JP2018062449A - 化学強化用ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的近接した状態で目視されるディスプレイ装置のカバーガラスにおいて、リームによる視認性の悪化を防止できる化学強化用ガラスの提供。【解決手段】酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2:50〜75%、Al2O3:9〜20%、Na2O:10〜20%、K2Oを0〜6%、MgO:0〜15%、CaO、SrOおよびBaO合量(CaO+SrO+BaO):0〜10%、ZrO2およびTiO2を合量(ZrO2+TiO2):0〜5%、B2O3:0〜10%、Li2O:0〜20%含有し、ガラス板の断面における屈折率の最大値と最小値との差(Δn)が2.0×10-5以下である化学強化用ガラス。【選択図】なし

Description

本発明は、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、ウエアラブルデバイス、VRデバイスといった携帯用ディスプレイ装置、車載用ディスプレイ装置、または大型TV、大型スクリーン、超高精細TVなどの前面板に用いられるカバーガラスに好適な化学強化用ガラスに関する。
近年、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、ウエアラブルデバイス、VRデバイスといった携帯用ディスプレイ装置や車載用ディスプレイ装置に対しては、ディスプレイの保護ならびに美観を高めるためのカバーガラス(保護ガラス)が用いられることが多くなっている。携帯用ディスプレイ装置に対しては、薄型デザインによる差異化や移動のための負担の減少のため、軽量・薄型化が要求されている。そのため、ディスプレイ保護用に使用されるカバーガラスも薄くすることが要求されている。しかし、カバーガラスの厚さを薄くしていくと、強度が低下し、据え置き型の場合には物体の飛来や落下による衝撃、または携帯機器の場合には使用中の落下などによりカバーガラス自身が割れてしまうことがあり、携帯用ディスプレイ装置を保護するという本来の役割を果たすことができなくなるという問題があった。
上記問題を解決するためには、カバーガラスの強度を高めることが考えられ、その方法としてガラス表面に圧縮応力層を形成させる手法が一般的に知られている。
ガラス表面に圧縮応力層を形成させる手法としては、軟化点付近まで加熱した板ガラス表面を風冷などにより急速に冷却する風冷強化法(物理強化法)と、ガラス転移点以下の温度でイオン交換により板ガラス表面のイオン半径が小さなアルカリ金属イオン(典型的にはLiイオン、Naイオン)をイオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的にはKイオン)に交換する化学強化法が代表的である。なお、化学強化法が適用されるガラスは、必然的にアルカリ金属イオンを含有する。
前述したようにカバーガラスの厚さは薄いことが要求されている。しかしながら、カバーガラスとして要求される、厚みが2mmを下回るような薄い板ガラスに対して風冷強化法を適用すると、表面と内部の温度差がつきにくいために圧縮応力層を形成することが困難であり、目的の高強度という特性を得ることができない。そのため、後者の化学強化法によって強化されたカバーガラスが通常用いられている。
このようなカバーガラスは、ソーダライムガラスやアルミノシリケートガラスの板ガラスを化学強化したものが広く用いられている(たとえば特許文献1、2参照)。
カバーガラスに広く使用されるソーダライムガラスやアルミノシリケートガラスの板ガラスは、所定の配合比で調合した原料を溶融炉で加熱溶融してガラス化し、この溶融ガラスを清澄した後、フロート法やフュージョン法により、所定の厚さの板ガラスに成形する。次いで、この板ガラスを所定の形状に切断した後、化学強化処理が適用される。
上述した板ガラスに成形する過程で溶融ガラス中に異質成分が存在していると、成形後の板ガラスにおいて、リームと呼ばれる筋状の光学歪(欠点)を生じさせる。
本明細書における異質成分とは、ガラスの成分が充分に均質化されておらず不均質になっている成分や、溶融ガラスと炉材や気相との反応などによって生じた溶融ガラスの成分を指す。
板ガラスに生じたリームは化学強化処理後も改善されない。そのため、携帯用ディスプレイ装置や車載用ディスプレイ装置のカバーガラスとして使用した場合、リームが視認されて視認性が悪化するため問題となる。
特開2007−11210号公報 特開2010−275126号公報
上述した従来技術における問題点を解決するため、携帯用ディスプレイ装置や車載用ディスプレイ装置のカバーガラスにおいて、リームによる視認性の悪化を防止できる化学強化用ガラスを提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明は、下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を50〜75%、Al23を9〜20%、Na2Oを10〜20%、K2Oを0〜6%、MgOを0〜15%、CaO、SrOおよびBaOを合量(CaO+SrO+BaO)で0〜10%、ZrO2およびTiO2を合量(ZrO2+TiO2)で0〜5%、B23を0〜10%、Li2Oを0〜20%含有し、ガラス板の断面における屈折率の最大値と最小値との差(Δn)が2.0×10-5以下であることを特徴とする化学強化用ガラスを提供する。
