JP2017019668A - 酸化物焼結体およびスパッタリングターゲット、並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボンディング工程での割れの発生を抑制できる酸化物焼結体、および該酸化物焼結体を用いたスパッタリングターゲット、並びにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の酸化物焼結体は、酸化インジウムと;酸化ガリウムと;酸化錫とを焼結して得られる酸化物焼結体であって、前記酸化錫の一次粒子径が0.5μm以下であり、かつ、前記酸化錫の二次粒子径が1μm以上5μm以下であり、酸化物焼結体に含まれる全金属元素に対する、インジウム、ガリウム及び錫の含有量の割合(原子%)を夫々、[In]、[Ga]及び[Sn]としたとき、30原子%≦[In]≦50原子%、20原子%≦[Ga]≦30原子%、25原子%≦[Sn]≦45原子%を満足する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の酸化物焼結体は、酸化インジウムと;酸化ガリウムと;酸化錫とを焼結して得られる酸化物焼結体であって、前記酸化錫の一次粒子径が0.5μm以下であり、かつ、前記酸化錫の二次粒子径が1μm以上5μm以下であり、酸化物焼結体に含まれる全金属元素に対する、インジウム、ガリウム及び錫の含有量の割合(原子%)を夫々、[In]、[Ga]及び[Sn]としたとき、30原子%≦[In]≦50原子%、20原子%≦[Ga]≦30原子%、25原子%≦[Sn]≦45原子%を満足する。
【選択図】なし
Description
本発明は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置や電子デバイスに用いられる薄膜トランジスタ(TFT、Thin Film Transistor)の酸化物半導体薄膜をスパッタリング法で成膜するときに用いられる酸化物焼結体、およびスパッタリングターゲット、並びにそれらの製造方法に関するものである。
TFTに用いられるアモルファス(非晶質)酸化物半導体は、汎用のアモルファスシリコン(a−Si)に比べて高いキャリア移動度を有し、光学バンドギャップが大きく、低温で成膜できる。そのため、大型・高解像度・高速駆動が要求される次世代ディスプレイや、耐熱性の低い樹脂基板を用いる電子デバイスなどへの適用が期待されている。これらの用途に好適な酸化物半導体の組成として、In含有の非晶質酸化物半導体が提案されている。例えば、In−Ga−Zn系酸化物半導体、In−Ga−Zn−Sn系酸化物半導体、In−Ga−Sn系酸化物半導体などが注目されている。
上記酸化物半導体薄膜の形成にあたっては、当該薄膜と同じ材料のスパッタリングターゲット(以下、「ターゲット材」ということがある)をスパッタリングするスパッタリング法が好適に用いられている。ここで、スパッタリングターゲットは酸化物焼結体をバッキングプレートにボンディングされた状態で使用されているが、酸化物焼結体をバッキングプレートにボンディングする工程において、酸化物焼結体が割れてしまうことがあった。
ここで、特許文献1には、良好なTFTパネルが得られる酸化物焼結体として、In、Zn及びSnを含み、相対密度が90%以上であり、平均結晶粒径が10μm以下であり、バルク抵抗が30mΩcm以下であり、直径10μm以上の酸化スズの凝集粒子数が、1.00mm2あたり2.5個以下である酸化物焼結体が記載されている。
また、特許文献2には、高速成膜とノジュールフリーを実現できるスパッタリング用ターゲットとして、インジウムとガリウムを酸化物として含有する酸化物焼結体において、ビックスバイト型構造のIn2O3相が主たる結晶相となり、その中にβ−Ga2O3型構造のGaInO3相、又はGaInO3相と(Ga,In)2O3相が平均粒径5μm以下の結晶粒として微細に分散しており、ガリウムの含有量がGa/(In+Ga)原子数比10原子%以上35原子%未満で、密度が3.4〜5.5g/cm3であることを特徴とする酸化物焼結体が記載されている。
近年の表示装置の高性能化に伴って、酸化物半導体薄膜の特性の向上や安定化とともに、表示装置の生産を一層効率化することが求められている。また、生産性や製造コストなどを考慮すると、表示装置用の酸化物半導体薄膜の製造に用いられるスパッタリングターゲットおよびその素材である酸化物焼結体には、スパッタリング工程でのスパッタリングターゲットの割れを抑制することはもちろん、ボンディング工程での酸化物焼結体の割れを抑制することがより一層要求されている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸化物半導体薄膜の製造に好適に用いられる酸化物焼結体、およびスパッタリングターゲットであって、ボンディング工程での割れの発生を抑制できる酸化物焼結体、および該酸化物焼結体を用いたスパッタリングターゲット、並びにそれらの製造方法を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねたところ、後述する特定の金属元素の割合を満足する、酸化インジウムと;酸化ガリウムと;酸化錫とを焼結して得られる酸化物焼結体において、酸化錫の一次粒子径及び二次粒子径をそれぞれ特定範囲に制御することによって前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、酸化インジウムと;酸化ガリウムと;酸化錫とを焼結して得られる酸化物焼結体であって、
