JP2018058034A - 中空糸膜モジュールおよびその製造方法 - Google Patents

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荒牧 昌作
Shosaku Aramaki
昌作 荒牧
剛宏 小谷野
Takehiro Koyano
剛宏 小谷野
恵一 朝妻
Keiichi Asazuma
恵一 朝妻
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Abstract

【課題】ヘッダーと本体容器との接合強度を向上させ、液漏れや耐圧強度不足といった問題を解決する。
【解決手段】筒状容器2と、中空糸膜の束3と、ポッティング部4と、ヘッダー5と、を備えた中空糸膜モジュール1であって、ヘッダー5と筒状容器2とが、筒状容器2の端部2aとヘッダー5との接触部位に形成された1次溶着部71と、ヘッダー5の先端部32と筒状容器2との接触部位に形成された、1次溶着部71よりも径方向外側に位置する2次溶着部72と、の少なくとも2箇所の領域において溶着され、2次溶着部72は、1次溶着部71の溶着開始よりも前に溶着が開始する位置に配置されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、本体容器に装填された中空糸膜を利用して血液を浄化する中空糸膜モジュールの構造およびその製造方法に関する。
従来、中空糸膜型血液浄化器(本明細書では「中空糸膜モジュール」と呼ぶ)は、血液透析、血液濾過、血漿分離、血漿成分分画等の体外循環式の血液浄化療法に応じて各種のものが開発されており、膜分離技術を利用した多くの血液浄化療法等に利用されている。
中空糸膜モジュールは、一般には、側部にポートが設けられた円筒状の本体容器に中空糸膜の束を装填し、ウレタンなどのポッティング材によって中空糸膜束を本体容器に接着固定した後、本体容器の両端にヘッダーを取り付けることによって構成されたモジュールからなる。この中空糸膜モジュールを使って血液透析は、透析液を入口側のポートに流入させ、出口ポートから流出させることで本体容器内を流通させ、また、血液を血液入口側ヘッダーから中空糸膜へと流入させ、血液出口側ヘッダーへと向けて流通させることによって行われる。
このような血液透析を行う際、ヘッダーと本体容器との接合部分から液体が漏れ出ることがないように液密に封止されている必要があり、例えば、ヘッダーと本体容器とを超音波溶着して接合する手法が利用されている。これは、ヘッダーの被溶着部分と本体容器の被溶着部分とを当接させながら超音波振動を与え、発熱させ、溶融させることにより接合する手法であり、液密性・気密性を得るための好適な一手法として利用されている(例えば特許文献1参照)。
国際公開第2013/146663号
しかしながら、血液浄化器におけるヘッダーと本体容器との接合強度が常に十分であるとは限らず、液漏れのおそれがあったり、全体としての耐圧強度が不足したりすることが起こり得た。
より具体的に説明すると、溶着部がシェアジョイント構造であると、ヘッダー押し込み時にヘッダーが広がり、容器端面が滑ってしまい、
・一定の位置で加圧力が低下する
・一定の位置で超音波エネルギーを集中することができず、溶融量が低下し、耐圧強度が低下する
といった問題が生じることがあった(図6参照))。
本発明は、上記不具合を解決するためになされたものであり、ヘッダーと本体容器との接合強度を向上させ、液漏れや耐圧強度不足といった問題を解決した中空糸膜モジュールおよびその製造方法を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するべく、本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールは、
一端部および他端部が開口した筒状容器と、
当該筒状容器に装填された中空糸膜の束と、
中空糸膜の束を、筒状容器の両端部で包埋固定しているポッティング部と、
筒状容器の両端部に設けられている、流体の出入口となるノズル部を有するヘッダーと、
