JP2018054818A - 偏光子、光照射装置、視線追跡装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このようなゴーグル型表示装置においても、視線検出を行いたいという要求が高まっている。
例えば、特許文献1には、視線追跡が可能なヘッドマウントディスプレイ装置が開示されている。この特許文献1の装置では、レンズの周辺に4つの赤外LED光源を配置して、眼球へ光を照射している。
そこで、特許文献2には、眼鏡の反射を偏光板により除去する視線検出装置が開示されている。
しかし、特許文献1及び特許文献2を組み合わせようとしても、偏光子の配置を簡単に行うことができなかった。すなわち、偏光子は、偏光方向を正しく配置する必要があるものであるが、特許文献1のよう4つの光源のそれぞれに偏光子を個別に配置すると、各偏光子の向きを正確に合せて配置することが難しかった。
図1は、本発明による偏光子及び光照射装置50を用いた視線追跡装置100の第1実施形態を示す図である。
図2は、光照射装置50を利用者側から見た図である。
図3は、図2中の矢印A−Aの位置で光照射装置50を切断した断面図である。
なお、図1から図3を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
また、保持部30は、中心孔30aの他に、LED光源42の位置に対応した貫通孔30bを2箇所有している。
さらに、壁部30cの利用者の目E側の端面には、保持部指標30dが設けられている。この保持部指標30dは、印刷等により形成されていてもよいし、壁部30cの端面を一部窪ませたり突出させたりして構成してもよい。
基板401は、略円環形状に構成されているプリント配線板である。基板401は、レンズ枠43に固定されている。基板401の円環のある直径上には、円環の中心孔41aを挟んでLED光源42が1つずつ、合計2つ配置されている。
LED光源42からは、回折光学素子20を通過する前は、配光特性が略ガウス分布となるように赤外光が発光される。しかし、LED光源42が発する光は、利用者の目E上を均一に証明可能なように回折光学素子20によって整形される。そして、利用者の目Eに到達した赤外光は、利用者の目Eで反射されて回折光学素子20の中心孔20aを通ってミラー部60へと進む。
図4は、回折光学素子20の表面を拡大した平面図である。
図5は、図4の回折光学素子20の部分周期構造の一例を示す斜視図である。
図6は、図5中の矢印H−Hの位置で回折光学素子20を切断した断面図である。
図7は、回折光学素子を説明する図である。
回折光学素子20は、図6に示すように、断面形状において複数の矩形の凸部21aが並んで配置されている高屈折率部21を備えている。この高屈折率部21は、同じ断面形状を維持したまま、断面の奥行き方向に延在している。
図8は、LED光源42単体での、配光特性を示す図である。
LED光源42単体では、ガウス分布に近い配光特性となっており、中央付近の照射強度が高く、周辺での照射強度の低下が大きい。
図9は、LED光源42を複数用いて配光特性を改善した例を示す図である。
必要な照射エリアに均一に光を照射しようとすると、多数のLED光源42を配置する必要があった。また、多数のLED光源42を並べたとしても、照射強度のムラが生じている。
図10は、LED光源42に加えて、回折光学素子20を配置して、配光特性を改善する本実施形態の例を示す図である。
図10に示すように、本実施形態では、回折光学素子20を介して光を照射することにより、LED光源42の数を少なくしながら、均一な配光特性を実現することが可能である。
本実施形態の光照射装置50は、2つのLED光源42のそれぞれから、中心軸L(図3参照)に向けて光を照射するように回折光学素子20の部分周期構造が構成されており、2つの光源からの光が、必要な照射範囲において適切に重なる。すなわち、回折光学素子20は、図3に示した角度αの広がり角度を持った光を、法線方向(図3における水平方向)から角度β傾けて利用者の目Eを照射する。この角度αと角度βの具体的な角度については、LED光源42の配置と、利用者の目Eまでの距離等によって、適宜選択すればよい。
そこで、本実施形態では、回折光学素子20における部分周期構造の配置を改良することにより、LED光源42と回折光学素子20との相対的な位置関係がずれても、所望の配光特性を得られるようにした。
具体的には、回折光学素子20の部分周期構造は、少なくとも特定の回転角度範囲において、中心軸Lまわりでの回折光学素子20とLED光源42との相対的な回転位置が変化しても整形される光の整形特性を制御可能となるように、円周方向に沿って配置されている。なお、ここでいう整形特性とは、成形される光の照射範囲(角度α)と、照射方向(角度β)の他に、光の照射分布(配光特性)も含むものである。
