JP2020196660A - 酸化物焼結体及びスパッタリングターゲット - Google Patents

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浩一 宮田
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達昭 篠田
幸樹 田尾
Koki Tao
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Abstract

【課題】本発明は、割れの発生を抑制可能な酸化物焼結体の提供を課題とする。【解決手段】本発明の一態様に係る酸化物焼結体は、In、Zn及びFeを含む酸化物焼結体であって、酸化亜鉛の結晶粒を実質的に有さず、In酸化物の結晶粒とZnIn酸化物の結晶粒とを有し、上記In酸化物の結晶粒がFeを実質的に含まないIn2O3結晶単相構造であり、上記ZnIn酸化物の結晶粒がFeを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物焼結体及びスパッタリングターゲットに関する。
アモルファス酸化物半導体は、例えばアモルファスシリコン半導体に比べて薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を形成した際のキャリア移動度が高い。また、アモルファス酸化物半導体は光学バンドギャップが大きく、可視光の透過性が高い。さらに、アモルファス酸化物半導体の薄膜は、アモルファスシリコン半導体よりも低温で成膜することができる。これらの特徴を活かして、アモルファス酸化物半導体の薄膜は、高解像度で高速駆動できる次世代の大型ディスプレイや、低温での成膜が要求される樹脂基板を用いた可撓性ディスプレイへの応用が期待されている。
アモルファス酸化物半導体としては、インジウムを含む非晶質酸化物半導体が提案されており、インジウム、ガリウム、亜鉛及び酸素を含むIn−Ga−Zn−O(IGZO)アモルファス酸化物半導体や、インジウム、ガリウム、亜鉛、スズ及び酸素を含むIn−Ga−Zn−Sn−O(IGZTO)アモルファス酸化物半導体が注目されている。
アモルファス酸化物半導体の薄膜は、このアモルファス酸化物半導体と同じ組成を有するスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法によって形成される。このスパッタリング法では、スパッタリング中に異常放電が生じると、スパッタリングターゲットが割れることがある。そのため、スパッタリングターゲットの割れを抑制するため、スパッタリングターゲット中の結晶相の含有量を調節することが検討されている(特開2014−58415号公報参照)。
特開2014−58415号公報
上記公報には、インジウム、ガリウム、亜鉛、スズ及び酸素を含むスパッタリングターゲットにおいて、スパッタリング中におけるスパッタリングターゲットの割れを抑制すべく、InGaZn相の体積割合を3%以下に抑えることが記載されている。
しかしながら、本発明者等が鋭意検討したところ、InGaZn等の結晶相の体積割合を制御するのみではスパッタリング中におけるスパッタリングターゲットの割れを十分に抑制することができない場合があることが分かった。
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、割れの発生を抑制可能な酸化物焼結体及びスパッタリングターゲットを提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る酸化物焼結体は、In、Zn及びFeを含む酸化物焼結体であって、酸化亜鉛(ZnO)の結晶粒を実質的に有さず、In酸化物の結晶粒とZnIn酸化物の結晶粒とを有し、上記In酸化物の結晶粒がFeを実質的に含まないIn結晶単相構造であり、上記ZnIn酸化物の結晶粒がFeを含む。
