JP2016188882A - 掘込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

掘込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法及び半導体装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016188882A
JP2016188882A JP2015067791A JP2015067791A JP2016188882A JP 2016188882 A JP2016188882 A JP 2016188882A JP 2015067791 A JP2015067791 A JP 2015067791A JP 2015067791 A JP2015067791 A JP 2015067791A JP 2016188882 A JP2016188882 A JP 2016188882A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
film
light
pattern
etching
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015067791A
Other languages
English (en)
Inventor
亮 大久保
Ryo Okubo
亮 大久保
浅川 敬司
Takashi Asakawa
敬司 浅川
博明 宍戸
Hiroaki Shishido
博明 宍戸
野澤 順
Jun Nozawa
順 野澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP2015067791A priority Critical patent/JP2016188882A/ja
Publication of JP2016188882A publication Critical patent/JP2016188882A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)

Abstract

【課題】微細な転写パターンを高精度で形成することができ、堀込部の堀込深さの面内均一性を高めた堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法の提供。【解決手段】透光性基板上に遮光膜及びハードマスク膜が順に積層され、遮光膜はCr等の材料からなり、ハードマスク膜はTaと酸素を含有する材料からなるマスクブランクを用い、塩素系ガスを含有しないフッ素系ガスを用いたドライエッチングによりハードマスク膜に遮光部パターンを形成する工程と、該ハードマスク膜をマスクとし塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを用いたドライエッチングにより遮光膜に遮光部パターンを形成する工程と、フッ素系ガスを用いたドライエッチングにより透光性基板に堀込部を形成する工程と、塩素系ガスとフッ素系ガスの混合ガスを用いたドライエッチングによりハードマスク膜を除去する工程とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、半導体装置の製造に用いられる堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法に関するものである。
一般に、半導体装置の製造工程では、フォトリソグラフィー法を用いて微細パターンの形成が行われている。また、この微細パターンの形成には通常何枚もの転写用マスクが使用される。
この転写用マスクは同じ微細パターンを大量に転写するための原版となるため、転写用マスク上に形成されたパターンの寸法精度は、作製される微細パターンの寸法精度に直接影響する。半導体デバイスの集積度が向上するにつれ、パターンの寸法は小さくなり、転写用マスクの精度もより高いものが要求されている。
近年、半導体デバイスのパターンの微細化に伴い、転写用マスクに形成されるマスクパターンの微細化が進んできている。転写用マスクの一態様である堀込レベンソン型位相シフトマスクは、透光性基板に形成された堀込部及び非堀込部からなる透光部と、ライン・アンド・スペース等の規則的なパターンが形成された遮光部とを備える。具体的には、透光性基板上の遮光膜が存在する領域で遮光部を形成し、遮光膜が存在しない透光性基板が露出した領域で透光部を形成する。そして、透光部は、透光性基板の表面が所定の深さまで掘り込まれた領域の堀込部と、表面が掘り込まれていない非堀込部とからなり、堀込部と非堀込部は交互に配置されている。堀込部の堀込深さは、堀込部を透過する露光光と、非堀込部を透過する露光光との間で位相シフト効果が得られる所定の位相差を付与できるだけの深さとなっている。
従来、堀込レベンソン型位相シフトマスクは、たとえば下記特許文献1に開示されているような透明基板上にクロム系材料からなる遮光膜が設けられたマスクブランクを用いたプロセスにより製造されている。一方、下記特許文献2には、堀込レベンソン型位相シフトマスクを製造するためのフォトマスクブランクとして、透明基板上にクロム系材料からなる遮光膜と、該遮光膜上にシリコンを含有し、さらに軽元素として窒素と酸素の少なくとも一方を含有する材料からなるハードマスク膜を備えた構成のフォトマスクブランクが開示されている。
特開平9−160218号公報 特開2013−238777号公報
特許文献1に記載されているような従来の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法の場合、有機系材料のレジストパターンをマスクするドライエッチングで直接クロム系材料の遮光膜にパターンを形成することが行われる。一般に、クロムを含有する材料からなる薄膜に対するドライエッチングで用いられるエッチングガスは、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガス(以下、「酸素含有塩素系ガス」と言うこともある。)が用いられる。有機系材料のレジストパターンは、酸素ガスのプラズマに対する耐性が低いため、レジストパターンの厚さを薄くすることは難しい。近年、堀込レベンソン型位相シフトマスクにおける遮光膜等に形成されるパターンは微細化の一途をたどっている。レジストパターンが従来の厚さであると、レジストパターンの幅に対する高さの比率が過大になり、パターンの倒壊やパターンの描画・現像が困難になってきている。すなわち、有機系材料のレジストパターンをマスクとする酸素含有塩素系ガスを用いたドライエッチングでクロム系材料の遮光膜に微細パターンを形成することは難しくなってきている。
一方、特許文献2に開示されているようなフォトマスクブランクは、このような課題を解決することが可能である。このフォトマスクブランクは、透明基板上にクロム系材料からなる遮光膜と、該遮光膜上にシリコンを含有し、さらに軽元素として窒素と酸素の少なくとも一方を含有する材料からなるハードマスク膜を備えた構成を備える。この構成のフォトマスクブランクを用いることにより、有機系材料のレジストパターンをマスクとするフッ素系ガスを用いたドライエッチングでハードマスク膜にパターンを形成し、パターンが形成されたハードマスク膜をマスクとする酸素含有塩素系ガスを用いたドライエッチングで遮光膜にパターンを形成することができる。したがって、フッ素系ガスを用いたドライエッチングでハードマスク膜にパターンを形成し終えるまでレジストパターンがマスクとして機能していればよいため、レジストパターンの厚さを従来よりも大幅に薄くすることができる。
ところで、酸素含有塩素系ガスを用いたクロム系材料の遮光膜に対するドライエッチングにおいては、酸素ガスがラジカル性のプラズマになる傾向が高いこともあり、エッチングの異方性を高めることが難しい。このため近年では、酸素含有塩素系ガス中の塩素系ガスの混合比率を高めたエッチングガスによるクロム系材料の遮光膜のドライエッチングが検討されている。塩素系ガスは、イオン性のプラズマになる傾向が高く、バイアス電圧をかけることによる異方性を向上させる効果が大きいためである。しかし、酸素含有塩素系ガス中の塩素系ガスの混合比率を高めると、クロム系材料の遮光膜に対するドライエッチングのエッチングレートが低下することは避けられない。このエッチングレートの低下を補うために、ドライエッチング時にかけられるバイアス電圧を大幅に高くする(高バイアスエッチング)が検討されている。
しかし、本発明者らが検討した結果、パターンが形成されたケイ素系材料のハードマスク膜をマスクとするクロム系材料の遮光膜に対するドライエッチングで高バイアスエッチングを行った場合、クロム系材料の遮光膜にパターンを高精度に形成することが難しくなるということが判明した。通常、ケイ素系材料のハードマスク膜は、酸素含有塩素系ガスによるドライエッチングに対しては高いエッチング耐性を有するが、高バイアス条件の場合、耐性が低下してしまう。つまり、高バイアス条件の場合、ケイ素系材料のハードマスク膜のパターンエッジからのサイドエッチングが進みやすく、ハードマスク膜のサイドエッチングの進行に起因して遮光膜に形成されるパターンのCD精度が低下するという問題が生じることを新たに見出した。
この問題を解消すべく、本発明者らは鋭意研究を行った結果、タンタルと酸素を含有する材料でハードマスク膜を形成することで、酸素含有塩素系ガスによる高バイアス条件のドライエッチングによってもサイドエッチングの発生を抑制できることを突き止めた。
