JP2018059253A - サイドバイサイド分割型複合繊維及びそれを用いた生地の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストを抑えて、製糸性、後工程での割繊性が良好なスルホイソフタル酸を含む共重合ポリエステルとポリアミドとのサイドバイサイド型複合繊維の提供。【解決手段】樹脂Aと樹脂Bとをサイドバイサイドに複合した分割型複合繊維であって、樹脂Aが5−スルホイソフタル酸を含有する共重合ポリエステルであり、ポリエステル全体の酸成分に対する5−スルホイソフタル酸塩の共重合の割合は、0.5モル%以上、3モル%以下であり、樹脂Bがポリアミド6であり、繊維横断面が式1及び式2を満足するサイドバイサイド分割型複合繊維。【選択図】図2

Description

本発明は、割繊して用いるのに好適なサイドバイサイド分割型複合繊維とそれを用いた生地の製造方法に関する。
従来、ポリエステルとポリアミドの複合繊維は、よく知られており、工業的に生産されている。
スルホイソフタル酸を含有した共重合ポリエステルは、スルホネート基とポリアミドのアミノ基と相性が良く、ポリアミドとポリエステルとの接着性の改善ができること、ポリアミドと同様に常圧下、100℃の条件で染色ができること等の利点を有している。
スルホイソフタル酸を含有した共重合ポリエステルとポリアミドの繊維としては、混繊糸、サイドバイサイド型複合繊維、海島型複合繊維、割繊型複合繊維など、数多く提案されている。
例えば、特許文献1では、ポリアミドフィラメントと、5−ナトリウムスルホイソフタル酸残基を含有し、特殊グリコールを共重合したポリエステルフィラメントとからなる混繊糸とすることにより、織編物のふくらみを改良し、織編物の強度を保ち、染色性が優れ、外観にも優れた織編物をつくるための混繊糸を提供することが開示されている。
特許文献2では、スルホネート基を有する共重合ポリエチレンテレフタレートとポリアルキレングリコールを含有するポリアミドがサイドバイサイド型(丸型、扁平型、偏芯型)に接合した繊維において、湿度変化により可逆的に捲縮率が変化する潜在捲縮発現能を有する感湿捲縮複合繊維を提供することが記載されている。
さらに特許文献3では、5−アルカリメタルスルホイソフタル酸成分を共重合した共重合ポリエステルとポリアミド46又はこれを主成分とするポリアミドとの複合繊維が記載され、複合の形態として、サイドバイサイド型、芯鞘型糸、海島型、多分割型、異型断面等が例示されている。
特開平6−299428号公報 特開2003−239140号公報 特開昭63−92721号公報
しかしながら、特許文献1に記載された混繊糸は、求められる混繊糸の繊度が小さくなるほど、混繊前の親糸を紡糸後、きれいにフィラメントが分散しにくいことで、生地での風合いを損ねる傾向がある。
特許文献2に記載された感湿捲縮複合繊維は、サイドバイサイド型複合繊維をそのままの形態で使用することを想定しており、割繊して用いることを想定したものではない。
さらに、特許文献3に記載されたサイドバイサイド型複合繊維では、ポリアミド46と共重合ポリエステルとの融点差が大きいことによる製糸性の不良や、ポリアミド46を用いるためコスト高となる問題があった。
したがって、本発明は、コストを抑えて、製糸性、後工程での割繊性、及び生地での風合いが良好なスルホイソフタル酸を含有した共重合ポリエステルとポリアミドとのサイドバイサイド型複合繊維を得ることを目的とする。
すなわち、本発明は、樹脂Aと樹脂Bとをサイドバイサイドに複合した分割型複合繊維であって、樹脂Aが5−スルホイソフタル酸を含有する共重合ポリエステルであり、ポリエステル全体の酸成分に対する5−スルホイソフタル酸塩の共重合の割合は、0.5モル%以上、3モル%以下であり、樹脂Bがポリアミド6であり、繊維横断面は下記の式1及び式2を満足することを特徴とするサイドバイサイド分割型複合繊維を要旨とする。
Figure 2018059253
上記サイドバイサイド型複合繊維の樹脂Aと樹脂Bとの比率(面積比)は、80:20〜30:70であることが好ましい。
上記サイドバイサイド型複合繊維の破断強度は、2.0cN/dtex以上であり、顕在捲縮率が10%以下、熱水処理後の繊維の捲縮率が15%以下であることが好ましい。
