジ加工、カール/スロットル加工等の何等かの加工が行われる缶をいう。好ましい態様において、前記加工は、ネジ加工を含む。
第1の態様の塗料組成物は、オーバーラップ塗装を行った場合に、1度塗り部分と2度塗り部分との段差を小さく抑えることができる。また、塗装後の加工において、段差部分にしわが生じにくい。そのため、検査工程において、不良と判定されにくい。
好ましい態様において、第1の態様の塗料組成物が適用される缶は、ネジ付缶である。
また、好ましい態様において、前記変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサンの側鎖のメチル基の少なくとも1つが、メチル基以外の有機基で置換されたものである。さらに、前記有機基は、カルビノール基、ポリエーテル基、又は炭素数2以上のアルキル基であることが好ましい。この場合、1度塗り部分と2度塗り部分の段差をより滑らかにすることができる。
本発明の第2の態様は、一方が開口した有底筒状の缶体を成形する工程と、前記缶体の表面に、第1の態様の塗料組成物を用いて、1度塗り部分と2度塗り部分とが生じるように塗膜層を形成する工程であって、前記1度塗り部分の塗膜層の膜厚を2〜5μmとする工程と、前記塗膜層形成後の缶体の開口端部に加工を施す工程と、を含むことを特徴とする加工を伴う缶の製造方法である。
第2の態様の製造方法では、第1の態様の塗料組成物を用いて、塗り残しがないように、塗装済みの部分にオーバーラップさせて塗装を行う。これにより、塗膜層に1度塗り部分と2度塗り部分とが生じる。そして、1度塗り部分の塗膜層の膜厚を2〜5μmとすることにより、1度塗り部分と2度塗り部分との段差を小さく抑えることができる。また、塗装後の加工工程において、前記段差部分にしわが生じにくい。
なお、本明細書において、「1度塗り部分」とは、塗料組成物の塗布を1回のみ行った部分であり、「2度塗り部分」とは、塗料組成物の塗布を2回行った部分である。2度塗り部分は、ロール塗装等により、1度塗り部分にオーバーラップして塗料組成物の塗布を行うことにより生じる。
第2の態様の製造方法において、缶体の開口端部に施される加工は、外周にネジ部を備えた口金部を成形するための加工であることが好ましい。
本発明の第3の態様は、第1の態様の塗料組成物からなる塗膜層を有し、前記塗膜層は、1度塗り部分と2度塗り部分とを含み、前記1度塗り部分の塗膜層の膜厚が、2〜5μmであることを特徴とする、加工を伴う缶である。
第3の態様の加工を伴う缶が有する塗膜層は、第1の態様の塗料組成物からなり、1度塗り部分と2度塗り部分とを含む。1度塗り部分の塗膜層の膜厚を、2〜5μmとすることにより、1度塗り部分と2度塗り部分との段差が小さく抑えられる。そのため、検査工程において、不良と判定されにくい。
好ましい態様において、第3の態様の缶は、ネジ付缶である。
本発明によれば、1度塗り部分と2度塗り部分との段差が小さく、検査工程で不良と判定されにくい、加工を伴う缶を製造することができる。
[塗料組成物]
本発明の第1の態様は、ポリエステル樹脂と、アミノ樹脂と、エポキシ樹脂と、変性シリコーンとを含有し、前記変性シリコーンの含有量が、前記ポリエステル樹脂と前記アミノ樹脂と前記エポキシ樹脂との合計含有量(100質量部)に対して、0.08〜0.42質量部であることを特徴とする、加工を伴う缶用の塗料組成物である。
本態様の塗料組成物が含有する変性シリコーンは、レベリング剤としての機能を有する。レベリング剤とは、塗膜の表面調製を主目的とし、塗膜の表面張力をコントロールすることで、塗膜欠陥である泡、オレンジピール、ハジキ、ピンホール、クレーター等を発生させないようにする添加剤である。
本明細書において、変性シリコーンとは、以下の一般式(1)で表されるジメチルポリシロキサンにおいて、側鎖及び両末端のいずれかのメチル基が、メチル基以外の有機基で置換されたものをいう。
Figure 2018070749
[式中、nは1以上の整数である。]
ジメチルポリシロキサンの側鎖のメチル基のいずれかが置換されたもの(以下、「側鎖型変性シリコーン」という。)は、以下の一般式(2)で表される。
Figure 2018070749
[式中、Rはメチル基以外の有機基である。m及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数である。]
また、ジメチルポリシロキサンの末端のメチル基のいずれか又は両方が置換されたもの(以下、「末端型変性シリコーン」という。)は、以下の一般式(3)で表される。
Figure 2018070749
[式中、R01及びR02は、それぞれ独立に、メチル基又はメチル基以外の有機基である。ただし、R01及びR02のいずれかがメチル基のとき、他方はメチル基以外の有機基である。nは1以上の整数である。]