当該酸化物焼結体は、ZnIn酸化物の結晶粒がFeを含むことで、酸化亜鉛の結晶粒を実質的に有さず、かつZnIn酸化物の結晶粒を有する構成を得られる。当該酸化物焼結体は、酸化亜鉛の結晶粒を実質的に有さず、In酸化物の結晶粒とZnIn酸化物の結晶粒とを有し、上記In酸化物の結晶粒がFeを実質的に含まないIn結晶単相構造であることで、割れの発生を抑制することができる。
上記ZnIn酸化物の結晶粒が、ZnIn結晶単相構造ではないことが好ましい。このように、上記ZnIn酸化物の結晶粒が、ZnIn結晶単相構造ではないことで、強度を大きくしやすい。その結果、割れの発生をより確実に抑制することができる。
上記ZnIn酸化物の結晶粒が、ZnIn、ZnIn及びZnInの結晶構造の少なくともいずれか1つを有するとよい。このように、上記ZnIn酸化物の結晶粒が、ZnIn、ZnIn及びZnInの結晶構造の少なくともいずれか1つを有することによって、バルク抵抗を抑えつつ、強度を大きくしやすい。
当該酸化物焼結体は、ZnInFe酸化物の結晶粒を実質的に有しないことが好ましい。これにより、Feの含有割合を抑えつつ、酸化亜鉛の結晶粒を実質的に有さず、かつZnIn酸化物の結晶粒を有する上述の構成を容易に得られる。
当該酸化物焼結体は、In、Zn及びFeの合計原子数に対し、Inの原子数が45atm%以上80atm%以下、Znの原子数が20atm%以上55atm%以下、Feの原子数が0.1atm%以上1.5atm%以下であるとよい。これにより、バルク抵抗を抑えつつ強度を大きくしやすい。その結果、割れの発生をより確実に抑制することができる。
当該酸化物焼結体のバルク抵抗としては1×10−2Ωcm以下が好ましい。このように、バルク抵抗が上記上限以下であることによって、スパッタリング中における放電の不安定化を抑制することができ、異常放電に起因する当該酸化物焼結体の割れの発生を十分に抑制することができる。
当該酸化物焼結体の相対密度としては96%以上が好ましい。このように、相対密度が上記下限以上であることによって、強度を大きくすることで割れの発生を十分に抑制することができる。
上記課題を解決するためになされた本発明の他の一態様に係るスパッタリングターゲットは、In、Zn及びFeを含むスパッタリングターゲットであって、酸化亜鉛(ZnO)の結晶粒を実質的に有さず、In酸化物の結晶粒とZnIn酸化物の結晶粒とを有し、上記In酸化物の結晶粒がFeを実質的に含まないIn結晶単相構造であり、上記ZnIn酸化物の結晶粒がFeを含む。
当該スパッタリングターゲットは割れの発生を抑制することができる。
なお、本発明において、「結晶粒」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって1000倍で観察した反射電子像における粒界相に囲まれた領域をいう。また、「結晶粒がFeを含む」とは、エネルギー分散型X線分光(EDX)によって結晶粒の元素分析を行った場合にFeがその結晶粒中に0.1atm%以上検出されることをいい、「結晶粒がFeを実質的に含まない」とは、Feがその結晶粒中に0.1atm%以上検出されないことをいう。「結晶粒を実質的に有しない」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって1000倍で観察した反射電子像において粒界相に囲まれる領域が視認されないことをいう。「バルク抵抗」とは、4探針法で測定される体積抵抗をいう。「相対密度」とは、(実測密度/真密度)×100[%]で算出される値をいう。また、「実測密度」とは、アルキメデス法によって求められる値をいう。
