JP2018068057A - 架空配電線用絶縁カバー - Google Patents

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雅己 水本
Masaki Mizumoto
雅己 水本
正一 平岡
Shoichi Hiraoka
正一 平岡
寛 横長
Hiroshi Yokonaga
寛 横長
真一 西谷
Shinichi Nishitani
真一 西谷
聡太郎 杉村
Sotaro Sugimura
聡太郎 杉村
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Abstract

【課題】経年劣化により不用意に開いてしまうおそれがなく、しかも開閉操作が容易な架空配電線用絶縁カバーを提供する。【解決手段】本発明の架空配電線用絶縁カバー1aは、合成樹脂等によって形成され絶縁性を有するカバー本体2と、このカバー本体2に装着される通し棒3を備えている。カバー本体2は、長手方向に直交する断面が略半円弧状をなし、ヒンジ部4aを介して回動自在に連結されるとともに側面4bに舌状の操作片5,5が突設された一対の絶縁部材4,4によって構成されており、一端に把持部3aが設けられた通し棒3は、長手方向に直交する断面が円形をなし、絶縁部材4,4の内部にそれぞれ設置された2つの円筒体に対して挿通可能に形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、高圧架線の接続作業時に用いられる絶縁カバーに係り、特に、経年劣化により不用意に開いてしまうおそれのない架空配電線用絶縁カバーに関する。
高圧架線の接続作業を行う場合、高圧充電部を露出させないように絶縁カバーが取り付けられるが、従来の絶縁カバーでは、ヤットコと共用操作棒という2種類の間接活線工具と、カバー押え器とバインド打ち器などの複数の工具を用いる必要があった。また、オス・メスのホックによってカバーを開閉不能に固定する構造であるため、経年劣化等により、ホックが外れてしまうことがあった。
オス・メスのホックを用いずにカバーを固定する方法としては、例えば、特許文献1に「電線カバーの固定装置」という名称で、係止棒を用いてカバーを固定する構造が開示されている。
特許文献1に開示された考案は、略半円筒状の凹溝からなる挟持部材収納部を有し、ヒンジを介して開閉自在に連結される一対の本体にU字型係止筒と鉤状の係止片がそれぞれ設けられるとともに、このU字型係止筒と係止片に係止棒が閂のように装着された構造となっている。
上記考案は、電線カバーそのものではないが、電線カバーを固定する装置に関するものであるため、当業者であれば、電線カバーに同様の構造を設けることに想到する可能性がある。その場合、当該電線カバーはオス・メスのホックを備えていないため、経年劣化等によってホックが外れ、勝手にカバーが開いてしまうという前述の問題は生じないものと推察される。
実開平3−74126号公報
しかしながら、特許文献1に記載された考案では、U字型係止筒と係止片と係止棒が挟持部材収納部の外部に設けられているため、風雨に晒され、やがては経年劣化してしまうおそれがある。また、係止棒が他方側本体上を摺動する構造となっていることから、係止棒の把持が困難であり、したがって、係止棒を把持してスライドさせる操作が容易でない可能性が高い。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、経年劣化により不用意に開いてしまうおそれがなく、しかも開閉操作が容易な架空配電線用絶縁カバーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明は、ヒンジ部を介して回動自在に連結され架空配電線を間に挟んだ状態で閉じられることにより所定の箇所を被覆可能に形成される一対の絶縁部材と、この絶縁部材の一方の一端面に設けられた挿通孔へ挿通可能に形成される通し棒と、挿通孔と連通するように絶縁部材の他方の内部に設置される第1の筒状体と、を備えたことを特徴とするものである。
