JP2018062149A - 空気入りタイヤの加硫方法 - Google Patents

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【課題】加硫時においてブラダー内にスチームを供給した後に窒素ガスを供給するという一連のサイクルを複数回繰り返すことで、省エネルギーに寄与し、安全性を改善しながら、高品質の空気入りタイヤを得ることを可能にした空気入りタイヤの加硫方法を提供する。【解決手段】ブラダー20内にスチームを供給する第1ステップと、ブラダー20内に窒素ガスを供給することによりブラダー20内にスチームと窒素ガスとの混合ガスを充填する第2ステップとを有し、第2ステップの終了後、第1ステップ及び第2ステップをそれぞれ少なくとも1回繰り返し、第1ステップの際にブラダー20に供給するスチームの圧力を1.5MPa〜2.0MPaの範囲にし、第2ステップの際にブラダーに供給する窒素ガスの圧力を2.0MPa〜3.0MPaの範囲にする。【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤの加硫方法に関し、更に詳しくは、加硫時においてブラダー内にスチームを供給した後に窒素ガスを供給するという一連のサイクルを複数回繰り返すことで、省エネルギーに寄与し、安全性を改善しながら、高品質の空気入りタイヤを得ることを可能にした空気入りタイヤの加硫方法に関する。
通常、空気入りタイヤを加硫する場合、モールド内にグリーンタイヤを投入し、モールドを外部から加熱すると共に、タイヤの内側に直接的又はブラダーを介して間接的に加熱加圧媒体を充填することにより、タイヤを内外から同時に加熱するようにしている。加熱加圧媒体としては、温水やスチーム(飽和蒸気)が多く使用されている。
加熱加圧媒体として温水を用いた場合、スチームに比べて温度設定範囲が広いことに加え、圧力を高くすることができる。また、温水は単位体積当たりのエネルギー密度が高いので、相対的に肉厚になる重荷重用タイヤの加硫には好適である。しかしながら、温水を得るために多大なエネルギーが必要になることや、ブラダーから温水がリークした場合には作業者への危険度が高いという問題がある。一方、スチームを用いた場合には、スチームの温度が圧力に比例して変化するため、必要な内部圧力を維持しながら温度だけを下げるという操作ができないという欠点がある。また、ブラダー内に供給したスチームの一部がドレン化し、ブラダー内の温度を低下させるという問題がある。
これに対して、加熱加圧媒体として、スチームに対して不活性ガスを組み合わせて用いることが行われている(例えば、特許文献1,2)。しかしながら、そのような場合においても、スチームによるブラダー内の温度低下を避けることができないため、ブラダー内の温度は低下し続け、加硫時間が長くなるという問題がある。
特開平4−332610号公報 特開2014−100839号公報
本発明の目的は、加硫時においてブラダー内にスチームを供給した後に窒素ガスを供給するという一連のサイクルを複数回繰り返すことで、省エネルギーに寄与し、安全性を改善しながら、高品質の空気入りタイヤを得ることを可能にした空気入りタイヤの加硫方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤの加硫方法は、モールド内部に配置されたグリーンタイヤの内側にブラダーを挿入し、該ブラダー内にスチームと窒素ガスとを充填した状態で前記グリーンタイヤを加硫する空気入りタイヤの加硫方法において、前記ブラダー内に前記スチームを供給する第1ステップと、前記ブラダー内に窒素ガスを供給することにより前記ブラダー内に前記スチームと前記窒素ガスとの混合ガスを充填する第2ステップとを有し、該第2ステップの終了後、前記第1ステップ及び前記第2ステップをそれぞれ少なくとも1回繰り返し、前記第1ステップの際に前記ブラダーに供給する前記スチームの圧力を1.5MPa〜2.0MPaの範囲にし、前記第2ステップの際に前記ブラダーに供給する前記窒素ガスの圧力を2.0MPa〜3.0MPaの範囲にすることを特徴とするものである。
