JP2018070125A5 - - Google Patents

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水中音響通信システム
本発明は、水上又は水面近くにある船舶等と水中に投入された水中航走体との間で音響信号を利用して通信を行う水中音響通信システムに関する。
海洋や湖沼等において、水中に水中航走体を投入して水底の探査等を行う場合、水上又は水面近くに位置する船舶等と水中航走体との間、又は水中に配置された装置と水中航走体との間では、音響信号を利用した水中音響通信システムを用いて通信が行われる。
例えば特許文献1には、母船とケーブル接続された水中ステーションを海中に配設し、音響トランスポンダを探査地点近くの海底に配置し、探査用の無索式無人潜水艇を水中ステーション及び音響トランスポンダと超音波信号を用いて通信させすることで誘導し、必要に応じて無索式無人潜水艇を水中ステーションにドッキングさせて充電又は電池交換と探査データの吸い上げを行う技術が開示されている。
また、特許文献2には、第1トランスポンダ、第1受波器及び第2受波器を備えた水中ステーションを母船から海中に吊り下げ、海底に第2トランスポンダを設置し、探査用の自律型無人航走体に第3トランスポンダ及び第3受波器を設け、水中ステーションは第2トランスポンダの信号を第1受波器で受信することによって定点保持を図り、自律型無人航走体は、探査中は第2トランスポンダの信号を第3受波器で受信することによって自航し、動力が減少すると第1トランスポンダの信号を第3受波器で受信することによって水中ステーションに向かって航走し、水中ステーションは第3トランスポンダの信号を第2受波器で受信することによって自律型無人航走を収容するための姿勢制御を行う技術が開示されている。
また、特許文献3には、水上に位置する母船に送波器を設け、探査用の無人潜水機に受波器を設け、母船から無人潜水機に制御信号を送る水中音響通信において、画素信号のハフ変換を利用して伝送誤りを補正する技術が開示されている。
また、特許文献4には、母船と水中航走体との間における通信を中継する自走中継器を観察領域の水面近傍に配置し、自走中継器と母船との間の通信は電波通信で行い、自走中継器と水中航走体との間の通信は音響通信で行うことによって、水平方向の通信可能距離を向上させる技術が開示されている。
特開平3−266794号公報 特開2003−26090号公報 特開平5−147583号公報 特開2001−308766号公報 特表2001−500941号公報
水上又は水面近くにある船舶等から、船舶等の下方の水中の水中航走体が水中音響通信を行う場合、一般的に音波の水面反射の影響により、船舶等を頂点とした円錐形の体積が、水中音響通信可能領域となる。しかし、水中航走体は、観測作業中等に水中音響通信可能領域から出ることも考えられる。水中航走体が水中音響通信可能領域を超えた場合は、水中音響通信は途絶してしまう。
特許文献1記載の発明は、母船と水中ステーションがケーブルで接続されているため、母船や水中ステーションの移動が制限される。また、音波が水面又は水底に反射することによる音響通信への影響を考慮していない。
特許文献2記載の発明は、水中ステーションが母船から吊り下げられているため、母船や水中ステーションの移動が制限される。また、音波が水面又は水底に反射することによる音響通信への影響を考慮していない。
特許文献3記載の発明は、水中音響通信が水面や海底の反射音の影響を受けやすいことを考慮し、伝送誤りを含んでいても正しい制御信号を推定することで無人潜水機が無制御状態に陥ることを防止しようとするものである。しかし、無人潜水機が母船を頂点とした略円錐状の水中音響通信可能領域を超えた場合には、通信が途絶してしまう。
特許文献4記載の発明は、音響通信は海面や海底からの反射によって音波が劣化するため特に水平方向の通信では音波の伝わらない領域があることを考慮し、自走中継器を介して母船と水中航走体との通信を行うことによって水平方向の通信可能距離を拡げようとするものである。しかし、自走中継器は水面近傍に配置されるため、自走中継器を頂点とした略円錐状の水中音響通信可能領域の外にある水中航走体とは通信できない。
そこで本発明は、水面近傍にある船舶等と水中にある水中航走体との水中音響通信可能範囲を拡大する水中音響通信システムを提供することを目的とする。
請求項1記載に対応した水中音響通信システムにおいては、水面の近傍に配置した浮体音響通信手段と、水の中を航走する水中航走体に設けた航走体音響通信手段との間で音響信号を利用して通信を行う水中音響通信システムにおいて、水面から下方であって浮体音響通信手段が発信する音響信号の到達し易い略円錐状の範囲の所定領域に配置した音響通信中継手段を備え、少なくとも水中航走体が所定領域を超えて航走するときに音響通信中継手段を介して浮体音響通信手段と航走体音響通信手段が音響通信を行うことを特徴とする。
請求項1に記載の本発明によれば、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段は、音響通信中継手段を介した音響通信を行うことができる。水中に配置された音響通信中継手段からの音波は水面反射の影響を受けにくいため所定領域外にある航走体音響通信手段にも届きやすい。すなわち、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段が音響通信可能な範囲が拡大するため、水中航走体の活動範囲が拡大する。
なお、「水面の近傍に配置した浮体音響通信手段」には、水面に浮かぶブイ等に設けた浮体音響通信手段の他、全部又は大部分が水中に没していたとしても水面近傍に位置する浮体音響通信手段を含む。また、船舶等の浮体に搭載された状態も含むものとする。
請求項2記載の本発明は、所定領域のうち、水中音速の遅い低水温層に音響通信中継手段を配置することを特徴とする。