本発明の化学強化用ガラスにおいて、前記Δnが1.7×10-5以下であることが好ましい。
本発明の化学強化用ガラスにおいて、下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を60〜70%、Al23を9〜15%、Na2Oを10〜18%、K2Oを0〜4%、MgOを2〜12%、CaO、SrOおよびBaOを合量(CaO+SrO+BaO)で0〜5%、ZrO2およびTiO2を合量(ZrO2+TiO2)で0〜1%、B23を0〜3%、Li2Oを0〜10%含有することが好ましい。
また、本発明の化学強化用ガラスにおいて、下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を60〜67%、Al23を9〜13.5%、Na2Oを13.5〜18.5%、K2Oを0〜2%、MgOを6〜10.5%、CaO、SrOおよびBaOを合量(CaO+SrO+BaO)で0〜1%、ZrO2およびTiO2を合量(ZrO2+TiO2)で0〜0.5%、B23を0〜1%、Li2Oを0〜0.5%含有することが好ましい。
また、本発明の化学強化用ガラスにおいて、下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を60〜67%、Al23を9〜13.5%、Na2Oを13.5〜18.5%、K2Oを0.1〜3%、MgOを6〜10.5%、TiO2を0%超5%以下含有し、[(Na2O+K2O×5)/(Al23+ZrO2+TiO2×10)]が2.55以下、かつ、Al23/K2Oが10超であることが好ましい。
また、本発明の化学強化用ガラスにおいて、[(MgO/2+Na2O+K2O×2)/(TiO2+ZrO2)]が53〜140であることが好ましい。
また、本発明の化学強化用ガラスにおいて、ガラス粘度が102dPa・sとなる温度T2が1620℃以上、1750℃以下であることが好ましい。
また、本発明の化学強化用ガラスにおいて、ガラス粘度が104dPa・sとなる温度T4が1190℃以上、1350℃以下であることが好ましい。
また、本発明の化学強化用ガラスにおいて、20mmピッチのうねりに換算した両主面のうねり高さが0.60μm以下であることが好ましい。
また、本発明の化学強化用ガラスにおいて、両主面のうねりピッチが10〜30mmであることが好ましい。
また、本発明の化学強化用ガラスにおいて、前記20mmピッチのうねりに換算した両主面におけるうねり高さと、前記両主面のうねりピッチとの比(うねり高さ(20mmピッチ換算)/うねりピッチ)が6.0×10-5以下であることが好ましい。
また、本発明の化学強化用ガラスにおいて、板厚が2.0mm以下であることが好ましい。
本発明の化学強化用ガラスは、Δnが2.0×10-5以下であることにより、リーム視認可能距離が780mm以上となる。そのため、表示面と目との距離が通常780mm以下となる携帯用ディスプレイ装置や車載用ディスプレイ装置のカバーガラスとして使用した場合に、リームによる視認性の悪化を防止できる。
図1は、評価試料の準備手順の説明図である。 図2aは加工試料の説明図である。 図2bは測定試料の説明図である。 図3は、うねり高さとうねりピッチの関係を示す図である。 図4は、実施例、比較例のガラスについて、Δnと、リーム視認可能距離と、の関係を示したグラフである。 図5は、実施例、比較例のガラスについて、20mmピッチ換算のうねり高さと、リーム視認可能距離と、の関係を示したグラフである。 図6は、実施例、比較例のガラスについて、Δnと、20mmピッチ換算のうねり高さと、の関係を示したグラフである。
以下、本発明の一実施態様における化学強化用ガラスについて、図面を用いて説明する。
本発明の一実施態様における化学強化用ガラスは、化学強化処理を施した後、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、ウエアラブルデバイス、VRデバイスといった携帯用ディスプレイ装置、車載用ディスプレイ装置、または大型TV、大型スクリーン、超高精細TVなどの前面板に用いられるカバーガラスとして使用される。そのため、本発明の化学強化用ガラスは、板ガラスの形状をなしている。以下、平坦なガラス板を例に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されない。本発明の化学強化用ガラスは、機能やデザイン性などを付与するために曲面形状を備えるガラスであってもよい。
ガラスに発生しているリームは常に視認されるわけではなく、ガラスと目との距離によって視認される場合と視認されない場合がある。具体的には、ガラスと目との距離が近いとリームは視認されないが、ガラスと目との距離が離れるとリームが視認されるようになる。本願発明者らは、リームが発生しているガラスについて、リーム視認可能距離という観点で評価を実施した。本発明におけるリーム視認可能距離は、以下の手順で測定することができる。
リーム視認可能距離の測定方法
拡散光源から化学強化用ガラスの一方の主面に光を照射し、板厚方向の透過光をスクリーンに投影する。リームが発生しているガラスでは、スクリーンへの投影像に光学歪としてリームが観察される。
化学強化用ガラスと、スクリーンと、の距離を近づけていくと、両者の距離がある距離になるとスクリーンへの投影像にリームが観察されなくなる。スクリーンへの投影像にリームが観察されなくなる直前の両者の最短距離をリーム視認可能距離とする。
