JP2018069592A - ポリエチレン被覆鋼管及びその製造方法 - Google Patents

ポリエチレン被覆鋼管及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温での被覆層の接着耐久性により優れるポリエチレン被覆鋼管を提供すること。【解決手段】所定の表面粗さを有する鋼管表面に、鋼管の表面側から順に、シランカップリング剤処理層(A)、エポキシプライマー層(B)、接着性ポリエチレン層(C)、ポリエチレン層(D)を被覆したポリエチレン被覆鋼管であって、前記シランカップリング剤処理層(A)は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等の所定のシランカップリング剤から形成させてなり、Siの表面元素分率が0.5〜8.0atomic%であり、前記エポキシプライマー層(B)は、ビスフェノールA系エポキシ樹脂等から選ばれるエポキシ樹脂を主剤とし、V酸化物、Mo酸化物、Sb酸化物、Zr酸化物、Ni酸化物のなかから選ばれる1種以上の顔料を、前記主剤100質量部に対して5〜50質量部含有し、ガラス転移点が70℃以上のエポキシプライマーから形成させてなり、膜厚が20〜500μmであり、前記接着性ポリエチレン層(C)と前記ポリエチレン層(D)からなるポリエチレン被覆の膜厚が1.0〜5.0mmである、ポリエチレン被覆鋼管。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエチレン被覆鋼管及びその製造方法に関する。本発明は、特に、土壌中や大気中あるいは水中で使用されるラインパイプ用として好適であり、接着耐久性に優れるポリエチレン被覆鋼管に関する。
石油や天然ガス、あるいは都市ガスや水などを効率良く運搬するために、ラインパイプは幅広く利用されている。ラインパイプは、土壌中に埋設や半埋設されて、あるいは大気中や水中に敷設されており、重要なインフラ施設になっている。かかる施設は、その置かれた環境において、周囲の腐食因子の影響を受け腐食による脅威にさらされることになる。そのため、かかる施設に用いられるラインパイプの表面には、厚み数mmにおよぶライニング層(被覆層)による防食および電気防食による二重の防食措置が採用される場合が多い。
かかるラインパイプにおいて、ライニング層が欠陥を持たない場合には問題ないが、鋼材に達する傷(欠陥部)を有する場合には、鋼材表面に設けられたライニング層がこの欠陥部を起点として接着強度を失ってゆく現象が見られる場合がある。この場合、鋼管部は電気防食により保護されるため当面は問題が生じないが、欠陥部が補修されないまま放置されるとライニング層の防食機能が失われることになる。これにより、鋼材を腐食させ孔があくなどの最悪の事態には至らないものの、ライニング層の防食機能が失われることに伴い、電気防食に必要な防食電流が著しく増加するといった問題が発生する。
ラインパイプは、その敷設地域が広範囲にわたり、かつ、土壌中に埋設されたり、水中に敷設されたりするため、補修や維持管理が困難な場合が多い。ラインパイプに上記のような欠陥部が多数生じると、電気防食に必要な防食電流が著しく増加し、ラインパイプを健全に保つための維持管理コストの増大を招くため、その抑制が広く求められている。
特許文献1には、鋼材表面に、Al、P、Mg、B、O、Hを適正量添加したリン酸水溶液で表面処理を行い、これらの元素で前記鋼材表面に無機酸化物層を形成し、また前記無機酸化物層の元素モル組成比を特定の範囲にすることで、優れた接着耐久性を有する被覆鋼材が得られることが開示されている。
特許文献2には、表面粗度が規定された鋼管内面に、リン酸マンガンによる表面処理層を形成し、前記表面処理層を介して接着性ポリオレフィン層、ポリオレフィン層を被覆することで、接着耐久性に優れた被覆鋼管が得られることが開示されている。
特開2009−263716号公報 特開2004−308790号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に開示されている技術については、常温近傍における被覆層の接着耐久性は改善されているものの、高温(80℃)における接着耐久性は十分に改善されておらず、常温から高温(80℃)の範囲で使用される場合には、耐久性が不十分であるという問題があった。これは、特許文献1、2に開示された技術では、鋼材の表面に形成される表面処理層が高温では溶解しやすいという特性を持ち、高温になる環境ではその効果が持続しないことが原因であると考えられる。
そこで、本発明の目的は、高温での被覆層の接着耐久性により優れるポリエチレン被覆鋼管を提供することにある。
発明者らは、上記問題点を解決するために、鋼管表面をシランカップリング剤で処理し鋼管表面に共有結合を形成することが有効であり、更に、シランカップリング剤処理層の上に積層されるエポキシプライマー層へ顔料を添加することが有効であることを見出した。そして、シランカップリング剤の種類、顔料の種類、およびエポキシプライマー層などについて検討を加えた。
その結果、被覆層の接着耐久性について以下のような知見を得た。
i).表面粗さが最大高さRzで20〜100μmである鋼管表面に、鋼管表面側から順に、シランカップリング剤処理層、以下に示す顔料群のなかから選ばれる1種または2種以上の顔料を含み、かつ、膜厚が20〜500μmのエポキシプライマー層、接着性ポリエチレン層、ポリエチレン層を有し、前記接着性ポリエチレン層と前記ポリエチレン層からなるポリエチレン被覆の膜厚が1.0〜5.0mmであるポリエチレン被覆鋼管において耐陰極剥離性が向上する。
顔料群:V酸化物、Mo酸化物、Sb酸化物、Zr酸化物、Ni酸化物