請求項2に記載の本発明によれば、低水温層は音波がより水平遠方に届きやすいため、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段との音響通信中継手段を介した通信可能範囲がさらに拡大する。
請求項3記載の本発明は、水中音響通信システムを海洋で用い、所定領域のうち水中音速の遅い低塩分層に音響通信中継手段を配置することを特徴とする。
請求項3に記載の本発明によれば、低塩分層は音波がより水平遠方に届きやすいため、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段との音響通信中継手段を介した通信可能範囲がさらに拡大する。
請求項4記載の本発明は、音響通信中継手段で把握した水中の音響通信の通信状況に従い、所定領域のうちの最適な位置に音響通信中継手段を配置することを特徴とする。
請求項4に記載の本発明によれば、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段との音響通信中継手段を介した通信の安定性がさらに高まる。
請求項5記載の本発明は、通信状況は音響通信中継手段と航走体音響通信手段との通信状況であることを特徴とする。
請求項5に記載の本発明によれば、通信の安定性が一層高まり、航走体音響通信手段との通信可能範囲がさらに拡大する。
請求項6記載の本発明は、音響通信中継手段は、横方向に音響信号を送信して航走体音響通信手段と音響通信を行うことを特徴とする。
請求項6に記載の本発明によれば、特に水平方向に遠く離れた航走体音響通信手段とも安定して通信を行うことができる。
請求項7記載の本発明は、所定領域に水中航走体が存在する場合は、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段で直接通信を行うことを特徴とする。
請求項7に記載の本発明によれば、音響通信中継手段のエネルギーの消耗や負荷を軽減できると共に、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段との通信速度を速くできる。
なお、「直接通信」とは、音響通信中継手段を介さない通信をいう。
請求項8記載の本発明は、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段の直接通信と、音響通信中継手段を介した間接通信を切り替える通信切替手段を備えたことを特徴とする。
請求項8に記載の本発明によれば、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段との間の通信状況に応じて、また必要に応じて直接通信と間接通信を切り替えることができる。
請求項9記載の本発明は、音響通信に供するデータとして位置データを含むことを特徴とする。
請求項9に記載の本発明によれば、位置データを含めることで、浮体音響通信手段、音響通信中継手段又は水中航走体の位置の補正や水中航走体が取得したデータとの対応付け等を行うことができる。
請求項10記載の本発明は、位置データは、GNSS衛星からのGNSS信号を受信して浮体音響通信手段の自己位置を把握したデータであることを特徴とする。
請求項10に記載の本発明によれば、位置データを、GNSS信号を受信して浮体音響通信手段の自己位置を把握したデータとすることができる。
請求項11記載の本発明は、浮体音響通信手段を複数有し、複数の浮体音響通信手段の各々がGNSS衛星からのGNSS信号を受信し各々の自己位置を把握することを特徴とする。
請求項11に記載の本発明によれば、位置データを、複数の浮体音響通信手段の各々がGNSS信号を受信して自己位置を把握したデータとすることができる。
請求項12記載の本発明は、水中航走体及び/又は音響通信中継手段に音響通信に供するデータを記憶する記憶手段を有したことを特徴とする。
請求項12に記載の本発明によれば、必要に応じてデータを再送したり、水中航走体又は音響通信中継手段を水中から回収した後にデータを検証したりすることができる。
請求項13記載の本発明は、水中航走体を複数台有し、音響通信中継手段は複数台の水中航走体の音響信号を中継することを特徴とする。
請求項13に記載の本発明によれば、複数台の水中航走体を用いることで、観測作業等の効率を向上させることができる。
請求項14に記載の本発明は、複数の水中航走体がそれぞれ音響通信中継手段を搭載し、所定領域に存在する水中航走体が音響通信の中継を行うことを特徴とする。
請求項14に記載の本発明によれば、水中航走体自身が音響通信中継機能を兼ねることができる。また、複数の音響通信中継手段を設けることで、1台が故障しても他の水中航走体に搭載された音響通信中継手段を用いて間接通信が行える。
請求項15に記載の本発明は、音響通信中継手段が水中を移動可能に構成され、音響通信中継手段の移動速度は水中航走体の航走速度よりも遅いものであることを特徴とする。
請求項15に記載の本発明によれば、音響通信中継手段が移動可能であるため、浮体音響通信手段を追尾させることで、浮体音響通信手段が移動しても音響通信中継手段が所定領域から外れることを防止できる。また、略円錐状の範囲の所定領域内で最大限、水中航走体との音響通信が可能な位置にまで移動が可能となるため、水中航走体の観測範囲等を拡げることができる。また、音響通信中継手段の移動速度を水中航走体の航走速度よりも遅くすることで、音響通信中継手段の消費エネルギーを節約して間接通信に備えることができる。
請求項16に記載の本発明は、航走体音響通信手段と音響通信中継手段との間の音響通信ができなくなった場合に、水中航走体及び/又は音響通信中継手段を水面に浮上させることを特徴とする。
請求項16に記載の本発明によれば、早めに浮上させることで、水中航走体及び/又は音響通信中継手段を見失う前に回収することができる。
請求項17記載の本発明は、水中航走体及び/又は音響通信中継手段が水面に浮上した後は、浮体音響通信手段と水中航走体及び/又は音響通信中継手段との通信を空間を利用した無線通信に切り替えることを特徴とする。