図12では、回折光学素子20の部分周期構造は、領域P1から領域P15として示した。また、図12では、見やすくするためにLED光源42を実線で示している。
この図12のようなモデルでは、回折光学素子20が中心軸Lまわりで回転して、領域P1が移動して、LED光源42と重なる領域がP2となったとしても、領域P1も領域P2も、光を整形する作用が同じになるようにしておけば、照射範囲に変化が生じない。本実施形態の回折光学素子20では、このように部分周期構造を円周方向に沿って同一の整形特性を持つように領域P1から領域P15のいずれの位置においても構成されていると、マクロ的には説明可能である。ただし、実際には、部分周期構造の配置は、より複雑でより微細なものであって、複雑な計算アルゴリズムによって生成されるものであり、図示して説明可能なものではない。この図12のモデルは、理解を容易にするために作図したものであって、実際にこのような大きな領域分けがされているものではない。したがって、領域P1と領域P2との境界位置がLED光源42の真上に来たときに光の整形特性が劇的に変化するということもない。
図13は、偏光子10の斜視図である。
偏光子10は、ワイヤーグリッド型偏光子であり、入射光のうち、透過軸方向と直交する方向に振動する光を反射するいわゆる反射型の偏光子である。すなわち、偏光子10は、特定の偏光軸の方向(反射される光の振動方向と直交する方向)に振動する光を透過させる。
偏光子10は、透過を制御する波長帯域で透明な透明材料により形成された賦型樹脂層16を備えている。この賦型樹脂層16の表面には、凹状溝11が一定のピッチPで繰り返して並べて配置されている。この凹状溝11の延長方向と直交する方向への繰り返しの凹凸形状によって、賦型樹脂層16の表面には、周期構造が設けられている。
なお、このような延伸方向(延伸軸方向)が遅相軸方向である樹脂材料は、正の複屈折性を示す樹脂材料であり、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)樹脂等である。また、COP(シクロオレフィンポリマー)フィルム、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム、ポリイミドフィルム、PEN(ポリエチレンナフタレート)が挙げられる。また、延伸方向(延伸軸方向)に直交する方向が遅相軸方向である樹脂材料は、負の複屈折性を示す樹脂材料であり、例えばPS(ポリスチレン)樹脂等である。
このように設定すれば、基材15においては、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13で反射する偏光成分に対して面内方向の屈折率が最も大きい向きであることにより、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13で反射する偏光成分を、最も効率よく反射する向きに基材15が配置されることになる。また、これにより第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13で透過する偏光成分に対しては、界面反射が最も小さくなる向きに基材15が配置されることになり、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13を透過する偏光成分を最も効率よく透過する向きに基材15が配置されることになる。
また、上述した基材15の延伸軸の方向と偏光子10の偏光軸の方向との関係は、0度±1度以内、又は、90度±1度以内、の角度を持って配置されていれば、偏光子10を透過した偏光成分に対して、基材15が偏光作用を及ぼすことによる悪影響を無視できるレベルに抑えることができる。なお、上述の0度及び90度に設けた±1度の範囲を超えてしまうと、急激に偏光状態が乱れるので、上記範囲内に納めることが望ましい。
図14は、偏光子10の製造工程を示すフローチャートである。
図15は、偏光子10の製造工程を示す図である。
この製造工程では、ロールに巻き取った長尺透明フィルム材から基材15が提供される。この製造工程は、ロールから基材15を引き出して搬送しながら、凹凸形状作製工程ステップ(以下、単にS)2により、基材15の表面に凹凸形状を作製する。