前記酸化錫の一次粒子径が0.5μm以下であり、かつ、前記酸化錫の二次粒子径が1μm以上10μm以下であり、
前記酸化物焼結体に含まれる酸素を除く全金属元素に対する、インジウム、ガリウム及び錫の含有量の割合(原子%)を夫々、[In]、[Ga]及び[Sn]としたとき、下記式(1)〜(3)を満足する酸化物焼結体に関する。
30原子%≦[In]≦50原子%・・・(1)
20原子%≦[Ga]≦30原子%・・・(2)
25原子%≦[Sn]≦45原子%・・・(3)
前記酸化錫の一次粒子径が0.5μm以下であり、かつ、前記酸化錫の二次粒子径が1μm以上10μm以下であり、
前記酸化物焼結体に含まれる酸素を除く全金属元素に対する、インジウム、ガリウム及び錫の含有量の割合(原子%)を夫々、[In]、[Ga]及び[Sn]としたとき、下記式(1)〜(3)を満足する酸化物焼結体に関する。
30原子%≦[In]≦50原子%・・・(1)
20原子%≦[Ga]≦30原子%・・・(2)
25原子%≦[Sn]≦45原子%・・・(3)
本発明の酸化物焼結体においては、前記酸化物焼結体の相対密度が90%以上であることが好ましい。
また、本発明は、上記いずれかに記載の酸化物焼結体を用いて得られるスパッタリングターゲットであって、比抵抗が1Ω・cm以下であるスパッタリングターゲットにも関する。
また、本発明は、上記いずれかに記載の酸化物焼結体の製造方法であって、酸化インジウムと;酸化ガリウムと;BET法により測定される比表面積が2〜6m2/gであり、d90径が20μm以下である酸化錫とを混合粉砕し、焼結することを含む酸化物焼結体の製造方法にも関する。
また、本発明は、上記に記載の酸化物焼結体の製造方法により製造された酸化物焼結体を、バッキングプレートにボンディング材によって接合することを含むスパッタリングターゲットの製造方法にも関する。
本発明によれば、ボンディング工程での割れの発生を抑制できる酸化物焼結体、および該酸化物焼結体を用いたスパッタリングターゲット、並びにそれらの製造方法を提供することが可能である。
まず、本発明に係る酸化物焼結体について、詳細に説明する。
本発明の酸化物焼結体は、酸化インジウムと;酸化ガリウムと;酸化錫とを焼結して得られる酸化物焼結体であって、
前記酸化錫の一次粒子径が0.5μm以下であり、かつ、前記酸化錫の二次粒子径が1μm以上10μm以下であり、
前記酸化物焼結体に含まれる酸素を除く全金属元素に対する、インジウム、ガリウム及び錫の含有量の割合(原子%)を夫々、[In]、[Ga]及び[Sn]としたとき、下記式(1)〜(3)を満足するものである。
30原子%≦[In]≦50原子%・・・(1)
20原子%≦[Ga]≦30原子%・・・(2)
25原子%≦[Sn]≦45原子%・・・(3)
本発明の酸化物焼結体は、酸化インジウムと;酸化ガリウムと;酸化錫とを焼結して得られる酸化物焼結体であって、
前記酸化錫の一次粒子径が0.5μm以下であり、かつ、前記酸化錫の二次粒子径が1μm以上10μm以下であり、
前記酸化物焼結体に含まれる酸素を除く全金属元素に対する、インジウム、ガリウム及び錫の含有量の割合(原子%)を夫々、[In]、[Ga]及び[Sn]としたとき、下記式(1)〜(3)を満足するものである。
30原子%≦[In]≦50原子%・・・(1)
20原子%≦[Ga]≦30原子%・・・(2)
25原子%≦[Sn]≦45原子%・・・(3)
ここで、TFT特性に優れる酸化物半導体薄膜を形成するためには、酸化物焼結体に含まれる金属元素の含有量を夫々適切に制御する必要がある。
具体的には、酸化物焼結体に含まれる酸素を除く全金属元素に対する各金属元素(インジウム、ガリウム及び錫)の含有量(原子%)の割合をそれぞれ、[In]、[Ga]及び[Sn]としたとき、下記式(1)〜(3)を満足するように制御する。
30原子%≦[In]≦50原子%・・・(1)
20原子%≦[Ga]≦30原子%・・・(2)
25原子%≦[Sn]≦45原子%・・・(3)
30原子%≦[In]≦50原子%・・・(1)
20原子%≦[Ga]≦30原子%・・・(2)
25原子%≦[Sn]≦45原子%・・・(3)
上記式(1)は、全金属元素中のIn比([In]=In/(In+Ga+Sn))を規定したものである。[In]が低すぎると酸化物焼結体の相対密度向上効果やスパッタリングターゲットの比抵抗の低減を達成できず、また成膜後の酸化物半導体薄膜のキャリア移動度も低くなる。一方、[In]が高すぎると、キャリアが多くなりすぎて導体化するほか、ストレスに対する安定性が低下する。したがって[In]は、30原子%以上、好ましくは35原子%以上、より好ましくは40原子%以上であって、50原子%以下、好ましくは47原子%以下、より好ましくは45原子%以下である。
上記式(2)は全金属元素中のGa比([Ga]=Ga/(In+Ga+Sn))を規定したものである。[Ga]は、酸素欠損を低減し、酸化物半導体薄膜のアモルファス構造を安定化させるほか、ストレス耐性(特に光+負バイアスストレスに対する耐性)を向上させる作用を有する。但し、[Ga]が高すぎると、移動度が低下する。したがって[Ga]は、20原子%以上、好ましくは22原子%以上、より好ましくは24原子%以上であって、30原子%以下、好ましくは29原子%以下、より好ましくは28原子%以下である。
