JP6790674B2 - 光照射装置、視線追跡装置 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光子、光照射装置、視線追跡装置に関するものである。
近年、ヘッドマウントディスプレイ装置やVR(Virtual Reality)ゴーグルと呼ばれる、利用者の頭部に装着、又は、手で持ってのぞき込むような形態で利用されるゴーグル型表示装置が注目されている。ゴーグル型表示装置では、表示装置の表示面をレンズにより拡大して視認することにより、本来は小さな表示面であっても、より大きな画面を観察しているかのように利用者が感じることができる。また、表示面の表示領域を左右に分けて、視差に対応した画像を左右それぞれの表示領域に表示することにより、立体視を可能とすることもできる。
このようなゴーグル型表示装置においても、視線検出を行いたいという要求が高まっている。
例えば、特許文献1には、視線追跡が可能なヘッドマウントディスプレイ装置が開示されている。この特許文献1の装置では、レンズの周辺に4つの赤外LED光源を配置して、眼球へ光を照射している。
特許文献1の装置では、赤外光等の検出光を利用者の目に照射して、目から反射して戻って来た光を撮像して、利用者の目の動きを検出する。しかし、利用者が眼鏡をかけていると、眼鏡の表面によって照明光が反射されてしまい、この眼鏡からの反射光が利用者の目からの反射光と重なって撮像されてしまうと、正確な視線検出ができない場合があった。
そこで、特許文献2には、眼鏡の反射を偏光板により除去する視線検出装置が開示されている。
米国特許第6433760号明細書 特開平7−289518号公報
ゴーグル型表示装置は、眼鏡を付けたまま利用されることも想定されるため、眼鏡を付けたままの状態でも視線検出を行える装置とすることが望ましい。
しかし、特許文献1及び特許文献2を組み合わせようとしても、偏光子の配置を簡単に行うことができなかった。すなわち、偏光子は、偏光方向を正しく配置する必要があるものであるが、特許文献1のよう4つの光源のそれぞれに偏光子を個別に配置すると、各偏光子の向きを正確に合せて配置することが難しかった。
本発明の課題は、光照射装置及び視線追跡装置への偏光子の組み付けを容易に行うことができる偏光子と、この偏光子を用いて、眼鏡を付けたままの状態でも視線検出を行える視線追跡装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、円環形状に形成され、特定の偏光軸の方向に振動する光を透過させる偏光子(10,10−2)であって、当該偏光子(10,10−2)を保持する保持部(30,30−2)に対して、円環形状の中心軸まわりでの当該偏光子(10,10−2)の回転方向の位置を特定する、又は、回転方向の位置を規制する位置決め部(10b,10−2b)を備える偏光子(10,10−2)である。
第2の発明は、第1の発明に記載の偏光子(10)において、前記位置決め部(10b)は、偏光子(10,10−2)上に設けられた指標であること、を特徴とする偏光子(10)である。
第3の発明は、第1の発明に記載の偏光子(10−2)において、前記位置決め部(10−2b)は、前記保持部(30−2)の形状に合せた形状に前記円環形状の一部を構成した位置決め形状であること、を特徴とする偏光子(10−2)である。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかに記載の偏光子(10,10−2)において、凸部上に設けられた凸部金属層(12)と、凹部(11)内に設けられた凹部金属層(13)と、を有した凹凸形状が連続して並んで形成されていること、を特徴とする偏光子(10,10−2)である。
第5の発明は、第1の発明から第4の発明までのいずれかに記載の偏光子(10,10−2)において、円環形状に形成され、点光源(42)から入射する光を円環形状の中心軸の方向に向けて整形するように複数の部分周期構造を有する回折光学素子(20)が積層されて一体化されていること、を特徴とする偏光子である。
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれか1項に記載の偏光子(10,10−2)と、少なくとも1つの点光源(42)と、前記点光源(42)に対する相対的な位置が固定されており、前記偏光子(10,10−2)を保持する保持部(30,30−2)と、を備えた光照射装置(50,50−2)である。
第7の発明は、第6の発明に記載の光照射装置(50,50−2)と、前記光照射装置(50,50−2)の前記点光源(42)が光を照射する方向とは反対側に配置された表示部(80)と、前記光照射装置(50,50−2)と前記表示部(80)との間にあって、前記光照射装置(50,50−2)からの光を反射するミラー部(60)と、前記光照射装置(50,50−2)が照射した光が人体の目によって反射された後に前記ミラー部(60)により反射された光を撮影するカメラ部(90)と、前記カメラ部(90)に入射する光のうちの特定の偏光軸の方向に振動する光を透過させるカメラ部偏光子(70)と、を備える視線追跡装置(100)である。
第8の発明は、第7の発明に記載の視線追跡装置(100)において、前記偏光子(10,10−2)と前記カメラ部偏光子(70)とは、偏光軸の向きが90度の関係にあること、を特徴とする視線追跡装置(100)である。
本発明によれば、光照射装置及び視線追跡装置への偏光子の組み付けを容易に行うことができる偏光子と、この偏光子を用いて、眼鏡を付けたままの状態でも視線検出を行える視線追跡装置を提供することができる。
