JP2018054794A - マスクブランク用ガラス基板の再生方法、マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法 - Google Patents
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また、以上のような半導体装置製造用のマスクブランクだけでなく、FPD製造用のマスクブランクや、ナノインプリントに使用するナノインプリントモールド製造用のブランクなどもある。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
マスクブランク用ガラス基板上に、少なくとも、クロムを含有するクロム系材料層とケイ素を含有するケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板から、前記クロム系材料層と前記ケイ素系材料層とをエッチング剤を用いて剥離してマスクブランク用ガラス基板を再生するマスクブランク用ガラス基板の再生方法であって、前記エッチング剤は、少なくとも、フェリシアン化金属塩成分と、無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ成分とを含む水溶液からなることを特徴とするマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
前記フェリシアン化金属塩成分は、フェリシアン化カリウムであることを特徴とする構成1に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
(構成3)
前記アルカリ成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化テトラメチルアンモニウムから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする構成1又は2に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
前記ケイ素系材料層は、さらに酸素を含有する材料であることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
構成4にあるように、前記ケイ素系材料層は、さらに酸素を含有する材料である場合、本発明に用いる上記エッチング剤によって良好に剥離することができるので、このようなケイ素系材料層が形成されている薄膜付きガラス基板に対して本発明を好ましく適用することができる。
前記ケイ素系材料層の膜厚は、0.5nm以上10nm以下であることを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
構成5にあるように、前記ケイ素系材料層の膜厚が、0.5nm以上10nm以下である場合、本発明に用いる上記エッチング剤によって良好に剥離することができるので、このような膜厚のケイ素系材料層が形成されている薄膜付きガラス基板に対して本発明を好ましく適用することができる。
前記薄膜付き基板は、さらに、レジスト組成物からなるレジスト層、ポリマーを含有するレジスト下地層の少なくとも何れかの層が形成されていることを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
構成6のように、レジスト組成物からなるレジスト層、ポリマーを含有するレジスト下地層の少なくとも何れかの層がさらに形成されている薄膜付き基板に対しても、これらレジスト層やレジスト下地層を上記エッチング剤を用いて良好に剥離することができるので、このようなレジスト層やレジスト下地層が形成されている薄膜付きガラス基板に対して本発明を好ましく適用することができる。
前記レジスト組成物は、重量平均分子量が7000以下の化学増幅型レジストを含むことを特徴とする構成6に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
構成7にあるように、前記レジスト組成物が、重量平均分子量が7000以下の化学増幅型レジストを含む場合、本発明に用いる上記エッチング剤によって良好に剥離することができるので、このようなレジスト組成物からなるレジスト層が形成されている薄膜付きガラス基板に対して本発明を好ましく適用することができる。
前記レジスト下地層に含有されるポリマーは、ラクトン環を有する単位構造及び水酸基を有する単位構造を含むアクリル系樹脂を含むことを特徴とする構成6又は7に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
構成8にあるように、前記レジスト下地層に含有されるポリマーが、ラクトン環を有する単位構造及び水酸基を有する単位構造を含むアクリル系樹脂を含む場合、本発明に用いる上記エッチング剤によって良好に剥離することができるので、このようなレジスト下地層が形成されている薄膜付きガラス基板に対して本発明を好ましく適用することができる。
