JP2018054639A - 光学デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】配光を行うことができる光学デバイスを提供する。
【解決手段】光透過性を有する一対の第1電極10及び第2電極20と、第1電極10と第2電極20との間に位置し、可視光領域での屈折率が調整可能な屈折率調整層30と、屈折率調整層30の一方の面を凹凸にする凹凸層40とを有し、屈折率調整層30は、主として、液晶分子31を含む液晶材料からなり、屈折率調整層30の一方の面における液晶分子31は、垂直配向している。
【選択図】図1B

Description

本発明は、光学デバイスに関する。
光学的な状態を変化させることができる光学デバイスが提案されている。この種の光学デバイスとして、例えば特許文献1には、一対の透明電極と、一対の透明電極の間に配置された、銀を含有するエレクトロクロミック材料を含む電解質層と、一対の透明電極の一方に設けられたナノオーダの凹凸とを有する調光素子が開示されている。特許文献1に記載された調光素子によれば、透明電極に印加する電圧を制御することによって、光が反射する鏡面状態と光が透過する透過状態とに切り替えることができる。
国際公開第2012/118188号
しかしながら、特許文献1に記載された調光素子は、進行方向を変化させて光を透過させることができない。つまり、光を曲げることができない。このため、所望の配光を行うことができない。
本発明は、配光を行うことができる光学デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る光学デバイスの一態様は、光透過性を有する一対の第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、可視光領域での屈折率が調整可能な屈折率調整層と、前記屈折率調整層の一方の面を凹凸にする凹凸層とを有し、前記屈折率調整層は、主として、液晶分子を含む液晶材料からなり、前記屈折率調整層の前記一方の面における前記液晶分子は、垂直配向していることを特徴とする。
本発明によれば、進行方向を変化させて光を透過させることができる配光状態と、進行方向を変化させずに光を透過させることができる透明状態との切り替えを行うことができる。
実施の形態1に係る光学デバイスの断面図である。 図1Aの破線で囲まれる領域Xにおける実施の形態1に係る光学デバイス1の拡大断面図である。 実施の形態1に係る光学デバイスが透明状態になっているときの様子を模式的に示す拡大断面図である。 実施の形態1に係る光学デバイスが配光状態になっているときの様子を模式的に示す拡大断面図である。 実施の形態1に係る光学デバイスを建物の窓として用いた場合に、光学デバイスが透明状態になっている様子を模式的に示す図である。 実施の形態1に係る光学デバイスを建物の窓として用いた場合に、光学デバイスが配光状態になっている様子を模式的に示す図である。 実施の形態1の変形例1に係る光学デバイスの拡大断面図である。 実施の形態1の変形例2に係る光学デバイスの拡大断面図である。 実施の形態2に係る光学デバイスの拡大断面図である。 実施の形態2に係る光学デバイスが配光状態になっているときの様子を模式的に示す拡大断面図である。 実施の形態2に係る光学デバイスが透明状態になっているときの様子を模式的に示す拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る光学デバイス1について、図1A及び図1Bを用いて説明する。図1Aは、実施の形態1に係る光学デバイス1の断面図である。図1Bは、図1Aの破線で囲まれる領域Xにおける同光学デバイス1の拡大断面図である。
図1A及び図1Bに示すように、光学デバイス1は、一対の第1電極10及び第2電極20と、屈折率調整層30と、凹凸層40とを有する。光学デバイス1は、さらに、第1基板50と、第2基板60とを有する。
図1A及び図1Bに示す光学デバイス1では、第1基板50と第2基板60との間に、第1電極10、凹凸層40、屈折率調整層30及び第2電極20がこの順で厚み方向に配置されている。
なお、本明細書において、「厚み方向」とは、光学デバイス1の厚み方向を意味し、第1基板50及び第2基板60の主面に垂直な方向である。
以下、光学デバイス1の各構成部材について詳細に説明する。
[第1電極、第2電極]
第1電極10及び第2電極20は、電気的に対となっており、屈折率調整層30に電界を与えることができるように構成されている。第1電極10及び第2電極20の一方が陽極として機能し、他方が陰極として機能する。
第1電極10及び第2電極20は、光透過性を有する。したがって、第1電極10及び第2電極20は、入射した光を透過する。第1電極10及び第2電極20は、例えば透明導電層である。透明導電層の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明金属酸化物、銀ナノワイヤや導電性粒子等の導電体を含有する樹脂からなる導電体含有樹脂、又は、銀薄膜等の金属薄膜等を用いることができる。