本発明による偏光子及び光照射装置50を用いた視線追跡装置100の第1実施形態を示す図である。 光照射装置50を利用者側から見た図である。 図2中の矢印A−Aの位置で光照射装置50を切断した断面図である。 回折光学素子20の表面を拡大した平面図である。 図4の回折光学素子20の部分周期構造の一例を示す斜視図である。 図5中の矢印H−Hの位置で回折光学素子20を切断した断面図である。 回折光学素子を説明する図である。 LED光源42単体での、配光特性を示す図である。 LED光源42を複数用いて配光特性を改善した例を示す図である。 LED光源42に加えて、回折光学素子20を配置して、配光特性を改善する本実施形態の例を示す図である。 本実施形態の光照射装置50が光を照射する範囲を模式的に示した図である。 本実施形態の回折光学素子20の部分周期構造の配置を説明するための模式図である。 偏光子10の斜視図である。 偏光子10の製造工程を示すフローチャートである。 偏光子10の製造工程を示す図である。 第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13の断面形状がエッチング処理により変化した状態を示す図である。 ロール版300の製造工程を説明する図である。 板状版400の製造工程を説明する図である。 板状版400の他の製造工程を説明する図である。 偏光子10及びカメラ部偏光子70の配置とその作用について説明する図である。 第2実施形態の光照射装置50−2を第1実施形態の図2と同様にして示した図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明による偏光子及び光照射装置50を用いた視線追跡装置100の第1実施形態を示す図である。
図2は、光照射装置50を利用者側から見た図である。
図3は、図2中の矢印A−Aの位置で光照射装置50を切断した断面図である。
なお、図1から図3を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
視線追跡装置100は、光照射装置50と、ミラー部60と、表示部80と、カメラ部90とを備えており、例えば、VRゴーグル又はVRビュワーと呼ばれるような利用者の頭部に装着した状態で使用されるゴーグル型表示装置内に設けられて、利用者の視線を追跡する装置である。
光照射装置50は、偏光子10と、回折光学素子20と、保持部30と、レンズユニット40とを備えており、利用者の目Eの少なくとも瞳の移動範囲をカバーできる範囲に検出光を照射する。
偏光子10は、中心孔10aが開口された円環形状に形成されている。偏光子10は、回折光学素子20よりも利用者の目E側に配置されており、保持部30に保持されて固定されている。偏光子10には、偏光子10の回転方向の位置を特定する位置決め部として指標10bが、利用者の目E側の表面に設けられている。偏光子10の詳細については、後述する。
回折光学素子20は、中心孔20aが開口された円環形状に形成されており、保持部30に保持されて固定されている。回折光学素子20の詳細については、後述する。
保持部30は、後述するLED光源42に対する相対的な位置が固定されており、偏光子10及び回折光学素子20を固定する前の状態においては、回折光学素子20の円環形状の仮想の中心軸Lのまわりで偏光子10及び回折光学素子20を回転可能に保持する。また、保持部30は、偏光子10及び回折光学素子20が、接着やカシメ等により保持部30に対して固定された後においては、偏光子10及び回折光学素子20のLED光源42に対する相対的な位置が移動しないように偏光子10及び回折光学素子20を固定した状態で保持する。
保持部30は、中心孔30aを中心に略円環形状に形成されており、円環形状の最外径部分には、基板401側とは反対側に向かって突出した壁部30cを備えている。この壁部30cによって、回折光学素子20を回転可能に保持可能となっている。なお、本実施形態の壁部30cは、最外径部分の全周にわたって配置されているが、回折光学素子20を保持可能な範囲で部分的に配置されていてもよい。
また、保持部30は、中心孔30aの他に、LED光源42の位置に対応した貫通孔30bを2箇所有している。
さらに、壁部30cの利用者の目E側の端面には、保持部指標30dが設けられている。この保持部指標30dは、印刷等により形成されていてもよいし、壁部30cの端面を一部窪ませたり突出させたりして構成してもよい。
レンズユニット40は、基板401と、LED光源42と、レンズ枠43と、レンズ44とを備えている。
基板401は、略円環形状に構成されているプリント配線板である。基板401は、レンズ枠43に固定されている。基板401の円環のある直径上には、円環の中心孔41aを挟んでLED光源42が1つずつ、合計2つ配置されている。
LED光源42は、赤外光を発光する点光源である。LED光源42は、基板401に実装されており、貫通孔30b内に挿入された状態で配置されている。なお、LED光源42は、貫通孔30bから回折光学素子20側へは、突出していない。
LED光源42からは、回折光学素子20を通過する前は、配光特性が略ガウス分布となるように赤外光が発光される。しかし、LED光源42が発する光は、利用者の目E上を均一に証明可能なように回折光学素子20によって整形される。そして、利用者の目Eに到達した赤外光は、利用者の目Eで反射されて回折光学素子20の中心孔20aを通ってミラー部60へと進む。
レンズ枠43は、レンズユニット40のベースとなる部材であって、その中央部にレンズ44を保持している。また、レンズ枠43は、不図示のゴーグル本体に固定されている。
レンズ44は、レンズ枠43に固定されており、表示部80の映像を利用者が拡大観察可能なように、例えば、1つの凸レンズにより構成されている。
なお、レンズユニット40の構成は、一例に過ぎず、例えば、複数のレンズを設けてもよいし、レンズ枠とレンズとを一体化する等してもよい。また、基板401は、円環形状とせずに、例えば、円環を略半分にしたような形状としてもよい。
ミラー部60は、赤外光のみを反射し、可視光は透過する反射鏡であって、レンズユニット40と表示部80との間に、中心軸Lに対して45度傾いて配置されている。よって、利用者の目Eで反射されてきた赤外光は、ミラー部60によって進路を偏向されてカメラ部90へと進む。
表示部80は、利用者に対して表示したい映像情報を表示する。表示部80が表示する映像は、可視光であるので、ミラー部60により反射されることなく、そのまま利用者の目Eに到達することができる。
カメラ部偏光子70は、カメラ部90の撮影レンズの前に配置されており、カメラ部90に入射する光のうちの特定の偏光軸の方向に振動する光を透過させる。
カメラ部90は、赤外光を撮影可能な撮像装置であって、利用者の目Eで反射されて、ミラー部60によってさらに反射されてカメラ部90へ到達した赤外光を撮影する。カメラ部90により撮影された利用者の目Eの映像は、不図示の解析部により解析されて、瞳孔の位置の動きから、利用者の目の視線の動きを演算して、追跡する。
ここで、回折光学素子20について説明する。
図4は、回折光学素子20の表面を拡大した平面図である。