このような構造の架空配電線用絶縁カバーにおいては、一対の絶縁部材が架空配電線を間に挟むようにして閉じられた状態で通し棒を挿通孔と第1の筒状体に挿通させると、一対の絶縁部材が回動不能になるという作用を有する。なお、このとき、通し棒と第1の筒状体は一対の絶縁部材の内部に配置されており、風雨に晒されないため、経年劣化し難い。
また、通し棒と第1の筒状体を絶縁部材の長手方向に沿って形成すれば絶縁部材の開閉操作の邪魔にならないため、通し棒が第1の通常体から簡単に抜けてしまわないように、通し棒や第1の筒状体を十分に長く形成することができる。これにより、第1の筒状体に挿通された通し棒が一対の絶縁部材の回動を阻止するという作用が確実に発揮される。
さらに、本発明では、通し棒を絶縁部材の長手方向に沿って移動させるという簡単な操作によって一対の絶縁部材の開閉不能状態と開閉可能状態が切り替わるため、絶縁部材の開閉方向へ係止具を移動させるような構造を備えた従来の絶縁カバーと比べると、架空配電線に取り付けたり、架空配電線から取り外したりする際の作業が格段に容易である。
また、第2の発明は、第1の発明において、挿通孔が絶縁部材の一方に設けられる代わりに、一対の絶縁部材が架空電線を間に挟んで閉じられた際に、挿通孔を形成するように半円状の一対の切欠きが絶縁部材の双方の一端面にそれぞれ設けられ設けられるとともに、第1の筒状体が設置されていない絶縁部材の内部に第2の筒状体が挿通孔と連通するように設置されたことを特徴とするものである。
このような構造の架空配電線用絶縁カバーにおいては、第1の発明の場合とは異なり、一対の絶縁部材が架空配電線を間に挟むようにして閉じられた状態で通し棒を挿通孔と第1の筒状体に挿通しただけでは、一対の絶縁部材が回動不能にはならない。しかし、第2の筒状体は絶縁部材の挿通孔よりも長く形成しても邪魔になり難い。したがって、第2の筒状体を絶縁部材の挿通孔よりも長く形成して、その第2の筒状体に第1の筒状体とともに通し棒を挿通させることによれば、通し棒によって一対の絶縁部材の回動が阻止されるという作用が第1の発明の場合に比べ、より一層確実に発揮される。
第3の発明は、第2の発明において、通し棒を閂状に挿通可能に一対の切欠きが絶縁部材の両端面に設けられるとともに、この両端面から突出可能に通し棒が絶縁部材よりも長く形成されたことを特徴とするものである。
このような構造の架空配電線用絶縁カバーにおいて、一対の絶縁部材が架空配電線を間に挟むようにして閉じられるとともに第1の筒状体と第2の筒状体に挿通された通し棒が絶縁部材の両端から突出した状態にある場合、通し棒の一端を一方の挿通孔から絶縁部材の内部に押し込むと、押し込まれた分だけ通し棒の他端が他方の挿通孔から押し出されるため、通し棒の端部が把持し易くなる。すなわち、本発明は、第2の発明の作用に加えて、通し棒を絶縁部材の内部に差し込んだり、絶縁部材から抜き出したりする操作が容易であるという作用を有する。
第4の発明は、第1の発明乃至第3の発明のいずれかにおいて、弾性部材からなり、回動される絶縁部材の一方に対して接触可能に絶縁部材の他方に設置される保持部材を備えたことを特徴とするものである。
このような構造を備えた架空配電線用絶縁カバーにおいては、第1の発明乃至第3の発明のいずれかの作用に加え、回動する絶縁部材に保持部材が接触することにより、絶縁部材の回動を阻止するような摩擦力が両者の間に発生するという作用を有する。
第5の発明は、第1の発明乃至第4の発明のいずれかにおいて、通し棒は一端に把持部として他の部分よりも太い部分が設けられたことを特徴とするものである。
このような構造の架空配電線用絶縁カバーにおいては、第1の発明乃至第4の発明のいずれかの作用に加え、通し棒の端部を把持し易いため、通し棒を絶縁部材の内部に差し込んだり、絶縁部材から抜き出したりする操作が容易であるという作用を有する。