ii).前記シランカップリング剤処理層が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのなかから選ばれる1種または2種のシランカップリング剤から形成させてなることで耐陰極剥離性が向上する。
iii).前記エポキシプライマー層が、エポキシ樹脂を主剤とし、顔料を、前記エポキシ樹脂100質量部に対して5〜50質量部含有するエポキシプライマーから形成させてなることで耐陰極剥離性が向上する。
iv).前記エポキシプライマー層が、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂のなかから選ばれる1種以上のエポキシ樹脂を主剤とし、かつ、ガラス転移点が70℃以上のエポキシプライマーから形成させてなることで耐陰極剥離性が向上する。
v).前記エポキシプライマー層が、ジシアンジアミド、ジシアンジアミドの誘導体のなかから選ばれる1種以上の硬化剤を含有するエポキシプライマーから形成させてなることで耐陰極剥離性が向上する。
vi).前記エポキシプライマー層が、キシレンジアミンと不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸アルキルエステルとの反応生成物である変性ポリアミンと、エチルトリス(アミノプロピルオキシメチル)メタンとの混合物からなる硬化剤を含有するエポキシプライマーから形成させてなることで耐陰極剥離性が向上する。
vii).前記vi)において、前記エポキシプライマー層が、エポキシ樹脂を主剤として含有し、前記主剤中のエポキシ基のモル数(w)と前記硬化剤中の全活性水素のモル数(x)との比[x/w]が0.7〜1.2であり、前記硬化剤中の変性ポリアミン量が60質量%以上100質量%未満であるエポキシプライマーから形成させてなることで耐陰極剥離性が向上する。
viii).前記エポキシプライマー層が、エポキシ樹脂を主剤とし、アミノ基を有する分子量800以下の化合物を含有するエポキシプライマーから形成させてなることで耐陰極剥離性が向上する。
ix).前記要件を備えるポリエチレン被覆鋼管は、所定の耐陰極剥離性試験による陰極剥離距離が20mm以下となる耐陰極剥離性を有する。
本発明は、以上のような知見に基づきなされたもので、以下の構成を備える。
[1]鋼管表面に、鋼管の表面側から順に、シランカップリング剤処理層(A)、エポキシプライマー層(B)、接着性ポリエチレン層(C)、ポリエチレン層(D)を被覆したポリエチレン被覆鋼管であって、前記鋼管表面は、表面粗さが最大高さRzで20〜100μmであり、前記シランカップリング剤処理層(A)は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのなかから選ばれる1種以上のシランカップリング剤から形成させてなり、ケイ素(Si)の表面元素分率が0.5〜8.0atomic%であり、前記エポキシプライマー層(B)は、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂のなかから選ばれる1種以上のエポキシ樹脂を主剤とし、以下の顔料群のなかから選ばれる1種または2種以上の顔料を、前記主剤100質量部に対して5〜50質量部含有し、ガラス転移点が70℃以上のエポキシプライマーから形成させてなり、膜厚が20〜500μmであり、前記接着性ポリエチレン層(C)と前記ポリエチレン層(D)からなるポリエチレン被覆の膜厚が1.0〜5.0mmである、ポリエチレン被覆鋼管。
顔料群:V酸化物、Mo酸化物、Sb酸化物、Zr酸化物、Ni酸化物
[2]前記エポキシプライマーが、ジシアンジアミド、ジシアンジアミドの誘導体のなかから選ばれる1種以上の硬化剤を含有する、[1]に記載のポリエチレン被覆鋼管。
[3]前記エポキシプライマーが、キシレンジアミンと不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸アルキルエステルとの反応生成物である変性ポリアミンと、エチルトリス(アミノプロピルオキシメチル)メタンとの混合物からなる硬化剤を含有する、[1]に記載のポリエチレン被覆鋼管。
[4]前記エポキシプライマーにおいて、前記主剤中のエポキシ基のモル数(w)と前記硬化剤中の全活性水素のモル数(x)との比[x/w]が0.7〜1.2であり、前記硬化剤中の変性ポリアミン量が60質量%以上100質量%未満である、[3]に記載のポリエチレン被覆鋼管。
[5]前記エポキシプライマーが、アミノ基を有する分子量800以下の化合物を含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエチレン被覆鋼管。
[6]下記陰極剥離試験による陰極剥離距離が20mm以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリエチレン被覆鋼管。
陰極剥離試験:ポリエチレン被覆鋼管に直径5〜10mmの円形の人工欠陥部を形成して鋼材を露出させ、前記人工欠陥部を中心とする範囲を3質量%NaCl水溶液と接触させ、かつ前記鋼材の電位を−1.5V vs SCEとして、80℃で、30日間保持した後、前記人工欠陥部端部から、前記ポリエチレン被覆鋼管表面の樹脂被覆層が剥離した剥離部端部までの距離を、管軸方向を12時方向として、12時、3時、6時、9時の4方向で測定し、その平均値を陰極剥離距離とする。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載のポリエチレン被覆鋼管の製造方法であって、鋼管表面を、前記シランカップリング剤の水溶液で処理してシランカップリング剤処理層(A)を形成する工程と、前記シランカップリング剤処理層(A)の上に、前記エポキシプライマーを塗布して前記エポキシプライマー層(B)を形成する工程と、前記エポキシプライマー層(B)の上に、前記接着性ポリエチレン層(C)と前記ポリエチレン層(D)を被覆する工程と、を備えるポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