前記レジスト下地層の膜厚は、0.5nm以上20nm以下であることを特徴とする構成6乃至8のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
構成9にあるように、前記レジスト下地層の膜厚は、0.5nm以上20nm以下であることが好ましい。このような膜厚によって十分なレジスト下地層による効果が得られる上に、上記エッチング剤を用いて良好に剥離することができる。
構成1乃至9のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法によって再生されたマスクブランク用ガラス基板上にマスクパターン形成用薄膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
上記のようにして再生されたマスクブランク用ガラス基板を使用し、その上にマスクパターン形成用薄膜を形成することにより、ガラス基板主表面の欠陥のないマスクブランクを製造することができる。
構成10に記載のマスクブランクの製造方法によって得られるマスクブランクにおける前記薄膜をパターニングして薄膜パターンを形成することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
構成10により得られるマスクブランクを用いて、そのマスクブランクにおける前記薄膜をパターニングして薄膜パターンを形成することにより、ガラス基板主表面の欠陥に起因するパターン欠陥の発生しない転写用マスクを製造することができる。
上記のとおり(構成1)、本発明に係るマスクブランク用ガラス基板の再生方法(以下、単に「本発明の基板再生方法」と呼ぶこともある。)は、マスクブランク用ガラス基板上に、少なくとも、クロムを含有するクロム系材料層とケイ素を含有するケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板から、前記クロム系材料層と前記ケイ素系材料層とをエッチング剤を用いて剥離してマスクブランク用ガラス基板を再生するマスクブランク用ガラス基板の再生方法であって、前記エッチング剤は、少なくとも、フェリシアン化金属塩成分と、無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ成分とを含む水溶液からなることを特徴とするものである。
また、以上のようなマスクブランクだけでなく、ガラス基板上に薄膜パターンが形成された転写用マスクも対象となる。
図1は、本発明の基板再生方法を適用するバイナリマスクブランクの断面図である。また、図2は、本発明の基板再生方法を適用する位相シフト型マスクブランクの断面図である。
図1に示されるように、バイナリマスクブランクの一例としては、ガラス基板1の転写パターンが形成される側の主表面上に、上記クロム系材料層からなる遮光膜2及び上記ケイ素系材料層からなるハードマスク膜3が積層された構造のものが挙げられる。
上述したような図1のバイナリマスクブランクや図2の位相シフト型マスクブランクにおいて、ガラス基板上にパターン形成用の薄膜を成膜後、表面欠陥が発見されたマスクブランクに対して、本発明の基板再生方法を適用し、ガラス基板上から薄膜を剥離除去してガラス基板を再生する。
このアルカリ成分の添加量は、上記エッチング剤を所望のpH(例えばpH12以上)に調整できるように適宜調節して添加すればよい。
すなわち、本発明の基板再生方法によって再生されたマスクブランク用ガラス基板を使用し、その上にマスクパターン形成用薄膜(上記遮光膜2、ハードマスク膜3、位相シフト膜4など)を形成することにより、ガラス基板主表面の欠陥のないマスクブランクを製造することができる。
すなわち、上記マスクブランクを用いて、そのマスクブランクにおける前記薄膜をパターニングして薄膜パターンを形成することにより、ガラス基板主表面の欠陥に起因するパターン欠陥の発生しない転写用マスクを製造することができる。
本発明の基板再生方法は、上述のバイナリマスクブランクや位相シフト型マスクブランクの表面に、さらにレジスト組成物からなるレジスト層、ポリマーを含有するレジスト下地層の少なくとも何れかの層が形成されているマスクブランク(薄膜付き基板)に対しても適用することができる。
上記遮光膜2、ハードマスク膜3、及び位相シフト膜4については既に説明したとおりであるので、ここでは重複説明を省略する。
図4は、FPD製造に用いられるマスクの原版となるマスクブランクの一例を示す断面図である。
図4に示されるマスクブランクは、ガラス基板1の主表面上に、半透光膜7、エッチングストップ膜8および遮光膜9が積層されている。このマスクブランクを用いて、例えば2回のパターニングを実施することにより、ガラス基板上に、ガラス基板が露出した透光部と、半透光膜からなる半透光部と、少なくとも遮光膜からなる遮光部とを有する多階調のマスクができあがる。そして、この多階調のマスクがFPD製造に用いられる。
