JP2018056287A - 柔軟な圧電材料を用いたトランスデューサ - Google Patents

柔軟な圧電材料を用いたトランスデューサ Download PDF

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Abstract

【課題】 柔軟で伸縮可能であり、感度が経時変化しにくい圧電素子を備えるトランスデューサを提供する。【解決手段】 トランスデューサ1は、エラストマーおよび圧電粒子を含む圧電層11と、エラストマーおよび導電材を含む電極層12a、12bと、を有する圧電素子10を備える。圧電素子10の破断伸びは10%以上であり、圧電素子の分極電界比例定数は20V/μm以下である。【選択図】 図3

Description

本発明は、柔軟で伸縮可能な圧電素子を備えるトランスデューサに関する。
機械エネルギーを電気エネルギーに変換できる圧電材料は、圧力センサ、加速度センサ、振動センサ、衝撃センサなどに広く利用されている。圧電材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などのセラミックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリ乳酸などの高分子、高分子マトリックス中に圧電粒子が充填された複合体などが知られている。例えば、特許文献1には、樹脂およびゴムを有するマトリックスに圧電粒子が充填された複合体と、導電性ゴムからなる電極と、を有する圧電素子が記載されている。特許文献2には、クロロプレンゴムにチタン酸鉛粉末が充填された複合体と、銀ペーストからなる電極と、を有する圧電素子が記載されている。
特開2013−225608号公報 特開平2−32574号公報 特開2007−10324号公報 特開2008−192671号公報
特許文献1、2に記載されている圧電素子は、圧電層として高分子マトリックスと圧電粒子との複合体を使用している。しかしながら、高分子マトリックスに樹脂が含まれる場合、圧電層は可撓性はあるものの伸縮性に乏しい。この点、特許文献2に記載されている圧電層によると、高分子マトリックスにクロロプレンゴムが使用されている。このため、圧電層は伸縮性を有するが、それに積層される電極層は伸縮性に乏しい銀ペーストからなる。この場合、電極層により圧電層の伸縮が規制され、圧電素子全体としての伸縮性が低下する。また、電極層が伸長されると電気抵抗が増加するため、伸長時において出力が低下して、圧電層に加わった荷重を正確に検出することができない。この点、特許文献1には、電極層に導電性ゴムを使用することが記載されている。しかし、そもそも特許文献1の圧電層は、樹脂を含むため伸縮性に乏しい。また、同文献の段落[0020]には、振動源の歪み量が5%程度と記載されており、実施例には歪み量を3%とした場合の適用例が記載されているに過ぎない。すなわち、特許文献1においては、圧電素子が10%以上の比較的大きな伸長率で変形される使用方法を想定していない。
このように、従来は、大きく伸縮変形する被着体に適用することを想定していないため、圧電層だけではなく電極層を含んだ圧電素子全体としての伸縮性について検討されていない。例えば、ウエアラブルセンサなどとして、伸縮や屈曲が繰り返される被着体に適用するためには、伸長した状態においても圧電性能を維持できる圧電素子の実現が望まれる。
また、圧電層には、電圧を印加して分極方向を所定の方向に揃える分極処理が施される。分極処理において、電圧は比誘電率が小さい材料に印加されやすい。圧電層が高分子マトリックスと圧電粒子との複合体である場合、分極処理の電圧は、圧電粒子よりも比誘電率が小さい高分子マトリックスに優先的に印加される。このため、圧電粒子の双極子の方向を揃えるためには、圧電粒子に充分な電圧が供給されるよう、高い電圧を印加する必要がある。これにより、複合体の絶縁破壊を招くおそれがあった。また、分極処理が充分になされていないと、時間の経過と共に双極子の方向が徐々に元に戻ってしまう。これにより、感度(加えた力に対する発生電荷量)が低下するおそれがあった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、柔軟で伸縮可能であり、感度が経時変化しにくい圧電素子を備えるトランスデューサを提供することを課題とする。
本発明のトランスデューサは、エラストマーおよび圧電粒子を含む圧電層と、エラストマーおよび導電材を含む電極層と、を有する圧電素子を備え、該圧電素子の破断伸びは10%以上であり、該圧電素子の分極電界比例定数は20V/μm以下であることを特徴とする。
圧電素子を構成する圧電層および電極層のマトリックス(母材)は、いずれもエラストマーである。そして、圧電素子の破断伸びは10%以上である。圧電素子は、柔軟で伸縮可能である。また、圧電素子は一軸方向だけでなく二軸方向、拡径方向などに伸長することができる。このため、繰り返し伸びたり曲がったりする被着体や大きく伸縮変形する被着体に配置しても、被着体の動きを阻害しにくい。また、被着体が複雑な形状を有する場合にも、その形状に沿うように圧電素子を配置することができる。本発明のトランスデューサによると、曲げ、伸び、圧縮などの変形を伴う被着体に配置して、被着体が変形していない状態においては勿論、変形時においても被着体に加わる荷重を検出することができる。
圧電素子の感度の経時変化について本発明者が鋭意研究したところ、当該経時変化と圧電層の分極電界比例定数との間に相関関係があることを見出した。すなわち、圧電層の分極電界比例定数が小さいほど圧電素子の感度の経時変化が小さいという知見を得た。分極電界比例定数とは、圧電粒子の双極子を一方向に揃えることができる電界に比例した定数である。つまり、分極電界比例定数とは、抗電界に比例した定数である。この知見に基づいてなされた本発明のトランスデューサによると、圧電素子の分極電界比例定数は20V/μm以下である。
本来であれば、圧電層の抗電界の上限値を規定するところ、本発明の圧電層はエラストマーと圧電粒子とを含んでおり、これらの比誘電率の差により、従来のセラミックス製の誘電層と比較して抗電界が非常に大きな値となる。このため、抗電界を測定するためには圧電層に高電圧を印加する必要があるが、高電圧を印加すると絶縁破壊が生じやすい。したがって、抗電界を正確に測定することができない。よって、抗電界に比例する分極電界比例定数の値で規定することとした。
本発明における分極電界比例定数は、次の方法により得られる値である。圧電素子をシリコーンオイル(信越化学工業(株)製「KF96」)中に浸漬した状態で、強誘電体評価システム(aixACCT社製「TF2000FE−HV」)に設置し、1秒間で±30V/μmの電界を掃引して電荷密度−電界曲線(P−E曲線)を描いた。そして、P−E曲線における正電界側のX軸との交点(電荷密度がゼロになる点)の電界強度を分極電界比例定数とした。
