以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「導電体付きシート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「導電体付きシート」は、「導電体付き板(基板)」や「導電体付きフィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図19は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、発熱板を備えた自動車を概略的に示す図であり、図2は、発熱板をその板面の法線方向から見た図であり、図3は、図2のIII−III線に沿った発熱板の断面図である。
図1に示されているように、乗り物の一例としての自動車1は、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、サイドウィンドウ等の窓ガラスを有している。ここでは、フロントウィンドウ5が発熱板10で構成されているものを例示する。また、自動車1はバッテリー等の電源7を有している。
この発熱板10をその板面の法線方向から見たものを図2に示す。また、図2の発熱板10のIII−III線に対応する断面図を図3に示す。図3に示された例では、発熱板10は、一対の基板11,12と、一対の基板11,12の間に配置された導電体付きシート20と、基板11,12と導電体付きシート20とを接合する接合層13,14と、を有している。なお、図1および図2に示した例では、発熱板10は湾曲しているが、その他の図では、図示の簡略化および理解の容易化のために、発熱板10および基板11,12を平板状に図示している。
導電体付きシート20は、基材フィルム21と、一対のバスバー25と、基材フィルム21の一方の基板11に対面する面上に設けられた発熱用導電体30と、を有する。
また、図1及び図2によく示されているように、発熱板10は、発熱用導電体30に通電するための配線部15を有している。図示された例では、バッテリー等の電源7によって、配線部15から導電体付きシート20の発熱用導電体30に通電し、発熱用導電体30を抵抗加熱により発熱させる。発熱用導電体30で発生した熱は基板11,12に伝わり、基板11,12が温められる。これにより、基板11,12に付着した結露による曇りを取り除くことができる。また、基板11,12に雪や氷が付着している場合には、この雪や氷を溶かすことができる。したがって、乗員の視界が良好に確保される。尚、図示は省略するが、通常、電源7と発熱用導電体30に接続されたバスバー25との間に開閉器が挿入(直列に接続)される。そして、発熱板10の加熱が必要な時のみ開閉器を閉じて発熱用導電体30に通電する。
以下、発熱板10の各構成要素について説明する。
まず、基板11,12について説明する。基板11,12は、図1で示された例のように自動車のフロントウィンドウに用いる場合、乗員の視界を妨げないよう可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このような基板11,12の材質としては、ソーダライムガラスや青板ガラスが例示できる。基板11,12の可視光透過率は90%以上であることが好ましい。ここで、基板11,12の可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。なお、基板11,12の一部または全体に着色するなどして、この一部分の可視光透過率を低くしてもよい。この場合、太陽光の直射を遮ったり、車外から車内を視認しにくくしたりすることができる。
また、基板11,12は、1mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。このような厚みであると、強度及び光学特性に優れた基板11,12を得ることができる。一対の基板11,12は、同一の材料で同一に構成されていてもよいし、或いは、材料および構成の少なくとも一方において互いに異なるようにしてもよい。
次に、接合層13,14について説明する。一方の接合層13が、一方の基板11と導電体付きシート20との間に配置され、一方の基板11と導電体付きシート20とを互いに接合する。他方の接合層14が、他方の基板12と導電体付きシート20との間に配置され、他方の基板12と導電体付きシート20とを互いに接合する。
このような接合層13,14としては、種々の接着性または粘着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、接合層13,14は、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。典型的な接合層としては、ポリビニルブチラール(PVB)からなる層を例示することができる。接合層13,14の厚みは、それぞれ0.15mm以上1mm以下であることが好ましい。一対の接合層13,14は、同一の材料で同一に構成されていてもよいし、或いは、材料および構成の少なくとも一方において互いに異なるように
してもよい。
なお、発熱板10には、図示された例に限られず、特定の機能を発揮することを期待されたその他の機能層が設けられても良い。また、1つの機能層が2つ以上の機能を発揮するようにしてもよいし、例えば、発熱板10の基板11,12、接合層13,14、後述する導電体付きシート20の基材フィルム21の、少なくとも一つに何らかの機能を付与するようにしてもよい。発熱板10に付与され得る機能としては、一例として、反射防止(AR)機能、耐擦傷性を有したハードコート(HC)機能、赤外線遮蔽(反射)機能、紫外線遮蔽(反射)機能、防汚機能等を例示することができる。
次に、導電体付きシート20について説明する。導電体付きシート20は、基材フィルム21と、一対のバスバー25と、基材フィルム21の一方の基板11に対面する面上に設けられた発熱用導電体30と、を有する。本実施の形態において、導電体付きシート20は、基板11,12と略同一の平面寸法を有して、発熱板10の全体にわたって配置されているが、図1の例における運転席の正面部分等、発熱板10の一部にのみ配置されてもよい。以下、導電体付きシート20の各構成要素について説明する。
基材フィルム21は、発熱用導電体30を支持する基材として機能する。基材フィルム21は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性のフィルムである。基材フィルム21としては、可視光を透過し、発熱用導電体30を適切に支持し得るものであればいかなる材質のものでもよいが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン等を挙げることができる。また、基材フィルム21は、光透過性や、発熱用導電体30の適切な支持性等を考慮すると、0.03mm以上0.20mm以下の厚みを有していることが好ましい。
なお、「透明」とは、当該基材フィルムを介して当該基材フィルムの一方の側から他方の側を透視し得る程度の透明性を有していることを意味しており、例えば、30%以上、より好ましくは70%以上の可視光透過率を有していることを意味する。可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
バスバー25は、対応する配線部15と電気的に接続されている。一対のバスバー25間には、配線部15と接続された電源7の電圧が印加されるようになる。
次に、図17を参照しながら、発熱用導電体30について説明する。図17は、導電体付きシート20をそのシート面の法線方向から見た平面図である。
