JP2018059763A - ステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法 - Google Patents

ステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ステンレス鋼材の使用状態をより正確に推定する方法及びステンレス鋼材の余寿命を算出する方法を提供する。【解決手段】ステンレス鋼材のレプリカあるいはサンプルを取得し、表面をエッチング処理し、表面におけるσ相の粒子径を計測し、σ相の粒子径に基づいてステンレス鋼からなる部材の使用温度を算出する。続いて全寿命を求め、全寿命から使用時間を減算することによって余寿命を求める。【選択図】図3

Description

本発明は、ステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法に関するものである。
例えばボイラ施設等のプラントでは、高温の流体を案内するためのステンレス鋼からなる配管が用いられている。近年においては、プラント等のメンテナンスを正確かつ効率的に行うために、ステンレス鋼からなる部材(以下、ステンレス鋼材)の余寿命を予測し、この予測結果に基づいて交換や補修時期を決定する手法が用いられてきている。例えば、特許文献1においては、ステンレス鋼材に析出したσ相の面積率を取得し、この面積率に基づいてステンレス鋼材の経年損傷を評価する方法が開示されている。
特開平11−108921号公報
特許文献1では、ステンレス鋼材の一部を撮像し、その結果得られた画像の全体におけるσ相の面積の割合を面積率としている。しかしながら、ステンレス鋼材に析出したσ相の面積率は、ステンレス鋼材の寿命との相関性が高くない。このため、σ相の面積率を用いた従来方法では、ステンレス鋼材の寿命を正確に求めることができない。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ステンレス鋼材の使用状態をより正確に推定可能とすることを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
第1の発明は、ステンレス鋼材使用温度推定方法であって、ステンレス鋼からなる部材の表面におけるσ相の大きさを計測するσ相計測工程と、σ相の大きさに基づいて上記ステンレス鋼からなる部材の使用温度を算出する使用温度算出工程とを有するという構成を採用する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記σ相の大きさとして、上記表面における複数のσ相の平均大きさを用いるという構成を採用する。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記σ相の大きさとして、上記表面におけるσ相の露出面積を円換算した場合の円直径であるσ相粒子径を用いるという構成を採用する。
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記使用温度算出工程にて、上記σ相の大きさとラーソンミラーパラメータとの関係に基づいて上記使用温度を算出するという構成を採用する。
第5の発明は、上記第1〜第4いずれかの発明において、上記σ相計測工程にて、上記表面を撮像した画像に含まれるσ相に基づいて上記σ相の大きさを求めるという構成を採用する。
第6の発明は、上記第5の発明において、上記画像の撮像範囲から食み出しているσ相を排除して上記σ相の大きさを求めるという構成を採用する。
第7の発明は、ステンレス鋼材寿命算出方法であって、上記第1〜第6いずれかの発明であるステンレス鋼材使用温度推定方法によって得られた上記使用温度に基づいて、上記ステンレス鋼からなる部材の全寿命あるいは余寿命を算出するという構成を採用する。
本発明によれば、ステンレス鋼材の表面に析出したσ相の大きさに基づいてステンレス鋼材の使用温度を算出している。ステンレス鋼材の表面に析出したσ相の大きさと、ステンレス鋼材の使用温度との間には、高い相関性が確認された。このため、σ相の大きさに基づいて正確にステンレス鋼材の使用温度を算出することができる。ステンレス鋼材の使用温度を正確に求めることができれば、ステンレス鋼材の余寿命を正確に求めることが可能となる。したがって、本発明によれば、ステンレス鋼材の使用状態をより正確に推定可能とすることができ、さらにはステンレス鋼材の余寿命についても正確に求めることができる。