本発明のトランスデューサにおいては、圧電素子の分極電界比例定数が20V/μm以下と小さいため、従来と比較して印加電圧を低くして分極処理を行うことができる。これにより、圧電素子の絶縁破壊を抑制することができる。また、小さいエネルギーで分極できるため、生産性の向上が見込める。また、分極しやすいことから、双極子の方向を電界印加方向にしっかりと揃えることができ、感度の経時変化を小さくすることができる。これに対して、分極電界比例定数が大きい圧電素子は、双極子の方向を電界印加方向にしっかりと揃えることが難しいため、電界印加方向に向いていない双極子が熱などの外部エネルギーで元の方向に戻りやすい。これにより、感度の経時変化が大きくなる。
例えば、特許文献3には、有機高分子とニオブ酸カリウムなどのセラミック圧電体粒子とからなる可撓性感圧体を備える圧力センサが記載されており、同文献の段落[0016]には、圧電粒子の比誘電率が小さいと分極処理電圧を低くすることができると記載されている。また、特許文献4には、有機高分子とニオブ酸ナトリウムなどの圧電セラミック粉末とを含む感圧体を備える圧力素子が記載されており、同文献の段落[0091]には、圧電粒子の比誘電率が小さいと、分極処理の際に圧電粒子に印加される直流電圧を高くすることができると記載されている。しかし、いずれの文献においても、圧電素子の感度の経時変化については検討されていない。また、感度の経時変化と抗電界(分極電界比例定数)との関係も記載されていない。
圧電粒子が単粒子からなる場合の分散状態を示す模式図である。 圧電粒子が集合体からなる場合の分散状態を示す模式図である。 本発明のトランスデューサの一実施形態の上面図である。 図3のIV−IV断面図である。 ニオブ酸カリウムの単粒子の粉末のSEM写真である。 ニオブ酸カリウム粒子の結合体の粉末のSEM写真である。 実施例で製造した圧電素子の上下方向断面図である。
以下、本発明のトランスデューサの実施の形態について説明する。なお、本発明のトランスデューサは、以下の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
本発明のトランスデューサは、エラストマーおよび圧電粒子を含む圧電層と、エラストマーおよび導電材を含む電極層と、を有する圧電素子を備える。
<圧電層>
圧電層を構成するエラストマーとしては、架橋ゴムおよび熱可塑性エラストマーの中から、弾性率が比較的小さく柔軟なエラストマーを選択すればよい。圧電粒子との比誘電率の差を小さくして、分極電界比例定数、ひいては抗電界を小さくするという観点から、20℃以上30℃以下の室温下、周波数100Hzで測定された比誘電率が7以上のエラストマーを選択することが望ましい。比誘電率が8以上であるとより好適である。比誘電率が7以上のエラストマーとしては、ウレタンゴム、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム、エーテル基を含有するゴムの他、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、ヒドリンゴム、フッ素ゴムなどのハロゲン系ゴムなどが挙げられる。また、官能基を導入するなどして変性したエラストマーを用いてもよい。変性エラストマーとしては、例えば、カルボキシル基変性ニトリルゴム(X−NBR)、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム(XH−NBR)などが挙げられる。
圧電粒子は、圧電性を有する化合物の粒子である。圧電性を有する化合物としては、有機物、無機物の制限はなく、無機物の場合には、例えばペロブスカイト型の結晶構造を有する圧電体を用いればよい。圧電粒子としては、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。エラストマーとの比誘電率の差を小さくして、分極電界比例定数、ひいては抗電界を小さくするという観点から、できるだけ比誘電率が小さい強誘電体を用いることが望ましい。例えば、鉛を含有しない圧電特性を有する(すなわち、圧電d定数(圧電歪み定数)が0を超える)組成物が挙げられる。この組成物としては、種々の無鉛圧電磁器組成物がある。例えば、チタン酸バリウム、ニオブ酸アルカリ系材料、ビスマス層状構造強誘電体材料、チタン酸ビスマスナトリウム系材料、タングステンブロンズ系材料などである。なかでも、ニオブ酸アルカリを主成分とする組成物が好適である。ニオブ酸アルカリは、無鉛圧電磁器組成物のなかでも、比較的高い圧電d定数を有するからである。ニオブ酸アルカリの種類は特に限定されない。組成式中のNbの一部がTaやSbに置換されていてもよく、他のペロブスカイト構造化合物と固溶していてもよく、タングステンブロンズ系材料と複合化されていてもよく、金属元素が添加されていてもよい。ニオブ酸アルカリとしては、例えば、ニオブ酸ナトリウムカリウム、ニオブ酸リチウムナトリウムカリウムが望ましい。ニオブ酸リチウムナトリウムカリウムの好適組成としては、Li(Na1−y1−xNbO[x=0〜0.1、y=0〜1]が挙げられる。Li(Na1−y1−xNbO[x=0.04〜0.08、y=0.4〜0.6]、さらにはLi0.06(Na0.500.509.94NbOがより好適である。Li0.06(Na0.500.509.94NbOで表わされるニオブ酸アルカリは、特に高い圧電d33定数を有する。このため、当該ニオブ酸アルカリを多孔質化することで、高い電圧出力定数を得ることができる。
後で詳しく説明するが、圧電粒子としては、一つ一つの粒子がばらばらの単粒子だけでなく、複数の粒子が集合した集合体を用いることができる。分極電界比例定数は、単粒子か集合体かの違い、すなわち圧電粒子の繋がり方の違いにより変化する。このため、圧電粒子の形態に応じて比誘電率を決定すればよい。例えば、単粒子の場合には、周波数100Hzで測定された比誘電率が300以下であることが望ましい。比誘電率が200以下であるとより好適である。集合体の場合には、圧電粒子同士が繋がっていることにより、単粒子の場合よりも電圧が印加されやすい。よって集合体の場合には、集合した粒子の数や連結状態などもよるが、単粒子の場合よりも比誘電率の上限値は大きくてもよく、周波数100Hzで測定された比誘電率が600以下であることが望ましい。比誘電率が400以下であるとより好適である。
一方、圧電粒子の比誘電率が小さくなると、圧電粒子の圧電d定数も小さくなる傾向にある。圧電効果を利用したトランスデューサの場合、圧電層に荷重が加わった時に発生する起電界(V/m)は、圧電層の圧電d定数(C/N)、誘電率(F/m)、および加わった荷重(N/m)により、次式(a)で示される。
起電界=圧電d定数/誘電率×荷重 ・・・(a)
起電界が小さくなると、圧電素子の感度が低下する。このため、要求されるトランスデューサの特性を考慮して、圧電粒子の比誘電率を決定すればよい。起電界を大きくして感度を高めるためには、圧電粒子の焼結体の圧電d33定数は、100pC/N以上であることが望ましい。ここで、「圧電粒子の焼結体」は、圧電粒子の粉末を焼結補助剤などと共に焼結してなるコンポジットである。焼結補助剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどが一般的に用いられるが、圧電粒子に応じて適宜選択すればよい。圧電d33定数が100pC/N以上になる圧電粒子としては、例えば、ニオブ酸ナトリウムカリウム粒子、ニオブ酸リチウムナトリウムカリウム粒子などが挙げられる。