第6の発明は、第1の発明乃至第5の発明のいずれかにおいて、長手方向に直交する断面が半円弧状をなし内径の異なる複数の保持部が一対の絶縁部材の両端面に先細りとなるようにそれぞれ段付き状に延設されたことを特徴とするものである。
このような構造の架空配電線用絶縁カバーにおいては、第1の発明乃至第5の発明のいずれかの作用に加え、設置対象の架空配電線の外径に対応する内径よりも小さい内径を有する保持部を絶縁部材の先端側から順次除去することにより、適切な保持部が使用可能な状態になるという作用を有する。
第7の発明は、第1の発明乃至第6の発明のいずれかにおいて、一対の絶縁部材の側面に舌状の操作片がそれぞれ突設されたことを特徴とするものである。
このような構造の架空配電線用絶縁カバーにおいては、第1の発明乃至第6の発明のいずれかの作用に加え、絶縁ヤットコなどで操作片を掴むことにより絶縁部材の回動操作が容易になるという作用を有する。
第1の発明によれば、通し棒や第1の筒状体が経年劣化し難く、一対の絶縁部材を閉じたままの状態にする機能が維持されるため、絶縁部材が不用意に開いてしまうことを防いで長期間、安全に使用することができる。また、絶縁部材の開閉操作が容易であるため、架空配電線への取り付け作業や架空配電線からの取り外し作業を効率よく行うことができる。
第2の発明によれば、絶縁部材が不用意に開いてしまうことを第1の発明よりもさらに確実に防ぐことができるため、長期間、安全に使用できるという効果がより一層発揮される。
第3の発明によれば、第2の発明の効果に加えて、通し棒を絶縁部材の内部に差し込んだり、絶縁部材から抜き出したりする操作が容易であるため、架空配電線への取り付け作業や架空配電線からの取り外し作業をさらに効率よく行うことができるという効果を奏する。
第4の発明によれば、第1の発明乃至第3の発明のいずれかの効果に加え、絶縁部材が閉じられた状態で通し棒を操作する際に、開かないように絶縁部材を保持しておく必要がないため、架空配電線への取り付けや架空配電線からの取り外しを行う際の作業効率が向上するという効果を奏する。
第5の発明によれば、第1の発明乃至第4の発明のいずれかの効果に加え、通し棒の端部が把持し易く、通し棒を絶縁部材の内部に差し込んだり、絶縁部材から抜き出したりする操作が容易であることから、架空配電線に取り付けたり、架空配電線から取り外したりする作業をさらに効率よく行うことができるという効果を奏する。
第6の発明によれば、第1の発明乃至第5の発明のいずれかの効果を奏することに加え、外径の異なる複数種類の架空配電線に対して適用できるため、汎用性に優れるという効果を奏する。
第7の発明によれば、第1の発明乃至第6の発明のいずれかの効果に加え、絶縁ヤットコなどで操作片を掴むようにして絶縁部材を容易に回動させることができるため、架空配電線に取り付けたり、架空配電線から取り外したりする際の作業性が向上する。
(a)は本発明の実施の形態に係る架空配電線用絶縁カバーの実施例1を示した外観斜視図であり、(b)及び(c)はそれぞれカバー本体及び通し棒の外観斜視図である。 (a)及び(b)は図1(b)におけるA方向矢視図であり、(c)は同図(b)の変形例を示した図である。 (a)及び(b)は図1(a)の架空配電線用絶縁カバーが架空配電線に取り付けられた状態を示す図である。 (a)は図1(a)においてカバー本体が開かれた状態を示した図であり、(b)は図1(a)においてカバー本体の内部構造を示した図である。 (a)は本発明の実施の形態に係る架空配電線用絶縁カバーの実施例2を構成するカバー本体の外観斜視図であり、(b)乃至(d)は同図(a)におけるB方向矢視図であり、(e)は保持部材の外観を拡大して示した斜視図である。 (a)は図5(a)におけるC−C線矢視断面図であり、(b)は実施例2の架空配電線用絶縁カバーを構成する通し棒の外観を示した側面図である。 (a)及び(b)は図6(a)に示したカバー本体に対して図6(b)に示した通し棒を取り付けた状態を示した図である。