ラーソンミラーパラメータ(LMP)と、σ相粒子径との関係を示したグラフである。 (a)が、ラーソンミラーパラメータ(LMP)と、σ相面積率との関係を示したグラフであり、(b)が、ラーソンミラーパラメータ(LMP)と、σ相の個数密度との関係を示したグラフである。 本発明の一実施形態におけるステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法を説明するためのフローチャートである。 使用温度(T)が750℃であり、使用圧力が100MPaであり、使用時間(tr)が1131.5時間のオーステナイト系のステンレス鋼からなる配管に対してエッチング処理を行った結果を示す写真である。 使用温度(T)が750℃であり、使用圧力が80MPaであり、使用時間(tr)が2633.5時間のオーステナイト系のステンレス鋼からなる配管に対してエッチング処理を行った結果を示している。 (a)が、画像処理を行う前の画像を示しており、(b)が、二値化処理によりσ相のみを抽出した画像を示している。 本発明の一実施例で用いた試験体も模式図である。 本発明の一実施例におけるσ相の平均粒子径と画像におけるσ相の個数とを含む表である。 ラーソンミラーパラメータ(LMP)と、σ相粒子径との関係を示したグラフに実施例の粒子径を当てはめた様子を示す説明図である。
以下、図面を参照して、本発明に係るステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法の一実施形態について説明する。
まず、図1及び図2を参照して本実施形態のステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法の考え方について説明する。図1は、ラーソンミラーパラメータ(LMP)と、σ相粒子径との関係を示したグラフである。また、図2(a)は、ラーソンミラーパラメータ(LMP)と、σ相面積率との関係を示したグラフである。また、図2(b)は、ラーソンミラーパラメータ(LMP)と、σ相の個数密度との関係を示したグラフである。
なお、ラーソンミラーパラメータ(LMP)は、使用温度(T)と、使用時間(tr)をパラメータとして求められる値であり、下式(1)に基づいて算出される。式(1)におけるCは、材料定数である。なお、図1のグラフを求めるにあたり、オーステナイト系のステンレス鋼を用いており、材料定数Cとして「14.5」と用いている。また、使用温度(T)はステンレス鋼材が晒された温度を示し、使用時間(tr)はステンレス鋼材が高温流体に晒された期間を示している。
図1におけるσ相粒子径は、ステンレス鋼材の表面に析出したσ相の露出面積を円換算して得られる円直径を示している。具体的には、ステンレス鋼材の表面を撮像し、画像に含まれるσ相の面積をσ相1つずつについて求め、σ相の面積と同一面積となる円の直径を各々のσ相の粒子径として求める。つまり、σ相粒子径は、ステンレス鋼材の表面に析出したσ相の大きさを示すものである。なお、図1のグラフを求めるに当たり、1つの画像に含まれる複数のσ相の粒子径を平均したものをσ相粒子径として用いている。
図1に示すように、使用温度(T)と使用時間(tr)とを変化させて複数の条件にてσ相粒子径を取得すると、ラーソンミラーパラメータ(LMP)と、σ相粒子径との間には、二次関数にて示される相関性があることが確認できる。
図2(a)におけるσ相の面積率は、ステンレス鋼材の表面に対するσ相の面積の割合を示しており、特許文献1において損傷評価に用いられている値である。ここでのσ相の面積率は、ステンレス鋼材の表面を撮像装置により撮像し、得られた画像全体の面積に対する画像に含まれるσ相の面積の割合により求めている。また、図2(b)におけるσ相の個数密度は、ステンレス鋼材の表面の単位面積に当たりにおけるσ相の数を示している。ここでのσ相の個数密度は、ステンレス鋼材の表面を撮像装置により撮像し、得られた画像の単位面積当たりのσ相の個数をカウントすることにより求めている。
図2(a)に示すように、使用温度(T)と使用時間(tr)とを変化させて複数の条件にてσ相の面積率を取得すると、ラーソンミラーパラメータ(LMP)とσ相の面積率との間には、高い相関性が得られないことが確認された。また、図2(b)に示すように、使用温度(T)と使用時間(tr)とを変化させて複数の条件にてσ相の個数密度を取得すると、ラーソンミラーパラメータ(LMP)とσ相の面積率との間には、高い相関性が得られないことが確認された。