本発明者は、スチームと窒素ガスとの混合ガスを用いた空気入りタイヤの加硫方法について鋭意研究した結果、上述するようなブラダー内の温度低下を抑制して、省エネルギーに寄与するためには、加硫時においてブラダー内にスチームを供給した後に窒素ガスを供給するという一連のサイクルを複数回繰り返すことが重要であることを知見し、本発明に至ったのである。
本発明では、ブラダー内にスチームを供給する第1ステップと、ブラダー内に窒素ガスを供給することによりブラダー内にスチームと窒素ガスとの混合ガスを充填する第2ステップとを有し、第2ステップの終了後、第1ステップ及び第2ステップをそれぞれ少なくとも1回繰り返し、第1ステップの際にブラダーに供給するスチームの圧力を1.5MPa〜2.0MPaの範囲にし、第2ステップの際にブラダーに供給する窒素ガスの圧力を2.0MPa〜3.0MPaの範囲にすることで、タイヤへの熱供給を比較的高く維持できるため、ブラダー内の温度低下を抑制し、加硫時間が長引くことを防止することができる。その結果、省エネルギーに大きく貢献すると共に、高品質の空気入りタイヤを得ることが可能となる。また、スチームと窒素ガスとの混合ガスを用いて加硫するので、従来の温水加硫と比べて加硫時の安全性の改善に寄与する。
本発明では、1回目の第1ステップから1回目の第2ステップへの切り替えを、グリーンタイヤを構成するトレッドゴム及びサイドゴムのそれぞれの等価加硫量が、レオメータによるトルク検出から得られた加硫曲線で最大トルクと最小トルクとの差の10%に相当するトルクとなる時点t10に到達する以前に行うことが好ましい。これにより、トレッド部やサイド部における加硫故障を効果的に抑制することができる。
本発明では、1回目の第2ステップから2回目の第1ステップへの切り替えを、グリーンタイヤを構成するトレッドゴム及びサイドゴムのそれぞれの等価加硫量が、レオメータによるトルク検出から得られた加硫曲線で最大トルクと最小トルクとの差の50%に相当するトルクとなる時点t50に到達した後で行うことが好ましい。加硫開始後の早い段階で低圧のスチームを供給すると、トレッド部やサイド部における加硫故障が発生することがある。そのため、トレッドゴムやサイドゴムの表層のゴム流れが止まった時点(t50)以降に、2回目の第1ステップを開始することで、トレッドゴムやサイドゴムの表層のエアー残り等の不具合の発生を効果的に抑制することができる。
本発明の空気入りタイヤの加硫方法で使用されるタイヤ加硫装置の一例を示す断面図である。 本発明の空気入りタイヤの加硫方法におけるブラダーの内圧及び内温と加硫時間との関係を示す説明図である。 (a),(b)は本発明の空気入りタイヤの加硫方法におけるブラダーの内圧と加硫時間との関係において他の例を示す説明図である。 ゴムの加硫曲線を例示する説明図である。 (a),(b)は従来の空気入りタイヤの加硫方法におけるブラダーの内圧及び内温と加硫時間の関係を示す説明図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の空気入りタイヤの加硫方法で使用されるタイヤ加硫装置の一例を示すものである。
図1に示すように、このタイヤ加硫装置は、グリーンタイヤGの外表面を成形するモールド10と、グリーンタイヤGの内側に挿入される筒状のブラダー20と、該ブラダー20を操作する中心機構30と、該ブラダー20の内側に加熱加圧媒体を供給する媒体供給手段40と、モールド10を加熱する加熱手段50とを備えている。