一般式(2)において、Rはメチル基以外の有機基である。また、一般式(3)において、R01及びR02は、それぞれ独立に、メチル基又はメチル基以外の有機基である。ただし、R01及びR02のいずれかがメチル基のとき、他方はメチル基以外の有機基である。R、R01及びR02のメチル基以外の有機基としては、例えば、カルビノール基、ポリエーテル基、炭素数2以上のアルキル基、アミノ基、エポキシ基、アクリロイル基、カルボキシ基、チオール基等を挙げることができる。これらの有機基は、それぞれ、カルビノール変性、ポリエーテル変性、アルキル変性、アミノ変性、エポキシ変性、アクリル変性、カルボキシ変性、メルカプト変性により、ジメチルポリシロキサンに導入することができる。本態様の塗料組成物が含有する変性シリコーンにおいて、R、R01及びR02のメチル基以外の有機基は、これらの有機基の中でも、カルビノール基、ポリエーテル基、炭素数2以上のアルキル基であることが好ましい。これらの有機基を有する変性シリコーンを用いることにより、1度塗り部分と2度塗り部分との段差を、より小さく抑えることができる。
本態様の塗料組成物が含有する変性シリコーンは、側鎖型変性シリコーン及び末端型変性シリコーンのいずれであってもよいが、側鎖型変性シリコーンであることが好ましい。側鎖型変性シリコーンを用いることにより、1度塗り部分と2度塗り部分との段差を、より小さく抑えることができる。
好ましい態様において、変性シリコーンは、カルビノール基、ポリエーテル基、又は炭素数2以上のアルキル基を側鎖に有する、側鎖型変性シリコーンである。
上記のような変性シリコーンは、市販のものを用いることができる。例えば、カルビノール基を有する側鎖型変性シリコーンの市販品としては、信越化学工業株式会社のX−22−4039及びX−22−4015、東レ・ダウコーニング株式会社のSF8428等を挙げることができる。また、ポリエーテル基を有する側鎖型変性シリコーンの市販品としては、信越化学工業株式会社のKF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF355A、KF615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−644、KF−6020、KF−6204、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017、東レ・ダウコーニング株式会社のSH8700、SF8410、SH8400、L−7002、FZ−2104、FZ−77、L−7604等を挙げることができる。また、炭素数2以上のアルキル基を有する側鎖型変性シリコーンの市販品としては、信越化学工業株式会社のKF−412、KF413、KF−414、KF−415、KF4003、KF−4701、KF4917、LF7235B、X−22−7322等を挙げることができる。
本態様の塗料組成物が含有するポリエステル樹脂は、特に限定されず、塗料用に一般的に用いられるものを特に制限なく使用することができる。市販のものを用いてもよいし、任意の多価カルボン酸と多価アルコールを選択して重縮合反応を行うことにより合成してもよい。
ポリエステル樹脂の原料として使用する多価カルボン酸及び多価アルコールは、特に限定されず、分岐鎖状のものでも直鎖状のものでもよいが、直鎖状のものであることが好ましい。多価カルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、及び脂肪族ジカルボン酸を例示することができる。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸等を挙げることができる。また、脂環式ジカルボン酸としては、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、(無水)コハク酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ハイミック酸等を挙げることができる。また、3価以上の多価カルボン酸としては、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸等を挙げることができる。
ポリエステル樹脂の原料として使用する多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールAもしくはビスフェノールFにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加したもの、キシレングリコール、水添ビスフェノールA等の脂肪族二価アルコールを挙げることができる。また、3価以上の多価アルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
