JP6980255B2 - 水中観測システム及び水中観測システムの音波競合排除方法 - Google Patents

水中観測システム及び水中観測システムの音波競合排除方法 Download PDF

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Description

本発明は、1つの水上航走体と、1以上の水中航走体とからなる複数の航走体グループを備えた水中観測システム、及び、水中観測システムの音波競合排除方法に関するものである。
海洋資源の探査等の目的で、自律型無人潜水機(AUV[Autonomous Underwater Vehicle])を用いた海底調査が行われている。現在実用化されているAUVは、AUVをモニタリングする母船と1対1で組み合わされているものである。
最近では、短時間で広範囲の高精度データを取得したいというニーズが高まっており、複数のAUVを同時に運用できる水中観測システムの開発が盛んに行われている。そこで、例えば、特許第4435932号公報(特許文献1)に記載のシステムは、母船とは別体の自走中継器を備えており、母船と自走中継器それぞれが水中航走体と組み合わされ、複数の水中航走体を同時に運用することを提案している。母船と水中航走体、及び、自走中継器と水中航走体は、音波を利用した音響通信により通信を行っている。
特許第4435932号公報
特許第4435932号公報(特許文献1)に記載のシステムの場合、母船と自走中継器が十分に離れた位置で航行するのであれば問題ない。しかしながら、狭い範囲内で母船と自走中継器を運用しようとすると、母船と自走中継器が近付きすぎて、通信に使用している音波が競合してしまい、母船・水中航走体間、自走中継器・水中航走体間の通信が不良となる可能性がある。
本発明の目的は、1つの水上航走体と、1以上の水中航走体とからなる複数の航走体グループを備えた水中観測システムにおいて、狭い範囲内で複数の航走体グループを運用したとしても、航走体グループ間で音波競合が生じない水中観測システム、及び、水中観測システムの音波競合排除方法を提供し、複数の水中航走体の運用を可能にすることにある。
本発明の他の目的は、音波競合が生じ、水上航走体と水中航走体の音響通信状況が悪化してしまい、水上航走体が水中航走体を見失いそうな場合や見失ってしまった場合でも、水上航走体と水中航走体が再会合することが可能な水中観測システム、及び、水中観測システムの音波競合排除方法を提供し、複数の水中航走体の運用を可能にすることにある。
本発明の水中観測システムの音波競合排除方法は、1つの水上航走体と、1つの水上航走体と音響通信により通信可能であり、水中を自律航行する1以上の水中航走体とからなる複数の航走体グループを備えた水中観測システムに用いるものである。水上航走体とは、水上を航走するものであり、母船、洋上中継器(ASV[Autonomous Surface Vehicle])等を含む。水中航走体とは、水中を航走するものであり、自律型無人潜水機(AUV[Autonomous Underwater Vehicle])を含む。水中観測システムは、水上航走体のうち、1つが母船であり、他の水上航走体が洋上中継器であることが想定されるが、必ずしも母船を含んでいる必要はなく、水上航走体全てが洋上中継器であり、母船の代わりを果たす、基地局とからなる構成であってもよい。基地局は、通信機能を有して、洋上中継器から離れた位置に存在する施設であり、陸上にあっても空中にあってもよい。
本発明の水中観測システムの音波競合排除方法は、複数の航走体グループに属する複数の水上航走体がそれぞれ水中に放射する複数の音波ビームのそれぞれの到達範囲を取得する音波ビーム到達範囲取得ステップと、複数の航走体グループに属する複数の水上航走体のそれぞれの航行状態を取得する航行状態取得ステップと、1つの航走体グループに含まれる1以上の水中航走体と、他の1つの航走体グループに含まれる1以上の水中航走体のうち、最も深い深度にある水中航走体の深度を最深深度として取得する深度取得ステップと、1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体と、他の1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体同士の船間距離を取得する船間距離取得ステップとを備えている。
そして、重複状態判断ステップでは、音波ビーム到達範囲取得ステップで取得した複数の音波ビームのそれぞれの到達範囲と、航行状態取得ステップで取得した航行状態と、深度取得ステップで取得した最深深度と、船間距離取得ステップで取得した船間距離とに基づいて、1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体が放射する音波ビームと、他の1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体が放射する音波ビーム同士の重複状態を判断し、回避行動判断ステップでは、重複状態判断ステップが判断した重複状態に基づいて、音波競合を排除するための回避行動の必要性を判断し、回避行動実行ステップでは、回避行動判断ステップで、回避行動が必要と判断した場合に、回避行動を複数の航走体グループに属する複数の水上航走体の少なくとも1台が実行し、複数の水上航走体が放射する複数の音波ビーム同士の音波競合を排除する。
本発明によれば、水上航走体同士が近付きすぎて、回避行動が必要な場合には、水上航走体のうち、少なくとも1台が回避行動を実行するので、音波競合を排除することができ、水上航走体と水中航走体の音響通信を継続できる。
回避行動が必要な状況は任意に設定することができる。例えば、回避行動判断ステップでは、音波ビーム同士が重複して音波競合が発生する範囲が形成されていると判断した場合に、回避行動が必要と判断するようにしてもよい。このようにすれば、水上航走体と水中航走体の音響通信状況が悪化する前に、音波競合を排除することができる。