図5は、図4の回折光学素子20の部分周期構造の一例を示す斜視図である。
図6は、図5中の矢印H−Hの位置で回折光学素子20を切断した断面図である。
図7は、回折光学素子を説明する図である。
回折光学素子20は、異なる周期構造を持つ複数の領域(部分周期構造:例えば、図4のB〜G領域)を有している。図5では、部分周期構造の一例を抽出して示している。
回折光学素子20は、図6に示すように、断面形状において複数の矩形の凸部21aが並んで配置されている高屈折率部21を備えている。この高屈折率部21は、同じ断面形状を維持したまま、断面の奥行き方向に延在している。
高屈折率部21は、例えば、クオーツ(SiO、合成石英)をドライエッチング処理により形状を加工して作られたものであってもよいし、電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化したものであってもよい。このような周期構造の製造方法は、様々な手法が公知であり、それら公知の手法によって、適宜作成することができる。
また、凸部21aの間に形成されている凹部22及び凸部21aの頂部付近の空間23を含む図6の上方の部分は、空気が存在しており、高屈折率部21よりも屈折率が低い低屈折率部24となっている。これら高屈折率部21及び低屈折率部24が交互に並んで配置された周期構造により、光を整形する作用を備える回折層25が構成されている。
ここで、本発明において「光を整形する」とは、光の進行方向を制御することにより、対象物又は対象領域に投影された光の形状(照射領域)が任意の形状となるようにすることをいう。例えば、図7の例に示されるように、平面形状のスクリーン200に直接投影した場合に照射領域202が円形となる光201(図7(b))を発光する光源210を用意する。この光201を、本発明の回折光学素子20を透過させることにより、照射領域204を正方形(図7(a))や、長方形、円形(図示せず)等、目的の形状とすることを、「光を整形する」いう。
この回折光学素子20による光の整形作用を利用することにより、本実施形態では、LED光源42の数を少なくしながら、従来よりも均一な配光特性を得ている。この点について、図を用いて説明する。
図8は、LED光源42単体での、配光特性を示す図である。
LED光源42単体では、ガウス分布に近い配光特性となっており、中央付近の照射強度が高く、周辺での照射強度の低下が大きい。
図9は、LED光源42を複数用いて配光特性を改善した例を示す図である。
必要な照射エリアに均一に光を照射しようとすると、多数のLED光源42を配置する必要があった。また、多数のLED光源42を並べたとしても、照射強度のムラが生じている。
図10は、LED光源42に加えて、回折光学素子20を配置して、配光特性を改善する本実施形態の例を示す図である。
図10に示すように、本実施形態では、回折光学素子20を介して光を照射することにより、LED光源42の数を少なくしながら、均一な配光特性を実現することが可能である。
図11は、本実施形態の光照射装置50が光を照射する範囲を模式的に示した図である。
本実施形態の光照射装置50は、2つのLED光源42のそれぞれから、中心軸L(図3参照)に向けて光を照射するように回折光学素子20の部分周期構造が構成されており、2つの光源からの光が、必要な照射範囲において適切に重なる。すなわち、回折光学素子20は、図3に示した角度αの広がり角度を持った光を、法線方向(図3における水平方向)から角度β傾けて利用者の目Eを照射する。この角度αと角度βの具体的な角度については、LED光源42の配置と、利用者の目Eまでの距離等によって、適宜選択すればよい。
ここで、点光源であるLED光源42と回折光学素子20との相対的な位置関係は、非常に厳密な位置合わせを要求されるものであり、わずかに相対的な位置がずれた場合であっても、配光特性が大きく影響を受けて、所望の範囲を適切に照射することができないおそれがあった。したがって、従来は、製造工程が複雑となったり、コストアップを招いたりしていた。
そこで、本実施形態では、回折光学素子20における部分周期構造の配置を改良することにより、LED光源42と回折光学素子20との相対的な位置関係がずれても、所望の配光特性を得られるようにした。
具体的には、回折光学素子20の部分周期構造は、少なくとも特定の回転角度範囲において、中心軸Lまわりでの回折光学素子20とLED光源42との相対的な回転位置が変化しても整形される光の整形特性を制御可能となるように、円周方向に沿って配置されている。なお、ここでいう整形特性とは、成形される光の照射範囲(角度α)と、照射方向(角度β)の他に、光の照射分布(配光特性)も含むものである。
図12は、本実施形態の回折光学素子20の部分周期構造の配置を説明するための模式図である。
図12では、回折光学素子20の部分周期構造は、領域P1から領域P15として示した。また、図12では、見やすくするためにLED光源42を実線で示している。
この図12のようなモデルでは、回折光学素子20が中心軸Lまわりで回転して、領域P1が移動して、LED光源42と重なる領域がP2となったとしても、領域P1も領域P2も、光を整形する作用が同じになるようにしておけば、照射範囲に変化が生じない。本実施形態の回折光学素子20では、このように部分周期構造を円周方向に沿って同一の整形特性を持つように領域P1から領域P15のいずれの位置においても構成されていると、マクロ的には説明可能である。ただし、実際には、部分周期構造の配置は、より複雑でより微細なものであって、複雑な計算アルゴリズムによって生成されるものであり、図示して説明可能なものではない。この図12のモデルは、理解を容易にするために作図したものであって、実際にこのような大きな領域分けがされているものではない。したがって、領域P1と領域P2との境界位置がLED光源42の真上に来たときに光の整形特性が劇的に変化するということもない。
なお、本実施形態においては、図12のように、回折光学素子20のうちのLED光源42と重ねられる範囲の近傍にのみ、部分周期構造を配置した例を示したが、回折光学素子20の全面に部分周期構造を配置してもよい。
次に、偏光子10について説明する。なお、カメラ部偏光子70についても、形状と配置位置が異なる他は、偏光子10と同様である。
図13は、偏光子10の斜視図である。