本発明によるポリエチレン被覆鋼管は、高温(80℃)での被覆層の接着耐久性に優れる。本発明によるポリエチレン被覆鋼管は、特に、高温(80℃)での耐陰極剥離性に優れており、ラインパイプ用鋼管として好適に用いることができる。
本発明のポリエチレン被覆鋼管は、鋼管表面に特定のシランカップリング剤処理層(A)を有し、この表面処理層(A)の上に複層の樹脂被覆層を有する。本発明のポリエチレン被覆鋼管の被覆層(シランカップリング剤処理層とその上に形成される樹脂被覆層)は、クロムを含まない。
まず、鋼管表面に形成されるシランカップリング剤処理層(A)について説明する。
このシランカップリング剤処理層(A)は、シランカップリング剤の水溶液(但し、水とアルコールの混合物を溶媒とするものを含む。以下同様)で鋼管表面を処理する(すなわち、鋼管表面に前記水溶液を接触させた後、溶媒を蒸発させる)ことにより形成させたものである。
シランカップリング剤としては、有機官能基としてエポキシ基、アルコキシ基としてメトキシ基あるいはエトキシ基を有するシランカップリング剤である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのいずれかあるいは両者の混合物を用いる。これらのシランカップリング剤は、(I)そのエポキシ基がシランカップリング剤処理層の上層のエポキシプライマー層中の官能基と反応する結果、シランカップリング剤処理層とエポキシプライマー層の接着性(上層エポキシプライマー層との共有結合)に寄与する、(II)加水分解反応速度が速いメトキシ基、エトキシ基が加水分解によりシラノール基に変化し、これが鋼管表面のOH基と縮合反応してシランカップリング剤による表面処理層(鋼管表面との共有結合形成)を速やかに形成する、という点において、シランカップリング剤処理層(A)を形成するシランカップリング剤として最適なものである。また、鋼管表面と上層のエポキシプライマー層をシラン分子を介して共有結合で結ぶことができるので、接着耐久性に優れる。
上記シランカップリング剤の水溶液は、pHを4〜5に調整すると安定性が良くなるので、蟻酸、酢酸、乳酸などを添加して水溶液のpHを調整してもよい。シランカップリング剤の水溶液中のシランカップリング剤濃度は、0.1〜5.0質量%とするのが好ましく、0.3〜2.0質量%とするのがより好ましい。シランカップリング剤濃度が0.1質量%未満では、処理効果が小さく、一方、5質量%を超えるとシランカップリング剤の加水分解により生じたシラノール基の縮合反応が進み、水に不溶なシロキサンオリゴマーが生じ、処理効果が低減する。
以上のようなシランカップリング剤濃度のシランカップリング剤の水溶液でシランカップリング剤処理層(A)を形成すると、シランカップリング剤処理層(A)のケイ素(Si)の表面元素分率(シランカップリング剤処理層(A)表面に存在するケイ素の割合)は0.5〜8.0atomic%となる。このケイ素(Si)の表面元素分率はX線光電子分光分析(XPS)により測定することができる。
シランカップリング剤の水溶液の調製とシランカップリング剤処理層(A)の形成は、例えば、以下のような方法で行うことができる。シランカップリング剤を溶媒である水(または水とアルコールの混合溶媒)に所定量加えて30〜60分間ほど撹拌し、シランカップリング剤を十分に溶解させた水溶液とし、これを鋼管表面に接触させる。
シランカップリング剤の水溶液を鋼管表面に接触させる方法は、スプレー法、鋼管表面に適量を滴下してシリコンゴムなどでしごく方法、など任意の方法でよい。その後、溶媒を蒸発させ、これにより鋼管表面にシランカップリング剤処理層(A)が形成される。溶媒を蒸発させるには、常温で風乾させてもよいが、40℃〜110℃の範囲で加熱するのが好ましい。
次に、上記シランカップリング剤処理層(A)の上に形成される複層の樹脂被覆層について説明する。
シランカップリング剤処理層(A)上に形成される樹脂被覆層は、下層側(鋼管表面側)から順に積層する、エポキシプライマー層(B)、接着性ポリエチレン層(C)及びポリエチレン層(D)からなる。
エポキシプライマー層(B)は、エポキシプライマー(樹脂組成物)から形成させたものである。このエポキシプライマーは、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂のなかから選ばれる1種以上のエポキシ樹脂を主剤とするものを用いる。ここで、主剤とは、エポキシプライマーに含まれる配合成分のうち、最も配合割合が大きい成分を意味する。一例として、エポキシ樹脂を主剤とするエポキシプライマーは、エポキシ樹脂を50質量%以上含む。
ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂は、対称性が高く、しかも剛直なビスフェノール骨格を持つため、安定した高温特性(高温下での樹脂被覆層の耐水密着性(耐熱水性))を有する。また、骨格中にエーテル結合を有するため適度の可撓性を有する。さらに、エポキシ基が反応した結果、水酸基(OH基)が生成することから、シランカップリング剤処理層(A)との接着性が向上する。
また、ビスフェノールA系エポキシ樹脂としては、特に安定した高温特性(耐熱水性)が得られるという点でエポキシ当量が170〜280のものが好ましい。また、そのなかでも、取り扱い作業性の点からエポキシ当量が184〜194のものが特に好ましい。また、ビスフェノールF系エポキシ樹脂としては、特に安定した高温特性(耐熱水性)が得られるという点でエポキシ当量が156〜280のものが好ましい。また、そのなかでも、取り扱い作業性の点からエポキシ当量が160〜175のものが特に好ましい。