回避行動判断ステップでは、音波競合が発生する範囲が形成される可能性があると判断した場合に、回避行動が必要と判断するようにしてもよい。このようにすれば、音波競合が発生することを未然に防ぐことができる。
なお、1つの水上航走体と1以上の水中航走体の音響通信が、通信期間と非通信期間からなる通信周期を有しており、通信期間が、回避行動の実行に要する時間を含む競合判断期間と連続している場合、競合判断期間内に、音波競合が発生する範囲が形成される可能性がある場合に、回避行動判断ステップで、回避行動が必要と判断するようにすれば、回避行動に要する時間を確保しながら、適切に回避行動を実行することができる。
回避行動は、音波競合を回避できればどのような行動でもよい。例えば、回避行動判断ステップは、音波競合を排除するために必要な、1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体と、他の1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体同士の限界船間距離を演算する船間距離演算ステップを含み、回避行動実行ステップは、船間距離が限界船間距離より長くなるように回避行動をすることを含むようにすればよい。
具体的には、音波競合が発生する2つの航走体グループに属する2台の水上航走体のうち一方の水上航走体の送波器の指向角をθ1、他方の水上航走体の送波器の指向角をθ2、一方の水上航走体と組になる1以上の水中航走体のうち最も深度が深いものの深度をD1、他方の水上航走体と組になる1以上の水中航走体のうち最も深度が深いものの深度をD2とすると、
1=D2の場合、限界船間距離SLは、
L=D1・(tan(θ1/2)+tan(θ2/2))
の式で求まり、
1>D2の場合、限界船間距離SLは、
L=D1・(tan(θ1/2)+tan(θ2/2))
の式で求まり、
1<D2の場合、限界船間距離SLは、
L=D2・(tan(θ1/2)+tan(θ2/2))
の式で求まる限界船間距離SLよりも船間距離が長くなるようにすればよい。
また、回避行動実行ステップは、音波競合が発生する2つの航走体グループに属する2台の水上航走体の少なくとも一方の音波ビームを送波する送波器の指向角を小さくすることを含んでいてもよい。
回避行動実行ステップは、音波競合が発生する2つの航走体グループに属する2台の水上航走体の少なくとも一方の音波ビームを送波する送波器の出力を小さくすることを含んでいてもよい。
さらに、回避行動実行ステップは、音波競合が発生する2つの航走体グループに属する2台の水上航走体の少なくとも一方の音波ビームを送波する送波器の送波方向を変更することを含んでいてもよい。
上述のように、本発明の水中観測システムの音波競合排除方法によれば、音波競合を排除することができるが、回避行動を実行しても、急な潮流の変化等によって、意図せず音波競合が生じ、水上航走体と水中航走体の音響通信状況が悪化してしまう可能性がある。このため、本発明では、回避行動実行ステップでは、水上航走体が、組になる水中航走体との音響通信が所定の試行回数を超えた場合に、予め定めておいた再会合ポイントへ移動し、再び水中航走体を捕捉するまで再会合ポイントで待機するようにしている。このようにすれば、水上航走体が水中航走体を見失ってしまった場合でも、再会合が可能であり、水中航走体を失うことがない。
本発明の水中観測システムの音波競合排除方法は、複数の航走体グループに属する複数の水上航走体のそれぞれが、音波ビーム到達範囲取得ステップ、航行状態取得ステップ、深度取得ステップ、船間距離取得ステップ、重複状態判断ステップ、及び、回避行動判断ステップを実行し、回避行動判断ステップで、回避行動が必要と判断した場合に、回避行動実行ステップを実行するように構成されていてもよい。
また、複数の航走体グループに属する複数の水上航走体のうち1つ、または、基地局がマスター機として設定され、他の複数の水上航走体はマスター機からの指示を受けるスレーブ機として設定されており、マスター機が、音波ビーム到達範囲取得ステップ、航行状態取得ステップ、深度取得ステップ、船間距離取得ステップ、重複状態判断ステップ、及び、回避行動判断ステップを実行し、回避行動判断ステップで、回避行動が必要と判断した場合に、該水中航走体と組になるスレーブ機に回避行動実行ステップを実行させる指令を出力するように構成されていてもよい。
本発明は、水中観測システムとしても把握する(または表現する)ことができる。1つの水上航走体と、1つの水上航走体と音響通信により通信可能であり、水中を自律航行する1以上の水中航走体とからなる複数の航走体グループを備えた水中観測システムでは、水上航走体のそれぞれは、自らが放射する音波ビームと、他の1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体が放射する音波ビーム同士の重複状態に基づいて、音波競合を排除するための回避行動の必要性を判断する演算部と、演算部が、回避行動が必要と判断した場合に、回避行動を実行する回避行動実行部とを備えている。
この場合、演算部は、水上航走体自らが放射する音波ビームと、他の1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体が放射する音波ビームの到達範囲を取得する音波ビーム到達範囲取得部と、複数の航走体グループに属する複数の水上航走体のそれぞれの航行状態を取得する航行状態取得部と、水上航走体自らが属する航走体グループに含まれる1以上の水中航走体と、他の1つの航走体グループに含まれる1以上の水中航走体のうち、最も深い深度にある水中航走体の深度を最深深度として取得する深度取得部と、水上航走体自らと、他の1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体同士の船間距離を取得する船間距離取得部と、音波ビーム到達範囲取得部で取得した音波ビームのそれぞれの到達範囲と、航行状態取得部で取得した航行状態と、深度取得部で取得した最深深度と、船間距離取得部で取得した船間距離とに基づいて、水上航走体自らが放射する音波ビームと、他の1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体が放射する音波ビーム同士の重複状態を判断する重複状態判断部と、重複状態判断部が判断した重複状態に基づいて、音波競合を排除するための回避行動の必要性を判断する回避行動判断部とを備えていてもよい。
