JP2013228306A - 配管検査装置及びそれを用いた配管検査方法 - Google Patents

配管検査装置及びそれを用いた配管検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】配管における減肉の存在の検出に用いられ、配管の外部からの加熱が不要であり、配管の表面状態に影響され難い配管検査装置を提供する。
【解決手段】配管検査装置1は、管内に気温よりも高温の流体が流れており、その温度及び流量の少なくとも一方が時間変化する配管Pを検査するためのものである。この配管検査装置1は、配管表面PSの温度Tを所定の時間間隔Δtで測定し、測定した温度の値を画素ごとに有する温度画像21を形成する赤外線カメラ2と、赤外線カメラ2が測定した温度画像21を処理する処理部3とを備える。処理部3は、温度画像21に基づいて、配管Pが加熱中であることを検出するとともに、配管表面PSの絶対温度の変化率の分布を算出する。これにより、熱が管内から早く配管表面PSに伝導する減肉の存在を検出することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、配管を検査するための配管検査装置及びそれを用いた配管検査方法に関する。
製油所等のプラントには、大量の配管が設けられており、例えば、配管の総延長が700km〜800kmに達する製油所がある。製油所の配管には高温の流体が管内に流れている。配管は、このような流体によって内壁が徐々に摩耗・腐食して薄くなる減肉という現象が生じる。減肉は、配管の内壁に不均一に生じる。減肉によって配管に孔が開いて流体が流出する事故を防止するため、配管は定期的に検査される。大部分の配管は高所に設けられているため、検査のための足場が仮設され、人が足場上で超音波測定器等の検査機材を配管に取り付け、配管の肉厚を測定する。しかし、足場の仮設に時間とコストが掛かるため、大量にある全ての配管をこのように検査することは容易ではない。
配管の検査において足場を不要にするため、遠隔で配管の肉厚を推定する配管検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この配管検査装置は、配管を外部からランプで遠隔加熱するとともに、遠隔加熱によって上昇する配管表面の温度を赤外線カメラで測定し、配管表面の温度の基準値からの差に基づいて配管の肉厚を推定する。配管の表面状態の不均一による誤差を補正するため、配管の検査に先立って、配管表面の赤外線放射率のマップが作成される。しかしながら、このような配管検査装置では、配管を遠隔加熱するので、加熱のエネルギー効率が低い。また、赤外線放射率のマップは、作成に時間とコストが掛かり、作成後も、錆びの進行等の配管の表面状態の経時変化に対応して更新する必要がある。また、プラントにおける配管は、プラントの運転条件等の変化によって、管内の流体の温度や流量が一定にならないため、流体が配管を内側から加熱する熱量が変化し、配管肉厚の推定値に誤差が生じる。
特開2008−134221号公報
本発明は、上記問題を解決するものであり、配管における減肉の存在の検出に用いられ、配管の外部からの加熱が不要であり、配管の表面状態に影響され難い配管検査装置及びそれを用いた配管検査方法を提供することを目的とする。
本発明の配管検査装置は、管内に気温よりも高温の流体が流れており、その温度及び流量の少なくとも一方が時間変化する配管を検査するためのものであって、配管表面の温度を所定の時間間隔で測定し、測定した温度の値を画素ごとに有する温度画像を形成する赤外線カメラと、前記赤外線カメラが形成した温度画像を処理する処理部とを備え、前記処理部は、前記温度画像に基づいて、配管が加熱中であることを検出するとともに、配管表面の絶対温度の変化率の分布を算出することを特徴とする。
この配管検査装置において、前記処理部は、配管表面の所定領域において測定された温度が上昇中であるとき、その配管が加熱中であると判定することが好ましい。
この配管検査装置において、前記処理部は、時間的に連続する複数の前記温度画像を画素ごとに平均化し、平均化した温度画像に基づいて配管表面の絶対温度の変化率の分布を算出することが好ましい。