モールド10は、グリーンタイヤGのサイドウォール部を成形するための上側サイドプレート11及び下側サイドプレート12と、グリーンタイヤGのビード部を成形するための上側ビードリング13及び下側ビードリング14と、グリーンタイヤGのクラウン部を成形するための複数のセクター15とから構成されている。モールド10は、そのキャビティ内に回転軸を鉛直方向にして装填されたグリーンタイヤGを加硫成形するようになっている。なお、モールド10の構造は特に限定されるものではなく、図示のようなセクショナルタイプのモールドのほか、二つ割りタイプのモールドを使用することも可能である。
中心機構30は、グリーンタイヤGの中心位置に配置されていて鉛直方向に昇降自在に構成されたセンターポスト31と、センターポスト31の上部に固定された上側クランプリング32と、該上側クランプリング32に装着される補助リング33と、下側ビードリング14に対して連接するように配置された下側クランプリング34と、該下側クランプリング34とセンターポスト31との間に配置されたシリンダ35とから構成されている。シリンダ35には、ブラダー20内に加熱加圧媒体を供給するための媒体供給路36やブラダー20内から加熱加圧媒体を排出するための媒体排出路37が形成されている。
ブラダー20は、その上端部が上側クランプリング32と補助リング33との間に挟み込まれ、その下端部が下側ビードリング14と下側クランプリング34との間に挟み込まれている。そのため、閉型時には上側クランプリング32が図示のような下方位置に配置されることでブラダー20の膨張を許容する一方で、開型時には上側クランプリング32が上方位置に移動することでグリーンタイヤGの内側からブラダー20が引き出されるようになっている。
媒体供給手段40は、所定の温度及び圧力に調整されたスチームを供給するスチーム供給装置41と、所定の圧力に調整された窒素ガスを供給する窒素ガス供給装置42からなる。スチーム供給装置41及び窒素ガス供給装置42はそれぞれ媒体供給路36と接続されており、それぞれのライン上に開閉弁41a、42aが設けられている。これら開閉弁42a、42aは制御装置により弁操作が制御される。
媒体供給手段40は、スチームと窒素ガスとを加熱加圧媒体として適時供給するようになっている。このような加熱加圧媒体は媒体供給路36を介してブラダー20の内部に導入される。そして、加熱加圧媒体の圧力に基づいて加硫時にグリーンタイヤGを内側からモールド10の内面に向かって押圧するようになっている。また、加熱手段50はモールド10を構成する上側サイドプレート11、下側サイドプレート12及びセクター15に付設されていて、この加熱手段50によりモールド10を加熱することにより、グリーンタイヤGの加硫が行われるようになっている。加熱手段50の配置及び構造は特に限定されるものではない。
図1に例示するグリーンタイヤGは、最外周にタイヤ周方向に延在する環状のトレッドゴムと、そのトレッドゴムのタイヤ幅方向両側に配置された一対のサイドゴムとを備えている。
上述したタイヤ加硫装置を用いてグリーンタイヤGを加硫する場合、モールド10内にグリーンタイヤGを投入し、中心機構30の操作によりグリーンタイヤGの内側にブラダー20を挿入し、媒体供給手段40によりブラダー20の内側にスチームを含む加熱加圧媒体を導入すると共に加熱手段50によりモールド10を外側から加熱することでグリーンタイヤGを加硫する。
媒体供給手段40によりブラダー20の内側にスチームを含む加熱加圧媒体を導入する際において、ブラダー20内にスチームを供給する第1ステップと、ブラダー20内に窒素ガスを供給する第2ステップとを有する。即ち、第2ステップにおいて、ブラダー20内には第1ステップで供給されたスチームと第2ステップで供給された窒素ガスとが混在する状態となる。この第2ステップの終了後、第1ステップ及び第2ステップをそれぞれ少なくとも1回繰り返す。つまり、本発明では、第1ステップと第2ステップからなる一連のサイクルを少なくとも2回以上行う。また、第2ステップ終了後に、次のサイクルの第1ステップにおいてスチームを供給する際、ブラダー20内に存在する混合ガスを排出しながら新たなスチームを供給しても良く、或いはブラダー20内に存在する混合ガスを一定量排出した後に新たなスチームを供給しても良い。更に、サイクル毎に加硫条件又は加硫時間をそれぞれ変更しても良い。