発熱用導電体30は、一対のバスバー25の間に配置されており、一対のバスバー25間を結ぶようにそれぞれ電気的に接続されている。発熱用導電体30は、所定の配置パターンで配置された線状導電体31によって形成されている。発熱用導電体30は、配線部15及びバスバー25を介して電圧を印加されると、抵抗加熱によって発熱する。そして、この熱が接合層13,14を介して基板11,12に伝わることで、基板11,12が温められる。
発熱用導電体30の配列パターンのとしては、図17に示された例のように、発熱用導電体30は、線状導電体31が多数の開口領域33を画成するメッシュ状のパターンで配置されることによって形成される。発熱用導電体30は、2つの分岐点32の間を延びて、開口領域33を画成する複数の接続要素34を含んでいる。すなわち、発熱用導電体30の線状導電体31は、両端において分岐点32を形成する複数の接続要素34の集まりとして構成されている。
なお、図17にそれぞれ示すような発熱用導電体30および線状導電体31の具体的な配置パターンの例については、後述して詳しく説明する。
このような発熱用導電体30及びバスバー25を構成するための材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン等の金属、及び、これらの金属の1種以上を含んでなる合金の一以上を例示することができる。発熱用導電体30及びバスバー25は、同一の材料を用いて形成されていてもよいし、或いは、互いに異なる材料を用いて形成されていてもよい。
発熱用導電体30は、上述したように不透明な金属材料を用いて形成され得る。その一方で、発熱用導電体30によって覆われていない基材フィルム21上の領域の割合、すなわち開口率は、70%以上90%以下程度と高くなっている。また、線状導電体31の線幅は、2μm以上20μm以下程度となっている。このため、発熱用導電体30が設けられている領域は、全体として透明に把握され、発熱用導電体30の存在が発熱板10の透視性を害さないようになっている。
図3に示された例では、線状導電体31は、全体として矩形状の断面を有している。線状導電体31の幅W、すなわち、発熱板10の板面に沿った幅Wは2μm以上20μm以下とし、高さ(厚さ)H、すなわち、発熱板10の板面への法線方向に沿った高さ(厚さ)Hは1μm以上60μm以下とすることが好ましい。このような寸法の線状導電体31によれば、その線状導電体31が十分に細線化されているので、発熱用導電体30を効果的に不可視化することができる。
また、図3に示されたように、線状導電体31は、導電性金属層36、導電性金属層36の表面のうち、基材フィルム21に対向する側の面を覆う第1の暗色層37、導電性金属層36の表面のうち、基板11に対向する側の面及び両側面を覆う第2の暗色層38を含むようにしてもよい。優れた導電性を有する金属材料からなる導電性金属層36は、比較的高い反射率を呈する。そして、発熱用導電体30の線状導電体31をなす導電性金属層36によって光が反射されると、その反射した光が視認されるようになり、乗員の視界を妨げる場合がある。また、外部から導電性金属層36が視認されると、意匠性が低下する場合がある。そこで、第1及び第2の暗色層37,38が、導電性金属層36の表面の少なくとも一部分を覆っている。第1及び第2の暗色層37,38は、導電性金属層36よりも可視光の反射率が低い層であればよく、例えば黒色等の暗色の層である。この暗色層37,38によって、導電性金属層36が視認されづらくなり、乗員の視界を良好に確保することができる。また、外部から見たときの意匠性の低下を防ぐことができる。
なお、前述したように、発熱板10の透視性または発熱板10を介した視認性を確保する観点から、開口率(非被覆率とも呼ばれる)が高くなるように、発熱用導電体30の線状導電体31は基材フィルム21上に形成されている。その結果、図3に示すように、接合層13と導電体付きシート20の基材フィルム21とは、線状導電体31の開口領域33、すなわち隣り合う線状導電体31の間となる領域を介して接触している。すなわち、発熱用導電体30は、接合層13内に埋め込まれた状態となっている。
ところで、上述したように、発熱用導電体をなす線状導電体のパターンに起因して、発熱板を介した視界にちらつきが発生する。ちらつきは、発熱用導電体をなす線状導電体での反射光が視認されることによって生じるものと考えられた。実際に、線状導電体を不規則パターンで配置した場合、種々の方向からちらつきが視認され且つ観察方向に応じてちらつきの発生パターンが不規則に変化する。この結果、線状導電体のパターンが不規則である場合、発熱用導電体を観察する方向によってちらつきが不規則に観察されて目立ってしまう。そこで、発熱用導電体をなす線状導電体を規則的に並べることが考えられる。ところが、線状導電体を一様なパターンで並べると、発熱板はその全域を一様に発熱することになる。上述したように、発熱板における一様な発熱は、発熱板の機能の発揮を遅くする。
そこで、本実施の形態においては、線状導電体の配置パターンが、規則的に並べられた一定の単位パターンを複数含み且つ複数の開口領域を画成し、さらに、線状導電体によって画成される開口領域の形状のうち少なくとも1つが、他の開口領域の形状と異なることを提案する。図17に示す本実施の形態では、図18に示す一定の単位パターンP1で線状導電体31を規則的に隙間無く並べることによって、複数の開口領域33を画成している。すなわち、線状導電体31の配置パターンは、単位パターンP1を繰り返し並べたパターンとなっている。そして、複数の開口領域33のうち、例えば図17に示す実施形態の一例においては、第1開口領域33aと第2開口領域33b、第3開口領域33cとでは、形状が異なることで、配線密度が異なる。ここで、配線密度とは、単位面積当たりの配線長である。したがって、配線密度は、開口領域の単位面積あたりの発熱量に比例する。配線密度として1つの開口に適用すれば、開口領域の面積に対する、当該開口領域の周長の比の2分の1、言い換えると当該開口領域を画成するよう配置される配線(すなわち線状導電体)の長さの比の2分の1である。
このような線状導電体を有する発熱用導電体の配置パターンは、規則的であるため、発生するちらつきも規則的となる。すなわち、発熱用導電体を観察する方向を変化させたとしても、反射光が明るく観察されるのは特定の方向だけとなる。したがって、線状導電体41の配置パターンが不規則パターンとなっている場合と異なり、観察方向を変化させた際に、明るく視認される模様が絶えず変化しながら視認され続けることを効果的に防止することができ、視界の妨げを低減することができる。また、開口領域の形状が異なると、単位面積あたりの発熱量も異なる。したがって、単位面積あたりの発熱量が大きい開口領域においては、単位面積あたりの発熱量が小さい開口領域より素早く発熱板としての機能が発揮される。その結果、単位面積あたりの発熱量が大きい開口領域が発熱板の機能を発揮する起点となり、つまり霜取りや氷雪の除去の起点となり、発熱板全体として素早く機能(霜取り機能、水滴除去機能、氷雪除去機能)が発揮される。
とりわけ、図17に示す本実施の形態の例では、複数の開口領域33は、第1構成を有する複数の第1開口領域33aと、第1構成とは異なる第2構成を有する複数の第2開口領域33bと、を有している。図18に示す単位パターンP1をそれぞれ規則的に並べることで、複数の第1開口領域33aが規則的に配列され、複数の第2開口領域33bも規則的に配列されている。したがって、構成、特に形状が異なる開口領域33が規則的に配置されるため、発熱板10の全体に亘って、規則的に発熱板の機能を発揮する起点が生じることになる。さらに、図17に示す本実施の形態においては、複数の開口領域33は、第1構成とも第2構成とも異なる第3構成を有する複数の第3開口領域33cをさらに備える。複数の第3開口領域33cもまた、単位パターンP1を規則的に並べることで、規則的に配列されている。