請求項17に記載の本発明によれば、浮体音響通信手段と浮上した水中航走体及び/又は音響通信中継手段との通信をさらに、情報量を増し水平遠方まで安定して行うことができる。
本発明の水中音響通信システムによれば、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段は、音響通信中継手段を介した音響通信を行うことができる。水中に配置された音響通信中継手段からの音波は水面反射の影響を受けにくいため所定領域外にある航走体音響通信手段にも届きやすい。すなわち、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段が音響通信可能な範囲が拡大するため、水中航走体の活動範囲が拡大する。
また、所定領域のうち、水中音速の遅い低水温層に音響通信中継手段を配置する場合には、低水温層は音波がより水平遠方に届きやすいため、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段との音響通信中継手段を介した通信可能範囲がさらに拡大する。
また、水中音響通信システムを海洋で用い、所定領域のうち水中音速の遅い低塩分層に音響通信中継手段を配置する場合には、低塩分層は音波がより水平遠方に届きやすいため、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段との音響通信中継手段を介した通信可能範囲がさらに拡大する。
また、音響通信中継手段で把握した水中の音響通信の通信状況に従い、所定領域のうちの最適な位置に音響通信中継手段を配置する場合には、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段との音響通信中継手段を介した通信の安定性がさらに高まる。
また、通信状況は音響通信中継手段と航走体音響通信手段との通信状況である場合には、通信の安定性が一層高まり、航走体音響通信手段との通信可能範囲がさらに拡大する。
また、音響通信中継手段は、横方向に音響信号を送信して航走体音響通信手段と音響通信を行う場合には、特に水平方向に遠く離れた航走体音響通信手段とも安定して通信を行うことができる。
また、所定領域に水中航走体が存在する場合は、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段で直接通信を行う場合には、音響通信中継手段のエネルギーの消耗や負荷を軽減できると共に、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段との通信速度を速くできる。
また、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段の直接通信と、音響通信中継手段を介した間接通信を切り替える通信切替手段を備えた場合には、浮体音響通信手段と航走体音響通信手段との間の通信状況に応じて、また必要に応じて直接通信と間接通信を切り替えることができる。
また、音響通信に供するデータとして位置データを含む場合には、浮体音響通信手段、音響通信中継手段又は水中航走体の位置の補正や水中航走体が取得したデータとの対応付け等を行うことができる。
また、位置データは、GNSS衛星からのGNSS信号を受信して浮体音響通信手段の自己位置を把握したデータである場合には、位置データを、GNSS信号を受信して浮体音響通信手段の自己位置を把握したデータとすることができる。
また、浮体音響通信手段を複数有し、複数の浮体音響通信手段の各々がGNSS衛星からのGNSS信号を受信し各々の自己位置を把握する場合には、位置データを、複数の浮体音響通信手段の各々がGNSS信号を受信して自己位置を把握したデータとすることができる。
また、水中航走体及び/又は音響通信中継手段に音響通信に供するデータを記憶する記憶手段を有した場合には、必要に応じてデータを再送したり、水中航走体又は音響通信中継手段を水中から回収した後にデータを検証したりすることができる。
また、水中航走体を複数台有し、音響通信中継手段は複数台の水中航走体の音響信号を中継する場合には、複数台の水中航走体を用いることで、観測作業等の効率を向上させることができる。
また、複数の水中航走体がそれぞれ音響通信中継手段を搭載し、所定領域に存在する水中航走体が音響通信の中継を行う場合には、水中航走体自身が音響通信中継機能を兼ねることができる。また、複数の音響通信中継手段を設けることで、1台が故障しても他の水中航走体に搭載された音響通信中継手段を用いて間接通信が行える。
また、音響通信中継手段が水中を移動可能に構成され、音響通信中継手段の移動速度は水中航走体の航走速度よりも遅いものである場合には、音響通信中継手段が移動可能であるため、浮体音響通信手段を追尾させることで、浮体音響通信手段が移動しても音響通信中継手段が所定領域から外れることを防止できる。また、略円錐状の範囲の所定領域内で最大限、水中航走体との音響通信が可能な位置にまで移動が可能となるため、水中航走体の観測範囲等を拡げることができる。また、音響通信中継手段の移動速度を水中航走体の航走速度よりも遅くすることで、音響通信中継手段の消費エネルギーを節約して間接通信に備えることができる。
また、航走体音響通信手段と音響通信中継手段との間の音響通信ができなくなった場合に、水中航走体及び/又は音響通信中継手段を水面に浮上させる場合には、早めに浮上させることで、水中航走体及び/又は音響通信中継手段を見失う前に回収することができる。
また、水中航走体及び/又は音響通信中継手段が水面に浮上した後は、浮体音響通信手段と水中航走体及び/又は音響通信中継手段との通信を空間を利用した無線通信に切り替える場合には、浮体音響通信手段と浮上した水中航走体及び/又は音響通信中継手段との通信をさらに、情報量を増し水平遠方まで安定して行うことができる。
本発明の第1の実施形態による水中音響通信システムの概略構成図 深度と水温の関係を示す図 深度と塩分の関係を示す図 音響通信中継手段の中継制御を示すフロー図 音響通信中継手段の中継制御を示すフロー図 本発明の第2の実施形態による水中音響通信システムの概略構成図