上記遮光膜9についても、クロムを含有するクロム系材料層からなり、上記露光光源波長に対して遮光性(例えば光学濃度(O.D.)2.5以上)を備えるようにクロム系材料の組成が調整されている。
(実施例1)
<マスクブランクの作製>
本実施例では、波長193nmのArFエキシマレーザーを露光光として用いる位相シフト型マスクの製造に使用するマスクブランクを作製した。
このマスクブランクは、図2に示すような、ガラス基板1上に、位相シフト膜4、遮光膜2、ハードマスク膜3を順に積層した構造のものである。
まず、枚葉式DCスパッタリング装置内に上記ガラス基板1を設置し、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合焼結ターゲット(Mo:Si=12原子%:88原子%)を用い、アルゴン(Ar)、窒素(N2)およびヘリウム(He)の混合ガス(流量比 Ar:N2:He=8:72:100,圧力=0.2Pa)をスパッタリングガスとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、上記ガラス基板1上に、モリブデン、シリコンおよび窒素からなるMoSiN位相シフト膜4を69nmの厚さで形成した。次いで、このMoSiN位相シフト膜を形成した基板を、酸素雰囲気中で高温(450℃)アニール処理を行った。
以上のようにして本実施例の位相シフトマスクブランクを作製した。そして、この作製したマスクブランクをブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)で欠陥検査したところ、修正が困難な膜欠陥が検出されたため、本発明の基板再生方法を適用して、ガラス基板の再生を行った。
まず、エッチング液として、フェリシアン化カリウムを25重量%、水酸化カリウムを5重量%含有する水溶液を準備した。
次に、このエッチング液を収容した槽内に、上記の欠陥が見つかったマスクブランクを浸漬させ、ガラス基板上に形成されている上記ハードマスク膜3及び遮光膜2のエッチング処理を行った。エッチング温度は、55℃とし、処理中は、槽内のマスクブランクを適宜揺動させるようにした。
以上のようにして、上記マスクブランクから上記ハードマスク膜3と遮光膜2と位相シフト膜4を剥離して、ガラス基板1を再生した。
上記のようにして再生されたガラス基板を再利用するに当たって、主表面を二乗平均平方根粗さ(Rq)で0.2nm以下にするため、コロイダルシリカ(平均粒径:100nm)を研磨剤として使用し、精密研磨を行った。再生されたガラス基板表面は荒れが少なかったため、この精密研磨による研磨取り代は3μm以下と非常に小さく、研磨作業の負担は少なくて済む。
製造した位相シフトマスクブランクについて、上記のブランクス欠陥検査装置で欠陥検査したところ、基板主表面の欠陥及び膜欠陥はいずれも検出されなかった。さらに、この位相シフトマスクブランクを用いて、位相シフト型マスクを作製したところ、パターン欠陥のない転写用マスクを製造することができた。
本実施例では、図3に示すようなレジスト膜付きの位相シフトマスクブランクを作製した。上記実施例1と同様にして、鏡面研磨後のガラス基板の主表面上に、位相シフト膜4、遮光膜2及びハードマスク膜3を順次形成した。
次いで、ネガ型の化学増幅型レジスト(重量平均分子量が3600)をスピンコーターで上記レジスト下地層5の表面に塗布し、加熱乾燥させることにより、膜厚160nmのレジスト層6を形成した。
そして、この作製したマスクブランクに欠陥が存在すると仮定して、実施例1と同様に、基板の再生を行った。
エッチング液としては、実施例1と同様のフェリシアン化カリウムを25重量%、水酸化カリウムを5重量%含有する水溶液を準備した。
以上のようにして、レジスト膜付きのマスクブランクから上記レジスト層6、レジスト下地層5、ハードマスク膜3、遮光膜2及び位相シフト膜4を剥離して、ガラス基板1を再生した。
このように、マスクブランク表面にレジスト下地層やレジスト層を形成したマスクブランクに対しても、本発明の基板再生方法を適用してガラス基板の再生を行うことが好適である。
上記のようにして再生されたガラス基板を再利用するに当たって、主表面を二乗平均平方根粗さ(Rq)で0.2nm以下にするため、コロイダルシリカ(平均粒径100nm)を研磨剤として使用し、精密研磨を行った。再生されたガラス基板表面は荒れが少なかったため、この精密研磨による研磨取り代は3μm以下と非常に小さく、研磨作業の負担は少なくて済む。
なお、製造した位相シフトマスクブランクについて、ブランクス欠陥検査装置で欠陥検査したところ、基板主表面の欠陥及び膜欠陥はいずれも検出されなかった。さらに、この位相シフトマスクブランクを用いて、位相シフト型マスクを作製したところ、パターン欠陥のない転写用マスクを製造することができた。