ポリエステル樹脂の好適な具体例としては、多価カルボン酸として、テレフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸、多価アルコールとして、エチレングリコール及びプロピレングリコールを組み合わせたもの等を挙げることができる。
本態様の塗料組成物が含有するアミノ樹脂は、特に限定されず、塗料用に一般的に用いられるものを特に制限なく使用することができる。アミノ樹脂としては、例えば、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等のアミノ成分と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等のアルデヒド成分との反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂を挙げることができる。これらのメチロール化アミノ樹脂のうち、好ましい例としては、メラミン又はベンゾグアナミンを使用したアミノ樹脂を挙げることができる。これらのアミノ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
また、アミノ樹脂は市販のものを用いることもできる。使用可能なアミノ樹脂の市販品としては、日立化成株式会社のメランシリーズ等が挙げられる。
本態様の塗料組成物が含有するエポキシ樹脂は、特に限定されず、塗料用に一般的に用いられるものを特に制限なく使用することができる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びノボラック型エポキシ樹脂、並びに前記エポキシ樹脂中のエポキシ基又は水酸基に各種変性剤を反応させた変性エポキシ樹脂等を挙げることができる。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン[ビスフェノールB]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、p−(4−ヒドロキシフェニル)フェノール、オキシビス(4−ヒドロキシフェニル)、スルホニルビス(4−ヒドロキシフェニル)、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン等をビスフェノールとして使用したものを挙げることができる。ビスフェノールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
また、ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、及び分子内に多数のエポキシ基を有するフェノールグリオキザール型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
変性エポキシ樹脂としては、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂又はノボラック型エポキシ樹脂に、例えば、乾性油脂肪酸を反応させたエポキシエステル樹脂、アクリル酸又はメタクリル酸などを含有する重合性不飽和モノマー成分を反応させたエポキシアクリレート樹脂、イソシアネート化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂又は前記各種変性エポキシ樹脂中のエポキシ基にアミン化合物を反応させて、アミノ基又は4級アンモニウム塩を導入したアミン変性エポキシ樹脂等を挙げることができる。
エポキシ樹脂は市販のものを用いることもできる。使用可能なエポキシ樹脂の市販品としては、三菱化学株式会社のjER(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
本態様の塗料組成物において、変性シリコーンの含有量は、塗料組成物中のポリエステル樹脂とアミノ樹脂とエポキシ樹脂との合計含有量(以下、「樹脂含有量」という。)100質量部に対して、0.08〜0.42質量部である。変性シリコーンの含有量が、樹脂含有量100質量部に対して、0.08質量部未満であると、1度塗り部分と2度塗り部分との段差が3μm以上となり、検査工程において不良と判定される確率が高くなる。また、変性シリコーンの含有量が、樹脂含有量100質量部に対して、0.42質量部を超えると、塗膜がインクをはじきやすくなるため、塗膜上への印字が困難となる。
