JP2018065914A - ポリオレフィン系樹脂成形体 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2018065914A
JP2018065914A JP2016204845A JP2016204845A JP2018065914A JP 2018065914 A JP2018065914 A JP 2018065914A JP 2016204845 A JP2016204845 A JP 2016204845A JP 2016204845 A JP2016204845 A JP 2016204845A JP 2018065914 A JP2018065914 A JP 2018065914A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon atoms
group
general formula
component
polyolefin resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016204845A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6912698B2 (ja
Inventor
崇之 前田
Takayuki Maeda
崇之 前田
陽平 内山
Yohei Uchiyama
陽平 内山
山口 政之
Masayuki Yamaguchi
政之 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Japan Chemical Co Ltd
Original Assignee
New Japan Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by New Japan Chemical Co Ltd filed Critical New Japan Chemical Co Ltd
Priority to JP2016204845A priority Critical patent/JP6912698B2/ja
Publication of JP2018065914A publication Critical patent/JP2018065914A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6912698B2 publication Critical patent/JP6912698B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】 剛性や耐衝撃性等の機械的特性の異方性、即ち機械的異方性の小さいポリオレフィン系樹脂成形体及びその製造方法、並びにポリオレフィン系樹脂成形体の機械的異方性の改良方法、更にそれらの成形体、製造方法に供されるポリオレフィン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂とオレフィン系エラストマーから構成されたアロイ系のポリオレフィン系樹脂に、特定にアミド系化合物を配合することにより、該ポリオレフィン系樹脂成形体の機械的異方性を改良することが可能であり、その改良方法を用いることにより容易に機械的異方性の小さいポリオレフィン系樹脂成形体を得る良いことができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、剛性や耐衝撃性等の機械的特性の異方性、即ち機械的異方性の小さいポリオレフィン系樹脂成形体及びその製造方法に関し、詳しくは、ポリプロピレン系樹脂とオレフィン系エラストマーから構成されたアロイ系のポリオレフィン系樹脂に、特定のアミド系化合物を配合することを特徴とする機械的異方性の小さいポリオレフィン系樹脂成形体及びその製造方法、並びにポリオレフィン系樹脂成形体の機械的異方性の改良方法、更にそれらの成形体、製造方法に供されるポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンを主原料とする熱可塑性樹脂であり、他の汎用ポリマーと比べても軽量であり、且つ安価な材料であるだけでなく、機械的特性や熱的特性、更には光学的特性に関しても非常に優れており、様々な用途で広く使われている。また、ポリプロピレン系樹脂は上記の通り単独でも十分に優れた性能を有するが、種々の用途において各用途におけるより厳しい要求に対応するために他の樹脂をブレンドして使われることも多い。その代表的な処方の一つとして、種々のエラストマーを配合する方法が知られており、自動車材料などの柔軟性や耐衝撃性の要求される分野で幅広く使われている。上記エラストマーの種類は、その目的や用途に応じて適宜選択されて使われているが、ポリプロピレン系樹脂と構造的に近いオレフィン系エラストマーが最も汎用的に使われている。
一般に射出成形や押出成形等の流動場を伴う成形方法においては、樹脂は成形方向に配向または伸張されることにより異方性を生ずることが多い。例えば、ポリプロピレン系樹脂単独では、結晶の分子鎖が一定方向に配向することにより、耐衝撃性が低下し、またそり等の原因になることもある。また、上記の様なブレンド系においても、特に海島構造を形成するような場合にはブレンドした樹脂が流れ方向に極端に伸張されることにより、耐衝撃性等の低下を生ずることが知られており、その為に上記の様な系では必要以上に多くのエラストマーを使わざるを得ない。しかし、その場合、目的の柔軟性や耐衝撃性は得られるが、剛性が大きく低下してしまい、その改善のために新たにフィラー等を加えてより複雑な系にせざるを得ないのが現状である。従って、異方性を小さくする改善方法が強く求められている。
本発明は、剛性や耐衝撃性等の機械的特性の異方性、即ち機械的異方性の小さいポリオレフィン系樹脂成形体及びその製造方法、並びにポリオレフィン系樹脂成形体の機械的異方性の改良方法、更にそれらの成形体、製造方法に供されるポリオレフィン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本特許出願人は、特願2010−530906にて特定のアミド系化合物を配合し、特定の条件下で成形することによりポリプロピレン系樹脂の分子鎖の配向方向をコントロールできることを報告した。本発明者らは、上記ブレンド系においてもその方法が応用可能ではないかと考え、先の課題を達成することを目的に更なる検討を積み重ねた結果、ポリプロピレン系樹脂とオレフィン系エラストマーを主成分とするポリオレフィン系樹脂に、前述のアミド系化合物を配合することにより、オレフィン系エラストマーの伸張する流れ方向に垂直な方向にポリプロピレン系樹脂が配向し、その結果ポリオレフィン系樹脂成形体の全体的な機械的異方性が小さくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下に示すポリオレフィン系樹脂成形体及びその製造方法、並びに、ポリオレフィン系樹脂成形体の機械的異方性の改良方法、更にそれらの成形体、製造方法に供されるポリオレフィン系樹脂組成物を提供するものである。
[項1] ポリプロピレン系樹脂をマトリックスとし、オレフィン系エラストマーをドメインとする海島構造を有するポリオレフィン系樹脂成形体であって、
ポリプロピレン系樹脂の分子鎖の全部又は一部が成形する際の樹脂の流動方向に対して垂直な方向に配向していることを特徴とするポリオレフィン系樹脂成形体。
[項2] 偏光赤外吸収スペクトル測定により求めた吸収スペクトルの二色比が1.00未満であり、且つその二色比から計算される配向関数が負の値である、[項1]に記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
[項3] (A)成分:ポリプロピレン系樹脂、(B)成分:オレフィン系エラストマー、及び(C)成分:下記一般式(1)で示されるアミド系化合物及び一般式(2)で示されるアミド系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド系化合物を含有してなる、ポリプロピレン系樹脂をマトリックスとし、オレフィン系エラストマーをドメインとする海島構造を有するポリオレフィン系樹脂成形体。
一般式(1)
[式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
一般式(2)
[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。ただし、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
[項4] (C)成分が、一般式(1)中のnが2〜3の整数、Rが炭素数6〜12の芳香族ポリカルボン酸残基、2〜3個のRが同一又は異なって、それぞれ、炭素数6〜10の飽和の脂環族のアミン残基で示されるアミド系化合物である[項3]に記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
[項5] (C)成分のアミド系化合物が、ポリプロピレン系樹脂に対してβ晶を形成させるアミド系化合物である[項3]又は[項4]に記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
[項6] (C)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100重量部に対して、0.001〜10重量部である、[項3]〜[項5]の何れかに記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
[項7] (C)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部である、[項6]に記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
[項8] (B)成分が、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体エラストマーである[項1]〜[項7]の何れかに記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
[項9] (B)成分が、エチレン−プロピレン共重合体エラストマー及び/又はエチレン−1−ブテン共重合体エラストマーである[項8]に記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
[項10] (A)成分と(B)成分の比率が、(A)成分/(B)成分=50/50〜90/10の範囲である、[項3]〜[項9]の何れかに記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
[項11] (A)成分と(B)成分の比率が、(A)成分/(B)成分=60/40〜80/20の範囲である、[項10]に記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
[項12] (i)ポリプロピレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂とオレフィン系エラストマーを主成分とするポリオレフィン系樹脂に下記一般式(1)で示されるアミド系化合物及び一般式(2)で示されるアミド系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド系化合物を加えて加熱し、該アミド系化合物を溶融したポリプロピレン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂に溶解させて、溶融状態のポリオレフィン系樹脂組成物を得る工程、
