JP2019074389A - 配管検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】非接触で配管内壁の減肉を高精度で検査できる配管検査装置を提供する。【解決手段】配管検査装置1は、配管の表面温度の位置分布データを非接触で検出する温度画像取得手段2と、当該温度画像取得手段が検出する表面温度の位置分布を用いて配管内壁に生じた減肉の存在の有無を判定する処理手段とを有し、温度画像取得手段は、表面温度の位置分布データである絶対温度画像を所定時間間隔で複数枚の撮像を行い、処理手段3は時間間隔で検出される表面温度の位置分布データから、表面位置ごとに絶対温度の画像間における変化率を算出する変化率算出手段と、表面位置ごとに、近接表面位置との上記絶対温度の画像間における変化率の差分を算出する位置差分算出手段と、近接表面位置との上記絶対温度の画像間における変化率の差分が他の位置よりも相対的に大きい位置が連続している線分図形を推定する輪郭推定手段とからなることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、製油所等のプラントに設けられる配管を検査するための配管検査装置に関するものであり、特に非接触で検査を行う配管検査装置に関するものである。
製油所等のプラントには、大量の配管が設けられており、例えば、配管の総延長が700km〜800kmに達するプラントがある。配管を流れる流体はプラントにより異なるが、程度の差こそあれ、配管の内壁は流体によって機械的な摩耗や化学的な腐食が生じて継時劣化する。この劣化が特に問題になるのは、配管内壁の特定箇所が著しく減肉する場合である。このような減肉によって、配管に孔が開くといった事故を防止するため、定期的な検査が必要である。検査の方法としては超音波測定があるが、検査機材を配管に取り付ける等の作業が必要であり、時間とコストが掛かるため、大量の配管の検査には適していない。
そのため、配管の減肉を非接触で遠隔より検査できる配管検査装置が提案されている。この配管検査装置は、配管を外部からランプで遠隔加熱するとともに、遠隔加熱によって上昇する配管表面の温度を赤外線カメラで測定し、配管表面の温度の基準値からの差に基づいて配管の肉厚を推定する。配管の表面状態の不均一による誤差を補正するため、配管の検査に先立って、配管表面の赤外線放射率のマップが作成される(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記の配管検査装置では、大きな検査コストが掛かるという課題があった。その理由は、配管を遠隔加熱するので、加熱のエネルギー効率が低いためである。さらに、赤外線放射率のマップは、作成に時間とコストが掛かり、作成後も、錆びの進行等の配管の表面状態の経時変化に対応して更新する必要があることも、検査コストを増大させる要因であった。
また、プラントにおける配管は、プラントの運転条件等の変化によって、管内の流体の温度や流量が一定にならないため、流体が配管を内側から加熱する熱量が変化し、配管肉厚の推定値に誤差が生じるという別の課題もあった。
そこで、本発明の発明者らは、配管の管内に気温よりも高温の流体が流れ、その温度及び流量の少なくとも一方が時間変化する配管を検査することで、外部からの加熱を不要とする配管検査装置を開発した。この装置は、配管表面の温度を所定の時間間隔で測定し、測定した温度の値を画素ごとに有する温度画像を形成する赤外線カメラと、前記赤外線カメラが形成した温度画像を処理する処理部とを備え、前記処理部は、前記温度画像に基づいて、配管が加熱中であることを検出するとともに、配管表面の絶対温度の変化率の分布を算出することを特徴とするものである(例えば、特許文献2)。
この配管測定装置は、配管の厚みが薄いほど、内壁から表面への熱伝導が迅速に生じることを利用して減肉の存在を検知している。すなわち、減肉がある個所では配管厚みが薄くなるため、減肉がない箇所に比べて、表面温度の上昇速度が速い。そこで、赤外線カメラを用いて、所定時間間隔で表面温度を測定し、その変化率が大きければ減肉があると判断できる。