なお、第1電極10及び第2電極20は、これらの単層構造であってもよし、これらの積層構造(例えば透明金属酸化物層と金属薄膜との積層構造)であってもよい。また、第1電極10及び第2電極20の電圧降下による発光面の輝度ムラを抑制するために、第1電極10及び第2電極20の表面には、金属等の低抵抗材料からなる細線の補助配線が設けられていてもよい。さらに、断熱性を得るために、第1電極10及び第2電極20は遮蔽効果を有していてもよい。
また、第1電極10及び第2電極20は、電気的だけではなく配置的にも対となっている。本実施の形態において、第1電極10及び第2電極20は、対向するように配置されている。具体的には、第1電極10は、第1基板50の表面に膜状に設けられており、第2電極20は、第1基板50に対向する第2基板60の表面に膜状に設けられている。
第1電極10は、屈折率調整層30の一方の面に対向している。本実施の形態において、第1電極10は、第1基板50と凹凸層40との間に配置されている。また、第2電極20は、屈折率調整層30の一方の面とは反対側の他方の面に対向しており、第2基板60と屈折率調整層30との間に配置されている。
第1電極10及び第2電極20は、外部電源との電気接続が可能となるように構成されているとよい。例えば、外部電源に接続するための電極パッド等が第1電極10及び第2電極20から引き出されて第1基板50又は第2基板60に形成されていてもよい。電極パッドは、第1電極10及び第2電極20の一部であってもよい。
第2電極20の表面(屈折率調整層30側の表面)には、屈折率調整層30における液晶分子31を垂直配向させるための垂直配向処理が施されている。これにより、図1Bに示すように、屈折率調整層30における第2電極20との界面付近の液晶分子31を垂直配向(VA)させることができる。つまり、屈折率調整層30と第2電極20との界面付近における液晶分子31は、その長軸が第2電極20の表面に対して略垂直となるように配向制御されている。垂直配向処理としては、UV照射又はオゾン照射等がある。
なお、第2電極20の表面に垂直配向処理を施すのではなく、第2電極20の材料や形状を変更したり配向膜を形成したりすることによっても、屈折率調整層30における第2電極20との界面付近の液晶分子31を垂直配向させることが可能である。例えば、第2電極20の表面に凹凸部を形成することによって液晶分子31を垂直配向させることができる。
[屈折率調整層]
屈折率調整層(屈折率変化層)30は、第1電極10と第2電極20との間に位置しており、可視光領域での屈折率が調整可能となっている。屈折率調整層30は、電界が与えられることによって屈折率が変化する材料によって構成されており、図1Bに示すように、主として、液晶分子31を含む液晶材料からなる。液晶材料としては、例えば、液晶分子31が棒状分子からなるネマティック液晶又はコレステリック液晶等が挙げられる。液晶材料は、電界の変化によって液晶分子31の配向状態が変化して屈折率が変化する。本実施の形態では、棒状の液晶分子31として、誘電率が長軸方向に小さくて長軸に垂直な方向には大きいネガ型のネマティック液晶を用いている。
屈折率調整層30は、第1電極10及び第2電極20に電圧が印加されることによって電界が与えられる。これにより、液晶分子31の配向状態が変化して屈折率調整層30の屈折率が変化する。具体的には、屈折率調整層30は、凹凸層40の屈折率に近い値の屈折率と、凹凸層40の屈折率との屈折率差が大きい屈折率との2つの屈折率に変化する。
この屈折率の変化によって、屈折率調整層30は、進行方向を変化させずに入射光をそのまま透過させる状態である透明状態(透明モード)と、進行方向を変化させて(配光させて)入射光を透過させる状態である配光状態(配光モード)とを含む複数の状態に変化可能である。
本実施の形態において、屈折率調整層30は、透明状態と配光状態との2つの状態に変化可能となっている。具体的には、屈折率調整層30の屈折率が凹凸層40の屈折率に近い場合は、屈折率調整層30は透明状態となり、屈折率調整層30と凹凸層40との屈折率差が大きい場合は、屈折率調整層30は配光状態となる。透明状態の場合は、屈折率調整層30と凹凸層40の屈折率差は0.2以下であるとよく、0.1以下がより好ましい。一方、配光状態の場合は、屈折率調整層30と凹凸層40の屈折率差は少なくとも0.1よりも大きく、0.2以上がより好ましい。
一例として、凹凸層40の屈折率が1.5である場合、電界が与えられていないときに屈折率調整層30に入射する光に作用する屈折率は約1.5であり、電界が与えられているときに屈折率調整層30に入射する光に作用する屈折率は約1.7である。