以上説明したように、本発明に係る酸化物焼結体及びスパッタリングターゲットは、割れの発生を抑制することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る酸化物焼結体を示す模式的断面図である。 図2は、No.3の酸化物焼結体の反射電子像である。 図3は、No.4の酸化物焼結体の反射電子像である。 図4は、No.5の酸化物焼結体の反射電子像である。 図5は、No.6の酸化物焼結体の反射電子像である。 図6は、No.7の酸化物焼結体の反射電子像である。 図7は、No.1の酸化物焼結体の反射電子像である。 図8は、No.9の酸化物焼結体の反射電子像である。 図9は、No.10の酸化物焼結体の反射電子像である。 図10は、No.12の酸化物焼結体の反射電子像である。 図11は、No.9の酸化物焼結体のX線回折スペクトルの解析結果である。 図12は、No.10の酸化物焼結体のX線回折スペクトルの解析結果である。 図13は、No.13の酸化物焼結体のX線回折スペクトルの解析結果である。 図14は、No.14の酸化物焼結体のX線回折スペクトルの解析結果である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
[酸化物焼結体]
図1の酸化物焼結体1は、In(インジウム)、Zn(亜鉛)及びFe(鉄)を含む。当該酸化物焼結体1は、In酸化物の結晶粒と、ZnIn酸化物の結晶粒とを有する。当該酸化物焼結体1は、酸化亜鉛の結晶粒を実質的に有しない(すなわち、Zn以外の金属元素を実質的に含まない酸化物の結晶粒を実質的に有しない)。上記ZnIn酸化物の結晶粒はFeを含む。上記In酸化物の結晶粒は、Feを実質的に含まないIn結晶単相構造である。なお、In酸化物の結晶粒の結晶構造及びZnIn酸化物の結晶粒の結晶構造は、各結晶粒のX線回折スペクトルを解析して求めることができる。
当該酸化物焼結体1は、金属元素として、In、Zn及びFeと不可避的不純物とを含んでいてもよい。換言すると、当該酸化物焼結体1は、In、Zn及びFe以外の金属元素を実質的に含まないことが好ましい。
当該酸化物焼結体1は、例えばアモルファス酸化物半導体の薄膜を形成可能なスパッタリングターゲットに用いられる。Inは、上記薄膜のキャリア移動度の向上に寄与する。また、Znは、上記薄膜のアモルファス構造の安定化に寄与する。
上述のように、Feは、上記ZnIn酸化物の結晶粒に含まれる。詳しくは、当該酸化物焼結体1は、Zn及びIn以外の金属元素を実質的に含まないZnIn酸化物の結晶粒を有しており、このZnIn酸化物の結晶粒の結晶構造中にFeが固溶している。当該酸化物焼結体1は、FeをZnIn酸化物の結晶粒の結晶構造中に固溶させることで、Feの微量の添加によって、酸化亜鉛とIn酸化物との化合物(具体的には、InとZnOとの化合物)である上記ZnIn酸化物の成長を大幅に促すことができる。すなわち、当該酸化物焼結体1は、Feの微量の添加によって、酸化亜鉛の結晶粒をなくすと共に、上記ZnIn酸化物の体積率を大幅に高めることができる。これにより、当該酸化物焼結体1は、Znの均一分散性を高めやすいと考えられる。
上記ZnIn酸化物の結晶粒は、ZnIn結晶単相構造ではないことが好ましい。当該酸化物焼結体1は、Feの添加量が増加すると、上記ZnIn酸化物の結晶粒としてZnInの割合が大きくなる。また、例えばFeの添加量が大きくなり過ぎると、上記ZnIn酸化物の結晶粒がZnIn結晶単相構造となり、結晶内の空孔面積が大きくなるとともに微小なクラックが形成されやすくなる。そのため、当該酸化物焼結体1は、上記ZnIn酸化物の結晶粒が、ZnIn結晶単相構造ではないことで、強度を大きくし、割れの発生をより確実に抑制することができる。また、当該酸化物焼結体1は、上記ZnIn酸化物の結晶粒が、ZnIn結晶単相構造ではないことで、Feの添加量を抑え、バルク抵抗を小さく制御しやすい。
上記ZnIn酸化物の結晶粒が、ZnIn、ZnIn及びZnInの結晶構造の少なくともいずれか1つを有することが好ましい。これにより、当該酸化物焼結体1は、バルク抵抗を抑えると共に強度を大きくしやすい。この場合、上記ZnIn酸化物の結晶粒は、ZnInの結晶構造を有しないことが好ましい。