本発明の一実施態様における化学強化用ガラスは、化学強化処理を施した後、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、ウエアラブルデバイス、VRデバイスといった携帯用ディスプレイ装置や車載用ディスプレイ装置のカバーガラスとして使用されるが、携帯用ディスプレイ装置は、比較的近接した状態で目視される。具体的には、携帯用ディスプレイ装置の表示面と目との距離は、通常780mm以下である。そのため、リーム視認可能距離が780mm以上であれば、携帯用ディスプレイ装置のカバーガラスとしての使用上問題とならない。
本願発明者らは、リーム視認可能距離に影響する要因について鋭意検討した。その結果、リームの発生原因である異質成分と、周囲のガラスと、の屈折率差が、リーム視認可能距離に影響することを見出した。
本発明の一実施態様における化学強化用ガラスは、ガラス板の断面における屈折率の最大値と最小値との差(Δn)が2.0×10-5以下である。後述する組成の化学強化用ガラスの場合、Δnが2.0×10-5以下であれば、リーム視認可能距離が780mm以上となる。
本明細書において、ガラス板の断面と言った場合、ガラス板の板厚方向における断面を指す。
Δnの測定は公知の方法、例えば、透過型二光束干渉顕微鏡を用いることで測定することができる。例えば、以下の手順で測定することができる。
〔Δnの測定方法〕
測定試料の準備
拡散光源から化学強化用ガラス(評価試料)の一方の主面に光を照射し、板厚方向の透過光をスクリーンに投影し、光学歪として観察されるリームの方向を特定する(図1参照)。化学強化用ガラスから、平面視における光学歪(リーム)の方向に対し垂直な2面(A面、B面)を含むように、例えば、幅30mm以上、奥行き(A面とB面の距離)10mm以上で加工試料を切り出す(図2a参照)。ここで、光学歪(リーム)の方向に対し垂直とは、前述のように特定されたリームの方向と2面(A面、B面)との角度が90±2度であることを含む。
次に、研削砥石としてダイヤモンドホイールを使用して加工試料のA面、B面を研削する。上記の研削は、表1に示すように、A面、B面の研削量、ダイヤモンドホイールのメッシュサイズを変更しながら、4段階で行う。続いて、ダイヤモンドスラリーを用いて研削後の加工試料のA面、B面を鏡面研磨し、測定試料を得る(図2b参照)。研磨量は10μm以上であり、ダイヤモンドスラリーは、例えば、メッシュサイズ#14000の単結晶ダイヤモンドを0.1質量%含有するスラリーを用いる。
本発明の一実施態様におけるガラス板の断面は、上記手順に従って得られた測定試料のA面またはB面に対応する。
なお、上記の奥行きは、リームの発生原因である異質成分と、周囲のガラスと、の屈折率差により生じる位相差が、例えば、1/5λ以下になるように決定する。ここで、周囲のガラスとは、異質成分から、例えば、10〜20μm離れた位置のガラスをいう。
なお、化学強化用ガラスに化学強化処理を施した化学強化ガラスの場合には、リームの方向を特定した後、板ガラスの主面研磨またはケミカルエッチングにより、圧縮応力層を除去してから、加工試料を切り出す。次に、上述のとおり、研削、鏡面研磨を行い、測定試料を得る。
なお、曲面形状を備えるガラスの場合は、曲面形状を付与する前の平坦なガラス板を評価試料とする。
Δnの測定
Δnの測定には、透過型二光束干渉顕微鏡を用いる。後述する実施例では、(株)溝尻光学工業所製透過型二光束干渉顕微鏡(TDシリーズ)を使用し、測定波長は546nm(光源:キセノンランプ、単色フィルタ:546nm)を用い、空間分解能は9.1μm×9.1μm(CCDカメラ4画素分)で測定した。
微小な屈折率差を測定する際には、測定精度を悪化させるおそれのある要因を除外する必要がある。たとえば、装置周辺の温度変動の抑制、振動の防止、外光(例えば照明)の遮断を行うことが必要である。
また、使用する対物レンズによって、測定精度が異なる場合や、測定面内で精度の分布をもつ場合がある。そのため、光路上に何もない状態で位相差分布(平面傾き補正)を測定し、測定面内の最大値と最小値の差が1/100λ以下(5nm以下)となるように平面傾き補正を行う。
そして、奥行き方向が光路となるように測定試料を置き、上述の条件(平面傾き補正)で位相差分布を測定する(図2b参照)。測定試料の奥行きをマイクロメータで測定し、位相差分布から屈折率差分布(=位相差分布/奥行き)を算出する。
鏡面研磨されたA面における屈折率分布を算出し、その最大値と最小値の差をΔnとする。
なお、図2bでは、光源側にA面が設けられているが、光源側にB面が設けられてもよい。この場合、鏡面研磨されたB面における屈折率分布を算出し、その最大値と最小値の差をΔnとする。
本発明の化学強化用ガラスは、Δnが1.7×10-5以下であることが好ましい。
なお、本発明の化学強化用ガラスは、546nm波長e線で測定した屈折率の絶対値が1.45〜1.60であることが好ましい。
次に、本発明の実施態様における化学強化用ガラスの組成について記載する。
本発明の化学強化用ガラスの第一態様は、下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を50〜75%、Al23を9〜20%、Na2Oを10〜20%、K2Oを0〜6%、MgOを0〜15%、CaO、SrOおよびBaOを合量(CaO+SrO+BaO)で0〜10%、ZrO2およびTiO2を合量(ZrO2+TiO2)で0〜5%、B23を0〜10%、Li2Oを0〜20%含有する。