ここで、開口領域の構成とは、当該開口領域を決定する要素のことであり、形状、大きさ、向きを含む。すなわち、開口領域において、形状、大きさ、向き等の要素のいずれかが異なれば、その他が同じであっても、異なる構成を有する開口領域であると考える。
また、開口領域33のうち、配線密度が最小である開口領域33aの配線密度は、配線密度が最大である開口領域33bの配線密度の15%以上96%以下である。配線密度比が96%以下であれば、開口領域33aと開口領域33bとの間で十分な発熱量の差を生じさせ発熱板の機能を発揮する起点を発生させることができる。また、配線密度比が15%以上であれば、発熱量の差が大きすぎて過剰な発熱むらが生じることを防止することができる。
次に、図17の発熱用導電体30を画成する図18の単位パターンP1、及び、複数の開口領域33に含まれる第1から第3開口領域33a,33b,33cについて、さらに具体的に説明する。
図18の単位パターンP1は、反時計回りに順に結ばれている区域A1〜A8と、区域A1〜A8と同様に反時計回りに順に結ばれている区域B1〜B8と、隣り合う区域A1〜A8の間の頂点と区域B1〜B8の間の頂点との間の一部を結ぶよう設けられる区域E1〜E4と、を有する。より詳しくは、図19によく示されているように、区域A1〜A8は、正八角形Aの各頂点間を結んでおり、区域B1〜B8は、正八角形Aと同じ構成を有する正八角形Bの各頂点間を結んでいる。区域E1は、隣り合う区域A7,A8間の頂点と区域B4,B5間の頂点とを結んでおり、区域E2は、隣り合う区域A1,A2間の頂点と区域B6,B7間の頂点とを結んでおり、区域E3は、隣り合う区域A3,A4間の頂点と区域B8,B1間の頂点とを結んでおり、区域E4は、隣り合う区域A5,A6間の頂点と区域B2,B3間の頂点とを結んでいる。さらに、図19に示すように、この順で隣り合う区域A5,A6間の頂点、区域A4,A5間の頂点、区域B7,B8間の頂点、区域B6,B7間の頂点、区域A1,A2間の頂点、区域A8,A1間の頂点、区域B3,B4間の頂点、区域B2,B3間の頂点が、正八角形Cの頂点となっている。また、この順で隣り合う区域B5,B6間の頂点、区域B4,B5間の頂点、区域A7,A8間の頂点、区域A6,A7間の頂点、区域B1,B2間の頂点、区域B8,B1間の頂点、区域A3,A4間の頂点、区域A2,A3間の頂点が、正八角形Dの頂点となっている。これらの正八角形C及び正八角形Dは、正八角形A及び正八角形Bと同じ構成を有する。
図19に示すように、本実施の形態では、第1開口領域33aは、この順で連続する区域A1〜A8または区域B1〜B8のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第2開口領域33bは、この順で連続する区域E3,B8,B7,E2,A1,A8、E1,B4,B3,E4,A5,A4のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第3開口領域33cは、この順で連続する区域E1,A7,A6,E4,B2,B1,E3,A3,A2,E2,B6,B5のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。ここで、第1開口領域33aは、多角形である正八角形の隣り合う頂点の間に延びる区域A1〜A8または区域B1〜B8を結ぶことにより画成されている。また区域A1〜A8のそれぞれまたは区域B1〜B8のそれぞれは、隣り合う他の区域と滑らか連なって一連の円弧をなすものではないため、第1開口領域33aは非真円状となっている。また、第2開口領域33b及び第3開口領域33cは、多角形である十二角形の隣り合う頂点の間に延びる複数の区域を結ぶことにより区画されており、それぞれ非真円状となっている。
ところで、電熱線(発熱用導電体)を含んだ発熱板を介して光、例えば対向車の照明を観察した場合、尾を引くように観察される光の筋、すなわち光芒が当該照明の周囲に観察されることがある。このような光芒の発生は、発熱板を介した視認性を悪化させることになる。そして、本件発明者らは、鋭意検討を重ねた結果として、光芒の発生する方向が、発熱板への入射光が電熱線で回折される方向と一致することを知見した。本件発明者らの知見に基づけば、発熱用導電体30をなす線状導電体31の長手方向を不規則化することにより、特定の方向へ光芒が延びることを防止し、光芒を目立たなくさせることができる。しかしながら、線状導電体31の配列を完全に不規則化することは、上述したちらつきを生じさせるため、好ましくない。そこで本件発明者らは、さらに鋭意検討を重ね、線状導電体31の配置パターンを工夫することで、線状導電体31の規則性を維持しながら、極めて効果的に光芒を目立たなくさせることを可能にした。以下、光芒の発生原理、及び、光芒を目立たなくさせる方法について、図4乃至図16を参照して説明する。
一般に、ある構造に形成された隙間や開口等の透過部を光が通過するとき、当該光は回折する。このとき生成される回折像が、光芒として視認され得る。回折像の形状は、構造の透過部の形状、より詳しくは、透過部と遮蔽部の境界の形状によって決定される。回折像は、0次以外の各次数の回折光の集合として視認されるようになる。各次数の回折効率は、物体の開口率(非被覆率)D〔%〕に依存する。0次から無限次の回折光の回折効率の総和、すなわち全透過率は、D〔%〕となる。このうち、0次回折光の回折効率(光路を変化させずに直進する光の割合)は(D/100)2×100〔%〕となり、光芒に寄与する0次回折光以外の回折光の回折効率の総和は((D/100)−(D/100)2)×100〔%〕となる。したがって、0次回折光以外の回折光の回折効率の総和は、言い換えると、光芒の視認されやすさに相当する回折像の強度は、開口率(非被覆率)Dが50%で最も大きくなり、50%から小さくなる又は大きくなるにつれて低下する。しかも、この回折像の強度の値は、50%を中心として対称的となる。
ある構造に光が入射した際に観察される0次以外の回折像は、当該ある構造の透過部と遮蔽部が反転した相補的な構造に光が入射した際に観察される0次以外の回折像と形状・強度ともに一致する。このことは、バビネの原理として知られている。つまり、例えば図4に示されたハニカム配列で配列された正六角形状の透過部50a(開口領域)を有する構造50に光が入射した際に観察されるようになる0次以外の回折像は、図4の構造と相補的な構造60、すなわち、図5に示されたハニカム配列で配列された正六角形状の遮蔽部60bを有する構造60に光が入射した際に観察される0次以外の回折像と同一となる。回折像の考察において、図4のように開口が複雑な形状(六角形)よりも、図5のように単純な形状(矩形)の集合のほうが見通しがよく、したがって以下においては、見通しの良い形状にて回折を検討する。また、以降「回折像」とは0次以外の回折光による像を表すこととする。
次に、観察される回折像の形状を検討する。回折像の形状は、以下の方法によって特定される。ここでは、例として、ハニカム配列で透過部50a(開口領域、非被覆領域)が規則性を持って配列された図4のパターン構造50に光が入射した際に観察される回折像について検討する。まず、図4のパターン構造50で観察される回折像は、前述のように、図5のパターン構造60で観察される回折像と同一となる。したがって、図4のパターン構造50を、ハニカム配列で遮蔽部60bが規則性を持って配列された図5のパターン構造60に置き換えて、観察される回折像について検討を行う。図5のパターン構造60において、透過部60aは、正六角形状の遮蔽部60bの周囲を取り囲む一定の幅を有したスリットとなっている。図5のパターン構造60の透過部60aは、平行なスリット毎に分割すると、3つの単位パターン要素61、62、63に分類することができる。したがって、図5のパターン構造60を光が進む際に生じる回折現象は、図6〜図8に示された3つの単位パターン要素61、62、63の各々を光が進む際に生じる回折現象の総和となる。