当該酸化物焼結体1は、ZnInFe酸化物の結晶粒を実質的に有しないことが好ましい。これにより、当該酸化物焼結体1は、Feの含有割合を抑えつつ、酸化亜鉛の結晶粒を実質的に有さず、かつZnIn酸化物の結晶粒を有する上述の構成を容易に得られる。つまり、当該酸化物焼結体1は、上述のように、FeをZnIn酸化物の結晶粒の結晶構造中に選択的に固溶させることで、Feの含有割合を抑えつつ、酸化亜鉛の結晶粒をなくすと共に、ZnIn酸化物の結晶粒を効率的に成長させることができる。
In、Zn及びFeの合計原子数に対するInの原子数の下限としては、45atm%が好ましく、50atm%がより好ましい。一方、上記原子数の上限としては、80atm%が好ましく、75atm%がより好ましく、70atm%がさらに好ましい。上記原子数が上記下限に満たないと、当該酸化物焼結体1を用いて形成されるアモルファス酸化物半導体の薄膜のキャリア移動度が不十分になるおそれがある。逆に、上記原子数が上記上限を超えると、上記薄膜のリーク電流が増大したり、閾値電圧が負側にシフトしたりするため、上記薄膜が導体化するおそれがある。
In、Zn及びFeの合計原子数に対するZnの原子数の下限としては、20atm%が好ましく、25atm%がより好ましく、30atm%がさらに好ましい。一方、上記原子数の上限としては、55atm%が好ましく、50atm%がより好ましい。上記原子数が上記下限に満たないと、他の金属原子数が相対的に大きくなることで、上記薄膜が導体化するおそれがある。逆に、上記原子数が上記上限を超えると、キャリア濃度が抑制され、上記薄膜のキャリア移動度が不十分となるおそれがある。
In、Zn及びFeの合計原子数に対するFeの原子数の下限としては、0.1atm%が好ましく、0.3atm%がより好ましい。一方、上記原子数の上限としては、1.5atm%が好ましく、1.0atm%がより好ましい。上記原子数が上記下限に満たないと、ZnIn酸化物の結晶粒の成長を十分に促進することができないおそれがある。一方、上記原子数が上記上限を超えると、当該酸化物焼結体1のバルク抵抗が大きくなるおそれや、当該酸化物焼結体1の相対密度が不十分となるおそれがある。
当該酸化物焼結体1は、In、Zn及びFeの合計原子数に対し、Inの原子数が45atm%以上80atm%以下、Znの原子数が20atm%以上55atm%以下、Feの原子数が0.1atm%以上1.5atm%以下であることが好ましく、Inの原子数が50atm%以上70atm%以下、Znの原子数が30atm%以上50atm%以下、Feの原子数が0.1atm%以上1.0atm%以下であることがより好ましい。当該酸化物焼結体1は、In、Zn及びFeの原子数を上記範囲内に調節することで、バルク抵抗を抑えつつ強度を大きくしやすい。その結果、割れの発生をより確実に抑制することができる。
当該酸化物焼結体1のバルク抵抗の上限としては、1×10−2Ωcmが好ましく、5×10−3Ωcmがより好ましく、4×10−3Ωcmがさらに好ましい。上記バルク抵抗が上記上限を超えると、スパッタリング中に放電の不安定化を招来するおそれがあり、異常放電に起因して当該酸化物焼結体1に割れが生じるおそれがある。なお、上記バルク抵抗の下限としては、特に限定されるものではないが、例えば1×10−4Ωcmとすることができる。
当該酸化物焼結体1の相対密度の下限としては、96%が好ましく、97%がより好ましい。上記相対密度が上記下限に満たないと、強度が不十分となり割れを生じるおそれがある。なお、上記相対密度は大きい方が好ましく、その上限としては、例えば100%とすることができる。
<利点>
当該酸化物焼結体1は、ZnIn酸化物の結晶粒がFeを含むことで、酸化亜鉛の結晶粒を実質的に有さず、かつZnIn酸化物の結晶粒を有する構成を容易に得られる。当該酸化物焼結体1は、酸化亜鉛の結晶粒を実質的に有さず、In酸化物の結晶粒とZnIn酸化物の結晶粒とを有し、上記In酸化物の結晶粒がFeを実質的に含まないIn結晶単相構造であることで、割れの発生を抑制することができる。
[スパッタリングターゲット]