この配管検査装置において、前記処理部は、配管表面の絶対温度の前記変化率をその平均値で除算した後にその時間平均を算出することによって規格化することが好ましい。
この配管検査装置において、前記処理部が算出した配管表面の絶対温度の変化率の分布と、配管が加熱中であることの検出結果とを表示する表示部を備えることが好ましい。
本発明の配管検査方法は、前記配管検査装置を用いた配管検査方法であって、配管表面の絶対温度の変化率の分布において、その変化率のばらつきが、配管が加熱中でないときよりも加熱中に大きいとき、その配管に減肉が存在すると判定することを特徴とする。
本発明の配管検査方法は、前記配管検査装置を用いた配管検査方法であって、配管が加熱中である時に配管表面の絶対温度の変化率の分布を算出し、その変化率のばらつきが所定の値よりも大きいとき、その配管に減肉が存在すると判定してもよい。
本発明の配管検査装置によれば、配管が加熱中であるときの配管表面の絶対温度の変化率の分布が分かるので、熱が管内から早く配管表面に伝導する減肉の存在を検出することができる。この配管検査装置は、管内の流体による配管の加熱を利用するので、配管の外部からの加熱が不要である。また、配管表面の絶対温度の変化率を算出するので、算出した値が配管の表面状態に影響され難い。
本発明の一実施形態に係る配管検査装置のブロック構成図。 同配管検査装置の試験における赤外線カメラの配置を示す斜視図。 同配管検査装置の別の試験における赤外線カメラの配置を示す斜視図。 同試験における減肉が多い配管の表面の絶対温度の規格化された変化率の分布を示すグラフ。 同試験における減肉が軽微な配管の表面の絶対温度の規格化された変化率の分布を示すグラフ。
本発明の一実施形態に係る配管検査装置を図1を参照して説明する。検査対象の配管Pは、例えば、製油所内の蒸留装置等における金属製の配管であり、原油等の流体が管内に流れている。管内の流体は、気温よりも高温であって、その温度や流量が時間変化する。流体の温度や流量の時間変化によって、配管Pは、管内から加熱されて温度が上昇する場合と、放熱して温度が上昇しない場合とがある。配管Pは、流体によって内壁が徐々に摩耗・腐食し、減肉が生じる。配管Pの内壁は、減肉によって凹部が生じる。配管検査装置1は、このような配管Pを検査するためのものである。
配管検査装置1は、赤外線カメラ2と、処理部3と、表示部4と、入力部5と、記憶部6とを備える。赤外線カメラ2は、配管表面PSから放射される赤外線を受光して、配管表面PSの温度T[K]を所定の時間間隔Δt[s]で測定し、配管表面PSの温度画像21を形成する。温度画像21は、赤外線カメラ2が測定した温度T[K]の値を画素ごとに有する。処理部3は、赤外線カメラ2が形成した温度画像21を処理する。表示部4は、処理部3が出力したデータを表示する。入力部5は、処理部3へのユーザによる入力操作を受ける。記憶部6は、処理部3が出力したデータを記憶する。
処理部3は、温度画像21に基づいて、配管表面PSの所定領域において測定された温度Tが上昇中であるとき、配管Pが加熱中であると判定するとともに配管表面PSの絶対温度の変化率を画素ごとに算出することによって、絶対温度の変化率の分布を算出する。表示部4は、処理部3が算出した配管表面PSの絶対温度の変化率の分布と、配管表面PSが加熱中であることの検出結果とを表示する。
この配管検査装置1をさらに詳述する。赤外線カメラ2は、測定対象の物体が放射している赤外線を分析し、温度の値に変換することによって物体表面の温度を画素ごとに測定するサーモグラフィであり、測定した温度をディジタルの温度画像21として出力する。赤外線カメラ2が出力する温度画像21は、データとして処理部3に入力される。処理部3は、CPU及び半導体メモリ等から成り、処理プログラムを実行することにより動作する。表示部4は、液晶ディスプレイ等の視覚表示装置である。入力部5は、キーボード等の文字入力装置及びマウス等のポインティングデバイスである。タッチパネルを表示部4及び入力部5として兼用してもよい。記憶部6は、ハードディスク又はフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。