本発明は、他の水中観測システムとしても把握する(または表現する)ことができる。1つの水上航走体と、1つの水上航走体と音響通信により通信可能であり、水中を自律航行する1以上の水中航走体とからなる複数の航走体グループを備えた水中観測システムでは、複数の航走体グループに属する複数の水上航走体のうち1つ、または、基地局がマスター機として設定され、他の複数の水上航走体はマスター機からの指示を受けるスレーブ機として設定されており、マスター機は、1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体が放射する音波ビームと、他の1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体が放射する音波ビーム同士の重複状態に基づいて、音波競合を排除するための回避行動の必要性を判断する演算部と、演算部が、回避行動が必要と判断した場合に、回避行動を実行するようにスレーブ機に指示を行う回避行動実行部とを備えている。
この場合、演算部は、複数の航走体グループに属する複数の水上航走体がそれぞれ水中に放射する複数の音波ビームのそれぞれの到達範囲を取得する音波ビーム到達範囲取得部と、複数の航走体グループに属する複数の水上航走体のそれぞれの航行状態を取得する航行状態取得部と、1つの航走体グループに含まれる1以上の水中航走体と、他の1つの航走体グループに含まれる1以上の水中航走体のうち、最も深い深度にある水中航走体の深度を最深深度として取得する深度取得部と、1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体と、他の1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体同士の船間距離を取得する船間距離取得部と、音波ビーム到達範囲取得部で取得した複数の音波ビームのそれぞれの到達範囲と、航行状態取得部で取得した航行状態と、深度取得部で取得した最深深度と、船間距離取得部で取得した船間距離とに基づいて、1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体が放射する音波ビームと、他の1つの航走体グループに含まれる1つの水上航走体が放射する音波ビーム同士の重複状態を判断する重複状態判断部と、重複状態判断部が判断した重複状態に基づいて、音波競合を排除するための回避行動の必要性を判断する回避行動判断部とを備えていてもよい。
複数の航走体グループに属する複数の水上航走体には、予め優先順位が付けられており、回避行動実行部は、同時期に複数のスレーブ機に回避行動を実行させる必要がある場合に、優先順位の順に回避行動を実行するように複数のスレーブ機に指示を行う調停機能を有する。このような調停機能を有すれば、スレーブ機が複数存在する場合に、優先順位を考慮した回避行動を実行することができる。
本実施の形態の水中観測システムの概要を示す図である。 洋上中継器ASVと自律型無人潜水機AUVを図示した平面図である。 母船MSと自律型無人潜水機AUV1、及び、洋上中継器ASVと自律型無人潜水機AUV2による音響通信の様子を図示した概略図である。 音波競合が生じている状況を示す図である。 洋上中継器ASVの構成を示すブロック図である。 音波競合を排除するまでのフローチャートである。 音響通信の通信周期を示すタイムチャートである。 回避行動を実行した結果を示す図である。 試行回数が多くなった場合の再会合を示す図である。 他の音波競合回避のフローチャートである。 回避行動を実行した結果を示す図である。 他の音波競合回避のフローチャートである。 回避行動を実行した結果を示す図である。 他の音波競合回避のフローチャートである。 回避行動を実行した結果を示す図である。 第2の実施の形態の水中観測システムに含まれる母船MSのブロック図を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の水中観測システム及び水中観測システムの音波競合排除方法の実施の形態について説明する。
<水中観測システムの概要>
図1は、海洋に展開されている本実施の形態の水中観測システム1の概要図である(ただし、説明の便宜上、海洋部分は図示していない)。図1に示すように、水中観測システム1は、水上航走体である母船MSと、母船MSと音響通信により通信可能な2機の自律型無人潜水機AUV1−1,1−2からなる航走体グループG1と、水上航走体である洋上中継器ASV1と、洋上中継器ASV1と音響通信により通信可能な2機の自律型無人潜水機AUV2−1,2−2からなる航走体グループG2と、水上航走体である洋上中継器ASV2と、洋上中継器ASV2と音響通信により通信可能な2機の自律型無人潜水機AUV3−1,3−2からなる航走体グループG3とからなる。航走体グループ内の通信は、時間分割信号処理等の多重通信技術によって実現されている。母船MSと、洋上中継器ASV1,2は、近距離においては電波を用いた無線通信を用いて、電波が到達しない遠距離においては、通信衛星CSを利用した衛星通信回線を用いて、相互に通信を行う。
なお、以下の説明では、説明の便宜上、各航走体グループG1〜G3に含まれている自律型無人潜水機は、1機として説明を行うことがある。また、洋上中継器と自律型無人潜水機について、特に区別することなく説明を行う場合には、洋上中継器を洋上中継器ASV、自律型無人潜水機を自律型無人潜水機AUVとして言及する。
<ASVとAUVによる観測>