を備えた中空糸膜モジュールにおいて、
ヘッダーと筒状容器とが、筒状容器の端部とヘッダーとの接触部位に形成された1次溶着部と、ヘッダーの先端部と筒状容器との接触部位に形成された、1次溶着部よりも径方向外側に位置する2次溶着部と、の少なくとも2箇所の領域において溶着され、
2次溶着部は、1次溶着部の溶着開始よりも前に溶着が開始する位置に配置されていることを特徴とする。
この中空糸膜モジュールにおいては、筒状容器にヘッダーを押し込んで溶着する際の初期の段階で、1次溶着部より先に2次溶着部が溶融する、つまり、ヘッダーの先端の一部が筒状容器に溶着した状態となることから、ヘッダーの押込み時、ヘッダーの先端部が広がるという現象、筒状容器の端部が滑ってしまうという現象が抑制される。このため、従前は生じることのあった、
・一定の位置で加圧力が低下する問題
・一定の位置で超音波エネルギーを集中することができず、溶融量が低下し、耐圧強度が低下する
といった問題を解消ないしは抑制することができる。
1次溶着部におけるヘッダーに、筒状容器の端部と接触する斜面が形成されていてもよい。
ヘッダーの斜面の傾斜角である主溶着角度が20〜45°であってもよい。
筒状容器は、ヘッダーの一部が嵌合するカップリング構造を構成する環状の凹部をさらに有するものであってもよい。
1次溶着部がシェアジョイント構造であってもよい。
また、本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールの製造方法は、
一端部および他端部が開口した筒状容器と、
当該筒状容器に装填された中空糸膜の束と、
中空糸膜の束を、筒状容器の両端部で包埋固定しているポッティング部と、
筒状容器の両端部に設けられている、流体の出入口となるノズル部を有するヘッダーと、
を備えた中空糸膜モジュールの製造方法において、
筒状容器の端部とヘッダーとの接触部位に形成された1次溶着部と、ヘッダーの先端部と筒状容器との接触部位に形成された2次溶着部と、を、2次溶着部が1次溶着部の溶着開始よりも前に溶着が開始する位置に配置し、
ヘッダーと筒状容器とを、1次溶着部と2次溶着部の少なくとも2箇所の領域において溶着することを特徴とする。
中空糸膜モジュールの製造方法において、1次溶着部におけるヘッダーに、筒状容器の端部と接触する斜面が形成されていてもよい。
中空糸膜モジュールの製造方法において、1次溶着部における前記ヘッダーの斜面の傾斜角である主溶着角度を20〜45°としてもよい。
中空糸膜モジュールの製造方法において、筒状容器に、ヘッダーの一部が嵌合するカップリング構造を構成する環状の凹部をさらに設けてもよい。
周波数15kHzの超音波溶着によってヘッダーと筒状容器とを溶着してもよい。
本発明によれば、中空糸膜モジュールにおけるヘッダーと本体容器との接合強度を向上させ、液漏れや耐圧強度不足といった問題を解決することができる。
中空糸膜モジュールの構成の一例を示す縦断面の模式図である。 超音波ホーンによるヘッダーと筒状容器との溶着開始時点での接合部分およびその周辺を示す拡大断面図である。 ヘッダーと筒状容器を超音波溶着した際の様子を示す断面図である。 ヘッダーと筒状容器とが溶着された状態の接合部分およびその周辺を示す拡大断面図である。 ヘッダーと筒状容器とを溶着して接合する際の様子を溶着部分を中心にして(A)→(B)の順に示す図である。 従前の中空糸膜モジュールにおいてヘッダーと筒状容器とを溶着して接合する際の様子を溶着部分を中心にして(A)〜(C)まで順に示す参考図である。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
<中空糸膜モジュールの構成>
先ず、本実施の形態にかかる中空糸膜モジュールの構成について説明する。図1は、中空糸膜モジュール1の構成の一例を示す断面模式図(ただし断面のみを図示したもの)である。
中空糸膜モジュール1は、筒状容器2、中空糸膜束3、ポッティング部4、ヘッダー5などを備えている。