次に、本発明の他の一態様であるスパッタリングターゲットについて説明する。当該スパッタリングターゲットは、In、Zn及びFeを含むスパッタリングターゲットであって、酸化亜鉛の結晶粒を実質的に有さず、In酸化物の結晶粒とZnIn酸化物の結晶粒とを有し、上記In酸化物の結晶粒がFeを実質的に含まないIn結晶単相構造であり、上記ZnIn酸化物の結晶粒がFeを含む。当該スパッタリングターゲットは、図1の酸化物焼結体1を有する。当該スパッタリングターゲットの具体的構成は、当該酸化物焼結体1と同じである。
<利点>
当該スパッタリングターゲットは、当該酸化物焼結体1と同様に割れの発生を抑制することができる。
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
例えば、当該酸化物焼結体及びスパッタリングターゲットは、他の金属元素として、例えばSn(錫)を含んでいてもよい。
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
(ホットプレスによる酸化物焼結体の作製)
〔No.1、No.2〕
純度99.99%の酸化亜鉛粉末(ZnO)、純度99.99%の酸化インジウム粉末(In)、純度99.4%の酸化鉄粉末(Fe)を表1に示す原子数比率で配合して原料粉末を得た。この原料粉末に水を加えて、ナイロンポッド及びメディアとしてジルコニアボールを使用したボールミルで18時間混合及び粉砕した。次に、得られた混合粉末を乾燥して造粒を行った。造粒後の混合粉末を黒鉛型にセットし、表1の条件でホットプレスを行った。このホットプレスでは、炉内にはNガスを導入し、N雰囲気下で焼結した。
Figure 2020196660
得られた酸化物焼結体のX線回折スペクトルを解析し、In酸化物、酸化亜鉛及びZnIn酸化物の結晶粒の結晶構造及び含有割合を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2020196660
表1及び表2に示すように、Feの微量の添加によって、InとZnOとの化合物であるZnIn酸化物(ZnIn)の成長が大幅に促進されていることが分かる。
(常圧焼結による酸化物焼結体の作製)
〔No.3〜No.8〕
純度99.99%の酸化亜鉛粉末(ZnO)、純度99.99%の酸化インジウム粉末(In)、純度99.4%の酸化鉄粉末(Fe)を表3に示す原子数比率で配合して原料粉末を得た。水と、ポリビニルアルコールを主成分とするバインダーと、アクリル系重合体を主成分とする分散剤とを加えて、ナイロンポッド及びメディアとしてジルコニアボールを使用したボールミルで3時間混合及び粉砕した。次に、得られた混合粉末を乾燥して造粒を行った。造粒後の混合粉末を成形型に入れ、冷間静水圧プレスで3ton/cmで加圧して成形体を得た。この成形体を、常圧、大気雰囲気下で1550℃まで昇温し、2時間保持後、自然降温して焼結し、No.3〜No.8の酸化物焼結体を得た。No.3〜No.7について、走査型電子顕微鏡(SEM)によって1000倍で観察した反射電子像を図2〜図6に示す。
Figure 2020196660
〔結晶構造〕
No.3〜No.8について、X線回折スペクトルを解析し、In酸化物、酸化亜鉛及びZnIn酸化物の結晶粒の結晶構造を求めた。図2〜図6に示すように、No.3〜No.7は、In酸化物の結晶粒(In結晶単相構造)X及びZnIn酸化物の結晶粒Yを有する一方、酸化亜鉛の結晶粒を実質的に有していない。また、X線回折スペクトルの解析の結果、Feの添加量が0.9atm%以下であるNo.3、No.4及びNo.7では、ZnIn酸化物の結晶粒がZnInの結晶単相構造であるのに対し、Feの添加量を1.5atm%に増やしたNo.5では、ZnIn酸化物の結晶粒がZnInとZnInとを有しており、ZnIn内に縞状組織が現れている。また、Feの添加量を5.0atm%まで増加させたNo.6では、上記縞状組織はなくなっており、ZnIn酸化物の結晶粒は、ZnInの結晶単相構造となっている。