また、本発明は、上記サイドバイサイド分割型複合繊維を製編織した織編物を、精練、プレセット、染色、及びファイナルセットのいずれか1以上の加工工程を介して生地を製造する製造方法であって、前記加工工程により前記複合繊維を割繊することによる加工生地を製造する生地の製造方法でもある。
本発明の複合繊維によれば、製糸段階で剥離が無く、後加工段階で良好な割繊性を示す風合いが良好な織編物を提供できる。
図1は、本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維の繊維横断面の例を示す。 図2は、本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維の繊維横断面を説明する図である。 図3は、本発明又は本発明外のサイドバイサイド型複合繊維の繊維横断面の例を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維は、樹脂Aと樹脂Bとを複合した分割型複合繊維である。
本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維において、樹脂Aは5−スルホイソフタル酸を含有する共重合ポリエステルであり、樹脂Bはポリアミド6(以下、PA6と呼ぶことがある)である。
本発明における樹脂Aを構成するポリエステルにおいて、ベースとなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと呼ぶことがある)であることが好ましい。
本発明における樹脂Aを構成するポリエステルは、5−スルホイソフタル酸塩を共重合した共重合ポリエステルであることが好ましい。ポリエステル全体の酸成分に対する5−スルホイソフタル酸塩の共重合の割合は、0.5モル%以上、3モル%以下であり、好ましくは1モル%以上、2.5モル%以下である。
5−スルホイソフタル酸塩の共重合の割合は、製糸段階での剥離抑制、毛羽抑制、後工程の工程通過性の点から0.5モル%以上が好ましく、より好ましくは、1モル%以上である。後工程で良好な割繊性を得る点、織編物・生地とした際の風合いを良好とする点から、3モル%以下が好ましく、より好ましくは2.5モル%以下である。
またスルホイソフタル酸塩としては、原料コスト等の点から、ナトリウム塩等の金属塩であるスルホイソフタル酸金属塩が好ましく、特に5−ナトリウムスルホイソフタル酸が好ましい。
さらに、この他の共重合成分として、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどのジオキシ化合物、アジピン酸、イソフタル酸、フタル酸などのジカルボン酸、ビスフェノールAなどが共重合されていても良い。
本発明における樹脂Aを構成するポリエステルの固有粘度(IV)は、紡糸操業性が良好な点から、0.5dl/g以上、0.7dl/g以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5dl/g以上、0.65dl/g以下である。
本発明における樹脂Bを構成するポリアミド6の相対粘度(ηr)は、強度を得やすい点、紡糸性が良好な点から、1.5以上、3.5以下が好ましく、より好ましくは、2以上、3以下である。
本発明のサイドバイサイド型複合繊維の樹脂Aと樹脂Bとの比率(面積比)は、フィラメント強度を保持し、仮撚り時の糸切れなどを予防する点から、樹脂A:樹脂B(面積比)は、80:20〜30:70が好ましく、特に好ましくは40:60〜60:40である。樹脂Aの比率が小さ過ぎると、原糸の巻取時での捲き崩れや仮撚り時での樹脂Bの糸切れを引き起こすおそれがあり、樹脂Bの比率が小さ過ぎると仮撚り時に樹脂Aの糸切れが生じたり、生地にしたときの風合いが損なわれるおそれがある。
本発明のサイドバイサイド型複合繊維の強度は、仮撚り工程の通過性や、生地の摩擦耐性の点から、2cN/dtex以上であることが好ましく、さらに好ましくは3cN/dtex以上である。
本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維の単糸繊度は、割繊後の生地の風合いの点から、0.8〜8dtexが好ましく、さらに好ましくは1〜5dtexである。