また、前記エポキシプライマーのガラス転移点は、70℃以上とする。エポキシプライマーのガラス転移点が70℃未満であると、耐陰極剥離性が不十分となる。エポキシプライマーの硬化剤は、エポキシプライマーのガラス転移点が70℃以上となるようなものであれば、その種類や配合量は問わないが、特に、「ジシアンジアミド、グアニジン化合物などのジシアンジアミドの誘導体の中から選ばれる1種以上」、或いは、「キシレンジアミンと不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸アルキルエステルを反応して得られる変性ポリアミンと、エチルトリス(アミノプロピルオキシメチル)メタンとの混合物」が硬化剤として好適であり、この硬化剤を主剤に添加し、エポキシプライマーを熱硬化性樹脂組成物とすることが好ましい。これらの硬化剤を適正量配合するとエポキシプライマーのガラス転移点が70℃以上となり、耐陰極剥離性が良好になる。
ここで、硬化剤として、ジシアンジアミド、ジシアンジアミドの誘導体の中から選ばれる1種以上を用いる場合、その添加量は、エポキシプライマーの主剤(上述したビスフェノール型エポキシ樹脂)100質量部に対して1.5〜8.5質量部が好ましく、3.0〜6.0質量部がより好ましい。この硬化剤の添加量が1.5質量部以上であれば、エポキシプライマーのガラス転移点は70℃以上となる。一方、硬化剤の添加量が8.5質量部を超えると、反応しきれない硬化剤が残留し、鋼管との密着性が低下しやすくなる。
また、キシレンジアミンと不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸アルキルエステルを反応して得られる変性ポリアミンと、エチルトリス(アミノプロピルオキシメチル)メタンとの混合物からなる硬化剤は、前記不飽和カルボン酸をアクリル酸またはメタクリル酸とし、若しくは、前記不飽和カルボン酸アルキルエステルをアクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルとすることが好ましい。この硬化剤を用いる場合、エポキシプラマーの主剤(上述したビスフェノール型エポキシ樹脂)中のエポキシ基のモル数(w)と硬化剤中の全活性水素のモル数(x)との比[x/w]が0.7〜1.2となるように配合することが好ましい。また、硬化剤(混合物)中の変性ポリアミン量は、60質量%以上100質量%未満(したがって、エチルトリス(アミノプロピルオキシメチル)メタン量は0質量%超40質量%以下)が好ましく、70質量%以上90質量%以下(したがって、エチルトリス(アミノプロピルオキシメチル)メタン量は10質量%以上30質量%以下)がより好ましい。比[x/w]および変性ポリアミン量が上記の範囲であれば、エポキシプライマーのガラス転移点は70℃以上となる。
更に、前記エポキシプライマー中に、分子量が800以下となる比較的小さな分子であるアミノ基を有する化合物を添加することが好ましい。前記アミノ基を有する化合物は、エポキシプライマー中での拡散・移動が、分子量が大きな分子より比較的容易であり、シランカップリング剤で処理された鋼表面に存在する多数のエポキシ基と反応しやすくなるためである。前記アミノ基を有する化合物の配合量は、エポキシプライマー中のエポキシ樹脂の質量に対して0.01質量%〜0.3質量%程度が好ましい。0.01質量%未満では効果が小さく、0.3質量%を超える添加は、これらアミノ基を有する化合物が持つ活性水素により、エポキシ樹脂との反応が生成し、エポキシ樹脂の硬化反応に大きな影響を与えるためである。これら分子量800以下のアミノ基を有する化合物としては、以下のようなものが例示できる。モノエタノールアミン(分子量=61)、ジエタノールアミン(分子量=105)、ジエチレントリアミン(分子量=103)、トリエチレンテトラミン(分子量=146)、3,3,ジアミノジプロピルアミン(分子量=131)、3−ジエチルアミノプロピルアミン(分子量=130)、N−(2−アミノエチル)ピペラジン(分子量=129)、イソホロンジアミン(分子量=170)、m−キシレンジアミン(分子量=136)、1,3−フェニレンジアミン(分子量=108)、4,4'−ジアミノジフェニルメタン(分子量=198)、2−メチルイミダゾール(分子量=82)、1−(2−アミノエチル)−2−メチル−1H−イミダゾール(分子量=198)、あるいは、これらのエポキシ樹脂アダクトなどがあげられる。前記アミノ基を有する化合物の更に好適な分子量範囲は、分子量200以下である。なお、前記アミノ基を有する化合物は、上記硬化剤(ジシアンジアミド、ジシアンジアミドの誘導体、キシレンジアミンと不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸アルキルエステルを反応して得られる変性ポリアミンと、エチルトリス(アミノプロピルオキシメチル)メタンとの混合物)とは別の成分であり、前記アミノ基を有する化合物には上記硬化剤は含まれない。