一般に、遮光膜の上にハードマスク膜を備えたマスクブランクから堀込レベンソン型位相シフトマスクを製造する場合、パターンが形成されたハードマスク膜をマスクとするドライエッチングによって遮光膜にパターンを形成した後、位相シフトマスクが完成するまでの間のいずれかの段階で、ハードマスク膜を除去するための例えばフッ素系ガスを用いたドライエッチングが行われる。このハードマスク膜を除去するためのフッ素系ガスを用いるドライエッチングの際、遮光膜が除去されている部分で透光性基板の表面が露出した透光部(堀込部および非堀込部)が掘り込まれることは避けがたい。ケイ素系材料のハードマスク膜にパターンを形成するときに行われるフッ素系ガスによるドライエッチングと同じ条件のドライエッチングでハードマスク膜を除去する場合、ハードマスク膜のエッチングレートと透光性基板のエッチングレートはほぼ同程度になる。しかし、タンタルと酸素を含有する材料のハードマスク膜の場合、ハードマスク膜にパターンを形成するときに行われるフッ素系ガスによるドライエッチングと同じ条件のドライエッチングでハードマスク膜を除去する場合、ハードマスク膜のエッチングレートが透光性基板のエッチングレートよりも著しく遅くなる傾向があることが新たに判明した。具体的には、フッ素系ガスとアルゴンの混合ガスをエッチングガスとしてエッチングする場合、TaO系ハードマスク膜のエッチングレートが透光性基板のエッチングレートの1/4以下の速さになる。また、ガラス基板のエッチングレートが速くなりすぎることで、掘込部の底面が滑らかに形成されないという問題がある。透光部の堀込部と非堀込部が掘り込まれても、マスク完成時において堀込部の底面と非堀込部の底面との間の深さの差が位相シフト効果を生じさせる所定の深さとなっているのであれば、大きな問題とはならない。しかし、各透光部でエッチングガスに晒される環境は異なるため、面内で均等な深さにエッチングされるようにすることは困難である。すなわち、マスク完成時において各堀込部の堀込深さを面内で高い均一性とすることは困難である。そして、この問題は、透光性基板のエッチングレートに対するハードマスク膜のエッチングレートの比率(つまり「ハードマスク膜のエッチングレート/透光性基板のエッチングレート」)が低いほど深刻化する。
以上のように、クロム系材料の遮光膜上にタンタルと酸素を含有する材料のハードマスク膜を備えるマスクブランクを用い、従来の製造方法によって堀込レベンソン型位相シフトマスクを製造する場合、ハードマスク膜を除去するときのフッ素系ガスによるドライエッチングで透光性基板の表面が露出した透光部を掘り込んでしまうことに起因する堀込部および非堀込部の堀込深さに係る面内均一性の低下が大きくなる傾向があるという問題を有する。
一方、特許文献2では、上記のようなハードマスク膜を有するフォトマスクブランクを用いて堀込レベンソン型位相シフトマスクを製造する場合において、ハードマスク膜を除去するときに透光性基板の非堀込部を掘り込むようなことがない製法について開示されている。その製法は以下のとおりである。
最初に、フォトマスクブランクのハードマスク膜上に、遮光膜に形成すべきパターンのうち、透光性基板に堀込部が配置される領域のみのスペースパターンを有する第1のレジストパターンを形成する。この第1のレジストパターンをマスクとするフッ素系ガスによるドライエッチングでハードマスク膜に第1のパターンを形成する。次に、第1のパターンが形成されたハードマスク膜をマスクとする酸素含有塩素系ガスを用いたドライエッチングでクロム系材料の遮光膜に第1のパターンを形成する。これにより、遮光膜の堀込部が配置される領域にのみ遮光膜が存在しないパターンであるスペースパターンが形成される。その後、残存する第1のレジストパターンは除去する。次に、第1のパターンを有する遮光膜をマスクとするフッ素系ガスによるドライエッチングで透光性基板に堀込部を形成する。このフッ素系ガスによるドライエッチングによって、ハードマスク膜も全面除去される。続いて、遮光膜および透光性基板の堀込部上に、遮光膜に形成すべきパターンのうち、透光性基板に非堀込部が配置される領域のみのスペースパターンを有する第2のレジストパターンを形成する。この第2のレジストパターンをマスクとする酸素含有塩素系ガスを用いたドライエッチングでクロム系材料の遮光膜に第2のパターンを形成する。これにより、透光性基板に堀込部と非堀込部が配置される領域上の遮光膜にスペースパターンが形成される。以上の製法を用いることで、完成後の堀込レベンソン型位相シフトマスクは、ハードマスク膜が全面除去されながらも、非堀込部がフッ素系ガスを用いたドライエッチングによって掘り込まれていない。
しかし、特許文献2に開示された製法により、完成した堀込レベンソン型位相シフトマスクの遮光膜に形成されたパターンの配置を所定の位置精度とすることは困難である。つまり、上記第2のレジストパターンを精度の高い露光方法である電子線描画で露光したとしても、所定の位置精度で遮光膜上に配置することが困難であるためである。
以上のように、特許文献2に開示されているような堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法を用いた場合、遮光膜に形成すべきパターンを所定の位置精度で配置することが困難であるという問題があった。また、上述したように、酸素含有塩素系ガスによる高バイアス条件の場合、ケイ素系材料のハードマスク膜のサイドエッチングの進行に起因して遮光膜に形成されるパターンのCD精度が低下するという問題も生じる。
そこで、本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、第1に、微細な転写パターンであっても高精度で形成することができ、かつ基板堀込部および非堀込部の堀込深さに係る面内均一性を高めることができる堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法を提供することであり、第2に、このような本発明により製造された堀込レベンソン型位相シフトマスクを用いて、パターン精度の優れた高品質の半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するべく、フッ素系ガスを用いるドライエッチングにおいて、タンタルと酸素を含有する材料のハードマスク膜のエッチングレートとガラス材料の透光性基板のエッチングレートが同程度になるエッチング条件、より望ましくは、ハードマスク膜のエッチングレートの方が透光性基板のエッチングレートよりも速くなるエッチング条件について、鋭意研究を行った。その結果、透光性基板の主表面上に遮光膜及びハードマスク膜がこの順に積層されたマスクブランクを用いて、透光性基板に形成された堀込部及び非堀込部からなる透光部と遮光膜で形成された遮光部とを備える堀込レベンソン型位相シフトマスクを製造するにあたり、エッチングガスにフッ素系ガスのほかに塩素系ガスを混合させることで、エッチングガスに塩素系ガスを混合させない場合に比べて、ガラス材料の透光性基板のエッチングレートに対するタンタルと酸素を含有する材料のハードマスク膜のエッチングレートの比率(つまり「TaOxハードマスク膜のエッチングレート/ガラス基板(透光性基板)のエッチングレート」)を0.6以上にすることができることを突き止めた。また、エッチングガスにフッ素系ガスのほかに塩素系ガスを混合させると、エッチングガスに塩素系ガスを混合させない場合に比べて、上記ガラス基板のエッチングレートが低下することも突き止めた。
そして本発明者らは、これらの新たな知見をもとにさらに鋭意検討した結果、上記タンタルと酸素を含有する材料のハードマスク膜に直下の遮光膜に形成すべき遮光部のパターンを形成するときのドライエッチングでは、塩素系ガスを含まないフッ素系ガスをエッチングガスに用いることで、ハードマスク膜を加工するときのエッチングレートを速くすることができ、遮光膜上のハードマスク膜を除去するときのドライエッチングでは、塩素系ガスとフッ素系ガスを含んだエッチングガスを用いることで、ガラス材料の透光性基板が掘り込まれるのを最小限に抑制しつつ、ハードマスク膜を確実に除去できるというプロセスを適用することで、従来技術の課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
透光性基板の主表面上に遮光膜及びハードマスク膜がこの順に積層されたマスクブランクを用い、透光性基板に形成された堀込部及び非堀込部からなる透光部と遮光膜で形成された遮光部とを備える堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法であって、前記遮光膜は、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いてドライエッチング可能な材料からなり、前記ハードマスク膜は、タンタルと酸素を含有する材料からなり、前記遮光部のパターンを有するレジスト膜をマスクとし、塩素系ガスを含有しないフッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記ハードマスク膜に前記遮光部のパターンを形成する工程と、前記遮光部のパターンを有する前記ハードマスク膜をマスクとし、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記遮光膜に前記遮光部のパターンを形成する工程と、前記堀込部のパターンを有するレジスト膜をマスクとし、フッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記透光性基板に前記堀込部を形成する工程と、塩素系ガスとフッ素系ガスを含有するエッチングガスを用いたドライエッチングにより、前記遮光膜上のハードマスク膜を除去する工程と、をこの順に有することを特徴とする堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
