JP2007203684A - 更生タイヤの製造方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】加硫用のエアを加熱温度まで急速加熱することで、作業能率を向上させるとともに、エネルギーロスを低減させる。
【解決手段】トレッド15付き台タイヤ14を加硫室12に収納した後、熱交換器18に加硫温度より高温の高温流体を供給して加硫室12内のエアを加硫温度近傍まで急速に加熱し、その後、熱交換器18に供給する流体を加硫温度である加硫流体に切換えて、前記エアを加硫温度に保持し加硫する。このように加硫用のエアは高温流体によって加硫温度近傍まで急速に加熱され、流体の供給開始からエアが加硫温度に加熱されるまでの時間が短縮される。
【選択図】図1

Description

この発明は、トレッドが貼付けられた台タイヤを加硫することで更生タイヤを製造する更生タイヤの製造方法および装置に関する。
従来の更生タイヤの製造方法・装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されているようなものが知られている。
特開2000−79641号公報
このものは、使用済タイヤから残存トレッドゴムをバフ掛けにより取り除いた後、使用済みタイヤのクラウン部に未加硫ゴムからなる接着用クッションゴムを配置して台タイヤとし、次に、プレキュアトレッドを台タイヤのクラウン部に貼付けた後、プレキュアトレッドが貼付けられた台タイヤを加硫装置に搬入して加硫するようにしたものである。
ここで、前述の加硫は、通常の空気入りタイヤの加硫とほぼ同様に、密閉された加硫モールド内にトレッド付き台タイヤを収納した後、台タイヤ内に供給された高温、高圧の加硫流体および高温に加熱された加硫モールドにより前記トレッド付き台タイヤを加熱することで行ったり、あるいは、トレッドが貼付けられた台タイヤをエンベロープで被覆された状態で加硫室に収納した後、該加硫室内に設置された熱交換器に加硫温度の加硫流体を供給して加硫室内のエアを加硫温度まで加熱し、加硫温度に加熱保持されたエアにより前記トレッド付き台タイヤを加熱することで行っている。
ここで、後者のような更生タイヤの製造方法・装置にあっては、熱交換器に供給される加硫流体が一定温度の加硫温度であるため、加硫室内のエアが流体の供給開始から熱交換によって加硫温度に加熱されるまでに長い時間が必要となり、この結果、作業能率が低下するという課題があった。しかも、エアが加硫温度に加熱されるまでの間、エアは殆ど加硫に寄与しないため、大きなエネルギーロスが発生し製造コストが上昇するという課題もあった。
この発明は、加硫用のエアを加硫温度まで急速加熱することで、作業能率を向上させることができるとともに、エネルギーロスを低減させることができる更生タイヤの製造方法および装置を提供することを目的とする。
このような目的は、第1に、トレッドが貼付けられた台タイヤを加硫室に収納する工程と、加硫室内に設置された熱交換器に加硫温度より高温の高温流体を供給して加硫室内のエアを加熱する工程と、前記加硫室内のエアが加硫温度近傍まで加熱されたとき、熱交換器に供給する流体を加硫温度の加硫流体に切換えて前記エアを加硫温度に保持し加硫を行う工程とを備えた更生タイヤの製造方法により、
第2に、トレッドが貼付けられた台タイヤを収納する加硫室と、加硫室内に設置され、供給された流体により加硫室内のエアを加熱する熱交換器と、前記熱交換器に加硫温度より高温の高温流体を供給する高温流体供給手段と、前記高温流体により加硫室内のエアが加硫温度近傍まで加熱されたとき、熱交換器に加硫温度の加硫流体を供給してエアを加硫温度に保持し加硫を行う加硫流体供給手段とを備えた更生タイヤの製造装置により、達成することができる。
この発明においては、トレッドが貼付けられた台タイヤを加硫室に収納した後、加硫室内の熱交換器に高温流体供給手段によって加硫温度より高温の高温流体を供給して加硫室内のエアを加硫温度近傍まで急速に加熱し、その後、熱交換器に供給する流体を加硫流体供給手段からの加硫温度である加硫流体に切換えて、前記エアを加硫温度に保持し、トレッドが貼付けられた台タイヤを加硫するようにしている。このように加硫用のエアは高温流体によって加硫温度近傍まで急速に加熱されるため、流体の供給開始からエアが加硫温度近傍に到達するまでの時間が短縮され、作業能率が向上するとともに、エネルギーロスが低減される。