筒状容器2は、円筒状に形成され、長手方向(円筒の中心軸P方向)の両端部2aが開口している。筒状容器2の内部には、中空糸膜束3が収容されている。筒状容器2の側面には、流体の出入口となる例えば2つのポート10が形成されている。
中空糸膜束3は、多数本の中空糸膜をまとめた束であり、筒状容器2内に長手方向に沿って収容されている。中空糸膜束3は、分離膜として機能し、各中空糸膜の内側領域と外側領域との間で分離対象である流体の成分を分離できる。
ポッティング部4は、ポッティング樹脂により構成され、筒状容器2の両端部2aの内側において中空糸膜束3の両端部3aを包埋すると共に、中空糸膜束3を筒状容器2の両端部2aに固定している。ポッティング部4は、外周部がポッティング樹脂のみによって構成された部分4aとなり、その内側が、中空糸膜束3の中空糸膜同士の隙間にポッティング樹脂が入り込んだ部分4bとなる。ポッティング樹脂としては、例えばポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。
ヘッダー5は、筒状容器2の両端部2aの開口に、これら両端部2aの蓋材として設けられている。ヘッダー5は、中心軸Pに流体の出入口となる管状のノズル部20と、ノズル部20から径方向に広がる板状の天板部21と、天板部21の外周縁から筒状容器2側に向けて突出する側壁部としてのヘッダー突出部22を有している。
ノズル部20は、外部チューブを接続するためのネジ構造を有している。天板部21は、中空糸膜束3の端部3aに対面し、ノズル部20から筒状容器2の端部2aへ向かうにつれて次第に径が大きくなる内面21aを有している(図4参照)。ヘッダー5の内面21aと中空糸膜束3の端部3aとの間には、ノズル部20から流入する流体、或いはノズル部20から流出する流体が通る空間23が形成されている。
ヘッダー突出部22は、中心軸Pを軸心とする円筒形状を有している。ヘッダー突出部22は、例えば図4に示すように基部30、中段部31及び先端部32を天板部21から筒状容器2側に向けてこの順で備えている。基部30、中段部31及び先端部32は、互いに径方向の厚みが異なり、基部30の厚みが最も大きく、次に中段部31の厚みが大きく、先端部32の厚みが最も小さくなっている。
基部30は、天板部21から連続する部分であり、例えば一定の内径R1を有する第1の内周面30aを有している。第1の内周面30aの内径R1は、天板部21の内面21aの下端(最大径部)の内径R0よりも大きい。天板部21の内面21aと基部30の第1の内周面30aとの間には、中心軸Pに対し垂直の環状の平坦面(段部)40が形成されている。
中段部31は、内径R1よりも大きい一定の内径R2を有する第2の内周面31aを有している。先端部32は、第2の内周面31aと同じ内径R2を有する第3の内周面32aと、中段部31の外周面31bよりも外径が小さい一定の外径R3を有する外周面32bを有している。中段部31の外周面31bと先端部32の外周面32bとの間には、中心軸Pに対し垂直の環状の平坦面(段部)42が形成されている。
筒状容器2の端部2aは、いわゆる二股構造を有している。端部2aは、ヘッダー5側に2重に円筒状に突出する内側突出部50と外側突出部51とを有している。内側突出部50と外側突出部51は、それぞれが中心軸Pを軸心とする円筒形状を有し、同心円状に配置されている。内側突出部50は、外側突出部51よりも長く、ヘッダー5側(中心軸P方向外側)に突出している。内側突出部50の内周面50aは、筒状容器2の内周面を構成している。
外側突出部51は、筒状容器2の外側面から径方向外側に突出し、さらにその外縁から端部2a側(直近のヘッダー5側)に向けて曲折した形状の鍔部によって形成されている。また、これら内側突出部50と外側突出部51との間には、ヘッダー5の一部(先端部32)が嵌合する形でカップリング構造を構成する環状の凹部52が形成されている(図4参照)。
内側突出部50の内周面50aは、内径R0より大きく内径R1よりも小さい内径R4を有している。内側突出部50の外周面50bは、内径R1より大きく内径R2より小さい外径R5を有している。