偏光子10は、ワイヤーグリッド型偏光子であり、入射光のうち、透過軸方向と直交する方向に振動する光を反射するいわゆる反射型の偏光子である。すなわち、偏光子10は、特定の偏光軸の方向(反射される光の振動方向と直交する方向)に振動する光を透過させる。
偏光子10は、透過を制御する波長帯域で透明な透明材料により形成された賦型樹脂層16を備えている。この賦型樹脂層16の表面には、凹状溝11が一定のピッチPで繰り返して並べて配置されている。この凹状溝11の延長方向と直交する方向への繰り返しの凹凸形状によって、賦型樹脂層16の表面には、周期構造が設けられている。
偏光子10は、凹状溝11間の凸部の頂部に、金属材料が配置されており、これにより凹状溝11に沿って延長する金属材料による第1の金属線状部(凸部金属層)12が形成されている。また、凹状溝11の底面部には、第1の金属線状部12と同一の金属材料が配置されており、凹状溝11に沿って延長する金属材料によって第2の金属線状部(凹部金属層)13が形成されている。偏光子10は、この第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13の繰り返しピッチP(凹状溝11の繰り返しピッチと同じ)が、この偏光子10により透過を制御する波長帯域の最短波長λmin以下のピッチP(P≦λmin)となっている。このように、偏光子10は、凹状溝11間の頂部に設けられた第1の金属線状部12と、凹状溝11の底面に設けられた第2の金属線状部13とによる2層構造の金属線状部を備えており、偏光子として機能する。なお、本実施形態において、透過を制御する波長帯域としては、波長が800nm以上、2500nm以下の近赤外光領域を波長帯域としている。
ここで、この凹状溝11の繰り返しによる凹凸形状は、凸部となる平坦な部位を間に挟んで、断面矩形形状の凹状溝11が複数並んで作製される。よって、偏光子10は、凸部の頂部及び凹部の底面部がそれぞれ平坦面に作製される。そして、この頂部及び底面部に一定の厚みT1及びT2となるように金属材料を配置して第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13が形成される。これにより第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13は、それぞれ凸部の頂部形状、凹部の底面部形状に対応して凸部の頂部側及び凹状溝11の底面側が平坦面に形成される。しかし、凸部の頂部及び又は凹部の底面部は、例えば、断面形状を円弧形状等に形成してもよく、種々の形状を広く適用することができる。また、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13は、凸部の頂部形状、凹部の底面部形状に応じた種々の形状を適用することができる。さらに、これに対応して第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13は、凸部の頂部側とは逆側、凹部の底面部側とは逆側についても、種々の形状を適用することができる。
偏光子10は、透明フィルム材を素材とする基材(基材層)15に、透明材料を素材とする賦型樹脂層16が支持されて設けられており、この賦型樹脂層16の賦型処理により凹状溝11が並んで配置された周期構造が形成されている。また、この周期構造が作製された微細な凹凸面上に、蒸着、又は、スパッタリング、又は、電界メッキ、又は、無電解メッキ等により金属層が作製されて第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13が作製されている。
ここで、この基材15には、樹脂材料を面内の一方向に延伸して作製される透明フィルム材が用いられており、光学的に異方性を備えている。すなわち、基材15に用いられる透明フィルム材は、樹脂材料の延伸による光学異方性の発現により、延伸方向の屈折率が延伸方向と直交する方向に比して増大した又は減少した(すなわち延伸方向(延伸軸方向)が遅相軸方向である又は延伸方向(延伸軸方向)に直交する方向が遅相軸方向である)状態にある。
なお、このような延伸方向(延伸軸方向)が遅相軸方向である樹脂材料は、正の複屈折性を示す樹脂材料であり、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)樹脂等である。また、COP(シクロオレフィンポリマー)フィルム、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム、ポリイミドフィルム、PEN(ポリエチレンナフタレート)が挙げられる。また、延伸方向(延伸軸方向)に直交する方向が遅相軸方向である樹脂材料は、負の複屈折性を示す樹脂材料であり、例えばPS(ポリスチレン)樹脂等である。
偏光子10は、この基材15の遅相軸方向に対して、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13の延長方向が平行となるように、すなわち、基材15の延伸軸の方向が偏光子10の偏光軸の方向に対して0度の関係を持って配置されている。
このように設定すれば、基材15においては、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13で反射する偏光成分に対して面内方向の屈折率が最も大きい向きであることにより、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13で反射する偏光成分を、最も効率よく反射する向きに基材15が配置されることになる。また、これにより第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13で透過する偏光成分に対しては、界面反射が最も小さくなる向きに基材15が配置されることになり、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13を透過する偏光成分を最も効率よく透過する向きに基材15が配置されることになる。
なお、基材15の延伸軸の方向は、偏光子10の偏光軸の方向に対して90度の関係を持って配置されていてもよい。この90度の関係としても、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13を透過する偏光成分に対して偏光作用を及ぼさないからである。