また、前記エポキシプライマーには、顔料としてV酸化物、Mo酸化物、Sb酸化物、Zr酸化物、Ni酸化物のなかから選ばれる1種または2種以上を添加する。これら酸化物の表面にはOH基が多数存在し、このOH基によりシランカップリング剤処理層(A)およびエポキシプライマーと反応することが可能となり、エポキシプライマー層(B)のバリア性が向上するだけでなく、鋼管面との耐陰極剥離性、耐水密着性が向上する。V酸化物、Mo酸化物、Sb酸化物、Zr酸化物、Ni酸化物のなかから選ばれる1種または2種以上の顔料の添加量は、エポキシプライマーの主剤(上述したビスフェノール型エポキシ樹脂)100質量部に対して5質量部〜50質量部とする。前記顔料の添加量が5質量部未満では、その効果が十分に期待できず、一方、50質量部を超えて添加しても、その効果が飽和するため却って経済性を損なう。これら顔料の中でも、表面等電点が酸性側を示すものが更に効果を有している。かかる顔料としては、V酸化物、Mo酸化物、Sb酸化物などが挙げられる。これらの顔料は、ポリエチレン層が水を透過した時に、その周辺環境を酸性側に保持するように調整する機能がある。陰極剥離などが起きる環境では、非常に高いpHになることが報告されている。陰極剥離が起きている環境では、剥離界面(鋼材/有機樹脂層の間)において腐食生成物である−OHが形成され、pHが上昇し、これにより鋼材/有機樹脂層の間の結合が切断されたり、下地処理層(表面処理層)の溶解などが進展し、剥離を起こすと考えられる。エポキシプライマー層(B)に含まれる顔料自身にpHを酸性側に保持するような調節機構があることは、陰極剥離が起きる環境においてpHが上昇するのを抑制し、pH上昇による鋼材/有機樹脂層の間の結合の切断や下地処理層の溶解を抑制でき、耐陰極剥離性の向上に効果的である。なお、前記エポキシプライマーには、前記V酸化物、Mo酸化物、Sb酸化物、Zr酸化物、Ni酸化物のなかから選ばれる1種または2種以上の顔料とともに他の顔料を添加してもよい。前記他の顔料としては、一般的に塗料の体質顔料として用いられるSiOやTiOが挙げられる。
前記エポキシプライマーが前記他の顔料を含む場合、V酸化物、Mo酸化物、Sb酸化物、Zr酸化物、Ni酸化物のなかから選ばれる1種または2種以上の顔料と、前記他の顔料の合計の添加量(顔料の総添加量)は、エポキシプライマーの主剤(上述したビスフェノール型エポキシ樹脂)100質量部に対して50質量部以下とされるのが好ましい。
エポキシプライマー層(B)を形成させるために用いるエポキシ樹脂としては、様々な形態のものが挙げられる。例えば、液状のエポキシ樹脂、紛体状のエポキシ樹脂、または、ゲル状のエポキシ樹脂などが挙げられるが、どの形態のエポキシ樹脂を用いても良い。ただし、顔料を添加するなどの簡便性では、液状のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
エポキシプライマー層(B)の形成方法は特に制限はなく、従来公知の方法でよい。例えば、エポキシプライマー(溶媒として例えばトルエンなどを用いた樹脂組成物)をシランカップリング剤処理層(A)の上にスプレー法または適量を滴下してシリコンゴム等でしごく方法により塗布した後、加熱硬化させるなど、任意の方法でよい。また、紛体状のエポキシプライマーを用いる場合には、例えば流動浸漬法や紛体塗装によりエポキシプライマー層(B)を形成させることができる。
エポキシプライマー層(B)の膜厚は、20〜500μmの範囲である。エポキシプライマー層(B)の膜厚が20μm未満では、鋼管表面の凹凸に追従できず、高温での耐陰極剥離性が十分に得られない。また、エポキシプライマー層(B)の膜厚が500μmを超えると、性能への効果は高まるものの経済性に劣ること等から500μm以下に制限する。またエポキシプライマー層(B)の膜厚は、塗装方法にも依存し、エポキシプライマーが液状の場合には、20〜150μmの範囲が好適であり、紛体状の場合には膜厚を薄く制御するのが困難になることから、50〜300μmの範囲が好適である。
接着性ポリエチレン層(C)(変性ポリエチレン層)を形成する接着性ポリエチレン樹脂としては、従来公知のもの、例えば、ポリエチレン樹脂に無水マレイン酸を共重合またはグラフト重合させたものを用いることができる。
また、ポリエチレン層(D)を形成するポリエチレン樹脂としては、低密度、中密度、高密度のいずれのポリエチレン樹脂を用いてもよいが、特に高密度ポリエチレン樹脂が望ましい。
接着性ポリエチレン層(C)とポリエチレン層(D)は、通常、それらの押出被覆により形成されるが、この接着性ポリエチレン層(C)とポリエチレン層(D)からなるポリエチレン被覆の膜厚は1.0〜5.0mmとする。前記ポリエチレン被膜の膜厚が1.0mm未満では、ポリエチレン被覆の酸素および水などに対するバリア性が不十分となり、これらが引き起こす陰極反応による界面(鋼管/有機樹脂層)の破壊を抑制できず、耐陰極剥離性が十分に得られない。また、前記ポリエチレン被膜の膜厚が5.0mmを超えても、その効果は変わらず、却って経済性や生産性が損なわれる。
また、前記ポリエチレン被覆の残留歪は5%以下であることが好ましい。残留歪が5%を超えると残留応力により被覆が剥離しやすくなり、十分な耐陰極剥離性を確保できなくなるおそれがある。なお、残留歪は、ポリエチレン被覆鋼管のポリエチレン被覆を剥離し、剥離前後のポリエチレン被覆の長さに基づき、「(剥離前のポリエチレン被覆の長さ−剥離後のポリエチレン被覆の長さ)/剥離前のポリエチレン被覆の長さ」により求めることができる。
接着性ポリエチレン層(C)とポリエチレン層(D)からなるポリエチレン被覆の残留歪を5%以下とするには、それらを共押出被覆する際の延伸倍率(被覆形成後長さ/押出し時長さ)を5〜10倍とすることが好ましい。延伸倍率が10倍を超えると残留歪が5%を超えてしまい、一方、延伸倍率が5倍未満では鋼管と樹脂被覆層との間の密着性が不十分となるおそれがある。なお、延伸倍率とは、押し出し機から吐出された樹脂がどの程度引き伸ばされて鋼管外面に被覆されるかを表すものであり、「被覆形成後長さ」を「押し出し時長さ」で除算することによって求められる。ここで、「押し出し時長さ」は押し出された溶融樹脂の時間当たりの吐出重量と、樹脂の密度と、押し出し機のダイス吐出面における樹脂の断面積より、時間当たり押し出された長さを算出して求める。また「被覆形成後長さ」は時間当たりの鋼管の進行速度(被覆速度、すなわちライン速度)に当たる。
