JP2020034429A - 配管検査装置及び配管検査方法 - Google Patents
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配管に詰まりが発生した状態を放置すると、気体や液体などの搬送状態が不安定になり、好ましくない。また、配管内に詰まった物質に引火性などがある場合には、プラント稼働時の安全性を確保する上でも、配管の詰まりを放置することは好ましくない。
しかしながら、赤外線サーモグラフィ装置を使って取得した配管の表面温度を、予め設定した閾値温度と比較することで検知可能な異常は、通常時とは明らかに異なる温度が検知される異常状態である。すなわち、閾値を超えた異常温度を検知した段階では、配管詰まりがある程度進行した状況になっている場合が殆どである。つまり、配管詰まりが発生し始めた際の異常が発生する状態の予兆のような詰まり状況を詳細に検知することは、従来、困難であった。
また、配管の表面温度を一定の閾値温度と比較する場合、配管が設置された箇所の外気温や、配管内を搬送中の気体や液体の温度の影響で、一定の状態で検知できない可能性があり、精度の高い検知にならない場合が多い。
図1は、本例の配管検査装置200を使って検査を行う際の全体構成を示す図である。
本例の配管検査装置200は、プラントなどに設置される、気体や液体を搬送する配管11,12,13の詰まり状況の検査を行う。
ここでは、配管11,12,13の全体を検査領域とし、この配管11,12,13全体を、赤外線サーモグラフィ装置100で撮影する。そして、赤外線サーモグラフィ装置100で撮影して得た熱画像を、検査領域の温度の情報として配管検査装置200に供給する。
図2は、配管検査装置200の機能から見た構成を示すブロック図である。
配管検査装置200は、熱画像取得部201を備え、温度検出部である赤外線サーモグラフィ装置100で得られた検査領域の温度の情報である熱画像を取得する。
熱画像取得部201で取得された熱画像は、配管部抽出部202に供給される。
配管部抽出部202は、得られた熱画像から、診断を行う領域内の配管の箇所の全体に亘る熱画像を抽出する(熱画像取得処理)。例えば、図1に示すように配管11,12,13が配置されている場合に、それぞれの配管11,12,13の中心線11a,12a,13aの箇所の温度情報を抽出する。また、配管11,12,13の中心線11a,12a,13aの箇所であっても、温度検出をするのが適切でない個所(例外箇所)の温度情報は除外する。温度検出をするのが適切でない個所とは、例えば配管11,12,13に何らかの物体(配管を固定する部材など)が取り付けられて、他の個所と表面温度が相違する可能性がある個所である。この温度検出をするのが適切でない個所の情報は、例えば赤外線サーモグラフィ装置100をプラントなどに設置する際に、配管検査装置200内に予め登録しておく。
あるいは、配管温度変化検出部204は、1本の配管全体での温度の標準偏差を求める処理を行う。
また、診断結果出力部206は、配管検査装置200に接続されたプリンタ300に診断レポートの情報を送り、プリンタ300で診断レポートをプリントアウトする。あるいは、ネットワーク400を経由して、診断レポートを外部の別の機器に転送する。診断レポートをプリントアウトする場合や、外部の他の機器に転送する場合にも、診断レポートと共に診断に利用した熱画像についても、プリントアウトしたり転送してもよい。
なお、後述する変形例で説明するように、熱画像で診断状態が判るような処理を行う場合には、診断レポートの代わりとして、配管詰まり状態が判る熱画像を診断結果出力部206が出力するようにしてもよい。
図3に示すコンピュータ装置は、バス8にそれぞれ接続されたCPU(Control Processing Unit:中央処理装置)1、ROM(Read Only Memory)2、およびRAM(Random Access Memory3)を備える。さらに、コンピュータは、記憶装置4、操作部5、表示部207、および通信インターフェース7を備える。
RAM3には、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
表示部207は、例えば、図1に示すようなコンピュータ装置が備える液晶ディスプレイモニタであり、この表示部207によりコンピュータ装置で実行される制御処理の結果が作業者に表示される。なお、図3に示すようにコンピュータ装置が操作部5や表示部207を備えるのは一例であり、本例のコンピュータは、操作部5および表示部207のいずれか一方、または双方を備えない構成としてもよい。