本発明の架空配電線用絶縁カバーについて図1乃至図7を用いて説明する。なお、図6(a)や図7(a)及び図7(b)は図4(a)のようにカバー本体を開いた状態と考えた場合には断面図とは言えないが、断面図としてハッチングを施した方が切欠きの設けられた箇所を鮮明に示すことができるため、便宜上、これらの図を閉じられた状態のカバー本体の断面図として扱っている。
図1(a)は本発明の架空配電線用絶縁カバーの一例の外観を示した斜視図であり、図1(b)及び図1(c)はその架空配電線用絶縁カバーを構成するカバー本体と通し棒の外観をそれぞれ示した斜視図である。
また、図2(a)及び図2(b)は図1(b)におけるA方向矢視図であり、図2(c)は図2(b)の変形例を示した図である。ただし、図2(b)及び図2(c)は図2(a)においてカバー本体を開いた状態を示した図に相当する。
図3(a)及び図3(b)はそれぞれ本発明の架空配電線用絶縁カバーが外径の異なる2種類の架空配電線に取り付けられた状態の一例を示した図である。また、図4(a)及び図4(b)はカバー本体の内部構造を説明するための図であり、図4(a)は図1(a)においてカバー本体を180度開いた状態に相当する。なお、図4(b)では図1(a)におけるカバー本体の内部構造を破線で示している。
図1及び図2に示すように、本発明の架空配電線用絶縁カバー1aは、合成樹脂等によって形成され絶縁性を有するカバー本体2と、このカバー本体2に装着される通し棒3を備えている。
カバー本体2は、長手方向に直交する断面が略半円弧状をなす一対の絶縁部材4,4によって構成されており、通し棒3は、長手方向に直交する断面が円形をなし、一端に把持部3aが設けられている。
絶縁部材4は、ヒンジ部4aを介して回動自在に連結されるとともに側面4bに舌状の操作片5,5が突設されており、その両端には、短尺状の保持部4c,4dがそれぞれ延設されている。また、絶縁部材4の端面4e,4eには、半円状の一対の切欠き4f,4f(図2(b)参照)が対向するように設けられている。そして、カバー本体2が閉じられた場合、絶縁部材4,4に設けられた切欠き4f,4fによって、通し棒3の挿通孔6,6(図1(b)又は図2(a)参照)が連通した状態に形成される構造となっている。
また、カバー本体2は、絶縁部材4,4がヒンジ部4aを中心として回動することにより開閉する構造となっており、カバー本体2の内部には、通し棒3を挿通可能に形成される円筒体7,8が挿通孔6,6と連通するように絶縁部材4,4に対してそれぞれ設けられている(図2(b)参照)。
すなわち、架空配電線用絶縁カバー1aでは、通し棒3を閂状に挿通可能に二対の切欠き4e,4eによってカバー本体2の両端面に挿通孔6,6が設けられるとともに、通し棒3は、挿通孔6,6から両端を突出可能に絶縁部材4よりも長く形成されている。
したがって、架空配電線を間に挟むようにして閉じられたカバー本体2の挿通孔6,6から通し棒3の両端が突出している状態で、通し棒3の一端を一方の挿通孔6へ押し込むと、押し込まれた分だけ通し棒3の他端が他方の挿通孔6から押し出される。
加えて、通し棒3は把持部3aが他の部分よりも太く、把持し易い形状となっており、絶縁部材4は側面4bに設けられた操作片5を絶縁ヤットコなどで掴むことにより、その開閉操作が容易な構造となっている。
このように、架空配電線用絶縁カバー1aでは、通し棒3をカバー本体2の内部に差し込んだり、カバー本体2から抜き出したりする操作やカバー本体2を開閉させる操作が容易である。したがって、架空配電線用絶縁カバー1aは、架空配電線への取り付けや架空配電線からの取り外しを行う際の作業性が良いという効果を有している。