ただし、減肉がある個所と無い箇所との変化率の差は非常に小さく、測定誤差と同等である。したがって、普通に測定すると、いわゆるシグナルがノイズに埋もれた状態となり、減肉の存在を正確に検知することができない。
そこで、この装置においては、測定データの処理方法を工夫することで、検出精度を向上させている。
特開2008−134221 特開2013−228306
本発明は、特許文献2に開示された配管検査装置の持つ特長と課題を分析することから出発している。そこで、特許文献2に開示された配管検査装置の概要について、図9を用いて説明する。
まず、測定原理は、配管の厚みが薄い箇所ほど、内壁から表面への熱伝導が迅速に生じることを利用し、配管加熱時の温度上昇が速い箇所に減肉が存在すると推定するものである。
しかし、シグナルとなる温度上昇の位置依存性は非常に小さく、一方で、測定時のノイズ要因は大きく、シグナルがノイズに埋もれてしまうというのが現実の状況であり、この配管検査装置の根本的な課題であった。
そこで、ノイズ要因を減少させるために、以下の工夫を行った。
ノイズ要因として第一に考慮したのは、被測定物である配管の表面状態の不均一であり、傷や錆、表面粗さといったものから生じる放射率の位置ばらつきである。このばらつきの影響を減少させるために、所定の時間間隔で温度画像を撮像し、画素ごとに測定絶対温度の画像間除算値(=絶対温度の変化率)を算出した。放射率の温度依存性は小さく、測定を行った温度範囲では常数とみなすことができる。したがって、画像間除算を行うことで、放射率の係数項はキャンセルできた。以上により、放射率の位置ばらつきは、ほぼ完全にキャンセルすることが可能となり、配管の表面状態を考慮することなく検査を行えるようになった。
ただし、画像間除算は、放射率の位置ばらつきをキャンセルできるものの、熱ノイズの影響は改善できない。そこで、所定の時間間隔で温度画像を多数枚撮像し、複数の絶対温度の変化率を演算、それらを時間平均化することで、ランダムな時間ばらつきを低減した。
さらに、これらのノイズ要因の効果を低減するために、各画素における変化率を全画素にわたってヒストグラム化し、そのヒストグラム波形の広がり、すなわち、変化率のばらつき幅を求め、この幅が大きい時には減肉が存在すると判定している。
以上のような統計処理を行うことによって、表面温度の変化率という微小シグナルをノイズから抽出して顕在化させることで、減肉の存在を検知している。
以上のような高度な処理を行っても、残存する課題が存在する。残存する課題について、図10にまとめる。
第一の課題は、検査領域(撮像領域)内に減肉が存在することを推定できるが、減肉の大きさ、形状、分布等は推定できないことである。特許文献2の図4や図5に示されているように、計測する配管箇所全体の各画素における絶対温度の変化率を横軸とするヒストグラムの変化により減肉の存在を判断していたため、温度画像の位置情報は実質的に使われず、したがって、減肉の大きさ等の推定は困難である。
第二の課題は、なだらかな減肉は検出できないという問題である。この点について図11を用いて説明する。図11(a)は、エッジが急峻な減肉の形状と、その場合に生じる配管表面における絶対温度の時間微分値の位置分布を示している。絶対温度の時間微分値の位置分布は、減肉の形状にほぼ対応したものとなる。
一方、図11(b)は、減肉の形状がなだらかな場合である。絶対温度の時間微分値の位置分布は、ピーク値が低くなり、その幅も減少している。配管厚み方向だけではなく、配管面方向への熱伝導も生じるため、なだらかな減肉形状においては、シグナルが大幅に低下すると考えられる。
以上のように、特許文献2に開示された配管検査装置は、検出できる減肉形状が制限され、且つ検出した減肉の大きさや形状等も知ることができないため、配管検査の一次スクリーニングのための検査装置としては適しているものの、その後にさらに詳細な検査が必要であった。
