JP2018058350A - ポリエチレン被覆鋼管およびその製造方法 - Google Patents

ポリエチレン被覆鋼管およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリエチレン被覆層の耐陰極剥離性に優れるとともに、クロメート処理を施すことなく製造することができるポリエチレン被覆鋼管およびその製造方法を提供する。【解決手段】鋼管外表面に、鋼管外表面に接する側から順にプライマー層、接着性ポリエチレン層、ポリエチレン層を有するポリエチレン被覆鋼管である。鋼管外表面とプライマー層間に含まれる粉じん量が、剥離したプライマー層の鋼管外表面に接していた面をEPMAでFeのマッピングをしたFeの面積比で20%以下であり、かつ、プライマー層に0.3質量%以上のシランカップリング剤を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエチレン被覆層の耐陰極剥離性に優れたポリエチレン被覆鋼管およびその製造方法に関する。また、本発明は、ガス管、水道管、ケーブル保護管、ラインパイプ等に用いられる外面ポリエチレン被覆鋼管に関する。
鋼管表面に防食層としてポリエチレン被覆層を被覆したポリエチレン被覆鋼管は、防食性に優れ各種配管に利用されている。ポリエチレン被覆鋼管は特に海底や地下への埋設用途が増大しており、その場合、電気防食が併用されることが多い。電気防食の効果によってポリエチレン被覆鋼管の鋼管はさらに防食されるが、一方でポリエチレン被覆層が鋼管外表面から剥離しやすくなる問題があり、この問題は陰極剥離として知られている。
このような陰極剥離を抑制する方法として、クロメート処理が有効であることが知られている。例えば、特許文献1には、鋼材表面にクロメート層を有するクロメート被覆鋼材であって、エポキシプライマー層、無水マレイン酸変性ポリオレフィン層及びポリオレフィン層を順次積層した樹脂被覆重防食鋼材が開示されている。また、特許文献2には、鋼材の表面に特定のエポキシプライマーを適用するとともに、下地処理としてクロメート処理を施すことが示されている。
しかし、近年では環境負荷の観点からクロメート処理を施さない、すなわち、ノンクロメート処理を施した耐食性に優れた有機被覆鋼材が望まれている。特許文献3には、ノンクロメート処理を施した耐食性に優れた有機被覆鋼板が示されている。
特開2005−35061号公報 特開2000−190422号公報 特開2011−111638号公報
特許文献1、2の方法では、環境負荷の高いクロメート処理を必要とする問題がある。特許文献3の方法ではめっき鋼板を処理して耐食性を向上させるものであり、また、陰極剥離を抑制するものではないという問題がある。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、ポリエチレン被覆層の耐陰極剥離性に優れるとともに、クロメート処理を施すことなく製造することができるポリエチレン被覆鋼管およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、鋼管外表面とプライマー層の間に含まれる粉じん量が耐陰極剥離に影響を及ぼすことがわかった。そして、鋼管外表面とプライマー層の間に存在する粉じん量を低減させることで陰極剥離を抑制できることを見出した。さらには、プライマー層にシランカップリング剤を所定量含有させることで陰極剥離をより抑制できることを見出した。
そこで、複数の鋼管外表面の粉じん付着状態の鋼管にシランカップリング剤を含有させたプライマーを塗布してポリエチレン被覆鋼管を製造し、その耐陰極剥離性との関係の検討を行って、本発明を完成させた。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]鋼管外表面に、鋼管外表面に接する側から順にプライマー層、接着性ポリエチレン層、ポリエチレン層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、前記鋼管外表面と前記プライマー層間に含まれる粉じん量が、剥離したプライマー層の鋼管外表面に接していた面をEPMAでFeのマッピングをしたFeの面積比で20%以下であり、かつ、前記プライマー層に0.3質量%以上のシランカップリング剤を含有する、ポリエチレン被覆鋼管。
[2]電気防食とともに使用される、上記[1]に記載のポリエチレン被覆鋼管。
[3]海底または地下への埋設用である、上記[1]または[2]に記載のポリエチレン被覆鋼管。
[4]ブラスト処理後、JIS Z0313(2004)に規定された方法で粘着媒体に鋼管外表面の粉じんを付着させ、粉じんが付着した粘着媒体の画像解析により、粉じんの付着面積比を測定し、粉じんの付着面積比が20%以下である鋼管に、ポリエチレン被覆をする、ポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