陰極剥離や耐水密着性(耐熱水性)の低下による被覆層の剥離は、プライマー層を透過する酸素および水などが引き起こす陰極反応や腐食反応の結果として生成するアルカリなどによる界面の破壊と、樹脂被覆の残留歪が原因で界面に生じる残留応力との相乗作用により発生すると考えられる。これに対して、本発明のポリエチレン被覆鋼管では、特定のシランカップリング剤により形成される表面処理層(シランカップリング剤処理層)が、特定のエポキシプライマー層と強固に密着するとともに、前記エポキシプライマー層が酸素や水などの透過を抑制する。これにより、酸素や水などが引き起こす陰極反応や腐食反応の結果として生成するアルカリなどによる界面の破壊を抑制し、耐陰極剥離や耐水密着性(耐熱水性)が向上する。さらに、樹脂被覆の残留歪を低く抑えることで、耐陰極剥離や耐水密着性(耐熱水性)をより向上することができる。
次に、シランカップリング剤処理層(A)を形成する鋼管表面の表面粗さと清浄度について説明する。
シランカップリング剤処理層(A)を形成する鋼管表面は、表面粗さが最大高さRz(JIS B0601 2001)で20〜100μmである。また、前記鋼管表面は、下記計測方法で計測される輝度が220以上となる表面清浄度を有することが好ましい。
計測方法:鋼管表面に、透明なポリプロピレンを基材とし、その片面にアクリル系粘着層を有するテープを貼り付けた後、鋼管表面から剥離し、該テープを白紙に貼り付け、この白紙上のテープ貼り付け部をデジタル画像化し、その輝度を計測する。
シランカップリング剤処理層を形成する鋼管表面に適度な粗さを付与するのはアンカー効果によりエポキシプライマー層(B)との接着性を向上させるためであり、表面粗さが最大高さRzで20μm未満では、エポキシプライマー層(B)との接着性の向上効果が十分に得られない。一方、表面粗さが最大高さRzで100μmを超えてもその効果は変わらず、ブラスト処理などの面で却って経済性を損なう。
また、シランカップリング剤処理層(A)を形成する鋼管の表面清浄度を最適化するのは、シランカップリング剤による適切な処理効果が得られやすくなるためである。表面清浄度を評価するための上述した計測方法で計測される輝度が200未満は非常に汚いレベルであり、200以上220未満が通常の状態、220以上が非常に清浄な状態と評価できる。輝度が220未満では、耐陰極剥離や耐水密着性(耐熱水性)が劣ったものとなるおそれがある。
以上のような鋼管表面の表面粗さと表面清浄度を実現するための方法は任意であるが、ブラスト処理は鋼管表面の清浄化と表面粗さの付与を同時に行うことができるので、シランカップリング剤処理層(A)を形成するためにシランカップリング剤の水溶液を接触させる前の鋼管表面に、ブラスト処理を施すことが好ましい。さらに、ブラスト処理後の表面は、圧縮空気や高圧水の吹き付けなどでブラスト残渣を除去する処理を行い、上記のような表面清浄度(上記の計測方法により計測される輝度が220以上)まで清浄化するのが好ましい。
ここで、表面清浄度を評価する輝度の計測方法の詳細を説明すると、まず、シランカップリング剤処理層(A)を形成するためにシランカップリング剤の水溶液を接触させる前の鋼管表面(例えば、ブラスト処理およびブラスト残渣の除去処理後の鋼管表面)に、基材が透明なポリプロピレンからなり、その片面にアクリル系粘着層を有するテープ(アクリル粘着系ポリプロピレンテープ)を貼り付ける。このテープの厚さは500μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。これは、光の透過性の観点から、テープがあまり厚くなると光の透過が阻害されるので、テープに転写される鋼管表面の汚れ(表面転写物)が見えにくくなるためである。一方、テープがあまりに薄いと貼り付けの際などに破損するおそれがあるので、テープの厚さは10μm以上が好ましい。したがって、テープの厚さは10〜500μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。また、テープで汚れを採取するのは、10mm×10mm以上の範囲とするのが好ましい。これは、数ミリ単位の範囲では汚れが局在化していることが考えられるためであり、このような観点からは、50mm×50mm以上の範囲の汚れを採取することがより好ましい。したがって、これらに応じてテープのサイズを選択すればよい。なお、テープを鋼管表面に貼り付けた後は、十分に密着させるため、テープの上からロールなどを当てて、鋼管表面によく馴染ませることが好ましい。
鋼管表面に貼り付けて表面の汚れを転写させたテープを剥離し、これを白紙に貼り付け、テープに転写された鋼管表面の汚れ(表面転写物)が、基準となる白色上で明確に捉えられるようにする。テープを貼り付ける紙は、グレースケール0レベルの色が好ましく、グレースケールが10以上では、汚れの判別が困難になる。白紙上のテープ貼り付け部では、テープに転写された鋼管表面の汚れ(表面転写物)が、透明なテープを通じて捉えられるので、これをデジタルデータ化(デジタル画像化)して、PC上にて画像解析を行ない、輝度を求める。現在では、これら汚れ情報をスキャナーにて取り込むことで簡便にデジタル化でき、一般市販ソフトウエアにて輝度を簡便に求めることが可能である。このようにして求められた輝度によって、鋼管のブラスト処理およびブラスト残渣の除去処理後の表面清浄度を評価する。
本発明において、被覆層(シランカップリング剤処理層とその上に形成される樹脂被覆層)が形成される鋼管表面は、通常、鋼管外面であるが、鋼管内面でもよい。また、前記被覆層は、鋼管外面と鋼管内面の両方の鋼管表面に形成されてもよい。