図2は本発明の空気入りタイヤの加硫方法におけるブラダーの内圧及び内温と加硫時間との関係を示すものである。左側縦軸はブラダーの内圧(MPa)、右側縦軸はブラダーの内温(℃)、横軸は加硫時間(分)である。図2は第1ステップ及び第2ステップをそれぞれ3回繰り返して加硫を行った場合を示している。スチームを供給する第1ステップの後、窒素ガスを供給する第2ステップに移行すると、スチームの一部がドレン化して内温が徐々に低下していくが、再びスチームを供給することで内温が上昇する。このように第1ステップ及び第2ステップを複数回繰り返すことで、内温の低下を一定の範囲内に留めることができるため、内温が低下し続けることを防ぐことができる。これに対して、図5(a)は従来の温水加硫により加硫した場合である。図5(a)に示すように、温水加硫では加硫中は内圧及び内温がほぼ一定の状態で推移する。また、図5(b)は従来のスチームと窒素ガスの混合ガスによる加硫であり、第1ステップ及び第2ステップをそれぞれ1回ずつ行った場合である。図5(b)に示すように、スチームを供給後、窒素ガスを供給すると、スチームの一部がドレン化して内温が徐々に低下していき、加硫中は内温が上昇することなく低下し続ける。
上述した空気入りタイヤの加硫方法において、第1ステップの際にブラダー20に供給するスチームの圧力を1.5MPa〜2.0MPaの範囲にし、第2ステップの際にブラダー20に供給する窒素ガスの圧力を2.0MPa〜3.0MPaの範囲にする。より好ましくは、第1ステップの際にブラダー20に供給するスチームの圧力が1.7MPa〜2.0MPaの範囲であり、第2ステップの際にブラダー20に供給する窒素ガスの圧力が2.5MPa〜3.0MPaの範囲である。
上述した空気入りタイヤの加硫方法では、ブラダー20内にスチームを供給する第1ステップと、ブラダー20内に窒素ガスを供給することによりブラダー20内にスチームと窒素ガスとの混合ガスを充填する第2ステップとを有し、第2ステップの終了後、第1ステップ及び第2ステップをそれぞれ少なくとも1回繰り返し、第1ステップの際にブラダー20に供給するスチームの圧力を1.5MPa〜2.0MPaの範囲にし、第2ステップの際にブラダー20に供給する窒素ガスの圧力を2.0MPa〜3.0MPaの範囲にすることで、タイヤへの熱供給を比較的高く維持できるため、ブラダー20内の温度低下を抑制し、加硫時間が長引くことを防止することができる。その結果、省エネルギーに大きく貢献すると共に、高品質の空気入りタイヤを得ることが可能となる。また、スチームと窒素ガスとの混合ガスを用いて加硫するので、従来の温水加硫と比べて加硫時の安全性の改善に寄与する。
図3(a),(b)は本発明の空気入りタイヤの加硫方法におけるブラダーの内圧と加硫時間との関係において他の例を示すものである。図3(a)は1回目の第1ステップから1回目の第2ステップへの切り替えのタイミングを示し、図3(b)は1回目の第2ステップから2回目の第1ステップへの切り替えのタイミングを示している。なお、図3(a),(b)において、1回目のサイクルをC1、2回目のサイクルをC2、第1ステップをS1、第2ステップS2とする。
図3(a)に示すように、1回目の第1ステップS1から1回目の第2ステップS2への切り替えのタイミングである時点tAを、グリーンタイヤを構成するトレッドゴム及びサイドゴムのそれぞれの等価加硫量が、レオメータによるトルク検出から得られた加硫曲線で最大トルクと最小トルクとの差の10%に相当するトルクとなる時点t10に到達する以前になるように設定すると良い。このように1回目の第1ステップから1回目の第2ステップへの切り替えを行うことで、トレッド部やサイド部における加硫故障を効果的に抑制することができる。
