JP2018059185A - スパッタリングターゲット材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高電力スパッタしても、割れの発生が抑制される、生産性の向上が可能な酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲット材を提供する。【解決手段】 金属成分全体に対して、Snを25原子%〜33原子%含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる酸化物焼結体であり、13.0μm以上の最大長を有するZnO相が10000μm2当たり1.0個未満であるスパッタリングターゲット材、相対密度の平均値は98.0%以上であることが好ましく、金属成分全体に対して、Al、Ga、MoおよびWのうち1種以上を合計で0.005原子%〜4.000原子%含有することもできる。【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば大型液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを駆動する薄膜トランジスタの酸化物半導体膜を形成するために使用されるスパッタリングターゲット材に関するものである。
従来、薄膜トランジスタ(以下、「TFT」という。)で駆動する方式の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置では、TFTのチャネル層に非晶質シリコン膜や結晶質シリコン膜を採用したものが主流である。そして、ディスプレイの高精細化の要求に伴い、TFTのチャネル層に使用される材料として酸化物半導体が注目されている。例えば、特許文献1に開示されるIn(インジウム)とGa(ガリウム)とZn(亜鉛)とO(酸素)とを含む酸化物半導体膜(以下、「IGZO薄膜」という。)は、優れたTFT特性を有するとして実用化が開始されている。このIGZOの薄膜に含まれるInやGaは、日本ではレアメタル備蓄対象鋼種に指定される希少かつ高価な金属である。
そこで、上記IGZO薄膜に含まれるInやGaを含有しない酸化物半導体膜として、ZnSnO系酸化物半導体膜(以下、「ZTO系薄膜」という。)が注目されつつある。そして、このZTO系薄膜は、スパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法によって成膜される。このスパッタリング法とは、イオンや原子またはクラスターをスパッタリングターゲット表面に衝突させて、その物質の表面を削る、あるいは飛ばすことにより、その物質を構成する成分を基板などの表面上に堆積させて成膜する方法である。
ここで、ZTO系薄膜は、酸素を含有する薄膜であるため、スパッタリング法においては酸素を含有した雰囲気で成膜するいわゆる反応性スパッタリング法が用いられている。この反応性スパッタリング法とは、アルゴンガスと酸素ガスで構成される混合ガスの雰囲気下でスパッタリングする方法で、イオンや原子またはクラスターを酸素と反応させながらスパッタリングすることで、酸化物系の半導体膜を形成するという手法である。
そして、この反応性スパッタリング法に用いるスパッタリングターゲットは、上記ZTO系薄膜の成分組成に近似した成分組成を有するZTO系の酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲット材が用いられる。
このようなスパッタリングターゲット材は、生産性の観点から直流スパッタリング法により成膜され、成膜速度を向上させるために、高電力で使用されることが要求される。特許文献2では、アーキングの原因となる酸化スズ(SnO)の結晶相を組織中に含有させないことで、高電力スパッタにおいてもアーキングの発生を抑制し、成膜速度が向上できるスパッタリングターゲット材用の焼結体が提案されている。
特開2013−36073号公報 特許第04552950号
本発明者の検討によると、特許文献2で提案されているSnOの結晶相が抑制された焼結体をスパッタリングターゲット材として使用する際に、成膜速度の向上を目的に、高電力でスパッタすると、スパッタリングターゲット材が割れてしまう場合があることを確認した。スパッタリングターゲット材が使用中に破損した場合は、パーティクルが発生してしまい、半導体膜の特性を劣化させる上、成膜作業を中断し、スパッタリングターゲット材を交換する必要があり、生産性を大きく損なうこととなる。