また、請求項2に記載のように構成すれば、エアの温度制御を容易としながら、加硫温度近傍に到達するまでの時間を効果的に短縮することができ、さらに、請求項3に記載のように構成すれば、過加硫を防止しながら、加硫温度近傍に到達するまでの時間を効果的に短縮することができ、また、請求項4に記載のように構成すれば、加硫コストを容易に低減させることができる。さらに、請求項6に記載のように構成すれば、配管の敷設が容易となり、製作コストを低減させることもできる。
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1において、11は内部に加硫室12が形成された加硫槽であり、この加硫槽11の天井面にはL字形をした複数のフック13が取り付けられている。そして、この加硫槽11には図示していない開閉可能なドアが設けられ、このドアが閉止されたとき、前記加硫室12は密閉空間となる。14は前記加硫槽11で加硫されると更生タイヤ(製品タイヤ)となるトレッド15付きの台タイヤであり、これら複数のトレッド15付き台タイヤ14は、前記ドアが開放されているとき、加硫槽11内にエンベロープで被覆された状態で搬入されフック13にそれぞれ縦置き状態で支持されることで、加硫槽11内に収納される。
ここで、前記トレッド15付きの台タイヤ14は、使用済タイヤから残存トレッドゴムをバフ掛けにより取り除いた後、使用済みタイヤのクラウン部に未加硫ゴムからなる接着用クッションゴムを配置して台タイヤ14とし、次に、プレキュアされ(予め加硫あるいは半加硫され)るとともに、パターン溝が形成されたトレッド15を前記台タイヤ14のクラウン部に貼付けることで構成している。
18は前記加硫室12内に設置された熱交換器であり、この熱交換器18は逆方向に繰り返し折り曲げられた中空のパイプ19と、このパイプ19の外側に装着された多数枚の互いに平行なフィン20とから構成され、前記パイプ19内に高温の流体が供給されたとき、該供給された流体と加硫室12内のエアとの間で熱交換を行い、該加硫室12内のエアを加熱する。
23は加硫槽11から離れて設置され加硫温度( 120度〜 135度)の加硫流体を吐出する加硫流体源であり、この加硫流体源23と前記熱交換器18を構成するパイプ19の一端とは加硫槽11を貫通する加硫配管24によって接続されている。25は加硫槽11から離れて設置され前記加硫温度より高温である高温流体を吐出する高温流体源であり、この高温流体源25と前記熱交換器18を構成するパイプ19の一端とは加硫槽11を貫通する高温配管26によって接続されている。そして、前述の加硫流体および高温流体として共にスチームを用いることが、加硫コストを容易に低減させることができる点から、好ましい。
ここで、これら加硫配管24と高温配管26とは途中で互いに接続されることで合流しており、この結果、前記接続点Sより熱交換器18側では加硫配管24と高温配管26との1本の共用配管となっている。このように高温配管26の途中と加硫配管24の途中とを接続し、該接続点Sより熱交換器18側の配管を1本とすれば、配管の敷設が容易となり、製作コストを低減させることもできる。
前記熱交換器18を構成するパイプ19の他端には加硫槽11を貫通する排出配管30が接続されており、この結果、前記加硫流体源23または高温流体源25からパイプ19に供給された加硫流体または高温流体は前記パイプ19内を通過した後、該排出配管30を通じて図示していない流体回収装置に戻される。31は排出配管30の途中に設けられた開閉弁であり、この開閉弁31が開に切り換わると、熱交換器18から流体が排出され、一方、閉に切り換わると、熱交換器18からの流体の排出が停止される。
34は接続点Sより加硫流体源23側の加硫配管24に設けられた開閉弁であり、この開閉弁34が開または閉に切り換わると、加硫流体源23からの加硫流体が熱交換器18に供給または熱交換器18への供給が停止する。35は接続点Sより高温流体源25側の高温配管26に設けられた開閉弁であり、この開閉弁35が開または閉に切り換わると、高温流体源25からの高温流体が熱交換器18に供給または熱交換器18への供給が停止する。