(ii)前記工程(i)により得られた溶融状態のポリオレフィン系樹脂組成物を冷却して、アミド系化合物の結晶を析出させる工程、及び
(iii)前記工程(ii)で冷却されたポリオレフィン系樹脂組成物をポリプロピレン系樹脂の融点以上、アミド系化合物が加熱溶解しない温度の範囲に溶融させた後に成形する工程
を具備してなる、低機械的異方性のポリオレフィン系樹脂成形体の製造方法。
一般式(1)
[式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
一般式(2)
[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。ただし、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
[項13] 前記工程(ii)で析出したアミド系化合物の結晶が微細な針状結晶である、[項12]に記載の製造方法。
[項14] (C)成分が、一般式(1)中のnが2〜3の整数、Rが炭素数6〜12の芳香族ポリカルボン酸残基、2〜3個のRが同一又は異なって、それぞれ、炭素数6〜10の飽和の脂環族のアミン残基で示されるアミド系化合物である[項12]又は[項13]に記載の製造方法。
[項15] (C)成分のアミド系化合物が、ポリプロピレン系樹脂に対してβ晶を形成させるアミド系化合物である[項12]〜[項14]の何れかに記載の製造方法。
[項16] (C)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100重量部に対して、0.001〜10重量部である、[項12]〜[項15]の何れかに記載の製造方法。
[項17] (C)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部である、[項16]に記載の製造方法。
[項18] (B)成分が、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体エラストマーである[項12]〜[項17]の何れかに記載の製造方法。
[項19] (B)成分が、エチレン−プロピレン共重合体エラストマー及び/又はエチレン−1−ブテン共重合体エラストマーである[項18]に記載の製造方法。
[項20] (A)成分と(B)成分の比率が、(A)成分/(B)成分=50/50〜90/10の範囲である、[項12]〜[項19]の何れかに記載の製造方法。
[項21] (A)成分と(B)成分の比率が、(A)成分/(B)成分=60/40〜80/20の範囲である、[項20]に記載の製造方法。
[項22] ポリプロピレン系樹脂とオレフィン系エラストマーを主成分とするポリオレフィン系樹脂に下記一般式(1)で示されるアミド系化合物及び一般式(2)で示されるアミド系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド系化合物を配合して成形することを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂をマトリックスとし、オレフィン系エラストマーをドメインとする海島構造を有するポリオレフィン系樹脂成形体の機械的異方性の改良方法。
一般式(1)
[式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
一般式(2)
[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。ただし、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
[項23] ポリプロピレン系樹脂をマトリックスとし、オレフィン系エラストマーをドメインとする海島構造を有するポリオレフィン系樹脂成形体の機械的異方性の改良方法であって、マトリックスであるポリプロピレン系樹脂の分子鎖の全部又は一部を成形時の樹脂の流動方向に対して垂直な方向に配向させることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂成形体の機械的異方性の改良方法。
[項24] 偏光赤外吸収スペクトル測定により求めた吸収スペクトルの二色比を1.00未満に、更にその二色比から計算される配向関数を負の値にすることを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂をマトリックスとし、オレフィン系エラストマーをドメインとする海島構造を有するポリオレフィン系樹脂成形体の機械的異方性の改良方法。
[項25] (A)成分:ポリプロピレン系樹脂、(B)成分:オレフィン系エラストマー、及び(C)成分:下記一般式(1)で示されるアミド系化合物及び一般式(2)で示されるアミド系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド系化合物を含有してなることを特徴とする、低機械的異方性のポリオレフィン系樹脂成形体を得るために使用されるポリオレフィン系樹脂組成物。
一般式(1)
[式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
一般式(2)
[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。ただし、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
[項26] (C)成分が、一般式(1)中のnが2〜3の整数、Rが炭素数6〜12の芳香族ポリカルボン酸残基、2〜3個のRが同一又は異なって、それぞれ、炭素数6〜10の飽和の脂環族のアミン残基で示されるアミド系化合物である[項25]に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
[項27] (C)成分のアミド系化合物が、ポリプロピレン系樹脂に対してβ晶を形成させるアミド系化合物である[項25]又は[項26]に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
[項28] (C)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100重量部に対して、0.001〜10重量部である、[項25]〜[項27]の何れかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
[項29] (C)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部である、[項28]に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
[項30] (B)成分が、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体エラストマーである[項25]〜[項29]の何れかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
[項31] (B)成分が、エチレン−プロピレン共重合体エラストマー及び/又はエチレン−1−ブテン共重合体エラストマーである[項30]に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
[項32] (A)成分と(B)成分の比率が、(A)成分/(B)成分=50/50〜90/10の範囲である、[項25]〜[項31]の何れかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
[項33] (A)成分と(B)成分の比率が、(A)成分/(B)成分=60/40〜80/20の範囲である、[項32]に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
特定のアミド化合物を配合することにより、オレフィン系エラストマーの伸張方向と垂直な方向にポリプロピレン系樹脂を配向させることが可能となり、その結果得られたポリオレフィン系樹脂成形体の異方性が小さくなり、耐衝撃性等の機械的特性を向上させることができる。
図1は、実施例1で観察されたSEM写真である。 図2は、比較例1で観察されたSEM写真である。 図3は、実施例1で得られたシートのX線回折パターンである。 図4は、比較例1で得られたシートのX線回折パターンである。 図5は、実施例1で得られたシートの動的粘弾性測定結果のグラフである。 図6は、実施例2で得られたシートの動的粘弾性測定結果のグラフである。 図7は、比較例1で得られたシートの動的粘弾性測定結果のグラフである。
<ポリオレフィン系樹脂成形体>
本発明のポリオレフィン系樹脂成形体は、ポリプロピレン系樹脂をマトリックスとし、オレフィン系エラストマーをドメインとする海島構造を有するポリオレフィン系樹脂成形体であって、ポリプロピレン系樹脂の分子鎖の全部又は一部がオレフィン系エラストマーの伸張方向、即ち成形する際の樹脂の流動方向に対して垂直な方向に配向していることを特徴とする。この様な構造を有することにより、得られたポリオレフィン系樹脂成形体の機械的異方性を改良することが可能となる。なお、ポリオレフィン系樹脂成形体の説明は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の説明でもあり、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体の剛性及び耐衝撃性をバランスよく向上させる方法の説明でもある。
上記「主成分」とは、ポリオレフィン系樹脂成形体中に占めるポリプロピレン系樹脂とオレフィン系エラストマーの合計の比率が、60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上であることを意味する。
上記「全部又は一部」とは、ポリプロピレン系樹脂中の全分子鎖中の50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上が上記方向に配向していることを意味する。
上記ポリオレフィン系樹脂成形体中に含まれるポリプロピレン系樹脂とオレフィン系エラストマーの比率は、その用途により異なり、本発明の効果を奏する範囲であれば、特に制約はないが、好ましくは、ポリプロピレン系樹脂/オレフィン系エラストマーの比率(重量比)が50/50〜90〜10の範囲、より好ましくは、60/40〜80/20の範囲であることが推奨される。
ポリプロピレン系樹脂((A)成分)
本発明のポリオレフィン系樹脂成形体中に含まれるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンを主要な構成成分としてなる重合体であり、例えば、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレンを主体としたプロピレンと他のα−オレフィン(好ましくは炭素数2又は4〜20、特に好ましくは炭素数2又は4〜8のα−オレフィン)とのランダム共重合体、プロピレンを主体としたプロピレンと他のα−オレフィン(好ましくは炭素数2又は4〜20、特に好ましくは炭素数2又は4〜8のα−オレフィン)とのブロック共重合体、プロピレンを主体としたプロピレン・エチレン・ジエン多元共重合体(ジエンとしては5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエンなど。)、プロピレンを主体としたプロピレンと少量のスチレン、無水マレイン酸又は(メタ)アクリル酸等のコモノマーとの共重合体、或いは前記ポリプロピレン系樹脂と少量の熱可塑性樹脂とのブレンドポリマー、などが例示される。
なお、上記「プロピレンを主体とした」とは、プロピレン単位が共重合体中に少なくとも50重量%以上存在していることを意味し、好ましくは70重量%以上100重量%未満、より好ましくは80重量%以上100重量%未満が推奨される。