[5]前記ポリエチレン被覆は、鋼管外表面に接する側から順に、0.3質量%以上のシランカップリング剤を含有するプライマー層、接着性ポリエチレン層、ポリエチレン層を有するポリエチレン被覆である、上記[4]に記載のポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
[6]プライマーを鋼管に塗布するに際し、高周波加熱、赤外線加熱、誘導加熱、熱風加熱のいずれか、またはこれらの組み合わせにて行う、上記[5]に記載のポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
なお、本発明において、耐陰極剥離性に優れたとは、後述の実施例に記載の試験において、陰極剥離距離の平均値が20mm以下であることを意味する。
本発明によれば、耐陰極剥離性に優れたポリエチレン被覆鋼管が得られる。本発明のポリエチレン被覆鋼管は、電気防食が併用された場合において、ポリエチレン被覆層の陰極剥離が効果的に抑制され、優れた防食性を発揮する。このように本発明のポリエチレン被覆鋼管は、優れた耐陰極剥離性を有するため、特に海底や地下への埋設用途に好適である。
以下、本発明の構成を説明する。本発明のポリエチレン被覆鋼管は、優れた耐陰極剥離性を発揮するため、鋼管外表面とプライマー層間に含まれる粉じん量、およびプライマー層へのシランカップリング剤含有量の規定が必要となる。該粉じんはFeを主成分とし、通常、ブラスト処理粒子の破片、ブラスト処理によって剥離した鋼管の破片、鋼管外表面に残存したスケール等を含んでいることが多い。
1.鋼管外表面とプライマー層間に含まれる粉じん量について
陰極剥離は鋼管外表面とプライマー層間で生じる。鋼管外表面にブラスト処理等で付着した粉じんが多量に付着していると、その部分で鋼管外表面とプライマー層の接着が十分にされないため、陰極剥離が生じやすくなる。上記の粉じんの中で、とくに鋼管の破片や鋼管外表面に残存したスケールについては、鋼管表面に残った場合、陰極剥離に及ぼす影響が大きい。本発明は鋼管の破片や、残存スケールの主成分であるFeの付着量を定量し、その量を管理することで優れた陰極剥離性が得られることを特徴とする。そのため、以下のように鋼管外表面とプライマー層間に含まれる粉じん量を下記の方法を用いて定量し、この定量結果が一定量以下になるように粉じん量を制御することにより、優れた耐陰極剥離性を得ることができる。
例えば、ポリエチレン被覆鋼管のプライマー層を含むポリエチレン被覆層を強制剥離し、剥離した被覆層の鋼管外表面に接していた面(剥離したプライマー層の鋼管外表面に接していた面)をEPMA(電子線マイクロアナライザ)でFeのマッピング測定を行い、その際のFeの面積比を20%以下とする。Feの面積比を20%以下とすることでプライマー層と鋼管外表面との密着性が向上し、陰極剥離が発生し難くなる。Feの面積比が20%を超える場合、プライマー層と鋼管外表面との密着性が低下し、陰極剥離が発生し易くなる。Feの面積比は、好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。
ポリエチレン被覆層を鋼管外表面から強制剥離する方法は、特に限定されるものではない。例えばポリエチレン被覆鋼管の一部20mm×50mmほどを切り出し測定用片とし、測定用片を液体窒素中に浸漬した後、取り出してポリエチレン被覆層をプラスチックハンマーで叩くなどすると、プライマー層を含むポリエチレン被覆層が鋼管外表面から剥離する。剥離したポリエチレン被覆層の鋼管外表面に接していたプライマー層の面10mm×10mmを以下の条件でEPMAでFeのマッピング分析を行う。
なお、後述の製造方法において記載のとおり、例えば鋼管外表面のエアブロー等により鋼管外表面に付着した粉じん量を低減できる。
−EPMA分析条件−
EPMAは、種々の条件で測定することが可能であるが、本発明では、加速電圧5〜10kV、ビーム径10μmとし、10μmステップで、1点あたり0.1秒の条件でFeをマッピング測定することができる。次いで測定領域を二値化し、マッピング測定した全領域に対するFeが検出された領域の面積の比としてFeの面積比を求めることができる。EPMAでFeのマッピングを行うに際し、測定用試験片を複数準備し、各測定用試験片についてFeのマッピングを行い、平均値をFeの面積比とするのが好ましい。
2.鋼管について
本発明で用いられる(母材)鋼管の種類や寸法などに特に制限はない。鋼管の種類としては、例えば、電縫鋼管、スパイラル鋼管、UOE鋼管、プレスベンド鋼管等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。(母材)鋼管の外径としては、好ましくは、JIS規格200A〜600A(管外径216.3〜609.6mm)である。強度や経済性の面から母材鋼管は電縫鋼管が好ましい。