図2は、水深を無視して洋上中継器ASVと自律型無人潜水機AUVを図示した平面図であり、洋上中継器ASVと自律型無人潜水機AUVからなる航走体グループによる海底観測の様子を示す概要図である。自律型無人潜水機AUVには、予め海底のAUV観測シナリオが設定されており、洋上中継器ASVは、自律型無人潜水機AUVの観測シナリオに基づいてASV観測シナリオを作成する。図2には、AUV観測シナリオOSによる航路(測線)が実線(一部省略)により描かれている。洋上中継器ASV及び自律型無人潜水機AUVには、予め、緯度・経度で定義された会合ポイントMPが設定されており、観測範囲に到着すると、洋上中継器ASVは会合ポイントMPで待機し(図2(1))、自律型無人潜水機AUVは、着水後潜航しながら会合ポイントMPへと向かうようになっている(図2(2))。会合後、自律型無人潜水機AUVはAUV観測シナリオに基づいて海底観測を開始し、洋上中継器ASVは自律型無人潜水機AUVを追尾する(図2(3))。観測が終了すると、洋上中継器ASVと自律型無人潜水機AUVは、終了地点で、旋回待機を行う(図2(4))。
<ASVとAUVによる音響通信の概要>
図3は、母船MSと自律型無人潜水機AUV1、及び、洋上中継器ASVと自律型無人潜水機AUV2による音響通信の様子を図示した概略図である。図3は、紙面上部を海面側、紙面下部を海底側にした側方から見た図である。母船MSと洋上中継器ASVは船間距離Sをあけて洋上(海面SS)を航行しており、自律型無人潜水機AUV1,2は海中を航行している。本実施の形態は、特に、母船MS及び洋上中継器ASVから、自律型無人潜水機AUV1,2へ送信する音響通信が対象である。
母船MS及び洋上中継器ASVは、底部に圧電セラミック振動素子をアレイ構成にした送受波器TR1(TR1−1,TR1−2)を備えており、海底方向に向かって信号を載せた音波ビームを放射する。本明細書においては、母船MS及び洋上中継器ASVの送受波器TR1の送波に着目して、説明の便宜上、送波器と呼ぶことがある。音響通信は、通信期間と非通信期間からなる通信周期を有している。自律型無人潜水機AUV1,2は、上部に送受波器TR2(TR2−1,TR2−2)を備えており、音波ビームを受波し、信号を受信する。本明細書においては、AUV側の送受波器TR2の受波に着目して、説明の便宜上、受波器と呼ぶことがある。
音波ビームは、送受波器TR1の出力V(V1,V2)、指向角θ(θ1,θ2)、送波方向Di(Di1,Di2)、及び、受波感度RG(RG1,RG2)によって決定される円錐形状であるとみなすことができ、図3には、音波ビームの到達範囲の仮想範囲を破線で示してある(側方から見ているため、図3では三角形として示してある)。ただし、音響通信を考える場合には、音波ビームの底面(図3では底辺)は、自律型無人潜水機AUV(正確には、送受波器TR2)の位置となるため、音波ビームは、図3に実線で示した円錐(側方から見ているため図3では三角形)である。以下では、特に、音波ビームの到達範囲(破線)に言及する場合には、「到達音波ビーム」と呼び、音響通信の音波ビームの範囲(実線)に言及する場合には、「有効音波ビーム」と呼ぶ場合がある。
<音波競合の概要>
図3及び図4を用いて、音波競合について説明する。図3は音波競合が生じていない状況であり、図4は音波競合が生じている状況である。図3に示す母船MS及び自律型無人潜水機AUV1からなる航走体グループG1と、洋上中継器ASV及び自律型無人潜水機AUV2からなる航走体グループG2で、自律型無人潜水機AUVの深度D1,D2を比較すると、自律型無人潜水機AUV2の方が深度が深い。そこで、航走体グループG1と航走体グループG2のいずれも、自律型無人潜水機AUV2の深度D2に合わせて音波ビームの円錐の底面を定義する。すなわち、航走体グループG2の場合には、有効音波ビームの底面を底面BSとし、航走体グループG1の場合には、有効音波ビームよりも下方に仮想底面IBSがあると仮定する。母船MSと洋上中継器ASVが近づき、図4のように、底面BSと仮想底面IBSが交差した状態となり、音波競合範囲CRが形成されると、音波競合状態となる。この状態で直ちに音響通信ができなくなるわけではないが、音波競合範囲CRに自律型無人潜水機AUV1,2が進入すると、音響通信ができなくなるため、音波競合状態を排除することで、未然に音響通信ができなくなることを防ぐことが本実施の形態の目的の1つである。
<ASV(自己判断型)の構成>
図5は、洋上中継器ASVの構成を示すブロック図である。本実施の形態の洋上中継器ASVは、自身で情報を収集し、母船MSや他の洋上中継器ASVとの音波競合を排除するものである。図5には、回避行動に必要なブロックのみ図示してあり、自律航行に必要な部材、観測に必要な部材、AUVとの音響通信に必要な部材等の他の部材は図示を省略してある。なお、母船MSも同様の構成を有するものとすることもできる。
洋上中継器ASVは、データ等を取得・保存するデータ部3と、回避行動の必要性を判断する演算部5と、回避行動を実行する回避行動実行部7とを備えている。
データ部3は、母船MS及び/または他の洋上中継器ASVと無線通信及び/または衛星通信を行う通信部9と、GPS衛星からGPS信号を受信して絶対位置を取得するGPS信号受信部11と、自律型無人潜水機AUVの相対位置を測位する測位部13と、音響通信の設定情報や、観測シナリオ等を記憶した設定情報記憶部15を備えている。
演算部5は、音波ビーム到達範囲取得部17と、航行状態取得部19と、深度取得部21と、船間距離取得部23と、重複状態判断部25と、回避行動判断部27とを備えている。音波ビーム到達範囲取得部17は、洋上中継器ASV自らが放射する音波ビームと、他の1つの航走体グループに含まれる母船MS及び/または他の洋上中継器ASVが放射する音波ビームの到達範囲を取得する。航行状態取得部19は、複数の航走体グループに属する母船MS及び/または他の洋上中継器ASVのそれぞれの航行状態を取得する。本実施の形態において、航行状態とは、速度及び航行方向である。深度取得部21は、洋上中継器ASV自らが属する航走体グループに含まれる自律型無人潜水機AUVと、他の1つの航走体グループに含まれる自律型無人潜水機AUVのうち、最も深い深度にある自律型無人潜水機AUVの深度を最深深度として取得する。船間距離取得部23は、洋上中継器ASV自らと、他の1つの航走体グループに含まれる母船MS及び/または他の洋上中継器ASV同士の船間距離を取得する。