以下に、本発明の実施形態による水中音響通信システムについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による水中音響通信システムの概略構成図である。
図2は、深度(水深)と水温の関係を示す図であり、縦軸は深度[m]、横軸は水温[℃]である。
図3は、深度(水深)と塩分の関係を示す図であり、縦軸は深度[m]、横軸は塩分[permil]である。
図1では、海洋や湖沼等において、水面A近傍に浮体音響通信手段30を配置し、複数の水中ロボット20を投入し、水底Bの鉱物資源やエネルギー資源等の探査を行う状態を示している。
水面Aに浮かんだ船舶10は、浮体音響通信手段30を備え、電波の届かない水中に存在する水中ロボット20に対して音響信号を利用して通信を行い、水中ロボット20の監視及び制御を行う。
水中ロボット20は、浮体音響通信手段30との接続にケーブルを用いずに水中を自律的に航走する無索自律無人型の航走体(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)であり、水中において水底B等を観測する。船舶10と水中ロボット20との通信をケーブル通信ではなく音響通信とすることで、船舶10にケーブル用の設備を設ける必要が無く、また、ケーブルが絡んだりケーブルによって船舶10の移動が制限されたりすることがない。
水中音響通信システムは、浮体音響通信手段30と、水中ロボット20に設けた航走体音響通信手段40との間で音響信号を利用して通信を行う。
浮体音響通信手段30は、音波を送信する送波器と音波を受信する受波器とを有し、水面Aに浮かぶ船舶(調査母船)10に設けられている。
船舶10は、GNSS(全地球航法衛星システム)衛星1からのGNSS信号を受信することにより自船の位置を把握できる。
船舶10は、探索に関する指令等を浮体音響通信手段30から水中ロボット20に送信し、水中ロボット20から送信された観測データ等を浮体音響通信手段30で受信する。
水中ロボット20は、単数の中継体21と、複数の水中航走体22とからなる。中継体21には、音響通信中継手段50、通信切替手段60及び記憶手段70が搭載されている。水底B等の観測は主に水中航走体22が担うが、中継体21も水底B等の観測を行うことができる。
航走体音響通信手段40は、音波を送信する送波器と音波を受信する受波器とを有する。中継体21には、航走体音響通信手段40として中継体音響通信手段41が設けられ、水中航走体22には、航走体音響通信手段40として航走体音響通信手段42が設けられている。
中継体21、水中航走体22は、観測により得られた観測データ等を中継体音響通信手段41、航走体音響通信手段42から船舶10に送信し、船舶10から送信された指令等を中継体音響通信手段41、航走体音響通信手段42で受信する。
中継体21に搭載された音響通信中継手段50は、船舶10と水中航走体22との音響通信を中継する。これにより、船舶10と水中航走体22とは、中継体21の音響通信中継手段50を介した間接通信を行うことができる。
本実施形態のように、水中航走体22を複数台有し、中継体21が複数台の水中航走体22と船舶11との間で送受信される音響信号を中継することで、効率よく水中探査を行うことができる。
なお、本実施形態においては、所定領域Xに水中航走体22が存在する場合は、船舶10と所定領域Xに存在する水中航走体22とは、中継体21の音響通信中継手段50を介さない直接通信を行う。これにより、中継体22の音響通信中継手段50のエネルギーの消耗や負荷を軽減すると共に、間接通信のときよりも船舶10と水中航走体22との通信速度が向上する。
図1において、実線矢印は、水中の音響通信を示す。
中継体21は、直接通信と間接通信を切り替える通信切替手段60を備えており、船舶10と水中航走体22との間の通信状況に応じて、または必要に応じて直接通信と間接通信を切り替えることができる。なお、常に船舶10と水中航走体22が間接通信を行う場合は、通信切替手段60を省略できる。
船舶10と水中ロボット20との間で音響通信を行う場合、下方に送信した音波が水面Aで反射して特に水平方向及びそれに近い俯角方向への音響通信が困難となる。船舶10が発信する音響信号が到達しやすい領域は、図1に示すように、浮体音響通信手段30を頂点とした略円錐状の範囲である所定領域Xとなる。
中継体21は、水面Aから下方であって、船舶10からの音響信号が到達しやすい所定領域Xに配置され、所定領域Xを超えて航走しないように制御されている。中継体21を所定領域X内に留めることで、船舶10と中継体21との音響通信が途絶することを防止できる。
また、水中に配置された中継体21から発信される音響信号は、水面反射の影響が軽減されるため、船舶10から発信された音響信号よりも水平方向の到達範囲が拡がる。そのため、中継体21は、水中航走体22が所定領域Xの外にあるときにも、水中航走体22との音響通信を行いやすい。
したがって、船舶10と水中航走体22との音響通信は、少なくとも水中航走体22が所定領域Xを超えて航走している場合には、中継体21に搭載された音響通信中継手段50を介した間接通信を行うことで、通信途絶を回避できる。これにより、船舶10と水中航走体22との音響通信が可能な範囲が拡がり、ひいては水中航走体22が探索できる範囲が拡大する。
なお、中継体21の位置が深くなればなるほど、中継体音響通信手段41から発信される音響信号に対する水面反射の影響は小さくなるが、中継体21が水底Bに近づきすぎると水底Bで反射した音波(水底反射)の影響が大きくなるため、水面Aからの深度だけでなく水底Bからの高度も考慮することが好ましい。この場合、水底Bの形状は水面Aに比較して複雑であり水底反射も複雑となるため、水底Bの形状によって高度を考慮することがさらに好ましい。中継体21から発信される音響信号の水平方向の到達範囲は、中継体21の位置する深度及び高度と水面A及び水底Bに向かう音波の入射・反射角度等によって推定できる。