上記のように構成された配管検査装置1において、赤外線カメラ2は、測定範囲に配管Pが含まれる温度画像21を時間間隔Δt毎に処理部3に出力する。温度画像21における配管表面PSの範囲は、ユーザが入力部5を操作して指定する。配管表面PSの範囲は、配管表面PSと背景との温度差に基づいて、処理部3によって自動的に抽出してもよい。配管表面PSの範囲における温度画像21には、配管表面PSの温度Tが画素ごとに表される。
処理部3は、配管表面PSの所定領域において測定された温度Tが上昇中であるとき、配管Pが加熱中であると判定する。その所定領域は、例えば、処理部3によって、温度画像21における配管表面PSの範囲の中央付近に設定される。所定領域をユーザが入力部5を用いて指定してもよい。
ここで、温度画像21に基づく配管Pの減肉を検知する原理について説明する。配管Pの温度をTh[K]、気温をTa[K]、管内の流体の温度をTw[K]とする。配管Pに対する空気の熱伝達率をha[W・m−2・K−1]、配管Pに対する管内の流体の熱伝達率をhw[W・m−2・K−1]とする。配管Pの厚さをdh[m]、密度をρ[kg・m−3]、比熱容量をch[J・kg−1・K−1]とする。計算におけるモデル化として、流体の温度Twは気温Taよりも高く、気温Taと流体の温度Twは、それぞれ一定であるとする。また、配管Pは金属製であるので熱伝導率が高い。このため、配管Pの温度Thは厚み方向に対して均一であると仮定する。なお、配管Pは、熱伝導性が良ければ、必ずしも金属製に限定されない。熱伝導を計算すると、配管Pの温度Thは、時間tの関数Th(t)として、下記の数式1によって表される。
Figure 2013228306
配管Pの温度Thは、初期値Th(0)が気温Taであり、時間tの経過とともに上昇し、流体の温度Twよりも低い一定値Th(∞)=Ta+hw・(Tw−Ta)/(hw+ha)に漸近する。配管Pの厚さdhが薄いほど、配管Pの温度Th(t)の上昇の速さが大きい。配管Pの温度Thが厚み方向に対して均一であると仮定したので、配管Pの温度Thは、配管表面PSの温度Tである。したがって、配管Pが管内の流体によって加熱されているとき、配管Pの減肉箇所は、それ以外の箇所よりも配管表面PSの温度Tが速く上昇する。
配管表面PSは、温度Tが気温Taよりも高くなるので、熱放射が生じる。熱放射における単位面積当たりの仕事率をφ[W・m−2]、放射率をε、シュテファン=ボルツマン定数をσ[W・m−2・K−4]とすると、シュテファン=ボルツマンの法則により、熱放射は、次の数式で表される。
φ=εσT
放射率εは、配管表面PSの状態(物性、形状、色)や、配管表面PSに対する測定角度に依存する。また、放射率εは、配管表面PSの温度Tにも依存し、温度Tが高いほど大きい。温度Tは時間変化するので、配管表面PS上の位置(x,y,z)における、時刻tにおける放射率をε(x,y,z,t)、仕事率をφ(x,y,z,t)とすると、温度T(x,y,z,t)は、下記の数式2によって表される。
Figure 2013228306
配管表面PSの温度Tは、所定の時間間隔Δtで測定される。ti+1=t+Δt、(iは整数)とすると、時間間隔Δtにおける絶対温度の変化率は、下記の数式3によって表される。
Figure 2013228306
十分に小さい時間間隔Δtにおいて、配管表面PSの温度Tの変化は小さく、配管表面PSの状態(物性、形状、色)の変化も無視できるので、放射率εの変化も無視することができる。したがって、配管表面PSの絶対温度の変化率は、下記の数式4によって表すことができる。
Figure 2013228306
このように、配管表面PSについて絶対温度の変化率を見ると、放射率εの影響を除外することができる。
配管表面PSの絶対温度の変化率をaとすると、aは下記の数式5によって表される。
Figure 2013228306
温度画像21の画素の座標を(u,v)とすると、aは下記の数式6によって表される。
Figure 2013228306