また、保持部4c,4c及び保持部4d,4dは、絶縁部材4,4を閉じた場合、内径の異なる2種類の円筒体を構成し、保持部4d,4dはカッター等を用いることによって、保持部4c,4cを残したまま、絶縁部材4,4から容易に切除可能な構造となっている。
したがって、図3(a)に示すように、保持部4d,4dの内径よりも外径がやや太い架空配電線9aを間に挟むようにして絶縁部材4,4を閉じた場合、架空配電線9aは保持部4d,4dによって挟圧固定される。一方、図3(b)に示すように、保持部4d,4dが切除された絶縁部材4,4を用いると、架空配電線9aよりも外径の太い架空配電線9bが保持部4c,4cによって挟圧固定される。
このように、架空配電線用絶縁カバー1aは、外径の異なる2種類の架空配電線に対して適用可能な構造となっているため、汎用性に優れている。なお、本実施例では、絶縁部材4に対して内径の異なる2種類の保持部が設けられているが、これに限定されるものではなく、絶縁部材4に対して3種類以上の保持部が設けられた構造であっても良い。
図4(a)に示すように、通し棒3が円筒体7にのみ挿通されている場合、絶縁部材4,4のヒンジ部4aを中心とする回動が制限されないため、カバー本体2は開閉可能である。これに対し、図4(b)に示すように、カバー本体2が閉じられた状態で通し棒3が円筒体7,8に挿通されると、絶縁部材4,4のヒンジ部4aを中心とする回動が制限されるため、カバー本体2を開くことはできない。
このように、架空配電線用絶縁カバー1aにおいては、絶縁部材4,4が架空配電線を間に挟むようにして閉じられた状態で通し棒3を円筒体7,8に挿通させることにより、絶縁部材4,4の回動が規制され、カバー本体2が開閉不能になるという作用を有する。また、このとき、通し棒3と円筒体7,8はカバー本体2の内部に配置されており、風雨に晒されないため、経年劣化し難いという作用を有する。
なお、通し棒3と円筒体7,8をカバー本体2の長手方向に沿って形成すればカバー本体2の開閉操作の邪魔になることはない。したがって、架空配電線用絶縁カバー1aでは、通し棒3が円筒体7,8から簡単に抜けてしまうことがないように、それらを十分に長く形成することが可能である。このようにすれば、円筒体7,8に挿通された通し棒3によってカバー本体2が開閉不能になるという上記作用が確実に発揮される。
さらに、架空配電線用絶縁カバー1aでは、通し棒3をカバー本体2の長手方向に沿って移動させるという簡単な操作によってカバー本体2の開閉不能状態と開閉可能状態が切り替わるため、絶縁部材の開閉方向へ係止具を移動させるような構造を備えた従来技術に係る絶縁カバーと比べると、架空配電線に取り付けたり、架空配電線から取り外したりする際の作業が格段に容易である。
なお、本実施例では、挿通孔6が切欠き4f,4fによって形成される構造となっているが、挿通孔6は、このような構造に限定されるものではなく、一方の絶縁部材4の端面4eに挿通孔6が設けられるとともに、挿通孔6を形成するように半円状に突出した部分が嵌まり込むような切欠き4hが他方の絶縁部材4の端面4eに設けられた構造であっても良い(図2(c)参照)。
この場合、端面4eに挿通孔6が設けられていない絶縁部材4に対してのみ、その内部に円筒体8を設置すれば、挿通孔6と円筒体8に通し棒3を挿通することでカバー本体2が開閉不能な状態になるため、端面4eに挿通孔6が設けられている絶縁部材4に対しては、円筒体7の設置を省略することができる。
図5(a)は本実施例の架空配電線用絶縁カバーを構成するカバー本体の外観を示した斜視図であり、図5(b)乃至図5(d)は図5(a)におけるB方向矢視図であり、図5(e)は保持部材の外観を拡大して示した斜視図である。ただし、図5(c)は図5(b)において保持部材を取り外した状態を示した図に相当し、図5(d)は図5(b)においてカバー本体を開いた状態を示した図に相当する。