AUVである中継体21は、垂直スラスタや水平スラスタにより船舶10の移動に追随して移動したり、水流等がある場所においても位置を保持したりすることができる。したがって、本実施形態のように、音響通信中継手段50を中継体21に搭載すること、すなわち音響通信中継手段50を移動可能に構成することで、音響通信中継手段50を所定領域Xに留めることができる。また、中継体21が所定領域X内で最大限、水中航走体22との音響通信が可能な位置にまで移動することが可能となるため、水中航走体22の観測範囲等を拡げることができる。
なお、中継体21は所定領域Xに留まるため、水中航走体22よりも移動範囲が狭い。そのため中継体21の航走速度は、水中航走体22の航走速度より遅くても構わない。中継体21の航走速度を抑えることで、中継体21の消費エネルギーを節約して間接通信に備えることができる。
音響通信中継手段50が搭載された中継体21の鉛直方向の位置は、所定領域Xの外にある水中航走体22とも音響通信ができる位置となるように定める。
中継体21は、中継体音響通信手段41で把握した水中の音響通信の通信状況に従って、所定領域Xのうちの最適な位置に配置することが好ましい。所定領域Xのなかでも通信状況が良好な位置に音響通信中継手段50を搭載した中継体21を配置することで、船舶10と水中航走体22が音響通信中継手段50を介した間接通信を行う際の通信の安定性がさらに高まる。水中の音響通信の通信状況は、例えばシグナル/ノイズ比(S/N比)で把握する。
なお、最適な位置を決める際には、中継体21と船舶10との通信状況に従ってもよいが、中継体21と水中航走体22との通信状況に従って最適な位置に中継体21を配置した場合には、通信の安定性が一層高まり、水中航走体22との音響通信可能範囲をさらに拡げることができる。
また、所定領域Xのうち、水中音速の遅い低水温層に中継体21を配置してもよい。水温約3〜74℃の範囲では、水温が低いほど水中音速が遅くなり、より水平遠方まで音波が届きやすいため、他よりも水温が低い低水温層に中継体21を配置することで、船舶10と水中航走体22との音響通信中継手段50を介した音響通信可能範囲がさらに拡大する。ここで図2は、水深1700m以上の海域における調査に基づき作成した深度と水温の関係を示す図である。図2から、この海域の水温は、水温が低いほど水中音速が遅くなる3〜74℃の範囲内であり、水面Aから遠ざかるほど下がる傾向であることが分かる。よってこの水深と水温だけを考慮した場合は、中継体21の鉛直方向の位置をより深くすることが好ましい。但し、水底に熱水鉱床等があって水の温度が他よりも高い高水温層がある場合には、その高水温層を避けて配置する。このように、深度による水温変化を測定又は推定し、その結果に基づいて所定領域Xのなかでもより水温の低い場所に中継体21を配置することで、上記のように音響通信可能範囲がさらに拡大する。
また、水中音響通信システムを海洋で用いる場合には、所定領域Xのうち、塩分が他よりも低い低塩分層に中継体21を配置してもよい。塩分が低いほど水中音速が遅くなり、より水平遠方まで音波が届きやすいため、低塩分層に中継体21を配置することで、船舶10と水中航走体22との音響通信中継手段50を介した音響通信可能範囲がさらに拡大する。水深1700m以上の海域で深度と塩分の関係を調査したところ、図3に示すように、深度約400〜600mが最も塩分が低い低塩分層であることが分かった。なお、水深が約400m以上の海域であれば、最大深度に関わらず深度約400〜600mが低塩分層となる。したがって、水深と塩分だけを考慮した場合、水深が約400m以上の海域においては、所定領域Xのなかでも深度約400〜600mに中継体21を配置することが好ましい。また、水温と塩分の両方が低い場合は、どちらか一方だけが低い場合と比べて水中音速がさらに遅くなるので、水温と塩分の両方に基づいて中継体21の位置を定めることがより好ましい。なお、水中音速には圧力(深度)も影響するため、この圧力も考慮して中継体21の位置を定めてもよい。
音響通信中継手段50が搭載された中継体21の位置を定める方法について、さらに詳述する。
水温、塩分及び水深と、水中音速との関係を近似的に表す式としてMackenzieの式(式1)がある。
ここで、
c:音速(m/s)
T:水温(℃)
S:塩分(permil)
D:水深(m)
である。
水温と塩分と水深とを考慮する場合、このMackenzieの式に従って音速を求めることが好ましい。
図2に示される水深と水温の関係、図3に示される水深と塩分の関係を用いて、上記式1に基づいて、水温と塩分と及び水深を考慮して音速を計算すると、表1のような結果となる。
この場合、音速がもっとも小さくなる水深(音速極小点)は1000mであり、水深600mから1400mが、音速が1490m/s以下となる音速が遅い層と言える。さらに水深800mから1200mが、音速が1486m/s以下となる音速がより遅い音速極小層と言える。
図2に示されるような、水面Aの水温が30℃にもなる水温の高い海域においては、音速の変化に与える影響は、水温の変化>水深の変化>塩分の変化の順に大きい。水面Aの水温が低い海域においては、水温の変化よりも水深の変化や塩分の変化の影響が勝ってくる。
音速が遅い層は、水深に対する水温のプロファイル、塩分のプロファイル、及び水深によって異なってくるため、正確を期す場合は、適用海域の水温のプロファイル、塩分のプロファイル、及び水深に応じて、適宜、音速の遅くなる層を、式1等を用いて求めることが好ましい。より正確を期す場合は、水温、塩分、及び水深を例えば音響通信中継手段50で計測し、式1等に基づいて音速を計算し、音速の遅い層に音響通信中継手段50を配置することが好ましい。また、音速極小層に音響通信中継手段50を配置することがさらに好ましい。
上述のように、水中に配置された中継体21から発信された水中音響信号は、水面反射の影響が軽減されるため、船舶10から発信された水中音響信号よりも水平方向の到達距離が延びる。そこで、中継体21が、横方向(水平方向)に音響信号を送信して水中航走体22と音響通信を行った場合には、特に水平方向に遠く離れた水中航走体22とも安定して通信を行うことができる。