3.プライマー層について
プライマーには一般的な材料を用いることができる。プライマー層を形成するためのプライマーとして例えば、エポキシプライマー(JIS G3477−1:2012)等を用いることができる。プライマーにシランカップリング剤を含有することで陰極剥離が発生し難くなる。シランカップリング剤を含有させることで鋼管外表面とプライマー層との結合が強固になり、かつプライマー層内部の結合も強固となるため陰極剥離を抑制することができる。シランカップリング剤の含有量は0.3質量%以上必要である。0.3質量%未満の場合、陰極剥離を抑制する効果は得られない。また、2.0質量%以上含有しても効果は変わらず、不経済である。よって、好ましい含有量は0.3〜2.0質量%、さらに好ましくは0.5〜1.5質量%である。シランカップリング剤は特に限定されるものではないが、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基などの官能基をもつものを用いることができる。エポキシ基をもつシランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどがある。メルカプト基をもつシランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどがある。アミノ基をもつシランカップリング剤としては3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどがある。
4.ポリエチレン被覆について
本発明のポリエチレン被覆鋼管は、鋼管外表面に、鋼管外表面に接する側から順にプライマー層、接着性ポリエチレン層、ポリエチレン層を有するポリエチレン被覆鋼管である。ポリエチレン被覆層は鋼管外表面に接する側から順にプライマー層、接着性ポリエチレン層、ポリエチレン層を形成することで作製できる。なお、本発明のポリエチレン被覆層は、クロメート処理により形成した表面処理層を含まない。
プライマー層は上述した通りである。
接着性ポリエチレン層を形成するための接着性ポリエチレン樹脂としては、例えば無水マレイン酸変性ポリエチレン、不飽和カルボン酸変性ポリエチレン等を用いることができる。
ポリエチレン層を形成するためのポリエチレン樹脂としては低密度、中密度、高密度のいずれを用いてもよいが、特に高密度ポリエチレン樹脂(0.94〜0.97g/cm3)が防食性の観点から望ましい。ポリエチレン樹脂には、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、充填剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤を加えることができる。
ポリエチレン被覆層は厚さ1mm〜6mm程度が防食性と経済性の面から好ましい。防食性の面から、さらに好ましい下限は2.5mmである。
5.製造方法について
以下に本発明のポリエチレン被覆鋼管の製造方法について説明する。
まず、鋼管外表面をブラスト処理する。その後エアブロー等で鋼管外表面の粉じんを除去する。この段階で、鋼管外表面に付着した粉じん量を調べる。次いで、エアブロー後の鋼管外表面における粉じんを、JIS Z0313(2004)に規定された方法で粘着媒体(例えば、セロハン粘着テープ(JIS Z1522:2009))に鋼管外表面の粉じんを付着させる。粉じんが付着した粘着媒体の画像解析により、粉じんの付着面積比を測定する。測定した結果の粉じんの付着面積比が20%以下であることを確認する。また、あらかじめ、粉じんの付着面積比が20%であることを確認した見本サンプルと比較し、粉じんの除去状況を確認しても良い。粉じんの付着面積比が20%以下となる粉じんの少ない状態でポリエチレン被覆を行うと、鋼管外表面とポリエチレン被覆層(プライマー層)の密着性が向上し、陰極剥離が発生し難くなる。粉じんの付着面積比が20%超えの場合、ポリエチレン被覆層(プライマー層)と鋼管外表面との密着性が低下し、陰極剥離が発生し易くなる。粉じんの付着面積比は好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。
上記粘着媒体は、粘着力1.8N/10mm以上の粘着層を有する透明の薄膜である。
画像解析は、例えば複合機などを用い白色紙上に貼り付けたセロハン粘着テープをスキャンし、市販の画像解析ソフト(例えばAdobe社製画像解析ソフトPhotoshopCS6)を用いて、セロハン粘着テープ画像の任意の位置を指定し、その範囲の粉じん付着部と非付着部を二値化することで粉じんの付着面積比を測定することができる。粉じんの付着面積比は全面積に対する粉じん付着部の面積により求める。画像解析のサイズは特に限定されないが、簡便さの観点から20mm×20mmとすることが好ましい。