また、上述した基材15の延伸軸の方向と偏光子10の偏光軸の方向との関係は、0度±1度以内、又は、90度±1度以内、の角度を持って配置されていれば、偏光子10を透過した偏光成分に対して、基材15が偏光作用を及ぼすことによる悪影響を無視できるレベルに抑えることができる。なお、上述の0度及び90度に設けた±1度の範囲を超えてしまうと、急激に偏光状態が乱れるので、上記範囲内に納めることが望ましい。
賦型樹脂層16は、賦型処理可能な各種の硬化性樹脂を用いることができるが、本実施形態では、紫外線硬化性樹脂を用いている。なお、基材15を加熱して軟化させた状態で賦型用金型に押圧して賦型処理してもよく、この場合、賦型樹脂層16は、基材15により構成されることになる。
第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13に用いる金属材料は、例えば各種の導体に係る金属、合金、金属化合物等を広く適用することができるが、アルミニウム、ニッケル、クロム、銀、のいずれかの金属、又は、これらいずれかの金属を含む合金、又は、これらいずれかの金属の化合物を用いることが望ましい。なお、透過を制限する電磁波(光)を効率よく反射する観点からは、アルミニウム、ニッケル、銀等の反射率の高い金属、又は、これら金属の合金、又は、これら金属の化合物を用いることが望ましく、赤外光や可視光に対しては、特にアルミニウムが好ましい。またこれとは逆に、透過を制限する電磁波の反射を抑圧する観点からは、クロム等の反射率の低い金属、又は、これら金属の合金、又は、これら金属の化合物を用いることが望ましい。
なお、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13の作製には、蒸着、又は、スパッタリングを用いることができ、さらに、化学気相成長、原子層堆積法等を用いてもよい。
以上のような構造の偏光子10(及び、カメラ部偏光子70)は、図3中のP=100nm、L=50nm、S=50nm、T1=100nm、T2=80nm、D=120nmの寸法となっている。
上述した構成の偏光子10及びカメラ部偏光子70は、いずれも、第1の金属線状部12が入光側となるように配置されている。仮に、入光側を反対方向にむけてしまうと、入射光が第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13に到達する前に賦型樹脂層16に入光し、賦型樹脂層16の屈折率の影響を受けることから、偏光特性の劣化が生じ、所望の偏光特性を得られない場合があるからである。
次に、偏光子10(及び、カメラ部偏光子70)の製造工程について説明する。
図14は、偏光子10の製造工程を示すフローチャートである。
図15は、偏光子10の製造工程を示す図である。
この製造工程では、ロールに巻き取った長尺透明フィルム材から基材15が提供される。この製造工程は、ロールから基材15を引き出して搬送しながら、凹凸形状作製工程ステップ(以下、単にS)2により、基材15の表面に凹凸形状を作製する。
より具体的には、このS2の凹凸形状作製工程では、図15(A)に示すように、始めに、基材15に紫外線硬化性樹脂の塗工液を塗工した後、周側面に微細凹凸形状が作製されている賦型用金型であるロール版に基材15を押圧して搬送しながら、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させる。その後、硬化した紫外線硬化性樹脂を基材15と一体にロール版より剥離する。このように、この工程では、図15(B)に示すように、ロール版の周側面に形成された微細凹凸形状を転写して、基材15の表面に、凹状溝11の繰り返しによる凹凸形状を作製する。本実施形態では、円周方向に延長する向きに凸条が作製されたロール版300を使用して、基材15の長手方向に延長する凹状溝11を作製する。よって、この基材15の遅相軸方向に対して、凹状溝11の延長方向が平行となり、基材15の遅相軸方向に対して、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13の延長方向が平行となるように形成される。
続いて、金属線状部作製工程S3において、蒸着、又は、スパッタリング等により、図15(C)に示すように、凹状溝11が作製された凹凸形状面の上面(図15中における上面)の全面に、金属材料を堆積させる。ここで、このように凹状溝11が作製された凹凸形状面に金属材料を堆積させる場合、この凹凸形状の凹状溝11間である頂部では、到来する金属材料が順次堆積して第1の金属線状部12が形成される。これに対して凹状溝11に到来する金属材料は、凹状溝11に侵入して底面に堆積し、その結果、第2の金属線状部13が形成される。このようにして、本実施形態では、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13を作製する。
このようにして金属材料を堆積して第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13を作製した後、エッチング工程S4により隣接する第1の金属線状部12間の空隙幅Sを拡大する。
上述したように蒸着、又は、スパッタリング等により金属材料を堆積する場合、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13の間の、凹状溝11の壁面にも金属材料が付着することもあるが、この壁面に付着する金属材料は、極めて少量であって厚みが薄く、これにより金属材料層として機能することなく、第1の金属線状部12と第2の金属線状部13とは、互いに繋がることなく間隔を開けて配置されている。よって、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13は、幅方向について、隣接する第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13との間で絶縁性が担保され、偏光子10においては、偏光面による透過率の選択性が担保される。
しかし、例えば、蒸着により金属材料を堆積させる場合には、図15(D)に示すように、第1の金属線状部12において、厚み方向だけでなく、幅方向にも金属材料が成長し、その結果、第1の金属線状部12間の空隙幅Sが極端に低下するおそれがある。このように空隙幅Sが極端に低下すると、第1の金属線状部12おける開口率(第1の金属線状部12の繰り返し方向における空隙幅Sの占める割合)が低下し、その結果、透過率が低下することになる。