本発明の目的は、高電力でスパッタしても、割れの発生を抑制できる、生産性の向上が可能な酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲット材を提供することにある。
本発明者は、酸化物焼結体の組織中から、粗大な酸化亜鉛(ZnO)相を排除することで、高電力スパッタしても、割れの発生が抑制可能なスパッタリングターゲット材を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、金属成分全体に対して、Snを25原子%〜33原子%含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる酸化物焼結体であり、13.0μm以上の最大長を有するZnO相が10000μm当たり1.0個未満であるスパッタリングターゲット材である。
本発明のスパッタリングターゲット材の相対密度の平均値は、98.0%以上であることが好ましい。
また、本発明のスパッタリングターゲット材は、金属成分全体に対して、Al、Ga、MoおよびWのうち1種以上を合計で0.005原子%〜4.000原子%含有することが好ましい。
本発明のスパッタリングターゲット材は、酸化物焼結体の組織中から、粗大なZnO相を排除することにより、高電力でスパッタしても、割れの発生が抑制される。これにより、成膜速度の向上が可能となり、生産性に優れたスパッタリングターゲット材として有用な技術となる。
本発明例1のスパッタリングターゲット材の表面を走査型電子顕微鏡で観察した写真。 比較例のスパッタリングターゲット材の表面を走査型電子顕微鏡で観察した写真。 本発明例2のスパッタリングターゲット材の表面を走査型電子顕微鏡で観察した写真。
本発明のスパッタリングターゲット材は、13.0μm以上の最大長を有するZnO相が10000μm当たりで1.0個未満とする。
本発明者の検討によると、酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲット材において、組織中のZnO相が粗大化した状態で存在すると、ZnO相の周囲に存在するZnSnO相との熱膨張差が生じることを確認した。そして、高電力スパッタに伴うスパッタリングターゲット材の温度上昇によって、その熱膨張差が顕著になり、内部応力に起因した熱負荷により破損耐性が低くなることを確認した。
最大長が13.0μm以上のZnO相が組織中に、実質的に存在しないことにより、高電力スパッタ時のスパッタリングターゲット材の温度上昇に伴うZnSnO相とZnO相の熱膨張差による内部応力を軽減し、高電力スパッタによる高い熱負荷を受けるような状態であっても、スパッタリングターゲット材の割れを抑制することができる。
ここで、本発明でいうZnO相の最大長は、スパッタリングターゲット材のスパッタ面の任意の3視野において、走査型電子顕微鏡により反射電子像でZnSnO相とZnO相を高コントラストで撮影し、その画像を画像解析ソフト(例えば、OLYMPUS SOFT IMAGING SOLUTIONS GMBH製の「Scandium」)を用いて測定することができる。そして、3視野の平均の個数を算出する。
本発明のスパッタリングターゲット材は、実質的にZnとSnとOで構成される。具体的には、金属成分全体に対して、Snを25原子%〜33原子%含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる酸化物焼結体である。
Snは、金属成分全体に対して33原子%以下にすることで、所望のパターンでチャネル層を形成するときのエッチング性を向上することができる。一方、Snを25原子%以上にすることで、ZnO相が粗大化すること、あるいは複数のZnO相が連結することを抑制することができ、高電力スパッタによる高い熱負荷を受けるような状態であっても、スパッタリングターゲット材の割れの抑制することができる。本発明では、上記と同様の理由から、Snは、金属成分全体に対して、28原子%以上にすることが好ましい。また、Snは、金属成分全体に対して、32原子%以下にすることが好ましい。
本発明のスパッタリングターゲット材は、相対密度の平均値が98.0%以上であることにより、スパッタリングターゲット材の気孔率が減少し、機械加工時の割れや欠けの発生を抑制することができる点で好ましい。その上、高電力スパッタ時のスパッタリングターゲット材の温度上昇に伴う熱膨張差による気孔部への応力集中が抑制でき、スパッタリングターゲット材の割れ耐性を向上することができる。本発明のスパッタリングターゲット材は、上記と同様の理由から、相対密度の平均値は99.0%以上がより好ましい。