上記実施例1と同様にして作製した位相シフトマスクブランクに対して、従来方法により、基板の再生を行った。
まず、フッ酸水溶液をエッチング剤として用いて、上記ハードマスク膜3をエッチングにより剥離した。
次いで、硝酸第2アンモニウムと過塩素酸とを含む水溶液をエッチング剤として用いて、上記遮光膜2をエッチングにより剥離した。
続いて、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素の混合水溶液をエッチング剤として用いて、ガラス基板上に残っているMoSiN位相シフト膜4を剥離除去した。
また、このようにして再生されたガラス基板の表面は、全体的に表面荒れが発生しており、目視で白濁状態となっていた。
ガラス基板上に成膜されたMoSiN膜はアニール処理されるため、その表面には酸化層による凹凸が出来ている。実施例で用いたフェリシアン化カリウム系のエッチング剤の場合、このMoSiN膜表面の凹凸を溶解してしまうため、MoSiN膜剥離後のガラス基板表面においても荒れの少ない平滑な表面が得られる。一方、比較例では、従来の硝酸セリウム系のエッチング剤を用いてクロム系遮光膜を剥離しても、その直下のMoSiN膜表面の凹凸は溶解されないためそのまま残ってしまう。このMoSiN膜表面の凹凸によるエッチングむらがそのままガラス基板表面にも反映されてしまい、表面の荒れたガラス基板が得られる。
2 遮光膜
3 ハードマスク膜
4 位相シフト膜
5 レジスト下地層
6 レジスト層
7 半透光膜
8 エッチングストップ膜
9 遮光膜
10 薄膜パターン
Claims (11)
- マスクブランク用ガラス基板上に、少なくとも、クロムを含有するクロム系材料層とケイ素を含有するケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板から、前記クロム系材料層と前記ケイ素系材料層とをエッチング剤を用いて剥離してマスクブランク用ガラス基板を再生するマスクブランク用ガラス基板の再生方法であって、
前記エッチング剤は、少なくとも、フェリシアン化金属塩成分と、無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ成分とを含む水溶液からなることを特徴とするマスクブランク用ガラス基板の再生方法。 - 前記フェリシアン化金属塩成分は、フェリシアン化カリウムであることを特徴とする請求項1に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
- 前記アルカリ成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化テトラメチルアンモニウムから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
- 前記ケイ素系材料層は、さらに酸素を含有する材料であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
- 前記ケイ素系材料層の膜厚は、0.5nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
- 前記薄膜付き基板は、さらに、レジスト組成物からなるレジスト層、ポリマーを含有するレジスト下地層の少なくとも何れかの層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
- 前記レジスト組成物は、重量平均分子量が7000以下の化学増幅型レジストを含むことを特徴とする請求項6に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
- 前記レジスト下地層に含有されるポリマーは、ラクトン環を有する単位構造及び水酸基を有する単位構造を含むアクリル系樹脂を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
- 前記レジスト下地層の膜厚は、0.5nm以上20nm以下であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法によって再生されたマスクブランク用ガラス基板上にマスクパターン形成用薄膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
- 請求項10に記載のマスクブランクの製造方法によって得られるマスクブランクにおける前記薄膜をパターニングして薄膜パターンを形成することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
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