上記式(3)は全金属元素中のSn比([Sn]=Sn/(In+Ga+Sn))を規定したものである。[Sn]は、ウェットエッチング性など、酸化物半導体薄膜の薬液耐性を向上させる作用を有する。但し、薬液耐性の向上に伴いエッチングレートは遅くなるので、[Sn]が高すぎると、エッチング加工性が低下する。したがって[Sn]は、25原子%以上、好ましくは26原子%以上、より好ましくは27原子%以上であって、45原子%以下、好ましくは40原子%以下、より好ましくは35原子%以下である。
本発明の酸化物焼結体では、金属元素が上記比率のInとGaとSnから構成され、Znを含まない。InとGaとZnを含む従来のIGZOターゲットを用いて薄膜を成膜すると、IGZOターゲットとIGZO膜との間で組成ずれが大きくなると共に、IGZOターゲットの表面に、ZnとOからなる黒色の堆積物が生成するためである。上記黒色堆積物は、スパッタ中にターゲット表面から剥離してパーティクルとなり、アーキングの原因となるなど、成膜上、大きな問題を招く。
ここで、IGZOのターゲットを用いたときに上記の問題が生じる主な理由は、Znの蒸気圧が、GaおよびInに比べて高いことに起因すると考えられる。例えばターゲットを用いて薄膜を成膜する場合、コストを考慮すると、酸素を含まずアルゴンなどの不活性ガスのみでプリスパッタした後、所定分圧の酸素含有不活性雰囲気でスパッタすることが推奨される。しかし、上記プリスパッタ中にZnが還元されると、Znの蒸気圧が高いために蒸発しやすくなってターゲット表面に付着し、黒色堆積物が生成される。その結果、ターゲットと膜の組成ずれを招き、ターゲットに比べて膜中のZnの原子比が大幅に低下する。
本発明の酸化物焼結体は、好ましくは上記所定の金属元素含有量を満足する酸化インジウムと;酸化ガリウムと;酸化錫で構成されており、残部は、製造上不可避的に生成される酸化物などの不純物である。
ここで、本発明の酸化物焼結体は、β−Ga2O3型のInGaO3相、In2O3相及びSnO2相を構成相とする。このうち、緻密相はβ−Ga2O3型のInGaO3相及びIn2O3相と、粗密なSnO2相で構成されている。
本発明の酸化物焼結体においては、酸化錫の一次粒子径及び二次粒子径が、それぞれ特定範囲に制御されている。このように、酸化物焼結体中の酸化錫の一次粒子径及び二次粒子径を特定範囲に制御することにより、ボンディング工程での酸化物焼結体の割れを抑制することができる。
本発明の酸化物焼結体において、酸化錫の一次粒子径は0.5μm以下である。酸化錫の一次粒子径が0.5μm以下であると、酸化物焼結体の密度が高くなり、強度を向上することができる。なお、酸化錫の一次粒子径は、好ましくは0.4μm以下であり、より好ましくは0.3μm以下である。一方、酸化錫の一次粒子径の下限値は特に限定されないが、粉末の製造性の観点からは、例えば0.01μmであり、好ましくは0.05μmである。
ここで、本発明において、酸化錫の一次粒子とは、凝集する前の酸化錫の単一の結晶粒であり、酸化錫の一次粒子径は、以下のようにして測定するものとする。まず、酸化物焼結体の破断面(酸化物焼結体を任意の位置で厚み方向に切断し、その切断面表面の任意の位置)を鏡面研削した試料を用意する。次に、その組織を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率30000倍で写真撮影し、また、エネルギー分散型X線分光法により酸化錫(SnO2)相を同定する。つづいて、酸化錫を含む任意の方向で10μmの長さの直線を引き、この直線内に含まれる酸化錫粒の数(N)及び各酸化錫粒の占める長さの合計(L)(単位:μm)を求め、[L/N]から算出される値を、酸化錫の一次粒子径とする。すなわち、本明細書における「酸化錫の一次粒子径」とは、酸化錫の一次粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)を表す。
また、本発明の酸化物焼結体において、酸化錫の二次粒子径は1μm以上10μm以下である。粗密な酸化錫には、クラック先端のピン止め効果があると考えられ、酸化錫の二次粒子径が小さすぎると、酸化物焼結体における割れの発生が生じやすくなる。本発明においては、酸化錫の二次粒子径を1μm以上に制御することにより、酸化物焼結体における割れの発生を有効に抑制することができる。一方、酸化錫の二次粒子径が大きくなりすぎると、酸化物焼結体の密度が低下して酸化物焼結体における割れの発生がかえって生じやすくなるため、本発明においては、酸化錫の二次粒子径を10μm以下に制御する。酸化錫の二次粒子径は、好ましくは2μm以上であり、より好ましくは3μm以上である。また、酸化錫の二次粒子径は、好ましくは8μm以下であり、より好ましくは7μm以下である。
ここで、本発明において、酸化錫の二次粒子とは、酸化錫の一次粒子が複数個凝集したものであり、酸化錫の二次粒子径は、以下のようにして測定するものとする。まず、酸化物焼結体の破断面(酸化物焼結体を任意の位置で厚み方向に切断し、その切断面表面の任意の位置)を鏡面研削した試料を用意する。次に、その組織を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率1000倍で写真撮影し、また、エネルギー分散型X線分光法により酸化錫(SnO2)相を同定する。つづいて、酸化錫を含む任意の方向で50μmの長さの直線を引き、この直線内に含まれる酸化錫以外の結晶粒の占める長さの合計(L’)(単位:μm)を求めるとともに、酸化錫の一次粒子が複数個凝集してなる酸化錫の二次粒子の数(N’)を求める。そして、[50−L’]/N’から算出される値を、酸化錫の二次粒子径とする。すなわち、本明細書における「酸化錫の二次粒子径」とは、酸化錫の二次粒子の平均粒子径(平均二次粒子径)を表す。