また本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維の総繊度は、割繊後の生地の風合いの点から、10〜1000dtexが好ましく、さらに好ましくは30〜200dtexである。
特に、染色後、適度なシャンブレー感を得るためには、本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維は、総繊度が20〜200dtex、単糸繊度が0.8〜8dtexであることが好ましい。
本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維は、後加工により、割繊して用いやすいように、捲縮特性がない、又は低いことが好ましい。具体的に、本発明の複合繊維に好適な潜在捲縮率及び熱水処理後の捲縮率を以下に例示する。
本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維の潜在捲縮率は、10%以下が好ましく、より好ましくは5%以下である。
さらに、本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維の熱水処理後の捲縮率は、15%以下が好ましく、より好ましくは8%以下である。
本発明の複合繊維において、潜在捲縮率や熱水処理後の捲縮率が上記の範囲を超える場合は、仮撚りなどの後工程の通過性が低下する傾向がある。
本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維は、樹脂Aと樹脂Bとを複合した形状であり、繊維横断面(繊維長手方向に垂直な断面)は、丸断面と丸断面とを接合した繭型の形状であることが好ましい。
本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維の繊維横断面の例を図1に示す。図1の繊維横断面は、1の成分と2の成分とを繭型に複合した形状のものである。図1の1は樹脂A、2は樹脂Bである。
以下、図2及び図3を参照して説明する。
図2は、本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維の繊維横断面について、説明する図である。図2の繊維横断面は、丸断面と丸断面を接合した繭型の形状である。rは、樹脂A又は樹脂Bのうち、繊維横断面の樹脂比率(面積比)が大きい樹脂の半径である。bは、樹脂Aと樹脂Bとが接合している部分の長さ(接合距離)である。aは、樹脂A又は樹脂Bのうち、樹脂比率(面積比)が大きい樹脂の外接円の中心から樹脂Aと樹脂Bとの接合線までの最短距離である。
本発明のサイドバイサイド型複合繊維の繊維横断面は、下記式1、式2を満足する。
Figure 2018059253
上記式1、式2を満足する条件であれば、製糸段階での毛羽、剥離が抑制され、後工程で割繊し易く、割繊の際には、ポリエステル成分とポリアミド成分が、均一に分散される。よって、この複合繊維を用いて布帛を製作した後に割繊して得られた生地は、ポリアミドとポリエステルが均一に分散し、肌のべたつき感が軽減され、また、染色により適度なシャンブレー感を得ることができ、風合いに優れている。
すなわち、a値が、r/4より小さい場合、繊維横断面が丸型に近づき、分割後の形状が半月型(扁平状)となり、布帛加工後の風合いに問題が生じる。
また、a値が、9r/10より大きい場合、樹脂Aと樹脂Bとの接合面積が小さくなり、紡糸操業性が悪化したり、製糸段階で剥離が生じる等の問題がある。
また、b値が、r/2より小さい場合、樹脂Aと樹脂Bとの接合面積が小さくなり、紡糸操業性が悪化したり、製糸段階で剥離が生じる等の問題がある。
そして、b値が、2rより大きい場合、樹脂Aと樹脂Bとの接合面積が大きくなることや、分割後の繊維横断面が扁平状となることにより、加工工程での繊維の割繊不良が生じたり、加工後の布帛風合いに問題が生じる。
図3は、複合繊維の繊維横断面についての説明図であり、この繊維横断面は、斜線部と、白抜き部とが、サイドバイサイド型に複合された形状である。斜線部と白抜き部は、一方が樹脂Aを示し、他方が樹脂Bを示す。図3を参照して、さらに詳細に説明する。