以下において、ガラス組成における各成分について説明する。以下、本明細書において、各成分の含有量は酸化物基準のモル百分率表示で示す。
SiO2は、ガラスを構成する主要成分である。また、ガラス表面に傷(圧痕)がついたときのクラックの発生を低減させ、あるいは化学強化処理後に圧痕をつけたときの破壊率を小さくする成分である。また、SiO2はガラスの耐酸性を高め、またエッチング処理時のスラッジ量を減らす(耐フッ酸性)成分でもある。そのため、SiO2含有量は50%以上である。SiO2含有量は55%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、63%以上がさらに好ましい。
一方、SiO2含有量が多すぎると粘性が高くなり過ぎて溶解性や成形性といった生産性が低くなる傾向がある。そのため、SiO2含有量は75%以下である。SiO2含有量は73%以下が好ましく、71%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましく、67%以下がよりさらに好ましく、65%以下が特に好ましい。
Al23は多いほど化学強化処理時のCS(表面圧縮応力)を高くすることができる。そのためAl23含有量は9%以上である。Al23含有量は9.5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。
一方で、Al23含有量が多すぎると、化学強化処理時のDOL(表面圧縮応力層深さ)が低下する。そのためAl23含有量は20%以下である。Al23含有量は18%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、13.5%以下がさらに好ましく、12%以下がよりさらに好ましく、11%以下が特に好ましい。
Na2Oは、化学強化処理時にイオン交換により表面圧縮応力層を形成させる必須成分であり、DOLを深くする作用がある。また、ガラスの溶解温度と失透温度を下げ、ガラスの溶解性、成形性を向上させる成分である。Na2Oは非架橋酸素を生み出す成分であり、ガラス中の水分量が変動したときの化学強化特性の変動が少なくなる。
Na2Oは多いほど化学強化処理時のDOLを深くすることができる。そのためNa2O含有量は10%以上である。Na2O含有量は12%以上が好ましく、13.5%以上がより好ましく、14%以上がさらに好ましく、15%以上がよりさらに好ましい。
一方で、Na2O含有量が多すぎると、化学強化処理時のCSが低下する。また、Na2Oを構成する非架橋酸素(Non−Bridging Oxygen;NBO)によりDeep UV(DUV)と呼ばれる波長領域の紫外線に対し、特定波長領域における透過率の低下を防止するためのDUV耐性が低くなることから、DUV耐性の観点からは非架橋酸素が少ないほど好ましい。そのためNa2O含有量は20%以下である。Na2O含有量は、19%以下が好ましく、18.5%以下がより好ましく、17%以下がさらに好ましく、16.5%以下がよりさらに好ましい。
2Oは化学強化処理時にイオン交換速度を増大しDOLを深くし、ガラスの溶解温度を下げる効果があり、非架橋酸素を増大させる成分である。また、化学強化処理時に用いる硝酸カリウム溶融塩中のNaNO3濃度による表面圧縮応力の変化の増大を回避することができる。さらには、少量のK2Oは、フロート法による成形時にボトム面からのスズの侵入量を抑制する効果があるため、本発明のガラスをフロート法により成形する際には含有することが好ましい。上記効果を奏するために、本発明の化学強化用ガラスにおけるK2Oの含有量は0.1%以上が好ましく、0.3%以上がより好ましく、0.4%以上がさらに好ましい。
一方で、K2Oが多すぎると化学強化処理時のCSが低下する。また、K2Oを構成する非架橋酸素(Non−Bridging Oxygen;NBO)によりDUV耐性が低くなることから、DUV耐性の観点からは非架橋酸素が少ないほど好ましい。これらの観点から、K2O含有量は6%以下とし、4%以下が好ましく、2%以下がより好ましく、1.3%以下がさらに好ましく、1%以下がよりさらに好ましい。
MgOはガラスを安定化させ、溶解性を向上させ、かつこれを添加することでアルカリ金属の含有量を低下させて熱膨張率(CTE)の上昇を抑制することのできる成分である。上記効果を奏するために、MgOの含有量は2%以上が好ましく、4%以上がより好ましく、6%以上がさらに好ましく、8%以上がよりさらに好ましい。
一方、DOLの維持を考慮すると、MgOの含有量は15%以下であり、13%以下が好ましく、12%以下がより好ましく、10.5%以下がさらに好ましく、9%以下がよりさらに好ましい。
CaOは、ガラスを安定化させる成分であり、MgOの存在による失透を防止し、かつCTEの上昇を抑制しながら溶解性を向上する効果を有するため含有できる。CaOの含有量は、0〜5%が好ましく、0〜3%がより好ましく、0〜1%がさらに好ましい。CaOの含有量が5%以下であると、化学強化処理時に十分なイオン交換速度が得られ、所望のDOLが得られる。また、化学強化処理時におけるイオン交換性能を特段に向上させたい場合には、CaOは1%未満であり、好ましくは0.5%以下である。