このうち、図6の単位パターン要素61について考える。ここでは、この単位パターン要素61は、長さ2l、線幅2dのスリットが中心間隔aで無数に配置されてなる透過部、言い換えると窓要素である。この単位パターン要素61は、2つの成分、すなわち図9のような長さ2l、線幅2dの1つの基準要素61Aと、図10のような間隔aで無数に配置される点群61Bとの畳み込みで表される。次に、構造50から観測者が十分離れているとして、空間振幅分布をフラウンホーファの回折とし、空間振幅分布を畳み込みの定理を用いてフーリエ変換して回折像を求める。回折する光の波長をλとすると、図9の基準要素61Aのフーリエ変換は、図11のような1次の明線が線幅λ/l、長さλ/dである中心部が最も強いカーディナル・サイン型の分布61A1が得られる。ただし、この寸法はラジアンで表した回折角度である。観測者からパターン構造50の距離をRとすると、パターン平面上にて、1次の明線が線幅λR/l、長さλR/dとなると考えてもよい。図11には、幅方向の分布は十分小さいので一周期まで、長さ方向の分布は簡略化のため二周期までしか記載されていない。また、二周期目は振幅が強調されて描かれている。図10の無数に配置された点のフーリエ変換からは、図12のような間隔2λ/(√3×a)の無数に配置された点の分布61B1が得られる。これらの分布61A1と61B1の積が、図6の単位パターン要素61の振幅回折像となる。ただし、分布61A1と61B1の積において、図12の無数に配置された点の分布61B1は、目視できない微細構造となって図11の振幅分布61A1の内部に配置されるので、図11の振幅分布61A1を図6の構造61の実質的な振幅回折像と考えることができる。
同様の操作によって、図7の単位パターン要素62からは図13の振幅分布62A1が、図8の単位パターン要素63からは図14の振幅分布63A1が、それぞれ空間振幅分布として得られる。それぞれの振幅分布61A1,62A1,63A1を重ね合わせたものが、もとのパターン構造60の振幅回折像であり、その2乗が観測される回折像の強度分布となる。すなわち、図4のパターン構造50からは、図11、図13、図14の振幅分布61A1,62A1,63A1を重ね合わせて2乗した強度分布である図15の強度分布60A1が回折像として観測される。
以上のように、図4に例示したパターン構造50から観測される回折像は、図15の強度分布60A1のように異なる3方向に延びる3つの筋状の光となる。この筋状の光が、光芒として観察される。そして、このような光芒は、発熱板10を介した視認性に強い影響を及ぼす。
一方、発熱板10を介した視認性に対して影響が小さい回折像とは、筋状の光、すなわち光芒を含まない像である。このような回折像の一例として、多数次回折光の回折効率が低いもの、光芒が広がって延び出して個々の光芒が識別できなくなっているものが考えられる。後者については、光芒が全方向に延び出して、図16のように円形状の回折像70として観察されることが、理想的である。
図6に示された単位パターン要素61によって生じる図11に示された振幅分布61A1、図7に示された単位パターン要素62によって生じる図13に示された振幅分布62A1、図8に示された単位パターン要素63によって生じる図14に示された振幅分布63A1、から理解されるように、長手方向を有する線状の構造に起因して生じる回折像は、当該構造の長手方向に直交する方向に延びて光芒となる。したがって、光芒が広がって延び出して観察されるには、一つの構造をなす各構造要素の長手方向に直交する法線が、連続して向きを変えていればよい。この場合、各部での回折光の総和として把握される光芒が広がって延び出す明部として把握されるようになる。とりわけ、理想的な場合として、光芒が全方向に亘って延び出し、結果として多数の光芒が互いに重なって円形状に視認されるには、一つの構造をなす各構造要素の長手方向に直交する法線が全方向に亘って分布していればよい。構造を形成する各部の長手方向に直交する法線が全方向に亘って分布している場合、すなわち、発熱用導電体30に含まれる線状導電体31の各部における長手方向に直交する法線が全方向に亘って分布している場合には、各部での回折光の総和として把握される光芒が円形状の明部として把握されるようになる。
以上から、単位パターンの各位置での法線が、連続して向きを変えていること、理想的には全方向に亘って分布していることで、光芒を目立たなくさせることができることが理解される。そのような構造をなす単位パターンの一例として、単位パターンが、円弧又は楕円弧に沿って延びる一以上の区域からなるものが考えられる。とりわけ、各区域を平行移動すること、及び/または各区域を180°回転させた後に平行移動することにより、一つの単位パターンを形成する全ての成分を用いて、一以上の自然数個の半円または半楕円が形成されることが好ましい。区域の法線方向は互いに反対の2方向あるため、区域の集合が半円または半楕円をなせば、法線方向は全方向に亘るからである。
具体的な一例として、図18に示す上述した単位パターンP1では、区域A1〜A8は中心角45°で切り取られた同一の半径を有する円弧であり、区域B1〜B8は中心角45°で切り取られた同一の半径を有する円弧であり、区域E1〜E4は中心角90°で切り取られた同一の半径を有する円弧である。とりわけ、区域A1〜A8は正八角形Aの外接円の円弧、または正八角形Aの外接円の円弧を180°回転させた後に平行移動させた円弧を交互に配置されている。具体的には、区域A1,A3,A5,A7が正八角形Aの外接円の円弧であり、区域A2,A4,A6,A8が正八角形Aの外接円の円弧を180°回転させた円弧である。同様に、区域B1〜B8は正八角形Bの外接円の円弧、または正八角形Bの外接円の円弧を180°回転させた後に平行移動させた円弧を交互に配置されている。具体的には、区域B1,B3,B5,B7が正八角形Bの外接円の円弧であり、区域B2,B4,B6,B8が正八角形Bの外接円の円弧を180°回転させた円弧である。したがって、区域A1〜A8に従って画成される開口領域及び区域B1〜B8に従って画成される開口領域は、非真円状である。また、区域E1〜E4は、図19に示す正八角形A,B,C,Dによって取り囲まれることで形成される正方形Eの外接円の円弧をそれぞれ平行移動させた円弧である。
より具体的に、図18の紙面の右方向に延びる基準軸sdに対して反時計回りになす角度を用いて表現する。区域A1,B1は中心角22.5°から67.5°の範囲の円弧である。区域A2,B2は、中心角247.5°から292.5°の範囲の円弧である。区域A3,B3は中心角112.5°から157.5°の範囲の円弧である。区域A4,B4は中心角337.5°から360°及び0°から22.5°の範囲の円弧である。区域A5,B5は中心角202.5°から247.5°の範囲の円弧である。区域A6,B6は中心角67.5°から112.5°の範囲の円弧である。区域A7,B7は中心角292.5°から337.5°の範囲の円弧である。区域A8,B8は中心角157.5°から202.5°の範囲の円弧である。区域E1は中心角225°から315°の範囲の円弧である。区域E2は中心角315°から360°及び0°から45°の範囲の円弧である。区域E3は中心角45°から135°の範囲の円弧である。区域E4は中心角135°から225°の範囲の円弧である。