配管Pが管内の流体によって加熱中のとき、配管Pに減肉が無い場合、配管Pの肉厚は均一であるので、配管表面PSの絶対温度の変化率aの分布は、ばらつきがほとんど無い。配管Pに減肉がある場合、配管Pの管内には減肉による凹部があるので、配管表面PSの絶対温度の変化率aの分布は、ばらつきが大きくなる。
配管Pが管内の流体によって加熱されないとき、配管Pは放熱する。放熱は、熱放射と空気との対流とによって行われる。熱放射及び空気との対流は、いずれも配管表面PSと関係があり、配管Pの内部の影響、すなわち減肉の影響はほとんど無い。したがって、配管Pが放熱中のとき、減肉の有無に関わらず、配管表面PSの絶対温度の変化率aの分布は、ばらつきが小さい。
配管表面PSの絶対温度の変化率aの分布は、配管Pの厚さ等の特徴によって異なる。このため、下記の数式7に表されるように、配管表面PSの絶対温度の変化率a(u,v,t)をその平均値で除算することによって、配管Pの特徴の影響を抑えてもよい。
Figure 2013228306
また、配管表面PSの絶対温度の変化率aの分布は、時間変化する。このため、さらに時間平均によって規格化してもよい。規格化された配管表面PSの絶対温度の変化率をA(u,v)とすると、A(u,v)は、下記の数式8によって表される。規格化された変化率Aの分布は、配管Pの特徴の影響が抑えられるとともに、時間に依存しなくなる。
Figure 2013228306
本実施形態では、処理部3は、配管表面PSの絶対温度の変化率をその平均値で除算した後にその時間平均を算出することによって規格化する。
本実施形態では、処理部3は、時間的に連続する複数の温度画像21を画素ごとに平均化し、平均化した温度画像21に基づいて配管表面PSの絶対温度の変化率の分布を前述のように算出する。この平均化により温度Tの測定誤差が低減される。
処理部3は、配管表面PSの絶対温度の変化率の分布と、配管Pが加熱中であることの検出結果とを表示部4に出力する。表示部4に出力される配管表面PSの絶対温度の変化率の分布は、例えば、横軸を規格化された絶対温度の変化率A、縦軸を頻度とする分布曲線である。規格化されていない配管表面PSの絶対温度の変化率a(u,v,t)の2次元分布を示す画像データを動画として表示部4に出力してもよい。
表示部4は、処理部3が出力した配管表面PSの絶対温度の変化率の分布と、配管Pが加熱中であることの検出結果とを表示する。処理部3は、表示部4に出力するデータを、検査データとして記憶部6に記憶する。
上記のように構成された配管検査装置1を用いて配管Pが検査される。配管Pの管内の流体の温度が上昇したとき、又は、流量が増えたとき、配管Pが流体によって加熱され、配管表面PSの温度Tが上昇する。配管Pの減肉箇所は、配管の肉厚が薄く、熱が早く内部から表面に伝導するので、配管表面PSの絶対温度の変化率が大きくなる。配管検査装置1は、配管表面PSの絶対温度の変化率の分布を算出するとともに、配管Pが加熱中であることを検出する。
本実施形態の配管検査装置1によれば、配管Pが加熱中であるときの配管表面PSの絶対温度の変化率の分布が分かるので、熱が管内から早く表面に伝導する減肉の存在を検出することができる。この配管検査装置1は、管内の流体による配管Pの加熱を利用するので、配管Pの外部からの加熱が不要である。また、加熱によって上昇する配管表面PSの温度Tの基準値からの差ではなく、所定の時間間隔Δtにおける配管表面PSの絶対温度の変化率を算出するので、算出した値が配管の表面状態に影響され難い。
処理部3は、配管表面PSの所定領域において測定された温度Tが上昇中であるとき、その配管が加熱中であると判定するので、加熱中であることを容易に検出することができる。
処理部3は、時間的に連続する複数の温度画像21を画素ごとに平均化するので、温度Tの測定誤差が低減される。
処理部3は、配管表面PSの絶対温度の変化率をその平均値で除算した後にその時間平均を算出することによって規格化することにより、規格化された変化率の分布は、配管Pの特徴の影響が抑えられるとともに、時間に依存しなくなる。
処理部3が算出した配管表面PSの絶対温度の変化率の分布と、配管Pが加熱中であることの検出結果とが表示部4に表示されるので、その表示から配管Pの減肉の存在を検出することができる。