SrOは必要に応じて含有してもよいが、MgO、CaOに比べて、化学強化処理時にイオン交換速度を低下させる効果が大きいので、SrOは実質的に含有しないこととするか、含有する場合であってもその含有量は3%以下であることが好ましい。なお、本明細書において実質的に含有しないとは、不可避的不純物を除き含有しないことをいい、例えば、好ましくは0.05%未満、より好ましくは、0.01%未満である。
BaOはアルカリ土類金属酸化物の中で、化学強化処理時にイオン交換速度を低下させる効果が最も大きいので、BaOは実質的に含有しないこととするか、含有する場合であってもその含有量は3%以下であることが好ましく、1%以下がさらに好ましく、0.5%以下がよりさらに好ましい。
CaO、SrO、BaOの3成分の含有量の合計(CaO+SrO+BaO)は10%以下である。当該合計が10%以下であることによって、化学強化処理時にイオン交換速度の低下を回避できる。当該合計は5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましく、0.5%以下がよりさらに好ましく、0.2%以下が特に好ましい。
TiO2はDUV耐性を向上させる成分であるため含有できる。TiO2含有量は0%超が好ましく、0.01%以上がより好ましく、0.03%以上がさらに好ましい。
一方、TiO2が多すぎると化学強化処理時のDOLが低下する。そのため、TiO2含有量は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましく、0.5%以下がよりさらに好ましく、0.3%以下が特に好ましい。
ZrO2は優れたDUV耐性を与えると同時に、化学的耐久性を向上させ、化学強化処理時のCSを増大させるとともに、化学強化処理後のビッカース硬度を向上させる成分であり、含有することができる。ZrO2含有量は0.1%以上が好ましく、0.11%以上がより好ましく、0.12%以上がさらに好ましく、0.13%以上がよりさらに好ましい。
一方、ガラスの製造時の失透を抑止し、化学強化処理時のDOL低下を防止する観点から、ZrO2の含有量は4%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましく、1.5%以下がよりさらに好ましく、1%以下が特に好ましい。
本発明に係るガラスはTiO2とZrO2を共に含有すると好ましい。但し、ZrO2とTiO2の2成分の含有量の合計(TiO2+ZrO2)は5%以下である。当該合計は5%以下であることによって、化学強化時のDOL低下を防止することができる。当該合計は3%以下が好ましく、2%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましく、0.5%以下がよりさらに好ましい。また、当該合計は0.1%以上が好ましい。
また、本発明に係るガラスは、Na2O、K2O、Al23、ZrO2、TiO2の酸化物基準のモル百分率表示で表される含有量について、[(Na2O+K2O×5)/(Al23+ZrO2+TiO2×10)]が2.55以下の関係を満たすことが好ましい。
上述したように、Na2OとK2OはDOLを深くすることができる一方で、CSやDUV耐性を低下させる成分である。また、ガラスの粘度が102dPa・sとなる温度T2や、ガラスの粘度が104dPa・sとなる温度T4を下げることができ、良好な生産性に寄与する成分である。
また、Al23、ZrO2、TiO2はCSやDUV耐性を高くできる一方で、DOLを低下させる成分である。また、Al23は温度T2や温度T4を高くする成分であり、多すぎると溶解性や成形性といった生産性が低下する。
すなわち、CS、DOL、耐酸性、生産性のバランスから、[(Na2O+K2O×5)/(Al23+ZrO2+TiO2×10)]で表される値は2.55以下であることが好ましく、2.00以下がより好ましく、1.90以下がさらに好ましく、1.80以下がよりさらに好ましく、1.71以下が特に好ましい。また、0.10以上が好ましく、0.50以上がより好ましく、1.00以上がさらに好ましい。
また、本発明においては、特にCSを上げるため、また耐酸性を向上させるために、Al23、K2Oの酸化物基準のモル百分率表示で表される含有量について、Al23/K2Oが10超の関係を満たすことが好ましい。Al23/K2Oは、10.5以上がより好ましく、11.5以上がさらに好ましく、12.5以上がよりさらに好ましく、14.0以上が特に好ましく、15.0以上が最も好ましい。
またさらに、MgO、Na2O、K2O、ZrO2、TiO2の酸化物基準のモル百分率表示で表される含有量について、[(MgO/2+Na2O+K2O×2)/(TiO2+ZrO2)]が53〜140の関係を満たすことが、エッチング時のスラッジ量を低減(耐フッ酸性向上)できることから好ましい。[(MgO/2+Na2O+K2O×2)/(TiO2+ZrO2)]で表される値は130以下がより好ましく、125以下がさらに好ましく、120以下がよりさらに好ましい。また、55以上がより好ましく、60以上がさらに好ましい。
23は、ガラス原料の溶融を促進し、ガラスの脆性や耐候性を向上させる成分であるため含有できる。B23は含有しなくてもよく、含有させる場合はその含有量が1%以上であることで、化学強化後にビッカース圧痕をつけた時の破壊率を小さくすることができる、または高温での溶融性が向上する。B23の含有量は、溶融ガラスからの揮発によるリームの生成、炉壁の侵食等の不都合が生じないために10%以下であり、8%以下が好ましく、6%以下がより好ましく、4%以下がさらに好ましく、3%以下がよりさらに好ましく、1%以下が特に好ましい。