重複状態判断部25は、音波ビーム到達範囲取得部17で取得した音波ビームのそれぞれの到達範囲と、航行状態取得部19で取得した航行状態と、深度取得部21で取得した最深深度と、船間距離取得部23で取得した船間距離とに基づいて、洋上中継器ASV自らが放射する音波ビームと、他の1つの航走体グループに含まれる母船MS及び/または他の洋上中継器ASVが放射する音波ビーム同士の重複状態を判断する。回避行動判断部27は、重複状態判断部25が判断した重複状態に基づいて、音波競合を排除するための回避行動の必要性を判断する。
回避行動実行部7は、回避行動判断部27が回避行動が必要と判断した場合に、回避行動を実行する。回避行動実行部7には、洋上中継器ASVの推進機、操舵装置、送波器が含まれる。
<音波競合回避>
本実施の形態では、図6のフローチャートに沿って、音波競合を排除する。以下では、図3の例をもとに、音波競合の回避を説明する。
洋上中継器ASVは、自律型無人潜水機AUVとの音響通信を行う度に、音響通信に先立って、各種データを取得する(ステップST1)。すなわち、以下のデータを取得する。
・GPS信号受信部11により、洋上中継器ASV自身の絶対位置を取得する
・測位部13により、自律型無人潜水機AUVの相対位置及び深度を取得する
・洋上中継器ASVの絶対位置と自律型無人潜水機AUVの相対位置から、自律型無人潜水機AUVの絶対位置を演算する
・設定情報記憶部15から音波ビームの設定情報(送波器TR1の出力V、指向角θ、送波方向Di、受波感度RG)、及び、洋上中継器ASV自身の航行状態を読み出す
・通信部9により、母船MS及び/または他の洋上中継器ASVと通信を行い、母船MS及び/または他の洋上中継器ASVの絶対位置、航行状態、音波ビームの設定情報、自律型無人潜水機AUVの絶対位置を取得する
・深度取得部21は、図3の例では、自律型無人潜水機AUV2の深度を最深深度として取得する
・船間距離取得部23は、洋上中継器ASV自身の絶対位置と、母船MS及び/または他の洋上中継器ASVの絶対位置に基づいて、船間距離Sを取得する。
重複状態判断部25は、ステップST1で得られた各種データに基づいて、洋上中継器ASV自らが放射する音波ビームと、他の1つの航走体グループに含まれる母船MS及び/または他の洋上中継器ASVが放射する音波ビーム同士の音波競合の範囲を演算し、音波ビームの重複状態を判断する(ステップST2)。
回避行動判断部27は、ステップST2の判断した重複状態に基づいて、音波競合を排除するための回避行動の必要性を判断する(ステップST3)。本実施の形態では、音波ビーム同士が重複して音波競合が発生する範囲が形成されている、または、音波競合が発生する範囲が形成される可能性があると判断した場合に、回避行動が必要と判断するように構成されている。
なお、「音波競合が発生する範囲が形成される可能性がある場合」とは、本実施の形態では、母船MS及び/または洋上中継器ASVの航行状態から判断して、音響通信の通信周期の通信期間に音波競合が生じる可能性がある状態をいう。上述のように、音響通信は、図7に示すように、通信期間と非通信期間からなる通信周期を有しているが、本実施の形態では、図7に示すように、通信期間の前に、回避行動の実行に要する時間を含む期間を競合判断期間として設定し、競合判断期間内に、音波競合が発生する範囲が形成される可能性がある場合に、音波競合が発生する範囲が形成される可能性がある場合として、回避行動が必要と判断するようにしている。
ステップST3で回避行動は不要と判断すると、洋上中継器ASVは、そのまま自律型無人潜水機AUVの追尾を継続する(ステップST4)。回避行動が必要と判断すると、回避行動判断部27は、音波競合を排除するために必要な、水上航走体同士の限界船間距離SLを演算する(ステップST5)。限界船間距離SLは、次の式により求まる。
音波競合が発生する2つの航走体グループに属する2台の水上航走体のうち一方の水上航走体の送波器の指向角をθ1、他方の水上航走体の送波器の指向角をθ2、一方の水上航走体と組になる1以上の水中航走体のうち最も深度が深いものの深度をD1、他方の水上航走体と組になる1以上水中航走体のうち最も深度が深いものの深度をD2とすると、
1=D2の場合、限界船間距離SLは、
L=D1・(tan(θ1/2)+tan(θ2/2))・・・式(1)
の式で求まり、
1>D2の場合、限界船間距離SLは、
L=D1・(tan(θ1/2)+tan(θ2/2))・・・式(2)
の式で求まり、
1<D2の場合、限界船間距離SLは、
L=D2・(tan(θ1/2)+tan(θ2/2))・・・式(3)
の式で求まる。図3の例の場合には、D1<D2の場合なので、限界船間距離SLは、式(3)により求まる。
限界船間距離SLが求まると、回避行動実行部7は、船間距離Sが限界船間距離SLよりも長くなるように、回避行動を実行し(ステップST6)、回避行動の結果、船間距離S>限界船間距離SLとなったか否かの確認を行う(ステップST7)。図8は、回避行動の結果、船間距離S>限界船間距離SLとなった状態を示す図である。この状態であれば、底面BSと仮想底面IBSが交差しておらず、音波競合範囲CRが形成されていないため、ステップST4に進んで、洋上中継器ASVは自律型無人潜水機AUVの追尾を継続する。