通信インターフェース7としては、例えば、NIC(Network Interface Card)などが用いられる。通信インターフェース7は、端子が接続されたLAN(Local Area Network)、専用線などを介して外部と各種データの送受信を行う。例えば、通信インターフェース7は、赤外線サーモグラフィ装置100から熱画像を取得する処理を行う。また、通信インターフェース7は、診断レポートを外部の別の機器に伝送する処理を行う。
図4は、本例の配管検査装置200で行われる検査手順の例を示すフローチャートである。
まず、配管検査装置200の熱画像取得部201が、赤外線サーモグラフィ装置100から、配管を撮影した熱画像を取得する取得処理を行う(ステップS11)。そして、配管部抽出部202が熱画像から配管の個所を抽出する(ステップS12)。ここでは、例えば図1に示す配管11,12,13の中心線11a,12a,13aに沿った個所の温度情報を熱画像から抽出する。
また、ステップS13で例外個所が含まれていないと判断したとき(ステップS13のNo)、及びステップ14で例外個所を除外した後に、診断処理部205は、配管温度変化検出部204が検出した配管表面の温度変化の情報に基づいて、配管表面の温度変化を判断する(ステップS15)。
また、ステップS16の判断で、局所的な温度勾配がないと判断したとき(ステップS16のNo)、診断結果出力部206は、配管詰まり無しの診断レポートを作成する(ステップS18)。
なお、配管詰まり無しの場合には、ステップS18の診断レポートの作成を省略して、異常があるときだけ、診断レポートを作成するようにしてもよい。また、診断レポートを作成する代わりに、表示部207が配管異常を警告する画面を表示するようにしてもよい。
図5は、配管温度変化検出部204で温度勾配が検出された場合の、診断処理部205での診断処理例を示す。図5(A)及び(B)に示す特性は、縦軸が温度、横軸が配管の長さ(距離)を示し、それぞれの1本の配管についての特性を示す。
図5(A)は、検査対象の配管に異常がない場合の例である。
すなわち、配管内部に詰まりがない場合には、図5(A)に示すように、配管の全長に渡ってほぼ一定となる温度特性T1になる。
このような温度特性T1が得られた場合、診断処理部205は、該当する配管について異常が無いと判断し、診断結果出力部206が異常無しの診断レポートを作成する。
配管内部に詰まりがある場合、図5(B)に示すように、配管の詰まりが発生した箇所に局所的な温度勾配taが生じた温度特性T2になる。
このような温度特性T2が得られた場合、診断処理部205は、該当する配管について詰まりが発生していると判断し、診断結果出力部206が異常有りの診断レポートを作成する。このとき、温度勾配taが生じた位置(距離)から、配管中の詰まりが発生した位置を診断処理部205で判断し、診断レポートに配管中の詰まりが発生した位置の情報を加えるようにしてもよい。また、温度勾配taの変化量や変化率から、どの程度の詰まり状況かを示す情報(詰まりの進行状況を示す情報)を、診断レポートに付加してもよい。
すなわち、配管の表面温度を一定の閾値と比較する従来の技術では、配管内を搬送する気体や液体の温度の変化によって、詰まりが発生しても閾値を超えない可能性があるが、本例の場合には、局所的な温度勾配を検知するため、配管内を搬送する物質の温度が未知であっても、的確に配管詰まりの発生を検知することが可能になる。
また、図5に示すように、温度勾配を検出する場合、温度勾配を検出した位置が、配管詰まりが発生した位置と同じになるため、配管詰まりが配管のどの位置に発生したかも検知できるので、より詳細な検査ができるようになる。さらに、温度勾配の変化量又は変化率から、配管詰まりの程度についても推定することが可能になる。
図6は、配管温度変化検出部204が標準偏差を検出した場合における、診断処理部205での診断処理例を示す。図6(A)及び(B)に示す特性は、横軸を温度値、縦軸をその頻度としてプロットしたものであり、それぞれの1本の配管についての特性を示す。
図6(A)は、検査対象の配管に異常がない場合の例である。
配管内部に詰まりがない場合、図6(A)に示すように、一定の頻度数以上の温度が検出される範囲a1は、比較的小さな範囲内に収まり、頻度のピーク値p1も高い値になり、標準偏差が小さい状態になる。
このような標準偏差が小さい状態が得られた場合、診断処理部205は、該当する配管について異常が無いと判断し、診断結果出力部206が異常無しの診断レポートを作成する。
配管内部に詰まりがある場合、図6(B)に示すように、配管の詰まりが発生した箇所の温度が低下するため、一定の頻度数以上の温度が検出される範囲a2が比較的大きな値になり、また頻度のピーク値p2は異常がない場合の頻度のピーク値p1よりも低い値になり、標準偏差が大きい状態になる。