図1及び図2に示したグラフから明らかなように、ラーソンミラーパラメータ(LMP)とσ相の大きさとの間には高い相関性があるのに対して、ラーソンミラーパラメータ(LMP)とσ相の面積率あるいは個数密度との間には相関性がない。また、ラーソンミラーパラメータ(LMP)は、使用温度(T)をパラメータとするものであることから、使用温度(T)とσ相の大きさとの間には高い相関性があることが分かる。本実施形態のステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法は、上述の事実に基づくものであり、σ相の大きさに基づいてステンレス鋼材の使用温度、または余寿命等を求めようとするものである。
図3は、本実施形態のステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法を説明するためのフローチャートである。なお、ステンレス鋼材については特に限定されるものではないが、本実施形態では、一例としてボイラ設備における過熱器や再熱器に用いられるオーステナイト系のステンレス鋼からなる伝熱管であるものとする。
図3に示すように、本実施形態では、まずステンレス鋼材のレプリカあるいはサンプルを取得する(ステップS1)。ここで、レプリカとは、伝熱管の表層の一部を削ることで得られたものを意味する。また、ここでサンプルとは、伝熱管を切断して得られたものを意味する。
続いて、本実施形態ではステップS1で取得されたレプリカあるいはサンプル(以下、レプリカ等と称する)に対してエッチング処理を施す(ステップS2)。このエッチング処理は、レプリカ等の表面をエッチング液で洗浄することにより、レプリカ等の表面に析出したσ相を後の画像処理において識別しやすくするための処理である。例えば、ステップS2では、エッチング液としてシュウ酸を用いる電解エッチングを行う。
図4及び図5は、ステンレス鋼材からなる試験体に対してエッチング処理を行った結果を示す写真である。図4は、使用温度(T)が750℃であり、使用圧力が100MPaであり、使用時間(tr)が1131.5時間のオーステナイト系のステンレス鋼からなる配管に対してエッチング処理を行った結果を示している。なお、図4(a)は、室温、電圧10V、電流0.5A、エッチング時間5秒の条件にてシュウ酸をエッチング液としてエッチング処理を行った結果である。また、図4(b)は、室温、電圧2V、電流0.1A、エッチング時間1〜10秒の条件にてシュウ酸をエッチング液としてエッチング処理を行った結果である。
図5は、使用温度(T)が750℃であり、使用圧力が80MPaであり、使用時間(tr)が2633.5時間のオーステナイト系のステンレス鋼からなる配管に対してエッチング処理を行った結果を示している。なお、図5(a)は、室温、電圧10V、電流0.5A、エッチング時間5秒の条件にてシュウ酸をエッチング液としてエッチング処理を行った結果である。また、図5(b)は、室温、電圧2V、電流0.1A、エッチング時間1〜10秒の条件にてシュウ酸をエッチング液としてエッチング処理を行った結果である。
図4(a)と図4(b)とを比較すると、図4(b)に示す結果の方がσ相の輪郭が明確となり、よりσ相を識別しやすくなっている。また、図5(a)と図5(b)とを比較すると、図5(b)に示す結果の方がσ相の輪郭が明確となり、よりσ相を識別しやすくなっている。つまり、エッチング処理の条件を適切に設定することによって、後の画像処理においてよりσ相の識別を容易にすることが可能となる。
続いて、本実施形態では、ステップS2でエッチング処理されたレプリカ等の表面に露出したσ相の粒子径の計測を行う(ステップS3)。ここでは、レプリカ等の表面をカメラで撮像し、撮像された画像を画像処理(例えば二値化処理)することによりσ相のみを抽出する。次に、抽出されたσ相の数と各々のσ相の面積を求める。次に、全てのσ相の面積の総和をσ相の数で割ることによって、σ相の平均面積を求める。次に、求めた平均面積と同一面積とされた円の直径を求め、この直径をσ相の粒子径とする。なお、図6(a)は、画像処理を行う前の画像を示しており、図6(b)は二値化処理によりσ相のみを抽出した画像を示している。
なお、画像処理の際に、画像の撮像範囲(視野)から一部が食み出したσ相は排除してσ相の粒子径を求めることが好ましい。つまり、画像のエッジに一部が掛かるσ相は、σ相の個数及び面積の総和を求める際に排除することが好ましい。これによって、画像からでは析出面積を確定できないσ相を除いてσ相の粒子径を求めることができるため、より正確にσ相の粒子径を求めることができる。