<ヘッダーと筒状容器の接合構造>
ヘッダー突出部22が筒状容器2の内側突出部50と外側突出部51の間に挿入された状態で、ヘッダー5と筒状容器2が超音波溶着により溶着されている。内側突出部50は、ヘッダー突出部22の中段部31及び先端部32に対向し、外側突出部51は、先端部32に対向している。
ヘッダー5と筒状容器2とは、内側突出部50の先端部付近とヘッダー突出部22の中段部31の間における1次溶着部71、および内側突出部50と先端部32との間の2次溶着部72からなる溶着部70で溶着されている。このように、溶着部を少なくとも2箇所に設けて二重溶着とすることで、液漏れ抑制効果と耐圧強度とをさらに向上させることができる。
なお、本実施形態の中空糸膜モジュール1において、1次溶着部71における溶融部分の中心軸P方向に沿った溶融長さを符号L1、2次溶着部72における溶融部分の溶着長さを符号L2でそれぞれ示している(図4参照)。
1次溶着部71は、例えば内側突出部50の端面(図4における上端面)と外周面50bに亘り形成されている。なお、図4では、便宜上、1次溶着部71を破線で表し、その境界線を明確に図示しているが、接触部分が溶融して接着する溶着では、その境界はあいまいであり、また溶着毎に変動するのが実際である。
2次溶着部72は、例えばヘッダー突出部22の先端部32の先端付近(先端部32の長手方向の中央よりも先端に近い位置)に形成される等、上述の1次溶着部71よりも筒状容器2の径方向外側に配置されている(図4等参照)。2次溶着部72は、1次溶着部71から離れており、2次溶着部72と1次溶着部71との間には、ヘッダー突出部22と内側突出部50が接触していない空間(図4において符号75で示す)が形成されている。
1次溶着部71および2次溶着部72の位置で溶着するために、1次溶着部71、2次溶着部72となる部分のヘッダー突出部22、又は内側突出部50の少なくともいずれかには、予め溶着代(インターフェアランス部)が設けられている。
また、1次溶着部71と2次溶着部72のうち少なくとも一方は、ヘッダー突出部22の周方向の全周に亘って連続的に形成されており、もう一方は例えば断続的に形成されている。さらに好ましいのは、1次溶着部71と2次溶着部72の両方が全周に亘って連続的に形成されていることである。
また、本実施形態では、ヘッダー5と筒状容器2を溶着する1次溶着部71および2次溶着部72のジョイントデザインとしてシェアジョイントを採用している。
また、2次溶着部72は、1次溶着部71の溶着開始よりも前に溶着が開始する位置に配置されている(図2等参照)。後に詳述するが、この構造によれば溶着の初期の段階でヘッダー5の先端部32が溶着されて拘束状態となり、溶着の際の押込み時、当該先端部32が径方向外側に広がることが抑えられる。
1次溶着部71におけるヘッダー5のうち、筒状容器2の端部2aが接触する部分には斜面5cが形成されている(図2、図5等参照)。中心軸Pに垂直な面に対する斜面5cの傾斜角は、好ましくは20〜45°であり、その範囲の中でもさらに好ましくは20〜30°である。なお、本明細書ではこの角度を「主溶着角度」と呼ぶ。斜面5cの主溶着角度がこの範囲に形成された場合、筒状容器2の端部2aの滑りが抑えられるようになる。
<ポッティング部の配置>
図4に示すようにポッティング部4の端面には、ポッティング部の両端部を径方向に切断して形成されたポッティング部切断面4Sが形成されている。ポッティング部4は、筒状容器2の内側突出部50よりも中心軸P方向の外側(ヘッダー5側)に突出している。ポッティング部切断面4Sは、ヘッダー5の内面の平坦面40に所定の圧力が付与された状態で当接している。これにより、流体が容易にヘッダー突出部22と筒状容器2の端部2aの隙間に入り込むことを抑制でき、ヘッダー5と筒状容器2との間の封止力を向上できる。
筒状容器2及びヘッダー5の原材料は、特に限定されるものではなく各種の熱可塑性樹脂から選択される。例えば、結晶性樹脂ではエチレンとα―オレフィンとの共重合体や、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンといったポリエチレン系樹脂や、プロピレン単体の重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体あるいはプロピレンとエチレンと他のα―オレフィンとの共重合体といった、ポリプロピレン系樹脂が挙げられる。一方で非晶性樹脂では、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン‐ブタジエン共重合体(SBS)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体(ABS)等の樹脂が挙げられ、これらは単体で用いられても良くあるいは混合物として利用しても良い。本実施形態における好適な樹脂は、上記の中でもポリプロピレン系樹脂であり、中でもプロピレンとエチレンのランダム共重合体が剛性と耐熱性の観点で好ましく、エチレン含量が1〜8質量%に調整されたプロピレンとエチレンのランダム共重合体がより好ましい。
<中空糸膜モジュールの製造方法>
まず、最終的に必要な長さよりも長い中空糸膜束3が用意され、筒状容器2内に収容される。次に筒状容器2内にポッティング部4が形成される。このポッティング部4は、中空糸膜束3の両端部3aを包埋しつつ中空糸膜束3を筒状容器2の内周面50aに固定する。次に、ポッティング部4(中空糸膜束3の両端部3a)の不要部分が、中心軸Pに対し垂直の断面で切断されて、ポッティング部切断面4Sが形成される。
次に、ヘッダー5が筒状容器2に溶着される。例えば図3に示すようにヘッダー5のヘッダー突出部22が筒状容器2の内側突出部50と外側突出部51の間に挿入され、なおかつポッティング部切断面4Sがヘッダー5の内面の平坦面40に当接される。この状態で、超音波ホーン90がヘッダー5の天板部21に外側から接触する。そして、超音波ホーン90が、ヘッダー5を中心軸P方向の外側から筒状容器2側に押圧しながら、ヘッダー5に向けて超音波振動を発振すると、超音波溶着(電気エネルギーを機械的振動エネルギーに変換し、加圧を同時に加えることによって、溶着される2つのパーツの接合面に強力な摩擦熱を発生させ、プラスチックを溶融し、接合させる技術)により、2次溶着部72、1次溶着部71が溶着される。このとき、本実施形態の中空糸膜モジュール1においては、2次溶着部72の溶着は、1次溶着部71の溶着開始よりも前に開始する(図2、図5参照)。
なお、超音波ホーン90が発振する超音波振動については、周波数、圧力、振幅及び時間が重要である。例えば、周波数は15kHz、20kHz、30kHz、40kHz、50kHz、70kHz、振幅は20から125μm、圧力は50N〜3000N、時間は0.1から1秒など溶着するに足りるものであれば特に限定されることはないが、状況に応じて比較的低い周波数(例えば、一般的に周波数20kHz程度の超音波が利用される場合における15kHz程度の低周波数)の超音波振動としてもよい。こうした場合は、超音波ホーン90から離れた位置にまで超音波振動が届きやすくなる。振幅、圧力、時間は溶着を強固にしたい場合は、それらの値の一部、もしくは全てを大きくする場合がある。超音波振動が強すぎて筒状容器2やヘッダー5が損傷する場合は、それらの値の一部、もしくは全てを小さくしたり、周波数の大きなものを採用する場合がある。
超音波溶着におけるヘッダー5と筒状容器2が押し込まれていく速度は、0.5から10mm/秒、好ましくは、1〜3mm/秒である。速度は遅いほど、溶着部での摩擦熱による溶融量が増加して接合強度が増すが、遅すぎると摩擦熱が過剰となって炭化が生じることがある。
上述のようにしてヘッダー5と筒状容器2が少なくとも2箇所で溶着された中空糸膜モジュール1が完成する(図1参照)。本実施形態によれば、ヘッダー5と筒状容器2とが、2次溶着部72、1次溶着部71の2箇所の領域にて溶着されているため接合強度が増しており、中空糸膜モジュール1の全体の耐圧強度が向上している。このため、耐圧強度不足になり難く、また、液漏れが生じ難い。