より具体的には、ポリプロピレンホモポリマー、又は、プロピレンを主体としたコポリマーであって、プロピレン−エチレンランダムコポリマー、プロピレン−エチレンブロックコポリマー、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダムコポリマー、プロピレン−エチレン−ブテン−1ブロックコポリマー、プロピレン−エチレン−1-ペンテンランダムコポリマー、プロピレン−エチレン−1-ペンテンブロックコポリマー、プロピレン−ヘキセン−1ランダムコポリマー、プロピレン−ヘキセン−1ブロックコポリマー、プロピレン−エチレン−ヘキセン−1ランダムコポリマー、プロピレン−エチレン−4−メチルペンテン−1ランダムコポリマー、プロピレン−エチレン−5−エチリデン−2−ノルボルネンコポリマー、プロピレン−エチレン−5−メチレン−2−ノルボルネンコポリマー、プロピレン−エチレン−1,4−ヘキサジエンコポリマー、プロピレン−スチレンコポリマー、プロピレン−無水マレイン酸コポリマー、プロピレン・(メタ)アクリル酸コポリマー等を挙げることができる。上記のポリプロピレン系樹脂は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる
これらの中でも、好ましくはポリプロピレンホモポリマー、プロピレンを主体としたプロピレン−エチレンランダムコポリマー、プロピレン−エチレンブロックコポリマーが推奨される。共重合体中のプロピレン単位は、好ましくは70重量%以上100重量%未満、より好ましくは80重量%以上100重量%未満が推奨される。
上記ポリプロピレン系樹脂は、従来公知の製造方法で得ることができる。その製造方法としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素を溶媒とするスラリー重合法、液体プロピレンを溶媒とする塊状重合法及び気相法等、種々の公知の方法を使用できる。また、かかる製造方法において使用される触媒としては、一般に使用されているチーグラー・ナッタ型触媒、遷移金属化合物(例えば、三塩化チタン、四塩化チタン等のチタンのハロゲン化物)を塩化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウムを主成分とする担体に担持してなる触媒とアルキルアルミニウム化合物(トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド等)とを組み合わせてなる触媒系、カミンスキー触媒と呼ばれるメタロセン系の触媒、などが例示される。
上記ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下「MFR」と略記する。JIS K 6758-1981)は、その適用する成形方法や用途により適宜選択されるものの、好ましくは0.1〜200g/10分、より好ましくは0.3〜150g/10分、特に0.5〜100g/10分が推奨される。
オレフィン系エラストマー((B)成分)
本発明に係るオレフィン系エラストマーとは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等の炭素数2〜20のα−オレフィンが共重合した共重合体、上記α−オレフィンや共重合体に更にスチレン、非共役ジエン、酢酸ビニル等のモノマーが共重合した共重合体などが挙げられる。
具体的には、例えば、エチレン−プロピレン共重合体エラストマー、エチレン−1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン−1−ヘキセン共重合体エラストマー、エチレン−1−オクテン共重合体エラストマー、エチレン−スチレン共重合体エラストマー、エチレン−ノルボルネン共重合体エラストマー、プロピレン−1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体エラストマー、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体エラストマー、及びエチレン−プロピレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体エラストマー等のオレフィンを主成分とする無定型の弾性共重合体、その誘導体及び酸変性誘導体等を挙げることができる。
オレフィン系エラストマーの製造方法としては、重合触媒を用いて製造する方法が挙げられる。重合触媒としては、例えば、バナジウム化合物、有機アルミニウム化合物及びハロゲン化エステル化合物からなるチーグラー・ナッタ触媒や、チタン原子、ジルコニウム原子又はハフニウム原子に少なくとも1種のシクロペンタジエニルアニオン骨格を有する基が配位したメタロセン化合物と、アルモキサンあるいはホウ素化合物とを組み合わせた触媒や、メタロセン触媒が挙げられる。重合方法としては、例えば、炭化水素化合物のような不活性有機溶媒中で共重合させる方法や、溶媒を用いずに共重合させる方法等が挙げられる
オレフィン系エラストマーの密度は、その適用する成形方法や用途により適宜選択されるものの、JIS−K−7112に準拠して測定した値が好ましくは0.83〜0.89g/cm、より好ましくは0.85〜0.88g/cmであることが推奨される。
オレフィン系エラストマーのメルトフローレートは、その適用する成形方法や用途により適宜選択されるものの、JIS−K−7210に準拠して230℃、荷重2.16kgで測定した値が好ましくは0.05〜30g/10分、より好ましくは1.0〜25g/10分であることが推奨される。
また、ポリオレフィン系樹脂成形体には、主成分であるポリプロピレン系樹脂とオレフィン系エラストマーの他に、例えば、低圧法ポリエチレン、中圧法ポリエチレン、高圧法ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ−4−メチルペンテン−1などに例示されるポリオレフィン系樹脂やオレフィン系エラストマー以外の熱可塑性エラストマーなどを本発明の効果が奏する範囲で含有することができる。
アミド系化合物((C)成分)
本発明のアミド系化合物は、下記一般式(1)で示されるアミド系化合物、及び一般式(2)で示されるアミド系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド系化合物である。
一般式(1)
[式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
一般式(2)
[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。ただし、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
好ましくは、一般式(1)中のnが2〜4の整数、Rが炭素数3〜6の飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数5〜7の脂環族ポリカルボン酸残基、炭素数6〜12の芳香族ポリカルボン酸残基、2〜4個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数6〜10の飽和の脂肪族、脂環族又は芳香族のアミン残基で表されるアミド化合物が推奨される。
なお、「ポリカルボン酸残基」とはポリカルボン酸から全てのカルボキシル基を除いて残った基を意味し、かかる炭素数はポリカルボン酸残基の総炭素数を表す。そのポリカルボン酸は、2〜6価のカルボン酸であり、該価数は一般式(1)のnと同数となる。また、「アミン残基」とは全てのアミノ基を除いて残った基を意味し、かかる炭素数はアミン残基の総炭素数を表す。
より好ましくは、一般式(1)中のnが2〜3の整数、Rが炭素数6〜12の芳香族ポリカルボン酸残基、2〜3個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数6〜10の飽和の脂環族のアミン残基で表されるアミド化合物が推奨される。
とRの好ましい組み合わせとして、Rが式(a)〜式(d)であり、かつRが式(e)である組み合わせが、本発明の効果を発揮する上で推奨される。さらに、Rが式(a)〜式(c)であり、かつRが式(e)である組み合わせが特に好ましい。
[式中、pは、1〜8の整数を表す。qは、0〜2の整数を表す。Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
一般式(1)で表されるアミド系化合物としては、具体的には、N,N´−ジシクロヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアミド、N,N´−ジ(2−メチルシクロヘキシル)−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアミド、N,N´−ジ(4−メチルシクロヘキシル)−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアミド、N,N´−ジ(2,3−ジメチルシクロヘキシル)−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロヘキシル−テレフタルアミド、N,N´−ジ(2−メチルシクロヘキシル)−テレフタルアミド、N,N´−ジ(3−メチルシクロヘキシル)−テレフタルアミド、N,N´−ジ(4−メチルシクロヘキシル)−テレフタルアミド、N,N´−ジ(2,3−ジメチルシクロヘキシル)−テレフタルアミド、N,N´−ジ(シクロオクチル)−テレフタルアミド、N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロペンチル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロオクチル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロドデシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジ(2−メチルシクロヘキシル)−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジ(3−メチルシクロヘキシル)−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジ(4−メチルシクロヘキシル)−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジ(2,3−ジメチルシクロヘキシル)−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジ(シクロオクチル)−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロヘキシル−2,7−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジ(2,3−ジシクロヘキシル)−2,7−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロヘキシル−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロペンチル−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロオクチル−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロドデシル−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジ(2−メチルシクロヘキシル)−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジ(3−メチルシクロヘキシル)−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジ(4−メチルシクロヘキシル)−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジ(2,3−ジメチルシクロヘキシル)−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジ(シクロオクチル)−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロヘキシル−2,2´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジフェニルヘキサンジアミド、N,N´−ビス(p−メチルフェニル)ヘキサンジアミド、N,N´−ビス(p−エチルフェニル)ヘキサンジアミド、N,N´−ビス(4−シクロヘキシルフェニル)ヘキサンジアミド、アジピン酸ジアニリド、スベリン酸ジアニリド、トリメシン酸トリ(シクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ−t−ブチルアミド、トリメシン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(2−エチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(4−エチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(4−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(4−イソプロピルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(4−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(4−イソブチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(4−t−ブチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(4−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(2,3−ジメチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(2,4−ジメチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(ベンジルアミド)、トリメシン酸トリ(シクロヘプチル)、トリメシン酸トリ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(シクロドデジルアミド)、トリメシン酸トリ(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミド)、トリメシン酸トリ(S(+)−1−シクロヘキシルエチルアミド)、トリメシン酸トリ(R(+)−1−シクロヘキシルエチルアミド)、トリメシン酸トリ(シクロオクチルアミド)等が例示される。
その中でも、N,N´−ジシクロヘキシル−テレフタルアミド、N,N´−ジ(2−メチルシクロヘキシル)−テレフタルアミド、N,N´−ジ(3−メチルシクロヘキシル)−テレフタルアミド、N,N´−ジ(4−メチルシクロヘキシル)−テレフタルアミド、N,N´−ジ(2,3−ジメチルシクロヘキシル)−テレフタルアミド、N,N´−ジ(シクロオクチル)−テレフタルアミド、N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジ(2−メチルシクロヘキシル)−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジ(3−メチルシクロヘキシル)−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジ(4−メチルシクロヘキシル)−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジ(2,3−ジメチルシクロヘキシル)−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジ(シクロオクチル)−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロヘキシル−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジ(2−メチルシクロヘキシル)−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジ(3−メチルシクロヘキシル)−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジ(4−メチルシクロヘキシル)−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジ(2,3−ジメチルシクロヘキシル)−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジ(シクロオクチル)−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミドトリメシン酸トリ(シクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(2,3−ジメチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(シクロオクチルアミド)が、本発明の効果において特に優位性が認められる点で推奨される。
また、一般式(2)のアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基、特に炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基等がある。シクロアルキル基としては、炭素数5〜20のシクロアルキル基、特に炭素数5〜14のシクロアルキル基が好ましい。具体的にはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、4‐t‐ブチルシクロヘキシル基、2,4‐ジ‐t‐ブチルシクロヘキシル基、1‐アダマンチル基等がある。アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基、特に炭素数6〜14のアリール基が推奨される。具体的にはフェニル基、1‐ナフチル基、4‐t‐ブチルフェニル基、2,4‐ジ(t‐ブチル)フェニル基等がある。RとR又はRとRがそれぞれω‐端で相互に結合して共同してアルキレン基を表すときは、RとR又はRとRが結合している窒素原子と共に環が形成される訳であるが、当該含窒素環は、環の大きさが5〜8のもの、すなわちRとR由来のアルキレン基又はRとR由来のアルキレン基が炭素数4〜7のもの、が好ましい。具体的には、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン等を例示することができる。
上記一般式(2)で表されるアミド系化合物としては、具体的には、3,9‐ビス[4‐(N‐シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス{4‐[N‐(4‐t‐ブチルシクロヘキシル)カルバモイル]フェニル}‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス{4‐[N‐(2,4‐ジ‐t‐ブチルシクロヘキシル)カルバモイル]フェニル}‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス{4‐[N‐(1‐アダマンチル)カルバモイル]フェニル}‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス[4‐(N‐フェニルカルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス{4‐[N‐(4‐t‐ブチルフェニル)カルバモイル]フェニル}‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス{4‐[N‐(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)カルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス{4‐[N‐(1‐ナフチル)カルバモイル]フェニル}‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス[4‐(N‐n‐ブチルカルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス[4‐(N‐n‐ヘキシルカルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス[4‐(N‐n‐ドデシルカルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス[4‐(N‐n‐オクタデシルカルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス(4‐カルバモイルフェニル)‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス[4‐(N,N‐ジシクロヘキシルカルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス[4‐(N,N‐ジフェニルカルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス[4‐(N‐n‐ブチル‐N‐シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス[4‐(N‐n‐ブチル‐N‐フェニルカルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス[4‐(1‐ピロリジニルカルボニル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス[4‐(1‐ピペリジニルカルボニル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、等が例示される。
その中でも、3,9‐ビス[4‐(N‐シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス{4‐[N‐(1‐アダマンチル)カルバモイル]フェニル}‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス[4‐(N‐フェニルカルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス[4‐(N‐n‐オクタデシルカルバモイル)フェニル]‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9‐ビス(4‐カルバモイルフェニル)‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが、本発明の効果において特に優位性が認められる点で推奨される。