次いで、粉じんの付着面積比が20%以下である鋼管に、ポリエチレン被覆をする。
ポリエチレン被覆層の形成方法は特に限定されない。例えば、外表面の粉じんが除去された鋼管にシランカップリング剤を0.3質量%以上含有したエポキシプライマーを塗布し、所定温度(例えば130〜170℃)まで高周波加熱装置、熱風炉等で加熱し、鋼管の外表面に極性を有する接着性ポリエチレン層と、ポリエチレン層を順次、丸ダイス、Tダイス等より押出し被覆層を形成する。次いで、冷却する。また、外表面の粉じんが除去された鋼管にシランカップリング剤を0.3質量%以上含有したエポキシプライマーを塗布、加熱後、接着性ポリエチレン層とポリエチレン層を同時に丸ダイス、Tダイス等より押出し被覆するといった方法等も挙げられる。この場合、2層の被覆層が一度に形成されることになる。特に、この場合はポリエチレン被覆鋼管とした後のポリエチレン被覆層の接着性が優れたものになる。ポリエチレン被覆層は厚さ1mm〜6mm程度が防食性と経済性の面から好ましい。防食性の面から、さらに好ましい下限は2.5mmである。なお、プライマーを鋼管に塗布するに際し、高周波加熱、赤外線加熱、誘導加熱、熱風加熱のいずれか、またはこれらの組み合わせにて行うことが好ましい。
以上により、本発明のポリエチレン被覆鋼管が得られる。本発明のポリエチレン被覆鋼管は、電気防食とともに使用される。また、海底または地下への埋設用ポリエチレン被覆鋼管として好適に用いることができる。
以下に、本発明の実施例を説明する。本実施例では、以下の方法により、鋼管外表面とプライマー層間に含まれる粉じん付着量、プライマー中のシランカップリング剤含有量が異なるNo.1〜14のポリエチレン被覆鋼管について試験した。また、No.14については、鋼管の外表面にシランカップリング剤の水溶液を塗布し、乾燥させる下地処理を行ってシランカップリング剤処理層を形成し、次いでエポキシプライマーを塗布、加熱してエポキシプライマー層を形成した後、接着性ポリエチレン層、ポリエチレン層を被覆したポリエチレン被覆鋼管とした。なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されない。
(粉じんの面積比の測定)
ブラスト処理したJIS SGP 200A鋼管について、エアブローで外表面に付着した粉じんを除去した。次いで、JIS Z0313(2004)に規定された方法でセロハン粘着テープ(サイズ:24mm×200mm)に鋼管外表面の粉じんを付着させ、そのセロハン粘着テープを白色の普通紙に貼り付けた。普通紙に貼り付けたテープはその後スキャナで電子データとし、画像解析ソフト(Adobe社製PhotoshopCS6)で粉じんの面積率を測定し、ポリエチレン被覆前の鋼管外表面の粉じんの付着面積比を求めた。
(ポリエチレン被覆)
上記エアブロー処理した鋼管外表面に、市販の液状エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「基本液状タイプ828」)と硬化剤(三菱化学(株)製「変性脂肪族アミングレードT」)に、シランカップリング剤として、エポキシ基をもつ3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM−403」)を混合したエポキシプライマーを膜厚が40μmとなるようにスプレー塗布し、誘導加熱により表面温度150℃まで加熱し硬化させた。
その後、市販の接着性ポリエチレン樹脂(三井化学(株)製「アドマーNE065」)、ポリエチレン樹脂(プライムポリマー(株)製「HI−ZEX5100E」、高密度ポリエチレン樹脂である)を押出被覆により被覆して、ポリエチレン被覆層の厚さが5mmとなるポリエチレン被覆鋼管を作製した。
(EPMAでのFeマッピング)
上記により得られたポリエチレン被覆後の鋼管に対して、端部20mm×50mmを切り出し測定用試験片とした。この測定用試験片を液体窒素中に浸漬した後、取り出してポリエチレン被覆層をプラスチックハンマーで叩いてポリエチレン被覆層を鋼管外表面から剥離させた。剥離させたポリエチレン被覆層の鋼管外表面側の5箇所について、EPMAでFeのマッピング測定を行い、上述の方法によりFeの面積比を測定し、5箇所のFeの面積比の平均値を求めた。Feの面積比が20%以下である場合を合格とした。EPMAの測定条件は、加速電圧15kV、ビーム径10μm、10μmステップで、1点あたり0.1秒の条件とし、10mm×10mmを分析した。
(参考例:No.12)