このような一定の頻度数以上の温度が検出される範囲a2が広く、頻度のピーク値p2も比較的小さな値になる状態の、標準偏差が大きい結果が得られた場合、診断処理部205は、該当する配管について詰まりが発生していると判断し、診断結果出力部206が異常有りの診断レポートを作成する。
この標準偏差から判断する場合にも、上述した温度勾配から判断する場合と同様に、配管内を搬送する物質の温度や環境の温度に影響されない、的確な配管詰まりの診断が可能になる。
なお、図6の例では、一定の頻度数以上の温度が検出される範囲や、頻度のピーク値から判断するようにしたが、標準偏差の検出で得られるその他の指標から、配管内部の詰まりの発生の有無を判断するようにしてもよい。例えば、頻度ピークの高低や、温度範囲の広狭(最高/最低温度の差)を指標として用いるようにしてもよい。
なお、上述した実施の形態例においては、赤外線サーモグラフィ装置が撮影して得た熱画像を、配管の表面温度の情報として利用するようにしたが、赤外線サーモグラフィ装置以外の温度検出部を使って、配管の表面温度の情報を得るようにしてもよい。例えば、配管の表面に一定間隔で配置した温度検出センサからの情報を、配管の表面温度の情報としてもよい。
また、図4に示す処理手順を示すフローチャートについても、好適な一例を示すものであり、図4に示す例とは異なる処理手順で、配管の診断処理を行うようにしてもよい。
配管詰まりが発生した位置がグラフィカルに判る表示形態としては、例えば、配管詰まりが発生した位置の配管を、通常の熱画像で表示される色とは異なる異常状態を示す色で表示させたる。あるいは、配管詰まりが発生した位置の配管を特定の輝度で点滅させたり、配管詰まりが発生した位置の配管に、詰まりを示す印や文字を重畳する等の、様々な表示形態が考えられる。この場合、温度勾配や標準偏差などの検出状況に応じて判断した詰まり状態の進行状況に応じて、表示色などの表示形態を複数段階に変えるようにして、配管詰まりが発生した位置と共に、それぞれの位置での配管の詰まり状況がどの程度かが判るようにしてもよい。
また、このような配管詰まりが発生した位置が熱画像からグラフィカルに判る処理を行う場合には、上述した実施の形態例で説明した診断レポートと同時に熱画像を診断結果として出力する場合の他、診断レポートの代わりに、熱画像のみを診断結果として出力するようにしてもよい。
Claims (6)
- 所定の領域に設置された配管の詰まり状況を検査する配管検査装置において、
温度検出部により検出した前記配管の表面温度の情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記配管の表面温度の情報から、前記配管の表面温度の分布を検出する温度分布検出部と、
前記温度分布検出部で検出された前記配管の表面温度の変化を検出する温度変化検出部と、
前記温度変化検出部で検出された温度変化に基づいて、前記配管の詰まり状況を診断する診断処理部と、を備える
配管検査装置。 - 前記温度変化検出部は、前記配管の長さ方向の温度の変化量である温度勾配を検出し、
前記診断処理部は、検出した前記温度勾配に基づいて前記配管の詰まり状況を診断する
請求項1に記載の配管検査装置。 - 前記温度変化検出部は、前記配管の前記領域での温度の標準偏差を検出し、
前記診断処理部は、検出した前記標準偏差に基づいて前記配管の詰まり状況を診断する
請求項1に記載の配管検査装置。 - 前記温度検出部は、赤外線サーモグラフィ装置であり、
前記取得部は、赤外線サーモグラフィ装置が撮影した熱画像を取得し、取得した熱画像内の前記配管の箇所を温度検出領域とする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の配管検査装置。 - 前記赤外線サーモグラフィ装置が撮影した熱画像の前記配管の箇所の内で、温度検出に適さない例外箇所を前記温度検出領域から除外し、前記例外箇所を除外した前記温度検出領域の温度変化に基づいて、前記配管の詰まり状況を診断する
請求項4に記載の配管検査装置。 - 所定の領域に設置された配管の詰まり状況を検査する配管検査方法において、
温度検出部により検出された前記配管の表面温度の情報を取得する取得処理と、
前記取得処理により取得された前記配管の表面温度の情報から、前記配管の表面温度の分布を検出する温度分布検出処理と、
前記温度分布検出処理により検出された前記配管の表面温度の変化を検出する温度変化検出処理と、
前記温度変化検出処理により検出された温度変化に基づいて、前記配管の詰まり状況を診断する診断処理と、を含む
配管検査方法。
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