例えば、図3(a)の繊維横断面のように、樹脂Aと樹脂Bが離れており、樹脂Aと樹脂Bの接合部分が小さくなると、a値は9r/10に近くなり、b値はr/2に近い値となる。極端に離れた場合、a値は9r/10を超え、b値がr/2未満となる。a値又はb値のどちらか、又は、両方が範囲から外れた繊維横断面では、紡糸工程での糸割れによる毛羽が発生し、原糸品位の低いものになる。
b値が2rを超える又は2rに近く、a値が4/r未満であれば、図3(b)に近い断面となり、複合繊維を割繊した後に得られた布帛は、ベタツキ感が生じ、風合いが損なわれる。
また、b値が2/r未満、かつa値が9r/10を超えると、樹脂Aと樹脂Bとの樹脂の大きさに対する接合面の距離が短く、原糸製造時において、毛羽・剥離が多発し、紡糸操業性が悪化し、製糸性が不良である。また、複合繊維の後工程通過性も、悪くなる傾向がある。
さらに図3(c)及び(d)の繊維横断面のように、樹脂Aと樹脂Bとの樹脂比率の差が大きいものは、a値が9r/10の値が近くなり、b値はr/2に近くなる。極端に比率の差が大きい場合は、a値は9r/10を超えるようになり、b値はr/2未満の値となる。a値又はb値のどちらか、又は、両方の値が範囲から外れる場合、紡糸工程での糸割れによる毛羽が発生し、原糸品位の低いものになってしまう。
尚、a、b、rの関係については、より好ましくは、以下の式3、式4を満足することである。
Figure 2018059253
本発明に使用されるポリエステル及びポリアミドに使用される添加剤として、紡糸及び延伸操業性、製織等に支障がでない限り、酸化チタン、カーボンブラック、制電剤、帯電防止剤、耐光剤などを添加しても良い。
本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維の好適な製造方法の例を挙げる。
まず、樹脂Aと樹脂Bを準備する。ここで、樹脂Aの共重合ポリエステルの固有粘度は、0.5dl/g以上、0.7dl/g以下であることが好ましく、樹脂Bのポリアミド6の相対粘度(ηr)は、1.5以上、3.5以下であることが好ましい。このような粘度の範囲とすることによって、粘度のバランスがよくなり、本発明の複合繊維を容易に得られ易くなる。樹脂Aと樹脂Bとを、それぞれ溶融し、それぞれ別の吐出孔から吐出し、孔の直下にて、吐出孔の距離を適切に合わせて、両樹脂を貼り合わせることにより、本発明の繊維横断面形状に複合するよう紡糸する。
尚、樹脂Aと樹脂Bは粘度が近いもの同士の方が、本発明の複合繊維をバランスがよく、本発明の複合繊維が得られ易くなる。また樹脂Aと樹脂Bは上記粘度範囲内で、樹脂Aと樹脂Bとの比率(面積比)が、80:20〜30:70程度であれば、特に、バランスよく、本発明の複合繊維を得ることが容易になる。このように樹脂Aと樹脂Bを溶融紡糸した後は、次いで、未延伸糸を巻取した後、延伸を行うような2工程法としてもよいし、未延伸糸を一旦巻き取ることなく直接延伸する直接延伸法(所謂、SPD法)としてもよいし、半延伸糸を巻き取り後、POY法としてもよく、種々の製法を選択できる。
各工程及び延伸時の熱セット温度は、110〜200℃が好ましく、さらに好ましくは120〜170℃である。延伸時の熱セット温度が110℃未満の場合、原糸の潜在捲縮率、熱水収縮率が非常に大きくなるため、後工程での欠点増加の原因となるおそれがあるため、上記の範囲が好ましい。
本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維は、製編織し、織編物等の布帛とし、加工等を行うことにより、衣料等の種々の用途の生地として、供することができる。
本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維は、後工程で、割繊して好適に使用できる。