Li2Oは歪点および低温粘性を過度に低くして応力緩和を起こりやすくし、その結果、化学強化処理時のCSが低下するため実質的に含有しなくてもよい。また、Li2Oは化学強化処理時にKNO3などの溶融塩中に溶出することがあるが、Liを含有する溶融塩を用いて化学強化処理を行うとCSが著しく低下する。したがって、Li2Oはこの観点からも実質的に含有しなくてもよい。
一方で、Li2Oは、Na2OおよびK2Oとイオン交換をすることにより、圧縮応力を形成することが可能である。Li2Oは、特にNa2Oと交換する場合、イオン交換が早く、化学強化処理の時間を短縮するのに適している。また、Li2Oは、ガラスのヤング率を上げる成分であり、板ガラスが薄いもしくは大きくなった場合の自重たわみに対しても効果のある成分である。Li2Oの含有量は20%以下であり、16%以下が好ましく、12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、4%以下がよりさらに好ましく、2%以下が特に好ましい。
次に本発明の化学強化用ガラスの好適組成を示す。
本発明の化学強化用ガラスの好適組成の一態様(第二態様)は、SiO2を60〜70%、Al23を9〜15%、Na2Oを10〜18%、K2Oを0〜4%、MgOを2〜12%、CaO、SrOおよびBaOを合量(CaO+SrO+BaO)で0〜5%、ZrO2およびTiO2を合量(ZrO2+TiO2)で0〜1%、B23を0〜3%、Li2Oを0〜10%含有する。
本発明の化学強化用ガラスの好適組成の別の一態様(第三態様)は、SiO2を60〜67%、Al23を9〜13.5%、Na2Oを13.5〜18.5%、K2Oを0〜2%、MgOを6〜10.5%、CaO、SrOおよびBaOを合量(CaO+SrO+BaO)で0〜1%、ZrO2およびTiO2を合量(ZrO2+TiO2)で0〜0.5%、B23を0〜1%、Li2Oを0〜0.5%含有する。
本発明の化学強化用ガラスの好適組成のさらに別の一態様(第四態様)は、SiO2を60〜67%、Al23を9〜13.5%、Na2Oを13.5〜18.5%、K2Oを0.1〜3%、MgOを6〜10.5%、TiO2を0%超5%以下含有し、[(Na2O+K2O×5)/(Al23+ZrO2+TiO2×10)]が2.55以下、かつ、Al23/K2Oが10超であることが好ましい。
また、本発明の化学強化用ガラスの第四態様において、[(MgO/2+Na2O+K2O×2)/(TiO2+ZrO2)]が53〜140であることが好ましい。
次に、本発明の化学強化用ガラスの好ましい物性について記載する。
本発明の化学強化用ガラスは、ガラスの溶解時の基準の例となる温度、すなわちガラス粘度が102dPa・sとなる温度T2が1620℃以上であることが好ましい。温度T2が1620℃未満だと、ガラスの溶融が容易になるが、溶融ガラスと炉材との反応によって生じた異質成分が増加するおそれがある。温度T2が1630℃以上であることがより好ましく、1640℃以上であることがさらに好ましい。
一方、温度T2が1750℃以下であることが好ましい。温度T2が1750℃超だと、ガラスの溶融が困難になるおそれがある。温度T2が1710℃以下であることがより好ましく、1670℃以下であることがさらに好ましい。
また、本発明の化学強化用ガラスにおいて、ガラス成形時の基準となる温度、すなわち、ガラス粘度が104dPa・sとなる温度T4が1190℃以上であることが好ましい。
温度T4が1190℃未満だと、ガラスの成形が容易になるが、上述の温度T2を1620℃以上で組成設計するのが困難になる。温度T4が1200℃以上であることがより好ましく、1210℃以上であることがさらに好ましい。
一方、温度T4が、1350℃以下であることが好ましい。温度T4が1350℃超だと、ガラスの成形が困難になるおそれがある。温度T4が1310℃以下であることがより好ましく、1270℃以下であることがさらに好ましい。
上述したように、視認性に悪影響を及ぼすリームの発生原因はガラス中に存在する異質成分である。このような異質成分が存在する部位と、それ以外の部位では、溶融ガラスの粘性が異なる。例えば、異質成分が存在する部位は、それ以外の部位に比べて溶融ガラスの粘性が高くなる。または、異質成分が存在する部位は、それ以外の部位に比べて溶融ガラスの粘性が低くなる。溶融ガラスに粘性が異なる部位が存在すると、成形後のガラスに板厚が異なる部位を生じさせる場合がある。異質成分が存在する部位が、それ以外の部位に比べて溶融ガラスの粘性が高い場合、成形後のガラスにおいて、当該部位の板厚が大きくなる。異質成分が存在する部位が、それ以外の部位に比べて溶融ガラスの粘性が低い場合、成形後のガラスにおいて、当該部位の板厚が小さくなる。このような成形後のガラスにおける局所的な板厚の大小は、成形後のガラスの主面にうねりを生じさせる。
このようなガラスの主面に存在するうねりの高さの大小もリーム視認可能距離に影響を及ぼす。ガラスの主面に存在するうねりの高さの大小と、リーム視認可能距離と、の関係についてみた場合、ガラスの主面に存在するうねりの高さが大きいほど、リーム視認可能距離が小さくなり、ガラスの主面に存在するうねりの高さが小さいほど、リーム視認可能距離が大きくなる傾向がある。但し、後述する実施例に示すように、リーム視認可能距離との関連性は、ガラスの主面に存在するうねりの高さの大小よりも、Δnのほうが高い。