なおエッチング処理では、第1の金属線状部12の厚みTも減少することになるが、この厚みTの減少に比べて空隙幅Sをより多く広げることができる。しかし、エッチング時間が余りに長いと、第2の金属線状部13の厚みが薄くなって光学特性が劣化し、特に吸収軸方向の反射率Rsが急激に低下する。一方、余りにエッチング時間が短いと、透過軸方向の透過率Tpが低下する。また、エッチングの進行は、エッチング液の濃度や液温によっても左右される。したがって、エッチングの条件は、エッチング液の濃度、及び、エッチング液の温度、さらに、エッチング時間に関して、適切な条件を設定して行うとよい。
エッチング処理を行ったことにより、図16に示すように、空隙幅Sを広げることができ、また、第1の金属線状部12と第2の金属線状部13との間が互いに繋がることなく、確実に間隔を開けることができる。これにより、偏光効率の向上が期待できる。
図17は、ロール版300の製造工程を説明する図である。
ロール版300は、周側面に微細凹凸形状が作製された賦型用金型であり、凹状溝11に対応する凸条である微細凹凸形状が周側面に形成されている。この実施形態において、この凸条は、円周方向に延長するように、凹状溝11の溝幅に対応する幅に形成されている。そして、このロール版300を用いて賦型処理を行い、基材15の長手方向に延長する凹状溝11が作製される。
図18は、板状版400の製造工程を説明する図である。
板状版400の製造工程は、基板401の上に微細凹凸形状を形成するための材料層402Aを形成し、さらにその上にレジスト層(403A,404A)を形成する工程と、レジスト層(403A,404A)を加工して、微細凹凸形状に対応したレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンをエッチングマスクに用いて材料層402Aをエッチング加工する工程と、を備えるものである。
次に、電子線等を照射し、現像等を施して、微細凹凸形状に対応したレジストパターン404Bを形成する(図18(b))。
次に、レジストパターン404Bをエッチングマスクに用いてハードマスク材料層403Aをエッチング加工して、ハードマスクパターン403Bを形成する(図18(c))。例えば、ハードマスク材料層403Aの材料にクロムを用いた場合には、塩素と酸素の混合ガスを用いたドライエッチングにより、ハードマスクパターン403Bを形成することができる。
次に、レジストパターン404B及びハードマスクパターン403Bをエッチングマスクに用いて、材料層402Aをエッチング加工して、微細凹凸形状402Bを形成する(図18(d))。例えば、材料層402Aの材料にモリブデンシリサイドを用いた場合には、SF6ガスを用いたドライエッチングにより、微細凹凸形状402Bを形成することができる。なお、材料層402Aの材料は、モリブデンシリサイドに限るものではない。例えば、材料層402Aの材料は、クオーツ(SiO2、合成石英)板であってもよいし、通常のガラス板や金属板等、型として用いることができるものであればよい。
最後に、レジストパターン404B及びハードマスクパターン403Bを除去し、基板401の上に、微細凹凸形状402Bが形成された板状版400を得る(図18(e))。
図19に示すように、先に説明した図18の製造工程から、ハードマスク材料層403A及びハードマスクパターン403Bを省略してもよい。図19の製造工程は、ハードマスク材料層403A及びハードマスクパターン403Bを省略した他は、上記図18の場合と同じなので、詳細な説明は、省略する。
図20は、偏光子10及びカメラ部偏光子70の配置とその作用について説明する図である。
本実施形態の視線追跡装置100は、利用者の目Eに赤外光を照射して、利用者の目Eにより反射して戻って来た反射光を受光して、利用者の瞳孔の位置や動きを取得するための装置として用いられる。ここで、単純に赤外光を照射するだけでは、例えば、利用者が眼鏡をかけていた場合には、眼鏡の表面からの反射光も受光部に到達してしまう。この眼鏡表面からの反射光は、受光部から見て利用者の瞳孔の位置と重なる位置に生じる可能性が高く、その場合、瞳孔を正確に抽出することができなくなるおそれがある。そこで、本実施形態では、偏光子10及びカメラ部偏光子70を配置して、眼鏡表面からの不要な反射光を低減している。
なお、カメラ部偏光子70にも、指標70aが設けられており、これをカメラ部90に設けられたカメラ部指標90aに合せた状態で、カメラ部偏光子70は、固定されている。
図21は、第2実施形態の光照射装置50−2を第1実施形態の図2と同様にして示した図である。
第2実施形態の光照射装置50−2は、偏光子10−2及び保持部30−2の形態が第1実施形態の偏光子10及び保持部30と異なる他は、第1実施形態の光照射装置50と同様である。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
