JP2018070747A - 樹脂材料および成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリオレフィンを含む樹脂材料においてフェノール系酸化防止剤に起因すると思われる変色(赤〜ピンク)が長期間有効に防止された樹脂材料、さらにヒトの皮脂による樹脂の劣化と思われる、表面が平滑さを失う現象が有効に防止された樹脂材料の提供。【解決手段】 ポリオレフィンに、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、さらに下記式(A)で表される基を有するヒンダートアミン系光安定剤を組み合わせて添加する。【化1】【選択図】 なし

Description

本発明は樹脂材料および成形体に関し、さらに詳細には、本発明は、特定の酸化防止剤と光安定剤との組み合わせにより安定化された、とりわけ変色が抑制された樹脂材料および成形体に関する。
樹脂材料、例えばポリオレフィン(RH)は、熱や光、物理的刺激による攻撃をうけるとフリーラジカル(R*)を生成し、このフリーラジカルは酸素と反応してパーオキシラジカル(ROO*)を生じさせる。このパーオキシラジカルは、他の分子(RH)から水素を引き抜き、ハイドロパーオキサイド(ROOH)となり、同時にさらに新たフリーラジカル(R*)を生じさせる。新たに生じたフリーラジカルは、次の反応の契機となり、つまり連鎖反応が生じ、樹脂材料の劣化が進行する。
また、ハイドロパーオキサイド(ROOH)は不安定でありそれ自身さらに分解して、新たなラジカルを生じ(例えば、RO*)、この新たなラジカルが他の分子から水素を引き抜き、ラジカルを増加させ、これも樹脂材料の劣化につながる。このようなハイドロパーオキサイドを経ての分子の分解は自動酸化と呼ばれる。
このような樹脂分子の分解、すなわち劣化を防止するため、酸化防止剤が用いられる。酸化防止剤には、主にラジカルを捕捉して、自動酸化の初期段階でこれを防止する作用を有するもの(「一次酸化防止剤」と呼ばれる)と、不安定なハイドロパーオキサイドを安定な生成物に分解することによって、さらなるフリーラジカルの生成を抑制するもの(「二次酸化防止剤」と呼ばれる)とが知られている。一次酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤などが知られ、二次酸化防止剤としては、例えば、リン酸系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが知られている。一次酸化防止剤と、二次酸化防止剤との併用も知られており、酸化防止に対して相乗的な効果を示すことも知られている。
また、一次酸化防止剤として汎用されているフェノール系酸化防止剤は、キノン系化合物を経てスチルベンキノンとなり、添加された樹脂を着色・変色させてしまうことが知られている。樹脂材料の劣化防止のために添加された酸化防止剤が、その外観を損ねてしまうことは望ましくないことから、その変色を抑制することはフェノール系酸化防止剤の利用にあたり課題とされている。
変色抑制に関し、例えば、特表2002−527595号公報(特許文献1)には、一次酸化防止剤および二次酸化防止剤の組み合わせとして、本発明と構造が類似するが異なる化合物群を酸化防止剤として開示し、その組み合わせにより、ポリマーの安定度と白色度が増すとされている。しかしながら、この特許文献1にあっては、一次酸化防止剤の変色を防止する二次酸化防止剤である亜リン酸エステルの添加による不利の解消を課題しており、かつ水の存在を前提としている。また、特開2005−82642号公報(特許文献2)は、本発明において用いる一部の化合物群を酸化防止剤として開示するが、それらを具体的に組み合わせて用いたとする開示はなく、無論その効果も確認していない。
また、光による樹脂の分解を防止するため光安定剤がしばしば添加される。光が当たることで発生したラジカルを捕捉する光安定剤として、ヒンダートアミン系光安定剤(HLS)が知られている。特表2006−503138号公報(特許文献3)は、ヒンダートアミン構造を有する物質と、リン系酸化防止剤との組み合わせを開示するが、本発明における具体的組み合わせの開示はなく、さらにその効果の確認もされていない。
特表2002−527595号公報 特開2005−82642号公報 特表2006−503138号公報
本発明者らは、今般、特定構造のヒンダートアミン系光安定剤と、一次および二次酸化防止剤を組み合わせて用いることにより、樹脂の変色(赤〜ピンク)を長期間有効に防止できる、との知見を得た。またさらに、意外にも、ヒトの皮脂により樹脂が劣化することが原因と思われる、その表面が平滑さを失う現象もまた、この組み合わせにより防止されるとの知見を得た。本発明は、これら知見にもとづくものである。
従って、本発明は、ポリオレフィンを含む樹脂材料であって、フェノール系酸化防止剤を用いた際に生じる、樹脂の変色が有効にされた樹脂材料の提供をその目的としている。