(構成2)
透光性基板の主表面上に遮光膜及びハードマスク膜がこの順に積層されたマスクブランクを用い、透光性基板に形成された堀込部及び非堀込部からなる透光部と遮光膜で形成された遮光部とを備える堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法であって、前記遮光膜は、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いてドライエッチング可能な材料からなり、前記ハードマスク膜は、タンタルと酸素を含有する材料からなり、前記遮光部のパターンを有するレジスト膜をマスクとし、塩素系ガスを含有しないフッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記ハードマスク膜に前記遮光部のパターンを形成する工程と、前記遮光部のパターンを有する前記ハードマスク膜をマスクとし、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記遮光膜に前記遮光部のパターンを形成する工程と、塩素系ガスとフッ素系ガスを含有するエッチングガスを用いたドライエッチングにより、前記遮光膜上のハードマスク膜を除去する工程と、前記堀込部のパターンを有するレジスト膜をマスクとし、フッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記透光性基板に前記堀込部を形成する工程と、をこの順に有することを特徴とする堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
(構成3)
前記遮光膜は、クロムを含有する材料からなることを特徴とする構成1又は2に記載の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
(構成4)
前記ハードマスク膜は、タンタルと酸素の組成比 Ta:O(原子数比)が1:0.2〜1:2.5の範囲内であることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
(構成5)
前記ハードマスク膜を除去する工程に用いるエッチングガスは、塩素系ガスとフッ素系ガスの混合比が、塩素系ガス:フッ素系ガス(流量比)で10:1〜25:1であることを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
(構成6)
前記ハードマスク膜に前記遮光部のパターンを形成する工程に用いるエッチングガス及び前記ハードマスク膜を除去する工程に用いるエッチングガスは、いずれも更に希ガスを含有することを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
(構成7)
前記希ガスは、ヘリウムガスであることを特徴とする構成6に記載の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
(構成8)
構成1乃至7のいずれかに記載の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法により製造された堀込レベンソン型位相シフトマスクを用い、リソグラフィー法により前記堀込レベンソン型位相シフトマスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
本発明の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法によれば、微細な転写パターンであっても高精度で形成することができ、かつ基板堀込部および非堀込部の堀込深さに係る面内均一性を高めることができる。
また、このような本発明により製造された堀込レベンソン型位相シフトマスクを用いて、パターン精度の優れた高品質の半導体装置を製造することができる。
本発明に用いるマスクブランクの一実施の形態の断面概略図である。 本発明の第1の実施の形態に係る堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造工程を示すマスクブランク等の断面概略図である。 本発明の第2の実施の形態に係る堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造工程を示すマスクブランク等の断面概略図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳述する。
[第1の実施の形態]
前述したように、本発明者らは、従来技術の課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、透光性基板の主表面上に遮光膜及びハードマスク膜がこの順に積層されたマスクブランクを用いて、透光性基板に形成された堀込部及び非堀込部からなる透光部と遮光膜で形成された遮光部とを備える堀込レベンソン型位相シフトマスクを製造するにあたり、エッチングガスにフッ素系ガスのほかに塩素系ガスを混合させることで、エッチングガスに塩素系ガスを混合させない場合に比べて、ガラス材料の透光性基板のエッチングレートに対するタンタルと酸素を含有する材料のハードマスク膜のエッチングレートの比率(つまり「TaOxハードマスク膜のエッチングレート/ガラス基板のエッチングレート」)を0.6以上にすることができることを突き止めた。また、エッチングガスにフッ素系ガスのほかに塩素系ガスを混合させると、エッチングガスに塩素系ガスを混合させない場合に比べて、上記ハードマスク膜のエッチングレートが低下することも突き止めた。さらに、エッチングガスにフッ素系ガスのほかに塩素系ガスを混合させると、エッチングガスに塩素系ガスを混合させない場合に比べて、上記ガラス基板のエッチングレートも低下することも突き止めた。
そして本発明者らは、これらの新たな知見をもとにさらに鋭意検討した結果、上記タンタルと酸素を含有する材料のハードマスク膜に直下の遮光膜に形成すべき遮光部のパターンを形成するときのドライエッチングでは、塩素系ガスを含まないフッ素系ガスをエッチングガスに用いることで、ハードマスク膜を加工するときのエッチングレートを速くすることができ、遮光膜上のハードマスク膜を除去するときのドライエッチングでは、塩素系ガスとフッ素系ガスを含んだエッチングガスを用いることで、ガラス材料の透光性基板が掘り込まれるのを最小限に抑制しつつ、ハードマスク膜を確実に除去できるというプロセスを適用することで、従来技術の課題を解決することができることを見出したものである。
すなわち、本発明の第1の実施の形態は、上記構成1にあるとおり、
透光性基板の主表面上に遮光膜及びハードマスク膜がこの順に積層されたマスクブランクを用い、透光性基板に形成された堀込部及び非堀込部からなる透光部と遮光膜で形成された遮光部とを備える堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法であって、
前記遮光膜は、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いてドライエッチング可能な材料からなり、前記ハードマスク膜は、タンタルと酸素を含有する材料からなり、
前記遮光部のパターンを有するレジスト膜をマスクとし、塩素系ガスを含有しないフッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記ハードマスク膜に前記遮光部のパターンを形成する工程と、
前記遮光部のパターンを有する前記ハードマスク膜をマスクとし、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記遮光膜に前記遮光部のパターンを形成する工程と、
前記堀込部のパターンを有するレジスト膜をマスクとし、フッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記透光性基板に前記堀込部を形成する工程と、
塩素系ガスとフッ素系ガスを含有するエッチングガスを用いたドライエッチングにより、前記遮光膜上のハードマスク膜を除去する工程と、
をこの順に有することを特徴とするものである。
図1は、本発明に用いるマスクブランクの一実施の形態の断面概略図であり、図2は、本発明の第1の実施の形態に係る堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造工程を示すマスクブランク等の断面概略図である。
以下、これらの図1および図2を参照して、本発明に係る堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法の第1の実施の形態について説明する。
本実施の形態の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造に用いるマスクブランクは、図1にあるとおり、透光性基板1の主表面上に、遮光膜2及びハードマスク膜3がこの順に積層された構造のマスクブランク10である。
上記マスクブランク10において、詳しくは後述するが、上記遮光膜2は、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いてドライエッチング可能な材料からなり、具体的には、クロムを含有する材料を適用することが好ましく、上記ハードマスク膜3は、タンタルと酸素を含有する材料からなる。
上記マスクブランク10における透光性基板1としては、本実施の形態のように位相シフトマスク用のブランクに使用する場合、使用する露光波長に対して透明性を有するものであれば特に制限されず、合成石英基板や、その他各種のガラス基板(例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス等)が用いられる。この中でも合成石英基板は、微細パターン形成に有効なArFエキシマレーザー(波長193nm)又はそれよりも短波長の領域で透明性が高いので、特に好ましく用いられる。