例えば中空糸膜モジュール1の使用時には、血液などの流体がノズル部20からヘッダー5内に流入し、中空糸膜束3の各中空糸膜を通過し、反対のヘッダー5のノズル部20から排出され、その際に流体の所定成分が中空糸膜の側壁を通じて外部に分離される。そして、中空糸膜モジュール1の継続的な使用により、中空糸膜の目詰まりが進行し、中空糸膜モジュール1の内圧が上昇する。ヘッダー5内の流体の圧力がある程度以上上昇すると、流体がポッティング部4とヘッダー5の内面との間から外側に進入する可能性がある。この場合、流体の圧力が、ヘッダー突出部22と内側突出部50の間にある1次溶着部71に付加される。これにより、ヘッダー突出部22に筒状容器2側(図4の下方向)へのせん断力が付与され、ヘッダー5が筒状容器2側に押しつけられ、この結果、ヘッダー5が筒状容器2から外れることが抑制される。そして、さらにヘッダー5内の流体の圧力が上昇し、1次溶着部71の一部が破損するようなことがあった場合でも、その圧力が、ヘッダー突出部22と内側突出部50の間にある2次溶着部72に付加される。これにより、ヘッダー突出部22に筒状容器2側へのせん断力が引き続き付与され、この結果、ヘッダー5が筒状容器2から外れることが抑制される。以上の結果、ヘッダー5が筒状容器2から外れ難くなり、中空糸膜モジュール1の耐圧強度を向上できる。
また、上述のごとき本実施形態の中空糸膜モジュール1においては、筒状容器2にヘッダー5を押し込んで溶着する際の初期の段階で、1次溶着部71よりも先に2次溶着部72が溶融し、ヘッダー5の先端部32の一部が筒状容器2に溶着した状態となることから、カップリング構造(を構成する環状の凹部52)内で拘束し、ヘッダー5の押込み時、ヘッダー5の当該先端部32が広がるという現象、また、筒状容器2の端部2aが径方向内側へ滑ってしまうという現象が抑制される(図5(A)中において符号Rで示す部分参照)。従前の構造ないしは製法であれば、広がりや滑りに起因して、一定の位置で加圧力が低下するといった問題や、一定の位置で超音波エネルギーを集中することができず、溶融量が低下し、耐圧強度が低下するといった問題が生じ得たのに対し、本実施形態によればこれらを解消ないしは抑制することができる(図5、図6参照)。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、ヘッダー5と筒状容器2とが1次溶着部71および2次溶着部72の2箇所の領域において溶着される例を示したが、もちろん、これより多くの箇所すなわち3箇所以上の領域においてこれらヘッダー5と筒状容器2とを溶着することも好適である。1次溶着部71および2次溶着部72以外の溶着部を例示すれば、詳しい説明はしないが、先端部32と外側突出部51との間の領域で溶着して3次溶着部としたもの(図示省略)を挙げることができる。
また、上述した実施形態で示した中空糸膜モジュール1の構造は好適な一例にすぎず、例えばヘッダー5のヘッダー突出部22の構造、筒状容器2の内側突出部50と外側突出部51の構造などは上述したものに限られない。また、筒状容器2、ヘッダー5の全体構造も上述したものに限られない。また、中空糸膜モジュール1の用途は、血液などの液体処理に限られず、気体の処理であってもよい。
また、上述した実施形態では、筒状容器2の端部2aが接触する部分に斜面5cが形成されたヘッダー5について説明したが(図2等参照)。これとは逆に、またはこれと併せて、筒状容器2の端部2a側に斜面(図示省略)を形成することもできる。
また、上述した実施形態で説明した斜面5cは1次溶着部71に形成されたものであったが、これに代え、あるいはこれに加え、2次溶着部72側にも斜面を形成することができる。このような斜面の一例として、図中では、筒状容器2の内側突出部50の外周面のうち、ヘッダー5の先端部32が当接する段差部分に形成された斜面50cを示している(図2等参照)。
また、上述した実施形態では1次溶着部71、2次溶着部72について説明したが、用語に含まれる「1次」「2次」の表現は便宜的なものであって、溶着の順番などとは関係のないものであることはいうまでもない。