本発明者が検討したところ、圧電素子を高温下で保存すると、感度の経過変化がより大きくなることがわかった。高温環境下における圧電素子の感度の経時変化を小さくするという観点から、圧電粒子のキュリー温度(Tc)は300℃以上であるとよい。400℃以上であるとより好適である。
圧電粒子の粒子径は、特に限定されない。例えば、平均粒子径が異なる複数種の圧電粒子粉末を用いると、エラストマー中に大粒径の圧電粒子と小粒径の圧電粒子とを混在させることができる。この場合、大粒径の圧電粒子の間に小粒径の圧電粒子が入り込み、圧電粒子に圧力が伝わりやすくなる。これにより、圧電層の圧電d定数が大きくなり、起電圧を大きくすることができる。
圧電粒子は、単粒子でも複数の粒子が集合した集合体であってもよい。複数の圧電粒子からなる集合体を含む場合には、柔軟性と圧電性とのバランスが取りやすくなる。例えば、エラストマーに圧電粒子を多量に配合すると、圧電性は向上するが、エラストマーの体積割合が小さくなるため柔軟性は低下する。反対に、圧電粒子の含有量が少ないと、エラストマーの体積割合が大きくなるため柔軟性は向上するが、圧電性は低下する。本発明者の検討によると、圧電層の柔軟性、具体的には破断伸びが大きくなることにより、伸縮を繰り返しても起電圧の変化が小さくなる、すなわち伸縮耐久性が向上することが確認されている。このため、圧電粒子の含有量をできるだけ少なくして所望の圧電性を確保することが望ましい。
一方、分極電界比例定数の観点では、圧電粒子の含有量が多いと、圧電粒子同士の繋がりが増え、圧電粒子に電界が印加されやすくなることから、分極電界比例定数は小さくなる。一方、圧電粒子の含有量が少ないと、圧電粒子同士の繋がりが少なくなるため分極電界比例定数は大きくなる。したがって、分極電界比例定数の観点からは、圧電粒子の含有量をできるだけ多くして、分極電界比例定数を小さくすることが望ましい。
高い圧電性を得ると共に、分極電界比例定数を小さくするためには、圧電粒子同士の繋がりが重要である。図1に、圧電粒子が単粒子からなる場合の分散状態を模式的に示す。図2に、圧電粒子が集合体からなる場合の分散状態を模式的に示す。図1に示すように、圧電粒子80は、エラストマー81中に充填されている。個々の圧電粒子80は、略球状を呈している。このため通常は、圧電粒子80を多量に配合して最密充填構造に近づけることにより、圧電粒子80同士の繋がりを確保する。これに対して、図2に示すように、複数の圧電粒子80が集合した塊状の集合体82を配合すると、その形状が立体障害になり、密な充填構造にならなくても圧電粒子80同士の繋がりを構築することができる。つまり、圧電粒子80の体積割合が小さくても所望の圧電性を確保することができる。これにより、圧電性、柔軟性、伸縮耐久性の全てを満足しやすくなる。加えて、分極電界比例定数を小さくすることができ、感度の経時変化が小さくなる。
また、圧電粒子が単粒子からなる場合には、個々の圧電粒子80の間に比誘電率の小さいエラストマー81が介在する。このため、分極処理の際に電界の損失が大きくなる。一方、圧電粒子が集合体からなる場合には、圧電粒子80同士が繋がっているため、圧電粒子80に効率的に電圧を印加することができる。したがって、分極電界比例定数、ひいては抗電界の小さい圧電素子を実現しやすくなる。
例えば、トランスデューサを、エラストマーおよび圧電粒子を含む圧電層と、エラストマーおよび導電材を含む電極層と、を有する圧電素子を備え、該圧電粒子は、複数の圧電粒子が集合した集合体を含む構成にするとよい。当該構成によると、柔軟で感度が高く、感度が経時変化しにくいトランスデューサを実現しやすい。圧電層に含まれている圧電粒子が単粒子か集合体かを特定するには、圧電層を加熱してエラストマー成分を取り除き、取り出した粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)などで観察して、その大きさおよび形状から判断すればよい。
複数の圧電粒子が集合した集合体としては、個々の粒子が静電力などにより凝集した凝集体、個々の粒子が化学結合した結合体などが挙げられる。個々の粒子が分離しにくく圧電粒子の連結構造を構築しやすいという観点から、後者の結合体が好適である。結合体の製造方法は特に限定されないが、例えば、単粒子からなる粉末を焼成した後、粉砕して製造することができる。凝集体と結合体との違いは、次のようにして分析することができる。まず、圧電層を加熱してエラストマー成分を取り除く。次に、残った圧電粒子を良溶媒に分散させて、超音波処理する。その結果、個々の粒子に分離したら凝集体、分離しなければ結合体と判断する。ここで、良溶媒とは、圧電粒子を分散させた場合に沈降しにくい極性溶媒をいう。具体的には、SP値(溶解度パラメータ)が8以上13以下であり、かつエラストマーを溶解できる溶剤であればよい。例えば、2−メトキシエタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、メチルエチルケトン、アセチルアセトンなどケトン系溶剤、ブタナールなどのアルデヒド系溶剤などが挙げられる。
複数の圧電粒子が集合した集合体は、個々の圧電粒子の平均粒子径の2倍より大きい直径を有する粒子として定義することができる。ここで、集合体の直径(d2)としては、レーザー回折・散乱式の粒子径分布測定装置において測定したメディアン径を採用する。個々の圧電粒子の平均粒子径(d1)としては、集合体のSEM写真を撮影し、偏りがないよう任意に選出された100個以上の単粒子の最大径の平均値を採用する。そして、2d1<d2を満たすものが集合体である。
圧電粒子を表面処理するなどして、エラストマーと圧電粒子とを化学結合させてもよい。圧電粒子を表面処理する方法としては、エラストマーポリマーと反応可能な官能基を有する表面処理剤を圧電粒子に予め反応させておき、当該圧電粒子をエラストマーポリマーと混合する方法や、圧電粒子の表面を酸、アルカリまたは亜臨界水で溶解して水酸基を生成させた後、水酸基と反応可能な官能基を有するエラストマーポリマーと混合する方法などが挙げられる。圧電粒子がエラストマーに化学結合していると、伸縮を繰り返しても圧電粒子が位置ずれしにくい。また、エラストマーから圧電粒子が剥離しにくいため、物性や出力の初期値からの変動が少なくなる。このため、出力が安定すると共に、圧電層の耐クリープ性が向上する。また、圧電層の破断伸びが大きくなるため、伸長時に局所破壊などによる圧電性能の低下を抑制することができる。その結果、伸長した状態においても高い圧電性能を維持することができる。