また、上記マスクブランク10における遮光膜2は、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いてドライエッチング可能な材料からなる。具体的には、例えばクロム(Cr)を含有する材料を好ましく適用することができる。
上記クロムを含有する材料としては、例えばCr単体、あるいはCrX(ここでXはN、C、O等から選ばれる少なくとも一種)などのCr化合物(例えばCrN,CrC,CrO,CrON,CrCN,CrOC,CrOCNなど)が挙げられる。
クロムを含有する材料からなる遮光膜2は、前述の酸素含有塩素系ガスによる高バイアス条件のドライエッチングによって、エッチングレートの低下を抑制しつつ、エッチングの異方性を高めることが可能である。
上記遮光膜2の膜厚は特に制約される必要はないが、遮光性や、微細パターン形成の観点から、本実施の形態においては、例えば30nm以上90nm以下の範囲であることが好適である。膜厚が90nmを超えると、ドライエッチング時のパターンのマイクロローディング現象等によって、微細パターンの形成が困難となる場合が考えられるためである。また、30nmよりも薄い場合は、露光波長に対する遮光性が十分に得られなくなる場合が考えられる。
また、上記マスクブランク10におけるハードマスク膜3は、タンタル(Ta)と酸素(O)を含有する材料からなる。また、タンタル(Ta)と酸素(O)のほかに、さらに窒素(N)、炭素(C)、ホウ素(B)および水素(H)から選らばれる1以上の元素を含有する材料でもよい。
このような材料の具体例としては、酸化タンタル(TaO)、酸化窒化タンタル(TaON)、ホウ化酸化タンタル(TaBO)、ホウ化酸化窒化タンタル(TaBON)等が挙げられる。
このようなタンタルと酸素を含有する材料からなるハードマスク膜3は、例えば上記クロム(Cr)を含有する材料で形成された遮光膜2との間で十分なエッチング選択性を有しており、遮光膜2にほとんどダメージを与えずにハードマスク膜3をエッチング除去することが可能である。
また、タンタルと酸素を含有する材料のハードマスク膜3は、塩素系ガスの混合比率を高めた酸素含有塩素系ガスによるドライエッチング、とくに高バイアス条件のドライエッチングに対しても高いエッチング耐性を有する。したがって、タンタルと酸素を含有する材料でハードマスク膜3を形成することで、該ハードマスク膜3をマスクとする遮光膜2のドライエッチングにおいて、酸素含有塩素系ガスによる高バイアス条件のドライエッチングによってもハードマスク膜3のサイドエッチングの発生を抑制できる。また、遮光膜2のエッチングレートの低下を抑制しつつ、エッチングの異方性を高めることが可能である。
上記ハードマスク膜3は、タンタルと酸素の組成比 Ta:O(原子数比)が、1:0.2〜1:2.5の範囲内であることが好ましい。これにより、酸素含有塩素系ガスによる高バイアス条件のドライエッチングに対する耐性が向上する。ハードマスク3における酸素の含有量が0.2よりも少ないと、遮光膜エッチング時にエッチングガスに含まれる塩素によってハードマスクパターンが侵食されやすくなる。また、ハードマスク3における酸素含有量が多すぎる場合は、ハードマスクパターンを剥離するときに必要なエッチング時間が長くなる。ハードマスク膜3におけるタンタルと酸素の組成比の好ましい範囲は、1:0.5〜1:2.2であり、特に好ましくは、1:0.75〜1:2.0の範囲である。
上記ハードマスク膜3の膜厚は特に制約される必要はないが、少なくとも直下の遮光膜3のエッチングが完了する前に消失しない程度の膜厚が必要である。一方、ハードマスク膜3の膜厚が厚いと、直上のレジストパターンを薄膜化することが困難である。このような観点から、本実施の形態においては、上記ハードマスク膜3の膜厚は、1.5nm以上、20nm以下の範囲であることが好ましく、特に2.5nm以上、8nm以下であることが好適である。
図1に示すマスクブランク10のような透光性基板1上に、遮光膜2及びハードマスク膜3が順に積層された積層膜からなる薄膜を形成する方法は特に制約される必要はないが、なかでもスパッタリング成膜法が好ましく挙げられる。スパッタリング成膜法によると、均一で膜厚の一定な膜を形成することが出来るので好適である。
次に、以上説明したマスクブランク10を用いて、本実施の形態の堀込レベンソン型位相シフトマスクを製造する工程(図2)を説明する。
まず、上記マスクブランク10の表面に所定のレジスト膜(レジストパターン)4を形成する(図2(a)参照)。このレジスト膜4は遮光膜2に形成されるべき遮光部のパターンを有する。具体的には、マスクブランク10の表面に例えば電子線レジストを塗布、乾燥してレジスト層を形成し、所定のパターン描画を行い、描画後、現像することによって、上記遮光部のパターンを有するレジスト膜4が形成される。
次に、マスクブランク10のハードマスク膜3上に形成された上記遮光部のパターンを有するレジスト膜4をマスクとして、塩素系ガスを含有しないフッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、ハードマスク膜3に上記遮光部のパターンに対応するハードマスク膜パターン3aを形成する(図2(b)参照)。
本発明においては、このハードマスク膜3にパターンを形成するためのドライエッチングにおいて、塩素系ガスを含有しないフッ素系ガスをエッチングガスに用いることが重要である。前にも説明したように、本発明者らは、エッチングガスにフッ素系ガスのほかに塩素系ガスを混合させると、エッチングガスに塩素系ガスを混合させない場合に比べて、上記タンタルと酸素を含有する材料からなるハードマスク膜3のエッチングレートが低下することを突き止めた。したがって、上記ハードマスク膜3に直下の遮光膜2に形成すべき遮光部のパターンを形成するときのドライエッチングでは、塩素系ガスを含有しないフッ素系ガスをエッチングガスに用いることで、ハードマスク膜3を加工するときのエッチングレートを速くすることができる。ハードマスク膜3を加工するときのエッチングレートが速いと、上記レジスト膜4を可能な限り薄膜化することができる。
この場合のエッチングガスとして用いるフッ素系ガスとしては、例えば、CHF、CFなどが挙げられる。本実施の形態では、このような炭素を含有するフッ素系ガスを好ましく用いることができる。また、炭素を含有しないSFなどのフッ素系ガスを用いることもできる。
また、本実施の形態においては、フッ素系ガスに更に希ガスを含有するエッチングガスを用いることがより好ましい。フッ素系ガスと希ガスの混合ガスをエッチングガスとして用いることにより、上記ハードマスク膜3を加工するときに、下の層がハードマスク膜3のエッチング時に損傷することが抑制される。また、フッ素系ガスはラジカルを生成する能力が高いため、フッ素系ガスのチャンバー内濃度が高くなりすぎるとドライエッチングに係る反応が速く進み過ぎ、下地となっている遮光膜に損傷を与える恐れがある。フッ素系ガスと共存する希ガスによってフッ素系ガスの分圧を調整し、それによってドライエッチング時の反応性を制御することができる。
希ガスとして、例えば、He(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Ar(アルゴン)、Kr(クリプトン)及びXe(キセノン)が挙げられる。希ガスの中では特にHe(ヘリウム)ガスを使用することが好ましい。Heは軽いため、ハードマスク膜3の下地にある遮光膜2の一部が露出していても、Heの衝突による物理的な衝撃が少ない。したがって、ハードマスク膜3の下地にある遮光膜2の損傷を防止することができる。この場合、フッ素系ガスとヘリウムの混合比は、1:1〜1:50(流量比)であることが好ましく、1:15〜1:40(流量比)であることがより好ましい。ドライエッチング中の全圧やハードマスク膜の酸化の状態等に応じて調整することができる。
なお、この段階で、残存する上記レジスト膜4は剥離液等で除去してもよい。
次に、上記のように形成されたハードマスク膜パターン3aをマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いた遮光膜2のドライエッチングにより、遮光部のパターンに対応する遮光膜パターン2aを形成する(図2(c)参照)。
上記のとおり、遮光膜2は、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いてドライエッチング可能な例えばクロムを含有する材料で形成されている。したがって、塩素系ガスの混合比率を高めた酸素含有塩素系ガスによるドライエッチング、とくに高バイアス条件のドライエッチングによって、遮光膜2のエッチングレートの低下を抑制しつつ、エッチングの異方性を高めることが可能である。また、上記タンタルと酸素を含有する材料のハードマスク膜3は、塩素系ガスの混合比率を高めた酸素含有塩素系ガスによるドライエッチング、とくにバイアス電力が30W以上の高バイアス条件のドライエッチングに対しても高いエッチング耐性を有するので、ハードマスク膜3のサイドエッチングの発生を抑制できる。そのため、ハードマスク膜3のサイドエッチングの進行に起因する遮光膜パターン2aのCD精度の低下も抑制できる。
以上のことから、本実施の形態では、例えばクロム系材料の遮光膜2に微細な転写パターンであっても高精度で形成することができる。