この配管検査装置1を用いた配管検査方法について説明する。プラント等における配管の検査計画は、予防保全として規定された検査周期を遵守するとともに、プラント等の運転条件等の予定に基づいて立案される。検査計画の立案時及び検査の着手前に、配管内の流体の温度又は流量の変化が検査時間帯において生じることが確認される。
配管の検査では、検査対象の配管Pについて、配管検査装置1を用いて遠隔で、配管Pが加熱中であることの検出と、配管表面PSの絶対温度の変化率の分布の算出が行われる。
配管表面PSの絶対温度の変化率の分布において、その変化率のばらつきが、配管Pが加熱中でないときよりも加熱中に大きいとき、配管Pに減肉が存在すると判定される。
また、配管Pが加熱中である時に配管表面PSの絶対温度の変化率の分布を算出し、その変化率のばらつきが所定の値よりも大きいとき、その配管Pに減肉が存在すると判定してもよい。ばらつきは、分散又は標準偏差として定量化してもよい。
配管Pに減肉が存在するとの判定は、処理部3が自動的に行ってもよいし、配管検査装置1の表示に基づいて検査員が行ってもよい。
減肉が存在すると判定された配管は、超音波測定器等の検査機材を直接取り付けて肉厚が測定される。測定された肉厚が管理値を下回っている場合、その部分の配管の取替が計画され、配管が取り替えられる。このように、配管検査装置1は、配管の検査における一次スクリーニングとして、検査機材を直接取り付ける箇所を抽出するために用いられる。配管検査装置1を用いた遠隔での配管の検査によって、検査機材を直接取り付ける箇所が限定されるので、大量にある全ての配管を検査することが容易になるとともに、検査機材を直接取り付けるための足場の仮設等の時間とコストが低減される。
配管Pの検査における配管表面PSの温度Tと配管Pの減肉との関係について、試験を行って調べた。
試験における被検体として、製油所で使用済みの配管を2本使用した。被検体は、中心軸を通る面で2分割した一方の半円筒形の配管とした。半円筒形の配管の長さは830mm、外径は165mm、内径は146mm、質量は12.5kgである。いずれの配管も、内壁に減肉があり、外側表面に錆や疵の不均一なパターンが数多くある。一方の配管P1は、減肉が多い。その減肉は、内壁に形成された主に直径1cm〜2cmの凹部であり、配管の軸方向に沿って連なるように多数形成されている。他方の配管P2は、減肉が軽微である。
流体による配管Pの加熱を模擬するため、配管Pの内壁にシリコンラバーヒーターを貼り付けた。シリコンラバーヒーターは、面状の電気ヒーターであり、柔軟性を有し、被加熱面に密着させることができる。シリコンラバーヒーターに温度調節器を接続した。温度調節器は、シリコンラバーヒーターに加熱用の電力を供給し、シリコンラバーヒーターの温度が設定温度になるように調節するものである。
配管検査装置1の赤外線カメラ2として、温度計測機能付の非冷却2次元サーモグラフィを用いた。赤外線カメラ2の主な仕様は、測定温度範囲が−20℃〜500℃、最小温度分解能が0.05K以下、測定精度がプラス・マイナス2℃、測定波長が8〜14μmである。赤外線カメラ2が出力する温度画像21は、1枚当たり、320×240画素、256階調の画像である。画像記録周期(測定周期)は、15秒である。処理部3、表示部4、入力部5及び記憶部6としては、コンピュータを用いた。
図2に示されるように、配管P(配管P1又は配管P2)をブロック71の上に立設した。ブロック71は、配管Pを床面から断熱するものである。配管Pには、シリコンラバーヒーター(図示せず)が貼り付けられている。配管Pにマグネット式のK熱電対72(JIS規格の種類Kの熱電対)を直接取り付け、配管Pの温度を温度計73で常時計測した。赤外線カメラ2は、配管Pの外側表面から赤外線カメラ2のレンズ面までの距離が65cmになるように設置し、レベルメーター(水平器)を用いて、赤外線カメラ2の視野中心方向(レンズの光軸)が水平になるように調整した。赤外線カメラ2の視野中心は、配管Pの外側表面の中心とほぼ一致させた。バックグラウンド・ノイズを低減するため、配管Pの背後の壁面に暗幕(図示せず)を貼り付け、赤外線カメラ2の視野の背景を黒くした。この試験では、赤外線カメラ2のレンズとして標準レンズを用いたが、プラントの配管の検査では、望遠レンズを用いてもよい。なお、図2において、コンピュータは図示を省略している。