本発明の酸化物焼結体の相対密度は、90%以上であることが好ましい。酸化物焼結体の相対密度を高めることによってボンディング時の割れ抑制効果を一層向上できる。本発明の酸化物焼結体の相対密度は、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。上限値は特に限定されず、たとえば100%であってもよいが、製造コストを考慮すると、99%が好ましい。
また、ボンディング時の割れ抑制効果をより一層高めるためには、酸化物焼結体の結晶粒の平均結晶粒径を微細化することが好ましい。具体的には、酸化物焼結体の破断面(酸化物焼結体を任意の位置で厚み方向に切断し、その切断面表面の任意の位置)において走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)により観察される結晶粒の平均結晶粒径を、好ましくは10μm以下とすることによって、酸化物焼結体の割れをより一層抑制することができる。酸化物焼結体の結晶粒の平均結晶粒径は、より好ましくは8μm以下であり、さらに好ましくは6μm以下である。一方、当該平均結晶粒径の下限値は特に限定されないが、平均結晶粒径の微細化と製造コストのバランスから、平均結晶粒径の好ましい下限は0.05μm程度である。
また、本発明では酸化物焼結体の結晶粒の平均結晶粒径に加えて、粒度分布を適切に制御することがさらに好ましい。具体的には結晶粒径が15μmを超える粗大結晶粒は、ボンディング時の酸化物焼結体の割れの原因となるため、できるだけ少ない方がよい。したがって、結晶粒全体に占める結晶粒径が15μmを超える粗大結晶粒の面積率は、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下、よりさらに好ましくは4%以下である。
なお、本発明においては、酸化錫の一次粒子径が0.5μm以下となるとともに酸化錫の二次粒子径が1μm以上10μm以下となり、かつ、結晶粒全体に占める結晶粒径が15μmを超える粗大結晶粒の面積率が前記好ましい範囲を満たす限りにおいては、結晶粒全体に占める結晶粒径が15μmを超える粗大な酸化錫の面積率は2%以上であっても許容される。
次に、本発明の酸化物焼結体を製造する方法について説明する。
本発明の酸化物焼結体は、酸化インジウムと;酸化ガリウムと;酸化錫を混合・粉砕および焼結して得られるものである。また、本発明のスパッタリングターゲットは上記酸化物焼結体を加工することにより製造できる。具体的には、酸化物の粉末を(a)混合・粉砕→(b)乾燥・造粒→(c)予備成形→(d)脱脂→(e)ホットプレスにて焼結して得られた酸化物焼結体を、(f)加工→(g)ボンディングしてスパッタリングターゲットを得ることができる。上記工程のうち本発明では、以下に詳述するように、原料粉末である酸化錫粉末の選定条件や混合・粉砕((a))条件を適切に制御すればよく、それ以外の工程は特に限定されず、通常用いられる工程を適宜選択することができる。以下、各工程を説明するが、本発明はこれに限定する趣旨ではない。
本発明の酸化物焼結体は、酸化インジウムと;酸化ガリウムと;酸化錫を混合・粉砕および焼結して得られるものである。また、本発明のスパッタリングターゲットは上記酸化物焼結体を加工することにより製造できる。具体的には、酸化物の粉末を(a)混合・粉砕→(b)乾燥・造粒→(c)予備成形→(d)脱脂→(e)ホットプレスにて焼結して得られた酸化物焼結体を、(f)加工→(g)ボンディングしてスパッタリングターゲットを得ることができる。上記工程のうち本発明では、以下に詳述するように、原料粉末である酸化錫粉末の選定条件や混合・粉砕((a))条件を適切に制御すればよく、それ以外の工程は特に限定されず、通常用いられる工程を適宜選択することができる。以下、各工程を説明するが、本発明はこれに限定する趣旨ではない。
まず、酸化インジウム粉末と;酸化ガリウム粉末と;酸化錫粉末;を所定の割合に配合し、混合・粉砕する。用いられる各原料粉末の純度はそれぞれ、約99.99%以上が好ましい。微量の不純物元素が存在すると、酸化物半導体薄膜の半導体特性を損なうおそれがあるためである。各原料粉末の配合割合は、酸化物焼結体に含まれる酸素を除く全金属元素に対する、インジウム、ガリウム、錫の含有量の割合が上記範囲内となるように制御することが好ましい。ここで、酸化物焼結体における酸化錫の一次粒子径を0.5μm以下とし、かつ、酸化錫の二次粒子径を1μm以上10μm以下とするためには、酸化錫粉末として、BET法により測定される比表面積が2〜6m2/gであり、d90径が20μm以下である酸化錫粉末を用いることが好ましい。ここで、d90径とは、レーザ回析式粒度分布測定を行った際の積算%の分布曲線が90%の横軸と交差する点の粒子径を意味する。