本態様の塗料組成物において、ポリエステル樹脂の含有量は、塗料組成物中の全樹脂成分の合計質量を100質量%としたとき、50〜80質量%程度とすることができ、60〜70質量%程度であることが好ましい。また、本態様の塗料組成物において、アミノ樹脂とエポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、塗料組成物中の全樹脂成分の合計質量を100質量%としたとき、例えば、アミノ樹脂を5〜40質量%程度、エポキシ樹脂を1〜30質量%程度とすることができる。アミノ樹脂の含有量は、25〜30質量%程度であることが好ましく、エポキシ樹脂の含有量は、4〜10質量%程度であることが好ましい。
なお、本態様の塗料組成物において、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、及びエポキシ樹脂を合わせた樹脂成分量は、塗料組成物全体に対して、例えば、30〜70質量%程度、好ましくは40〜60質量%程度とすることができる。
本態様の塗料組成物は、上記ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、及びエポキシ樹脂のほかに、これらの樹脂成分を溶解するための溶剤や各種添加剤等を含有することができる。
樹脂成分を溶解するための溶剤は、樹脂成分を溶解可能なものであれば、特に制限なく使用することができる。溶剤は、例えば、芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、セロソルブ系溶剤等であってよい。芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ソルベッソ100、ソルベッソ150等を挙げることができる。脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等を挙げることができる。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル、セロソルブアセテート等を挙げることができる。エーテル系溶剤としては、例えば、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、エチレングリコール等を挙げることができる。ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等を挙げることができる。セロソルブ系溶剤としては、例えば、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等を挙げることができる。これらの溶剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
溶剤の好ましい具体例としては、例えば、芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、セロソルブ系溶剤、及びこれらの2種以上を混合した混合溶剤等を挙げることができる。より具体的には、ブチルカルビトール、ブチルセロソルブ、ソルベッソ100、ソルベッソ150、及びノルマルブタノールの混合溶剤を例示することができる。これらの溶剤の混合比率としては、溶剤全体を100質量%とした場合、例えば、ブチカルビトール1〜3質量%、ブチルセルソルブ15〜50質量%、ソルベッソ100 5〜50質量%、ソルベッソ150 15〜60質量%、ノルマルブタノール2〜10質量%を挙げることができる。
本態様の塗料組成物に含有させることができる添加剤は、特に限定されず、塗料用に一般的に用いられる添加剤を特に制限なく使用することができる。添加剤としては、例えば、潤滑性付与剤や硬化促進剤等を挙げることができる。
潤滑性付与剤は、ワックス系潤滑性付与剤や、変性シリコーン以外のシリコーン系潤滑付与剤が挙げられる。また、ワックス系のものとシリコーン系のものとを併用してもよい。ワックス系の潤滑性付与剤は、天然ワックスと合成ワックスのいずれであってもよい。天然ワックスとしては、例えば、ラノリン、ミツロウ、鯨ロウ等の動物系ワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の植物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワックス等を挙げることができる。また、合成ワックスとしては、ポリオレフィン系ワックス、シリコーン系ワックス、フッ素系ワックス、及びポリオール化合物と脂肪酸とのエステル化物等を挙げることができる。
また、シリコーン系の潤滑性付与剤としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等を例示することができる。