圧電粒子の含有量は、圧電層、ひいては圧電素子の柔軟性と圧電性能とを考量して決定すればよい。圧電粒子の含有量が多くなると、圧電素子の圧電性能は向上するが柔軟性は低下する。したがって、使用するエラストマーと圧電粒子との組み合わせにおいて、所望の柔軟性を実現できるよう、圧電粒子の含有量を調整することが望ましい。例えば、圧電粒子の含有量は、圧電層全体を100体積%とした場合の55体積%以下、さらには50体積%以下であることが望ましい。
圧電層は、次のようにして製造することができる。まず、エラストマーポリマーに圧電粒子の粉末や架橋剤などを加えた組成物を、所定の条件下で硬化させる。次に、得られた硬化物に電圧を印加して、圧電粒子の双極子の方向を所定の方向に揃える。組成物は、予めエラストマーポリマーを溶剤に溶解したポリマー溶液に、圧電粒子の粉末などを加えて混練するなどして製造するとよい。使用する溶剤は、エラストマーを溶解しやすい良溶媒であることが望ましい。例えば、メチルエチルケトンやアセチルアセトンなどのケトン系溶剤、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、ブタナールなどのアルデヒド系溶剤などが挙げられる。
本発明者が検討したところ、薄膜状の圧電素子においては、圧電層の引張方向に垂直な断面積が小さい方が、加えられた荷重に対する感度が高くなることが確認された。よって、圧電層は薄い方が望ましい。例えば、圧電層の厚さは200μm以下、さらには100μm以下が望ましい。一方、薄過ぎると分極処理時に絶縁破壊しやすくなる。このため、圧電層の厚さは、10μm以上、さらには20μm以上が望ましい。
<電極層>
電極層を構成するエラストマーとしては、圧電層のエラストマーと同様に、架橋ゴムおよび熱可塑性エラストマーから選ばれる一種以上を用いればよい。弾性率が比較的小さく柔軟であり、圧電層に対する粘着性が良好なエラストマーとして、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ウレアゴム、フッ素ゴム、H−NBRなどが挙げられる。
導電材の種類は、特に限定されない。例えば、銀、金、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム、クロム、チタン、白金、鉄、およびこれらの合金などからなる金属粒子、酸化亜鉛、酸化チタンなどからなる金属酸化物粒子、チタンカーボネートなどからなる金属炭化物粒子、銀、金、銅、白金、およびニッケルなどからなる金属ナノワイヤ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、およびグラフェンなどの導電性炭素材料の中から、適宜選択すればよい。例えば、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラファイトを剥離して得られるグラフェンやその積層体を用いると、伸長時においても高い導電性を保つことができる。また、銀被覆銅粒子など、金属で被覆された粒子を用いてもよい。導電材としては、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。なお、電極層は、その他の成分として、架橋剤、分散剤、補強材、可塑剤、老化防止剤、着色剤などを含んでいてもよい。
電極層は、エラストマーおよび導電材を含んでいればよい。すなわち、エラストマー中に導電材が分散されている態様の他、導電材からなる層とエラストマーからなる層とが積層されている態様でもよい。後者の態様においては、エラストマーの一部が導電材層に含浸していてもよい。
電極層の電気抵抗が大きいと、圧電層で発生した起電圧が電極層で降下してしまい、出力される電圧が小さくなる。すなわち、トランスデューサの感度が低下する。また、伸長により電気抵抗が大きく上昇する電極層を用いると、自然状態(荷重が加わっておらず変形していない状態)における出力と伸長状態における出力とが大きく異なり、荷重を正確に検出できないという問題が生じる。したがって、伸縮可能で伸長しても圧電性を維持できる柔軟な圧電層と、伸縮可能で伸長しても導電性を維持できる柔軟な電極層とを組み合わせることにより、伸長された状態でも使用可能な圧電素子を実現することができる。例えば、電極層の体積抵抗率は、自然状態およびそれから一軸方向に10%伸長した状態に至るまでの伸長状態のいずれにおいても100Ω・cm以下であることが望ましい。10Ω・cm以下であるとより好適である。例えば、電極の体積抵抗率を自然状態と一軸方向に10%伸長した状態との両方において測定し、いずれの体積抵抗率も100Ω・cm以下であれば、「自然状態およびそれから一軸方向に10%伸長した状態に至るまでの伸長状態の体積抵抗率が100Ω・cm以下」とみなすことができる。
導電材の含有量は、電極層が所望の体積抵抗率を実現できるよう、適宜決定すればよい。導電材の含有量が多くなると、電極層の体積抵抗率を小さくすることができるが柔軟性は低下する。例えば、導電材としてケッチェンブラック(登録商標)を使用した場合、エラストマー100質量部に対して、導電材の含有量を5質量部以上50質量部以下にすることが望ましい。
<圧電素子>
圧電素子は、圧電層と電極層とが積層されてなる。例えば、一対の電極層を、圧電層中の圧電粒子の分極方向に離間して配置すればよい。圧電粒子が圧電層の厚さ方向に分極している場合には、一対の電極層を、圧電層の厚さ方向の二面に一つずつ配置すればよい。圧電粒子が圧電層の厚さ方向に交差する方向に分極している場合には、一対の電極層を、当該交差方向の二面に一つずつ配置すればよい。電極層は、圧電層の表面全体に形成してもよく、一部のみに形成してもよい。
圧電素子の破断伸びは、10%以上である。30%以上であるとより好適である。本明細書において、破断伸びは、JIS K6251:2010に規定される引張試験により測定される切断時伸びの値である。引張試験は、ダンベル状5号形の試験片を用い、引張速度を100mm/minとして行うものとする。
圧電素子の弾性率は、10MPa以上500MPa以下であることが望ましい。300MPa以下であるとより好適である。本明細書において、弾性率は、JIS K7127:1999に規定される引張試験により得られる応力−伸び曲線から算出した値である。引張試験は、試験片タイプ2の試験片を用い、引張速度を100mm/minとして行うものとする。
圧電素子は、圧電層、電極層に加えて保護層を有してもよい。保護層は、圧電層および電極層のうち、少なくとも電極層に積層されるように配置すればよい。例えば、圧電層と電極層との積層体の積層方向外側の一方または両方に、保護層を配置すればよい。また、一対の電極層間に圧電層が介装されたユニットを複数積層する場合には、積層方向に隣接する電極層間に保護層を配置してもよい。
保護層は、圧電層および電極層と共に伸縮可能であることが望ましい。保護層にも、架橋ゴムおよび熱可塑性エラストマーから選ばれる一種以上を用いることが望ましい。エラストマー製の保護層を配置することにより、圧電素子の絶縁性を確保し、外部からの機械的応力による圧電素子の破壊を抑制することができる。