そこで、本実施形態では、エッチング液を使用したエッチングにより開口率を増大させるエッチング工程(S4)を行う。
なおエッチング処理では、第1の金属線状部12の厚みTも減少することになるが、この厚みTの減少に比べて空隙幅Sをより多く広げることができる。しかし、エッチング時間が余りに長いと、第2の金属線状部13の厚みが薄くなって光学特性が劣化し、特に吸収軸方向の反射率Rsが急激に低下する。一方、余りにエッチング時間が短いと、透過軸方向の透過率Tpが低下する。また、エッチングの進行は、エッチング液の濃度や液温によっても左右される。したがって、エッチングの条件は、エッチング液の濃度、及び、エッチング液の温度、さらに、エッチング時間に関して、適切な条件を設定して行うとよい。
なお、上述したウェットエッチングに代えて、いわゆるドライエッチングにより空隙幅Sを広げるようにしてもよい。また、実用上充分に空隙幅Sが確保されている場合には、エッチング工程を省略してもよい。なお、このエッチング工程により、凹状溝11の壁面に付着した金属材料も全部又は一部が除去され、これにより第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13間の絶縁性を向上して偏光特性を向上することができる。
図16は、第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13の断面形状がエッチング処理により変化した状態を示す図である。
エッチング処理を行ったことにより、図16に示すように、空隙幅Sを広げることができ、また、第1の金属線状部12と第2の金属線状部13との間が互いに繋がることなく、確実に間隔を開けることができる。これにより、偏光効率の向上が期待できる。
このようにして第1の金属線状部12及び第2の金属線状部13を作製すると、この製造工程の最終工程で、例えば、長尺の偏光子10をロールに巻き取って偏光子巻取体が作製される。そして、この偏光子巻取体が続く処理工程に搬送されて切断処理が実行される。
ここで、偏光子10の製造工程中の凹凸形状作製工程S2において用いられるロール版300について説明する。
図17は、ロール版300の製造工程を説明する図である。
ロール版300は、周側面に微細凹凸形状が作製された賦型用金型であり、凹状溝11に対応する凸条である微細凹凸形状が周側面に形成されている。この実施形態において、この凸条は、円周方向に延長するように、凹状溝11の溝幅に対応する幅に形成されている。そして、このロール版300を用いて賦型処理を行い、基材15の長手方向に延長する凹状溝11が作製される。
ロール版300は、切削加工が容易な金属材料を素材とする円筒形状又は円柱形状により母材301が形成されている。本実施形態では、銅のパイプ材が母材301に用いられている。ロール版300の製造工程は、先ず、平滑化工程において、バイト302を使用した母材301の周側面の切削処理により母材301の周側面を平滑化した後、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法により母材301の周側面を超鏡面化する。
続いて、ロール版300の製造工程は、切削工程において、母材301を切削装置に装着した後、バイト302の先端を母材301の周側面に押し当て、この状態で矢印Bにより示すように母材301を回転させながら、矢印Cにより示すようにバイト302を母材301の管軸に沿った方向に移動させ、これにより母材301の周側面をらせん状に切削加工する。このようにして、母材301は、その周側面に、円周方向に延長する断面が矩形形状に形成され、凹状溝11に対応する凸条が作製される。なお、バイト302は、同時並列的に複数の凹状溝を作製可能とするために、先端が櫛歯状に形成されており、切削工程では、ロール版300の作製に要する時間を短縮することができる。このような微細な櫛歯形状によるバイト302の作製方法は、特に限定されないが、一般にこれらを達成する微細精密加工法として知られる高エネルギ線加工やリソグラフィ加工、化学的エッチング、又は、精密切削法等を適宜選択してもよいし、また、これらを自由に組み合わせて作製してもよい。
なお、ロール版300に形成される凸条は、らせん状に形成されているが、非常に微細なピッチ、かつ、微小な送り量で形成されているので、賦型樹脂層16の表面に賦型される凹状溝11は、直線状に形成されていると見なすことができる。
また、偏光子10の製造工程中の凹凸形状作製工程S2において、上述のロール版300を用いずに、板状版を用いてもよい。
図18は、板状版400の製造工程を説明する図である。
板状版400の製造工程は、基板401の上に微細凹凸形状を形成するための材料層402Aを形成し、さらにその上にレジスト層(403A,404A)を形成する工程と、レジスト層(403A,404A)を加工して、微細凹凸形状に対応したレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンをエッチングマスクに用いて材料層402Aをエッチング加工する工程と、を備えるものである。
図18に示す例では、図18(a)に示すように、まず、基板401の上に、微細凹凸形状を形成するための材料層402Aと、ハードマスク材料層403Aと、レジスト層404Aとを、順次形成した積層体を準備する。
次に、電子線等を照射し、現像等を施して、微細凹凸形状に対応したレジストパターン404Bを形成する(図18(b))。
次に、レジストパターン404Bをエッチングマスクに用いてハードマスク材料層403Aをエッチング加工して、ハードマスクパターン403Bを形成する(図18(c))。例えば、ハードマスク材料層403Aの材料にクロムを用いた場合には、塩素と酸素の混合ガスを用いたドライエッチングにより、ハードマスクパターン403Bを形成することができる。
次に、レジストパターン404B及びハードマスクパターン403Bをエッチングマスクに用いて、材料層402Aをエッチング加工して、微細凹凸形状402Bを形成する(図18(d))。例えば、材料層402Aの材料にモリブデンシリサイドを用いた場合には、SF6ガスを用いたドライエッチングにより、微細凹凸形状402Bを形成することができる。なお、材料層402Aの材料は、モリブデンシリサイドに限るものではない。例えば、材料層402Aの材料は、クオーツ(SiO、合成石英)板であってもよいし、通常のガラス板や金属板等、型として用いることができるものであればよい。