次に、上記遮光膜パターン2aが形成された基板上に所定のレジスト膜(レジストパターン)5を形成する(図2(d)参照)。このレジスト膜5は、後の工程で透光性基板1に形成される堀込部のパターンを有する。具体的には、上記基板上の全面に例えば電子線レジストを塗布、乾燥してレジスト層を形成し、所定のパターン描画を行い、描画後、現像することによって、上記堀込部のパターンを有するレジスト膜5が形成される。
なお、本実施の形態においては、この段階では、上記ハードマスク膜パターン3aは遮光膜パターン2a上に残存している。
次に、上記堀込部のパターンを有するレジスト膜5をマスクとし、フッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、上記透光性基板1に所定の堀込部1aを形成する(図2(e)参照)。堀込部1aの堀込深さは、マスク完成時において堀込部の底面と非堀込部の底面との間の深さの差が位相シフト効果を生じさせる所定の深さとなるようにする。
この場合のエッチングガスに用いるフッ素系ガスとしては、例えば、CHF、CF、SFなどのフッ素系ガスを用いることができる。また、必要に応じて、これらフッ素系ガスにアルゴンガス等の希ガスを混合して用いてもよい。
次いで、残存する上記レジスト膜5を、剥離液等を用いて除去する(図2(f)参照)。
次に、表面に露出している遮光膜パターン2a上の上記ハードマスク膜パターン3aを、塩素系ガスとフッ素系ガスを含有するエッチングガスを用いたドライエッチングにより除去する(図2(g)参照)。
本発明においては、この遮光膜パターン2a上のハードマスク膜パターン3aを除去するためのドライエッチングにおいて、塩素系ガスを含有するフッ素系ガスをエッチングガスに用いることが重要である。前にも説明したように、本発明者らは、エッチングガスにフッ素系ガスのほかに塩素系ガスを混合させることで、エッチングガスに塩素系ガスを混合させない場合に比べて、ガラス材料の透光性基板のエッチングレートに対するタンタルと酸素を含有する材料からなるハードマスク膜のエッチングレートの比率(つまり「TaOxハードマスク膜のエッチングレート/ガラス基板のエッチングレート」)を高くする(例えば0.6以上)ことができることを突き止めた。したがって、遮光膜パターン2a上のハードマスク膜パターン3aを除去するときのドライエッチングでは、塩素系ガスとフッ素系ガスを含んだエッチングガスを用いることで、透光性基板1の表面が露出した透光部(堀込部1a及び非堀込部)が掘り込まれるのを最小限に抑制しつつ、ハードマスク膜パターン3aを確実に除去することができる。その結果、基板堀込部および非堀込部の堀込深さに係る面内均一性を高めることができる。
この場合のエッチングガスとして用いるフッ素系ガスとしては、例えば、CHF、CFなどが挙げられる。本実施の形態では、このような炭素を含有するフッ素系ガスを好ましく用いることができる。また、炭素を含有しないSFなどのフッ素系ガスを用いることもできる。
このハードマスク膜パターン3aを除去する工程に用いるエッチングガスは、塩素系ガスとフッ素系ガスの混合比が、塩素系ガス:フッ素系ガス(流量比)で10:1〜25:1であることが好ましい。塩素系ガスの反応性ガスに含まれる混合比率が少ないと、ガラス材料の透光性基板のエッチングレートに対するタンタルと酸素を含有する材料からなるハードマスク膜のエッチングレートの比率をあまり高くすることができない。一方、塩素系ガスの混合比率が多いと、透光性基板及びハードマスク膜のエッチングレートそのものが低下してしまう。
より好ましくは、塩素系ガス:フッ素系ガス(流量比)が15:1〜20:1である。
また、本実施の形態においては、上記塩素系ガスとフッ素系ガスに更に希ガスを含有するエッチングガスを用いることがより好ましい。塩素系ガス及びフッ素系ガスと希ガスの混合ガスをエッチングガスとして用いることにより、上記ハードマスク膜パターン3aを除去するときのエッチングレートをより高めることが可能になる。
上記希ガスとしては、ハードマスク膜3のエッチングレートを高める効果の点で、特にヘリウム(He)ガスが好適である。この場合、塩素系ガスとフッ素系ガスとヘリウムガスの混合比は、フッ素系ガスと塩素系ガスの合計とヘリウムガスの流量比(フッ素系ガス+塩素系ガス):Heが、10:1〜10:6の範囲であることが好ましい。薄膜との反応性が期待される反応性ガス(塩素系ガスとフッ素系ガス)の割合が少ないと、薄膜と反応性ガスの反応による効果が得られにくくなり、エッチングレートが低下する。また、ヘリウムガスの割合が低くなると、ヘリウムガス(ヘリウムイオン)による薄膜への物理的衝撃が減少するため、エッチングレートの相乗的な増加が得られにくくなる。
以上の工程によって、図2(g)に示すような、透光性基板1に形成された堀込部1a及び非堀込部からなる透光部と遮光膜パターン2aで形成された遮光部とを備え、メインパターン6、アライメントマーク7等を有する堀込レベンソン型位相シフトマスク20が出来上がる。
上述の説明からも明らかなように、本実施の形態による上記製造工程にしたがって堀込レベンソン型位相シフトマスクを製造することにより、微細な転写パターンであっても高精度で形成することができる堀込レベンソン型位相シフトマスクを得ることができる。しかも、基板堀込部および非堀込部の堀込深さに係る面内均一性を高めることができる堀込レベンソン型位相シフトマスクを得ることができる。
また、このような本実施の形態により製造された堀込レベンソン型位相シフトマスクを用いて、リソグラフィー法により当該位相シフトマスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写する工程を含む半導体装置の製造方法によれば、パターン精度の優れた高品質の半導体装置を得ることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
本発明の第2の実施の形態は、上記構成2にあるとおり、
透光性基板の主表面上に遮光膜及びハードマスク膜がこの順に積層されたマスクブランクを用い、透光性基板に形成された堀込部及び非堀込部からなる透光部と遮光膜で形成された遮光部とを備える堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法であって、
前記遮光膜は、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いてドライエッチング可能な材料からなり、前記ハードマスク膜は、タンタルと酸素を含有する材料からなり、
前記遮光部のパターンを有するレジスト膜をマスクとし、塩素系ガスを含有しないフッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記ハードマスク膜に前記遮光部のパターンを形成する工程と、
前記遮光部のパターンを有する前記ハードマスク膜をマスクとし、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記遮光膜に前記遮光部のパターンを形成する工程と、
塩素系ガスとフッ素系ガスを含有するエッチングガスを用いたドライエッチングにより、前記遮光膜上のハードマスク膜を除去する工程と、
前記堀込部のパターンを有するレジスト膜をマスクとし、フッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記透光性基板に前記堀込部を形成する工程と、
をこの順に有することを特徴とするものである。
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造工程を示すマスクブランク等の断面概略図である。
以下、図3を参照して、本発明に係る堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造に用いるマスクブランクは、前述の第1の実施の形態に用いたマスクブランクと同様のものであり、図1に示すような透光性基板1の主表面上に、遮光膜2及びハードマスク膜3がこの順に積層された構造のマスクブランク10である。よって、マスクブランク10に関する詳細は、ここでは重複説明を省略する。
本実施の形態に係る製造方法において、まず、上記マスクブランク10の表面に所定のレジスト膜(レジストパターン)4を形成する工程(図3(a)参照)と、次に、マスクブランク10のハードマスク膜3上に形成された上記遮光部のパターンを有するレジスト膜4をマスクとして、塩素系ガスを含有しないフッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、ハードマスク膜3に上記遮光部のパターンに対応するハードマスク膜パターン3aを形成する工程(図3(b)参照)と、次に、上記のように形成されたハードマスク膜パターン3aをマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いた遮光膜2のドライエッチングにより、遮光部のパターンに対応する遮光膜パターン2aを形成する工程(図3(c)参照)については、前述の第1の実施の形態(図2(a)、(b)、(c)参照)と同様であるため、ここでは重複説明を省略する。
本実施の形態においては、上記のハードマスク膜パターン3aをマスクとして、遮光膜2のドライエッチングにより、遮光膜パターン2aを形成(図3(c))した後、表面に露出している遮光膜パターン2a上のハードマスク膜パターン3aを、塩素系ガスとフッ素系ガスを含有するエッチングガスを用いたドライエッチングにより除去する工程(図3(d)参照)を行う。
本実施の形態においても、遮光膜パターン2a上のハードマスク膜パターン3aを除去するときのドライエッチングでは、塩素系ガスとフッ素系ガスを含んだエッチングガスを用いることで、透光性基板1の表面が露出した透光部(非堀込部)が掘り込まれるのを最小限に抑制しつつ、ハードマスク膜パターン3aを確実に除去することができる。その結果、マスク完成時の基板堀込部および非堀込部の堀込深さに係る面内均一性を高めることができる。