また本発明は、成形体の提供を目的としている。
そして、本発明による樹脂材料は、
(1)ポリオレフィン、
(2)フェノール系酸化防止剤、
(3)リン系酸化防止剤、および
(4)下記式(A)で表される基:
Figure 2018070747
(式中、Rは、Hまたは直鎖および分岐状の炭素数1〜6のアルキル基を表す)
を有するヒンダートアミン系光安定剤を少なくとも含んでなることを特徴とするものである。
さらに、本発明による成形体は、上記の本発明による樹脂材料を含んでなるものである。
本発明によれば、ポリオレフィンを含む樹脂材料においてフェノール系酸化防止剤に起因すると思われる変色(赤〜ピンク)を長期間有効に防止できる。本発明によれば、さらに、ヒトの皮脂により樹脂が劣化することが原因と思われる、その表面が平滑さを失う現象を有効に防止することができる。
樹脂材料
本発明による樹脂材料は、(1)ポリオレフィン、(2)フェノール系酸化防止剤、(3)リン系酸化防止剤、および(4)前記式(a)で表される基を有するヒンダートアミン系光安定剤を少なくとも含んでなる。本発明によれば、(2)および(3)の酸化防止剤、ならびにおよび(4)のヒンダートアミン系光安定剤の組み合わせによって、樹脂材料のフェノール系酸化防止剤に起因すると思われる変色(赤〜ピンク)を長期間有効に防止できる。その理由は定かではないが、次のように考えられる。フェノール系酸化防止剤がキノン系化合物を経てスチルベンキノンとなる理由は種々考えられるが、ラジカル捕捉の結果、その構造を変化させ最終的にスチルベンキノンとなることが考えられ、本発明にあっては、上記組み合わせにより化合物が相乗的に作用して、不安定なハイドロパーオキサイド由来のラジカルの発生を有効に防止し、フェノール系酸化防止剤の発色構造への変化を効率よく抑制しているものと考えられる。以上はあくまで仮説であって、本発明はこれにより限定的に解釈されるものではない。
また、本発明によれば、上記組み合わせによって、ヒトの皮脂により樹脂が劣化することが原因と思われる、その表面が平滑さを失う現象を有効に防止することができる。例えば、樹脂製の便座表面に、一定期間の使用の結果、その表面に細かな複数の凸部を生じる現象が観察されることがある。樹脂表面にぶつぶつ状のものが生じる現象である。本発明者らの検討によれば、この現象は、劣化した樹脂とヒトの皮脂とが反応して生じるものと思われる。本発明による上記組み合わせは、この反応を抑制しているものと考えられる。
本発明による樹脂材料は、ポリオレフィンとして特に制限なく用いることができ、特に、変色がその商品価値を損ねてしまうような用途に好ましく用いられる。具体的には、本発明による樹脂材料から成形体を形成することが出来る。さらに本発明の好ましい態様によれば、上記のとおり、本発明によればヒトの皮脂による樹脂の劣化が有効に防止されることから、ヒトの肌に触れる環境で用いられる成形体の材料として用いることができる。そのような用途の好ましい例としては、便座が挙げられる。
(1)ポリオレフィン
本発明による樹脂材料は、ポリオレフィンを含むものである。本発明においてポリオレフィンは、オレフィン化合物、すなわち炭素間の結合として二重結合を少なくとも一つ有する炭化水素の重合体を意味し、ホモポリマーおよびコポリマーのいずれであってもよい。オレフィン化合物、すなわちモノマーとしては、例えば、炭素数2〜16のモノ−1−オレフィン、好ましく炭素数は2〜10個のモノ−1−オレフィン、より好ましくは炭素数2〜6個のモノ−1−オレフィンが挙げられ、その具体例としては、これらに限定されるものではないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンなどが挙げられる。本発明が好ましく適用されるポリオレフィンの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明においてポリオレフィンとして、ポリオレフィンと、いわゆるエラストマー成分を組み合わせたオレフィン系エラストマーを用いることができる。エラストマー成分としては、天然ゴム、エチレン‐プロピレンゴム、ポリブタジエンゴムなどが挙げられ、添加の形態は、エラストマー成分の微分散等によるブレンド、化学的架橋を伴うものとされてもよい。本発明は、公知のオレフィン系エラストマーおよび今後知られるものであって、オレフィン系エラストマーと分類されるものに広く適用可能なものである。
(2)フェノール系酸化防止剤
本発明による樹脂材料が含むフェノール系酸化防止剤は、いわゆる一次酸化防止剤としてポリオレフィンの劣化を防止する。本発明においてフェノール系酸化防止剤は、主にラジカル捕捉の作用を有するものを意味し、ヒンダートフェノールと分類されるものが好ましい。モノフェノール、ビスフェノール、チオビスフェノール、ポリフェノール、芳香族カルボン酸ヒドロキシベンジル、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコールとのエステル、スピロ化合物およびそれらの混合物からなる群より選択される。