また、図6(a)は図5(a)におけるC−C線矢視断面図であり、図6(b)は本実施例の架空配電線用絶縁カバーを構成する通し棒の外観を示した側面図である。さらに、図7(a)及び図7(b)は図6(a)に示したカバー本体に対して図6(b)に示した通し棒を取り付けた状態を示した図である。
なお、図1乃至図4に示した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
架空配電線用絶縁カバー1b(図7参照)は、実施例1の架空配電線用絶縁カバー1aにおいて、図6(a)に示すように円筒体7,8の内径が同一ではなく、図6(b)に示すように、それら2種類の内径に対応する小径部3b,3cと大径部3d,3eが通し棒3に設けられるとともに、保持部材10が絶縁部材4,4の当接面4i(図5(d)参照)に設置された構造となっている(図5(a)及び図5(b)参照)。
図5(d)に示すように、絶縁部材4,4の端面4e,4eには、矩形状の一対の切欠き4g,4gが対向するように設けられている。また、図5(e)に示すように、保持部材10は側面視矩形状をなすとともに、厚さ方向の略中央に環状の凹溝が設けられることで、他の部分よりも一回り小さな矩形板状をなす嵌込部10aが形成されている。
切欠き4g,4gはカバー本体2が閉じられた際に保持部材10の嵌込部10aに嵌合可能な矩形状の保持孔11を形成する(図5(c)参照)。そして、図5(d)に示すように、カバー本体2が閉いている場合、保持部材10は嵌込部10aが切欠き4gに嵌め込まれた状態で絶縁部材4,4のいずれか一方によって保持されている(図5(d)参照)。
保持部材10はゴムやエラストマーなどの弾性部材によって形成されているため、絶縁部材4と保持部材10が擦り合わさると、両者の間に大きな摩擦力が発生する。すなわち、カバー本体2が閉じられている場合、絶縁部材4,4と保持部材10が接触しているため、カバー本体2を開こうとすると、絶縁部材4,4と保持部材10の間に発生する摩擦力が絶縁部材4,4の回動を阻止するように働く。そのため、架空配電線用絶縁カバー1bでは、閉じられた状態のカバー本体2が不用意に開くおそれはない。
したがって、架空配電線用絶縁カバー1bでは、カバー本体2が閉じられた状態で通し棒3を操作する際にカバー本体2が開かないように絶縁部材4,4を保持しておく必要がない。そのため、架空配電線への取り付け作業や架空配電線からの取り外し作業を効率よく行うことができる。
通し棒3は、小径部3bの外径が円筒体7の内径より細くなるとともに、大径部3eの外径が円筒体7の内径よりも太く、かつ、円筒体8の内径よりも細くなるように形成されている。
また、大径部3d,3eはカバー本体2の両端に設けられた挿通孔6,6(図5(a)参照)に対して嵌合可能に形成されており、通し棒3をカバー本体2に貫通させた場合に、挿通孔6,6に対して嵌合するように、通し棒3の両端近傍にそれぞれ設けられている(図7(b)参照)。
さらに、大径部3eは円筒体7と円筒体8の間隔よりも短く形成されており(図7(a)参照)、通し棒3の先端には大径部3eよりも外径が細い小径部3cが設けられている。
そして、把持部3aは外径が挿通孔6の内径よりも太くなるように形成されている。
このような構造の架空配電線用絶縁カバー1bにおいては、図7(a)に示すように、大径部3eが円筒体7の端面に係止するため、大径部3eが円筒体7の内部を通過して通し棒3がカバー本体2から抜け落ちてしまうおそれはない。
また、図7(b)に示すように、把持部3aが絶縁部材4の端面4eに係止するため、把持部3aが挿通孔6に嵌まり込んでしまうおそれもない。
なお、通し棒3は、大径部3dが一方の挿通孔6に嵌合する位置までカバー本体2の内部に差し込まれると、他方の挿通孔6に大径部3eが嵌合するように形成されている。
このように、架空配電線用絶縁カバー1bでは、通し棒3をカバー本体2の内部に差し込んだ通し棒3が抜け落ちることがなく、また、挿通孔6,6によって大径部3d,3eが保持されるため、勝手にカバー本体2の軸方向に沿って通し棒3が移動してしまうこともない。したがって、架空配電線用絶縁カバー1bを用いることによれば、架空配電線に対し、所望の箇所の絶縁状態を長期間安定して維持することができる。