また、図3(b)に示すように、1回目の第2ステップから2回目の第1ステップへの切り替えのタイミングである時点tBを、グリーンタイヤを構成するトレッドゴム及びサイドゴムのそれぞれの等価加硫量が、レオメータによるトルク検出から得られた加硫曲線で最大トルクと最小トルクとの差の10%に相当するトルクとなる時点t50に到達する以後になるように設定すると良い。加硫開始後の早い段階で低圧のスチームを供給すると、トレッド部やサイド部における加硫故障が発生することがある。そのため、トレッドゴムやサイドゴムの表層のゴム流れが止まった時点(t50)以降に、2回目の第1ステップを開始することで、トレッドゴムやサイドゴムの表層のエアー残り等の不具合の発生を効果的に抑制することができる。
図4はゴムの加硫曲線を示すものである。図4の縦軸は所定の試験温度でレオメータにより検出されるトルクM、横軸は加硫時間tである。本発明では、グリーンタイヤGを構成するトレッドゴム、サイドゴムのそれぞれについて、JIS K6300−2で規定されているレオメータによるトルク検出によって、図4に例示する加硫曲線を得ておく。図4の加硫曲線はトルクMの最小値がML、最大値がMHであり、最大トルクMHをピークとした山型形状になっており、最大トルクMH時の加硫時間はt100である。MEは、最大値MHと最小値MLとの差(ME=MH−ML)に相当する。なお、加硫曲線がピークを有していない形状の場合は、JIS K6300−2の規定に従って、例えば、特定時間を60分に設定して最大トルクMHを決定する。
取得した加硫曲線で、最大トルクMHを超えて加硫時間tが経過しない範囲内で、MEの10%及び50%に相当するトルクとなる時点t10,t50を把握しておく。図4では、MEの10%に相当するトルクになる時点をt10、MEの50%に相当するトルクになる時点をt50で示している。
等価加硫量は、温度と反応速度との関係を利用して、タイヤ断面の各位置の温度から各時刻に対応する反応速度を求め、各時刻における反応速度に時間幅を乗じて反応進行の度合いを積算することにより求める。等価とは、仮に指定した温度における反応速度ではどれほどの時間に相当するかという意味で、例えば、5分@150℃等と表記される。温度と反応速度との関係は、一般に、アレニウスの活性化エネルギーを用いた関係式が用いられる。
本発明の空気入りタイヤの加硫方法は、乗用車用タイヤを含む各種タイヤに適用することが可能であるが、特に、トラック・バス用タイヤや建設車両用タイヤを含む重荷重用タイヤに適用することが好適である。より具体的には、外径が1500mm以上である重荷重用タイヤに適用することが好ましい。
タイヤサイズ26.5R25で、モールド内部に配置されたグリーンタイヤの内側にブラダーを挿入し、該ブラダー内にスチームと窒素ガスとを充填した状態でグリーンタイヤを加硫する空気入りタイヤの加硫方法において、エキスターナル温度、インターナル媒体、内圧(MPa)を表1のように設定し、従来例1,2、比較例1,2及び実施例1の加硫方法を実施した。
なお、比較例1,2及び実施例1の加硫方法においては第1ステップ及び第2ステップをそれぞれ3回繰り返して加硫を行い、従来例2の加硫方法においては第1ステップ及び第2ステップをそれぞれ1回ずつ行った。また、従来例1の加硫方法においては温水を常時循環させて加硫を行った。
このようにして得られた試験タイヤについて、下記試験方法により、加硫時間(分)、タイヤの発熱性、加硫時のタイヤ1本当たりの重油使用量及び安全性に関する評価を実施し、その結果を表1に併せて示した。
タイヤの発熱性:
ここで言う発熱性は、加硫後のタイヤにおける転動時の発熱量に対する評価を示す。各試験タイヤについて、リムに装着し、規格最大空気圧を充填して室内ドラム試験に取り付け、規格最大荷重の110%、速度5km/hにて走行し、12時間毎に速度を1km/hずつ増加させていき、タイヤが破壊するまでの走行時間を測定した。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどタイヤの発熱性に優れていることを意味する。
加硫時のタイヤ1本当たりの重油使用量:
温水又はスチームの生成に必要とされるものである重油について、各試験タイヤを加硫した時の使用量を測定した。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど加硫時の重油使用量が少なく、省エネルギーへの寄与度が高いことを意味する。
安全性:
ここで言う安全性は、加硫時においてブラダーから加熱加圧媒体がリークした場合に対する評価を示す。評価結果は、各試験タイヤにおいて、インターナル媒体がスチームと窒素ガスの場合は作業者への危険度が低いため「○」で示し、インターナル媒体が温水の場合は作業者への危険度が高いため「×」で示した。
Figure 2018062149
表1から判るように、ブラダー内にスチームを供給する第1ステップとスチームと窒素ガスとの混合ガスを充填する第2ステップとを有し、第1ステップ及び第2ステップを3回繰り返し、第1ステップの際にブラダーに供給するスチームの圧力を1.7MPa、第2ステップの際にブラダーに供給する窒素ガスの圧力を2.5MPaに設定することにより、実施例1のタイヤは従来例1との対比において、同等の加硫時間及びタイヤの発熱性を維持しながら、重油使用量が低減され、しかも安全性が改善されていた。また、従来例2は、第1ステップ及び第2ステップをそれぞれ1回ずつ行ったものであるが、加硫中にスチームの一部がドレン化してブラダーの温度が低下し続けたため、加硫時間が長くなった。その結果、従来例2のタイヤは、モールドに近接するトレッドゴムが過加硫の状態になったため、タイヤの発熱性が悪化した。
一方、比較例1においては、第1ステップの際にブラダーに供給するスチームの圧力を1.4MPa、第2ステップの際にブラダーに供給する窒素ガスの圧力を1.8MPaに設定したので、ブラダーによるグリーンタイヤへの押圧が不十分となり、トレッドゴム又はサイドゴムの表層のエアー残り等の不具合が発生して、良品を得ることができなかった。また、比較例2においては、第1ステップの際にブラダーに供給するスチームの圧力を1.5MPa、第2ステップの際にブラダーに供給する窒素ガスの圧力を3.1MPaに設定したので、加硫装置の耐圧性の観点から実現することができず、タイヤを得ることができなかった。
次に、タイヤサイズ26.5R25で、モールド内部に配置されたグリーンタイヤの内側にブラダーを挿入し、該ブラダー内にスチームと窒素ガスとを充填した状態でグリーンタイヤを加硫する空気入りタイヤの加硫方法において、エキスターナル温度、インターナル媒体、内圧(MPa)、1回目の第1ステップと1回目の第2ステップとの切替えを行ったタイミングを表2のように設定し、従来例3、比較例3及び実施例2の加硫方法を実施した。
なお、実施例2の加硫方法においては第1ステップ及び第2ステップをそれぞれ3回繰り返して加硫を行い、比較例3の加硫方法においては第1ステップ及び第2ステップをそれぞれ1回ずつ行った。また、従来例3の加硫方法においては温水を常時循環させて加硫を行った。
このようにして得られた試験タイヤについて、下記の試験方法により、表層のエアー残り等の不具合が生じたタイヤ本数に関する評価を実施し、その結果を表2に併せて示した。
表層のエアー残り等の不具合が生じたタイヤ本数:
各加硫方法を実施して得られたそれぞれ10本ずつの試験タイヤについて、トレッドゴム及びサイドゴムにおける表層のエアー残り等の不具合の有無を目視で調べ、不具合が発生したタイヤの本数をカウントした。
Figure 2018062149