モノフェノールとしては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノ−ル、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノ−ル、および4−(ヒドロキシメチル)−2,6−ジ−tert−ブチルフェノ−ルが挙げられる。
ビスフェノールとしては、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノ−ル)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノ−ル)、2,2−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノ−ル]、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン、エチレンングリコ−ル−ビス[3,3−ビス(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチラ−ト、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)−3−(n−ドデシルチオ)ブタン、および4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノ−ル)が挙げられる。
チオビスフェノールとしては、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾ−ル)、1,1’−チオビス(2−ナフト−ル)、および2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノ−ル)が挙げられる。
ポリフェノールとしては、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート)メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート)]メタンが挙げられる。
芳香族カルボン酸ヒドロキシベンジルとしては、1,3,5−トリ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロン酸ジオクタデシルエステル、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレ−ト、および3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルエステルが挙げられる。
β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミドとしては、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−プロピオニル−ヘキサヒドロ−s−トリアジンおよびN,N’−ジ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−プロピオニル)ヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤の添加量は、その効果を勘案して適宜決定されてよいが、例えば、ポリオレフィンに対して、0.01〜1質量%程度、好ましく0.05〜0.5質量%程度が好ましい。
(3)リン系酸化防止剤
本発明による樹脂材料が含むリン系酸化防止剤の好ましい例としては、下記の式(I)の化合物が挙げられる。
Figure 2018070747
前記式(I)の化合物は二次酸化防止剤であり、式中、RおよびRは、それぞれ独立して、直鎖および分岐状の炭素数1〜20の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1〜16であり、より好ましくは1〜8の炭化水素基を表し、例えば、メチル、tert−ブチル、1,1−ジメチルプロピルが挙げられる。
式(I)の化合物の好ましい具体例としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス[2,4−ジ−(1,1−ジメチルピロピル)フェニル]ホスファイトが挙げられる。
式(I)の化合物の添加量は、その効果を勘案して適宜決定されてよいが、例えば、ポリオレフィンに対して、0.01〜1質量%程度、好ましく0.05〜0.5質量%程度が好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、リン系酸化防止剤として、上記式(I)の化合物に加え、下記式(II)の化合物を添加することで、より効果的に変色、さらには樹脂表面の劣化を防止することができる。