尚、本発明におけるスパッタリングターゲット材の相対密度とは、アルキメデス法により測定されたスパッタリングターゲット材のかさ密度を、その理論密度で割った値を百分率で表わしたものをいう。ここで、理論密度は、組成比から得られる質量比で算出した加重平均として得られた値を用いる。
尚、測定位置は、例えば、円板状のスパッタリングターゲット材の場合には、スパッタリングターゲット材の外周部に相当する4つの部位と、中央部に相当する部位の合計5か所とする。また、長方形などの矩形のスパッタリングターゲット材の場合には、スパッタリングターゲット材の角部に相当する4つの部位と、中央部に相当する部位の合計5か所とする。そして、本発明では、この5か所の相対密度の値の平均値を採用する。
本発明のスパッタリングターゲット材は、金属成分全体に対して、Al、Ga、MoおよびWのうち1種以上を合計で0.005原子%〜4.000原子%含有することが好ましい。
これらの元素は、キャリアの移動度の制御や光劣化を防止するのに有用な元素である。
以下に、本発明のスパッタリングターゲット材の製造方法の一例を説明する。
本発明のスパッタリングターゲット材は、例えば、以下の製造方法が適用できる。先ず、ZnO粉末とSnO粉末を純水、分散剤と混合してスラリーとする。そして、このスラリーを乾燥させた後、造粒粉を作製し、その造粒粉を仮焼して仮焼粉末を作製する。そして、この仮焼粉末を湿式解砕した後、鋳込み成形により成形体を作製し、脱脂を経て、常圧で焼成することで本発明のスパッタリングターゲット材を得ることができる。
上記の仮焼粉末を作製するための造粒粉の仮焼温度は、1000℃〜1200℃に設定することが好ましい。仮焼温度は、1000℃以上にすることで、ZnO粉末とSnO粉末の反応を十分に進行させることができる。また、仮焼温度は、1200℃以下にすることで、適度な粉末粒径を維持することができ、緻密なスパッタリングターゲット材を得ることができる。これにより、高電力スパッタによる高い熱負荷を受けるような状態であっても、スパッタリングターゲット材の割れを抑制することができる。
常圧における焼成温度は、1300℃〜1450℃に設定することが好ましい。焼成温度は、1300℃以上にすることで、焼結を促進させることができ、緻密なスパッタリングターゲット材を得ることができる。これにより、高電力スパッタによる高い熱負荷を受けるような状態であっても、スパッタリングターゲット材の割れを抑制することができる。また、焼成温度は、1450℃以下にすることで、ZnO相の粒成長を抑制し、ZnO相の最大長を13.0μm未満に抑えることができ、高電力スパッタによる高い熱負荷を受けるような状態であっても、スパッタリングターゲット材の割れを抑制することができる。そして、本発明では、上記と同様の理由から、常圧における焼成温度は1350℃〜1400℃の範囲で行なうことがより好ましい。
焼成における最高温度での保持時間は、長くなるほど焼成による緻密化が進む反面、15時間を超えると、ZnO相の粒成長を助長し、最大長が13.0μm以上のZnO相が形成されてしまい、高電力スパッタによる高い熱負荷を受けるような状態でスパッタリングターゲット材が割れやすくなる。このため、本発明のスパッタリングターゲット材を得るためには、焼成における最高温度での保持時間は15時間以下とすることが好ましい。そして、本発明では、上記と同様の理由から、焼成における最高温度での保持時間は5時間〜10時間の範囲にすることがより好ましい。
成型体を焼成する雰囲気の酸素濃度は、体積比で18%〜21%であることが好ましい。焼成雰囲気の酸素濃度が21体積%を超えると、ZnOの蒸発が抑制され、焼結性が向上し緻密化が容易になる反面、ZnO相の粒成長が進みやすくなり、ZnO相の粗大化の原因となる。その上、焼成雰囲気の酸素濃度が21体積%を超えると、酸素欠損の形成が抑制されてしまい、酸化物焼結体の電気抵抗率が高くなり、半導体膜の製造で一般的に使用される直流スパッタリングが困難となる。
一方、焼成雰囲気の酸素濃度が18体積%未満となると、ZnOの蒸発が増加してしまい、緻密化が阻害され、高密度の酸化物焼結体を得ることが困難になる。
本発明では、上記の焼成をして酸化物焼結体を得た後に、非酸化性雰囲気で還元熱処理を行なうことが好ましい。これにより、酸化物焼結体の電気抵抗率を低下させ、直流スパッタリングによる半導体膜の成膜が可能となる。酸化物焼結体の電気抵抗率は、酸化物焼結体中の酸素欠損密度と関係しており、還元熱処理の温度を高くすることで酸素欠損密度が増加し、電気抵抗率は低下する。ただし、還元熱処理の温度が高すぎると、ZnOの蒸発量が増加してしまい、酸化物焼結体の密度低下に加え、ZnO相の粗大化を助長する。このため、本発明では、還元熱処理を1300℃〜1450℃の範囲で行なうことが好ましい。そして、本発明では、上記と同様の理由から、還元熱処理を1350℃〜1400℃の範囲で行なうことがより好ましい。