[表面処理剤(シランカップリング剤の水溶液)の調製]
ビーカーにイオン交換水を入れ、スターラーにより撹拌しながら、シランカップリング剤を一定濃度になるように徐々に滴下し、一時間程度撹拌して完全に溶解させた。シランカップリング剤としては、下記a〜dを用いた。
a:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製「KBM403」)
b:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学(株)製「KBE403」)
c:上記a,bを1:1(質量比)で混合したもの。
d:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製「KBM803」)
[ポリエチレン被覆鋼管の作製]
(1)鋼管の前処理
鋼管は、JIS SGP 200Aサイズであり、黒皮をブラスト処理で取り除き、次いで、エアブローによりブラスト残渣などを除去した後、表面粗度および清浄度を測定した。表面粗度は市販の表面粗さ計((株)ミツトヨ製「サーフテストSJ-210」)を用いて測定し、最大高さRz(JIS B0601 2001)を求めた。また、表面清浄度は、透明なアクリル粘着系ポリプロピレンテープ(住友3M(株)製,70mm×100mm×0.1mm)を鋼管表面に貼り付け、表面の汚れを転写した。その後テープを剥離して白紙(富士ゼロックス(株)製,A4白コピー上質紙)に貼り付けた。このテープ貼り付け部をデジタル画像化し、市販の画像解析ソフトウエア(ADOBE Photoshop)にて50mm×50mmの範囲の輝度を求めた。
(2)表面処理層(シランカップリング剤処理層)の形成
上記鋼管の外面に表面処理剤(シランカップリング剤の水溶液)をスプレー塗装により一定量塗布した後、誘導加熱により表面温度が50℃に達するまで加熱し、溶媒(水)を蒸発させることにより鋼管表面に表面処理層(シランカップリング剤処理層)を形成した。ケイ素(Si)の表面元素分率は、上記と同じ方法で表面処理層を形成したダミー板を作製し、X線光電子分光分析(XPS)により測定した。
(3)エポキシプライマーの調製および塗布
市販の液状エポキシ樹脂と、硬化剤(ジシアンジアミド:三菱化学(株)製「DYCY7」)と、V酸化物(V,VO)、Mo酸化物(MoO)、Sb酸化物(Sb)、Zr酸化物(ZrO)、Ni酸化物(NiO)、その他の顔料(SiO、TiO)から選ばれる1種または2種以上の顔料を混合し、エポキシプライマーを得た。市販の液状エポキシ樹脂としては、下記e、fのいずれかを用いた。
e:ビスフェノールA系エポキシ樹脂(エポキシ当量:184〜194、三菱化学(株)製「グレード828」)
f:ビスフェノールF系エポキシ樹脂(エポキシ当量:160〜175、三菱化学(株)製「グレード807」)
また、他のエポキシプライマーでは、硬化剤として、下記g、hのいずれかの変性ポリアミンとエチルトリス(アミノプロピルオキシメチル)メタン(活性水素当量80)との混合物を用い、上記e、fのいずれかの液状エポキシ樹脂と、該硬化剤と、V酸化物(V,VO)、Mo酸化物(MoO)、Sb酸化物(Sb)、Zr酸化物(ZrO)、Ni酸化物(NiO)、その他の顔料(SiO、TiO)から選ばれる1種または2種以上の顔料を混合し、エポキシプライマーを得た。
g:1モルのキシレンジアミンと0.9モルのアクリル酸メチルとを150℃〜160℃で保持し、反応生成させた変性ポリアミン(活性水素当量65)
h:1モルのキシレンジアミンと0.9モルのメタクリル酸メチルとを160〜170℃で保持し、反応生成させた変性ポリアミン(活性水素当量68)
さらに、エポキシプライマーの一部においては、アミノ基を有する分子量800以下の化合物に該当する
I:ジエチレントリアミン、または、
J:ジエタノールアミンを、0.02〜0.3質量%別途配合したエポキシプライマーも作製した。
エポキシプライマーのガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC)により求めた。
上記エポキシプライマー(トルエンを溶媒とする樹脂溶液)を膜厚が表1〜6中に示される値となるように表面処理層(シランカップリング剤処理層)の上にスプレー法により塗布し、誘導加熱により硬化させ、エポキシプライマー層を形成した。
(4)樹脂層(ポリエチレン被覆)の被覆
エポキシプライマー層が形成された鋼管に、市販の接着性ポリエチレン樹脂(三井化学(株)製「アドマーNE065」)とポリエチレン樹脂(プライムポリマー(株)製「HI-ZEX5100E」)を共押出被覆して接着性ポリエチレン層とポリエチレン層を形成し、ポリエチレン被覆鋼管を作製した。ポリエチレン被覆(接着性ポリエチレン層+ポリエチレン層)の膜厚は表1〜6中に示される値とした。
また、作製したポリエチレン被覆鋼管のポリエチレン被覆を剥離し、剥離前後のポリエチレン被覆の長さから、上述した式により残留歪を求めた。
(5)参考例の作製
参考例としてクロメート処理材によるポリエチレン被覆鋼管を作製した。上記の表面処理剤の代わりに、クロメート処理液(関西ペイント(株)製「コスマー100」)を純水で1/5に希釈したものを使用し、鋼管外面にCr換算付着量が300mg/mとなるようスプレー塗布し、鋼管到達温度が50℃となるよう加熱乾燥させてクロメート層を形成した。それ以外は、他の実施例と同様とし、ポリエチレン被覆鋼管を作製した。上記Cr換算付着量は、上記と同じ方法でクロメート層を形成したダミー板を作製し、所定面積のクロメート皮膜を10%NaOHで剥離した後、剥離溶液中のCr量を吸光光度法で測定し、これを元に1m当たりのCr換算付着量を算出した。
[ポリエチレン被覆鋼管の性能評価]