中継体21及び水中航走体22には、音響通信に供するデータを記憶するハードディスクドライブや半導体メモリ等の記憶手段70が設けられており、必要に応じてデータを再送したり、水中航走体22又は音響通信中継手段50を水中から回収した後にデータを検証したりすることができる。
音響通信に供するデータには、自己位置や観測位置等の位置データを含むことができる。位置データを含めることで、船舶10、中継体21又は水中航走体22の位置の補正や水中航走体22が取得したデータとの対応付け等を行うことができる。
中継体21の中継体音響通信手段41と水中航走体22の航走体音響通信手段42との音響通信ができなくなった場合は、中継体21及び水中航走体22を水面Aに浮上させてもよい。
早めに浮上させることで、中継体21及び水中航走体22を見失う前に回収することができる。
なお、中継体21及び水中航走体22が水面Aに浮上した後は、船舶10と中継体21及び水中航走体22との通信を、空間を利用した無線通信に切り替えることが好ましい。
音波は水上では届きにくいため、無線通信に切り替えることで、船舶10と浮上した中継体21又は水中航走体22との距離が離れていても通信がしやすい。なお、空間を利用した無線通信としては、電波通信、光通信、音響通信等が使用可能である。
複数の水中航走体22が、それぞれ音響通信中継手段50を搭載し、中継体21に加えて又は中継体21に代えて、所定領域Xに存在する水中航走体22が船舶10との音響通信の中継を行うようにしてもよい。
これにより、水中航走体22自身が音響通信を中継する機能を兼ねることができる。また、複数ある水中航走体22のそれぞれが音響通信中継手段50を備えることで、1台が故障しても他の水中航走体22に搭載された音響通信中継手段50を用いて間接通信が行える。
次に、本発明の第2の実施形態による水中音響通信システムについて説明する。なお、第1の実施形態と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
図4は本発明の第2の実施形態による水中音響通信システムの概略構成図である。
本実施形態は、洋上中継器(ASV:Autonomous Surface Vehicle)11を備え、船舶(調査母船)10には浮体音響通信手段30として船舶音響通信手段31が設けられ、洋上中継器11には浮体音響通信手段30として洋上中継器音響通信手段32が設けられている点において、第1の実施形態と異なる。船舶10と洋上中継器11との通信は、電波による無線通信により行われる。洋上中継器11を用いることで、水中航走体22の活動範囲をさらに拡げることができる。
船舶10及び洋上中継器11は、GNSS衛星1からのGNSS信号を受信することにより自己位置を把握できる。
洋上中継器11は、本体11Aが水中に没して水深約1.5mの位置にあり、アンテナ11Bの上部が水面Aよりも上に出た半潜水状態で用いられる。
船舶10、洋上中継器11は、探索に関する指令等を船舶音響通信手段31、洋上中継器音響通信手段32から水中ロボット20に送信し、水中ロボット20から送信された観測データ等を船舶音響通信手段31、洋上中継器音響通信手段32で受信する。
中継体21、水中航走体22は、観測により得られた観測データ等を中継体音響通信手段41、航走体音響通信手段42から船舶10及び洋上中継器11に送信し、船舶10及び洋上中継器11から送信された指令等を中継体音響通信手段41、航走体音響通信手段42で受信する。
中継体21に搭載された音響通信中継手段50は、船舶10と水中航走体22との音響通信を中継する。これにより、船舶10と水中航走体22とは、中継体21の音響通信中継手段50を介した間接通信を行うことができる。
中継体21は、水面Aから下方であって、船舶10からの音響信号が到達しやすい所定領域Xに配置され、所定領域Xを超えて航走しないように制御されている。
水中航走体22は、水面Aから下方であって、洋上中継器11からの音響信号が到達しやすい所定領域Yに配置されている。
船舶10と水中航走体22との音響通信は、少なくとも水中航走体22が所定領域X及び所定領域Yを超えて航走している場合には、中継体21に搭載された音響通信中継手段50を介した間接通信を行うことで、通信途絶を回避できる。これにより、船舶10と水中航走体22との音響通信が可能な範囲が拡がり、ひいては水中航走体22が探索できる範囲が拡大する。
なお、中継体21は、所定領域Yに配置し、所定領域Yを超えて航走しないように制御してもよい。この場合、中継体21と船舶10との通信は洋上中継器11を経由して行われるため、船舶10は、船舶音響通信手段31を省略できると共に、中継体21の位置に左右されることなく航走できる。
次に、図5及び図6を用いて、音響通信中継手段50の中継制御の例について説明する。なお、第1の実施形態を中心に説明するが、第2の実施形態も基本的に同様である。
図5は、船舶から水中航走体に対して音響通信の確立を求める際の音響通信中継手段の中継制御を示すフロー図である。
船舶10は、水中航走体22に対して音響通信の確立を求める場合、水中航走体22に対して返答を求める第1の音響信号を浮体音響通信手段30から発信する。音波は無指向のため、浮体音響通信手段30が発信した第1の音響信号は、所定領域Xにある中継体21の中継体音響通信手段41でも受信される。中継体音響通信手段41が第1の音響信号を受信すると、音響通信中継手段50の中継制御がスタートする(ステップ1)。なお、第2の実施形態においては、船舶10は、水中航走体22に対して返答を求める信号を、無線通信で洋上中継器11に対して発信すると共に、第1の音響信号として船舶音響通信手段31から発信する。無線通信による信号は、洋上中継器11で音響信号に変換されて第1の音響信号として洋上中継器音響通信手段32から発信される。