本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維は、仮撚割繊してもよいし、織編物等の布帛とした後、通常の精練、プレセット、染色、ファイナルセット等の一般的な加工工程で割繊してもよい。このような通常の加工工程の好適条件について以下に例示する。例えば、以下のような条件であることが好ましい。精練工程において、0.2〜1質量%程度の水酸化ナトリウム水溶液を用い、70〜98℃の温度で行うことが好ましい。プレセット工程において、プレセットの温度は、140〜200℃が好ましく、より好ましくは160〜190℃である。染色工程においては、各染料90〜125℃、50〜100分の範囲であることが好ましく、用いる染料は、ポリアミドに対しては、酸性染料、ポリエステルに対してはカチオン染料が好ましい。ファイナルセット工程においては、ファイナルセットの温度は、140〜200℃が好ましく、より好ましくは、160〜190℃である。
これらの通常の加工工程で割繊する場合、精練、プレセット、染色、及びファイナルセット等の工程を、目的に応じて、いずれか1種以上を選択し、所望の工程で、本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維を割繊して、所望の生地を得るとよい。
尚、上記の通常の加工工程以外に、防汚加工、制電加工、消臭加工、撥水加工、コーティング、ディッピングなどの工程を介してもよい。
本発明のサイドバイサイド分割型複合繊維は、上記の通常の一般的な工程により、良好な割繊性を示す。割繊の度合いは目的に応じて選択するとよいが、通常の一般的な工程により、ポリアミド成分とポリエステル成分をほぼ完全に割繊させると、生地の風合いや肌との感触、生地の色斑にならないなどの点で特に好ましい。
尚、割繊促進剤として、ポリアミド側を収縮させる溶剤を用いてもよい。但し、ベンジルアルコールはポリアミド側の収縮率が高く、又水酸化ナトリウム溶液に浸漬し減量する(一定以上の濃度(例えば、4質量%水酸化ナトリウム水溶液)でのアルカリ減量)と共重合ポリエステルが溶解し易いため、シボを防止し、ポリエステルの風合いを良好に発現したい場合は、ベンジルアルコールや一定以上の濃度のアルカリ水溶液を用いることなく、上述した一般的な工程により、割繊することが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の測定方法及び評価は以下の通りとした。
A.破断強度、破断伸度
JIS L 1013に準じ、島津製作所製のAGS−1KNGオートグラフ引張試験機を用い、試料糸長20cm、定速引張速度20cm/minの条件で測定する。荷重−伸び曲線での荷重の最高値を繊度で除した値を破断強度(cN/dtex)とし、そのときの伸び率を破断伸度(%)とする。
B.固有粘度(IV)
サンプルをフェノール:テトラクロロエタン=6:4(容積比)の混合溶媒、溶解時間80℃×1時間で溶解し、1質量%の溶液を得た。ウベローデ型粘度管を使用し、測定温度20℃の下で測定し、固有粘度IV(dl/g)を得た。
C.相対粘度(ηr)
サンプルを96質量%硫酸、溶解時間50℃×1.5時間で溶解し、1質量%の溶液を得た。ウベローデ型粘度管を使用し、測定温度25℃の下で測定し、相対粘度ηrを得た。
D.紡糸操業性
紡糸工程及び延伸工程の通過性が良好であれば「○」、工程通過性が若干悪いものを「△」、製糸不可であれば「×」とした。
E.捲縮特性(潜在捲縮率、熱水処理後の捲縮率)
折り返し一往復を0.1g/dにて50cmの長さの綛を作製し、その時の長さをL0とする(L0=50cm)。その後1.2mg/dの荷重を掛け30分間静置する。この状態で沸騰水中に15分間浸漬した後、24時間風乾させ、測長した長さをL1する。次に5mg/dの荷重を掛け30秒後、測長した長さをL2とし、さらに300mg/dの荷重を掛け30秒後、測長した長さをL3とし、次の式で算出した。
潜在捲縮率(%)=〔(L0−L1)/L0〕×100
熱水処理後の捲縮率(%)=〔(L3−L2)/L2〕×100
F.割繊性、分散均一性
2種類のポリマーの単糸の割繊性及び分散均一性を以下のように評価した。
加工後の生地から採取した繊維を、ポリエチレンで埋包し、切片を取り、マイクロスコープ像より、評価した。2種類のポリマーの分散が均一で、単糸が95%以上割繊している繊維を「○」、2種類のポリマーがある程度分散し、90%以上割繊しているものを「△」、それ以外を「×」とした。