配管表面PSの温度Tの分布の測定は、配管Pの加熱前、加熱中(温度上昇中)、安定時(加熱後に温度が一定になった状態)及び放熱中に行った。加熱中及び安定時におけるシリコンラバーヒーターの設定温度は、65℃とした。測定の時間間隔Δtは15秒間とした。
外側表面に錆や疵の不均一なパターンがある配管P1及び配管P2について測定を行い、15秒間(Δt)における配管表面の温度変化ΔTを指数関数を用いて変換することにより、温度変化ΔTを強調する画像処理を行った。この処理後の画像には、減肉が多い配管P1の加熱中に減肉の影響が見られた。減肉の箇所は、温度変化ΔTが大きかった。一方、減肉が軽微な配管P2の同様の画像には、はっきりとした減肉の影響が見られなかった。
この結果から、配管Pの減肉箇所は、それ以外の箇所よりも配管表面の温度Tが速く上昇することが確認された。
次に、配管P1及び配管P2の外側表面を布ヤスリで磨いて錆や疵の不均一なパターンをほとんど消した後に、つや消し黒の塗料を塗布し、それぞれ配管P1’、配管P2’とした。このような表面状態が均一な配管P1’及び配管P2’について測定を行い、15秒間(Δt)における配管表面の温度変化ΔTを指数関数を用いて変換することにより、温度変化ΔTを強調する画像処理を行った。この処理後の画像には、減肉が多い配管P1’の加熱中に減肉の影響が見られた。減肉の箇所は、温度変化ΔTが大きかった。減肉が軽微な配管P2’について同様に処理した画像には、はっきりとした減肉の影響が見られなかった。
すなわち、配管の外側表面の錆や疵を除去した場合の処理結果は、前述の錆や疵がある場合の処理結果と同様であった。したがって、赤外線カメラ2によって測定される配管表面PSの温度Tの上昇の速さは、配管Pの表面状態に影響され難いことが分かった。
配管検査装置1による減肉に検出について、別の試験を行って評価した。
試験における被検体として、前述の試験と同様の配管P(P1及びP2)を使用した。流体による配管Pの加熱を模擬するため、シリコンラバーヒーターに替えて温水を用いた。温水は、シリコンラバーヒーターよりも被加熱面との密着が確実である。図3に示されるように、半円筒形の配管Pの両端を各々1対の半円形のアクリル板81、82で仕切り、その間に発泡ウレタン83を充填し、配管Pの両端を塞いだ。その配管Pを凹部を上に向け、支持部材84によって水平に支持した。
配管Pの62cm下方に赤外線カメラ2を配置した。本実施例の赤外線カメラ2は、測定温度範囲が−20℃〜120℃、最小温度分解能が0.03K以下、画像記録周期(測定周期)が0.2秒であること以外は、前述の試験で用いたものと同様である。処理部3、表示部4、入力部5及び記憶部6として、コンピュータを用いた(図示せず)。
この試験において、赤外線カメラ2によって配管Pの温度画像を撮像した。時間的に連続する16枚の温度画像を画素ごとに平均化した(時間平均)。平均化した温度画像21は、0.2秒×16=3.2秒ごとに得られる。平均化した温度画像21に基づいて配管表面の絶対温度の変化率の分布を算出した。
先ず、減肉が多い配管P1を用いて試験を行った。試験時の気温は27℃であった。試験開始前の配管P1の温度は気温とほぼ同じであった。配管P1に73.2℃の温水を注いで加熱を開始した。加熱終了時の配管P1の温度は50.8℃であった。加熱終了時の温水の温度は66.4℃であった。加熱終了後に排水管85を介して温水を排水した。配管P1から温水を排水した後、配管P1は放熱する。
配管表面PSの絶対温度の変化率a(u,v,t)をその平均値で除算した後にその時間平均を算出することによって規格化した変化率Aの分布を図4に示す。この図において、横軸はA、縦軸は頻度であり、実線は配管Pの加熱中、破線は配管Pの放熱中を示す。
減肉が多い配管P1では、加熱中は、配管表面の絶対温度の変化率aの分布にばらつきが大きいため、規格化された変化率Aの分布がなだらかになった(実線)。放熱中は、配管表面の絶対温度の変化率aの分布に減肉の影響がほとんど無いため、規格化された変化率Aの分布が鋭くなった(破線)。