なお、屈折率調整層30は、交流電力によって電界が与えられてもよいし、直流電力によって電界が与えられてもよい。交流電力の場合には、電圧波形は、正弦波でもよいし矩形波でもよい。また、屈折率調整層30は、光散乱性を変化させることも可能となるように構成されていてもよい。つまり、屈折率調整層30は、第1電極10及び第2電極20に印加する電圧によって液晶分子31の配向状態を制御することによって、透明状態及び配光状態に加えて、光散乱性状態に切り替え可能であってもよい。
図1Bに示すように、屈折率調整層30の一方の面(第1基板50側の面)における液晶分子31は、垂直配向している。具体的には、凹凸層40の表面(凹凸面)に垂直配向処理が施されているので、屈折率調整層30における凹凸層40との界面付近の液晶分子31が垂直配向している。つまり、屈折率調整層30と凹凸層40との界面付近における液晶分子31は、その長軸が凹凸層40の表面に対して略垂直となるように配向制御されている。
また、本実施の形態では、屈折率調整層30の他方の面(第2基板60側の面)における液晶分子31も垂直配向している。具体的には、上述のとおり、第2電極20の表面には垂直配向処理が施されているので、屈折率調整層30における第2電極20との界面付近の液晶分子31も垂直配向状態となっている。
屈折率調整層30において、凹凸層40及び第2電極20との界面付近以外の液晶分子31は、凹凸層40との界面付近の液晶分子31と第2電極20との界面付近の液晶分子31との間において、液晶分子31の長手方向にゆるやかな規則性を持って並んでいる。
なお、屈折率調整層30の凹凸層40側の面は、凹凸層40の凹凸によって凹凸面になっている。つまり、屈折率調整層30の凸部は凹凸層40の凹部に対応し、屈折率調整層30の凹部は凹凸層40の凸部に対応している。
[凹凸層]
凹凸層40は、屈折率調整層30の一方の面(第1基板50側の面)を凹凸にする。言い換えると、屈折率調整層30の一方の面は、凹凸層40の凹凸表面によって凹凸になる。本実施の形態において、凹凸層40は、第1電極10と屈折率調整層30との間に配置されている。具体的には、凹凸層40は、屈折率調整層30及び第1電極10に接している。
凹凸層40は、光透過性を有する。したがって、凹凸層40は、入射した光を透過する。凹凸層40と第1電極10とは、可視光領域において屈折率の差が小さくなるように構成されているとよい。このように構成することで、凹凸層40と第1電極10との界面において光を有効に透過させることができ、また、光学デバイス1が透明状態のときの透明性を向上させることができる。例えば、凹凸層40と第1電極10との屈折率差は0.2以下であるとよく、0.1以下であることがより好ましい。凹凸層40の屈折率は、例えば1.3〜2.0の範囲内であるが、これに限定されるものではない。本実施の形態において、凹凸層40の屈折率は、1.5である。
凹凸層40は、凹凸面を有する層であり、複数の凸部及び複数の凹部のいずれか一方を少なくとも有する。本実施の形態において、凹凸層40は、屈折率調整層30側に突出する複数の凸部が配列された構成となっており、第1電極10側の面が平坦な面で、屈折率調整層30側の面が凹凸面である。
凹凸層40の複数の凸部は、周期的等、規則的に配列されていてもよいし、ランダム等の不規則に配列されていてもよい。本実施の形態において、複数の凸部の各々は同じ形状であり、等間隔に配列されている。また、各凸部は、例えば長尺状の三角柱形状であり、断面形状における高さは1μm〜10μmで、アスペクト比(高さ/底辺)は2〜5程度である。なお、凸部の高さやアスペクト比は、これらの範囲の値に限定されるものではない。
また、凹凸層40は、複数の凸部のみによって構成されるものに限るものではなく、平坦部と当該平坦部の平坦面から突出した複数の凸部とによって構成されていてもよいし、平坦面から複数の凹部が凹んだ構成であってもよい。この場合、複数の凸部又は複数の凹部が敷き詰められて平坦面がなくなっていてもよいし、平坦面が存在していてもよい。
凹凸層40は、特定の方向への配光が強くなるように形成されているとよい。例えば、凹凸層40の形状は、光学デバイス1に入射する光が等方的に全体に広がるような形状ではなく、光学デバイス1に入射する光が当該入射光の進行方向とは異なる特定の方向に強く進行するような形状である。例えば、凹凸層40は、光学デバイス1(例えば第1基板50)に対して垂直に入射する光が凹凸層40において特定の斜め方向に曲げられる形状である。
凹凸層40による配光は、例えば、入射光として波長400nm〜800nmの波長の光を第1電極10側(第1基板50側)から光学デバイス1に対して垂直方向に入射させたときに、第2電極20側(第2基板60側)から透過する光の方向で評価できる。この場合、透過した光が入射光の進行方向とは異なる方向へ強く透過していれば、配光状態とみなすことができる。なお、光学デバイス1に入射する光は第1電極10側(第1基板50側)から光学デバイス1に対して斜め方向から入射する場合もあるが、この場合についても、第2電極20側(第2基板60側)から透過する光が入射光の進行方向とは異なる特定の方向へ強く透過していれば、配光状態とみなすことができる。