弾性率が比較的小さく柔軟であり、電極層に対する粘着性が良好なエラストマーとして、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ウレアゴム、フッ素ゴム、NBRなどが挙げられる。繰り返し使用した場合に圧電素子の感度の変化を小さくするためには、保護層は耐へたり性に優れることが望ましい。また、保護層は、外部の機械的応力から圧電素子を保護する役割を果たすため、摩耗耐久性や引き裂き耐久性に優れることが望ましい。また、伸長時に保護層が破断して圧電素子が破壊することを防ぐため、保護層の破断伸びは圧電層の破断伸びよりも大きいことが望ましい。
<トランスデューサ>
本発明のトランスデューサの一実施形態を図面を用いて説明する。図3に、本実施形態のトランスデューサの上面図を示す。図4に、図3のIV−IV断面図を示す。図3においては、保護層13aを透過して示す。図3、図4に示すように、トランスデューサ1は、圧電素子10と、制御回路部30と、を備えている。圧電素子10は、圧電層11と、一対の電極層12a、12bと、一対の保護層13a、13bと、を備えている。圧電素子10の破断伸びは50%であり、分極電界比例定数は19V/μmである。
圧電層11は、エラストマーとしてのX−NBR(比誘電率14)と、圧電粒子としてのチタン酸バリウム粒子の結合体(比誘電率350)と、を含んでいる。圧電層11は、正方形の薄膜状を呈している。圧電層11には分極処理が施されており、チタン酸バリウム粒子の結合体は、圧電層11の厚さ方向(上下方向)に分極している。電極層12aは、アクリルゴム、導電性カーボンブラック、およびカーボンナノチューブを含んでいる。電極層12aは、正方形の薄膜状を呈している。電極層12aは、圧電層11の上面に配置されている。電極層12aの右端には、配線20aが接続されている。電極層12bは、電極層12aと同じ材料からなり、正方形の薄膜状を呈している。電極層12bは、圧電層11の下面に配置されている。電極層12bの右端には、配線20bが接続されている。上方から見て、圧電層11および電極層12a、12bの大きさは同じである。電極層12a、12bの自然状態の体積抵抗率は0.2Ω・cm、左右方向(一軸方向)に10%伸長した状態の体積抵抗率は0.1Ω・cmである。保護層13aは、シリコーンゴム製であって、正方形の薄膜状を呈している。保護層13aは、圧電層11および電極層12a、12bよりも大きく、上方から圧電層11および電極層12a、12bを被覆している。保護層13bは、シリコーンゴム製であって、正方形の薄膜状を呈している。保護層13bは、圧電層11および電極層12a、12bよりも大きく、電極層12bの下面を被覆している。電極層12aと制御回路部30とは、配線20aにより電気的に接続されている。電極層12bと制御回路部30とは、配線20bにより電気的に接続されている。圧電素子10に荷重が加わると、圧電層11に電荷が発生する。発生した電荷は、制御回路部30にて電圧や電流の変化として検出される。これにより、加えられた荷重が検出される。
本実施形態において、圧電素子10を構成する圧電層11および電極層12a、12bのマトリックスは、いずれもエラストマーである。また、保護層13a、13bもエラストマー製である。そして、圧電素子10の破断伸びは10%以上である。したがって、圧電素子10は、柔軟で伸縮可能である。このため、圧電素子10を伸びたり曲がったりする被着体に配置しても、被着体の動きを阻害しにくい。また、被着体が複雑な形状を有する場合にも、その形状に沿うように圧電素子10を配置することができる。
圧電素子10の分極電界比例定数は20V/μm以下である。したがって、分極処理に必要な印加電圧を低くすることができる。これにより、圧電素子10の絶縁破壊を抑制することができる。また、分極処理を充分に行うことができるため、圧電素子10の感度の経時変化も小さくすることができる。
電極層12a、12bは、自然状態およびそれから一軸方向に10%伸長した状態に至るまでの伸長状態の体積抵抗率が100Ω・cm以下である。すなわち、電極層12a、12bは、自然状態において高い導電性を有するだけでなく、一軸方向に最大10%まで伸長した伸長状態においても電気抵抗の増加が小さく、高い導電性を有する。このため、伸長された状態においても、出力が低下しにくく、圧電層11に加わった荷重を正確に検出することができる。
このように、トランスデューサ1をセンサとして用いた場合には、曲げ、伸び、圧縮などの変形を伴う被着体に配置して、被着体が変形していない状態においては勿論、変形時においても被着体に加わる荷重を検出することができる。すなわち、被着体の一次変形状態においてさらに二次変形した場合にも、被着体に加わった荷重を検出することができる。
トランスデューサ1は、静電容量型センサと比較してS/N比(Signal−Noise Ratio:信号雑音比)が高いため、小さな荷重を検出しやすい。また、荷重を電圧値や電流値で検出できるため、静電容量から荷重を検出する場合と比較して、回路構成を簡素化することができる。また、圧電素子10への通電が不要であるため、駆動のための電源も必要ない。ちなみに、圧電素子10の静電容量についても測定すれば、トランスデューサ1に静電容量型センサとしての機能を付加することができる。例えば、静電容量の変化により面圧分布などの静荷重を検出し、電圧の変化により振動などの動荷重を検出することができる。
また、トランスデューサ1をアクチュエータとして用いた場合には、曲げ、伸び、圧縮などの変形を伴う被着体に配置して、被着体が変形していない状態においては勿論、変形時においても、駆動対象物を動作させることができる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<圧電層の製造>
[実施例1]
まず、エラストマーとしてのカルボキシル基変性水素化ニトリルゴムポリマー(ランクセス社製「テルバン(登録商標)XT8889」)100質量部をアセチルアセトンに溶解して、ポリマー溶液を調製した。次に、調製したポリマー溶液に、圧電粒子としてのチタン酸バリウム粒子の結合体の粉末512質量部を加えて混練した。続いて、混練物を三本ロールに五回繰り返し通して、スラリーを得た。そして、得られたスラリーに、架橋剤のテトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン5質量部を加えてエア攪拌機で混練した後、スラリーをバーコート法により基材上に塗布した。これを150℃で1時間加熱して、厚さ50μmの圧電層を製造した。使用したチタン酸バリウム粒子の結合体の粉末は、チタン酸バリウムの単粒子の粉末(日本化学工業(株)製「BT−4M」)を1050℃で180分間焼成した後、ボールミルで解砕して製造した。チタン酸バリウム粒子の結合体は、本発明における「複数の圧電粒子が集合した集合体」の概念に含まれる。
[実施例2、3]