続いて、本実施形態では、ステップS3で求められたσ相の粒子径(すなわち大きさ)に基づいて、レプリカ等(すなわち配管)の使用温度(T)を算出する(ステップS4)。ここでは、図1に示すような、予め実験やシミュレーションによって求められたラーソンミラーパラメータ(LMP)とσ相の粒子径との関係に対して、ステップS3で求めたσ相の粒子径を当てはめ、ラーソンミラーパラメータ(LMP)を求める。さらに、求めたラーソンミラーパラメータ(LMP)と、既知の使用時間(tr)とを用いて、上述した式(1)から使用温度(T)を算出する。
なお、上述のようにステップS1〜ステップS4によってレプリカ等が採取された配管の使用温度(T)が求められる。つまり、本実施形態においては、ステップS1〜ステップS4が本発明のステンレス鋼材使用温度推定方法に相当する。さらに、ステップS3は、本発明における、ステンレス鋼からなる部材の表面におけるσ相の大きさを計測するσ相計測工程に相当する。また、ステップS4は、本発明における、σ相の大きさに基づいてステンレス鋼からなる部材の使用温度を算出する使用温度算出工程に相当する。
また、レプリカ等が既に採取されているような場合にはステップS1を省略することができる。また、エッチング処理を行わなくてもσ相が識別容易である場合にはステップS2を省略することも可能である。つまり、本発明において、ステップS1及びステップS2は必須の工程ではない。
上述のように使用温度(T)が算出されると、続いて本実施形態では、余寿命の算出を行う(ステップS5)。例えば、下式(2)に基づいて、レプリカ等が採取された配管の全寿命を求め、全寿命から使用時間(tr)を減算することによって余寿命を求めることができる。なお、下式(2)において、P、Q、R、S、U、Vは、クリープ試験結果から求めた回帰曲線の係数である。また、Cは材料定数、αは信頼区間に対応する係数である。
以上のような本実施形態のステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法によれば、ステンレス鋼材の表面に析出したσ相の大きさに基づいてステンレス鋼材の使用温度(T)を算出している。ステンレス鋼材の表面に析出したσ相の大きさと、ステンレス鋼材の使用温度との間には、高い相関性が存在する。このため、σ相の大きさに基づいて正確にステンレス鋼材の使用温度(T)を算出することができる。ステンレス鋼材の使用温度(T)を正確に求めることができれば、ステンレス鋼材の余寿命を正確に求めることが可能となる。したがって、本実施形態のステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法によれば、ステンレス鋼材の使用状態をより正確に推定可能とすることができ、さらにはステンレス鋼材の余寿命についても正確に求めることができる。
また、本実施形態のステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法では、σ相の大きさとして、複数のσ相の平均大きさ(粒子径)を用いている。このため、σ相の大きさのバラツキを吸収することができ、より正確に使用温度(T)を求めることが可能となる。
また、本実施形態のステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法においては、σ相の大きさとして、表面におけるσ相の露出面積を円換算した場合の円直径であるσ相粒子径を用いている。このため、各々のσ相の形状に依存することなくσ相の大きさを求めることが可能となる。したがって、σ相の形状に依存することなく使用温度(T)を求めることができる。
また、本実施形態のステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法において、σ相の大きさとラーソンミラーパラメータ(LMP)との関係に基づいて使用温度(T)を求めている。ラーソンミラーパラメータ(LMP)を用いることによって、σ相の大きさの他、使用時間(tr)のみで使用温度(T)を求めることが可能となる。
また、本実施形態のステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法においては、ステンレス鋼材の表面を撮像した画像に含まれるσ相に基づいてσ相の大きさを求めている。このため、画像処理によってσ相の大きさを容易に計測することが可能となる。
また、本実施形態のステンレス鋼材使用温度推定方法及びステンレス鋼材寿命算出方法においては、画像の撮像範囲から一部が食み出したσ相は排除してσ相の粒子径を求めることができる。この場合には、析出面積を確定できないσ相を除いてσ相の大きさを求めることができるため、より正確にσ相の大きさを求めることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、σ相の大きさとしてσ相の粒子径を用いる構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、σ相の大きさとしてσ相の面積や縦横比等を用いることも可能である。