凹凸層40の表面(凹凸面)には、屈折率調整層30の液晶分子31を垂直配向させるための垂直配向処理が施されている。これにより、図1Bに示すように、屈折率調整層30における凹凸層40との界面付近の液晶分子31を垂直配向させることができる。垂直配向処理としては、UV照射又はオゾン照射等がある。
なお、凹凸層40の表面に垂直配向処理を施すのではなく、凹凸層40の材料や形状を変更することによっても、屈折率調整層30における凹凸層40との界面付近の液晶分子31を垂直配向させることが可能である。例えば、凹凸層40の表面に凹凸部を形成することによって液晶分子31を垂直配向させることができる。
凹凸層40は、導電性を有する導電層であるとよい。例えば、凹凸層40は、第1電極10と同じ材料を用いて形成することができる。この場合、凹凸層40と第1電極10とは、一体的に形成されて一体化されていてもよいが、凹凸層40は第1電極10と別体で形成されていてもよい。ただし、凹凸層40と第1電極10とは別体である方が凹凸層40の凹凸面を容易に形成することができる。
凹凸層40の材料としては、凹凸を形成しやすい材料を用いるとよく、例えば樹脂を含む材料である。一例として、凹凸層40の材料は、導電性高分子又は導電体含有樹脂等である。導電性高分子としては、PEDOTが挙げられる。導電体含有樹脂としては、銀ナノワイヤ等の導電体とこの導電体を含有するセルロースやアクリル等の樹脂とからなる混合材料(導電体含有樹脂)が挙げられる。銀ナノワイヤと樹脂との混合材料を用いた場合、凹凸層40の屈折率を樹脂の材料で調整することができるので、凹凸層40の屈折率を第1電極10の屈折率又は屈折率調整層30の屈折率に容易に近づけることができる。これにより、光学デバイス1が透明状態のときの透明性を向上させることができる。また、屈折率調整層30における凹凸層40との界面付近の液晶分子31を垂直配向させることにより、どのような偏光の入射光に対しても凹凸層40または第1電極10と屈折率調整層30の屈折率を近づけることができる。
なお、第1電極10と第2電極20とによって屈折率調整層30に電界を与えることができさえすれば、凹凸層40は絶縁材料で形成された絶縁層であってもよい。この場合、凹凸層40は、絶縁樹脂材料や無機材料によって構成することができる。凹凸層40が絶縁材料である場合、凹凸層における電圧消費を抑制するため、凹凸層40の厚さ×誘電率は、屈折率調整層30の厚さ×誘電率よりも小さくなっているとよい。
凹凸層40における各凸部の高さ(凹部の深さ)は、例えば、100nm〜100μmの範囲内とすることができるが、これに限定されるものではない。また、隣り合う凸部の頂点の間隔(凹凸ピッチ)については、例えば、100nm〜100μmの範囲内にすることができるが、これに限定されるものではない。凹凸層40の凹凸は、例えば、インプリント法によって形成することができる。凹凸層40は、例えば第1電極10に形成される。なお、凸部の高さよりも凹凸ピッチが小さい方が凹凸層40を容易に作製することができる。
[第1基板、第2基板]
第1基板50及び第2基板60は、第1電極10、第2電極20、屈折率調整層30及び凹凸層40の積層構造を間に配置して、この積層構造を支持するとともにこの積層構造を保護する。第1基板50及び第2基板60は、当該第1基板50及び第2基板60の端部外周において接着剤等で接着される。この場合、接着剤は、第1基板50と第2基板60との間の隙間の厚みを規定するスペーサとして機能していてもよい。
第1基板50及び第2基板60は、光透過性を有する。したがって、第1基板50及び第2基板60は、入射した光を透過する。第1基板50及び第2基板60は、例えば透明基板である。第1基板50及び第2基板60は、例えばガラス基板又は樹脂基板である。ガラス基板の材料としては、ソーダガラス、無アルカリガラス又は高屈折率ガラス等が挙げられる。樹脂基板の材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、アクリル又はエポキシ等が挙げられる。ガラス基板は、光透過率(透明性)が高く、かつ、水分の透過性が低いという利点がある。一方、樹脂基板は、破壊時の飛散が少ないという利点がある。第1基板50及び第2基板60は、同じ基板材料で構成されていてもよいし、異なる基板材料で構成されていてもよいが、同じ基板材料で構成されている方がよい。
なお、第1基板50及び第2基板60は、リジッド基板に限るものではなく、フレキシブル樹脂基板やフレキシブルガラス基板等の可撓性を有するフレキシブル基板であってもよい。また、第1基板50及び第2基板60の平面視形状は、例えば、正方形や長方形の矩形状であるが、これに限るものではなく、円形又は四角形以外の多角形であってもよく、任意の形状が採用され得る。