還元熱処理の保持時間は、3時間以上にすることが好ましい。これにより、酸化物焼結体中の酸素欠損状態を均一にすることができる。また、還元熱処理の保持時間は、15時間以下にすることが好ましい。これにより、ZnOの蒸発抑制とZnO相の粗大化を防止することができる。そして、本発明では、上記と同様の理由から、還元熱処理の保持時間は4時間〜12時間の範囲にすることがより好ましい。
先ず、金属成分全体に対してSnが30原子%、残部がZnおよび不可避的不純物となるように、平均粒径(累積粒度分布のD50)が0.70μmのZnO粉末と、平均粒径(累積粒度分布のD50)が1.85μmのSnO粉末を秤量して、所定量の純水と分散剤の入った撹拌容器内に投入後、混合してスラリーを得た。このスラリーを乾燥、造粒させた後、1090℃で仮焼成し、仮焼粉末を得た。仮焼粉末は、湿式解砕により平均粒径(累積粒度分布のD50)が1μmになるように粒度調整した。
仮焼粉末を湿式解砕した後、鋳込み成形により、直径:125mm×厚さ:10mmの成形体を得た。
次に、得られた成形体を1400℃、10時間、酸素濃度が21体積%の雰囲気で常圧焼成し、次いで、1400℃、4時間、窒素雰囲気で常圧の還元熱処理を行ない、酸化物焼結体を得た。そして、この酸化物焼結体に機械加工をして、直径:100mm×厚さ:5mmの本発明例1となるスパッタリングターゲット材を得た。
比較例として、以下のようにスパッタリングターゲット材を製作した。金属成分全体に対してSnが30原子%、残部がZnおよび不可避的不純物となるように、平均粒径(累積粒度分布のD50)が0.70μmのZnO粉末と、平均粒径(累積粒度分布のD50)が1.85μmのSnO粉末を秤量して、所定量の純水と分散剤の入った撹拌容器内に投入後、混合してスラリーを得た。このスラリーを乾燥、造粒させた後、1090℃で仮焼成し、仮焼粉末を得た。仮焼粉末は、湿式解砕により平均粒径(累積粒度分布のD50)が1μmになるように粒度調整した。
仮焼粉末を湿式解砕した後、鋳込み成形により、直径:125mm×厚さ:10mmの成形体を得た。
次に、得られた成形体を、1550℃、4時間、酸素濃度が0.1体積%の窒素雰囲気で常圧焼成して酸化物焼結体を得た。そして、この酸化物焼結体に機械加工をして、直径:100mm×厚さ:5mmの比較例となるスパッタリングターゲット材を得た。
上記で得た各スパッタリングターゲット材のスパッタリング面を走査型電子顕微鏡の反射電子像で、任意の横:130.6μm×縦:94.6μm(面積:12355μm)の視野のうち、10000μmとなる視野を3視野観察し、各視野内に存在する各ZnO相の最大長を測定し、最大長が13.0μm以上のZnO相の個数を計測した。ここで、計測方法は、走査型電子顕微鏡により反射電子像でZnSnO相とZnO相を高コントラストで撮影し、その画像を画像解析ソフト(OLYMPUS SOFT IMAGING SOLUTIONS GMBH製の「Scandium」)を用いて、各ZnO相の最大長とその平均値を得た。
その後、株式会社アルバック製のスパッタリング装置(型式:SBH−2204RED)を用いて、Ar雰囲気、圧力0.5Pa、電力300Wの条件でスパッタリングを60分間行ない、スパッタリング後のスパッタリングターゲット材の割れの有無を確認した。
本発明のスパッタリングターゲット材は、図1に示すように、基地となるZnSnO相1に微細なZnO相2が分散していることがわかる。また、本発明のスパッタリングターゲット材は、SnO相がないことも確認された。
そして、本発明のスパッタリングターゲット材は、いずれの視野においても、最大長が13.0μm以上のZnO相は確認されず、その3視野の平均の個数は1.0個未満であることが確認できた。また、本発明のスパッタリングターゲット材は、ZnO相の最大長は、確認した視野において、最大値でも10.7μmであり、平均値でも、3.0μm以下であることが確認できた。
また、本発明のスパッタリングターゲット材は、スパッタリングを行なった後も割れは確認されなかった。これにより、本発明のスパッタリングターゲット材はスパッタリング時の破損耐性に優れ、高電力スパッタによる生産性の向上に期待できる。
一方、比較例のスパッタリングターゲット材は、図2に示すように、基地となるZnSnO相1に粗大なZnO相2が分散していることに加え、空孔3も多数存在していることがわかる。また、比較例のスパッタリングターゲット材は、SnO相がないことも確認された。