以上に具体的に説明した単位パターンP1は、各区域が円弧であるため、各位置での法線の向きが連続して分布する。したがって、この単位パターンP1で規則的に配置された線状導電体31からなる発熱用導電体30を有する発熱板10では、各部での回折光の総和として把握される光芒が広がって把握されるようになる。理想的には、各区域を平行移動すること、及び/または各区域を180°回転させた後に平行移動することにより、一つの単位パターンP1を形成する全ての成分を用いて、一以上の自然数個の半円または半楕円が形成される。この場合、各位置での法線が全方向に亘って分布する。この単位パターンP1で規則的に配置された線状導電体31からなる発熱用導電体30を有する発熱板10では、各方向への光芒が同様に形成され且つ光芒があらゆる方向に発生する。したがって、多数の光芒が重なることで円形状に視認される。
次に、発熱板10の製造方法の一例について、説明する。
まず、基材フィルム21上に第1の暗色層37を形成するようになる暗色膜を設ける。
次に、導電性金属層36を形成するようになる金属膜を暗色膜上に設ける。金属膜は、公知の方法で形成され得る。例えば、銅箔等の金属箔を貼着する方法、電界めっき及び無電界めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、又はこれらの二以上を組み合わせた方法を採用することができる。
その後、金属膜上に、レジストパターンを設ける。レジストパターンは、例えば図17に示すような、形成されるべき発熱用導電体30に対応した形となっている。このレジストパターンは、公知のフォトリソグラフィー技術を用いたパターニングにより形成することができる。
次に、レジストパターンをマスクとして、金属膜及び暗色膜をエッチングする。このエッチングにより、金属膜及び暗色膜がレジストパターンと略同一のパターンにパターニングされる。この結果、パターニングされた金属膜から、線状導電体31の一部をなすようになる導電性金属層36が、形成される。また、パターニングされた暗色膜から、線状導電体31の一部をなすようになる第1の暗色層37が、形成される。
なお、エッチング方法は特に限られることはなく、公知の方法が採用できる。公知の方法としては、例えば、エッチング液を用いるウェットエッチングや、プラズマエッチングなどが挙げられる。その後、レジストパターンを除去する。
その後、導電性金属層36の第1の暗色層37が設けられた面と反対側の面及び側面に第2の暗色層38を形成する。第2の暗色層38は、例えば導電性金属層36をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、導電性金属層36をなしていた一部分から、金属酸化物や金属硫化物からなる第2の暗色層38を形成することができる。また、導電性金属層36の表面に第2の暗色層38を設けるようにしてもよい。また、導電性金属層36の表面を粗化して第2の暗色層38を設けるようにしてもよい。
以上の工程によって、導電体付きシート20が作製される。
最後に、発熱用導電体30の側から接合層13及び基板11を積層して、導電体付きシート20と基板11とを接合する。同様に、基材フィルム21の側から接合層14及び基板12を積層して、導電体付きシート20と基板12とを接合する。これにより、図3に示した発熱板10が作製される。
以上のように、本実施の形態の発熱用導電体30は、一定の単位パターンP1を規則的に並べた配置パターンで配置された線状導電体31を有し、配置パターンは複数の開口領域33を画成し、複数の開口領域33のうちの少なくとも1つは、他の開口領域と形状が異なる。このような発熱用導電体30によれば、線状導電体31を規則的に配置することで、ちらつきを不規則に生じさせず、したがって、ちらつきが視界の妨げになりにくい。また、複数の開口領域33のうちの少なくとも1つは他の開口領域33と形状が異なることから、単位面積あたりの発熱量の大きい開口領域33が発熱用導電体30を有する発熱板10の機能を発揮する起点となり、発熱板10全体として素早く機能が発揮されることになる。すなわち、発熱板10を介した視界に発生するちらつきを目立たなくさせ、かつ、素早く発熱板10の機能を発揮させ、発熱板10を介した視界を良好に確保することができる。
また、本実施の形態の発熱用導電体30は、複数の開口領域33は、第1構成を有する複数の第1開口領域33aと、第1構成とは異なる第2構成を有する複数の第2開口領域33bと、を有し、第1開口領域33aは、規則的に配置されており、第2開口領域33bは、規則的に配置されている。このような発熱用導電体30によれば、形状が異なる開口領域33が規則的に配置されるため、発熱用導電体30を有する発熱板10の全体に亘って、規則的に発熱板の機能を発揮する起点が生じることになる。したがって、素早く発熱板10の機能を発揮することができ、発熱板10を介した視界を良好に確保することができる。
さらに、本実施の形態の発熱用導電体30において、開口領域33のうち、配線密度が最小の開口領域の配線密度は、配線密度が最大の開口領域の配線密度の15%以上96%以下である。このような発熱用導電体30によれば、開口領域33間で十分な発熱量の差を生じさせることができ、且つ、過剰な発熱むらを生じにくくすることができる。これにより、発熱用導電体30を有する発熱板10が素早く機能を発揮することができ、発熱板10を介した視界をより良好に確保することができる。
また、本実施の形態の発熱用導電体30において、単位パターンP1の各位置での法線は、全方向に亘って分布している。このような発熱用導電体30によれば、光芒が全方向に亘って延び出すため、光芒を目立たなくさせて、発熱用導電体30を有する発熱板10を介した視界をより良好に確保することができる。
さらに本実施の形態の発熱用導電体30において、単位パターンP1は、円弧または楕円弧に沿って延びる一以上の区域からなる。このような発熱用導電体30によれば、各方向への光芒が同様に形成され且つ光芒が広がって延び出すように発生する。このような光芒は視界において目立ちにくく、発熱用導電体30を有する発熱板10を介した視界をより良好に確保することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施の形態において、発熱用導電体30は図17に示した配置パターンで配置されていた。しかしながら、図17の配置パターンに限らず、他の配置パターンで発熱用導電体30が配置されていてもよい。具体例として、図20、図22および図24に示される配置パターンによって発熱用導電体30は配置され得る。図20、図22および図24の配置パターンおよび図17に示した配置パターンは、図30の基礎パターンK1における各区域を、両端部を固定して変形させることによって、および、各配置パターンに応じて規則的に欠落させることによって形成されるパターンである。図30の基礎パターンK1は、正八角形のそれぞれが連続しない4辺(正八角形の一つおきに配置された4辺)を他の正八角形と共有するように敷き詰めることで形成される。したがって、他の正八角形と共有しない辺によって、各正八角形の間に正方形が形成される。言い換えると、各正八角形の他の正八角形と共有しない辺は、正方形と共有されている。
また、図20、図22および図24の配置パターンは、それぞれ図21、図23および図25に示す一定の単位パターンP2〜P4で線状導電体31を規則的に隙間無く並べることによって、複数の開口領域33を画成する。そして、各配置パターンによって画成される複数の開口領域33には、他の開口領域と異なる形状の開口領域が含まれている。
図20、図22および図24の発熱用導電体30の配置パターンを画成する図21、図23および図25の単位パターンP2〜P4、及び、各配置パターンにおける開口領域33について、具体的に説明する。