また、上述のアミド系化合物中でも、ポリプロピレン系樹脂に対してβ晶を形成するアミド系化合物が、本発明の特徴である互いに異なった方向にその分子鎖が配向した複数の成分を含んでなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂成形体の特異な構造を形成する上で優位であり、特に推奨される。
上記アミド系化合物の含有量は、ポリプロピレン系樹脂とオレフィン系エラストマーの含有量の合計100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.005〜1重量部、特に0.01〜0.7重量部が推奨される。この範囲において、特に本発明の効果に優位性が認められる。
なお、上記アミド系化合物を高含有量で使用してポリオレフィン系樹脂組成物をマスターバッチとする場合には、上記範囲を超えて使用しても有用である。その場合であっても、本発明の成形体を得る上ではそのマスターバッチを上記のアミド系化合物の含有量の範囲となるよう希釈して使用することが推奨される。
また、上述の様にマスターバッチとする方法としては、ポリプロピレン系樹脂とオレフィン系エラストマーの混合物のマスターバッチとする方法、ポリプロピレン系樹脂単独のマスターバッチにした後にオレフィン系エラストマーと混合する方法、オレフィン系エラストマー単独のマスターバッチにした後にポリプロピレン系樹脂と混合する方法等があり、本発明の効果を奏する範囲内であれば、何れの方法でもよい。
本発明に係るポリオレフィン系樹脂成形体には、さらに使用目的やその用途に応じて適宜、従来公知のポリオレフィン用改質剤を本発明の効果を奏する範囲で含有されていてもよい。
かかるポリオレフィン用改質剤としては、例えば、ポリオレフィン等衛生協議会編「ポジティブリストの添加剤要覧」(1990年10月)に記載されている各種添加剤が挙げられ、より具体的には、安定剤(金属化合物、エポキシ化合物、窒素化合物、燐化合物、硫黄化合物等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等)、酸化防止剤(フェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イオウ系化合物等)、界面活性剤、滑剤(パラフィン、ワックス等の脂肪族炭化水素、炭素数8〜22の高級脂肪酸、炭素数8〜22の高級脂肪酸金属(Al、Ca、Mg、Zn)塩、炭素数8〜18の脂肪酸、炭素数8〜22の脂肪族アルコール、ポリグリコール、炭素数4〜22の高級脂肪酸と炭素数4〜18の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8〜22の高級脂肪酸アマイド、シリコーン油、ロジン誘導体等)、充填剤(タルク、ハイドロタルサイト、マイカ、ゼオライト、パーライト、珪藻土、炭酸カルシウム、ガラス繊維等)、中和剤、制酸剤、発泡剤、発泡助剤、ポリマー添加剤、蛍光増白剤、可塑剤、分子量調整剤(ラジカル発生剤)、架橋剤、架橋促進剤、帯電防止剤、防曇剤、ポリマーアロイ成分(ブロックSBR或いはランダムSBR及びそれらの水素化物等のゴム類やポリスチレン等)、難燃剤、分散剤、有機・無機の顔料、染料、加工助剤、アンチブロッキング剤、上記アミド系化合物以外の有機結晶核剤、などの各種改質剤が例示される。これらの改質剤は、1種で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
ポリオレフィン系樹脂成形体の構造
本発明に係るポリオレフィン系樹脂成形体は、ハードセグメントであるポリプロピレン系樹脂とソフトセグメントであるオレフィン系エラストマーを主成分とする組成物からなり、ハードセグメントであるポリプロピレン系樹脂からなるマトリックス中にソフトセグメントであるオレフィン系エラストマーがドメインとして存在する海島構造を有することにより、剛性を大きく損なうことなく、柔軟性や耐衝撃性を付与する構造体を基本とする。
上記の様な構造体は、射出成形や押出成形等の流動場を伴う成形条件で成形した場合、ソフトセグメントであるオレフィン系エラストマーが流れ方向に伸張したアスペクト比の大きな楕円状になることが知られている。その結果、流れ方向(縦方向)と横方向の構造に差違が生ずるため、異方性が発生してしまう。
さらに、一般的なポリプロピレン系樹脂の場合、ポリプロピレン系樹脂の分子鎖も流れ方向に配向する傾向にあることが知られており、その結果、上記異方性がより顕著に表れる。
本発明のポリプロピレン系樹脂成形体は、上記構造体において、ポリプロピレン系樹脂の分子鎖の配向方向を流れ方向と垂直な方向に変えたところに最大の特徴を有する。即ち、流れ方向に伸張したオレフィン系エラストマーとその伸張方向に垂直な方向にポリプロピレン系樹脂を配向させることにより、上記異方性が緩和されているところに最大の特徴がある。
オレフィン系エラストマーの変形状態は、成形体より溶媒を用いてオレフィン系エラストマーを抽出した後に、その成形体を走査型電子顕微鏡で観察することにより容易に確認することができる。即ち、上記観察において空洞の形状が元々その部分に存在していたオレフィン系エラストマーの形状を示している。
上記ポリプロピレン系樹脂の分子鎖の配向している方向は、広角X線回折測定で得られる回折パターン及び偏光赤外吸収スペクトル測定により求められる吸収スペクトルの二色比並びにその二色比から計算される配向関数の値より容易に確認することができる。
具体的には、汎用の広角X線回折装置を用いて、成形体より切り出した試験片に、Through View(流れ方向(MD方向)−流れ方向に対して垂直な方向(TD方向)面)及びEdge View(MD方向−厚み方向(ND方向)面)から室温にてX線を照射し、透過法にて得られたX線回折パターン上のポリプロピレン系樹脂の特性回折ピークが集中している方向よりポリプロピレン系樹脂の分子鎖が配向している方向を確認することができる。
また、汎用のフーリエ変換型赤外分光装置を用いて測定した偏光赤外吸収スペクトルの値より(1式)を用いての赤色二色比D(MD方向/TD方向)を計算し、さらにその赤色二色比Dより(2式)を用いて配向関数Fを算出することにより、ポリプロピレン系樹脂の分子鎖の配向している方向を特定することができる。即ち、赤色二色比Dが1であれば、等方性であることを示しており、1より大きければ大きいほどMD方向に、逆に1より小さければ小さいほどTD方向に配向していることを示している。また、(2式)より明らかなように、配向関数Fの値が正の値の場合は、MD方向に配向していることを、負の値の場合はTD方向に配向していることを示している。
<ポリオレフィン系樹脂成形体の製造方法>
本発明のポリオレフィン系樹脂成形体の製造方法は、例えば、次の(i)〜(iii)工程を具備するものであり、このような条件を満たすことにより本発明の効果をより効果的に奏することができる成形体を得ることができる。
なお、後述の製造方法の説明は、本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物を成形する方法の説明でもある。
工程(i);ポリプロピレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂とオレフィン系エラストマーを主成分とするポリオレフィン系樹脂にアミド系化合物を、該アミド系化合物が溶融している樹脂に完全に溶解する温度以上で溶解させて、溶融状態のポリオレフィン系樹脂組成物を得る工程。
工程(ii);その溶融状態のポリオレフィン系樹脂組成物をアミド系化合物の結晶が析出する温度以下に冷却する工程。
工程(iii);その冷却されたポリオレフィン系樹脂組成物をポリプロピレン系樹脂の融点以上、アミド系化合物のポリオレフィン系樹脂への溶解温度未満の温度範囲で溶融した後に、通常125℃以下、好ましくは20〜125℃、より好ましくは50〜120℃、特に好ましくは80〜120℃の温度範囲で成形する工程。
オレフィン系エラストマーは、工程(i)で溶融混合されることが一般的であるが、工程(i)で混合できない場合は、工程(iii)で溶融混合しても、本発明の効果上、特に問題はない。
前記工程(i)では、前記ポリオレフィン系樹脂に、アミド系化合物(好ましくは上記一般式(1)又は一般式(2)で表される少なくとも1種のアミド系化合物)を溶解させることが肝要であり、公知の装置を用いて行うことができる。工程(i)は、アミド系化合物を溶解させるという操作とポリオレフィン系樹脂組成物を溶融状態とするという操作からなる。
「アミド系化合物を加熱溶解させる」とは、本明細書及び特許請求の範囲において、アミド系化合物を実質的に全量溶解させることを意味する。この操作において、アミド系化合物の溶解が不十分な場合には、本発明の効果が十分に発揮されないことがある。アミド系化合物を加熱溶解させた場合、溶融状態のポリオレフィン系樹脂組成物を目視で観察したとき、未溶解のアミド系化合物が実質的に観察されず、溶融状態のポリオレフィン系樹脂組成物は透明である。この方法で、実質的に全量が溶解していることを確認できる。
前記工程(ii)における「ポリオレフィン系樹脂の融点」とは、ポリオレフィン樹脂組成物中に含まれるすべての樹脂が完全に溶融する温度を意味し、例えば示差走査熱量計(DSC)で測定した場合にチャート上の最も高温側に現れる融解ピーク温度に相当する温度である。
工程(i)を具体的に説明すれば、例えば、(1)前記ポリオレフィン系樹脂とアミド系化合物と必要に応じてポリオレフィン用改質剤とを、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ドラムミキサー等の混合機を用いてドライブレンドした後、そのドライブレンド物を当該分野で使用されている溶融混練機(例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー等)にて、所定の樹脂温度でポリプロピレン系樹脂にアミド系化合物を溶解させ、そのまま溶融状態を維持して、次の工程(ii)に移行する方法、(2)溶融混練機を用いて所定の樹脂温度にある溶融状態の前記ポリオレフィン系樹脂に、アミド系化合物と必要に応じてポリオレフィン用改質剤とを固体形態又は液状形態で直接添加して溶解させ、そのまま溶融状態を維持して、次の工程(ii)に移行する方法、(3) 溶融混練機を用いて所定の樹脂温度にある溶融した前記ポリオレフィン系樹脂に、アミド系化合物と必要に応じてポリオレフィン用改質剤を高濃度で含有するマスターバッチを用いて添加し溶解させ、そのまま溶融状態を維持して、次の工程(ii)に移行する方法、などが例示される。
前記(1)〜(3)の例示は、アミド系化合物を溶解させ、そのまま溶融状態を維持して、次の工程(ii)に移行する方法であるが、その溶融状態のポリオレフィン系樹脂組成物を一端冷却してペレット化し、再度、所定の処理温度で前記ポリオレフィン系樹脂にアミド系化合物を溶解させ、そのまま溶融状態を維持し、次の工程(ii)に移行する手順を採用することもできる。
また、アミド系化合物を十分に溶解させる工夫として、工程(i)の樹脂温度を前記ポリオレフィン系樹脂の熱分解温度に留意して上げる他に、工程(i)の処理時間(滞留時間)、加熱混合装置のスクリュー回転速度・形状などを適宜調整することが好ましい。
通常、本発明に係るアミド系化合物の融点はポリオレフィン系樹脂の融解温度よりも高く、そのポリオレフィン系樹脂の融解温度範囲は80〜180℃であることから、上記工程(i)においては、まずポリオレフィン系樹脂が溶融し、次いでアミド系化合物(固体)がその溶融状態のポリオレフィン系樹脂に溶解する。即ち、溶解温度は、ポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い温度である。従って、工程(i)の樹脂温度は、ポリオレフィン系樹脂へのアミド系化合物の溶解温度以上であり、好ましくは当該溶解温度〜(溶解温度+40℃)の範囲、より好ましくは(該溶解温度+5℃)〜(溶解温度+40℃)の範囲が推奨される。