回避行動を実行しても、急な潮流の変化等によって船間距離S>限界船間距離SLとならないケースがあり得る。この場合には、さらに、音響通信の通信状況を確認し、試行回数が多くなっていないか、すなわち、音波競合による通信障害が生じていないかを確認する(ステップST8)。試行回数が多くなっていない場合には、改めてステップST5に戻り、再度、回避行動を実行する(ステップST5〜ステップST8)。試行回数が多くなっている場合には、音響通信が困難になってきている状態であるため、洋上中継器ASVが自律型無人潜水機AUVを見失う可能性がある、または、見失ってしまった状態である。そこで、図9に示すように、洋上中継器ASVは、自律型無人潜水機AUVの追尾を中断し、予め設定しておいた再会合ポイントへと移動し(ステップST9)、再会合ポイントで、自律型無人潜水機AUVを再捕捉するまで待機する(ステップST10,ST11)。再会合ポイントで、自律型無人潜水機AUVを再捕捉したら、自律型無人潜水機AUVの追尾を再開する。
<他の音波競合回避>
図10乃至図15は、他の音波競合回避のフローチャート及び回避行動の結果を示す図である。図10、図12、図14のフローチャートは、回避行動ステップ(ステップST5乃至ステップST7)以外は、図6のフローチャートと共通なので、相違点のみを説明し、他の説明は省略する。
図10及び図11に示す回避行動の場合には、回避行動判断部27は、音波競合を排除するために必要な送波器の指向角θLを演算する(ステップST5)。本例の場合には、送波器TR1−2の指向角θ2がθLよりも小さくなるように変更し(ステップST6)、回避行動の結果、指向角θL>θ2になったか否かの確認を行う(ステップST7)。図11は、回避行動の結果、指向角θ2がθLよりも小さくなった状態を示す図である。
図12及び図13に示す回避行動の場合には、回避行動を実行するのは、母船MS側である。母船MSの回避行動判断部27は、音波競合を排除するために必要な送波器の出力VLを演算する(ステップST5)。そして、母船MSの送波器TR1−1の出力V1がVLよりも小さくなるように変更し(ステップST6)、回避行動の結果、出力VL>V1になったか否かの確認を行う(ステップST7)。図13は、回避行動の結果、送波器TR1−1の出力V1がVLよりも小さくなった状態を示す図である。すなわち、この例では、到達音波ビームが有効音波ビームと一致する程度に送波器TR1−1の出力V1が小さくなることで、音波競合が排除される。
図14及び図15に示す回避行動の場合には、回避行動判断部27は、音波競合を排除するために必要な送波器の送波方向DiLを演算する(ステップST5)。本例の場合には、送波器TR1−2の送波方向Di2がDiLになるように変更し(ステップST6)、回避行動の結果、音波競合を排除できたか否かの確認を行う(ステップST7)。図15は、回避行動の結果、送波方向Di2を変更した状態を示す図である。
<第2の実施の形態>
図16は、第2の実施の形態の水中観測システムに含まれる母船MSのブロック図を示す図である。図16には、図5に示した実施の形態の部材と同じ部材には、図5に付した符号の数に100の数を加えた数の符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態では、母船MSがマスター機として設定され、洋上中継器ASV1,2は、スレーブ機として設定されている。マスター機である母船MSが洋上中継器ASV1,2を介して各種データを収集し、母船MSの回避行動判断部127が音波ビームの重複状態に基づいて、音波競合を排除するための回避行動の必要性を判断する。そして、可否行動が必要と判断した場合に、回避行動実行部107は、スレーブ機である洋上中継器ASV1,2に対して、回避行動を実行するように構成されている。
なお、洋上中継器ASV1,2には、順に優先順位が付けられており、同時期に洋上中継器ASV1,2に回避行動を実行させる必要がある場合には、優先順位の順に回避行動を実行するように指示を行う調停機能を有している。
上記実施の形態は、一例として記載したものであり、その要旨を逸脱しない限り、本実施例に限定されるものではない。例えば、上記例では、航走体グループ内の自律型無人潜水機AUVは2機であるが、1機でもよいし、3機以上でもよいのはもちろんである。また、上述のように、水中観測システムは、必ずしも母船を含んでいる必要はなく、水上航走体全てが洋上中継器であり、母船の代わりを果たす、基地局とからなる構成であってもよい。
本発明の水中観測システム及び水中観測システムの音波競合排除方法によれば、狭い範囲内で複数の航走体グループを運用したとしても、航走体グループ間で音波競合が生じることがない。また、急な潮流の変化等によって水上航走体が水中航走体を見失いそうな場合や見失ってしまった場合でも、水上航走体と水中航走体が再会合することが可能である。
G1〜G3 航走体グループ
MS 母船
ASV1,2 洋上中継器
AUV1−1〜3−2 自律型無人潜水機
1 水中観測システム
3 データ部
5 演算部
7 回避行動実行部
9 通信部
11 GPS信号受信部
13 測位部
15 設定情報記憶部
17 音波ビーム到達範囲取得部
19 航行状態取得部
21 深度取得部
23 船間距離取得部
25 重複状態判断部
27 回避行動判断部

Claims (15)

  1. 1つの水上航走体と、前記1つの水上航走体と音響通信により通信可能であり、水中を自律航行する1以上の水中航走体とからなる複数の航走体グループを備えた水中観測システムの音波競合排除方法であって、
    前記複数の航走体グループに属する複数の前記水上航走体がそれぞれ水中に放射する複数の音波ビームのそれぞれの到達範囲を取得する音波ビーム到達範囲取得ステップと、
    前記複数の航走体グループに属する複数の前記水上航走体のそれぞれの航行状態を取得する航行状態取得ステップと、
    1つの前記航走体グループに含まれる前記1以上の水中航走体と、他の1つの前記航走体グループに含まれる前記1以上の水中航走体のうち、最も深い深度にある水中航走体の深度を最深深度として取得する深度取得ステップと、
    1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体と、他の1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体同士の船間距離を取得する船間距離取得ステップと、