また、実際の現場における検査においては、特許文献2において考慮されていないノイズ要因が存在する。第三の課題である。この装置の構成上の最大の特徴は、配管を流れる熱流体を熱源として、配管温度を上昇させることである。この装置に固有の構成から、固有の課題が生じる。それは、流体の流れが不均一性を有することで生じるノイズ要因であり、言わば「熱源ばらつき」と表現できるものである。実際の検査においては、熱流体の流し方等を考慮すれば、熱流体が乱流になることはない。しかし、定常流であっても、測定のばらつき要因になる。例えば、重力により熱流体は配管の下側を流れる。したがって、配管の側面を検査する際には、検査領域(撮像領域)の上側と下側で与えられる熱量に大きな差が生じる。この位置ばらつきは表面絶対温度の変化率を用いてもキャンセルできないものである。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、特許文献2に開示された装置の持つ優れた特長を有するととともに、この装置の抱える課題を克服した配管検査装置を提供するものである。
本発明に係る配管検査装置は、
配管の表面温度の位置分布データを非接触で検出する温度画像取得手段と、
当該温度画像取得手段が検出する上記表面温度の位置分布を用いて配管内壁に生じた減肉の存在の有無を判定する処理手段と
を有し、
上記温度画像取得手段は、上記表面温度の位置分布データである絶対温度画像を所定時間間隔で複数枚の撮像を行い、
上記処理手段は、
上記所定時間間隔で検出される上記表面温度の位置分布データから、表面位置ごとに絶対温度の画像間における変化率を算出する変化率算出手段と、
表面位置ごとに、近接表面位置との上記絶対温度の画像間における変化率の差分を算出する位置差分算出手段と、
上記近接表面位置との上記絶対温度の画像間における変化率の差分が他の位置よりも相対的に大きい位置が連続している線分図形を推定する輪郭推定手段と、
からなることを特徴とする。
また、本発明に係る別の配管検査装置は、
配管の表面温度の位置分布データを非接触で検出する温度画像取得手段と、
当該温度画像取得手段が検出する上記表面温度の位置分布を用いて配管内壁に生じた減肉の存在の有無を判定する処理手段と
を有し、
上記温度画像取得手段は、上記表面温度の位置分布データである絶対温度画像を所定時間間隔で複数枚の撮像を行い、
上記処理手段は、
配管表面の絶対温度の時間変化を表現する基本となる関数型を有し、
表面位置ごとに、撮像した順に並べられる一連の時間分布データ列を用いて、上記基本となる関数型中のパラメータを決定する関数フィッテングを行うことで、減肉厚を推定する
ことを特徴とする。
本発明に係る配管検査方法は、上記のいずれかの配管検査装置を用いるものであって、非検査物である配管に外気温よりも高温または低温の流体を流すことで配管の表面温度を変化させる
ことを特徴とする。
本発明に係る配管検査方法および配管検査方法は、上記のように構成されているので、配管内部に生じた減肉の検出精度を高め、減肉の存在だけではなく、大きさや形状、分布等を検出可能とするものである。また、なだらかな減肉も検出可能とするものである。
本発明の配管検査装置の構成を表すブロック図である 本発明の実施の形態1の処理手段の処理アルゴリズムを表すフロー図である。 本発明の実施の形態1の検証実験において抽出された線分を示す図である。 本発明の実施の形態1の検証実験において抽出された線分を繋いだ図である。 本発明の実施の形態2の処理手段の処理アルゴリズムを表すフロー図である。 本発明の実施の形態2の簡易の放射率補正の処理アルゴリズムを表すフロー図である。 本発明の実施の形態2の検証実験における関数フィッティングの一例を示す図である。 本発明の実施の形態2の検証実験において得られた等高線と凹部との比較を示す図である。 特許文献2の配管検査装置についての分析図である。 特許文献2の配管検査装置の持つ課題についての分析図である。 特許文献2の配管検査装置において、なだらかな減肉が検出できなかった理由を示す図である。