(a)混合・粉砕は、ボールミルまたはビーズミル等を使い、原料粉末を水と共に投入して行うことが好ましい。この際、均一に混合する目的で分散材や、後の成形工程の容易性を確保するためにバインダーを混合してもよい。ここで、酸化物焼結体における酸化錫の一次粒子径を0.5μm以下とし、かつ、酸化錫の二次粒子径を1μm以上10μm以下とするためには、混合・粉砕に用いるボールミルやビーズミル等の種類や容量、使用するボールやビーズの直径や材質、混合・粉砕時間等の各種条件を適宜調整すればよい。例えば、ボールミルとして容積10Lのものを使用する場合、ボールの直径は10mm以下とすることが好ましく、5mm以下とすることがより好ましい。また、混合・粉砕時間は2時間以上とすることが好ましく、5時間以上とすることがより好ましく、10時間以上とすることがさらに好ましい。また、混合・粉砕時間は55時間以下とすることが好ましく、50時間以下とすることがより好ましく、45時間以下とすることがさらに好ましい。また、本混合・粉砕工程に用いられるボールやビーズは、例えばナイロン、アルミナ、ジルコニアなどの材質のものが好ましく用いられる。
次に、上記工程で得られた混合粉末について例えばスプレードライヤなどで(b)乾燥・造粒を行うことが好ましい。
乾燥・造粒後、(c)予備成形をする。成形に当たっては、乾燥・造粒後の粉末を所定寸法の金型に充填し、金型プレスで予備成形する。この予備成形は、ホットプレス工程で所定の型にセットする際のハンドリング性を向上させる目的で行われるため、49〜98MPa程度の加圧力を加えて成形体とすればよい。本発明では金型プレスでの予備成形を行わず、直接成形型内に粉末を装填して加圧焼結してもよい。
なお、混合粉末に分散材やバインダーを添加した場合には、分散材やバインダーを除去するために成形体を加熱して(d)脱脂を行うことが望ましい。加熱条件は脱脂目的が達成できれば特に限定されないが、例えば大気中、おおむね500℃程度で、5時間程度保持すればよい。
脱脂後、所望の形状が得られるように成形型に成形体をセットして(e)ホットプレスにて焼結を行う。焼結時の成形型としては焼結温度に応じて金型、黒鉛型のいずれも用いることができるが、900℃以上の高温での耐熱性に優れた黒鉛型を用いることが好ましい。
また、成形体を焼結するにあたっての焼結条件は特に限定されるものではないが、例えば、成形体を焼結温度:850〜1250℃まで昇温した後、該温度での保持時間を0.1〜20時間として焼結を行えばよい。焼結温度を900℃以上とすることにより、高密度化しやすくなるため好ましい。焼結温度は、より好ましくは925℃以上であり、さらに好ましくは950℃以上である。一方、焼結温度を1200℃以下とすることにより、粒成長を抑制して平均粒径を小さくしやすくなるため好ましい。焼結温度は、より好ましくは1150℃以下であり、さらに好ましくは1100℃以下である。
また、焼結時における上記焼結温度での保持時間を0.5時間以上とすることにより、温度の均一化によって密度の面内分布を小さくしやすくなるため好ましい。当該保持時間は、より好ましくは1時間以上であり、さらに好ましくは2時間以上である。一方、当該保持時間を18時間以下とすることにより、結晶粒の粗大化を抑制しやすくなるため好ましい。当該保持時間は、より好ましくは16時間以下であり、さらに好ましくは14時間以下である。
また、本発明では予備成形後、上記焼結温度までの平均昇温速度を600℃/hr以下とすることが好ましい。平均昇温速度が600℃/hrを超えると、結晶粒の異常成長が起こり、粗大結晶粒の割合が高くなる。また相対密度を十分に高めることができない。より好ましい平均昇温速度は500℃/hr以下、更に好ましくは400℃/hr以下である。一方、平均昇温速度の下限は特に限定されないが、生産性の観点からは10℃/hr以上とすることが好ましく、より好ましくは50℃/hr以上である。
上記焼結工程においてホットプレス時の加圧条件は、特に限定されないが、例えば面圧(加圧圧力)50MPa以下の圧力を加えることが望ましい。圧力が高すぎると黒鉛型が破損する恐れがあり、また緻密化促進効果が飽和すると共にプレス設備の大型化が必要となる。一方、圧力が低すぎると緻密化が十分に進まないことがある。好ましい加圧条件は10MPa以上、30MPa以下である。
焼結工程では、成形型として好ましく用いられる黒鉛の酸化、消失を抑制するために、焼結雰囲気を不活性ガス雰囲気、真空雰囲気等とすることが好ましい。雰囲気制御方法は特に限定されず、例えば炉内にArガスやN2ガスを導入することによって雰囲気を調整すればよい。また雰囲気ガスの圧力は、蒸気圧の高い金属の蒸発を抑制するために大気圧とすることが望ましい。
上記のようにして酸化物焼結体を得た後、常法により、(f)加工→(g)ボンディングを行なうと本発明のスパッタリングターゲットが得られる。酸化物焼結体の加工方法は特に限定されず、公知の方法によって各種用途に応じた形状に加工すればよい。
加工した酸化物焼結体をバッキングプレートにボンディング材によって接合することでスパッタリングターゲットを製造できる。バッキングプレートの素材の種類は特に限定されないが、熱伝導性に優れた純銅または銅合金が好ましい。ボンディング材の種類も特に限定されず、導電性を有する各種公知のボンディング材を使用することができ、例えばIn系はんだ材、Sn系はんだ材などが例示される。接合方法も特に限定されず、例えば酸化物焼結体およびバッキングプレートをボンディング材が溶解する温度、例えば140〜220℃程度に加熱して溶解させ、バッキングプレートのボンディング面に溶解したボンディング材を塗布し、それぞれのボンディング面を貼り合わせて両者を圧着した後、冷却すればよい。