圧電粒子としてニオブ酸カリウムの単粒子の粉末(日本化学工業(株)製「KNbO」)を用い、それを実施例2においては490質量部、実施例3においては304質量部配合した点以外は、実施例1と同様にして圧電層を製造した。
[実施例4]
圧電粒子としてニオブ酸カリウム粒子の結合体の粉末を用い、それを304質量部配合した点以外は、実施例1と同様にして圧電層を製造した。使用したニオブ酸カリウム粒子の結合体の粉末は、ニオブ酸カリウムの単粒子の粉末(同上)を950℃で180分間焼成した後、ボールミルで粉砕して製造した。ニオブ酸カリウム粒子の結合体は、本発明における「複数の圧電粒子が集合した集合体」の概念に含まれる。
図5に、使用したニオブ酸カリウムの単粒子の粉末のSEM写真を示す。図6に、使用したニオブ酸カリウム粒子の結合体の粉末のSEM写真を示す。図5と図6とを比較すると、ニオブ酸カリウムの単粒子の粉末を焼成および粉砕することにより、複数のニオブ酸カリウム粒子が集合してなる結合体が生成されていることが確認できる。
[実施例5]
圧電粒子としてニオブ酸リチウムナトリウムカリウムの単粒子の粉末を用い、それを304質量部配合した点以外は、実施例1と同様にして圧電層を製造した。使用したニオブ酸リチウムナトリウムカリウムの単粒子の粉末は、次のようにして製造した。
(1)第一混合工程
原料として、KCO、NaCO、Nb、LiCOの粉末を用いた。これらの粉末を、目的とする焼結体(Li0.060.47Na0.47Nb1.0)Oの組成に基づいて秤量した後、無水アセトン中で16時間湿式混合した。得られた混合粉末を、エバポレーションし、さらにオーブンで乾燥して、アセトンを揮発させた。
(2)仮焼成工程
アセトンを揮発させた後の混合粉末を、アルミナるつぼの中に入れ、そのるつぼを一回り大きなるつぼの中に入れた。内側のるつぼは、混合粉末を覆うように伏せた状態で配置した。この二重るつぼを電気炉の中に入れ、910℃で10時間仮焼成を行った。
(3)第二混合工程
得られた仮焼成物を、乳鉢で粉砕して粉末にした。この粉末を無水アセトン中で16時間湿式混合した。得られた混合粉末を、エバポレーションし、さらにオーブンで乾燥して、アセトンを揮発させた。
(4)本焼成工程
アセトンを揮発させた後の混合粉末を、(2)と同様に二重るつぼの中に入れ、150℃で1時間、550℃で3時間、1082℃で0.5時間焼成を行った。
(5)粉砕工程
得られた焼成物を、ボールミルで単粒子に粉砕して、ニオブ酸リチウムナトリウムカリウムの単粒子の粉末を得た。
[実施例6]
圧電粒子としてニオブ酸ナトリウムカリウムの単粒子の粉末を用い、それを304質量部配合した点以外は、実施例1と同様にして圧電層を製造した。使用したニオブ酸ナトリウムカリウムの単粒子の粉末は、次のようにして製造した。
(1)第一混合工程
原料として、KCO、NaCO、Nbの粉末を用いた。これらの粉末を、目的とする焼結体(K0.5Na0.5Nb1.0)Oの組成に基づいて秤量した後、無水アセトン中で16時間湿式混合した。得られた混合粉末を、エバポレーションし、さらにオーブンで乾燥して、アセトンを揮発させた。
(2)仮焼成工程
アセトンを揮発させた後の混合粉末を、アルミナるつぼの中に入れ、そのるつぼを一回り大きなるつぼの中に入れた。内側のるつぼは、混合粉末を覆うように伏せた状態で配置した。この二重るつぼを電気炉の中に入れ、910℃で10時間仮焼成を行った。
(3)第二混合工程
得られた仮焼成物を、乳鉢で粉砕して粉末にした後、(K0.5Na0.5Mn0.0025Nb1.0)Oの組成に基づいてMnOの粉末を加えた。この粉末を無水アセトン中で16時間湿式混合した。得られた混合粉末を、エバポレーションし、さらにオーブンで乾燥して、アセトンを揮発させた。
(4)本焼成工程
アセトンを揮発させた後の混合粉末を、(2)と同様に二重るつぼの中に入れ、150℃で1時間、550℃で3時間、1098℃で2時間焼成を行った。
(5)粉砕工程
得られた焼成物を、ボールミルで単粒子に粉砕して、ニオブ酸ナトリウムカリウムの単粒子の粉末を得た。
[実施例7]
まず、エラストマーとしてのウレタンゴムポリマー(東ソー(株)製「N5196」)を、アセチルアセトンに溶解して、固形分濃度が12質量%のポリマー溶液を調製した。次に、調製したポリマー溶液に、ポリマー分100質量部に対して、架橋剤のポリイソシアネート(同社製「コロネート(登録商標)L」)1質量部、および圧電粒子としてのニオブ酸カリウムの単粒子の粉末(同上)304質量部を加えて混練した。続いて、混練物を三本ロールに五回繰り返し通して、スラリーを得た。そして、得られたスラリーをバーコート法により基材上に塗布した。これを150℃で1時間加熱して、厚さ50μmの圧電層を製造した。
[比較例1−3]
圧電粒子としてチタン酸バリウムの単粒子の粉末(日本化学工業(株)製「BT−4M」)を用い、それを比較例1においては650質量部、比較例2においては512質量部、比較例3においては402質量部配合した点以外は、実施例1と同様にして圧電層を製造した。
[比較例4]
圧電粒子としてチタン酸ジルコン酸鉛の単粒子の粉末(林化学工業(株)製「PZT−AS」)を用い、それを825質量部配合した点以外は、実施例1と同様にして圧電層を製造した。
[比較例5]
まず、エラストマーとしてのシリコーンゴムポリマー(信越化学工業(株)製「KE−1935」)のA液とB液とを同じ質量で混合した混合液100質量部に、ニオブ酸カリウムの単粒子の粉末(同上)を450質量部加えて混練した。次に、混練物を三本ロールに五回繰り返し通して、スラリーを得た。そして、得られたスラリーをバーコート法により基材上に塗布した。これを150℃で1時間加熱して、厚さ50μmの圧電層を製造した。
[比較例6]
圧電粒子としてニオブ酸カリウムの単粒子の粉末(同上)を用い、それを790質量部配合した点以外は、実施例1と同様にして圧電層を製造した。
[比較例7]
クレハエラストマー(株)製の商品「PVDF」(厚さ40μm)を圧電層とした。
<電極層の製造>
まず、エラストマーとしてのエポキシ基含有アクリルゴムポリマー(日本ゼオン(株)製「Nipol(登録商標)AR42W」)100質量部を、ブチルセロソルブアセテートに溶解して、ポリマー溶液を調製した。次に、調製したポリマー溶液に、導電性カーボンブラック(ライオン(株)製「ケッチェンブラックEC600JD」)10質量部と、カーボンナノチューブ(昭和電工(株)製「VGCF(登録商標)」)16質量部と、分散剤としてのポリエステル酸アマイドアミン塩12質量部と、を添加して、ビーズミルにて分散させて導電塗料を調製した。続いて、導電塗料を離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルム上にバーコート法により塗布した。これを150℃で1時間加熱して、厚さ20μmの電極層を製造した。
得られた電極層の自然状態の体積抵抗率は0.2Ω・cm、10%伸長時の体積抵抗率は0.1Ω・cmであった。電極層の自然状態および10%伸長時の体積抵抗率は、次のようにして測定した。
(1)自然状態の体積抵抗率