    前記音波ビーム到達範囲取得ステップで取得した前記複数の音波ビームのそれぞれの前記到達範囲と、前記航行状態取得ステップで取得した前記航行状態と、前記深度取得ステップで取得した前記最深深度と、前記船間距離取得ステップで取得した前記船間距離とに基づいて、1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体が放射する前記音波ビームと、他の1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体が放射する前記音波ビーム同士の重複状態を判断する重複状態判断ステップと、
    前記重複状態判断ステップが判断した前記重複状態に基づいて、前記音波ビーム同士が重複して音波競合が発生する音波競合範囲が形成されている、または、前記音波競合範囲が形成される可能性があると判断した場合に、前記音波競合を排除するために、前記音波競合範囲を形成しないための回避行動の必要性を判断する回避行動判断ステップと、
    前記回避行動判断ステップで、前記回避行動が必要と判断した場合に、前記回避行動を前記複数の航走体グループに属する複数の前記水上航走体の少なくとも1台が実行する回避行動実行ステップとからなり、前記複数の水上航走体が放射する前記複数の音波ビーム同士の音波競合を排除する水中観測システムの音波競合排除方法。
  2. 前記1つの水上航走体と前記1以上の水中航走体の音響通信は、通信期間と非通信期間からなる通信周期を有しており、
    前記通信期間は、前記回避行動の実行に要する時間を含む競合判断期間と連続しており、
    前記回避行動判断ステップは、前記競合判断期間内に、前記音波競合が発生する範囲が形成される可能性がある場合に、前記回避行動が必要と判断する請求項に記載の水中観測システムの音波競合排除方法。
  3. 前記回避行動判断ステップは、前記音波競合を排除するために必要な、1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体と、他の1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体同士の限界船間距離を演算する船間距離演算ステップを含み、
    前記回避行動実行ステップは、前記船間距離が前記限界船間距離より長くなるように前記回避行動をすることを含む請求項1に記載の水中観測システムの音波競合排除方法。
  4. 前記音波競合が発生する2つの前記航走体グループに属する2台の前記水上航走体のうち一方の前記水上航走体の送波器の指向角をθ1、他方の前記水上航走体の送波器の指向角をθ2、前記一方の水上航走体と組になる前記1以上の水中航走体のうち最も深度が深いものの深度をD1、前記他方の水上航走体と組になる前記1以上の水中航走体のうち最も深度が深いものの深度をD2とすると、
    1=D2の場合、前記限界船間距離SLは、
    L=D1・(tan(θ1/2)+tan(θ2/2))
    の式で求まり、
    1>D2の場合、前記限界船間距離SLは、
    L=D1・(tan(θ1/2)+tan(θ2/2))
    の式で求まり、
    1<D2の場合、前記限界船間距離SLは、
    L=D2・(tan(θ1/2)+tan(θ2/2))
    の式で求まる請求項に記載の水中観測システムの音波競合排除方法。
  5. 前記回避行動実行ステップは、前記音波競合が発生する2つの前記航走体グループに属する2台の前記水上航走体の少なくとも一方の前記音波ビームを送波する送波器の指向角を小さくすることを含む請求項1に記載の水中観測システムの音波競合排除方法。
  6. 前記回避行動実行ステップは、前記音波競合が発生する2つの前記航走体グループに属する2台の前記水上航走体の少なくとも一方の前記音波ビームを送波する送波器の出力を小さくすることを含む請求項1に記載の水中観測システムの音波競合排除方法。
  7. 前記回避行動実行ステップは、前記音波競合が発生する2つの前記航走体グループに属する2台の前記水上航走体の少なくとも一方の前記音波ビームを送波する送波器の送波方向を変更することを含む請求項1に記載の水中観測システムの音波競合排除方法。
  8. 前記回避行動実行ステップでは、前記水上航走体が、組になる前記水中航走体との前記音響通信が所定の試行回数を超えた場合に、予め定めておいた再会合ポイントへ移動し、再び前記水中航走体を捕捉するまで前記再会合ポイントで待機する請求項1に記載の水中観測システムの音波競合排除方法。
  9. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の音波競合排除方法を実行する水中観測システムであって、
    前記複数の航走体グループに属する前記複数の水上航走体のそれぞれが、前記音波ビーム到達範囲取得ステップ、前記航行状態取得ステップ、前記深度取得ステップ、前記船間距離取得ステップ、前記重複状態判断ステップ、及び、前記回避行動判断ステップを実行し、前記回避行動判断ステップで、前記回避行動が必要と判断した場合に、前記回避行動実行ステップを実行するように構成されている水中観測システム。
  10. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の音波競合排除方法を実行する水中観測システムであって、
    前記複数の航走体グループに属する前記複数の水上航走体のうち1つ、または、基地局がマスター機として設定され、他の前記複数の水上航走体は前記マスター機からの指示を受けるスレーブ機として設定されており、
    前記マスター機が、前記音波ビーム到達範囲取得ステップ、前記航行状態取得ステップ、前記深度取得ステップ、前記船間距離取得ステップ、前記重複状態判断ステップ、及び、前記回避行動判断ステップを実行し、前記回避行動判断ステップで、前記回避行動が必要と判断した場合に、該水中航走体と組になる前記スレーブ機に前記回避行動実行ステップを実行させる指令を出力するように構成されている水中観測システム。