表2から判るように、実施例2のタイヤは従来例3と同様にトレッドゴム又はサイドゴムにおいて表層のエアー残り等の不具合は発生しなかった。一方、比較例3においては、1回目の第1ステップから1回目の第2ステップへの切り替えを、トレッドゴムの等価加硫量が時点t12、サイドゴムの等価加硫量が時点t15に到達した時に行ったので、トレッドゴム又はサイドゴムにおいて表層のエアー残り等の不具合が発生していた。
更に、従来例3、比較例3及び実施例2と同様に、タイヤサイズ26.5R25で、モールド内部に配置されたグリーンタイヤの内側にブラダーを挿入し、該ブラダー内にスチームと窒素ガスとを充填した状態でグリーンタイヤを加硫する空気入りタイヤの加硫方法において、エキスターナル温度、インターナル媒体、内圧(MPa)、1回目の第2ステップと2回目の第1ステップとの切替えを行ったタイミングを表3のように設定し、従来例4、比較例4及び実施例3の加硫方法を実施した。
なお、実施例3の加硫方法においては第1ステップ及び第2ステップをそれぞれ3回繰り返して加硫を行い、比較例4の加硫方法においては第1ステップ及び第2ステップをそれぞれ1回ずつ行った。また、従来例4の加硫方法においては温水を常時循環させて加硫を行った。
このようにして得られた試験タイヤについて、表層のエアー残り等の不具合が生じたタイヤ本数に関する評価を実施し、その結果を表3に併せて示した。
Figure 2018062149
表3から判るように、実施例3のタイヤは従来例4と同様にトレッドゴム又はサイドゴムにおいて表層のエアー残り等の不具合は発生しなかった。一方、比較例4においては、1回目の第2ステップから2回目の第1ステップへの切り替えを、トレッドゴムの等価加硫量が時点t43、サイドゴムの等価加硫量が時点t48に到達した時に行ったので、トレッドゴム又はサイドゴムにおいて表層のエアー残り等の不具合が発生していた。
10 モールド
20 ブラダー
30 中心機構
40 媒体供給手段
50 加熱手段
G グリーンタイヤ

Claims (3)

  1. モールド内部に配置されたグリーンタイヤの内側にブラダーを挿入し、該ブラダー内にスチームと窒素ガスとを充填した状態で前記グリーンタイヤを加硫する空気入りタイヤの加硫方法において、
    前記ブラダー内に前記スチームを供給する第1ステップと、前記ブラダー内に窒素ガスを供給することにより前記ブラダー内に前記スチームと前記窒素ガスとの混合ガスを充填する第2ステップとを有し、該第2ステップの終了後、前記第1ステップ及び前記第2ステップをそれぞれ少なくとも1回繰り返し、前記第1ステップの際に前記ブラダーに供給する前記スチームの圧力を1.5MPa〜2.0MPaの範囲にし、前記第2ステップの際に前記ブラダーに供給する前記窒素ガスの圧力を2.0MPa〜3.0MPaの範囲にすることを特徴とする空気入りタイヤの加硫方法。
  2. 1回目の前記第1ステップから1回目の前記第2ステップへの切り替えを、前記グリーンタイヤを構成するトレッドゴム及びサイドゴムのそれぞれの等価加硫量が、レオメータによるトルク検出から得られた加硫曲線で最大トルクと最小トルクとの差の10%に相当するトルクとなる時点t10に到達する以前に行うことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤの加硫方法。
  3. 1回目の前記第2ステップから2回目の前記第1ステップへの切り替えを、前記グリーンタイヤを構成するトレッドゴム及びサイドゴムのそれぞれの等価加硫量が、レオメータによるトルク検出から得られた加硫曲線で最大トルクと最小トルクとの差の50%に相当するトルクとなる時点t50に到達した後で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの加硫方法。
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