この場合のエッチングガスとして用いるフッ素系ガスとしては、第1の実施の形態の場合と同様、例えば、CHF、CFなどの炭素を含有するフッ素系ガスを好ましく用いることができる。また、炭素を含有しないSFなどのフッ素系ガスを用いることもできる。
また、このハードマスク膜パターン3aを除去する工程に用いるエッチングガスの塩素系ガスとフッ素系ガスの混合比については、第1の実施の形態の場合と同様である。また、本実施の形態においても、上記塩素系ガスとフッ素系ガスに更にヘリウムガス等の希ガスを含有するエッチングガスを用いることがより好ましく、この場合の塩素系ガスとフッ素系ガスとヘリウムガスの混合比については、第1の実施の形態と同様である。
次に、上記遮光膜パターン2aが形成された基板上に所定のレジスト膜(レジストパターン)5を形成する(図3(e)参照)。このレジスト膜5は、後の工程で透光性基板1に形成される堀込部のパターンを有する。
次に、上記堀込部のパターンを有するレジスト膜5をマスクとし、フッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、上記透光性基板1に所定の堀込部1aを形成する(図3(f)参照)。堀込部1aの堀込深さは、マスク完成時において堀込部の底面と非堀込部の底面との間の深さの差が位相シフト効果を生じさせる所定の深さである。
この場合のエッチングガスに用いるフッ素系ガスとしては、第1の実施の形態の場合と同様、例えば、CHF、CF、SFなどのフッ素系ガスを用いることができ、また必要に応じて、これらフッ素系ガスにアルゴンガス等の希ガスを混合して用いてもよい。
次いで、残存する上記レジスト膜5を剥離液等を用いて除去する(図3(g)参照)。
以上の本実施の形態の製造工程によって、図3(g)に示すような、透光性基板1に形成された堀込部1a及び非堀込部からなる透光部と遮光膜パターン2aで形成された遮光部とを備え、メインパターン6、アライメントマーク7等を有する堀込レベンソン型位相シフトマスク20が出来上がる。
本実施の形態による製造工程にしたがって堀込レベンソン型位相シフトマスクを製造した場合においても、微細な転写パターンであっても高精度で形成することができる堀込レベンソン型位相シフトマスクを得ることができる。しかも、基板堀込部および非堀込部の堀込深さに係る面内均一性を高めることができる堀込レベンソン型位相シフトマスクを得ることができる。
また、このような本実施の形態により製造された堀込レベンソン型位相シフトマスクを用いて、リソグラフィー法により当該位相シフトマスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写する工程を含む半導体装置の製造方法により、パターン精度の優れた高品質の半導体装置を得ることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例は、前述の第1の実施の形態に対応する実施例である。
本実施例に使用するマスクブランクは、図1に示すような、透光性基板(ガラス基板)1上に、遮光膜2、ハードマスク膜3を順に積層した構造のものである。このマスクブランクは、以下のようにして作製した。
ガラス基板として合成石英基板(大きさ約152mm×152mm×厚み6.35mm)を準備した。
次に、枚葉式DCスパッタリング装置内に上記合成石英基板を設置し、CrOCN膜からなる遮光膜を形成した。具体的には、クロムからなるターゲットを用い、アルゴン(Ar)と二酸化炭素(CO)と窒素(N)とヘリウム(He)の混合ガス雰囲気(流量比 Ar:CO:N:He=20:25:13:30、圧力0.3Pa)中で、反応性スパッタリングを行うことにより、上記基板上に厚さ59nmのCrOCN膜からなる遮光膜を形成した。
形成したCrOCN遮光膜の組成は、Cr:O:C:N=55.2:22.1:11.6:11.1(原子%比)であった。これらの組成はXPSにより測定した。
次いで、上記遮光膜の上に、TaO膜からなるハードマスク膜を形成した。具体的には、タンタルのターゲットを用い、アルゴン(Ar)と酸素(O)とヘリウム(He)の混合ガス雰囲気(流量比 Ar:O:He=8:20:32、圧力0.3Pa)中で、反応性スパッタリングを行うことにより、上記遮光膜の上に厚さ5nmのTaO膜からなるハードマスク膜を形成した。形成したTaO膜の組成は、Ta:O=42:58(原子%比)であった。この組成はXPSにより測定した。
なお、上記遮光膜の光学濃度は、ArFエキシマレーザーの波長(193nm)において3.0以上(透過率0.1%以下)であった。
以上のようにして本実施例に使用するマスクブランクを作製した。
次に、このマスクブランクを用いて、前述の図2に示される製造工程に従って、堀込レベンソン型位相シフトマスクを製造した。なお、以下の符号は図1および図2中の符号と対応している。
まず、上記マスクブランク10の上面に、スピン塗布法によって、電子線描画用の化学増幅型レジスト(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製 PRL009)を塗布し、所定のベーク処理を行って、膜厚100nmのレジスト層を形成した。
次に、電子線描画機を用いて、上記レジスト層に対して所定のデバイスパターン(遮光膜2に形成すべき遮光部のパターンに対応するパターン)を描画した後、レジスト層を現像してレジストパターン4を形成した(図2(a)参照)。
次に、上記レジストパターン4をマスクとして、ハードマスク膜3のドライエッチングを行い、ハードマスク膜パターン3aを形成した(図2(b)参照)。ドライエッチングガスとしては塩素系ガスを含有しないフッ素系ガス(CHF)とヘリウム(He)の混合ガス(CHF:He=10:150(流量比))を用いた。なお、ハードマスク膜3のエッチングレートは、1.4Å/秒であった。
次に、上記レジストパターン4を剥離液で除去した後、上記ハードマスク膜パターン3aをマスクとして、遮光膜2のドライエッチングを行い、遮光膜パターン2aを形成した(図2(c)参照)。ドライエッチングガスとしては、塩素ガス(Cl)の混合比率を高めたClとOの混合ガス(Cl:O=4:1(流量比))を用いた。また、ドライエッチング時に50Wの高バイアス電力をかけた。なお、遮光膜2のエッチングレートは、2.0Å/秒で、ライン・アンド・スペース(L/S)50nmの微細遮光膜パターンが形成されていた。
次に、上記図2(c)の状態の基板上の全面に、スピン塗布法により、前記レジスト層を再び形成し、電子線描画機を用いて、所定のパターン(後の工程で透光性基板1に形成される堀込部のパターン)を描画した後、現像してレジストパターン5を形成した(図2(d)参照)。
続いて、この基板堀込部のパターンを有するレジストパターン5をマスクとして、ドライエッチングを行い、上記ガラス基板1に所定の堀込部1aを形成した(図2(e)参照)。この場合のドライエッチングガスとしてはフッ素系ガス(CF)とヘリウム(He)の混合ガス(CF:He=60:40(流量比))を用いた。なお、ガラス基板1のエッチングレートは、9.0Å/秒であった。基板堀込部1aの堀込深さは、マスク完成時において堀込部の底面と非堀込部の底面との間の深さの差が位相シフト効果を生じさせる所定の深さとなるようにエッチング時間を調節した。
次に、上記レジストパターン5を剥離液で除去した後(図2(f)参照)、表面に露出している遮光膜パターン2a上のハードマスク膜パターン3aを、塩素系ガスとフッ素系ガスを含有するエッチングガスを用いたドライエッチングにより除去した(図2(g)参照)。
ドライエッチングガスとしては塩素ガス(Cl)とフッ素系ガス(CHF)とヘリウム(He)の混合ガス(Cl:CHF:He=340:20:100(流量比))を用いた。なお、この場合のハードマスク膜3のエッチングレートは、0.42Å/秒であった。また、ガラス基板1のエッチングレートに対するハードマスク膜3のエッチングレートの比率(つまり「TaOハードマスク膜のエッチングレート/ガラス基板のエッチングレート」)は、0.8であった。因みに、エッチングガスに上記塩素ガスを混合させない場合(つまり上記フッ素系ガスとヘリウムの混合ガス)には、上記エッチングレートの比率は、0.4であった。すなわち、遮光膜パターン2a上のハードマスク膜パターン3aを除去するときのドライエッチングでは、エッチングガスにフッ素系ガスのほかに塩素系ガスを混合させることで、上記エッチングレートの比率を高くすることができ、透光性基板1の表面が露出した透光部(堀込部1a及び非堀込部)が掘り込まれるのを最小限に抑制しつつ、ハードマスク膜パターン3aを確実に除去することができる。
以上のようにして、図2(g)に示すような、透光性基板1に形成された堀込部1a及び非堀込部からなる透光部と遮光膜パターン2aで形成された遮光部とを備えた堀込レベンソン型位相シフトマスク20を製造した。
本実施例によって製造された堀込レベンソン型位相シフトマスクは、微細な転写パターンであっても高精度で形成することができ、かつ基板堀込部および非堀込部の堀込深さに係る面内均一性を高めることができた。
また、本実施例によって製造された堀込レベンソン型位相シフトマスクを用いて、リソグラフィー法により当該位相シフトマスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写することにより、パターン精度の優れた高品質の半導体装置を得ることができる。