本発明は、中空糸膜モジュールの耐圧強度を向上する際に有用である。
1…中空糸膜モジュール、2…筒状容器、2a…端部、3…中空糸膜束、4…ポッティング部、4S…ポッティング部切断面、5…ヘッダー、5c…斜面、20…ノズル部、22…ヘッダー突出部、50…内側突出部、51…外側突出部、52…凹部、70…溶着部、71…1次溶着部、72…2次溶着部、90…超音波ホーン(溶着ホーン)

Claims (10)

  1. 一端部および他端部が開口した筒状容器と、
    当該筒状容器に装填された中空糸膜の束と、
    前記中空糸膜の束を、前記筒状容器の両端部で包埋固定しているポッティング部と、
    前記筒状容器の両端部に設けられている、流体の出入口となるノズル部を有するヘッダーと、
    を備えた中空糸膜モジュールにおいて、
    前記ヘッダーと前記筒状容器とが、前記筒状容器の端部と前記ヘッダーとの接触部位に形成された1次溶着部と、前記ヘッダーの先端部と前記筒状容器との接触部位に形成された、前記1次溶着部よりも径方向外側に位置する2次溶着部と、の少なくとも2箇所の領域において溶着され、
    前記2次溶着部は、前記1次溶着部の溶着開始よりも前に溶着が開始する位置に配置されていることを特徴とする中空糸膜モジュール。
  2. 前記1次溶着部における前記ヘッダーに、前記筒状容器の前記端部と接触する斜面が形成されている、請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
  3. 前記ヘッダーの前記斜面の傾斜角である主溶着角度が20〜45°であることを特徴とする請求項2に記載の中空糸膜モジュール。
  4. 前記筒状容器は、前記ヘッダーの一部が嵌合するカップリング構造を構成する環状の凹部をさらに有する、請求項3に記載の中空糸膜モジュール。
  5. 前記1次溶着部がシェアジョイント構造である、請求項4に記載の中空糸膜モジュール。
  6. 一端部および他端部が開口した筒状容器と、
    当該筒状容器に装填された中空糸膜の束と、
    前記中空糸膜の束を、前記筒状容器の両端部で包埋固定しているポッティング部と、
    前記筒状容器の両端部に設けられている、流体の出入口となるノズル部を有するヘッダーと、
    を備えた中空糸膜モジュールの製造方法において、
    前記筒状容器の端部と前記ヘッダーとの接触部位に形成された1次溶着部と、前記ヘッダーの先端部と前記筒状容器との接触部位に形成された2次溶着部と、を、前記2次溶着部が前記1次溶着部の溶着開始よりも前に溶着が開始する位置に配置し、
    前記ヘッダーと前記筒状容器とを、前記1次溶着部と前記2次溶着部の少なくとも2箇所の領域において溶着することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
  7. 前記1次溶着部における前記ヘッダーに、前記筒状容器の前記端部と接触する斜面を形成する、請求項6に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
  8. 前記1次溶着部における前記ヘッダーの前記斜面の傾斜角である主溶着角度を20〜45°とすることを特徴とする請求項7に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
  9. 前記筒状容器に、前記ヘッダーの一部が嵌合するカップリング構造を構成する環状の凹部をさらに設ける、請求項8に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
  10. 周波数15kHzの超音波溶着によって前記ヘッダーと前記筒状容器とを溶着する、請求項6に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
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