Figure 2018070747
本発明において前記式(II)の化合物もまた、二次酸化防止剤であり、式中、R、R、R、R、R、およびRは、独立して、直鎖または分岐アルキル基の炭素数1〜20の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1〜16であり、より好ましくは1〜8の炭化水素基を表し、例えば、メチル、tert−ブチル、1,1−ジメチルプロピルが挙げられる。
式(II)の化合物の好ましい具体例としては、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイトが挙げられる。
式(II)の化合物の添加量は、その効果を勘案して適宜決定されてよいが、例えば、ポリオレフィンに対して、0.01〜1質量%程度、好ましく0.05〜0.5質量%程度が好ましい。
(4)ヒンダートアミン系光安定剤
本発明による樹脂材料は、さらに下記式(A)で表される基:
Figure 2018070747
(式中、Rは、Hまたは直鎖および分岐状の炭素数1〜6のアルキル基を表す)を有するヒンダートアミン系光安定剤を含んでなる。本発明の好ましい態様によれば、式(A)で表される基を有するヒンダートアミン系光安定剤として、下記式(B)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2018070747
前記式中、Rは、Hまたは直鎖および分岐状の炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは、直鎖および分岐状の炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは、当該化合物の分子量を10000〜3500とする値をとる。
下記式(B)で表されるヒンダートアミン系光安定剤の好ましい具体例としては、RがHを表し、Rがメチル基を表す化合物が挙げられる。
式(A)で表される基を有するヒンダートアミン系光安定剤の添加量は、その効果を勘案して適宜決定されてよいが、例えば、ポリオレフィンに対して、0.01〜1質量%程度、好ましく0.05〜0.5質量%程度が好ましい。
その他の成分
本発明による樹脂材料には、ポリオレフィンに通常または一般的に任意に添加されている種々の成分を添加することができる。
酸化防止剤および成形体
以上から明らかなように、本発明の一つの態様によればポリオレフィン用酸化防止剤が提供され、このポリオレフィン用酸化防止剤は、上記の式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、およびフェノール系酸化防止剤を含んでなるものである。また、本発明の別の態様によれば、上記の本発明による樹脂材料を含んでなる成形体が提供され、この成形体は、酸化防止剤の添加によってもその所物性を変化させず、所望の用途に用いることができるものであり、一方で、有効に変色が防止されたものである。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、以下において%は質量%を意味する。
1. サンプルの作成
下記の組成を有する樹脂材料を用意した。
Figure 2018070747
表中の具体的材料は以下の通りである。
−難燃性ポリオレフィン:難燃性ポリプロピレン
−フェノール系酸化防止剤:住友化学株式会社よりGA−80として入手可能なフェノール系酸化防止剤、およびBASF社よりIrganox 1010として入手可能なフェノール系酸化防止剤
−リン系酸化防止剤1:BASF社よりIrganox 168として入手可能な、式(I)においてRおよびRがt−ブチルである化合物
−リン系酸化防止剤2:株式会社ADEKAよりPEP−36として入手可能な、式(II)においてR、R、R、およびRがt−ブチルであり、RおよびRがメチルである化合物
−HALS1:Chemtura社によりUvasil 299として入手可能な、式(B)においてRが水素、Rがメチル基である化合物。
−HALS2:BASF社よりLS770として入手可能な、下記構造式で表される化合物。
Figure 2018070747
−HALS3:BASF社より944FDとして入手可能な、下記構造式で表される化合物。
Figure 2018070747
上記組成の樹脂材料を射出成形によって10cm×5cmのサンプル板およびダンベル試験片と成形した。射出成形の条件は、シリンダー温度190℃、金型温度40℃とした。
2. 強制循環形熱老化試験
上記1で得られたサンプル板を、強制循環形熱老化試験機(エスペック株式会社製)に入れて、熱による樹脂劣化の加速試験を行った。設定温度70℃とした。
3. 変色の測定および結果