また、第1基板50と第1電極10とは、可視光領域において屈折率の差が小さくなるように構成されているとよい。このように構成することで、第1基板50と第1電極10との界面において光を有効に透過させることができ、また、透明状態のときの透明性を向上させることができる。例えば、第1基板50と第1電極10との屈折率差は0.2以下であるとよく、0.1以下であることがより好ましい。同様に、第2基板60と第2電極20とは、可視光領域において屈折率の差が小さくなるように構成されているとよく、第1基板50と第1電極10との屈折率差は、例えば0.2以下であるとよく、0.1以下であることがより好ましい。また、第1基板50と第2基板60とは、屈折率が同程度であるとよく、第1基板50と第2基板60との屈折率差は、0.1以下であるとよい。第1電極10と第2電極20とについても、屈折率は同程度であるとよく、第1電極10と第2電極20との屈折率差は、0.1以下であるとよい。第1基板50、第2基板60、第1電極10及び第2電極20の各々の屈折率は例えば1.3〜2.0の範囲内であるが、これに限定されるものではない。
[光学デバイスの光学作用]
次に、実施の形態1に係る光学デバイス1の光学作用について説明する。
光学デバイス1は、光を透過させることができる。例えば、光学デバイス1は、第1基板50から入射した光を透過して第2基板60から出射させることができる。また、光学デバイス1は、第2基板60から入射した光を透過して第1基板50から出射させることができる。
本実施の形態における光学デバイス1は、図2A及び図2Bに示すように、屈折率調整層30の屈折率を変化させることによって、透明状態(図2A)と配光状態(図2B)とを作り出すことができる。図2Aは、実施の形態1に係る光学デバイス1が透明状態になっているときの様子を模式的に示す拡大断面図である。図2Bは、同光学デバイス1が配光状態になっているときの様子を模式的に示す拡大断面図である。なお、図2A及び図2Bでは、第1基板50側から光が入射する場合を示している。
図2Aに示すように、光学デバイス1は、第1電極10及び第2電極20に電圧が印加されていない場合(電圧無印加の場合)に透明状態となる。つまり、第1電極10及び第2電極20に電圧が印加されていないときには屈折率調整層30には電界が与えられないので、屈折率調整層30における液晶分子31の配向状態は変化しない。
この場合、屈折率調整層30と凹凸層40との屈折率差が小さいので、図2Aの矢印で示されるように、光学デバイス1に入射した光は曲げられることなくそのまま直進する。つまり、光学デバイス1に入射した光は、進行方向が変化することなく光学デバイス1を透過する。
一方、図2Bに示すように、光学デバイス1は、第1電極10及び第2電極20に電圧が印加されている場合(電圧印加の場合)に配光状態となる。つまり、第1電極10及び第2電極20に電圧が印加されているときには屈折率調整層30には電界が与えられるので、屈折率調整層30における液晶分子31の配向状態が変化する。具体的には、液晶分子31に電圧がかかると、図2Bに示すように、液晶分子31は並び方を変えることになる。
この場合、屈折率調整層30と凹凸層40との屈折率差が大きくなるので、図2Bの矢印で示されるように、光学デバイス1に入射した光は曲げられる。つまり、光学デバイス1に入射した光は、進行方向が変化して光学デバイス1を透過する。
図2Bにおいて、光の進行方向の変化は、屈折率差が生じている凹凸層40と屈折率調整層30との界面付近で生じる。なお、本実施の形態では、凹凸層40の表面には垂直配向処理が施されているので、図2Bに示すように、電圧印加の場合であっても屈折率調整層30における凹凸層40との界面付近の液晶分子31は垂直配向状態のままになっている。
このように、光学デバイス1は、第1電極10及び第2電極20に印加する電圧を制御することによって、透明状態又は配光状態に変化する。つまり、光学デバイス1は、透明状態と配光状態との切り替えを行うことができる。
また、図示しないが、光学デバイス1は、透明状態及び配光状態に加えて、光散乱状態に変化してもよい。光散乱状態では、屈折率調整層30が光散乱性を有する状態になっている。屈折率調整層30の光散乱性は、第1電極10及び第2電極20に印加する電圧を調整して屈折率を変化させることで得ることができる。屈折率調整層30の屈折率を変えることで凹凸層40との凹凸界面において光の散乱が発生する。光散乱性は、配光の一つということもできるが、本明細書において、配光は、直進方向以外の特定の方向の光を強くすることを意味し、光散乱は、方向性がないかあっても少なく、光を散乱させることを意味する。
光学デバイス1が光散乱状態になると、光学デバイス1に入射した光は散乱しながら進行するので、強い光の進行を抑制することができる。強い光がそのまま進行するとユーザは眩しく感じる可能性があるが、光を散乱させることで光が分散するので眩しさを緩和させることができる。なお、光散乱状態において、光学デバイス1は、例えばすりガラス状になる。また、光の散乱によって光学デバイス1は半透明又は不透明となるので、光学デバイス1の向こう側を見えないようにしたい場合は、光散乱状態にするとよい。