本発明の配管検査装置は、外気温よりも高温の流体(熱流体)を配管に流すことで配管表面温度を上昇させて、その配管表面温度の変化を絶対温度画像として得ることで、配管内壁に生じた減肉を推定するものである。あるいは、外気温よりも低温の流体(冷流体)を配管に流すことで配管表面温度を下降させて、その配管表面温度の変化を絶対温度画像として得ることで、配管内壁に生じた減肉を推定するものである。
熱流体を流す場合も、冷流体を流す場合も、減肉を推定するアルゴリズムは同じであり、配管表面温度の正負が異なるだけである。したがって、説明が煩雑になるのを避けるために、熱流体を流す場合についてのみ説明する。
また、本発明は、配管内壁に生じた減肉を推定するために、ニューラルネットワーク等の高度なデータ処理を行うことを前提としている。すなわち、学習機能を有し、多段階の複雑な判断を可能とする処置である。このような高度な処理技術を迅速に開発するために、まず、検出に関する基本的なアルゴリズムの選択および最適化を試みた。
以下、実施の形態1においては、絶対温度画像の画素位置情報を活用するアルゴリズムの一例について述べる。
また、実施の形態2においては、絶対温度画像の画像間情報、すなわち時間情報を活用するアルゴリズムの一例について述べる。
実施の形態1.
本実施の形態における配管検査装置の構成等に関して、以下において、図面を用いて説明する。なお、以下の説明は本発明に関する良好な一例を開示するものであり、本発明が当該実施の形態に限定されるものではない。
<配管検査装置の構成>
まず、図面を用いて、配管検査装置の構成について説明する。
配管検査装置1は、配管102の任意の検査領域101の表面温度の位置分布データを非接触で検出する温度画像取得手段2と、温度画像取得手段2が検出する表面温度の位置分布を用いて配管内壁に生じた減肉の存在の有無を判定する処理手段3とを基本的な構成として有している。そして、温度画像取得手段2は、表面温度の位置分布データである絶対温度画像を所定時間間隔で複数枚の撮像を行い、処理手段3は、所定時間間隔で検出される上記表面温度の位置分布データから、表面位置ごとに絶対温度の画像間における変化率を算出する変化率算出手段と、表面位置ごとに、近接表面位置との絶対温度の画像間における変化率の差分を算出する位置差分算出手段と、近接表面位置との絶対温度の画像間における変化率の差分が他の位置よりも相対的に大きい位置が連続している線分図形を推定する輪郭推定手段とからなるものである。
その他に、処理データを出力するための出力手段4や、処理手段3に対して、処理方法についての設定を行うための入力手段を有していることが望ましい。
温度画像取得手段2は、物体の表面温度や放射率に基づき、物体表面から放出される電磁波を非接触で検知する検知素子が2次元アレイ状に設けられた赤外線カメラや放射温度計等である。物体表面の放射率を入力することで、物体表面温度の正確な絶対温度画像が得られるものが望ましい。
処理手段2は、温度画像取得手段2から得た複数の絶対温度画像データを処理するものである。コンピューターと処理ソフトウエア等から構成され、それらが協働することで、数学的な演算や種々の判断を行うものである。また、得られた結果を出力する機能を有するものである。
配管102は、金属や樹脂等で構成される管状体であり、水平方向や垂直方向、斜め方向等に設置される。
配管102の任意の領域が検査領域101であり、温度画像取得手段2により、その領域内の絶対温度画像が得られる。
<処理アルゴリズム>
処理手段3は、温度画像取得手段2から得た複数の絶対温度画像データを図2に示すような流れで処理を行う。
まず、処理手段3は、温度画像取得手段2が所定の時間間隔ΔTで撮像した複数の絶対温度の撮像データT(u、v;n)を取得する(工程f1)。uは絶対温度画像の水平方向画素位置であり、vは垂直方向の画素位置である。nは、時間間隔ΔTで撮像された絶対温度画像のn枚目であることを表している。
次に、画素ごとに、絶対温度変化率a(u、v;n)を算出する(工程f2;変化率算出手段)。絶対温度変化率とは、(n+1)枚目の画像のある画素位置での絶対温度をn枚目の画像の同じ画素位置での絶対温度で除算したものである。すなわち、
a(u、v;n)=T(u、v;n+1)/T(u、v;n)
である。