図21の単位パターンP2は、反時計回りに順に結ばれている区域A1〜A8と、隣り合う区域A1〜A8の間の頂点を結ぶよう設けられる区域E1〜E4と、を有する。より詳しくは、区域A1〜A8は、ある正八角形の各頂点間を結んでおり、区域E1は、隣り合う区域A7,A8間の頂点と区域A4,A5間の頂点とを結んでおり、区域E2は、隣り合う区域A1,A2間の頂点と区域A6,A7間の頂点とを結んでおり、区域E3は、隣り合う区域A3,A4間の頂点と区域A8,A1間の頂点とを結んでおり、区域E4は、隣り合う区域A5,A6間の頂点と区域A2,A3間の頂点とを結んでいる。図20の配置パターンでの発熱用導電体30において、第1開口領域33aは、この順で連続する区域A1〜A8のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第2開口領域33bは、この順で連続する区域A4,E3,A8,E1のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第3開口領域33cは、この順で連続する区域A6,E4,A2,E2のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第4開口領域33dは、この順で連続する区域A5,E1,A7,E2,A1,E3,A3,E4のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。
図23の単位パターンP3は、それぞれ独立に反時計回りに順に結ばれている区域A1〜A8と、区域B1〜B8と、区域C1〜C8と、区域D1〜D8と、隣り合う区域A1〜A8、B1〜B8,C1〜C8,D1〜D8の間の頂点を結ぶよう設けられる区域E1〜E8と、を有する。より詳しくは、区域A1〜A8は、ある正八角形の各頂点間を結んでおり、区域B1〜B8は、別の正八角形の各頂点間を結んでおり、区域C1〜C8は、さらに別の正八角形の各頂点間を結んでおり、区域D1〜D8は、また別の正八角形の各頂点間を結んでいる。区域E1は、隣り合う区域A7,A8間の頂点と区域B4,B5間の頂点とを結んでおり、区域E2は、隣り合う区域A1,A2間の頂点と区域D6,D7間の頂点とを結んでおり、区域E3は、隣り合う区域A3,A4間の頂点と区域B8,B1間の頂点とを結んでおり、区域E4は、隣り合う区域A5,A6間の頂点と区域D2,D3間の頂点とを結んでいる。区域E5は、隣り合う区域D7,D8間の頂点と区域C4,C5間の頂点とを結んでおり、区域E6は、隣り合う区域B1,B2間の頂点と区域C6,C7間の頂点とを結んでおり、区域E7は、隣り合う区域D3,D4間の頂点と区域C8,C1間の頂点とを結んでおり、区域E8は、隣り合う区域B5,B6間の頂点と区域C2,C3間の頂点とを結んでいる。さらに、単位パターンP3において、この順で隣り合う区域A5,A6間の頂点、区域A4,A5間の頂点、区域B7,B8間の頂点、区域B6,B7間の頂点、区域C1,C2間の頂点、区域C8,C1間の頂点、区域D3,D4間の頂点、区域D2,D3間の頂点が、正八角形の頂点となっている。図22の配置パターンでの発熱用導電体30において、第1開口領域33aは、この順で連続する区域A1〜A8、区域B1〜B8、区域C1〜C8または区域D1〜D8のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第2開口領域33bは、この順で連続する区域D4,E7,C8,C7,E6,B1,E3,A3,A2,E2,D6,D5のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第3開口領域33cは、この順で連続する区域C5,E5,D7,E2,A1,A8,E1,B4,B3,B2,E6,C6のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第4開口領域33dは、この順で連続する区域A5,A4,E3,B8,B7,B6,E8,C2,C1,E7,D3,E4のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第5開口領域33eは、この順で連続する区域B5,E1,A7,A6,E4,D2,D1,D8,E5,C4,C3,E8のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。
図25の単位パターンP4は、それぞれ独立に反時計回りに順に結ばれている区域A1〜A8と、区域B1〜B8と、区域C1〜C8と、区域D1〜D8と、隣り合う区域A1〜A8、B1〜B8,C1〜C8,D1〜D8の間の頂点を結ぶよう設けられる区域E1〜E8と、を有する。より詳しくは、区域A1〜A8は、ある正八角形の各頂点間を結んでおり、区域B1〜B8は、別の正八角形の各頂点間を結んでおり、区域C1〜C8は、さらに別の正八角形の各頂点間を結んでおり、区域D1〜D8は、また別の正八角形の各頂点間を結んでいる。区域E1は、隣り合う区域A7,A8間の頂点と区域B4,B5間の頂点とを結んでおり、区域E2は、隣り合う区域A1,A2間の頂点と区域D6,D7間の頂点とを結んでおり、区域E3は、隣り合う区域A3,A4間の頂点と区域B8,B1間の頂点とを結んでおり、区域E4は、隣り合う区域D5,D6間の頂点と区域A2,A3間の頂点とを結んでいる。区域E5は、隣り合う区域D7,D8間の頂点と区域C4,C5間の頂点とを結んでおり、区域E6は、隣り合う区域C1,C2間の頂点と区域B6,B7間の頂点とを結んでおり、区域E7は、隣り合う区域D3,D4間の頂点と区域C8,C1間の頂点とを結んでおり、区域E8は、隣り合う区域B5,B6間の頂点と区域C2,C3間の頂点とを結んでいる。さらに、単位パターンP3において、この順で隣り合う区域A5,A6間の頂点、区域A4,A5間の頂点、区域B7,B8間の頂点、区域B6,B7間の頂点、区域C1,C2間の頂点、区域C8,C1間の頂点、区域D3,D4間の頂点、区域D2,D3間の頂点が、正八角形の頂点となっている。図24の配置パターンでの発熱用導電体30において、第1開口領域33aは、この順で連続する区域この順で連続する区域A1〜A8、区域B1〜B8、区域C1〜C8または区域D1〜D8のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第2開口領域33bは、この順で連続する区域E2,D6,E4,A2または区域E6,B6,E8,C2のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第3開口領域33cは、この順で連続する区域B5,E1,A7,A6,A5,A4,E3,B8,B7,E6,C1,E7,D3,D2,D1,D8,E5,C4,C3,E8のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第4開口領域33dは、この順で連続する区域D5,D4,E7,C8,C7,C6,C5,E5,D7,E2,A1,A8,E1,B4,B3,B2,B1,E3,A3,E4のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。
あるいは、図26および図28に示される配置パターンに従って、発熱用導電体30が配置されてもよい。図26および図28に示した配置パターンは、それぞれ図27および図29に示す一定の単位パターンP5、P6で配置された線状導電体31を一方向に規則的に並べることによって、複数の開口領域33を画成する複数のパターンユニット33Uを有しており、これら複数のパターンユニット33Uを前記一方向と非平行な方向に間隔35を空けて配列してなる。そして、各配置パターンによって画成される複数の開口領域33には、他の開口領域と異なる形状の開口領域が含まれている。