最後に、レジストパターン404B及びハードマスクパターン403Bを除去し、基板401の上に、微細凹凸形状402Bが形成された板状版400を得る(図18(e))。
図19は、板状版400の他の製造工程を説明する図である。
図19に示すように、先に説明した図18の製造工程から、ハードマスク材料層403A及びハードマスクパターン403Bを省略してもよい。図19の製造工程は、ハードマスク材料層403A及びハードマスクパターン403Bを省略した他は、上記図18の場合と同じなので、詳細な説明は、省略する。
ここで、偏光子10及びカメラ部偏光子70の配置とその作用について説明する。
図20は、偏光子10及びカメラ部偏光子70の配置とその作用について説明する図である。
本実施形態の視線追跡装置100は、利用者の目Eに赤外光を照射して、利用者の目Eにより反射して戻って来た反射光を受光して、利用者の瞳孔の位置や動きを取得するための装置として用いられる。ここで、単純に赤外光を照射するだけでは、例えば、利用者が眼鏡をかけていた場合には、眼鏡の表面からの反射光も受光部に到達してしまう。この眼鏡表面からの反射光は、受光部から見て利用者の瞳孔の位置と重なる位置に生じる可能性が高く、その場合、瞳孔を正確に抽出することができなくなるおそれがある。そこで、本実施形態では、偏光子10及びカメラ部偏光子70を配置して、眼鏡表面からの不要な反射光を低減している。
LED光源42からは、利用者の目の位置に向けて検出光が投光される。ここで、LED光源42が投光する検出光は、近赤外光である。赤外光であれば、利用者が視認できず、眩しく感じるといったことがない。
偏光子10は、図1と、図2と、図20とに矢印で示した方向に偏光軸を持つように配置されており、LED光源42から投光される検出光を偏光させる。なお、これらの図に示した偏光軸の方向は、一例であって、変更可能である。
カメラ部90は、偏光子10により偏光された検出光が物体、すなわち利用者の目と、利用者が眼鏡をかけている場合には、さらに眼鏡の表面とにより反射された反射光を受光する。より具体的には、カメラ部90は、CMOSイメージセンサ等の撮像素子を備えており、利用者の目周辺の画像を撮影する。なお、カメラ部90が受光して取得した情報(撮影した画像情報)は、不図示の画像処理部へ送られ、利用者の瞳孔の位置や動き等が抽出される。
カメラ部偏光子70は、カメラ部90が受光する反射光をカメラ部90に到達する前の位置で偏光させる。カメラ部偏光子70は、偏光子10と同様に、図1と、図20とに矢印で示した方向に偏光軸を持つように配置されている。これらの図中の矢印で示したように、偏光子10とカメラ部偏光子70とは、偏光軸の向きが90度の関係にある。すなわち、偏光子10及びカメラ部偏光子70を、それぞれ1つの偏光子とみなすと、両者はクロスニコルの関係にある。
次に、本実施形態の視線追跡装置100の検出光が偏光子10及びカメラ部偏光子70によりどのような作用を受けるかについて説明する。
LED光源42から投光される検出光としての赤外光には、様々な振動方向の光が含まれているが、ここでは、理解を容易にするために、S偏光とP偏光とがLED光源42から投光されるものとして、図20では示している。LED光源42から投光されたS偏光とP偏光とは、偏光子10に到達する。ここで、偏光子10は、S偏光の透過率が高く、P偏光の透過率が低くなる向きに配置されているものとする。したがって、偏光子10を通過した赤外光は、その殆どがS偏光成分となる。
偏光子10を通過したS偏光成分が大部分である赤外光は、眼鏡Gがある場合には、眼鏡Gの表面でその一部が反射される。眼鏡Gの表面は、平滑な面であるので、眼鏡Gの表面で反射された赤外光の偏光状態には、変化がなく、S偏光の反射光として、カメラ部90の前にあるカメラ部偏光子70へと向かう。
一方、眼鏡Gがあっても、眼鏡Gは、赤外光の多くを透過させるので、偏光子10を通過したS偏光成分が大部分である赤外光は、利用者の目Eに到達する。利用者の目Eは、赤外光を拡散反射するので、S偏光で目Eに到達した赤外光の偏光状態が解消されて、P偏光とS偏光を含む光となり、さらに眼鏡Gを通過してカメラ部偏光子70へと向かう。
利用者の目E及び眼鏡Gで反射してカメラ部偏光子70へと向かう途中で、ミラー部60により反射が行われるが、ミラー部60の表面は、平滑な面であるので、反射された赤外光の偏光状態には、変化がなく、カメラ部偏光子70へと到達する。
カメラ部偏光子70へは、上述した様に、眼鏡Gの表面で反射されたS偏光の反射光と、目Eで反射されてP偏光とS偏光とを含む反射光との、2種類の反射光が、到達する。ここで、カメラ部偏光子70は、偏光子10に対してクロスニコルの関係に配置されているので、偏光子10が透過可能な偏光成分を遮る作用がある。図20の例では、カメラ部偏光子70は、S偏光を遮り、P偏光を透過させる。したがって、カメラ部偏光子70は、眼鏡Gの表面で反射されたS偏光の反射光と、目Eで反射された反射光のうちS偏光の成分とを遮る。しかし、目Eで反射された反射光のうちP偏光の成分については、カメラ部偏光子70を通過することができ、カメラ部90へと到達する。
よって、眼鏡Gの表面で反射されたS偏光の反射光は、その殆どがカメラ部偏光子70によって遮られてカメラ部90には到達しない。このような構成によって、本実施形態の視線追跡装置100は、眼鏡Gの表面での不要な反射光を低減し、本来観察したい利用者の目Eからの反射光を観察可能としている。
ここで、眼鏡Gの表面での不要な反射光を低減し、本来観察したい利用者の目Eからの反射光を観察可能とするためには、偏光子10とカメラ部偏光子70とを、正しくクロスニコルの関係に配置することが必要である。
そこで、本実施形態の偏光子10は、偏光子10の回転方向の位置を特定する位置決め部として指標10bを備えている。この指標10bの位置は、偏光子10の偏光軸に対して一定の位置関係を保った位置に設けられている。したがって、指標10bの位置によって、目視では判別不可能な偏向軸の方向を特定することが可能である。