この処理により、配管表面位置での放射率ばらつきがキャンセルされる。
絶対温度変化率a(u、v;n)の全画素に渡る平均値a_av(n)を算出する。そして、絶対温度変化率a(u、v;n)をこの平均値a_av(n)で除算する。すなわち、
a‘(u、v;n)=a(u、v;n)/a_av(n)
という演算により、絶対温度変化率を1に規格化する(工程f3)。
さらに、画素ごとに、a‘(u、v;n)の時間平均値(複数撮像されたすべての画像での平均値)であるA(u、v)を得る(工程f4)。
この処理により、時間的にランダムに変化するノイズが平滑化され、SN比が向上する。
次に、各画素において近接位置との差分を算出する(工程f5;位置差分算出手段)。近接位置とは、通常は隣接画素であるが、2画素や3画素離れた位置であっても良い。近接位置が隣接画素である場合には、水平方向差分Bu(u、v)および、垂直方向差分Bv(u、v)は次式で与えられる。
Bu(u、v)=A(u、v)−A(u+1、v)
Bv(u、v)=A(u、v)−A(u、v+1)
そして、あらかじめ定めておいた所定値以上のBu(u、v)、Bv(u、v)を抽出する(工程f6)。
所定値は、例えば、すべての差分値の3%程度が抽出される値等により決めても良いし、機械学習(AI)により、適切な結果が導かれる値を見出すようにしても良い。
次に、抽出されたBu(u、v)、Bv(u、v)の図示化を行う。Bu(u、v)については、(u、v)から(u+1、v)への横線分となる。Bv(u、v)については、(u、v)から(u、v+1)への縦線分となる。このようにして線分を引いた図が図3である。
さらに、これらの線分のうち、近接する線分を結んだ図が図4である。画像中心からやや左上に輪郭200ができている。
このようにして、減肉形状の輪郭が推定できた(工程f6;輪郭推定手段)。
網目で示した形状は、実際の配管内部の減肉の輪郭形状201である。この減肉は、半球状の比較的なだらかなエッジ形状を有している。検出された輪郭200と良く合致しており、本アルゴリズムが減肉の形状を推定するのに適していることが確認できた。
<実施の形態1のまとめ>
絶対温度画像の画素位置情報を活用するアルゴリズムにより、配管内部の減肉形状を精度良く推定できることを検証できた。上記検証実験では、実際の配管内部の減肉形状を比較的なだらかな形状としたが、輪郭推定がしっかりと機能し、本アルゴリズムを用いて、なだらかな形状の減肉も検出可能であることを確認できた。
本実施の形態において、画像特徴量として近接表面位置での差分を用いたのには理由がある。
上述したように、本発明の配管検査装置の構成上の最大の特徴は、熱流体を配管に流して配管表面温度を上昇させることである。これにより、外部から加熱するのに比べて熱効率が向上し、エネルギーコストを低減できる。
しかしながら、一方で配管内部の流体が不均一であることに起因するばらつきが生じる。
実験室での検証においては、配管内を完全に流体が満たす状況を作り出すことは容易である。しかし、実際に設置され、稼働している配管においては、配管内を完全に流体が満たすことは困難な場合がほとんどである。ポンプの性能に限界があり、数百mに及ぶような配管もある。
配管が熱流体で満たされない場合には、配管の上方に流体がない空洞が生じる。これにより、配管の上方と下方で、熱源が異なることになる。下方では高温の熱源が存在し、上方では、下方に比べて低温の熱源により弱い加熱がなされる。配管の側面を測定する場合には、この影響が顕著に表れ、位置ばらつきが多くなってしまう。
ただし、この位置ばらつきは、比較的なだらかな変化をするため、近接位置間では影響は軽微である。そのため、画像特徴量として近接表面位置での差分を用いることは極めて有効である。比較的なだらかな変化は、近接表面位置での差分を取ることにより、その影響が無視できる程度に緩和される。そして、撮像領域全体に渡り、精度の高い減肉検査が可能となる。
このように、絶対温度画像の画素位置情報を活用することは極めて有効であり、各種の画像特徴量を用いた解析が可能であると考えられる。
実施の形態2.