  11. 1つの水上航走体と、前記1つの水上航走体と音響通信により通信可能であり、水中を自律航行する1以上の水中航走体とからなる複数の航走体グループを備えた水中観測システムであって、
    前記水上航走体のそれぞれは、
    自らが放射する音波ビームと、他の1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体が放射する音波ビーム同士の重複状態に基づいて、前記音波ビーム同士が重複して音波競合が発生する音波競合範囲が形成されている、または、前記音波競合範囲が形成される可能性があると判断した場合に、前記音波競合を排除するために、前記音波競合範囲を形成しないための回避行動の必要性を判断する演算部と、
    前記演算部が、前記回避行動が必要と判断した場合に、前記回避行動を実行する回避行動実行部とを備えていることを特徴とする水中観測システム。
  12. 前記演算部は、
    前記水上航走体自らが放射する音波ビームと、他の1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体が放射する音波ビームの到達範囲を取得する音波ビーム到達範囲取得部と、
    前記複数の航走体グループに属する複数の前記水上航走体のそれぞれの航行状態を取得する航行状態取得部と、
    前記水上航走体自らが属する前記航走体グループに含まれる前記1以上の水中航走体と、他の1つの前記航走体グループに含まれる前記1以上の水中航走体のうち、最も深い深度にある水中航走体の深度を最深深度として取得する深度取得部と、
    前記水上航走体自らと、他の1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体同士の船間距離を取得する船間距離取得部と、
    前記音波ビーム到達範囲取得部で取得した前記音波ビームのそれぞれの前記到達範囲と、前記航行状態取得部で取得した前記航行状態と、前記深度取得部で取得した前記最深深度と、前記船間距離取得部で取得した前記船間距離とに基づいて、前記水上航走体自らが放射する音波ビームと、他の1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体が放射する音波ビーム同士の重複状態を判断する重複状態判断部と、
    前記重複状態判断部が判断した前記重複状態に基づいて、音波競合を排除するための回避行動の必要性を判断する回避行動判断部と、
    を備えている請求項11に記載の水中観測システム。
  13. 1つの水上航走体と、前記1つの水上航走体と音響通信により通信可能であり、水中を自律航行する1以上の水中航走体とからなる複数の航走体グループを備えた水中観測システムであって、
    前記複数の航走体グループに属する前記複数の水上航走体のうち1つ、または、基地局がマスター機として設定され、他の前記複数の水上航走体は前記マスター機からの指示を受けるスレーブ機として設定されており、
    前記マスター機は、
    1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体が放射する音波ビームと、他の1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体が放射する音波ビーム同士の重複状態に基づいて、前記音波ビーム同士が重複して音波競合が発生する音波競合範囲が形成されている、または、前記音波競合範囲が形成される可能性があると判断した場合に、前記音波競合を排除するために、前記音波競合範囲を形成しないための回避行動の必要性を判断する演算部と、
    前記演算部が、前記回避行動が必要と判断した場合に、前記回避行動を実行するように前記スレーブ機に指示を行う回避行動実行部と、
    を備えていることを特徴とする水中観測システム。
  14. 前記演算部は、
    前記複数の航走体グループに属する複数の前記水上航走体がそれぞれ水中に放射する複数の音波ビームのそれぞれの到達範囲を取得する音波ビーム到達範囲取得部と、
    前記複数の航走体グループに属する複数の前記水上航走体のそれぞれの航行状態を取得する航行状態取得部と、
    1つの前記航走体グループに含まれる前記1以上の水中航走体と、他の1つの前記航走体グループに含まれる前記1以上の水中航走体のうち、最も深い深度にある水中航走体の深度を最深深度として取得する深度取得部と、
    1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体と、他の1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体同士の船間距離を取得する船間距離取得部と、
    前記音波ビーム到達範囲取得部で取得した前記複数の音波ビームのそれぞれの前記到達範囲と、前記航行状態取得部で取得した前記航行状態と、前記深度取得部で取得した前記最深深度と、前記船間距離取得部で取得した前記船間距離とに基づいて、1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体が放射する音波ビームと、他の1つの前記航走体グループに含まれる前記1つの水上航走体が放射する音波ビーム同士の重複状態を判断する重複状態判断部と、
    前記重複状態判断部が判断した前記重複状態に基づいて、音波競合を排除するための回避行動の必要性を判断する回避行動判断部と、
    を備えている請求項13に記載の水中観測システム。
  15. 前記複数の航走体グループに属する複数の前記水上航走体には、予め優先順位が付けられており、
    前記回避行動実行部は、同時期に複数の前記スレーブ機に前記回避行動を実行させる必要がある場合に、前記優先順位の順に前記回避行動を実行するように前記複数のスレーブ機に前記指示を行う調停機能を有する請求項13または14に記載の水中観測システム。
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