なお、上記遮光膜パターン2a上のハードマスク膜パターン3aを除去する工程で、ドライエッチングガスとして、ヘリウムガスを含まない塩素ガス(Cl)とフッ素系ガス(CHF)の混合ガス(Cl:CHF=340:20(流量比))を用いたところ、ハードマスク膜3のエッチングレートは、0.34Å/秒であった。つまり、これらのエッチングガスにヘリウムガスを含むことにより、ハードマスク膜のエッチングレートが向上することを確認できた。
(実施例2)
本実施例は、前述の第2の実施の形態に対応する実施例である。
本実施例に使用するマスクブランクは、実施例1に使用したマスクブランクと同一であり、上記実施例1と同様にして作製した。
このマスクブランクを用いて、前述の図3に示される製造工程に従って、堀込レベンソン型位相シフトマスクを製造した。なお、以下の符号は図1および図3中の符号と対応している。
まず、上記マスクブランク10の上面に、スピン塗布法によって、電子線描画用の化学増幅型レジスト(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製 PRL009)を塗布し、所定のベーク処理を行って、膜厚100nmのレジスト層を形成した。
次に、電子線描画機を用いて、上記レジスト層に対して所定のデバイスパターン(遮光膜2に形成すべき遮光部のパターンに対応するパターン)を描画した後、レジスト層を現像してレジストパターン4を形成した(図3(a)参照)。
次に、上記レジストパターン4をマスクとして、ハードマスク膜3のドライエッチングを行い、ハードマスク膜パターン3aを形成した(図3(b)参照)。ドライエッチングガスとしては塩素系ガスを含有しないフッ素系ガス(CHF)とヘリウム(He)の混合ガス(CHF:He=10:150(流量比))を用いた。なお、ハードマスク膜3のエッチングレートは、1.4Å/秒であった。
次に、上記レジストパターン4を剥離液で除去した後、上記ハードマスク膜パターン3aをマスクとして、遮光膜2のドライエッチングを行い、遮光膜パターン2aを形成した(図3(c)参照)。ドライエッチングガスとしては、塩素ガス(Cl)の混合比率を高めたClとOの混合ガスCl:O=4:1(流量比))を用いた。また、ドライエッチング時に50Vの高バイアス電圧をかけた。なお、遮光膜2のエッチングレートは、2.0Å/秒であり、ライン・アンド・スペース(L/S)50nmの微細遮光膜パターンが形成されていた。
次に、表面に露出している遮光膜パターン2a上のハードマスク膜パターン3aを、塩素系ガスとフッ素系ガスを含有するエッチングガスを用いたドライエッチングにより除去した(図3(d)参照)。
ドライエッチングガスとしては塩素ガス(Cl)とフッ素系ガス(CHF)とヘリウム(He)の混合ガス(Cl:CHF:He=340:10:100(流量比))を用いた。なお、この場合のハードマスク膜3のエッチングレートは、0.42Å/秒であった。また、ガラス基板1のエッチングレートに対するハードマスク膜3のエッチングレートの比率(つまり「TaOハードマスク膜のエッチングレート/ガラス基板のエッチングレート」)は、0.8であった。実施例1でも説明したように、遮光膜パターン2a上のハードマスク膜パターン3aを除去するときのドライエッチングでは、エッチングガスにフッ素系ガスのほかに塩素系ガスを混合させることで、上記エッチングレートの比率を高くすることができ、透光性基板1の表面が露出した透光部が掘り込まれるのを最小限に抑制しつつ、ハードマスク膜パターン3aを確実に除去することができる。
次に、図3(d)の状態の基板上の全面に、スピン塗布法により、前記レジスト層を再び形成し、電子線描画機を用いて、所定のパターン(後の工程で透光性基板1に形成される堀込部のパターン)を描画した後、現像してレジストパターン5を形成した(図3(e)参照)。
続いて、この基板堀込部のパターンを有するレジストパターン5をマスクとして、ドライエッチングを行い、上記ガラス基板1に所定の堀込部1aを形成した(図3(f)参照)。この場合のドライエッチングガスとしてはフッ素系ガス(CF)とヘリウム(He)の混合ガス(CF:He=60:40(流量比))を用いた。なお、ガラス基板1のエッチングレートは、9Å/秒であった。基板堀込部1aの堀込深さは、マスク完成時において堀込部の底面と非堀込部の底面との間の深さの差が位相シフト効果を生じさせる所定の深さとなるようにエッチング時間を調節した。
次いで、残存する上記レジストパターン5を剥離液で除去した。
以上のようにして、図3(g)に示すような、透光性基板1に形成された堀込部1a及び非堀込部からなる透光部と遮光膜パターン2aで形成された遮光部とを備えた堀込レベンソン型位相シフトマスク20を製造した。
本実施例によって製造された堀込レベンソン型位相シフトマスクにおいても、微細な転写パターンを高精度で形成することができ、かつ基板堀込部および非堀込部の堀込深さに係る面内均一性を高めることができた。
また、本実施例によって製造された堀込レベンソン型位相シフトマスクを用いて、リソグラフィー法により当該位相シフトマスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写することにより、パターン精度の優れた高品質の半導体装置を得ることができる。
(比較例1)
実施例1と同じマスクブランクを用いて、堀込レベンソン型位相シフトマスクを作製した。本比較例においては、上記実施例1における表面に露出している遮光膜パターン2a上のハードマスク膜パターン3aをドライエッチングにより除去する工程(図2(g))において、ドライエッチングガスとして、塩素ガスは含有しないフッ素系ガス(CHF)とヘリウム(He)の混合ガス(CHF:He=30:20(流量比))を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして堀込レベンソン型位相シフトマスクを作製した。
上記の塩素ガスは含有しないフッ素系ガス(CHF)とヘリウム(He)の混合ガスを用いて、ハードマスク膜パターン3aをドライエッチングにより除去する場合の、ガラス基板1のエッチングレートに対するハードマスク膜3のエッチングレートの比率(つまり「TaOハードマスク膜のエッチングレート/ガラス基板のエッチングレート」)は、0.22であった。
すなわち、実施例1のように遮光膜パターン2a上のハードマスク膜パターン3aを除去するときのエッチングガスにフッ素系ガスのほかに塩素系ガスを含有する場合と比べて、上記エッチングレートは高くなるものの、ガラスとのエッチングレートの比率が低下してしまう。そのため、ハードマスク膜パターン3aを確実に除去できるまでに要するエッチング時間が長くなり、透光性基板1の表面が露出した透光部(堀込部1a及び非堀込部)の堀込量も多くなってしまい、結果的に基板堀込部および非堀込部の堀込深さの面内均一性が低下してしまう。
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明したが、これは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載した技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 透光性基板
2 遮光膜
3 ハードマスク膜
4、5 レジスト膜(レジストパターン)
6 メインパターン
7 アライメントマーク
10 マスクブランク
20 堀込レベンソン型位相シフトマスク

Claims (8)

  1. 透光性基板の主表面上に遮光膜及びハードマスク膜がこの順に積層されたマスクブランクを用い、透光性基板に形成された堀込部及び非堀込部からなる透光部と遮光膜で形成された遮光部とを備える堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法であって、
    前記遮光膜は、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いてドライエッチング可能な材料からなり、
    前記ハードマスク膜は、タンタルと酸素を含有する材料からなり、
    前記遮光部のパターンを有するレジスト膜をマスクとし、塩素系ガスを含有しないフッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記ハードマスク膜に前記遮光部のパターンを形成する工程と、
    前記遮光部のパターンを有する前記ハードマスク膜をマスクとし、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記遮光膜に前記遮光部のパターンを形成する工程と、
    前記堀込部のパターンを有するレジスト膜をマスクとし、フッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記透光性基板に前記堀込部を形成する工程と、
    塩素系ガスとフッ素系ガスを含有するエッチングガスを用いたドライエッチングにより、前記遮光膜上のハードマスク膜を除去する工程と、
    をこの順に有することを特徴とする堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
  2. 透光性基板の主表面上に遮光膜及びハードマスク膜がこの順に積層されたマスクブランクを用い、透光性基板に形成された堀込部及び非堀込部からなる透光部と遮光膜で形成された遮光部とを備える堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法であって、
    前記遮光膜は、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いてドライエッチング可能な材料からなり、