次に、配管Pを減肉が軽微な配管P2を用いて試験を行った。試験時の気温は27℃であった。試験開始前の配管P2の温度は気温とほぼ同じであった。配管P2に68.5℃の温水を注いで加熱を開始した。加熱終了時の温水の温度は62.7℃であった。加熱終了後に排水管85を介して温水を排水した。配管P2から温水を排水した後、配管P2は放熱する。
配管表面PSの絶対温度の変化率a(u,v,t)をその平均値で除算した後にその時間平均を算出することによって規格化した変化率Aの分布を図5に示す。この図において、横軸はA、縦軸は頻度であり、実線は配管Pの加熱中、破線は配管Pの放熱中を示す。
減肉が軽微な配管P2では、加熱中、配管表面の絶対温度の変化率aの分布にばらつきが小さいため、規格化された変化率Aの分布が鋭くなった(実線)。放熱中、配管表面の絶対温度の変化率aの分布に減肉の影響がほとんど無いため、規格化された変化率Aの分布は、加熱中と同様に鋭くなった(破線)。
この試験の結果、配管Pが加熱中であることを検出するとともに、配管表面PSの絶対温度の変化率の分布を算出することによって、配管Pの減肉の存在を検出できることが確認された。
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、赤外線カメラ2が出力するデータは、ケーブルを介して処理部3に入力してもよいし、フラッシュメモリ型メモリカード等を介して処理部3に入力してもよい。また、検査対象の配管は、製油所の配管に限られず、例えば、火力発電所等の配管であってもよい。
1 配管検査装置
2 赤外線カメラ(サーモグラフィ)
21 温度画像
3 処理部
4 表示部

Claims (7)

  1. 管内に気温よりも高温の流体が流れており、その温度及び流量の少なくとも一方が時間変化する配管を検査するための配管検査装置であって、
    配管表面の温度を所定の時間間隔で測定し、測定した温度の値を画素ごとに有する温度画像を形成する赤外線カメラと、
    前記赤外線カメラが形成した温度画像を処理する処理部とを備え、
    前記処理部は、前記温度画像に基づいて、配管が加熱中であることを検出するとともに、配管表面の絶対温度の変化率の分布を算出することを特徴とする配管検査装置。
  2. 前記処理部は、配管表面の所定領域において測定された温度が上昇中であるとき、その配管が加熱中であると判定することを特徴とする請求項1に記載の配管検査装置。
  3. 前記処理部は、時間的に連続する複数の前記温度画像を画素ごとに平均化し、平均化した温度画像に基づいて配管表面の絶対温度の変化率の分布を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配管検査装置。
  4. 前記処理部は、配管表面の絶対温度の前記変化率をその平均値で除算した後にその時間平均を算出することによって規格化することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の配管検査装置。
  5. 前記処理部が算出した配管表面の絶対温度の変化率の分布と、配管が加熱中であることの検出結果とを表示する表示部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の配管検査装置。
  6. 請求項5に記載の配管検査装置を用いた配管検査方法であって、
    配管表面の絶対温度の変化率の分布において、その変化率のばらつきが、配管が加熱中でないときよりも加熱中に大きいとき、その配管に減肉が存在すると判定することを特徴とする配管検査方法。
  7. 請求項5に記載の配管検査装置を用いた配管検査方法であって、
    配管が加熱中である時に配管表面の絶対温度の変化率の分布を算出し、その変化率のばらつきが所定の値よりも大きいとき、その配管に減肉が存在すると判定することを特徴とする配管検査方法。
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