また、上記実施形態においては、複数のσ相の平均大きさをσ相の大きさとして用いる構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、単一のσ相の大きさに基づいて使用温度(T)を推定することも可能である。特に、面積が大きなσ相は、ステンレス鋼に含まれるクロムの拡散(使用時間)に依存して大きくなることが想定される。このため、最も大きなσ相や他のσ相よりも比較的大きなσ相に基づいて使用温度(T)を求めることも可能である。さらに、複数のσ相の平均大きさをσ相の大きさとする場合に、大きなものから一定の割合(例えば上位10%)のσ相のみを用いて平均大きさを求めるようにしても良い。
また、上記実施形態においては、オーステナイト系のステンレス鋼からなる部材の使用温度(T)や余寿命を算出する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、他のステンレス鋼(例えばフェライト系のステンレス鋼)からなる部材の使用温度(T)や余寿命を算出することも可能である。
続いて、図7〜図9を参照して、本発明の実施例について説明する。本実施例では、図7に示すように、オーステナイト系のステンレス鋼からなる配管状の試験体Xに対して、内側に高圧かつ高温のガスを流し、ガスの内圧によって試験体Xの外径が変化するようにクリープ変形させる実験を行った。この実験においては、試験体Xの使用温度(T)は750℃、応力は60MPa、破断時間は6486.4時間であった。
破断後の試験体Xの表面の5箇所を撮像し、各々の画像に基づいて、上記実施形態と同様の手法によりσ相の平均粒子径を求め、画像におけるσ相の個数とをカウントした。図8は、各画像におけるσ相の平均粒子径と画像におけるσ相の個数とを示す表である。なお、図8には、画像におけるσ相の面積率と、画像におけるσ相の総面積とを合せて載せている。
5つの画像の各々で求められた平均粒子径をさらに平均化した値(4.62μm)を上記実施形態におけるσ相の大きさとし、図9に示す予め求められた関係曲線からラーソンミラーパラメータ(LMP)を求め、ラーソンミラーパラメータ(LMP)から使用温度(T)を求めたところ、使用温度(T)は758.1℃となった。この値は、試験体Xの実際の使用温度750℃に極めて近似する値となった。したがって、本発明のステンレス鋼材使用温度推定方法によれば、正確に使用温度を求めることができることが確認できた。
S1〜S5……ステップ、X……試験体

Claims (7)

  1. ステンレス鋼からなる部材の表面におけるσ相の大きさを計測するσ相計測工程と、
    σ相の大きさに基づいて前記ステンレス鋼からなる部材の使用温度を算出する使用温度算出工程と
    を有することを特徴とするステンレス鋼材使用温度推定方法。
  2. 前記σ相の大きさとして、前記表面における複数のσ相の平均大きさを用いることを特徴とする請求項1記載のステンレス鋼材使用温度推定方法。
  3. 前記σ相の大きさとして、前記表面におけるσ相の露出面積を円換算した場合の円直径であるσ相粒子径を用いることを特徴とする請求項1または2記載のステンレス鋼材使用温度推定方法。
  4. 前記使用温度算出工程にて、前記σ相の大きさとラーソンミラーパラメータとの関係に基づいて前記使用温度を算出することを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載のステンレス鋼材使用温度推定方法。
  5. 前記σ相計測工程にて、前記表面を撮像した画像に含まれるσ相に基づいて前記σ相の大きさを求めることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載のステンレス鋼材使用温度推定方法。
  6. 前記画像の撮像範囲から食み出しているσ相を排除して前記σ相の大きさを求めることを特徴とする請求項5記載のステンレス鋼材使用温度推定方法。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載のステンレス鋼材使用温度推定方法によって得られた前記使用温度に基づいて、前記ステンレス鋼からなる部材の全寿命あるいは余寿命を算出することを特徴とするステンレス鋼材寿命算出方法。
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