<配管検査装置の構成>
本実施の形態の配管検査装置の構成は、図1に示す構成であり、実施の形態1と同様である。異なる点は、処理手段3が行う処理アルゴリズムである。実施の形態1においては、画像の位置情報を有効に活用したが、本実施の形態におけるアルゴリズムは、時間軸上の情報を活用するものである。
<処理アルゴリズム>
図5を用いて、処理の流れを説明する。温度画像取得手段2は、比較的多くの絶対温度画像を撮像する。例えば、100msecの時間間隔で150枚の画像を撮像する。撮像時間は15秒である。
撮像した複数の絶対温度の撮像データT(u、v;n)を取得(工程f11)した後、簡易の放射率補正を行う(工程f12)。この簡易の放射率補正は、配管の表面状態による放射率のばらつきをある程度補正できるののであれば、どのような手法であっても良い。
一例としては、図6に示すように、画素ごとに時間平均値を算出する(工程f12a)。150枚の画像を撮像した場合には、画素ごとに150枚の平均値を算出し、T‘(u、v)を得る。
次に、T‘(u、v)について、全画素でヒストグラム化し、最も分布が多い値を表面温度の基準値Ttypicalとする(工程f12b)。
そして、この基準値を用いて、画素ごとの放射率補正係数g(u、v)を算出する(工程f12c)。g(u、v)は次式で表される。
g(u、v)=Ttypical/T‘(u、v)
次に、この放射率補正係数g(u、v)を用いて、絶対温度画像を補正し、次のように再定義する(工程f12d)。
T(u、v;n)=g(u、v)×T(u、v;n)
以上が、簡易の放射率補正の一例である。
図5に戻り、画素ごとに時間変動関数をフィッティングを行う(工程f13)。
配管表面における絶対温度の時間変化の関数形は、理論解析から容易に得られる。例えば、次のような関数形である。
T(t)=Ta+c1(1−exp(c2/thic)(t−t0))
ここで、T(t)は、時刻t0において加温が開始された配管の時刻tにおける配管表面の絶対温度である。Taは外気温、c1、c2は、外気温や熱流体の温度、配管の熱に関する材料定数等で決まる定数である。thicは配管の厚みである。
c1、c2は既知の定数とし、配管の厚みthicと加温開始時刻t0についてフィッティングを行う。
この関数をフィッティングする具体例を図7を用いて説明する。図7において、横軸は画像順序であり、横軸の全幅が1枚目から150枚目までに相当する。縦軸は、表面温度であり、画素(u、v)における測定された絶対温度である。
図7において、ドットは測定された絶対温度をプロットしたものである。時間経過とは無関係にランダムにばらついていることが分かる。ただし、全体として右上がりに傾向を示しており、温度が上昇していることが分かる。
点線は、最小二乗法を用いてフィッティングを行った関数である。
このような処理をそれぞれの画素について行う。そして、画素ごとに、配管の厚みthicと加温開始時刻t0が得られる。配管の規定された厚みから配管の厚みthicを減じると、減肉量が得られる(工程f14)。
加温開始時刻t0については、すべての画素においてばらつきは1秒程度であり、概ね同時に加温が開始されていることが分かる。
減肉量については、撮像領域全体でばらついているが、これを2ジゲンスムージング手法により画像処理を行ったところ、図8に示すような等高線図210が得られた(工程f15)。
網目で示した形状は、実際の配管内部の減肉の輪郭形状211である。この減肉も、半球状状の比較的なだらかなエッジ形状を有している。検出された輪郭210は、実際の配管内部の減肉の輪郭形状211よりもやや小さく、中心位置も右にずれていた。また、関数フィッテイングで得られた深さは、最深部が7mmであったが、実際の配管内部の減肉の最深部は11mmであった。