G.風合い
風合い(肌触り)は、得られた生地を10人による官能検査にて、8人以上風合いが良好と判断したものを「〇」、3人以上、7人以下が、風合いが良好と判断したものを「△」、風合いが良好と判断した人が3人未満のものを「×」とした。
H.後工程通過性
製織工程、精練工程、プレセット工程、染色工程、熱セット工程の際、織工程でのヨコ段・毛羽立ち・製織不良の状況、加工反の染め斑、毛羽の状況を確認し、欠点が多いものを「×」、欠点はあるが、比較的軽微な欠点のみあるものを「△」、ほぼ欠点がないものを「〇」として評価した。
〔実施例1〕
5−スルホイソフタル酸ナトリウムをポリエステル全体の酸成分に対して1.5モル%及びポリエチレングリコール3質量%を共重合したポリエチレンテレフタレート(IV:0.54dl/g)を樹脂A、相対粘度(ηr)が2.8のポリアミド6を樹脂Bとし、樹脂比率(面積比)を50:50として従来公知の直接紡糸延伸法により、図1のような繊維横断面になるオリフィス径φ0.22mmの紡糸口金を使い、ゴデッドローラー1(GR1):80℃、900m/min、ゴデッドローラー2(GR2):130℃、3200m/minにて引取り、延伸し、3020m/minにて巻き取り、サイドバイサイド分割型複合繊維を得た。
経糸を56dtex/12fのポリアミド6の繊維、緯糸を上記複合繊維とし、平織にて製織した。得られた平織物は、190℃でプレセットした後、酸性染料で染色した後、カチオン染料により染色し、次いで、160℃で熱セット(ファイナルセット)して、加工生地を得た。尚、精練から熱セットの間に分割型複合繊維は完全に割繊されていた。
〔実施例2、比較例1、2〕
樹脂Aの5−スルホイソフタル酸ナトリウムの共重合の割合(モル濃度)を変更する以外は実施例1と同様に加工生地を得た。
〔実施例3〕
樹脂Aにおいて、ポリエチレングリコールを共重合しないポリエチレンテレフタレートを用いる以外は、実施例1と同様に加工生地を得た。
〔実施例4〕
樹脂Aにおいて、ポリエチレングリコールを共重合しないポリエチレンテレフタレートを用いる以外は、実施例2と同様に加工生地を得た。
〔実施例5、6、比較例3、4〕
樹脂Aと樹脂Bの構成比率を変更した以外は実施例2と同様に加工生地を得た。
〔比較例5、6〕
繊維横断面形状を図3(a)又は図3(b)となるように、紡糸口金を変更した以外は、実施例2と同様に加工生地を得た。
〔比較例7〕
樹脂AをホモPET(IV=0.63dl/g)に変更した以外は、実施例2と同様に加工生地を得た。
〔比較例8〕
実施例1で用いた樹脂Aと実施例1で用いた樹脂Bをそれぞれ異なる紡糸口金(オリフィス径φ0.25mm)より、それぞれが28dtex/12fになるよう吐出し、直接紡糸延伸し、ワインダー(巻取速度3200m/min)へ糸条が入る前に、上記糸条を混繊して、56dtex/24の混繊糸を得て、実施例1と同様に加工生地を得た。
実施例1〜6、比較例1〜8の繊維の製造条件、糸物性、各評価の結果について、表1に示す。尚、表1では、r値を1として換算した値を示す。a値、b値の欄において、〇は本発明の範囲内、×は本発明の範囲外である。
Figure 2018059253
実施例1〜6から得られた5−スルホイソフタル酸ナトリウムを共重合したポリエチレンテレフタレートとポリアミド6からなるサイドバイサイド分割型複合繊維は、樹脂A及び樹脂Bの比率、樹脂Aの種類、共重合成分に関係なく、破断強度が3cN/dtex以上の高強度の繊維であり、適切な捲縮特性を有し、糸品位の良いサイドバイサイド型複合繊維であった。さらに、この複合繊維は後工程通過性も良かった。また、これらのサイドバイサイド分割型複合繊維から得られた加工生地は、割繊性が非常に良好で、2種類のポリマーの単糸の分散が均一で、シャンブレー感も良好となり、風合いも良く、品位の良いものであった。特に実施例1〜5から得られた加工生地が、風合い、品位の点で優れていた。
比較例1から得られたサイドバイサイド分割型複合繊維は、共重合成分の5−スルホイソフタル酸ナトリウムが0.2モル%と低いため、紡糸中に単糸が剥離し、毛羽の発生などが見られ、紡糸操業性が悪い傾向が見られた。また、毛羽の発生が生じたり、繊維の割繊性及び分散性が比較的悪いことより、風合いを損なう結果となった。