上記工程(ii)では、溶融状態のポリオレフィン系樹脂組成物をアミド系化合物の結晶が析出する温度以下に冷却する。即ち、工程(ii)における冷却時の樹脂温度は、ポリオレフィン系樹脂組成物からアミド系化合物が析出する温度以下であり、好ましくは(該析出温度−150℃)以下、より好ましくは(該析出温度−200℃)以下が推奨される。より具体的には、好ましくは80℃以下、より好ましくは40℃以下が推奨される。
また、工程(ii)における冷却方法に特に制限はなく、公知の冷却方法を採用することができる。具体的には、水などの冷媒中に浸漬したり、強制空冷装置を用いて空冷させたりする方法を使用することができる。この時、ポリオレフィン系樹脂中でアミド系化合物が再結晶化して針状結晶として析出することが最良である。このようなアミド系化合物の針状結晶は、偏光顕微鏡で容易に観察することができる。
本発明の効果をより効果的に発揮させるためには、アミド系化合物の結晶(特に針状結晶)がポリオレフィン系樹脂に均一に微分散した状態とすることが肝要である。このため、上記工程(i)及び工程(ii)が、前記状態を達成するのに最も簡便で効率的な方法である。
但し、アミド系化合物が微小結晶や針状結晶として入手が容易な場合には、直ちに工程(iii)を行うことができるものの、工程(iii)の前に前処理として入手したアミド系化合物を一旦ポリオレフィン系樹脂に均一に分散させることが好ましい。
工程(iii)における温度制御は、ポリオレフィン系樹脂組成物をポリプロピレン系樹脂の融点以上アミド系化合物のポリオレフィン系樹脂への溶解温度未満の温度範囲で一旦溶融状態とした後、通常125℃以下、好ましくは20〜125℃、より好ましくは50〜120℃、特に好ましくは80〜120℃の温度範囲で成形させる。
前記の「成形させる」とは、所望のポリオレフィン系樹脂成形体の形状・形態(フィルム、シート、ボトル、ケースなど)となるように、前記の温度制御ができることを条件に、適宜、圧空成形、真空成形、圧縮成形、押出サーモフォーム成形、押出成形、射出成形などの成形方法を採用して成形させることを意味する。
<機械的異方性の改良方法>
本発明に係る機械的異方性の改良方法とは、ポリプロピレン系樹脂の分子鎖の配向方向を、オレフィン系エラストマーの伸張方向と平行な方向、即ち樹脂の流れ方向から、垂直な方向に変えることに最大の特徴を有する。具体的には、上記アミド系化合物を配合し、上記条件で成形することにより分鎖の配向方向を垂直な方向に変えることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例における評価方法は、以下の通りである。
[成形体中のオレフィン系エラストマーの形状確認]
試料の調製
テクノベル社製の同方向完全噛合型二軸押出機ULT15TWnano−15MG−NH(−700)−HKUを用いて、下記条件にて押出成形を行い、シートを作製した。得られたシートより所定の大きさの試験片を切り出し、室温下でキシレン中に4日間浸漬して、オレフィン系エラストマーを抽出したのち、キシレンを除去した。その後、ミクロトームを用いて液体窒素冷却下で10μm厚みに切削して試料とした。
<押出条件>
設定温度 バレル C1 117℃、C2 200℃、
ヘッド 200℃、
ダイス 200℃
スクリュー形状 D=15mm、L/D=15 (二軸)
スクリュー回転数 20rpm
ダイス形状 スリットダイ(開口長) 35mm、
ダイギャップ 0.5mm
吐出量 0.42kg/h (重量フィーダーを使用)
エアギャップ 50mm
チルロール径 72mm
チルロール回転数 1rpm
チルロール温度 100℃
走査型電子顕微鏡(SEM)観察
上記試料をイオン蒸着装置(日立製作所製 E1010)によりパラジウム/白金合金蒸着を80秒間行って導電性を付与し、走査型電子顕微鏡(日立製作所製S4100)を用いて加速電圧20kVにて観察した。
[成形体中のポリプロピレン系樹脂の配向状態の確認]
試料の調製
上記[成形体中のオレフィン系エラストマーの形状確認]と同じ条件にて得られた押出シートより、所定の大きさの試験片を切り出し、試料とした。
広角X線回折(2D−XRD)
結晶配向の評価を行うために、広角X線回折装置((株)リガク製、SmartLab)を用いて、透過法によってX線回折の測定を行った。管電流、管電圧はそれぞれ30mA、40kVとした。それぞれのサンプルを縦X横が約10mm×10mmとなるように切り出し、トルエンとポリスチレンの溶液を用いて厚さが約1.0mmとなるように積層し貼り合わせた。X線はMD−TD面 (through view:以下、「TV」という)、MD−ND面(edge view:以下、「EV」という)の2方向から照射した。
赤外二色比及び配向関数
結晶配向の評価を行うために、フーリエ変換型赤外分光装置(PerkinElmer社製、Spectrum100)を用いて、偏光赤外吸収スペクトルの測定を行った。得られた吸収スペクトルより(1式)を用いて赤色二色比Dを計算し、さらに(2式)を用いて配向関数F(2式)を算出した。なお、スペクトルの吸収帯は998cm-1に着目し、(2式)におけるcの値は1とした。
[成形体の異方性の確認]
試料の調製
上記[成形体中のオレフィン系エラストマーの形状確認]と同じ条件にて得られた押出シートより、20mm×5mmの大きさの試験片を切り出し、試料とした。
動的粘弾性
上記試料を用い、動的粘弾性測定装置(UBM社製Rheogel−E4000−DVE)にて、チャック間距離10mm、周波数10Hz、温度範囲−100℃〜165℃、昇温速度2℃/分で測定した。また、各押出シートより、樹脂の流れ方向(MD方向)および流れ方向に対して垂直な方向(TD方向)に沿って切り出した試料を用いて、それぞれ測定した。
<実施例1>
ポリプロピレン系樹脂(ポリプロピレンホモポリマー、MFR=7.5g/10分、融点;168℃)70重量部、エチレン−1−ブテン共重合エラストマー(MFR=2.2g/10分、密度;0.862g/cm)30重量部、アミド系化合物としてN,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化株式会社製、商品名;エヌジェスターNU−100)0.07重量部、ポリオレフィン用改質剤としてテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASF社製、商品名「IRGANOX1010」)0.15重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(BASF社製、商品名「IRGAFOS168」)0.1重量、及びステアリン酸カルシウム(日東化成工業株式会社製、商品名「CP−S」)0.05重量をヘンシェルミキサーでドライブレンドした。そのドライブレンド物を押出機にて樹脂温度260℃でN,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドを溶解させて、溶融状態のポリオレフィン系樹脂組成物とし(工程(i))、その溶融状態のポリオレフィン系樹脂組成物を水令し、ペレタイザーでカッティングして、ペレット状のポリオレフィン系樹脂組成物を得た(工程(ii))。そのペレットを樹脂温度200℃、チルロール温度80℃にてシート成形して、厚さ0.3mmの本発明のポリオレフィン系樹脂シートを作製した(工程(iii))。
得られたシートより10mm×10mmの試験片を切り出し、所定の処理後SEM観察を行った。図1に観察された画像の写真を示した。
続いて、上記シートより10mm×10mmの試験片を切り出し、所定の処理後X線回折測定を行った。図3にEV (左)、TV (右)における2D−XRD回折パターンを示した。
次に、上記シートを用いて、偏光赤外線吸収スペクトルの測定を行い、(1式)、(2式)を用いて、赤色二色比と配向関数を求め、表1に示した。
最後に、上記シートより、20mm×5mmの試験片を切り出し、動的粘弾性試験を行い、動的粘弾性の温度依存性をグラフにプロットした結果を図5に示した。
<実施例2>
オレフィン系エラストマーとして、エチレン−1−ブテン共重合エラストマーの代わりにエチレン−プロピレン共重合エラストマー(JSR社製、製品名「EP11」)を用いた以外は、実施例1と同様に実施して、シートを作製した。
得られたシートより、所定の大きさの試験片を切り出し、更に必要に応じて処理を行った後、その試験片を試料として用い、偏光赤外線吸収スペクトルの測定を行い、得られた赤色二色比と配向関数を表1に示した。
得られたシートより10mm×10mmの試験片を切り出し、所定の処理後SEM観察を行った。図2に観察された画像の写真を示した。
続いて、上記シートより、20mm×5mmの試験片を切り出し、動的粘弾性試験を行い、動的粘弾性の温度依存性をグラフにプロットした結果を図6に示した。
<比較例1>
アミド系化合物を配合しない以外は、実施例1と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂シートを作製した。
得られたシートより10mm×10mmの試験片を切り出し、所定の処理後X線回折測定を行った。図4にEV (左)、TV (右)における2D−XRD回折パターンを示した。
次に、上記シートを用いて、偏光赤外線吸収スペクトルの測定を行い、(1式)、(2式)を用いて、赤色二色比と配向関数を求め、表1に示した。
続いて、上記シートより、20mm×5mmの試験片を切り出し、動的粘弾性試験を行い、動的粘弾性の温度依存性をグラフにプロットした結果を図7に示した。
図1及び図2の写真より、黒く写っている空洞部分が樹脂の流れ方向(MD方向)に非常に長細くなっている状態が明確に観察される。従って、成形体中のオレフィン系エラストマーが流れ方向に著しく伸張されていることがわかる。
図4のX線回折パターン(比較例1)より、アミド系化合物を配合していないポリプロピレン系樹脂は、TV(Through View)像において、ポリプロピレン系樹脂のα晶に由来する(040)面の弱い回折ピークが赤道方向(φ=90°)に確認されることより、ポリプロピレン系樹脂の分子鎖が流れ方向に配向していることがわかる。
一方、図3のX線回折パターン(実施例1)より、アミド系化合物を配合したことにより、ポリプロピレン系樹脂のβ晶に由来する(110)面の回折ピークがφ=30°及びφ=90°に強く表れており、明らかにポリプロピレン系樹脂の分子鎖が流れ方向に対して垂直な方向に配向していることがわかる。なお、ポリプロピレン系樹脂の回折面は、アミド系化合物がβ晶核剤として作用することにより、結晶形態がα晶からβ晶に変化しているため、図3では、α晶の(040)面、図2ではβ晶の(110)面の回折ピークに着目して配向を確認した。
図5〜7は、実施例1及び2、比較例1における動的粘弾性の温度依存性の測定結果である貯蔵弾性率(E’、弾性的要素)と損失弾性率(E”、粘性的要素)を本発明に係るポリオレフィン系樹脂成形体が通常使用される温度範囲、即ち−30〜40℃の範囲においてプロットした曲線を示したものである。上記動的粘弾性の数値は機械的特性の目安として有用であり、本発明の場合も流れ方向(MD、MachineDirection)と流れ方向に垂直な方向(TD、TransverseDirection)の弾性率を比較することにより、機械的異方性の有無を判断した。図5及び6に示したアミド系化合物を含有する実施例1及び2の弾性率の曲線は、図7に示したアミド系化合物を含有していない系に比べて、明らかにMD方向とTD方向の弾性率の差異が小さいことがわかる。この結果より、アミド系化合物を配合することにより本発明に係るポリオレフィン系樹脂成形体の異方性が大きく改善されていることは明瞭である。
本発明のポリオレフィン系樹脂成形体は、異方性が少なく、且つバランスの良い優れた剛性、耐衝撃性を有しており、自動車部品、機械工学部品、化学工業部品、家電部品等の成形品として使用することができる。