好ましい潤滑付与剤としては、シリコーン系潤滑付与剤、ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックス、フッ素系ワックス、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンワックス等を例示できる。これらの潤滑付与剤の添加量は特に限定されず、任意の添加量とすることができる。潤滑付与剤の添加量の具体例としては、例えば、塗料組成物中の樹脂成分全体の合計質量(100質量部)に対して、ラノリン0.1〜0.3質量部、ポリエチレン0.4〜0.8質量部、フッ素0.1質量部、マイクロクリスタリン0.2〜0.6質量部、シリコーン0.05〜0.15質量部等を挙げることができる。
硬化促進剤としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、リン酸等の酸触媒、及び前記酸触媒をアミンブロックしたもの等を挙げることができる。
本態様の塗料組成物は、上記ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、及び変性シリコーンを溶剤に溶解し、適宜各種添加剤を添加して混合することにより、調製することができる。
本態様の塗料組成物は、加工を伴う缶の塗装に使用することができる。本態様の塗料組成物は、加工による塗膜への負荷が高い、ネジ付缶の塗装に特に適している。また、本態様の塗料組成物は、外面仕上げ塗装時の上塗り外面塗料組成物として好適である。
本態様の塗料組成物によれば、加工を伴う缶の塗装において、1度塗り部分と2度塗り部分とが生じた場合であっても、1度塗り部分と2度塗り部分との段差を小さく(例えば、3μm未満)抑えることができる。また、塗装後に缶に加工を施した場合であっても、1度塗り部分と2度塗り部分との段差部分にしわが生じにくい。そのため、検査工程において不良と判定される確率が低くなる。
[加工を伴う缶の製造方法]
本発明の第2の態様は、一方が開口した有底筒状の缶体を成形する工程(以下、「工程(a)」という。)と、前記缶体の表面に、第1の態様の塗料組成物を用いて、1度塗り部分と2度塗り部分とが生じるように塗膜層を形成する工程であって、前記1度塗り部分の塗膜層の膜厚を2〜5μmとする工程(以下、「工程(b)」という。)と、前記塗膜層形成後の缶体の開口端部に加工を施す工程(以下、「工程(c)」という。)と、を含むことを特徴とする加工を伴う缶の製造方法である。
加工を伴う缶の一般的な製造工程においては、まずアルミニウム等の金属板材を打ち抜いて絞り加工し、比較的大径で浅いカップを成形する。その後、このカップに再絞り加工及びしごき加工を加えて、一方が開口した有底筒状の缶体を成形する。次に、缶体の外表面に、サイズ塗料による下地塗装を行い、下地の焼き付け・乾燥を行う。その後、インキによる印刷、外面上塗り塗料による外面仕上げ塗装、ボトムリム塗装を施し、塗膜の焼き付け・乾燥を行う。次いで、缶体の内面塗装を行い、塗膜の焼き付けを行う。その後、缶体の開口端部に加工を施し、所望の形状に成形する。例えば、ネジ付缶を製造する場合には、外周にネジ部を備えた口金部を成形するための加工を行う。さらに、洗浄工程を経た後に、内面及び外面の検査が行われて、最終的な製品となる。
以下、本態様の製造方法の各工程について説明する。
工程(a)は、一方が開口した有底筒状の缶体を成形する工程である。
本工程においては、アルミニウム等の金属板材から、一方が開口した有底筒状の缶体を成形する。缶体の成形方法は、特に限定されず、缶の製造に一般的に用いられる方法で行えばよい。以下に一例を示すが、缶体成形方法はこれに限定されない。
まず、金属板材から所定の大きさの円形状板を打ち抜き、円形状の金属円板を形成する。次に、金属円板に絞り加工を施し、比較的大径の浅いカップを成形する。さらに、再絞り加工、しごき加工等により、所定の高さの有底筒状体を形成する。当該有底筒状体の筒底をボトム成形により所定形状に成形し、トリミング加工により所定の高さにトリミングして、有底筒状の缶体を成形する。なお、成形された缶体の表面を、内面塗装及び外面塗装に適した状態にするために、缶体表面の洗浄を行ってもよい。缶体の洗浄は、缶体表面に付着した油脂成分、スマット、アルミ粉、汚れ成分等を除去する脱脂処理工程、缶体表面に化成皮膜を形成させる化成処理工程、形成させた化成皮膜を硬化させ、缶体を乾燥させる乾燥処理工程等の各工程を含むことができる。
工程(b)は、前記缶体の表面に、第1の態様の塗料組成物を用いて、1度塗り部分と2度塗り部分とが生じるように塗膜層を形成する工程であって、前記1度塗り部分の塗膜層の膜厚を2〜5μmとする工程である。
本工程においては、成形した有底筒状の缶体の表面に、第1の態様の塗料組成物からなる塗膜層を形成する。第1の態様の塗料組成物からなる塗膜層の形成は、外面仕上げ塗装時に行うことが好ましい。好ましい例では、外面仕上げ塗装時の上塗り外面塗料として、第1の態様の塗料組成物を使用する。