比較例2から得られたサイドバイサイド分割型複合繊維は、共重合成分の5−スルホイソフタル酸ナトリウムが4モル%と高いため、潜在捲縮率の高い繊維となった。また加工生地は割繊が不十分な部分があった。このため、2種のポリマーの単糸の分散性が十分でなく、風合いが悪化し、染色での筋などが見られた。
比較例3から得られたサイドバイサイド分割型複合繊維は、樹脂A:樹脂Bを20:80にしたことによって、b値が範囲外となり、紡糸工程で、剥離による単糸切れや断糸が発生した。また得られた複合繊維は、潜在捲縮率が高く、これにより、仮撚り時は後工程通過性が悪く、また得られた加工生地は、割繊が不十分であった。このため、2種ポリマーの単糸の分散性は十分でなく、均一に分散されておらず、風合いが悪くなったり、染色での筋が見られた。
比較例4から得られたサイドバイサイド型複合繊維は、樹脂A:樹脂Bを90:10にしたことによって、a値とb値が本発明の範囲外となり、紡糸での剥離による単糸切れや断糸が発生した。また、製織工程や加工工程での樹脂Bの断糸及び毛羽立ちの発生が見られた。加工生地は、2種類の樹脂の単糸太さバランスが悪く、単糸切れした部分もあり、風合いが不良なものとなった。
比較例5から得られたサイドバイサイド型複合繊維は、実施例2と同じ組成で繊維横断面を図3(a)のように、樹脂Aと樹脂Bの接合距離を短くしたことによって、紡糸時の剥離、毛羽、断糸が発生し、糸物性は良いが、品位の悪い繊維となった。また加工生地での割繊性は良好であるが、紡糸時の剥離等により不良部が混入し、生地の品位が悪かった。
比較例6から得られたサイドバイサイド型複合繊維は、実施例2と同じ組成で繊維横断面を図3(b)のように、真円に近いとしたことによって、得られた加工生地は、布帛と肌との間でベタツキ感が発生し、風合いを損ねる結果となった。
比較例7から得られたサイドバイサイド型複合繊維は、ホモPETとポリアミド6の組合せとしたことによって、紡糸時での剥離、単糸切れ、断糸が頻発し、糸品位を大きく損なう結果となった。得られた加工生地は風合いが非常に悪かった。
比較例8から得られた混繊糸は、2種類の繊維を合糸するため、混繊後の各ポリマー単糸の分散が不十分となり、加工生地は、ポリエステル繊維とポリアミド繊維が、均一に分散されず、シャンブレー感はあるが、十分な風合いのものが得られなかった。
このように、実施例1〜6から得られたサイドバイサイド分割型複合繊維は、紡糸操業性が非常によく、糸物性が良好で、高品位なものであった。さらにこれらの複合繊維から得られた加工生地は、後工程通過性、割繊性が良好で、シャンブレー感も良好な上、高品位で、風合いの優れたものであった。
1 樹脂A
2 樹脂B

Claims (4)

  1. 樹脂Aと樹脂Bとをサイドバイサイドに複合した分割型複合繊維であって、樹脂Aが5−スルホイソフタル酸を含有する共重合ポリエステルであり、ポリエステル全体の酸成分に対する5−スルホイソフタル酸塩の共重合の割合は、0.5モル%以上、3モル%以下であり、樹脂Bがポリアミド6であり、繊維横断面は下記の式1及び式2を満足することを特徴とするサイドバイサイド分割型複合繊維。
    Figure 2018059253
  2. 樹脂Aと樹脂Bとの比率(面積比)が、80:20〜30:70であることを特徴とする請求項1記載のサイドバイサイド型複合繊維。
  3. 破断強度が2.0cN/dtex以上であり、顕在捲縮率が10%以下、熱水処理後の繊維の捲縮率が15%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のサイドバイサイド型複合繊維。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載の複合繊維を製編織した織編物を、精練、プレセット、染色、及びファイナルセットのいずれか1以上の加工工程を介して生地を製造する製造方法であって、前記加工工程により前記複合繊維を割繊することを特徴とする加工生地を製造する生地の製造方法。
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