厚さ20μmの電極層を幅10mm、長さ40mmの短冊状に切り出して試験片とし、長さ方向に20mm離間する位置に標線を付けた。標線位置に銅箔製の端子を取り付けて、標線間の電気抵抗を測定した。測定された電気抵抗値と試験片の寸法とに基づいて、次式(b)により体積抵抗率を算出し、電極層の自然状態の体積抵抗率とした。
体積抵抗率(Ω・cm)=電気抵抗値(Ω)×試験片の断面積(cm)/標線間距離(cm) ・・・(b)
(2)10%伸長状態の体積抵抗率
引張試験機((株)島津製作所製)を用いて、電極層の試験片を長さ方向に伸長した。試験片を10%伸長させた状態で、標線間の電気抵抗を測定し、先の式(b)により体積抵抗率を算出し、電極層の10%伸長時の体積抵抗率とした。伸長状態における試験片の断面積は、試験片のポアソン比を0.5と仮定して算出した。
<保護層の製造>
シリコーンゴムポリマー(信越化学工業(株)製「KE1935」)のA液とB液とを同じ質量で混合し、真空脱泡して気泡を抜いた後、離型処理されたPETフィルム上にバーコート法により塗布した。これを150℃で1時間加熱して、厚さ10μmの保護層を製造した。
<圧電素子の製造>
製造した圧電層、電極層、保護層を適宜組み合わせて、次のようにして種々の圧電素子を製造した。まず、圧電層の厚さ方向の二面(上面および下面)に各々電極層を配置して、ラミネーター(フジプラ(株)製「LPD3223」)を用いて圧電層と電極層とを圧着した。次に、予めエキシマ処理を施した保護層を上下各々の電極層に積層して、ラミネーター(同上)を用いて保護層と電極層とを圧着した。エキシマ処理には、浜松ホトニクス(株)製エキシマランプ光源「FLAT EXCIMER」を使用した。得られた保護層/電極層/圧電層/電極層/保護層からなる積層体の電極層に直流電源を接続し、圧電層に10V/μmの電界を1時間印加して、分極処理を行った。なお、比較例7の圧電層(PVDF)には予め分極処理が施されている。このため、比較例7については、積層体を製造した後の分極処理は行わなかった。図7に、製造された圧電素子の上下方向断面図を示す。図7に示すように、圧電素子40は、上から順に保護層43a、電極層42a、圧電層41、電極層42b、保護層43bが積層されてなる。製造された圧電素子は、長さ50mm、幅20mmの長方形板状を呈しており、長さ30mm、幅20mmの感圧部を有している。
<圧電素子の評価>
表1および表2に、製造した圧電層の構成、分極電界比例定数、および圧電素子の評価結果を示す。表1および表2中、原料(エラストマーおよび圧電粒子)の配合量の単位は質量部である。また、比誘電率、キュリー温度(Tc)、圧電d33定数、分極電界比例定数、感度、感度変化率、破断伸び、弾性率の測定方法は、以下の通りである。
[エラストマーの比誘電率]
圧電粒子を配合せずに、ポリマーのみから製造した成形体を、サンプルホルダー(ソーラトロン社製、12962A型)に設置し、誘電率測定インターフェイス(同社製、1296型)および周波数応答アナライザー(同社製、1255B型)を併用して、比誘電率を測定した(周波数100Hz)。この際、測定温度を20℃以上30℃以下に制御した。
[圧電粒子の比誘電率]
測定により比誘電率が既知となったエラストマーのポリマーに、圧電粒子の粉末(単粒子または結合体)を配合して複合体を製造し、エラストマーの比誘電率を測定したのと同じ方法で比誘電率を測定した。そして、lichtenecker対数混合則による次式(c)により、配合した圧電粒子の比誘電率を算出した。
Logε=VLogε+VLogε ・・・(c)
[ε:複合体の比誘電率、V:圧電粒子の体積比率(%)、ε:圧電粒子の比誘電率、V:エラストマーの体積比率(%)、ε:エラストマーの比誘電率。]
[圧電粒子のキュリー温度]
圧電粒子の粉末を熱重量−示差熱測定装置(TG−DTA)にて測定し、吸熱、発熱ピークよりキュリー温度を求めた。昇温速度は5℃/分とし、空気中で測定した。
[圧電粒子の焼結体の圧電d33定数]
まず、圧電粒子にポリビニルブチラールを加えて焼結し、円板状の試料を製造した。次に、試料を圧縮圧力1Nでd33メーター(model ZJ−4B PIEZO d33 METER)に挟み、10秒後の値を縦振動モードの圧電d33定数として測定した。d33メーターは、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する正圧電効果を利用しており、試料下部に110Hzの振動を加え、試料表面に誘起される電荷から圧電d33定数を算出する測定装置である。
[圧電素子の分極電界比例定数]
上述した通り、圧電素子をシリコーンオイル中に浸漬した状態で、強誘電体評価システムに設置し、1秒間で±30V/μmの電界を掃引してP−E曲線を描いた。そして、P−E曲線における正電界側のX軸との交点の電界強度を、分極電界比例定数とした。
[圧電素子の感度および感度変化率]
(1)伸長前(自然状態)の感度
圧電素子を疲労耐久試験機((株)島津製作所製「MMT−101N」)に設置して、長さ方向に引張荷重0.5N、1N、1.5N、2Nのsin波(周波数1Hz)を順に加えた。その時の発生電荷量を、チャージアンプ(ブリュエル・ケアー社製「NEXUS Charge Amplifier type2692」)とオシロスコープ(横河電機(株)「DLM2022」)とを用いて測定した。そして、各々の引張荷重ごとに測定された発生電荷量を加えた応力で除し、その平均値を算出して、圧電素子の自然状態の感度とした。
(2)10%伸長時の感度
圧電素子を長さ方向に10%伸長した状態で、疲労耐久試験機(同上)に設置して、(1)と同様に引張荷重を加えた時の発生電荷量を測定した。そして、各々の引張荷重ごとに測定された発生電荷量を加えた応力で除し、その平均値を算出して、圧電素子の10%伸長時の感度とした。また、次式(d)により、伸長時の感度維持率を算出した。
伸長時の感度維持率(%)=(10%伸長時の感度/自然状態の感度)×100 ・・・(d)
(3)感度の経時変化率
圧電素子を温度24℃、湿度40%の環境下に1000時間静置した(室温保管)。これとは別に、圧電素子を温度80℃に設定したオーブン(ESPEC社製「SH241」)内に1000時間静置した(高温保管)。その後、各々の圧電素子の感度を、上述した自然状態の感度の測定方法により算出した。そして、次式(e)により、感度の経時変化率を算出した。
感度の経時変化率(%)={(初期の感度−静置後の感度)/初期の感度}×100 ・・・(e)
[破断伸び]
圧電素子についてJIS K 6251:2010に規定される引張試験を行い、切断時伸びを算出した。引張試験は、ダンベル状5号形の試験片を用い、引張速度を100mm/minとして行った。
[弾性率]
圧電素子についてJIS K 7127:1999に規定される引張試験を行い、得られた応力−伸び曲線から弾性率を算出した。引張試験は、試験片タイプ2の試験片を用い、引張速度を100mm/minとして行った。