第1の態様の塗料組成物からなる塗膜層の形成方法は、特に限定されず、缶体の塗装に一般的に用いられる方法を使用することができる。例えば、外面仕上げ塗装であれば、ロール塗装を用いることができ、内面塗装であれば、スプレー塗装を用いることができる。このとき、塗り残し部分が生じないように、第1の態様の塗料組成物を1度塗布した部分にオーバーラップさせて、再度当該塗料組成物の塗布を行う。これにより、塗膜層には、1度塗り部分と2度塗り部分とが生じる。
第1の態様の塗料組成物による缶体の塗装後は、通常の方法にて、塗膜の乾燥及び焼き付けを行えばよい。例えば、乾燥及び焼き付けは、ピンオーブン等を用いて行うことができる。ピンオーブンの設定温度としては、180〜280℃、好ましくは200〜260℃、より好ましくは220〜240℃を挙げることができる。また、設定時間としては、30〜200秒、好ましくは45〜120秒、より好ましくは60〜90秒を挙げることができる。乾燥中の、缶体表面温度のピーク値が、190〜230℃程度となるようにすることが好ましく、当該ピーク温度の持続時間が60秒以下、例えば20〜60秒程度となるようにすることが好ましい。
また、前記のような条件で一次乾燥を行った後、二次乾燥を行うようにしてもよい。二次乾燥の設定温度としては、160〜260℃、好ましくは180〜240℃、より好ましくは195〜225℃を挙げることができる。また設定時間としては、40〜300秒、好ましくは50〜200秒、より好ましくは60〜150秒を挙げることができる。二次乾燥中の、缶体表面温度のピーク値が、190〜230℃程度となるようにすることが好ましく、当該ピーク温度の持続期間が60秒以上、例えば60〜100秒程度となるようにすることが好ましい。
第1の態様の塗料組成物を上塗り外面塗料として用いた場合、二次乾燥は、内面塗装の乾燥及び焼き付けと同時に行うようにしてもよい。この場合、二次乾燥には、例えば、インサイドベークオーブン等を使用することができる。
工程(b)において、乾燥及び焼き付け後の、第1の態様の塗料組成物からなる塗膜層の膜厚は、1度塗り部分において2〜5μmとなるようにする。1度塗り部分の塗膜層の膜厚を2〜5μmとすることにより、1度塗り部分と2度塗り部分との段差を小さく(例えば、3μm未満)抑えることができる。なお、塗膜層の膜厚は、缶体に塗布する塗料の量により調整することができる。例えば、ロール塗装の場合であれば、グラビアロールの彫刻の深さを調整することにより、缶体に対する塗料の塗布量を制御することができる。
工程(c)は、塗膜層形成後の缶体の開口端部に加工を施す工程である。
本工程においては、塗膜層が形成された後の缶体に対して、開口端部に加工を施す。加工は、缶体の開口端部を所定形状とするために行われ、加工方法は特に限定されない。例えば、加工は、ダイネック加工、スピンフローネック加工、ネック加工、スカート加工、ネジ加工、カール/スロットル加工等を含むことができる。一例として、ネジ付缶を製造する場合には、缶体の開口端部に、外周にネジ部を備えた口金部を形成するための加工を行う。口金部の成形加工の方法は、特に限定されないが、ネック加工、スカート加工、ネジ加工、カール/スロットル加工等を含むことができる。これらの加工方法は、ネジ付缶の製造において、一般的に用いられる方法を用いればよい。
工程(c)の後は、必要に応じて、缶体の洗浄が行われる。洗浄の方法は、特に限定されないが、例えば、缶体をバスケット等に入れ、35〜100℃程度の温水をシャワー等により缶体にかけて洗浄した後、35〜180℃程度で乾燥する方法等を例示することができる。
洗浄工程後は、通常、缶体の内面及び外面の検査が行われる。検査工程において、異物、汚れ、キズ、印刷不良等が検出され、不良と判定されたものは排除される。従来の加工を伴う缶の製造方法では、この検査工程において、1度塗り部分と2度塗り部分との段差が大きいために、不良と判定される確率が高かった。しかしながら、本態様の製造方法では、1度塗り部分と2度塗り部分との段差を小さく抑えることができるため、検査工程において不良と判定される確率が低くなる。
本態様の製造方法によれば、塗り残しがないように、オーバーラップさせて塗装した場合であっても、1度塗り部分と2度塗り部分との段差を小さく(例えば、3μm未満)抑えることができるため、検査工程において不良と判定される確率が低くなる。また、塗装後の加工工程において、1度塗り部分と2度塗り部分との段差にしわが生じにくい。そのため、本態様の製造方法は、塗装後の加工により塗膜に生じる負荷が高い、ネジ付缶の製造に適している。
[加工を伴う缶]