参考例としてクロメート処理を施した鋼管を用いたポリエチレン被覆鋼管を作製した。クロメート処理液(関西ペイント(株)製「コスマー100」)を純水で1/5(質量割合)に希釈したものを使用し、鋼管外表面にCr換算付着量が300mg/mとなるようスプレー塗布し、鋼管表面到達温度が100℃となるよう加熱乾燥させてクロメート層を形成した。プライマー層中にはシランカップリング剤を含有させなかった。それ以外は、他の実施例と同様とし、ポリエチレン被覆鋼管を作製した。Cr換算付着量は、クロメート層を形成したダミー板を作製し、所定面積のクロメート皮膜を10質量%NaOHで剥離した後、剥離溶液中のCr量を吸光光度法で測定し、これを元に1m当たりのCr換算付着量を算出した。
(陰極剥離試験)
ポリエチレン被覆鋼管から適当な大きさの試験片を採取し、以下の方法で陰極剥離距離を測定し、耐陰極剥離性を評価した。
試験片の中央部に直径6mmφの円形の人工欠陥部を形成し、鋼管外表面を露出させた。人工欠陥部を中心にして直径70mmφのアクリル製の円筒をポリエチレン被覆層上に縦に設置してシール材でポリエチレン被覆層に固定し、円筒内部を3質量%NaCl水溶液で満たし、セルを作成した。
対極に白金を使用して人工欠陥部の鋼管の電位を−1.5V vsSCEにポテンシオスタットを使用して保持した。このまま60℃の恒温槽内に試験片を静置し、28日間電位を保持した。
以上の試験により、試験片には陰極剥離が生じている。次いで、試験片を回収後、セルをはずし、人工欠陥部の周囲をたがねとカッターを使用して強制的に剥離した。人工欠陥部の周辺部はポリエチレン被覆層が鋼管外表面から剥離し、鋼管の表面が露出した。人工欠陥部を中心とした4方向(管軸方向を12時方向として、12時、3時、6時、9時方向)で人工欠陥部端部からのポリエチレン被覆層剥離部の距離を測定して、その平均値を陰極剥離距離(mm)とした。この陰極剥離距離は、値が小さいほど良好であり、「18mm以下」を合格とした。合格であるポリエチレン被覆鋼管は、海底や地下への埋設用途に好適である。表1に試験結果を示す。
Figure 2018058350
本発明例No.1〜7、13では、陰極剥離距離が目標の18mm以下を満足し、優れた耐陰極剥離性を示している。
No.8〜11、14は比較例である。No.8、10は鋼管外表面粉じん量が多く、Fe面積比が20%を超え、粉じん面積比も20%を超え、陰極剥離距離は目標値を満足しない。
No.9は鋼管外表面粉じん量が多く、Fe面積比が20%を超え、粉じん面積比も20%を超え、プライマー中のシランカップリング剤量も0.3質量%未満であり、陰極剥離距離は目標値を満足しない。
No.11は同様にプライマー中のシランカップリング剤量が0.3質量%未満であり、陰極剥離距離は目標値を満足しない。
No.12は参考例のクロメート処理材である。クロメート処理材は鋼管外表面の粉じん付着量が多く、Feの面積比が20%を超えているが、陰極剥離距離は目標値を満足する。ただし、環境負荷が高いため、望ましくない。
No.14はプライマー層中にシランカップリング剤が含有されていないため、陰極剥離距離は目標値を満足しない。

Claims (6)

  1. 鋼管外表面に、鋼管外表面に接する側から順にプライマー層、接着性ポリエチレン層、ポリエチレン層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、
    前記鋼管外表面と前記プライマー層間に含まれる粉じん量が、剥離したプライマー層の鋼管外表面に接していた面をEPMAでFeのマッピングをしたFeの面積比で20%以下であり、
    かつ、前記プライマー層に0.3質量%以上のシランカップリング剤を含有する、ポリエチレン被覆鋼管。
  2. 電気防食とともに使用される、請求項1に記載のポリエチレン被覆鋼管。
  3. 海底または地下への埋設用である、請求項1または2に記載のポリエチレン被覆鋼管。
  4. ブラスト処理後、JIS Z0313(2004)に規定された方法で粘着媒体に鋼管外表面の粉じんを付着させ、粉じんが付着した粘着媒体の画像解析により、粉じんの付着面積比を測定し、粉じんの付着面積比が20%以下である鋼管に、ポリエチレン被覆をする、ポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
  5. 前記ポリエチレン被覆は、鋼管外表面に接する側から順に、0.3質量%以上のシランカップリング剤を含有するプライマー層、接着性ポリエチレン層、ポリエチレン層を有するポリエチレン被覆である、請求項4に記載のポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
  6. プライマーを鋼管に塗布するに際し、高周波加熱、赤外線加熱、誘導加熱、熱風加熱のいずれか、またはこれらの組み合わせにて行う、請求項5に記載のポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
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