[光学デバイスの使用例]
次に、実施の形態1に係る光学デバイス1の使用例について、図3A及び図3Bを用いて説明する。図3A及び図3Bは、実施の形態1に係る光学デバイス1を建物の窓として用いた場合を示す図である。図3Aは光学デバイス1が透明状態になっている場合を、また、図3Bは光学デバイス1が配光状態になっている場合をそれぞれ示している。なお、詳細は図示されていないが、図3A及び図3Bにおいて、光学デバイス1は、例えば第1基板50が屋外側で第2基板60が屋内側となるように配置されているが、第1基板50が屋内側で第2基板60が屋外側となるように配置されていてもよい。
図3A及び図3Bに示すように、光学デバイス1が建物100の外壁110に取り付けられた場合、太陽光等の外光を屋内に進入させることができる。
このとき、図3Aに示すように、光学デバイス1が透明状態の場合、光学デバイス1に入射する屋外からの光(外光)は、光学デバイス1をそのまま直進して通過する。例えば、光学デバイス1に斜め方向から太陽光が入射する場合、太陽光はそのままの方向で直進して屋内に進入する。これにより、窓際周辺の床面に太陽光を照射させることができる。
一方、図3Bに示すように、光学デバイス1が配光状態の場合、光学デバイス1に入射する屋外からの光は、光学デバイス1において進行方向が変化する。例えば、光学デバイス1に対して斜め上方から斜め下方に向かって太陽光が入射する場合、太陽光は跳ね返る方向に(戻る方向)に曲げられる。これにより、屋内の奥側の上方に向けて太陽光を照射させることができる。
このとき、図3Bに示される状態の光学デバイス1において、鉛直方向における凹凸層40の位置に応じて折り曲げの角度を変更することで、広い範囲で照射させることができる。例えば、図3Bにおいて、上方部分の凹凸層40では折り曲げ角度をきつくすることで屋内の窓側(手前)に向けて光を進入させるとともに、下方部分の凹凸層40では折り曲げ角度をゆるくして屋内のより奥側に光を進入させることで、天井面の広い範囲に太陽光を照射させることができる。
なお、光学デバイス1は、建物100の外壁110以外に取り付けられてもよく、例えば、建物100の内壁やパーティションに取り付けられてもよい。また、光学デバイス1の用途は、建物用の窓に限るものではなく、例えば車載用の窓等として用いてもよい。
[まとめ]
以上、本実施の形態に係る光学デバイス1は、可視光領域での屈折率が調整可能な屈折率調整層30を有する。これにより、1つの光学デバイス1で透明状態と配光状態とを作り出すことができる。
そして、実施の形態における光学デバイス1は、さらに、屈折率調整層30の一方の面を凹凸にする凹凸層40を有している。これにより、ヘイズを抑制することができるので、光学デバイス1が透明状態であるのときの透明度を向上させることができる。
しかも、本実施の形態に係る光学デバイス1では、屈折率調整層30の凹凸層40側の一方の面における液晶分子31が垂直配向している。これにより、ヘイズを一層抑制することができるので、光学デバイス1が透明状態であるのときの透明度を一層向上させることができる。
また、本実施の形態では、屈折率調整層30の他方の面における液晶分子31も垂直配向している。これにより、屈折率調整層30の透過率を大きくすることができるので、光学デバイス1を透過する光束を大きくすることができる。
(実施の形態1の変形例1)
図4は、実施の形態1の変形例1に係る光学デバイス1Aの拡大断面図である。
図4に示すように、本変形例における光学デバイス1Aは、上記実施の形態における光学デバイス1に対して、さらに、凹凸層40の表面に形成された配向膜70を有する。具体的には、配向膜70は、凹凸層40の凹凸面に沿って形成されている。つまり、配向膜70は、凹凸層40の表面形状に追随した形状になっており、屈折率調整層30側の面が凹凸面となっている。
配向膜70は、屈折率調整層30における配向膜70との界面付近の液晶分子31を垂直配向させるように構成されている。つまり、屈折率調整層30の液晶分子31を垂直配向させる方法として、本変形例では、凹凸層40に垂直配向処理を施したり凹凸層40の材料や形状を変更したりするのではなく、液晶分子31を垂直配向させるための配向膜70を用いている。配向膜70は、無機材料でもポリイミドなどの有機材料でもよい。凹凸層40の材料と配向膜70の材料を積層したものをインプリントすることにより凹凸構造を形成する場合、凹凸構造の作製が容易になる。
このように構成される本変形例における光学デバイス1Aについても、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態1の変形例2)
図5は、実施の形態1の変形例2に係る光学デバイス1Bの拡大断面図である。