上記2の試験機から下記の表に示される時間経過後に試験片を取り出し、初期の試験片と比較した変色の度合いを、分光測色計CM−5(コニカミノルタ社製)を使用して測定した。なお、変色の度合いは、a値、b値およびL値を測定し、a値(赤−緑側の色の変化を示す)の変化量Δa、および下記のΔEを指標として表した。
ΔE^2=Δa^2+Δb^2+ΔL^2
結果は、下記の表に示される通りであった。
Figure 2018070747
Figure 2018070747
本発明による樹脂材料あっては、式(B)の化合物(HALS1)を含まない場合と比較して、顕著に変色が抑制されていることが分かる。
4. 材料物性の評価
(a)引張強度
上記1で作成したダンベル試験片を用いて引張強度試験を行った。試験は、JIS 6251/ISO 37に準じて、オートグラフ(島津製作所製)にて50mm/minの速度で引張り、最大応力を記録した。
(b)シャルピー衝撃試験
上記1で作成したダンベル試験片を用いて、シャルピー衝撃試験を行った。試験は、JIS K7144に準じて、ノッチ加工を施した後、シャルピー衝撃試験機(株式会社安田精機製作所製)にて実施した
以上の結果は、後記する表に示される通りであった。
5. 耐洗剤性
下記洗剤に、上記1で作成したサンプル板を7日間浸漬させ、その後の変色の程度を、上記3の試験方法に準じて測定した。
酸系洗剤:サンポール(金鳥株式会社)
アルカリ系洗剤:無リンフォワード(シーバイエス株式会社)
塩素系洗剤:ワイドハイター(花王株式会社)
中性洗剤:トイレマジックリン(花王株式会社)
以上の結果は、下記の表に示される通りであった。
Figure 2018070747
表から、本発明による酸化防止剤の添加は、樹脂の所物性に影響をほとんど与えないことが分かる。
6.表面の状態変化
上記1で得られたサンプル板に油分を塗布し過熱する加速試験を行った。サンプル板の表面の平滑が失われるまでの期間を、最大360時間まで確認した。
以上の結果は、下記の表に示される通りであった。
Figure 2018070747
表から、本発明により樹脂材料のヒトの皮脂による表面劣化に対しても顕著に抑制していることが分かる。

Claims (11)

  1. 樹脂材料であって、
    (1)ポリオレフィン、
    (2)フェノール系酸化防止剤、
    (3)リン系酸化防止剤、および
    (4)下記式(A)で表される基:
    Figure 2018070747
    (式中、Rは、Hまたは直鎖および分岐状の炭素数1〜6のアルキル基を表す)
    を有するヒンダートアミン系光安定剤を少なくとも含んでなることを特徴とする、樹脂材料。
  2. 式(A)で表される基を有する前記ヒンダートアミン系光安定剤が、下記式の化合物(B):
    Figure 2018070747
    (式中、Rは、Hまたは直鎖および分岐状の炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは、直鎖および分岐状の炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは、当該化合物の分子量を10000〜3500とする値をとる)
    である、請求項1に記載の樹脂材料。
  3. がHを表し、Rがメチル基を表す、請求項2に記載の樹脂材料。
  4. 前記リン系酸化防止剤が、下記(I)で表される化合物:
    Figure 2018070747
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立して、直鎖および分岐状の炭素数1〜20の炭化水素基を表す)
    である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂材料。
  5. 前記式(I)で表される化合物が、RおよびRがt−ブチルである化合物である、請求項4に記載の樹脂材料。
  6. 前記リン系酸化防止剤として、さらに下記式(II)で表される化合物:
    Figure 2018070747
    (式中、R、R、R、R、R、およびRは、独立して、直鎖または分岐アルキル基の炭素数1〜20の炭化水素基を表す)、
    を含んでなる、請求項4または5に記載の樹脂材料。
  7. 式(II)で表される化合物が、R、R、R、およびRがt−ブチルであり、RおよびRがメチルである化合物である、請求項6に記載の樹脂材料。
  8. 前記ポリオレフィンが、ポリオレフィン系エラストマーである、請求項1に記載の樹脂材料。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂材料を含んでなる、成形体。
  10. 前記成形体がヒトの肌に触れる環境で用いられる、請求項9に記載の成形体。
  11. 前記成形体が便座である、請求項10に記載の成形体。

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