図27の単位パターンP5は、図23の単位パターンP3から、区域E1、E5、E7を除いたパターンである。区域E2が隣り合う別の単位パターンP5の区域A1,A2間の頂点と区域D6,D7間の頂点とを結び、区域E6が隣り合う別の単位パターンP5の区域B1,B2間の頂点と区域C6,C7間の頂点とを結ぶことで、単位パターンP5は一方向に連なっている。図26の配置パターンでの発熱用導電体30において、第1開口領域33aは、この順で連続する区域A1〜A8、区域B1〜B8、区域C1〜C8または区域D1〜D8のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第2開口領域33bは、この順で連続する区域A4,E3,B8,B7,B6,E8,C2,C1,C8,C7,E6,B1,E3,A3,A2,E2,D6,D5,D4,D3,E4,A5のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。
図29の単位パターンP6は、それぞれがある正八角形の各頂点間を反時計回りに結んでいる区域A1〜A8、B1〜B8、C1〜C8、D1〜D8、F1〜F8、G1〜G8、I1〜I8、J1〜J8、L1〜L8、M1〜M8、N1〜N8、O1〜O8、Q1〜Q8、R1〜R8と、これらの区域のうち隣り合う区域の間の頂点を結ぶよう設けられる区域E1〜E18と、を有する。なお、図示の都合上、ある正八角形の各頂点間を反時計回りに結んでいる区域については、区域A1〜A8以外の符号を図示せず、区域A1〜A8以外の区域の集合については、各々の区域の一部に、末尾の数字を省略した符号B,C,D,F,G,I,J,L,M,N,O,Q,Rのみを付している。区域A1〜A8とは異なる区域B1〜B8等の他の区域は、区域A1〜A8と同様の順序で連なっている。区域の配列順序は、図29中の括弧書き内の図形を参照されたい。
区域E1は、隣り合う区域A1,A2間の頂点と区域R6,R7間の頂点とを結んでいる。区域E7は、隣り合う区域F6,F7間の頂点と区域G1,G2間の頂点とを結んでいる。区域E8は、隣り合う区域D6,D7間の頂点と区域I1,I2間の頂点とを結んでいる。区域E12は、隣り合う区域J6,J7間の頂点と区域N1,N2間の頂点とを結んでいる。区域E13は、隣り合う区域L6,L7間の頂点と区域M1,M2間の頂点とを結んでいる。区域E2は、隣り合う区域A3,A4間の頂点と区域B8,B1間の頂点とを結んでいる。区域E5は、隣り合う区域C8,C1間の頂点と区域D3,D4間の頂点とを結んでいる。区域E11は、隣り合う区域J3,J4間の頂点と区域L8,L1間の頂点とを結んでいる。区域E14は、隣り合う区域M8,M1間の頂点と区域N3,N4間の頂点とを結んでいる。区域E3は、隣り合う区域A5,A6間の頂点と区域D2,D3間の頂点とを結んでいる。区域E4は、隣り合う区域B5,B6間の頂点と区域C2,C3間の頂点とを結んでいる。区域E10は、隣り合う区域I5,I6間の頂点と区域J2,J3間の頂点とを結んでいる。区域E16は、隣り合う区域O5,O6間の頂点と区域Q2,Q3間の頂点とを結んでいる。区域E17は、隣り合う区域N5,N6間の頂点と区域R2,R3間の頂点とを結んでいる。区域E6は、隣り合う区域D7,D8間の頂点と区域F4,F5間の頂点とを結んでいる。区域E9は、隣り合う区域G4,G5間の頂点と区域I7,I8間の頂点とを結んでいる。区域E15は、隣り合う区域N7,N8間の頂点と区域O4,O5間の頂点とを結んでいる。区域E18は、隣り合う区域Q4,Q5間の頂点と区域R7,R8間の頂点とを結んでいる。図28の配置パターンでの発熱用導電体30において、第1開口領域33aは、この順で連続する区域A1〜A8、B1〜B8、C1〜C8、D1〜D8、F1〜F8、G1〜G8、I1〜I8、J1〜J8、L1〜L8、M1〜M8、N1〜N8、O1〜O8、Q1〜Q8、R1〜R8のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第2開口領域33bは、この順で連続する区域A4,E2,B8,B7,B6,E4,C2,C1,E5,D3,E3,A5のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第3開口領域33cは、この順で連続する区域F5,E6,D7,E8,I1,I8,E9,G4,G3,G2,E7,F6のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第4開口領域33dは、この順で連続する区域J4,E11,L8,L7,E13,M1,E14,N3,N2,E12,J6,J5のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。第5開口領域33eは、この順で連続する区域O5,E15,N7,N6,E17,R2,R1,R8,E18,Q4,Q3,E16のそれぞれに接続要素34を配置することで形成される。
これらの配置パターンを形成する単位パターンP2〜P6についても、上述した実施の形態における単位パターンP1と同様に、各区域が円弧または楕円弧であってよい。図示した具体例として、図21の単位パターンP2の区域A1〜A8は、図18の単位パターンP1の区域A1〜A8とそれぞれ同じ構成の円弧であり、単位パターンP2の区域E1〜E4は、単位パターンP1の区域E1〜E4とそれぞれ同じ構成の円弧である。図23、図25および図27の単位パターンP3、P4、P5の区域A1〜A8、B1〜B8,C1〜C8,D1〜D8は、単位パターンP1の区域A1〜A8とそれぞれ同じ構成の円弧であり、単位パターンP3、P4の区域E1〜E4、E5〜E8は、単位パターンP1の区域E1〜E4とそれぞれ同じ構成の円弧である。図29の単位パターンP6の区域A1〜A8、B1〜B8、C1〜C8、D1〜D8、F1〜F8、G1〜G8、I1〜I8、J1〜J8、L1〜L8、M1〜M8、N1〜N8、O1〜O8、Q1〜Q8、R1〜R8は、単位パターンP1の区域A1〜A8とそれぞれ同じ構成の円弧である。また、単位パターンP6の区域E1,E7,E8,E12,E13は、単位パターンP1の区域E2と同じ構成の円弧であり、単位パターンP6の区域E2,E5,E11,E14は、単位パターンP1の区域E3と同じ構成の円弧であり、単位パターンP6の区域E3,E4,E8,E16,E17は、単位パターンP1の区域E4と同じ構成の円弧であり、単位パターンP6の区域E6,E9,E15,E18は、単位パターンP1の区域E1と同じ構成の円弧である。したがって、単位パターンP2〜P6の各位置での法線は、全方向に亘って分布する。
以上において、図20、図22、図24、図26および図28のような、図30の基礎パターンK1における各区域を、両端部を固定して変形させることによって、および、各配置パターンに応じて規則的に欠落させることによって形成されるパターンを例示したが、上述の例に限られず、図30の基礎パターンから任意に区域を欠落させることで発熱用導電体30の規則的な配置パターンとすることができる。さらには、図30の基礎パターンK1自体を発熱用導電体30の配置パターンとしてもよい。すなわち、基礎パターンは、一つの交点(分岐点32)に三以上の区域(接続要素34)が繋がることによって形成されている。そして、この基礎パターンは、一定の単位パターンを規則的に並べたパターンとなっている。この基礎パターンは、複数種類の開口領域を画成し、各種類の開口領域が規則的に配列されるようになっている。さらに、基礎パターンの区域を直線ではなく、曲線、折れ線、又は、直線と曲線との組み合わせに変更したり、基礎パターンの区域を欠落させたりしたとしても、別の一定の単位パターンを規則的に並べた配置パターンとすることができる。この場合、発熱用導電体30は、結果として、一定の単位パターンを規則的に並べた配置パターンで配置された線状導電体を有することになる。したがって、これらの発熱用導電体30においても、図17の発熱用導電体30の配置パターンと同様に、線状導電体31を規則的に配置することで、ちらつきを不規則に生じさせず、単位面積あたりの発熱量の大きい開口領域33が発熱板10の機能を発揮する起点となり発熱板10全体として素早く機能が発揮されることになる。すなわち、発熱板10を介した視界に発生するちらつきを目立たなくさせ、かつ、素早く発熱板10の機能を発揮させ、発熱板10を介した視界を良好に確保することができる。さらに、図18の例と同様に、図21、図23、図25に示した単位パターンP2〜4の各位置での法線は、全方向に亘って分布しているため、光芒が全方向に亘って延び出して、光芒を目立たなくさせる。したがって、図20、図22、図24に示した配置パターンで発熱用導電体30が配置された発熱板10を介した視界をより良好に確保することができる。