上記実施の形態における光学デバイス1では、第1電極10は第1基板50と凹凸層40との間に配置されていたが、図5に示すように、本変形例における光学デバイス1Bでは、第1電極10は、屈折率調整層30と凹凸層40との間に配置されている。具体的には、第1電極10は、凹凸層40の凹凸面に沿って形成されており、屈折率調整層30及び凹凸層40に接している。つまり、第1電極10は、凹凸層40の表面形状に追随した形状になっており、屈折率調整層30側の面が凹凸面となっている。
第1電極10の表面(屈折率調整層30側の面)には、屈折率調整層30の液晶分子31を垂直配向させるための垂直配向処理が施されている。これにより、屈折率調整層30における第1電極10との界面付近の液晶分子31を垂直配向させることができる。つまり、屈折率調整層30と第1電極10との界面付近における液晶分子31は、その長軸が第1電極10の表面に対して略垂直となるように配向制御されている。垂直配向処理としては、UV照射又はオゾン照射等がある。
なお、第1電極10の表面に垂直配向処理を施すのではなく、第1電極10の材料や形状を変更することによっても、屈折率調整層30における第1電極10との界面付近の液晶分子31を垂直配向させることが可能である。
また、図示しないが、第1電極10に垂直配向処理を施したり第1電極10の材料や形状を変更したりして液晶分子31を垂直配向させるのではなく、上記の変形例1のように、配向膜によって液晶分子31を垂直配向させてもよい。つまり、液晶分子31を垂直配向させるための配向膜を第1電極10の表面に形成してもよい。
このように構成される本変形例における光学デバイス1Bについても、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る光学デバイス2について、図6を用いて説明する。図6は、実施の形態2に係る光学デバイス2の拡大断面図である。
図6に示すように、光学デバイス2は、実施の形態1と同様に、一対の第1電極10及び第2電極20と、屈折率調整層30Aと、凹凸層40と、第1基板50と、第2基板60とを有する。
本実施の形態における光学デバイス2が上記実施の形態における光学デバイス1と異なる点は屈折率調整層30Aである。
屈折率調整層(屈折率変化層)30Aは、第1電極10と第2電極20との間に位置しており、可視光領域での屈折率が調整可能となっている。屈折率調整層30Aは、電界が与えられることによって屈折率が変化する材料によって構成されており、主として、液晶分子31を含む液晶材料からなる。
本実施の形態における屈折率調整層30Aでは、液晶材料が高分子を含んでいる。具体的には、図6に示すように、屈折率調整層30Aは、高分子によって形成されたポリマー構造32を有する。ポリマー構造32は、高分子鎖の架橋構造で形成されていてもよし、高分子の絡み合いで形成されていてもよい。ポリマー構造32は、例えば、網目状の構造である。ポリマー構造32(網目)の間に液晶分子31が配置されることによって屈折率の調整が可能となる。
高分子を含む屈折率調整層30Aの液晶材料としては、例えば高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)を用いることができる。高分子分散型液晶では、液晶分子31が高分子によって保持されているので、安定した屈折率調整層30Aを形成することができる。なお、高分子を含む屈折率調整層30Aの液晶材料としては、ポリマーネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)等を用いてもよい。
高分子分散型液晶又はポリマーネットワーク型液晶は、高分子材料からなる光透過性を有する樹脂部と、液晶部とによって構成される。この構成によって、屈折率調整層30Aの屈折率を変化させることができる。例えば、樹脂部は、例えば、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂等であり、液晶部は、ネマティック液晶等である。高分子分散型液晶又はポリマーネットワーク型液晶は、樹脂部の中に液晶部が点状に存在する構造であるとよいが、樹脂部が海に相当し、液晶部が島に相当するような海島構造であってもよい。本実施の形態において、高分子分散型液晶又はポリマーネットワーク型液晶は、樹脂部の中に液晶部が網目状に不規則につながった構造であるが、液晶部の中に樹脂部が点状に存在した構造であったり、液晶部の中に樹脂部が網目状に不規則につながった構造であったりしてもよい。
このように、屈折率調整層30Aが高分子を含むことによって屈折率調整層30Aの保持性が高まり、屈折率調整層30Aは内部で材料が流動しにくい。また、屈折率調整層30Aは、屈折率が調整された状態が高く維持される。
屈折率調整層30Aは、実施の形態1における屈折率調整層30と同様に、第1電極10及び第2電極20に電圧が印加されることによって電界が与えられる。これにより、液晶分子31の配向状態が変化して屈折率調整層30Aの屈折率が変化する。具体的には、屈折率調整層30Aは、凹凸層40の屈折率に近い値の屈折率と、凹凸層40の屈折率との屈折率差が大きい屈折率との2つの屈折率に変化する。