本発明の酸化物焼結体を用いて得られるスパッタリングターゲットは、ボンディング作業時の衝撃や熱履歴などで発生した応力などによる割れがなく、また比抵抗も、非常に良好なものであり、好ましくは1Ω・cm以下、より好ましくは10−1Ω・cm以下、さらに好ましくは10−2Ω・cm以下である。本発明のスパッタリングターゲットを用いれば、スパッタリング中での異常放電、およびスパッタリングターゲット材の割れを一層抑制した成膜が可能となり、スパッタリングターゲットを用いた物理蒸着(スパッタリング法)を表示装置の生産ラインで効率よく行うことができる。また得られた酸化物半導体薄膜も良好なTFT特性を示す。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されず、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適切に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
<実施例1>
(スパッタリングターゲットの作製)
純度99.99%の酸化インジウム粉末(In2O3)、純度99.99%の酸化ガリウム粉末(Ga2O3)、純度99.99%の酸化錫粉末(SnO2)を表1に示す質量比率および原子比率で配合し、水と分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム)を加えた後、容量10Lのナイロンボールミル中で、直径10mmのジルコニアボールを使用して5時間混合・粉砕した。次に、上記工程で得られた混合粉末を乾燥して造粒を行った。ここで、酸化錫粉末としては、BET法で測定される比表面積が4m2/gであり、d90径が10μmである酸化錫粉末を使用した。
(スパッタリングターゲットの作製)
純度99.99%の酸化インジウム粉末(In2O3)、純度99.99%の酸化ガリウム粉末(Ga2O3)、純度99.99%の酸化錫粉末(SnO2)を表1に示す質量比率および原子比率で配合し、水と分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム)を加えた後、容量10Lのナイロンボールミル中で、直径10mmのジルコニアボールを使用して5時間混合・粉砕した。次に、上記工程で得られた混合粉末を乾燥して造粒を行った。ここで、酸化錫粉末としては、BET法で測定される比表面積が4m2/gであり、d90径が10μmである酸化錫粉末を使用した。
このようにして得られた粉末を金型プレスにて下記条件で予備成形した後、常圧にて大気雰囲気下で500℃に昇温し、該温度で5時間保持して脱脂した。
(予備成形の条件)
成形圧力:1.0ton/cm2
厚みをtとしたとき、成形体サイズ:φ110mm×t13mm
(予備成形の条件)
成形圧力:1.0ton/cm2
厚みをtとしたとき、成形体サイズ:φ110mm×t13mm
得られた成形体を黒鉛型にセットし、下記の条件でホットプレスを行った。この際、ホットプレス炉内にはN2ガスを導入し、N2雰囲気下で焼結した。
保持温度:950℃
保持時間:1時間
焼結温度までの平均昇温速度:300℃/hr
面圧:30MPa
保持温度:950℃
保持時間:1時間
焼結温度までの平均昇温速度:300℃/hr
面圧:30MPa
得られた酸化物焼結体を機械加工してφ100mm×t5mmに仕上げた。該酸化物焼結体と、Cu製バッキングプレートを10分かけて180℃まで昇温させた後、酸化物焼結体をバッキングプレートにボンディング材(インジウム)を用いてボンディングし、スパッタリングターゲットを作製した。
<比較例1>
混合・粉砕時間を60時間に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1のスパッタリングターゲットを作製した。
混合・粉砕時間を60時間に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1のスパッタリングターゲットを作製した。
<比較例2>
酸化錫粉末として、BET法で測定される比表面積が5m2/gであり、d90値が30μmである酸化錫粉末を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2のスパッタリングターゲットを作製した。
酸化錫粉末として、BET法で測定される比表面積が5m2/gであり、d90値が30μmである酸化錫粉末を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2のスパッタリングターゲットを作製した。
(酸化錫の一次粒子径)
各実施例及び比較例について、酸化錫の一次粒子径を以下のようにして測定した。まず、酸化物焼結体の破断面(酸化物焼結体を任意の位置で厚み方向に切断し、その切断面表面の任意の位置)を鏡面研削した試料を用意した。次に、その組織を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率30000倍で写真撮影し、また、エネルギー分散型X線分光法により酸化錫(SnO2)相を同定した。つづいて、酸化錫を含む任意の方向で10μmの長さの直線を引き、この直線内に含まれる酸化錫粒の数(N)及び各酸化錫粒の占める長さの合計(L)(単位:μm)を求め、[L/N]から算出される値を、酸化錫の一次粒子径とした。測定結果を表2に示す。