前述した加硫流体源23、加硫配管24、開閉弁34は全体として、後述のように高温流体により加硫室12内のエアが加硫温度近傍まで加熱されたとき、熱交換器18に高温流体の代わりとして加硫温度の加硫流体を供給して、加硫室12内のエアを加硫温度に保持し加硫を行う加硫流体供給手段38を構成し、また、高温流体源25、高温配管26、開閉弁35は全体として、熱交換器18に加硫温度より高温の高温流体を供給する高温流体供給手段39を構成する。
40は前記加硫室12内に設置されたファンであり、このファン40には加硫室12の外側に設置されたモータ41の出力軸42が連結されている。そして、このファン40は、前記モータ41により回転されると、加硫室12内のエアを攪拌してエアの温度を均一化する。なお、前記加硫室12内のエアの温度は、該加硫室12内に設置された複数の温度センサにより測定された値の平均値を用いる。
ここで、加硫室12に収納されたトレッド15付き台タイヤ14を加硫する場合には、まず、開閉弁35を開に切換え高温流体源25からの高温流体を高温配管26を通じて熱交換器18のパイプ19に供給する。このとき、熱交換器18に供給された高温流体は加硫室12内のエアと熱交換を行って該エアを加熱するが、両者の温度差が大きいので前記エアは急速に加熱され温度が急上昇する。
そして、前述のような高温流体により加硫室12内のエアが加硫温度近傍まで加熱されると、開閉弁35を閉に開閉弁34を開にそれぞれ切換えて、高温流体源25から熱交換器18への高温流体の供給を停止する一方、加硫流体源23からの加硫流体を加硫配管24を通じて熱交換器18のパイプ19に供給し、熱交換器18に供給される流体を高温流体から加硫流体に切換える。この結果、熱交換器18に供給された加硫流体は加硫室12内のエアと熱交換を行って該エアの温度を加硫温度に保持する。これにより、加硫温度のエアはトレッド15付き台タイヤ14のクッションゴムを加硫し、トレッド15付き台タイヤ14を更生タイヤとする。
ここで、前記高温流体の温度は、加硫温度より35〜60度だけ高い温度とすることが好ましい。その理由は、前記温度差が35度未満であると、加硫室12内のエアが加硫温度近傍に到達するまでの時間を充分に短縮することができず、一方、前記温度差が60度を超えると、加硫室12内のエアの温度が著しく変化して温度制御が困難となるが、前述の範囲内であると、エアの温度制御を容易としながら、加硫温度近傍に到達するまでの時間を効果的に短縮することができるからである。なお、前記高温流体の温度は加硫温度より40〜55度だけ高い温度とすることがさらに好ましい。
また、前述した加硫温度近傍とは、加硫温度との差が 5度未満の温度のことをいう。これは、加硫温度より 5度以上低い温度で熱交換器18に供給される流体を高温流体から加硫流体に切換えると、加硫室12内のエアが加硫温度に到達するまでの時間を充分に短縮することができず、一方、加硫温度より 5度以上高い温度で熱交換器18に供給される流体を高温流体から加硫流体に切換えると、加硫室12内のエアの温度が一時的に上昇し過ぎて過加硫が生じるおそれがあるが、前述の温度差未満であると、過加硫を防止しながら、加硫温度に到達するまでの時間を効果的に短縮することができるからである。なお、前記加硫温度との差は 3度未満とすることが好ましい。
次に、前記実施例の作用について説明する。
使用済みタイヤを更生する場合には、該使用済タイヤから残存トレッドゴムをバフ掛けにより取り除いた後、そのクラウン部に接着用クッションゴムを配置して台タイヤ14とし、次に、パターン溝が形成されたプレキュアトレッド15を前記台タイヤ14のクラウン部に貼付け、トレッド15付き台タイヤ14とする。次に、ドアが開放された加硫槽11内に複数のトレッド15付き台タイヤ14を搬入してフック13にそれぞれ縦置きで支持させた後、前記ドアを閉止して加硫室12を密閉し、トレッド15付き台タイヤ14を加硫槽11の加硫室12に収納する。
次に、開閉弁35を開に切換え高温流体源25から高温流体を高温配管26を通じて熱交換器18に供給する。このとき、熱交換器18(パイプ19)に供給された高温流体は加硫室12内のエアと熱交換を行って該エアを加硫温度近傍まで加熱するが、両者の温度差が大きいので前記エアは高温流体により急速に加熱されて温度が急上昇し、これにより、供給開始から加硫温度近傍に加熱されるまでの時間が短縮される。