図2、図3及び図6から分かるように、Feの添加量を0.9atm%まで増加させていくことで、In酸化物の結晶粒(In)の面積が低下すると共に、ZnIn酸化物の結晶粒(ZnIn)の面積が増大している。また、図2〜図6から分かるように、Feの添加量が多くなるに伴って、結晶粒内の空孔Zの面積が大きくなっている。加えて、図5から分かるように、Feの添加量を5.0atm%まで増加させたNo.6では、微小なクラックが形成されている。
〔相対密度〕
No.3〜No.8について、アルキメデス法で計測した相対密度を表4に示す。
〔バルク抵抗〕
No.3〜No.8について、4探針法で測定したバルク密度を表4に示す。
Figure 2020196660
表4から分かるように、Feの添加量が多くなるにつれて酸化物焼結体の相対密度が小さくなっており、Feの添加量が5.0atm%になると相対密度は87%程度まで小さくなっている。
また、表4から分かるように、Feの添加量が1.5atm%以下の場合にはバルク抵抗は3.7×10−3Ωcm以下に制御できているが、Feの添加量が5.0atm%まで増加するとバルク抵抗は8×10−3以上に増加すると共に不安定化している。
〔Feの存在場所〕
ホットプレス法で作製したNo.1の酸化物焼結体の反射電子像を図7に示す。表2にも示すように、この酸化物焼結体のX線回折スペクトルを解析したところ、In、ZnO及びZnIn以外の結晶粒は観察されなかった。この酸化物焼結体におけるIn酸化物の結晶粒(In結晶単相構造)X、ZnIn酸化物の結晶粒(ZnIn結晶単相構造)Y、及び酸化亜鉛の結晶粒(ZnO結晶単相構造)Pに対し、エネルギー分散型X線分光(EDX)によって元素分析を行った結果を表5に示す。
Figure 2020196660
上述のように、X線回折スペクトルの解析の結果、No.1の酸化物焼結体からはZnInFe酸化物の結晶粒は観察されなかった。一方、エネルギー分散型X線分光(EDX)による元素分析では、表5に示すように、FeはZnIn酸化物の結晶粒にのみ含まれることが分かった。このことから、Feは、ZnIn酸化物の結晶粒の結晶構造中に選択的に固溶していると考えられる。
(常圧焼結による酸化物焼結体の作製)
〔No.9〜No.No.14〕
純度99.99%の酸化亜鉛粉末(ZnO)、純度99.99%の酸化インジウム粉末(In)、純度99.4%の酸化鉄粉末(Fe)を表6に示す原子数比率で配合して原料粉末を得た。水と、ポリビニルアルコールを主成分とするバインダーと、アクリル系重合体を主成分とする分散剤とを加えて、ナイロンポッド及びメディアとしてジルコニアボールを使用したボールミルで3時間混合及び粉砕した。次に、得られた混合粉末を乾燥して造粒を行った。造粒後の混合粉末を成形型に入れ、冷間静水圧プレスで3ton/cmで加圧して成形体を得た。この成形体を、常圧、大気雰囲気下で1550℃まで昇温し、2時間保持後、自然降温して焼結し、No.9〜No.14の酸化物焼結体を得た。No.9、No.10及びNo.12について、走査型電子顕微鏡(SEM)によって5000倍で観察した反射電子像を図8〜図10に示す。
Figure 2020196660
〔結晶構造〕
No.9、No.10、No.13及びNo.14について、X線回折スペクトルを解析し、結晶性評価を行った。No.9、No.10、No.13及びNo.14のX線回折スペクトルの解析結果を図11〜図14に示す。なお、結晶性評価は、X線回折スペクトルのピークを各結晶粒の特定の結晶面に帰属させることで行った。
図11に示すように、No.9は、In結晶粒、ZnIn結晶粒、ZnIn結晶粒の3相から構成され、ZnO結晶粒は存在しないことが確認された。図12に示すように、No.10は、In結晶粒及びZnIn結晶粒の2相から構成され、ZnO結晶粒は存在しないことが確認された。一方、Inの原子数に対するZnの原子数の比(Zn/In)が0.10と小さいNo.13は、図13に示すように、In結晶粒及びZnIn結晶粒の2つの結晶粒が確認されており、ZnIn酸化物の結晶粒がZnInの結晶単相構造であることが分かった。また、Inの原子数に対するZnの原子数の比(Zn/In)が8.81と大きいNo.14は、図14に示すように、ZnIn酸化物及びIn結晶粒を含まないIn(ZnO)17という単相構造の結晶相から構成されていることが確認された。