表1に示すように、実施例1〜7の圧電素子においては、破断伸びは95%以上であり、弾性率は135MPa以下であった。これにより、実施例1〜7の圧電素子は、柔軟で伸縮可能であり、被着体に対する追従性が良好であることが確認された。また、自然状態だけでなく伸長時においても感度が高いことが確認された。
実施例1〜7の圧電素子の分極電界比例定数は、19V/μm以下であった。このため、10V/μmという比較的低い電界でも充分に分極処理を行うことができた。したがって、室温下および高温下のいずれにおいても感度の経時変化が小さくなった。なお、実施例1においては、他の実施例と比較して高温下における感度の経時変化が大きくなった。これは、配合した圧電粒子のTcが低かったことが原因と考えられる。
これに対して、表2に示すように、比較例1〜5の圧電素子の分極電界比例定数は、25V/μm以上であり、室温保管後の感度変化が大きくなった。これは、分極処理が充分できていないことが原因と考えられる。本実施例においては、分極電界比例定数の測定を±30V/μmの電界を印加して行ったため、30V/μmを超える分極電界比例定数を測定することができなかった。したがって、表2中、分極電界比例定数が30V/μmを超えるものついては、「>30」と示されている。
比較例1〜3と実施例1とを比較すると、前者は単粒子を使用したのに対し、後者は結合体を使用した。その結果、比較例1〜3については、伸長に関係なく感度が低く、感度維持率も小さくなった。また、感度の経時変化も大きくなった。単粒子の場合、粒子同士の繋がりが生じにくい。このため、比較例1〜3における配合量では充分に圧電性が得られなかったと考えられる。また、粒子同士が繋がりにくいため、分極処理の際に電界の損失が大きくなり、分極電界比例定数が大きくなったと考えられる。このため、充分に分極できず、感度の低下と経時変化とを招いたと考えられる。一方、実施例1、4のように結合体を使用すると、圧電粒子同士の連結構造により、圧電粒子の配合量を増加させなくても高い圧電性が得られ、分極電界比例定数を小さくすることができると考えられる。これにより、柔軟で高感度のトランスデューサを実現することができる。
比較例5と実施例2、3、7とを比較すると、前者は比誘電率が2のエラストマーを使用したのに対し、後者は比誘電率が7または14のエラストマーを使用した。その結果、実施例2、3、7においては、分極電界比例定数が20V/μm以下になった。また、比較例6と実施例2、3、7とを比較すると、圧電粒子の含有量が多い比較例6においては、分極電界比例定数は小さいが、破断伸びが小さくなり伸長できなかった。
比較例7の圧電素子は、柔軟性の点で大きく劣っている。比較例7の圧電素子においては、分極電界比例定数が大きいにも関わらず、感度の経時変化は小さい。これは、比較例7の圧電層の分極処理は延伸した状態で行われており、他の圧電素子とは分極機構が異なるためである。
本発明のトランスデューサは、伸びたり曲がったりする(伸縮や屈曲が繰り返される)被着体に適用することができるため、生体の自然な動きを妨げずに脈拍数や呼吸数などを計測するウエアラブルな生体情報センサなどとして好適である。また、未伸長状態に限らず伸ばした状態でも使用できる(計測可能である)ため、人やロボットにおいて伸縮が必要な関節部や、製造工程でセンサ設置面が伸びて戻る工程においても使用することができる。また、ロボット(産業用、コミュニケーション用を含む)、医療用、介護用、健康用、スポーツ機器、自動車などの圧力センサとして好適である。また、アクチュエータとして用いた場合には、生体の自然な動きを妨げずに振動させて、情報を伝えることができる。
本発明のトランスデューサは、特に人と触れ合うヒューマン−マシン−インターフェイス(HMI)としての応用に適している。例えば、マットレス、車椅子のシートなどに配置すれば、脈拍や位置、動きの情報を取得できる。また、スポーツ用品、例えばスポーツウエアなどの体に触れる(靴、グローブなどのウェアラブルな)用具や、ボール、バット、ラケット、各種防具、ウエイトトレーニング、走行機器などのスポーツ用具に配置して、当たった位置、その強さ、重さ(加速度)などを測定することにより、打感を損なわずにトレーニングの効果などを数値化することができる。勿論、スポーツ、医療に限らず、日常的な用品(衣服、帽子、眼鏡、靴、ベルト、マスク、ペンダントなど)に対しても同様に適用することができる。数値化したデータ、情報は、IOT(Internet of Things)機器に送って制御手段とすることができる。
1:トランスデューサ、10:圧電素子、11:圧電層、12a、12b:電極層、13a、13b:保護層、20a、20b:配線、30:制御回路部。
40:圧電素子、41:圧電層、42a、42b:電極層、43a、43b:保護層。
80:圧電粒子、81:エラストマー、82:圧電粒子の集合体。

Claims (9)

  1. エラストマーおよび圧電粒子を含む圧電層と、エラストマーおよび導電材を含む電極層と、を有する圧電素子を備え、
    該圧電素子の破断伸びは10%以上であり、
    該圧電素子の分極電界比例定数は20V/μm以下であることを特徴とするトランスデューサ。
  2. 前記エラストマーの20℃以上30℃以下における比誘電率は7以上である請求項1に記載のトランスデューサ。
  3. 前記圧電粒子の焼結体の圧電d33定数は100pC/N以上である請求項1または請求項2に記載のトランスデューサ。
  4. 前記圧電粒子は単粒子であり、該単粒子はニオブ酸ナトリウムカリウム粒子およびニオブ酸リチウムナトリウムカリウム粒子の少なくとも一方を含む請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のトランスデューサ。
  5. 前記圧電粒子は、複数の圧電粒子が集合した集合体を含む請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のトランスデューサ。
  6. 前記圧電粒子は、複数の圧電粒子が集合した集合体を含み、
    該集合体を構成する圧電粒子は、チタン酸バリウム粒子、ニオブ酸カリウム粒子、ニオブ酸ナトリウムカリウム粒子、およびニオブ酸リチウムナトリウムカリウム粒子から選ばれる一種以上である請求項1または請求項2に記載のトランスデューサ。
  7. 前記圧電粒子のキュリー温度は300℃以上である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のトランスデューサ。
  8. 前記圧電素子は、前記圧電層および前記電極層のうち少なくとも該電極層に積層される保護層を有する請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のトランスデューサ。
  9. 圧電センサとして用いられる請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のトランスデューサ。
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