    前記ハードマスク膜は、タンタルと酸素を含有する材料からなり、
    前記遮光部のパターンを有するレジスト膜をマスクとし、塩素系ガスを含有しないフッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記ハードマスク膜に前記遮光部のパターンを形成する工程と、
    前記遮光部のパターンを有する前記ハードマスク膜をマスクとし、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記遮光膜に前記遮光部のパターンを形成する工程と、
    塩素系ガスとフッ素系ガスを含有するエッチングガスを用いたドライエッチングにより、前記遮光膜上のハードマスク膜を除去する工程と、
    前記堀込部のパターンを有するレジスト膜をマスクとし、フッ素系ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、前記透光性基板に前記堀込部を形成する工程と、
    をこの順に有することを特徴とする堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
  3. 前記遮光膜は、クロムを含有する材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
  4. 前記ハードマスク膜は、タンタルと酸素の組成比 Ta:O(原子数比)が1:0.2〜1:2.5の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
  5. 前記ハードマスク膜を除去する工程に用いるエッチングガスは、塩素系ガスとフッ素系ガスの混合比が、塩素系ガス:フッ素系ガス(流量比)で10:1〜25:1であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
  6. 前記ハードマスク膜に前記遮光部のパターンを形成する工程に用いるエッチングガス及び前記ハードマスク膜を除去する工程に用いるエッチングガスは、いずれも更に希ガスを含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
  7. 前記希ガスは、ヘリウムガスであることを特徴とする請求項6に記載の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の堀込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法により製造された堀込レベンソン型位相シフトマスクを用い、リソグラフィー法により前記堀込レベンソン型位相シフトマスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

JP2015067791A 2015-03-29 2015-03-29 掘込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法及び半導体装置の製造方法 Pending JP2016188882A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015067791A JP2016188882A (ja) 2015-03-29 2015-03-29 掘込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法及び半導体装置の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015067791A JP2016188882A (ja) 2015-03-29 2015-03-29 掘込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法及び半導体装置の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016188882A true JP2016188882A (ja) 2016-11-04

Family

ID=57240537

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015067791A Pending JP2016188882A (ja) 2015-03-29 2015-03-29 掘込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法及び半導体装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016188882A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110383167A (zh) * 2017-02-27 2019-10-25 Hoya株式会社 掩模坯料、转印用掩模的制造方法、以及半导体器件的制造方法
JP2022172744A (ja) * 2021-05-07 2022-11-17 東京エレクトロン株式会社 基板処理方法および基板処理装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110383167A (zh) * 2017-02-27 2019-10-25 Hoya株式会社 掩模坯料、转印用掩模的制造方法、以及半导体器件的制造方法
CN110383167B (zh) * 2017-02-27 2022-08-23 Hoya株式会社 掩模坯料、转印用掩模的制造方法、以及半导体器件的制造方法
JP2022172744A (ja) * 2021-05-07 2022-11-17 東京エレクトロン株式会社 基板処理方法および基板処理装置
JP7308876B2 (ja) 2021-05-07 2023-07-14 東京エレクトロン株式会社 基板処理方法および基板処理装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6367401B2 (ja) 位相シフトマスクブランク及びその製造方法、位相シフトマスク及びその製造方法、並びに表示装置の製造方法
JP6266842B2 (ja) マスクブランク、マスクブランクの製造方法、位相シフトマスク、位相シフトマスクの製造方法及び半導体デバイスの製造方法
JP6053836B2 (ja) マスクブランク及び位相シフトマスクの製造方法
JP6150299B2 (ja) マスクブランク、転写用マスクの製造方法及び半導体装置の製造方法
JP5009649B2 (ja) マスクブランク、露光用マスクの製造方法、反射型マスクの製造方法、及びインプリント用テンプレートの製造方法
US8043771B2 (en) Phase shift mask blank and method of manufacturing phase shift mask
US10571797B2 (en) Mask blank, transfer mask, method for manufacturing transfer mask, and method for manufacturing semiconductor device
US10088744B2 (en) Mask blank, method of manufacturing phase shift mask, phase shift mask, and method of manufacturing semiconductor device
JP2010072406A (ja) フォトマスクブランク、フォトマスク及びこれらの製造方法
JP2009206339A (ja) インプリントモールド用マスクブランク及びインプリントモールドの製造方法
JP6544964B2 (ja) マスクブランク、位相シフトマスクの製造方法、及び、半導体デバイスの製造方法
JP2010286665A (ja) フォトマスクの製造方法
JP2016188958A (ja) マスクブランク、位相シフトマスクの製造方法、及び、半導体デバイスの製造方法
JP2013083933A (ja) マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法および半導体デバイスの製造方法
JP2009080421A (ja) マスクブランク、及びインプリント用モールドの製造方法
JP5221168B2 (ja) インプリントモールド用マスクブランク及びインプリントモールドの製造方法
TW201626099A (zh) 空白光罩
KR101532802B1 (ko) 에칭 방법 및 포토마스크 블랭크의 가공 방법
JP2017227824A (ja) マスクブランク、転写用マスクの製造方法および半導体デバイスの製造方法
JP2016188882A (ja) 掘込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法及び半導体装置の製造方法
JP2018054794A (ja) マスクブランク用ガラス基板の再生方法、マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法
JP2016212322A (ja) 位相シフトマスクブランク、位相シフトマスクの製造方法及び半導体装置の製造方法
WO2022196692A1 (ja) 位相シフトマスクブランク、位相シフトマスク及び位相シフトマスクの製造方法
WO2023037731A1 (ja) マスクブランク、位相シフトマスク及び半導体デバイスの製造方法
JP6430585B2 (ja) マスクブランク、転写用マスクの製造方法及び半導体装置の製造方法