また、本発明の化学強化用ガラスは、20mmピッチのうねりに換算した両主面のうねり高さが0.60μm以下であることが、リーム視認可能距離との関係で好ましく、0.40μm以下であることがより好ましい。
なお、20mmピッチのうねりに換算したうねり高さは、測定により得られるうねり高さとうねりピッチの関係を線形回帰して求める(図3参照)。具体的には、例えば、再表2013−183539号公報の段落[0048]に記載の方法で測定することができる。
また、本発明の化学強化用ガラスは、両主面のうねりピッチが10〜30mmであることが好ましい。うねりピッチが10mm以上だと、うねりの大小によるリーム視認距離への影響を抑制することができる。うねりピッチが30mm以下だと、板ガラスの主面を斜めから見たとき、像の歪みにより視認性が悪化することを抑制できる。
また、本発明の化学強化用ガラスは、上述した20mmピッチのうねりに換算した両主面のうねり高さと、両主面のうねりピッチとの比(うねり高さ(20mm換算)/うねりピッチ)が6.0×10-5以下であることが好ましい。うねり高さとうねりピッチとの比が6.0×10-5以下だと、うねりの大小によるリーム視認距離への影響を抑制することができる。
また、本発明の化学強化用ガラスにおいて、板厚が2.0mm以下であることが、携帯電話、スマートフォン、タブレットPCといった携帯用ディスプレイ装置や車載用ディスプレイ装置のカバーガラスとして使用するうえで好ましく、1.0mm以下であることがより好ましく、0.75mm以下であることがさらに好ましい。
本発明の一実施態様における化学強化用ガラスは、常法にしたがって製造することができる。すなわち、上記組成となるように調合したガラス原料を溶解窯に連続的に投入し、所定の温度に加熱して溶融ガラスにした後、該溶融ガラスをフロート法やフュージョン法により、所定の板厚の板ガラスに成形した後、この板ガラスを所定の形状に切断する。このようにして得られる本発明の一実施態様における化学強化用ガラスを携帯用ディスプレイ装置や車載用ディスプレイ装置のカバーガラスとして使用する場合、常法にしたがって化学強化処理を施す。化学強化処理の方法としては、ガラス表層のNaイオンと溶融塩中のKイオンとをイオン交換できるものであれば特に限定されないが、たとえば加熱された硝酸カリウム(KNO3)溶融塩にガラスを浸漬する方法が挙げられる。
本発明の化学強化用ガラスは、化学強化処理後のCSが900MPa以上であることが、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、ウエアラブルデバイス、VRデバイスといった携帯用ディスプレイ装置、車載用ディスプレイ装置、または大型TV、大型スクリーン、超高精細TVなどの前面板に用いられるカバーガラスとして使用するうえで好ましい。CSは920MPa以上がより好ましく、950MPa以上がさらに好ましく、1000MPa以上がよりさらに好ましく、1100MPa以上が特に好ましい。一方、ガラス中央の引張応力値(CT;Center Tension)が大きくなり過ぎ、ガラスが破壊するときに粉砕するおそれがあることから、CSは1400MPa以下が好ましく、1300MPa以下がより好ましく、1280MPa以下がさらに好ましい。
本発明の化学強化用ガラスは、化学強化処理後のDOLが30μm以上であることが、前述の用途のカバーガラスとして使用するうえで好ましい。DOLは31μm以上がより好ましく、32μm以上がさらに好ましく、34μm以上がよりさらに好ましい。一方、化学強化ガラス中央の引張応力値(CT)が大きくなり過ぎ、化学強化ガラスが破壊するときに粉砕するおそれがあることから、DOLは60μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
ここで、CS及びDOLの値は表面応力計により測定することができる。なお、化学強化ガラスのCS及びDOLは、化学強化処理の処理条件や化学強化用ガラスの組成等を調整することにより、適宜調整することができる。
以下、実施例を用いて本発明の実施態様をさらに説明する。
組成および板厚が異なる複数のガラスサンプルを準備した。このガラスサンプルは、所定の組成となるように調合したガラス原料を溶解窯に連続的に投入し、所定の温度に加熱して溶融ガラスにした後、該溶融ガラスをフロート法により、所定の板厚の板ガラスに成形した後、この板ガラスを所定の形状に切断したものである。このガラスサンプルについて、上述した手順でΔn、20mmピッチのうねりに換算した主面のうねり高さ(うねり高さ(20mmピッチ換算))、主面のうねりピッチ、リーム視認可能距離を測定した。但し、うねり高さ(20mmピッチ換算)とうねりピッチは、両主面ではなく、フロート成形時のトップ面のみを測定対象とした。フロート成形時のトップ面とボトム面を比較した場合、トップ面のほうがうねり高さが高くなる傾向がある。測定結果を下記表2に示す。
なお、図1に示す手順でリームの方向を特定した際の評価試料の寸法、前述の方法で作成した図2bに示す測定試料の寸法は、下記表2に示す。
また、ガラス組成は以下に示す通り。
ガラス1
SiO2:68%
Al23:10%
Na2O:14%
2O:0%
MgO:8%
CaO:0%
SrO:0%
BaO:0%
CaO+SrO+BaO:0%
ZrO2:0%
TiO2:0%
ZrO2+TiO2:0%
23:0%
Li2O:0%
ガラス2
SiO2:64.1%
Al23:10.5%
Na2O:16%
2O:0.8%
MgO:8.3%
CaO:0%
SrO:0%
BaO:0%