ステップ1で発信された第1の音響信号を航走体音響通信手段42が受信すると、水中航走体22は、第1の音響信号を受信したことを知らせる第2の音響信号を航走体音響通信手段42から発信する。音響通信中継手段50は、ステップ1で発信された第1の音響信号を受信した後、水中航走体22から発信されるはずの第2の音響信号を中継体音響通信手段41が受信したか否かを判断する(ステップ2)。
ステップ2において、第2の音響信号を中継体音響通信手段41が受信したと判断した場合には、音響通信中継手段50はそのまま中継制御を終了する(ステップ3)。船舶10と水中航走体22との間で直接通信が可能な状態と判断できるためである。この場合は、船舶10と水中航走体22との間の音響通信は、中継体21を介さない直接通信により行われる。
ステップ2において、第2の音響信号を中継体音響通信手段41が受信していないと判断した場合には、音響通信中継手段50は、ステップ1で受信した第1の音響信号を中継体音響通信手段41から発信する(ステップ4)。ステップ1で発信された第1の音響信号が航走体音響通信手段42には届いていないと判断できるためである。
ステップ4で発信された第1の音響信号を航走体音響通信手段42が受信すると、水中航走体22は、第1の音響信号を受信したことを知らせる第2の音響信号を航走体音響通信手段42から発信する。音響通信中継手段50は、ステップ4で第1の音響信号を発信した後、水中航走体22から発信されるはずの第2の音響信号を中継体音響通信手段41が受信したか否かを判断する(ステップ5)。
ステップ5において、第2の音響信号を中継体音響通信手段41が受信したと判断した場合には、音響通信中継手段50は、通信切替手段60によって間接通信への切り替を行う(ステップ6)。船舶10と水中航走体22との間で間接通信は可能な状態と判断できるためである。この場合は、船舶10と水中航走体22との間の音響通信は、中継体21を介した間接通信により行われる。
ステップ5において、第2の音響信号を中継体音響通信手段41が受信していないと判断した場合には、音響通信中継手段50はそのまま中継制御を終了する(ステップ7)。船舶10と水中航走体22との間で間接通信も不可能な状態と判断できるためである。中継体21を浮上させて回収してもよい。なお、第2の実施形態においては、この場合であっても、船舶10と水中航走体22とは、洋上中継器11を経由した通信ができている可能性がある。そこで、洋上中継器11で電波に変換された第2の音響信号を船舶10が受信したか否かを伝える音響信号を、船舶音響通信手段31から中継体21に対して発信するようにしてもよい。
なお、船舶10では、浮体音響通信手段30が第2の音響信号を受信しない場合、第1の音響信号を送信したか(ステップ4の動作を行ったか)否かの返答を求める音響信号を浮体音響通信手段30から中継体21に対して送信するか、ステップ4で中継体音響通信手段41から発信される第1の音響信号を浮体音響通信手段30で受信するようにしてもよい。
図6は、水中航走体から船舶に対して音響通信の確立を求める際の音響通信中継手段の中継制御を説明するフロー図である。
水中航走体22は、船舶10に対して音響通信の確立を求める場合、船舶10に対して返答を求める第3の音響信号を航走体音響通信手段42から発信する。航走体音響通信手段42が発信した無指向の第3の音響信号は、中継体音響通信手段41でも受信できる可能性がある。中継体音響通信手段41が第3の音響信号を受信すると、音響通信中継手段50の中継制御がスタートする(ステップ11)。なお、第2の実施形態においては、洋上中継器11に到達した第3の音響信号は、電波に変換されて船舶10に向けて無線通信でも送信される。
ステップ11で発信された第3の音響信号を浮体音響通信手段30が受信すると、船舶10は、第3の音響信号を受信したことを知らせる第4の音響信号を浮体音響通信手段30から発信する。音響通信中継手段50は、ステップ11で発信された第3の音響信号を受信した後、船舶10から発信されるはずの第4の音響信号を中継体音響通信手段41が受信したか否かを判断する(ステップ12)。なお、第2の実施形態においては、船舶10は、第3の音響信号を受信したことを知らせる信号を、無線通信で洋上中継器11に対して発信すると共に、第4の音響信号として船舶音響通信手段31から発信する。無線通信による信号は、洋上中継器11で音響信号に変換されて第4の音響信号として洋上中継器音響通信手段32から発信される。
ステップ12において、第4の音響信号を中継体音響通信手段41が受信したと判断した場合には、音響通信中継手段50はそのまま中継制御を終了する(ステップ13)。船舶10と水中航走体22との間で直接通信が可能な状態と判断できるためである。この場合は、船舶10と水中航走体22との間の音響通信は、中継体21を介さない直接通信により行われる。
ステップ12において、第4の音響信号を中継体音響通信手段41が受信していないと判断した場合には、音響通信中継手段50は、ステップ11で受信した第3の音響信号を中継体音響通信手段41から発信する(ステップ14)。ステップ11で発信された第3の音響信号が浮体音響通信手段30には届いていないと判断できるためである。
ステップ14で発信された第3の音響信号を浮体音響通信手段30が受信すると、船舶10は、第3の音響信号を受信したことを知らせる第4の音響信号を浮体音響通信手段30から発信する。音響通信中継手段50は、ステップ14で第3の音響信号を発信した後、船舶10から発信されるはずの第4の音響信号を中継体音響通信手段41が受信したか否かを判断する(ステップ15)。なお、第2の実施形態においては、船舶10は、第3の音響信号を受信したことを知らせる信号を、無線通信で洋上中継器11に対して発信すると共に、第4の音響信号として船舶音響通信手段31から発信する。無線通信による信号は、洋上中継器11で音響信号に変換されて第4の音響信号として洋上中継器音響通信手段32から発信される。