その後、開閉弁35を閉に開閉弁34を開にそれぞれ切換えて、高温流体源25から熱交換器18への高温流体の供給を停止する一方、加硫流体源23から加硫流体を加硫配管24を通じて熱交換器18のパイプ19に供給し、熱交換器18に供給される流体を高温流体から加硫流体に切換える。このとき、熱交換器18に供給された加硫流体は加硫室12内のエアと熱交換を行って該エアの温度を以後加硫温度に保持する。このようにして加硫温度に加熱されたエアはトレッド15付き台タイヤ14のクッションゴムの加硫を行い、トレッド15付き台タイヤ14を構成タイヤとする。
このように加硫を行う加硫室12内のエアは高温流体によって加硫温度近傍まで急速に加熱されるため、流体の供給開始(エアに対する加熱開始)からエアの温度が加硫温度近傍に到達するまでの時間が短縮され、作業能率が向上するとともに、エネルギーロスが低減される。このときのエアにおける温度と時間との関係が図2に実線で示されている。これに対し、従来の製造方法・装置ではエアにおける温度と時間との関係が図2に仮想線で示すようになり、作業能率が低下し、しかも、大きなエネルギーロスが発生している。
なお、前述の実施例においては、熱交換器18として繰り返し逆方向に折り曲げられたパイプ19と、このパイプ19に装着されたフィン20とから構成したが、この発明においては、熱交換器を直線状または螺旋状に延びる1本以上のパイプ、または、間に空隙を形成しながらロール状に巻かれた中空プレート等から構成してもよい。また、前述の実施例においては、トレッド15としてプレキュアトレッドを用いたが、この発明においては、未加硫ゴムからなるトレッドを用いてもよい。
この発明は、トレッド付き台タイヤを加硫することで更生タイヤを製造する産業分野に適用できる。
この発明の実施例を示す概略正面断面図である。 エア加熱時の温度と時間との関係を示すグラフである。
符号の説明
12…加硫室 14…台タイヤ
15…トレッド 18…熱交換器
23…加硫流体源 24…加硫配管
25…高温流体源 26…高温配管
38…加硫流体供給手段 39…高温流体供給手段
S…接続点

Claims (6)

  1. トレッドが貼付けられた台タイヤを加硫室に収納する工程と、加硫室内に設置された熱交換器に加硫温度より高温の高温流体を供給して加硫室内のエアを加熱する工程と、前記加硫室内のエアが加硫温度近傍まで加熱されたとき、熱交換器に供給する流体を加硫温度の加硫流体に切換えて前記エアを加硫温度に保持し加硫を行う工程とを備えたことを特徴とする更生タイヤの製造方法。
  2. 前記高温流体の温度は、加硫温度より35〜60度だけ高い温度である請求項1記載の更生タイヤの製造方法。
  3. 前述の加硫温度近傍は、加硫温度との差が 5度未満の温度である請求項1または2記載の更生タイヤの製造方法。
  4. 前記高温流体および加硫流体は共にスチームである請求項1〜3のいずれかに記載の更生タイヤの製造方法。
  5. トレッドが貼付けられた台タイヤを収納する加硫室と、加硫室内に設置され、供給された流体により加硫室内のエアを加熱する熱交換器と、前記熱交換器に加硫温度より高温の高温流体を供給する高温流体供給手段と、前記高温流体により加硫室内のエアが加硫温度近傍まで加熱されたとき、熱交換器に加硫温度の加硫流体を供給してエアを加硫温度に保持し加硫を行う加硫流体供給手段とを備えたことを特徴とする更生タイヤの製造装置。
  6. 前記高温流体供給手段が、高温流体源と、該高温流体源と熱交換器とを接続する高温配管とを有し、加硫流体供給手段が、加硫流体源と、該加硫流体源と熱交換器とを接続する加硫配管とを有しているとき、高温配管の途中と加硫配管の途中とを接続し、該接続点より熱交換器側の配管を1本とした請求項5記載の更生タイヤの製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104859079A (zh) * 2015-06-08 2015-08-26 谢义忠 高效率蒸汽加热系统

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