突出部10−2bは、偏光子10−2の外周側へ部分的に突出して形成されている。この突出部10−2bの位置は、第1実施形態の指標10bと同様に、偏光子10−2の偏光軸に対して一定の位置関係を保った位置に設けられている。したがって、突出部10−2bの位置によって、目視では判別不可能な偏向軸の方向を特定することが可能である。
凹部30−2dは、保持部30−2の壁部30−2cの一部を切欠いた形状として窪ませることにより、突出部10−2bを嵌めることができるように構成している。
凹部30−2dに突出部10−2bを嵌め合せることにより、偏光子10−2は、簡単に偏向軸の方向を適切な方向として配置することが可能である。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
例えば、各実施形態において、偏光子と回折光学素子とは、別々の部品で構成されている例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、偏光子と回折光学素子とを積層して一体化してもよい。この場合、回折光学素子は、回転方向の位置が特定の位置に組み付けられるようになるので、LED光源と回折光学素子との相対的な回転方向の位置関係がずれても、所望の配光特性を得られるように構成した回折光学素子を用いる必要はない。
10−2 偏光子
10−2b 突出部
10a 中心孔
10b 指標
11 凹状溝
12 第1の金属線状部
13 第2の金属線状部
15 基材
16 賦型樹脂層
20 回折光学素子
20a 中心孔
21 高屈折率部
21a 凸部
22 凹部
23 空間
24 低屈折率部
25 回折層
30 保持部
30−2 保持部
30−2c 壁部
30−2b 貫通孔
30−2d 凹部
30a 中心孔
30b 貫通孔
30c 壁部
30d 保持部指標
40 レンズユニット
41a 中心孔
42 LED光源
43 レンズ枠
44 レンズ
50 光照射装置
60 ミラー部
70 カメラ部偏光子
70a 指標
80 表示部
90 カメラ部
90a カメラ部指標
100 視線追跡装置
200 スクリーン
201 光
202 照射領域
204 照射領域
210 光源
300 ロール版
301 母材
302 バイト
400 板状版
401 基板
402A 材料層
402B 微細凹凸形状
403A ハードマスク材料層
403B ハードマスクパターン
404A レジスト層
404B レジストパターン
Claims (8)
- 円環形状に形成され、特定の偏光軸の方向に振動する光を透過させる偏光子であって、
当該偏光子を保持する保持部に対して、円環形状の中心軸まわりでの当該偏光子の回転方向の位置を特定する、又は、回転方向の位置を規制する位置決め部を備える偏光子。 - 請求項1に記載の偏光子において、
前記位置決め部は、偏光子上に設けられた指標であること、
を特徴とする偏光子。 - 請求項1に記載の偏光子において、
前記位置決め部は、前記保持部の形状に合せた形状に前記円環形状の一部を構成した位置決め形状であること、
を特徴とする偏光子。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の偏光子において、
凸部上に設けられた凸部金属層と、
凹部内に設けられた凹部金属層と、
を有した凹凸形状が連続して並んで形成されていること、
を特徴とする偏光子。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の偏光子において、
円環形状に形成され、点光源から入射する光を円環形状の中心軸の方向に向けて整形するように複数の部分周期構造を有する回折光学素子が積層されて一体化されていること、
を特徴とする偏光子。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の偏光子と、
少なくとも1つの点光源と、
前記点光源に対する相対的な位置が固定されており、前記偏光子を保持する保持部と、
を備えた光照射装置。 - 請求項6に記載の光照射装置と、
前記光照射装置の前記点光源が光を照射する方向とは反対側に配置された表示部と、
前記光照射装置と前記表示部との間にあって、前記光照射装置からの光を反射するミラー部と、
前記光照射装置が照射した光が人体の目によって反射された後に前記ミラー部により反射された光を撮影するカメラ部と、
前記カメラ部に入射する光のうちの特定の偏光軸の方向に振動する光を透過させるカメラ部偏光子と、
を備える視線追跡装置。 - 請求項7に記載の視線追跡装置において、
前記偏光子と前記カメラ部偏光子とは、偏光軸の向きが90度の関係にあること、
を特徴とする視線追跡装置。
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