ステップ15において、第4の音響信号を中継体音響通信手段41が受信したと判断した場合には、音響通信中継手段50は、受信した第4の音響信号を中継体音響通信手段41から発信すると共に、通信切替手段60によって間接通信への切り替えを行う(ステップ16)。船舶10と水中航走体22との間で間接通信は可能な状態と判断できるためである。この場合は、船舶10と水中航走体22との間の音響通信は、中継体21を介した間接通信により行われる。
ステップ15において、第4の音響信号を中継体音響通信手段41が受信していないと判断した場合には、音響通信中継手段50はそのまま中継制御を終了する(ステップ17)。船舶10と水中航走体22との間で間接通信も不可能な状態と判断できるためである。中継体21を浮上させて回収してもよい。また、この場合は、航走体音響通信手段42にも第4の音響信号が届かないため、水中航走体22に対して第4の音響信号を所定時間受信しない場合には浮上する指令を予め与えておくことで、水中航走体22を浮上させて回収することができる。なお、第2の実施形態においては、この場合であっても、船舶10と水中航走体22とは、洋上中継器11を経由した通信ができている可能性がある。そこで、洋上中継器11で電波に変換された第3の音響信号を船舶10が受信したか否かを伝える音響信号を、船舶音響通信手段31から中継体21に対して発信するようにしてもよい。
本発明の水中音響通信システムは、海洋や湖沼等における水中探査の際の、水面近くの船舶等と水中ロボットとの音響通信が可能な範囲を拡げることができるため、より広範囲にわたって効率的に水中探査を行うことができる。
22 水中航走体
30 浮体音響通信手段
40、42 航走体音響通信手段
50 音響通信中継手段
60 通信切替手段
70 記憶手段
A 水面
X 所定領域

Claims (17)

  1. 水面の近傍に配置した浮体音響通信手段と、水の中を航走する水中航走体に設けた航走体音響通信手段との間で音響信号を利用して通信を行う水中音響通信システムにおいて、前記水面から下方であって前記浮体音響通信手段が発信する前記音響信号の到達し易い略円錐状の範囲の所定領域に配置した音響通信中継手段を備え、少なくとも前記水中航走体が前記所定領域を超えて航走するときに前記音響通信中継手段を介して前記浮体音響通信手段と前記航走体音響通信手段が音響通信を行うことを特徴とする水中音響通信システム。
  2. 前記所定領域のうち、水中音速の遅い低水温層に前記音響通信中継手段を配置することを特徴とする請求項1に記載の水中音響通信システム。
  3. 前記水中音響通信システムを海洋で用い、前記所定領域のうち水中音速の遅い低塩分層に前記音響通信中継手段を配置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水中音響通信システム。
  4. 前記音響通信中継手段で把握した水中の前記音響通信の通信状況に従い、前記所定領域のうちの最適な位置に前記音響通信中継手段を配置することを特徴とする請求項1から請求項3のうちの1項に記載の水中音響通信システム。
  5. 前記通信状況は前記音響通信中継手段と前記航走体音響通信手段との通信状況であることを特徴とする請求項4に記載の水中音響通信システム。
  6. 前記音響通信中継手段は、横方向に前記音響信号を送信して前記航走体音響通信手段と前記音響通信を行うことを特徴とする請求項1から請求項5のうちの1項に記載の水中音響通信システム。
  7. 前記所定領域に前記水中航走体が存在する場合は、前記浮体音響通信手段と前記航走体音響通信手段で直接通信を行うことを特徴とする請求項1から請求項6のうちの1項に記載の水中音響通信システム。
  8. 前記浮体音響通信手段と前記航走体音響通信手段の前記直接通信と、前記音響通信中継手段を介した間接通信を切り替える通信切替手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載の水中音響通信システム。
  9. 前記音響通信に供するデータとして位置データを含むことを特徴とする請求項1から請求項8のうちの1項に記載の水中音響通信システム。
  10. 前記位置データは、GNSS衛星からのGNSS信号を受信して前記浮体音響通信手段の自己位置を把握したデータであることを特徴とする請求項9に記載の水中音響通信システム。
  11. 前記浮体音響通信手段を複数有し、複数の前記浮体音響通信手段の各々が前記GNSS衛星からの前記GNSS信号を受信し各々の前記自己位置を把握することを特徴とする請求項10に記載の水中音響通信システム。
  12. 前記水中航走体及び/又は前記音響通信中継手段に前記音響通信に供するデータを記憶する記憶手段を有したことを特徴とする請求項1から請求項11のうちの1項に記載の水中音響通信システム。
  13. 前記水中航走体を複数台有し、前記音響通信中継手段は複数台の前記水中航走体の前記音響信号を中継することを特徴とする請求項1から請求項12うちの1項に記載の水中音響通信システム。
  14. 複数の前記水中航走体がそれぞれ前記音響通信中継手段を搭載し、前記所定領域に存在する前記水中航走体が前記音響通信の中継を行うことを特徴とする請求項13に記載の水中音響通信システム。
  15. 前記音響通信中継手段が水中を移動可能に構成され、前記音響通信中継手段の移動速度は前記水中航走体の航走速度よりも遅いものであることを特徴とする請求項1から請求項13のうちの1項に記載の水中音響通信システム。
  16. 前記航走体音響通信手段と前記音響通信中継手段との間の前記音響通信ができなくなった場合に、前記水中航走体及び/又は前記音響通信中継手段を前記水面に浮上させることを特徴とする請求項1から請求項15のうちの1項に記載の水中音響通信システム。
  17. 前記水中航走体及び/又は前記音響通信中継手段が前記水面に浮上した後は、前記浮体音響通信手段と前記水中航走体及び/又は前記音響通信中継手段との通信を空間を利用した無線通信に切り替えることを特徴とする請求項16に記載の水中音響通信システム。
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