本発明の第3の態様は、第1の態様の塗料組成物からなる塗膜層を有し、前記塗膜層は、1度塗り部分と2度塗り部分とを含み、前記1度塗り部分の塗膜層の膜厚が、2〜5μmであることを特徴とする、加工を伴う缶である。
本態様の缶は、第1の塗料組成物からなる塗膜層を有するが、該塗膜層は、好ましくは、缶体の円筒部外表面におけるインキ層の外層の、上塗り外面塗膜層として存在する。前記塗膜層は、1度塗り部分と2度塗り部分とを含み、1度塗り部分の塗膜層の膜厚は、2〜5μmである。本態様の缶は、このような構成を有することにより、1度塗り部分と2度塗り部分との段差が小さくなっており、検査工程において、不良と判定される確率が低い。本態様の缶において、1度塗り部分と2度塗り部分との段差は、好ましくは3μm未満である。
なお、本態様の缶の缶本体は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属で構成されている。アルミニウム合金としては、例えば、Si:0.1〜0.5質量%、Fe:0.3〜0.7質量%、Cu:0.05〜0.5質量%、Mn:0.5〜1.5質量%、Mg:0.4〜2.0質量%、Cr:0〜0.1質量%、Zn:0〜0.5質量%、Ti:0〜0.15質量%を含有し残部が不可避的不純物を含むアルミニウムからなるアルミニウム合金等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
本態様の缶は、加工を伴う缶であり、缶体円筒部の少なくとも一方の端部に、塗装工程後の加工によって成形された構造を有する。そのような構造としては、例えば、フランジ部や、外周にネジ部を備えた口金部等を挙げることができる。本態様の缶は、外周にネジ部を備えた口金部を有する、ネジ付缶であることが好ましい。
本態様の缶は、上記第2の態様の加工を伴う缶の製造方法により、製造することができる。
本態様の缶によれば、1度塗り部分と2度塗り部分との段差が小さいため、検査工程において不良と判定される確率が低い。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<試験例1>
[塗料組成物の調製]
塗料組成物の樹脂成分として、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、及びエポキシ樹脂を用いた。なお、ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸として、テレフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸、多価アルコールとして、エチレングリコール及びプロピレングリコールを組合せたものを使用した。また、アミノ樹脂はメランシリーズ(日立化成株式会社製)を使用し、エポキシ樹脂はjER(登録商標) グレード1001(三菱化学株式会社製)を使用した。
また、レベリング剤として、側鎖にポリエーテル基を有するポリエーテル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング株式会社製)を使用した。
上記ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、及び変性シリコーンを、溶剤に溶解して混合し、塗料組成物を調製した。ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、及びエポキシ樹脂は、樹脂全体の合計質量を100質量%としたとき、それぞれ67質量%、28質量%、及び5質量%となるように配合した。なお、塗料組成物中の樹脂成分全体の合計量は、塗料組成物(100質量%)に対して、40〜60質量%となるようにした。
また、変性シリコーンは、樹脂成分全体の合計量100質量部に対して、0〜0.83質量部となるように、塗料組成物に添加した。
溶剤には、ブチルカルビトール(1.0質量%)、ブチルセロソルブ(45.7質量%)、ソルベッソ100(45.1質量%)、ソルベッソ150(5.3質量%)、及びノルマルブタノール(2.9質量%)の混合溶媒を使用した。なお、前記括弧内は、溶剤全体を100質量%としたときの各溶媒の質量%を示す。
また、添加剤として、ラノリン(0.1質量部)、ポリエチレン(0.6質量部)、フッ素(0.1質量部)、マイクロクリスタリン(0.2質量部)、シリコーン(0.05質量部)を添加した。なお、前記括弧内は、樹脂成分全体の合計質量(100質量部)に対する各添加剤の質量部を示す。
[塗膜の形成]
上記のように調製した塗料組成物を、アルミニウム合金板に塗布し、乾燥後、焼き付けを行った。なお、ネジ成形加工及び開栓性の評価用として、アルミ合金板から成形されたネジ付缶用缶体の外面にも塗膜を形成した。塗装は、ロール塗装にて行い、1度塗り部分と2度塗り部分とが生じるように塗装した。塗装後、ピンチェーン(アルミ缶塗装印刷オーブン)を用いて乾燥及び焼き付けを行った。乾燥及び焼き付けの温度条件は、230℃に設定した。なお、乾燥及び焼き付け後の塗膜層の膜厚は、2〜15μmとなるように調製した。