CaO+SrO+BaO:0%
ZrO2:0.2%
TiO2:0.04%
ZrO2+TiO2:0.24%
23:0%
Li2O:0%
ガラス3
SiO2:64.4%
Al23:8%
Na2O:12.5%
2O:4%
MgO:10.5%
CaO:0.05%
SrO:0%
BaO:0%
CaO+SrO+BaO:0.05%
ZrO2:0.5%
TiO2:0%
ZrO2+TiO2:0.5%
23:0%
Li2O:0%
図4は、実施例、比較例のガラスについて、Δnと、リーム視認可能距離と、の関係を示したグラフである。図から明らかなように、Δnが2.0×10-5以下の実施例のガラスでは、リーム視認可能距離が780mm以上であったのに対して、Δnが2.0×10-5超の比較例のガラスでは、リーム視認可能距離が780mm未満であった。
図5は、実施例、比較例のガラスについて、20mmピッチ換算のうねり高さと、リーム視認可能距離と、の関係を示したグラフである。図から明らかなように、実施例のガラスは、20mmピッチ換算のうねり高さが0.60μm以下であり、リーム視認可能距離が780mm以上であった。比較例のガラスの場合も、20mmピッチ換算のうねり高さが大きいほどリーム視認可能距離が短くなる傾向が認められたが、20mmピッチ換算のうねり高さが0.60μm以下の比較例でもリーム視認可能距離が780mm未満であった。
図6は、実施例、比較例のガラスについて、Δnと、20mmピッチ換算のうねり高さと、の関係を示したグラフである。Δnと、20mmピッチ換算のうねり高さと、の間にはある程度関連性があること、すなわち、Δnが小さくなるほど、20mmピッチ換算のうねり高さが小さくなることが図から確認されたが、Δnが2.0×10-5以下の実施例のガラスと、Δnが3.7×10-5の比較例のガラスと、の関係では、上述した関連性は認められなかった。

Claims (12)

  1. 下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を50〜75%、Al23を9〜20%、Na2Oを10〜20%、K2Oを0〜6%、MgOを0〜15%、CaO、SrOおよびBaOを合量(CaO+SrO+BaO)で0〜10%、ZrO2およびTiO2を合量(ZrO2+TiO2)で0〜5%、B23を0〜10%、Li2Oを0〜20%含有し、ガラス板の断面における屈折率の最大値と最小値との差(Δn)が2.0×10-5以下であることを特徴とする化学強化用ガラス。
  2. 前記Δnが1.7×10-5以下である、請求項1に記載の化学強化用ガラス。
  3. 下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を60〜70%、Al23を9〜15%、Na2Oを10〜18%、K2Oを0〜4%、MgOを2〜12%、CaO、SrOおよびBaOを合量(CaO+SrO+BaO)で0〜5%、ZrO2およびTiO2を合量(ZrO2+TiO2)で0〜1%、B23を0〜3%、Li2Oを0〜10%含有する、請求項1または2に記載の化学強化用ガラス。
  4. 下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を60〜67%、Al23を9〜13.5%、Na2Oを13.5〜18.5%、K2Oを0〜2%、MgOを6〜10.5%、CaO、SrOおよびBaOを合量(CaO+SrO+BaO)で0〜1%、ZrO2およびTiO2を合量(ZrO2+TiO2)で0〜0.5%、B23を0〜1%、Li2Oを0〜0.5%含有する、請求項1または2に記載の化学強化用ガラス。
  5. 下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を60〜67%、Al23を9〜13.5%、Na2Oを13.5〜18.5%、K2Oを0.1〜3%、MgOを6〜10.5%、TiO2を0%超5%以下含有し、[(Na2O+K2O×5)/(Al23+ZrO2+TiO2×10)]が2.55以下、かつ、Al23/K2Oが10超である、請求項1または2に記載の化学強化用ガラス。
  6. [(MgO/2+Na2O+K2O×2)/(TiO2+ZrO2)]が53〜140である、請求項5に記載の化学強化用ガラス。
  7. ガラス粘度が102dPa・sとなる温度T2が1620℃以上、1750℃以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の化学強化用ガラス。
  8. ガラス粘度が104dPa・sとなる温度T4が1190℃以上、1350℃以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の化学強化用ガラス。
  9. 20mmピッチのうねりに換算した両主面のうねり高さが0.60μm以下であること、請求項1〜8のいずれかに記載の化学強化用ガラス。
  10. 両主面のうねりピッチが10〜30mmである、請求項9に記載の化学強化用ガラス。
  11. 前記20mmピッチのうねりに換算した両主面におけるうねり高さと、前記両主面のうねりピッチとの比(うねり高さ(20mmピッチ換算)/うねりピッチ)が6.0×10-5以下である、請求項10に記載の化学強化用ガラス。
  12. 板厚が2.0mm以下である、請求項1〜11のいずれかに記載の化学強化用ガラス。
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