また、保持部30には、保持部指標30dが設けられている。したがって、偏光子10は、指標10bと保持部指標30dとを一致する位置にするだけで、簡単に偏向軸の方向を適切な方向として配置することが可能である。また、偏光子10の指標10bの位置を保持部指標30dの位置に合せるために回転させると、保持部30と偏光子10との間に配置されている回折光学素子20も一緒に回転してしまう場合がある。本実施形態の回折光学素子20は、LED光源42と回折光学素子20との相対的な位置関係がずれても、所望の配光特性を得られるように構成されている。したがって、偏光子10の回転方向の位置調整時に、回折光学素子20が回転してしまっても、所望の配光特性が維持され、適切に観察者の目Eに検出光を照射できる。
なお、カメラ部偏光子70にも、指標70aが設けられており、これをカメラ部90に設けられたカメラ部指標90aに合せた状態で、カメラ部偏光子70は、固定されている。
以上説明したように、本実施形態の視線追跡装置100によれば、指標10bと保持部指標30dとを設けたので、光照射装置50及び視線追跡装置100への偏光子10の組み付けを容易に行うことができ、この偏光子10を用いて、眼鏡を付けたままの状態でも視線検出を行える視線追跡装置100を提供することができる。
(第2実施形態)
図21は、第2実施形態の光照射装置50−2を第1実施形態の図2と同様にして示した図である。
第2実施形態の光照射装置50−2は、偏光子10−2及び保持部30−2の形態が第1実施形態の偏光子10及び保持部30と異なる他は、第1実施形態の光照射装置50と同様である。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
偏光子10−2は、指標10bの代わりに回転方向の位置を規制する位置決め部として構成された位置決め形状である突出部10−2bを備えている他は、第1実施形態の偏光子10と同様な形態をしている。
突出部10−2bは、偏光子10−2の外周側へ部分的に突出して形成されている。この突出部10−2bの位置は、第1実施形態の指標10bと同様に、偏光子10−2の偏光軸に対して一定の位置関係を保った位置に設けられている。したがって、突出部10−2bの位置によって、目視では判別不可能な偏向軸の方向を特定することが可能である。
また、保持部30−2は、保持部指標30dの代わりに凹部30−2dを備えている他は、第1実施形態の保持部30と同様な形態をしており、貫通孔30−2b、壁部30−2cを備えている。
凹部30−2dは、保持部30−2の壁部30−2cの一部を切欠いた形状として窪ませることにより、突出部10−2bを嵌めることができるように構成している。
凹部30−2dに突出部10−2bを嵌め合せることにより、偏光子10−2は、簡単に偏向軸の方向を適切な方向として配置することが可能である。
以上説明したように、第2実施形態の光照射装置50−2は、突出部10−2bと凹部30−2dとを設けたので、第1実施形態よりもさらに簡単かつ確実に、偏光子10−2の位置を適切な方向として配置することができる。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
例えば、各実施形態において、偏光子と回折光学素子とは、別々の部品で構成されている例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、偏光子と回折光学素子とを積層して一体化してもよい。この場合、回折光学素子は、回転方向の位置が特定の位置に組み付けられるようになるので、LED光源と回折光学素子との相対的な回転方向の位置関係がずれても、所望の配光特性を得られるように構成した回折光学素子を用いる必要はない。
10 偏光子
10−2 偏光子
10−2b 突出部
10a 中心孔
10b 指標
11 凹状溝
12 第1の金属線状部
13 第2の金属線状部
15 基材
16 賦型樹脂層
20 回折光学素子
20a 中心孔
21 高屈折率部
21a 凸部
22 凹部
23 空間
24 低屈折率部
25 回折層
30 保持部
30−2 保持部
30−2c 壁部
30−2b 貫通孔
30−2d 凹部
30a 中心孔
30b 貫通孔
30c 壁部
30d 保持部指標
40 レンズユニット
41a 中心孔
42 LED光源
43 レンズ枠
44 レンズ
50 光照射装置
60 ミラー部
70 カメラ部偏光子
70a 指標
80 表示部
90 カメラ部
90a カメラ部指標
100 視線追跡装置
200 スクリーン
201 光
202 照射領域
204 照射領域
210 光源
300 ロール版
301 母材
302 バイト
400 板状版
401 基板
402A 材料層
402B 微細凹凸形状
403A ハードマスク材料層
403B ハードマスクパターン
404A レジスト層
404B レジストパターン

Claims (3)

  1. 偏光子と、
    少なくとも1つの点光源と、
    前記点光源に対する相対的な位置が固定されており、前記偏光子を保持する保持部と、
    を備えた光照射装置であって、
    前記偏光子は、
    円環形状に形成され、特定の偏光軸の方向に振動する光を透過させ、
    前記偏光子を保持する保持部に対して、円環形状の中心軸まわりでの当該偏光子の回転方向の位置を特定する、又は、回転方向の位置を規制する位置決め部を備え、
    前記位置決め部は、前記保持部の形状に合せた形状に前記円環形状の一部を構成した位置決め形状であり、
    凸部上に設けられた凸部金属層と、
    凹部内に設けられた凹部金属層と、
    を有した凹凸形状が連続して並んで形成されており、
    円環形状に形成され、点光源から入射する光を円環形状の中心軸の方向に向けて整形するように複数の部分周期構造を有する回折光学素子が積層されて一体化されている、
    光照射装置。
  2. 請求項に記載の光照射装置と、
    前記光照射装置の前記点光源が光を照射する方向とは反対側に配置された表示部と、
    前記光照射装置と前記表示部との間にあって、前記光照射装置からの光を反射するミラー部と、
    前記光照射装置が照射した光が人体の目によって反射された後に前記ミラー部により反射された光を撮影するカメラ部と、
    前記カメラ部に入射する光のうちの特定の偏光軸の方向に振動する光を透過させるカメラ部偏光子と、
    を備える視線追跡装置。
  3. 請求項に記載の視線追跡装置において、
    前記偏光子と前記カメラ部偏光子とは、偏光軸の向きが90度の関係にあること、
    を特徴とする視線追跡装置。
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