なお、基礎パターンは、正八角形のそれぞれが連続しない4辺を他の正八角形と共有するように敷き詰めることで形成される図30の基礎パターンK1に限られない。以下に、基礎パターンの例として、図31〜図37の基礎パターンK2〜K8について具体的に述べる。
図31に示す基礎パターンK2は、正十二角形のそれぞれが連続しない6辺(正十二角形の一つおきに配置された6辺)を他の正十二角形と共有するように敷き詰めることで形成される。その結果、他の正十二角形と共有しない辺によって、各正十二角形の間に正三角形が形成される。つまり、図31に示された基礎パターンK2は、正十二角形形状となる複数の開口領域と、互いに向きが180°異なる2種類の正三角形形状となる複数の開口領域と、を画成する。そして、正十二角形形状となる複数の開口領域は規則的に配列され、一の種類の正三角形形状となる複数のパターンも規則的に配列され、他の種類の正三角形形状となる複数の開口領域も規則的に配列される。
図32に示す基礎パターンK3は、正十二角形のそれぞれが連続しない6辺を正方形と共有し、正方形が他の正十二角形と辺を共有することで、各正十二角形が正方形を介して他の正十二角形に接続するように敷き詰めることで形成される。その結果、正十二角形と正方形とが共有しない辺によって、各正十二角形および正方形の間に、正六角形が形成される。
図33に示す基礎パターンK4は、正六角形の各辺を正三角形と共有し、正三角形が他の正六角形と辺を共有することで、各正六角形が正三角形を介して他の正六角形に接続するように敷き詰められることで形成される。
図34に示す基礎パターンK5は、正六角形の各辺を正方形と共有し、正方形が他の正六角形と辺を共有することで、各正六角形が正方形を介して他の正六角形に接続するように敷き詰められることで形成される。その結果、正六角形と共有しない正方形の辺によって、各正方形の間に正三角形が形成される。
図35に示す基礎パターンK6は、次のように形成される。まず、正六角形Haのそれぞれが連続しない3辺を正三角形Ta1〜Ta3とそれぞれ共有する。また、正三角形Ta1〜Ta3と同じ構成、すなわち正三角形Ta1〜Ta3と同じ大きさで同じ向きの正三角形Ta4〜Ta9が、正六角形Haとそれぞれ頂点を共有している。正三角形Ta1と頂点を共有する正三角形Ta4は、正三角形Ta2と頂点を共有する正三角形Ta5とも頂点を共有する。正三角形Ta2と頂点を共有する正三角形Ta6は、正三角形Ta3と頂点を共有する正三角形Ta7とも頂点を共有する。正三角形Ta3と頂点を共有する正三角形Ta8は、正三角形Ta1と頂点を共有する正三角形Ta9とも頂点を共有する。この正六角形Haと辺または頂点を共有する正三角形Ta1〜Ta9と、同様の構成を有する別の正六角形Hbと辺または頂点を共有する正三角形Tb1〜Tb9とは、正三角形Ta4とTb3、Ta5とTb7がそれぞれ重なる。また、正六角形Haと辺または頂点を共有する正三角形Ta1〜Ta9と、同様の構成を有するさらに別の正六角形Hcと辺または頂点を共有する正三角形Tc1〜Tc9とは、正三角形Ta2とTc9、Ta6とTc8がそれぞれ重なる。以上のように正六角形および正三角形を敷き詰めることで、基礎パターンK6は形成される。その結果、正六角形および正三角形の共有しない辺によって、敷き詰めた正三角形と180°向きの異なる正三角形が複数形成される。
図36に示す基礎パターンK7は、正方形が辺を共有しながら一方向に連続し、各正方形の他の正方形と共有しない片側の一辺が正三角形と共有し、正三角形の頂点が別の正方形の頂点と重なるように敷き詰められることで形成される。したがって、各正方形の正三角形と共有しない辺と、各正三角形の正方形と共有しない辺と、によって、別の正三角形が形成される。
図37に示す基礎パターンK8は、正方形の各辺を正三角形と共有し、正三角形の正方形と共有しない2辺がそれぞれ別の正方形と別の正三角形と共有されるように敷き詰められることで形成される。
図31〜図37のいずれの基礎パターンK2〜K8においても、図30の基礎パターンと同様に、基礎パターンから任意に区域を欠落させて発熱用導電体30の発熱用導電体30の規則的な配置パターンとすることができる。これらの基礎パターンK2〜K8に従って画成される開口領域はいずれも、非真円状であって、多角形の隣り合う頂点の間に延びる複数の区域を結ぶことにより画成されている。また、直線状として図示された各区域を曲線、折れ線、又は、直線と曲線との組み合わせとしてもよい。さらには、基礎パターンK2〜K8自体を発熱用導電体30の配置パターンとしてもよい。このような発熱用導電体30においても、線状導電体31を規則的に配置することで、ちらつきを不規則に生じさせず、単位面積あたりの発熱量の大きい開口領域33が発熱板10の機能を発揮する起点となり発熱板10全体として素早く機能が発揮されることになる。すなわち、発熱板10を介した視界に発生するちらつきを目立たなくさせ、かつ、素早く発熱板10の機能を発揮させ、発熱板10を介した視界を良好に確保することができる。さらに、図17,図20,図22,図24の例のように、各区域を円弧または楕円弧にすることにより各位置での法線を全方向に亘って分布させてもよい。基礎パターンから任意に区域を欠落させてなる発熱用導電体30の配置パターンを形成する単位パターンの各位置での法線を、全方向に亘って分布させると、光芒が全方向に亘って延び出させることができる。したがって、光芒を目立たなくさせて、発熱板10を介した視界をより良好に確保することができる。
ところで、基礎パターンにおいて、一つの交点(分岐点32)に集まる区域(接続要素34)が多くなるほど、発熱板10を介した視界において分岐点32が視認されやすくなる。したがって、一つの交点に集まる区域が少ない方が好ましい。具体的には4つ以下であることが好ましく、3つであることがより好ましい。基礎パターンK1〜K3では、一つの交点に集まる区域は3つであり、基礎パターンK4,K5では、一つの交点に集まる区域は4つであり、基礎パターンK6〜K8では、一つの交点に集まる区域は5つ以上である。
上述した実施の形態では、発熱板10が、基材フィルム21を有している導電体付きシート20を備える例を示したが、製造過程において基材フィルム21を剥離させる等によって、発熱板10中に基材フィルム21を有さないようにしてもよい。この場合、発熱板10の全体を薄型にすることができ、また軽量化することができる。さらに、発熱用導電体30から生じる熱を、発熱板10全体により早く伝達させることもできる。
前述した実施の形態において、発熱板10が曲面状に形成されている例を示したが、この例に限られず、発熱板10が、平板状に形成されていてもよい。
発熱板10は、自動車1のリアウィンドウ、サイドウィンドウやサンルーフに用いてもよい。また、自動車以外の、鉄道車両、航空機、船舶、宇宙船等の乗り物の窓或いは扉の透明部分に用いてもよい。
さらに、発熱板10は、乗り物以外にも、特に室内と室外とを区画する箇所、例えばビルや店舗、住宅の窓或いは扉の透明部分、建物の窓又は扉、冷蔵庫、展示箱、戸棚等の收納乃至保管設備の窓あるいは扉の透明部分等に使用することもできる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。