そして、比較例のスパッタリングターゲット材は、いずれの視野においても、最大長が13.0μm以上のZnO相が確認され、その3視野の平均の個数は、2.3個であった。また、比較例となるスパッタリングターゲット材は、ZnO相の最大長は、確認した視野において、最大値で24.5μmであり、平均値も4.5μm以上であった。そして、比較例のスパッタリングターゲット材は、スパッタリング後にスパッタリングターゲット材に放射状の割れが生じていることが確認された。
先ず、金属成分全体に対してSnが30原子%、残部がZnおよび不可避的不純物となるように、平均粒径(累積粒度分布のD50)が0.70μmのZnO粉末と、平均粒径(累積粒度分布のD50)が1.85μmのSnO粉末を秤量して、所定量の純水と分散剤の入った撹拌容器内に投入後、混合してスラリーを得た。このスラリーを乾燥、造粒させた後、1090℃で仮焼成し、仮焼粉末を得た。仮焼粉末は、湿式解砕により平均粒径(累積粒度分布のD50)が1μmになるように粒度調整した。
そして、この仮焼粉末に、金属成分全体に対して、Alが0.130原子%、Snが30原子%、残部がZnおよび不可避的不純物となるようにAl粉末を添加して、湿式解砕により平均粒径(累積粒度分布のD50)が0.8μmになるように粒度調整した。そして、この湿式粉砕した仮焼粉末を鋳込み成形により、長辺:1734mm×短辺:257mm×厚さ:17mmの成形体を得た。
次に、得られた成形体を焼成温度1400℃、5時間、酸素濃度が21体積%の雰囲気で常圧焼成し、次いで、1400℃、12時間、窒素雰囲気で常圧の還元熱処理を行ない、酸化物焼結体を得た。そして、この酸化物焼結体の一部を切り出して、機械加工により、直径:100mm×厚さ:5mmの本発明例2となるスパッタリングターゲット材を得た。
上記で得たスパッタリングターゲット材のスパッタリング面を走査型電子顕微鏡の反射電子像で、任意の横:130.6μm×縦:94.6μm(面積:12355μm)の視野のうち、10000μmとなる視野を3視野観察し、各視野内に存在する各ZnO相の最大長を測定し、最大長が13.0μm以上のZnO相の個数を計測した。ここで、計測方法は、走査型電子顕微鏡により反射電子像でZnSnO相とZnO相を高コントラストで撮影し、その画像を画像解析ソフト(OLYMPUS SOFT IMAGING SOLUTIONS GMBH製の「Scandium」)を用いて、各ZnO相の最大長とその平均値を得た。
その後、株式会社アルバック製のスパッタリング装置(型式:SBH−2204RED)を用いて、Ar雰囲気、圧力0.5Pa、電力300Wの条件でスパッタリングを60分間行ない、スパッタリング後のスパッタリングターゲット材の割れの有無を確認した。
本発明のスパッタリングターゲット材は、図3に示すように、基地となるZnSnO相1に微細なZnO相2が分散していることがわかる。また、本発明のスパッタリングターゲット材は、SnO相がないことも確認された。
そして、本発明のスパッタリングターゲット材は、いずれの視野においても、最大長が13.0μm以上のZnO相は確認されず、その3視野の平均の個数は1.0個未満であることが確認できた。また、本発明のスパッタリングターゲット材は、ZnO相の最大長は、確認した視野において、最大値でも10.6μmであり、平均値でも、3.2μm以下であることが確認できた。
また、本発明のスパッタリングターゲット材は、スパッタリングを行なった後も割れは確認されなかった。これにより、本発明のスパッタリングターゲット材はスパッタリング時の破損耐性に優れ、高電力スパッタによる生産性の向上に期待できる。
1 ZnSnO
2 ZnO相
3 空孔

Claims (3)

  1. 金属成分全体に対して、Snを25原子%〜33原子%含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる酸化物焼結体であり、13.0μm以上の最大長を有するZnO相が10000μm当たり1.0個未満であることを特徴とするスパッタリングターゲット材。
  2. 相対密度の平均値が98.0%以上であることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。
  3. 金属成分全体に対して、Al、Ga、MoおよびWのうち1種以上を合計で0.005原子%〜4.000原子%含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスパッタリングターゲット材。

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