[塗膜の評価]
1度塗り部分と2度塗り部分の膜厚を測定し、1度塗り部分と2度塗り部分との膜厚差が3μm未満のものを「○」とし、膜厚差が3μm以上のものを「×」とした。膜厚差が3μm以上を「×」としたのは、検査工程において不良と判定される確率が高くなるからである。なお、1度塗り部分と2度塗り部分の膜厚は、電子マイクロメーター(ミリマール1240、マール・ジャパン株式会社製)により測定した。
また、塗膜の印字性能を評価するため、インクジェットプリンタ(株式会社日立産機製)を用いて、ボトルネジ部に印字した後、ティッシュペーパーでの拭取り試験を行った。ティッシュペーパーによる拭取りでインクが拭取られたものについては、「△」とした。なお、塗膜の印字性能の評価は、内容物充填後に、ボトルネジ部に消費期限等を印字する場合があるために行った。
評価結果を表1に示した。
Figure 2018070749
表1に示すとおり、変性シリコーンの含有量が、樹脂成分量100質量部に対して、0.08〜0.42質量部であり、かつ1度塗り部分の膜厚が2〜5μmである場合は、1度塗り部分と2度塗り部分との膜厚差が3μm未満となり、かつ印刷性能も良好であった。
一方、変性シリコーンの含有量が、樹脂成分量100質量部に対して、0.08質量部未満である場合には、1度塗り部分と2度塗り部分との膜厚差が3μm以上となった。一度塗り部分の膜厚が6μm以上である場合も、1度塗り部分と2度塗り部分との膜厚が3μm以上となった。
また、変性シリコーンの含有量が、樹脂成分量100質量部に対して、0.50質量部以上であると、インクジェットプリンタによるインクをはじき易くなった。
以上の結果より、1度塗り部分と2度塗り部分との段差を3μm未満とし、かつ印刷性能の良好な塗膜を形成するためには、塗料組成物における変性シリコーンの含有量を、樹脂成分量100質量部に対して、0.08〜0.42質量部とし、かつ1度塗り部分の膜厚を2〜5μmとすればよいことが確認された。
<試験例2>
変性シリコーンとして、側鎖にカルビノール基を有するカルビノール変性シリコーン、又は側鎖にアルキル基を有するアルキル変性シリコーンを用いて、試験例1と同様に塗料組成物を調製した。
試験例1と同様に、塗膜を形成したところ、1度塗り部分と2度塗り部分との膜厚差が小さい塗膜を形成することができた。

Claims (8)

  1. ポリエステル樹脂と、アミノ樹脂と、エポキシ樹脂と、変性シリコーンとを含有し、
    前記変性シリコーンの含有量が、前記ポリエステル樹脂と前記アミノ樹脂と前記エポキシ樹脂との合計含有量(100質量部)に対して、0.08〜0.42質量部であることを特徴とする、加工を伴う缶用の塗料組成物。
  2. 前記の加工を伴う缶がネジ付缶である、請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 前記変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサンの側鎖のメチル基の少なくとも1つが、メチル基以外の有機基で置換されたものである、請求項1又は2に記載の塗料組成物。
  4. 前記有機基が、カルビノール基、ポリエーテル基、又は炭素数2以上のアルキル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  5. 一方が開口した有底筒状の缶体を成形する工程と、
    前記缶体の表面に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗料組成物を用いて、1度塗り部分と2度塗り部分とが生じるように塗膜層を形成する工程であって、前記1度塗り部分の塗膜層の膜厚を2〜5μmとする工程と、
    前記塗膜層形成後の缶体の開口端部に加工を施す工程と、
    を含むことを特徴とする加工を伴う缶の製造方法。
  6. 前記加工が、缶体の開口端部に、外周にネジ部を備えた口金部を成形するための加工である、請求項5に記載の加工を伴う缶の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗料組成物からなる塗膜層を有し、
    前記塗膜層は、1度塗り部分と2度塗り部分とを含み、
    前記1度塗り部分の塗膜層の膜厚が、2〜5μmであることを特徴とする、加工を伴う缶。
  8. ネジ付缶である、請求項7に記載の加工を伴う缶。
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