各実施例及び比較例について、酸化錫の一次粒子径を以下のようにして測定した。まず、酸化物焼結体の破断面(酸化物焼結体を任意の位置で厚み方向に切断し、その切断面表面の任意の位置)を鏡面研削した試料を用意した。次に、その組織を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率30000倍で写真撮影し、また、エネルギー分散型X線分光法により酸化錫(SnO2)相を同定した。つづいて、酸化錫を含む任意の方向で10μmの長さの直線を引き、この直線内に含まれる酸化錫粒の数(N)及び各酸化錫粒の占める長さの合計(L)(単位:μm)を求め、[L/N]から算出される値を、酸化錫の一次粒子径とした。測定結果を表2に示す。
(酸化錫の二次粒子径)
各実施例及び比較例について、酸化錫の二次粒子径を以下のようにして測定した。まず、酸化物焼結体の破断面(酸化物焼結体を任意の位置で厚み方向に切断し、その切断面表面の任意の位置)を鏡面研削した試料を用意した。次に、その組織を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率1000倍で写真撮影し、また、エネルギー分散型X線分光法により酸化錫(SnO2)相を同定した。つづいて、酸化錫を含む任意の方向で50μmの長さの直線を引き、この直線内に含まれる酸化錫以外の結晶粒の占める長さの合計(L’)(単位:μm)を求めるとともに、酸化錫の一次粒子が複数個凝集してなる酸化錫の二次粒子の数(N’)を求めた。そして、[50−L’]/N’から算出される値を、酸化錫の二次粒子径とした。測定結果を表2に示す。
各実施例及び比較例について、酸化錫の二次粒子径を以下のようにして測定した。まず、酸化物焼結体の破断面(酸化物焼結体を任意の位置で厚み方向に切断し、その切断面表面の任意の位置)を鏡面研削した試料を用意した。次に、その組織を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率1000倍で写真撮影し、また、エネルギー分散型X線分光法により酸化錫(SnO2)相を同定した。つづいて、酸化錫を含む任意の方向で50μmの長さの直線を引き、この直線内に含まれる酸化錫以外の結晶粒の占める長さの合計(L’)(単位:μm)を求めるとともに、酸化錫の一次粒子が複数個凝集してなる酸化錫の二次粒子の数(N’)を求めた。そして、[50−L’]/N’から算出される値を、酸化錫の二次粒子径とした。測定結果を表2に示す。
(相対密度)
各実施例及び比較例について、相対密度は、以下のようにして測定した気孔率を引き算することにより求めた。まず、酸化物焼結体の破断面(酸化物焼結体を任意の位置で厚み方向に切断し、その切断面表面の任意の位置)を鏡面研削した試料を用意した。次に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて1000倍で写真撮影し、50μm角の領域に占める気孔の面積率(%)を測定して気孔率とした。上記試料について、同様の操作を合計20箇所について行い、その平均を当該試料の平均気孔率(%)とした。平均相対密度は、[100−平均気孔率]により算出し、その結果を表2に「相対密度(%)」として記載した。
各実施例及び比較例について、相対密度は、以下のようにして測定した気孔率を引き算することにより求めた。まず、酸化物焼結体の破断面(酸化物焼結体を任意の位置で厚み方向に切断し、その切断面表面の任意の位置)を鏡面研削した試料を用意した。次に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて1000倍で写真撮影し、50μm角の領域に占める気孔の面積率(%)を測定して気孔率とした。上記試料について、同様の操作を合計20箇所について行い、その平均を当該試料の平均気孔率(%)とした。平均相対密度は、[100−平均気孔率]により算出し、その結果を表2に「相対密度(%)」として記載した。
(平均結晶粒径)
各実施例及び比較例について、表2に記載の「平均結晶粒径(μm)」は以下のようにして測定した。まず、酸化物焼結体の破断面(酸化物焼結体を任意の位置で厚み方向に切断し、その切断面表面の任意の位置)を鏡面研削した試料を用意した。次に、その組織を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率400倍で写真撮影し、任意の方向で100μmの長さの直線を引き、この直線内に含まれる結晶粒の数(N)を求め、[100/N]から算出される値を当該「直線上での結晶粒径」とした。同様に粗大結晶粒が重複しない間隔(少なくとも20μm以上の間隔)で直線を20本作成して各直線上での結晶粒径を算出した。そして、[各直線上での結晶粒径の合計/20]から算出される値を「酸化物焼結体の平均結晶粒径」とした。
各実施例及び比較例について、表2に記載の「平均結晶粒径(μm)」は以下のようにして測定した。まず、酸化物焼結体の破断面(酸化物焼結体を任意の位置で厚み方向に切断し、その切断面表面の任意の位置)を鏡面研削した試料を用意した。次に、その組織を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率400倍で写真撮影し、任意の方向で100μmの長さの直線を引き、この直線内に含まれる結晶粒の数(N)を求め、[100/N]から算出される値を当該「直線上での結晶粒径」とした。同様に粗大結晶粒が重複しない間隔(少なくとも20μm以上の間隔)で直線を20本作成して各直線上での結晶粒径を算出した。そして、[各直線上での結晶粒径の合計/20]から算出される値を「酸化物焼結体の平均結晶粒径」とした。
(ボンディング時の割れ)