以上のように、精度的にはまだまだ不十分であるが、なだらかな減肉について検出が可能であり、位置、大きさ、さらには深さについても推定可能であることを検証できた。
<実施の形態2のまとめ>
絶対温度画像の時間軸情報を活用するアルゴリズムにより、配管内部の減肉形状が推定可能であることを検証できた。減肉の深さという深度方向の定量的な情報も得られた。精度については不十分ではあるが、推定可能であることが分かったことは大きな進歩である。
本実施の形態において、絶対温度の時間変化を関数のフィッティングという手法で用いた。本発明の配管検査装置は、この手法を用いるのに適していると考えられる。まず、絶対温度の時間変化の関数型が理論的に導出できることである。このように関数型が決まれば、多数の時間軸上のデータから少数の定数をフィッティングすれば良く、推定精度は向上する。また、時間的に変動するノイズがランダムノイズであり、この点も関数のフィッティングにとって好条件である。
また、配管内部の流体が不均一であることに起因するばらつきについても、本手法を用いて対応できる可能性がある。配管内部の流体が不均一性は、流体温度のばらつきに置き換えることが可能である。流体温度は、上式においては定数c1に含まれている。したがって、フィッティングする定数を配管の厚みthicと加温開始時刻t0だけではなく、c1についてもフィッティングすれば、配管内部の流体が不均一性も含めた推定が可能であると考えている。
さらに、この不均一性が位置に対してなだらかに変化することを利用して、推定結果の妥当性を検証することも可能であり、ニューラルネットワーク等の高度なデータ処理に適用することで、精度をさらに向上できると思われる。
1.配管検査装置
2.温度画像取得手段
3.処理手段

Claims (3)

  1. 配管の表面温度の位置分布データを非接触で検出する温度画像取得手段と、
    当該温度画像取得手段が検出する上記表面温度の位置分布を用いて配管内壁に生じた減肉の存在の有無を判定する処理手段と
    を有し、
    上記温度画像取得手段は、上記表面温度の位置分布データである絶対温度画像を所定時間間隔で複数枚の撮像を行い、
    上記処理手段は、
    上記所定時間間隔で検出される上記表面温度の位置分布データから、表面位置ごとに絶対温度の画像間における変化率を算出する変化率算出手段と、
    表面位置ごとに、近接表面位置との上記絶対温度の画像間における変化率の差分を算出する位置差分算出手段と、
    上記近接表面位置との上記絶対温度の画像間における変化率の差分が他の位置よりも相対的に大きい位置が連続している線分図形を推定する輪郭推定手段と、
    からなることを特徴とする配管検査装置。
  2. 配管の表面温度の位置分布データを非接触で検出する温度画像取得手段と、
    当該温度画像取得手段が検出する上記表面温度の位置分布を用いて配管内壁に生じた減肉の存在の有無を判定する処理手段と
    を有し、
    上記温度画像取得手段は、上記表面温度の位置分布データである絶対温度画像を所定時間間隔で複数枚の撮像を行い、
    上記処理手段は、
    配管表面の絶対温度の時間変化を表現する基本となる関数型を有し、
    表面位置ごとに、撮像した順に並べられる一連の時間分布データ列を用いて、上記基本となる関数型中のパラメータを決定する関数フィッテングを行うことで、減肉厚を推定する
    ことを特徴とする配管検査装置。
  3. 請求項1または2に記載の配管検査装置を用い、
    非検査物である配管に外気温よりも高温または低温の流体を流すことで配管の表面温度を変化させる
    ことを特徴とする配管検査方法。
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