耐陰極剥離性(陰極剥離距離)
ポリエチレン被覆鋼管から適当な大きさの試験片を採取し、以下の方法で陰極剥離距離を測定し、耐陰極剥離性を評価した。試験片の中央部に直径6mmφの円形の人工欠陥部を形成し、鋼材を露出させた。人工欠陥部を中心にして直径70mmφのアクリル製の円筒を被覆層上に縦に設置してシール材で被覆層に固定し、円筒内部を3質量%NaCl水溶液で満たし、セルを作成した。対極に白金を使用して、人工欠陥部の鋼材の電位を−1.5V vs SCEにポテンシオスタットを使用して保持した。このまま80℃の恒温槽内に試験片を静置し、30日間電位を保持した。次いで、試験片を回収後、セルをはずし、人工欠陥部の周囲をたがねとカッターを使用して強制的に剥離して剥離部とした。人工欠陥部の周辺部は被覆層が鋼管から剥離し、鋼材の表面が露出していたため、人工欠陥部からの剥離距離を調べるため、人工欠陥部を中心とした4方向(管軸方向を12時方向として、12時、3時、6時、9時方向)で人工欠陥部端部から剥離部端部までの距離を測定して、その平均値を陰極剥離距離とした。この陰極剥離距離は、値が小さいほど良好であり、「15mm以下」を◎◎、「15mm超20mm以下」を◎、「20mm超21mm以下」を○、「21mm超25mm未満」を△、「25mm以上」を×とした。
以上の評価結果をポリエチレン被覆鋼管の製造条件とともに表1〜表6に示す。これによれば、本発明例は比較例に比べて高温での耐陰極剥離性に優れている。また、本発明例は、クロメート処理材(参考例)と比較しても高温での耐陰極剥離性に優れている。
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Claims (7)

  1. 鋼管表面に、鋼管の表面側から順に、シランカップリング剤処理層(A)、エポキシプライマー層(B)、接着性ポリエチレン層(C)、ポリエチレン層(D)を被覆したポリエチレン被覆鋼管であって、
    前記鋼管表面は、表面粗さが最大高さRzで20〜100μmであり、
    前記シランカップリング剤処理層(A)は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのなかから選ばれる1種以上のシランカップリング剤から形成させてなり、ケイ素(Si)の表面元素分率が0.5〜8.0atomic%であり、
    前記エポキシプライマー層(B)は、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂のなかから選ばれる1種以上のエポキシ樹脂を主剤とし、以下の顔料群のなかから選ばれる1種または2種以上の顔料を、前記主剤100質量部に対して5〜50質量部含有し、ガラス転移点が70℃以上のエポキシプライマーから形成させてなり、膜厚が20〜500μmであり、
    前記接着性ポリエチレン層(C)と前記ポリエチレン層(D)からなるポリエチレン被覆の膜厚が1.0〜5.0mmである、ポリエチレン被覆鋼管。
    顔料群:V酸化物、Mo酸化物、Sb酸化物、Zr酸化物、Ni酸化物
  2. 前記エポキシプライマーが、ジシアンジアミド、ジシアンジアミドの誘導体のなかから選ばれる1種以上の硬化剤を含有する、請求項1に記載のポリエチレン被覆鋼管。
  3. 前記エポキシプライマーが、キシレンジアミンと不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸アルキルエステルとの反応生成物である変性ポリアミンと、エチルトリス(アミノプロピルオキシメチル)メタンとの混合物からなる硬化剤を含有する、請求項1に記載のポリエチレン被覆鋼管。
  4. 前記エポキシプライマーにおいて、前記主剤中のエポキシ基のモル数(w)と前記硬化剤中の全活性水素のモル数(x)との比[x/w]が0.7〜1.2であり、前記硬化剤中の変性ポリアミン量が60質量%以上100質量%未満である、請求項3に記載のポリエチレン被覆鋼管。
  5. 前記エポキシプライマーが、アミノ基を有する分子量800以下の化合物を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエチレン被覆鋼管。
  6. 下記耐陰極剥離性試験による陰極剥離距離が20mm以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリエチレン被覆鋼管。
    耐陰極剥離性試験:ポリエチレン被覆鋼管に直径5〜10mmの円形の人工欠陥部を形成して鋼材を露出させ、前記人工欠陥部を中心とする範囲を3質量%NaCl水溶液と接触させ、かつ前記鋼材の電位を−1.5V vs SCEとして、80℃で、30日間保持した後、前記人工欠陥部端部から、前記ポリエチレン被覆鋼管表面の樹脂被覆層が剥離した剥離部端部までの距離を、管軸方向を12時方向として、12時、3時、6時、9時の4方向で測定し、その平均値を陰極剥離距離とする。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリエチレン被覆鋼管の製造方法であって、
    鋼管表面を、前記シランカップリング剤の水溶液で処理してシランカップリング剤処理層(A)を形成する工程と、
    前記シランカップリング剤処理層(A)の上に、前記エポキシプライマーを塗布して前記エポキシプライマー層(B)を形成する工程と、
    前記エポキシプライマー層(B)の上に、前記接着性ポリエチレン層(C)と前記ポリエチレン層(D)を被覆する工程と、を備えるポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
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