各実施例及び比較例について、表2に記載の「ボンディング時の割れ」の有無は以下のようにして測定した。上記機械加工した酸化物焼結体を加熱し、バッキングプレートにボンディングした後、酸化物焼結体表面に割れが生じていないか目視で確認した。酸化物焼結体表面に1mmを超えるクラックが確認された場合を「割れ」があると判断した。ボンディング作業を10回行い、1回でも割れがある場合を不合格と評価して、表2中に「有」と記載した。一方、10回中、1回も割れがない場合を合格と評価して、表2中に「無」と記載した。
各実施例及び比較例について、表2に記載の「ボンディング時の割れ」の有無は以下のようにして測定した。上記機械加工した酸化物焼結体を加熱し、バッキングプレートにボンディングした後、酸化物焼結体表面に割れが生じていないか目視で確認した。酸化物焼結体表面に1mmを超えるクラックが確認された場合を「割れ」があると判断した。ボンディング作業を10回行い、1回でも割れがある場合を不合格と評価して、表2中に「有」と記載した。一方、10回中、1回も割れがない場合を合格と評価して、表2中に「無」と記載した。
(スパッタリングターゲットの比抵抗)
各実施例及び比較例について、スパッタリング評価したスパッタリングターゲットの比抵抗を抵抗率計(三菱化学アナリテック社製のロレスターGX)を用いて測定した。その結果を表2に示す。
各実施例及び比較例について、スパッタリング評価したスパッタリングターゲットの比抵抗を抵抗率計(三菱化学アナリテック社製のロレスターGX)を用いて測定した。その結果を表2に示す。
本発明に規定される範囲内の組成、及び酸化錫の一次粒子径及び二次粒子径を有する実施例1のスパッタリングターゲットは、ボンディング作業時のスパッタリングターゲット(酸化物焼結体)に割れが生じることがなかった。また、実施例1のスパッタリングターゲットを用いて、DCスパッタリングパワー:150W、雰囲気:Ar/0.1体積%O2、圧力:0.8mTorrのスパッタリング条件でDC(直流)マグネトロンスパッタリングを行ったところ、スパッタリング時にもスパッタリングターゲットに割れが生じることはなかった。
一方、酸化錫の二次粒子径が本発明に規定される範囲の下限よりも小さい比較例1のスパッタリングターゲットは、ボンディング作業時にスパッタリングターゲット(酸化物焼結体)の割れが発生した。
また、酸化錫の二次粒子径が本発明に規定される範囲の上限よりも大きい比較例2のスパッタリングターゲットは、ボンディング作業時にスパッタリングターゲット(酸化物焼結体)の割れが発生した。
Claims (5)
- 酸化インジウムと;酸化ガリウムと;酸化錫とを焼結して得られる酸化物焼結体であって、
前記酸化錫の一次粒子径が0.5μm以下であり、かつ、前記酸化錫の二次粒子径が1μm以上10μm以下であり、
前記酸化物焼結体に含まれる酸素を除く全金属元素に対する、インジウム、ガリウム及び錫の含有量の割合(原子%)を夫々、[In]、[Ga]及び[Sn]としたとき、下記式(1)〜(3)を満足する酸化物焼結体。
30原子%≦[In]≦50原子%・・・(1)
20原子%≦[Ga]≦30原子%・・・(2)
25原子%≦[Sn]≦45原子%・・・(3) - 前記酸化物焼結体の相対密度が90%以上である請求項1に記載の酸化物焼結体。
- 請求項1又は2に記載の酸化物焼結体を用いて得られるスパッタリングターゲットであって、比抵抗が1Ω・cm以下であるスパッタリングターゲット。
- 請求項1又は2に記載の酸化物焼結体の製造方法であって、酸化インジウムと;酸化ガリウムと;BET法により測定される比表面積が2〜6m2/gであり、d90径が20μm以下である酸化錫とを混合粉砕し、焼結することを含む酸化物焼結体の製造方法。
- 請求項4に記載の酸化物焼結体の製造方法により製造された酸化物焼結体を、バッキングプレートにボンディング材によって接合することを含むスパッタリングターゲットの製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN116813310A (zh) * | 2023-06-01 | 2023-09-29 | 先导薄膜材料(广东)有限公司 | 一种稀土元素掺杂氧化铟锡镓靶材及其制备方法 |
Citations (4)
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---|---|---|---|---|
JPH11302016A (ja) * | 1998-04-21 | 1999-11-02 | Mitsubishi Materials Corp | 低温での成膜に適したitoスパッタリングターゲット及びその製造方法 |
JPH11322336A (ja) * | 1998-05-15 | 1999-11-24 | Mitsubishi Materials Corp | 酸化錫粉末の製造方法 |
JP2002029744A (ja) * | 2000-07-17 | 2002-01-29 | Sumitomo Chem Co Ltd | 酸化錫粉末の製造方法 |
WO2015080271A1 (ja) * | 2013-11-29 | 2015-06-04 | 株式会社コベルコ科研 | 酸化物焼結体およびスパッタリングターゲット、並びにその製造方法 |
-
2015
- 2015-07-07 JP JP2015135960A patent/JP2017019668A/ja active Pending
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