〔Feの存在場所〕
No.9、No.10及びNo.12について、In酸化物の結晶粒(In結晶単相構造)X、並びにZnIn酸化物の結晶粒(ZnIn結晶粒Y1及びZnIn結晶粒Y2)に対し、エネルギー分散型X線分光(EDX)によって元素分析を行った。この分析結果を表7に示す。
Figure 2020196660
X線回折スペクトルの解析の結果、No.9、No.10及びNo.12の酸化物焼結体からはZnInFe酸化物の結晶粒は観察されなかった。一方、エネルギー分散型X線分光(EDX)による元素分析では、表7に示すように、FeはZnIn酸化物の結晶粒にのみ含まれることが分かった。このことから、Feは、ZnIn酸化物の結晶粒の結晶構造中に選択的に固溶していると考えられる。
なお、No.11についても、X線回折スペクトルを解析し、In酸化物、酸化亜鉛及びZnIn酸化物の結晶粒の結晶構造を求めたところ、In酸化物の結晶粒(In結晶単相構造)及びZnIn酸化物の結晶粒(ZnIn結晶単相構造)の2相から構成され、ZnO結晶粒は存在しないことが確認された。No.11についてエネルギー分散型X線分光(EDX)によって元素分析を行った結果、FeはIn酸化物の結晶粒からは検出されない一方、積算時間を長くすることでZnIn酸化物の結晶粒からは検出された。
以上説明したように、本発明の一態様に係る酸化物焼結体は、割れの発生を抑制できるので、スパッタリングターゲットとして好適に用いられる。
1 酸化物焼結体
X In酸化物の結晶粒
Y、Y1、Y2 ZnIn酸化物の結晶粒
Z 空孔
P 酸化亜鉛の結晶粒

Claims (9)

  1. In、Zn及びFeを含む酸化物焼結体であって、
    酸化亜鉛(ZnO)の結晶粒を実質的に有さず、
    In酸化物の結晶粒とZnIn酸化物の結晶粒とを有し、
    上記In酸化物の結晶粒がFeを実質的に含まないIn結晶単相構造であり、
    上記ZnIn酸化物の結晶粒がFeを含む酸化物焼結体。
  2. 上記ZnIn酸化物の結晶粒が、ZnIn結晶単相構造ではない請求項1に記載の酸化物焼結体。
  3. 上記ZnIn酸化物の結晶粒が、ZnIn、ZnIn及びZnInの結晶構造の少なくともいずれか1つを有する請求項1又は請求項2に記載の酸化物焼結体。
  4. ZnInFe酸化物の結晶粒を実質的に有しない請求項1、請求項2又は請求項3に記載の酸化物焼結体。
  5. In、Zn及びFeの合計原子数に対し、
    Inの原子数が45atm%以上80atm%以下、
    Znの原子数が20atm%以上55atm%以下、
    Feの原子数が0.1atm%以上1.5atm%以下
    である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の酸化物焼結体。
  6. バルク抵抗が1×10−2Ωcm以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の酸化物焼結体。
  7. 相対密度が96%以上である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の酸化物焼結体。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の酸化物焼結体を有するスパッタリングターゲット。
  9. In、Zn及びFeを含むスパッタリングターゲットであって、
    酸化亜鉛(ZnO)の結晶粒を実質的に有さず、
    In酸化物の結晶粒とZnIn酸化物の結晶粒とを有し、
    上記In酸化物の結晶粒がFeを実質的に含まないIn結晶単相構造であり、
    上記ZnIn酸化物の結晶粒がFeを含むスパッタリングターゲット。
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