Claims (11)

  1. ポリプロピレン系樹脂をマトリックスとし、オレフィン系エラストマーをドメインとする海島構造を有するポリオレフィン系樹脂成形体であって、
    ポリプロピレン系樹脂の分子鎖の全部又は一部が成形する際の樹脂の流動方向に対して垂直な方向に配向していることを特徴とするポリオレフィン系樹脂成形体。
  2. 偏光赤外吸収スペクトル測定により求めた吸収スペクトルの二色比が1.00未満であり、且つその二色比から計算される配向関数が負の値である、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
  3. (A)成分:ポリプロピレン系樹脂、
    (B)成分:オレフィン系エラストマー、及び
    (C)成分:下記一般式(1)で示されるアミド系化合物及び一般式(2)で示されるアミド系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド系化合物
    を含有してなる、ポリプロピレン系樹脂をマトリックスとし、オレフィン系エラストマーをドメインとする海島構造を有するポリオレフィン系樹脂成形体。
    一般式(1)
    [式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
    一般式(2)
    [式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。ただし、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
  4. (C)成分が、一般式(1)中のnが2〜3の整数、Rが炭素数6〜12の芳香族ポリカルボン酸残基、2〜3個のRが同一又は異なって、それぞれ、炭素数6〜10の飽和の脂環族のアミン残基で示されるアミド系化合物である請求項3に記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
  5. (C)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分の含有量の合計100重量部に対して、0.001〜5重量部である、請求項3又は4に記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
  6. (B)成分が、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体エラストマーである請求項1〜5の何れかに記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
  7. (A)成分と(B)成分の比率が、(A)成分/(B)成分=50/50〜90/10の範囲である、請求項3〜5の何れかに記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
  8. (i)ポリプロピレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂とオレフィン系エラストマーを主成分とするポリオレフィン系樹脂に下記一般式(1)で示されるアミド系化合物及び一般式(2)で示されるアミド系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド系化合物を加えて加熱し、該アミド系化合物を溶融したポリプロピレン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂に溶解させて、溶融状態のポリオレフィン系樹脂組成物を得る工程、
    (ii)前記工程(i)により得られた溶融状態のポリオレフィン系樹脂組成物を冷却して、アミド系化合物の結晶を析出させる工程、及び
    (iii)前記工程(ii)で冷却されたポリオレフィン系樹脂組成物をポリプロピレン系樹脂の融点以上、アミド系化合物が加熱溶解しない温度の範囲に溶融させた後に成形する工程
    を具備してなる、低機械的異方性のポリオレフィン系樹脂成形体の製造方法。
    一般式(1)
    [式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
    一般式(2)
    [式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。ただし、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
  9. 前記工程(ii)で析出したアミド系化合物の結晶が微細な針状結晶である、請求項7に記載の製造方法。
  10. ポリプロピレン系樹脂とオレフィン系エラストマーを主成分とするポリオレフィン系樹脂に下記一般式(1)で示されるアミド系化合物及び一般式(2)で示されるアミド系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド系化合物を配合して成形することを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂をマトリックスとし、オレフィン系エラストマーをドメインとする海島構造を有するポリオレフィン系樹脂成形体の機械的異方性の改良方法。
    一般式(1)
    [式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
    一般式(2)
    [式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。なお、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
  11. (A)成分:ポリプロピレン系樹脂、
    (B)成分:オレフィン系エラストマー、及び
    (C)成分:下記一般式(1)で示されるアミド系化合物及び一般式(2)で示されるアミド系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアミド系化合物
    を含有してなることを特徴とする、低機械的異方性のポリオレフィン系樹脂成形体を得るために使用されるポリオレフィン系樹脂組成物。
    一般式(1)
    [式中、nは、2〜6の整数を表す。Rは、炭素数2〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族ポリカルボン酸残基、炭素数3〜18の脂環族ポリカルボン酸残基又は炭素数6〜18の芳香族ポリカルボン酸残基を表す。2〜6個のRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数5〜30の飽和若しくは不飽和の脂肪族アミン残基、炭素数5〜30の脂環族アミン残基又は炭素数6〜30の芳香族アミン残基を表す。]
    一般式(2)
    [式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素数6〜20の置換基を有してもよいアリール基を表す。ただし、RとR、及びRとRは、それぞれ同時に水素原子を表すことはない。また、RとRと、又はRとRとが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。]
JP2016204845A 2016-10-19 2016-10-19 ポリオレフィン系樹脂成形体 Active JP6912698B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016204845A JP6912698B2 (ja) 2016-10-19 2016-10-19 ポリオレフィン系樹脂成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016204845A JP6912698B2 (ja) 2016-10-19 2016-10-19 ポリオレフィン系樹脂成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018065914A true JP2018065914A (ja) 2018-04-26
JP6912698B2 JP6912698B2 (ja) 2021-08-04