なお、本発明の架空配電線用絶縁カバーは、実施例1,2に示した構造に限定されるものではない。例えば、絶縁部材4は少なくとも円筒体7,8を内部に設置可能な中空構造であれば良く、必ずしも略半円弧状をなしていなくとも良い。また、円筒体7,8の代わりに、角筒体を用いても良いし、長手方向に直交する断面が円以外の形状をなす筒状体を用いても良い。
さらに、保持部材10が嵌め込まれる切欠き4gは、絶縁部材4の端面4eの当接面4iに限らず、カバー本体2の軸に平行であってヒンジ部4aが設けられていない側の当接面4j(図4(a)参照)に設けられていても良い。
本発明は、高圧架線の接続作業時に高圧充電部の露出を防ぐ目的で使用される。
1a,1b…架空配電線用絶縁カバー 2…カバー本体 3…通し棒 3a…把持部 3b,3c…小径部 3d,3e…大径部 4…絶縁部材 4a…ヒンジ部 4b…側面 4c,4d…保持部 4e…端面 4f〜4h…切欠き 4i,4j…当接面 5…操作片 6…挿通孔 7,8…円筒体 9a,9b…架空配電線 10…保持部材 10a…嵌込部 11…保持孔

Claims (7)

  1. ヒンジ部を介して回動自在に連結され架空配電線を間に挟んだ状態で閉じられることにより所定の箇所を被覆可能に形成される一対の絶縁部材と、
    この絶縁部材の一方の一端面に設けられた挿通孔へ挿通可能に形成される通し棒と、
    前記挿通孔と連通するように前記絶縁部材の他方の内部に設置される第1の筒状体と、を備えたことを特徴とする架空配電線用絶縁カバー。
  2. 前記挿通孔が前記絶縁部材の一方に設けられる代わりに、
    一対の前記絶縁部材が前記架空配電線を間に挟んで閉じられた際に、前記挿通孔を形成するように半円状の一対の切欠きが前記絶縁部材の双方の一端面にそれぞれ設けられるとともに、前記第1の筒状体が設置されていない前記絶縁部材の内部に第2の筒状体が前記挿通孔と連通するように設置されたことを特徴とする請求項1に記載の架空配電線用絶縁カバー。
  3. 前記通し棒を閂状に挿通可能に一対の前記切欠きが前記絶縁部材の両端面に設けられるとともに、この両端面から突出可能に前記通し棒が前記絶縁部材よりも長く形成されたことを特徴とする請求項2に記載の架空配電線用絶縁カバー。
  4. 弾性部材からなり、回動される前記絶縁部材の一方に対して接触可能に前記絶縁部材の他方に設置される保持部材を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の架空配電線用絶縁カバー。
  5. 前記通し棒は一端に把持部として他の部分よりも太い部分が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の架空配電線用絶縁カバー。
  6. 長手方向に直交する断面が半円弧状をなし内径の異なる複数の保持部が一対の前記絶縁部材の両端面に先細りとなるようにそれぞれ段付き状に延設されたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の架空配電線用絶縁カバー。
  7. 一対の前記絶縁部材の側面に舌状の操作片がそれぞれ突設されたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の架空配電線用絶縁カバー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111029961A (zh) * 2019-11-27 2020-04-17 国网山东省电力公司经济技术研究院 一种高空电缆维护装置

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