Family

ID=62086778

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016204845A Active JP6912698B2 (ja) 2016-10-19 2016-10-19 ポリオレフィン系樹脂成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6912698B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023038148A1 (ja) * 2021-09-13 2023-03-16 東洋製罐株式会社 ポリプロピレン系包装材料

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05262936A (ja) * 1992-01-24 1993-10-12 New Japan Chem Co Ltd 結晶性ポリプロピレン系樹脂組成物
JPH08197640A (ja) * 1995-01-24 1996-08-06 Mitsubishi Chem Corp ポリオレフィン樹脂成形体
WO2010035912A2 (ja) * 2009-01-31 2010-04-01 新日本理化株式会社 ポリプロピレン系樹脂成形体

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05262936A (ja) * 1992-01-24 1993-10-12 New Japan Chem Co Ltd 結晶性ポリプロピレン系樹脂組成物
JPH08197640A (ja) * 1995-01-24 1996-08-06 Mitsubishi Chem Corp ポリオレフィン樹脂成形体
WO2010035912A2 (ja) * 2009-01-31 2010-04-01 新日本理化株式会社 ポリプロピレン系樹脂成形体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023038148A1 (ja) * 2021-09-13 2023-03-16 東洋製罐株式会社 ポリプロピレン系包装材料

Also Published As

Publication number Publication date
JP6912698B2 (ja) 2021-08-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5651918B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物及び成形体
US8492468B2 (en) Polypropylene resin composition
US20060091581A1 (en) Polypropylene-based resin molded article and process for producing the same
JP7071677B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂中での分散性に優れた脂環式ジカルボン酸の金属塩、該脂環式ジカルボン酸の金属塩の製造方法、該脂環式ジカルボン酸の金属塩を含むポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤、該結晶核剤を含んでなる結晶核剤組成物、ポリオレフィン系樹脂組成物、並びに、ポリオレフィン系樹脂成形体
JP2005075847A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JP6497047B2 (ja) 樹脂組成物
JP6912698B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂成形体
WO2021193422A1 (ja) 医療用途向け射出成形品
WO2017144468A1 (en) Composition comprising heterophasic propylene copolymer
JP2009299039A (ja) 熱成形シート用ポリプロピレン系樹脂組成物ならびに、それからなるシートおよび容器
JP6928923B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂成形体
JP2009096846A (ja) プロピレン系樹脂組成物およびそれを用いてなる成形体
JP7397310B2 (ja) 樹脂中での分散性の改良されたポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤、及び該結晶核剤を含むポリオレフィン系樹脂組成物
JP2007231134A (ja) 改良されたポリプロピレン樹脂組成物及びその成形体
CN116348272A (zh) 丙烯类聚合物组合物、双轴拉伸膜和包装袋
WO2021177386A1 (ja) ポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤組成物、及び該結晶核剤組成物を含むポリオレフィン系樹脂組成物
CN110234686A (zh) 用于生产具有改善的氧气阻隔性能的非取向膜的方法
JP4013497B2 (ja) フィルム用ポリプロピレン系組成物およびそのフィルム
JP6379739B2 (ja) 高剛性多層フィルム
JPH11217469A (ja) ポリエチレン系樹脂の性能改良方法およびそれを用いたポリエチレン系樹脂の加工方法
JP2010144007A (ja) インフレーションフィルム
JP2009235228A (ja) ポリプロピレン製延伸フィルム
JPWO2010131705A1 (ja) アミド化合物の結晶成長速度を抑制する方法及びポリオレフィン系樹脂成形体の製造方法
WO2022004551A1 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JPH08192462A (ja) 不透明性延伸フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161116

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190905

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191002

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201110

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201202

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210413

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210416

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210608

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210621

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6912698

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350