この屈折率の変化によって、屈折率調整層30Aも、透明状態と配光状態との2つの状態に変化可能となっている。具体的には、屈折率調整層30Aの屈折率が凹凸層40の屈折率に近い場合は、屈折率調整層30Aは透明状態となり、屈折率調整層30Aと凹凸層40との屈折率差が大きい場合は、屈折率調整層30Aは配光状態となる。
ただし、本実施の形態における屈折率調整層30Aは、実施の形態1における屈折率調整層30と異なり、電圧が与えられないときに配光状態となり、電圧が与えられているときに透明状態となる。
配光状態の場合は、屈折率調整層30Aと凹凸層40の屈折率差は少なくとも0.1よりも大きく、0.2以上がより好ましい。一方、透明状態の場合は、屈折率調整層30Aと凹凸層40の屈折率差は0.2以下であるとよく、0.1以下がより好ましい。
一例として、凹凸層40の屈折率が1.5である場合、電界が与えられていないときの屈折率調整層30Aの屈折率は1.7であり、電界が与えられているときの屈折率調整層30Aの屈折率は1.5である。
次に、本実施の形態における光学デバイス2の光学作用について説明する。
本実施の形態における光学デバイス2は、図7A及び図7Bに示すように、屈折率調整層30Aの屈折率を変化させることによって、配光状態(図7A)と透明状態(図7B)とを作り出すことができる。図7Aは、実施の形態2に係る光学デバイス2が配光状態になっているときの様子を模式的に示す拡大断面図である。図7Bは、同光学デバイス2が透明状態になっているときの様子を模式的に示す拡大断面図である。なお、図7A及び図7Bでは、第1基板50側から光が入射する場合を示している。
図7Aに示すように、光学デバイス2は、第1電極10及び第2電極20に電圧が印加されていない場合(電圧無印加の場合)に配光状態となる。つまり、第1電極10及び第2電極20に電圧が印加されていないときには屈折率調整層30Aには電界が与えらないので、屈折率調整層30Aにおける液晶分子31の配向状態は変化しない。
この場合、屈折率調整層30Aと凹凸層40との屈折率差が大きいままであるので、図7Aの矢印で示されるように、光学デバイス2に入射した光は曲げられて進行方向が変化する。このとき、本実施の形態では、入射した光は屈折率調整層30Aで散乱する。つまり、本実施の形態では、電圧無印加の場合、光学デバイス2に入射した光は進行方向が曲げられつつ散乱して光学デバイス2を透過する。なお、図7Aにおいて、光の進行方向の変化は、屈折率差が生じている凹凸層40と屈折率調整層30Aとの界面付近で生じる。
一方、図7Bに示すように、光学デバイス2は、第1電極10及び第2電極20に電圧が印加されている場合(電圧印加の場合)に透明状態となる。つまり、第1電極10及び第2電極20に電圧が印加されているときには屈折率調整層30Aには電界が与えられるので、屈折率調整層30Aにおける液晶分子31の配向状態が変化する。つまり、液晶分子31に電圧がかかると、図7Bに示すように、液晶分子31は並び方を変えることになる。
この場合、屈折率調整層30Aと凹凸層40との屈折率差が小さくなるので、図7Bの矢印で示されるように、光学デバイス1に入射した光は曲げられることなくそのまま直進する。つまり、光学デバイス2に入射した光は、進行方向が変化することなく光学デバイス2を透過する。
なお、本実施の形態でも、凹凸層40の表面には垂直配向処理が施されているので、図7Bに示すように、電圧印加の場合であっても屈折率調整層30Aにおける凹凸層40との界面付近の液晶分子31は垂直配向状態のままになっている。
このように、光学デバイス2は、第1電極10及び第2電極20に印加する電圧を制御することによって、透明状態又は配光状態に変化する。つまり、透明状態と配光状態との切り替えを行うことができる。
以上、本実施の形態に係る光学デバイス2によれば、実施の形態1における光学デバイス1と同様の作用効果を得ることができる。
つまり、光学デバイス2も、可視光領域での屈折率が調整可能な屈折率調整層30Aを有するので、1つの光学デバイス2で透明状態と配光状態とを作り出すことができる。
また、光学デバイス2も、屈折率調整層30Aの一方の面を凹凸にする凹凸層40を有しているので、ヘイズを抑制することができる。しかも、本実施の形態でも、屈折率調整層30Aの凹凸層40側の一方の面における液晶分子31が垂直配向している。これにより、いずれの偏光の入射光に対しても光は曲げられることなくそのまま直進することが可能となるので、ヘイズを一層抑制することができる。
また、本実施の形態でも、屈折率調整層30Aの一方の面における液晶分子31だけではなく、他方の面における液晶分子31も垂直配向している。これにより、屈折率調整層30Aの透過率を大きくすることができるので、光学デバイス2を透過する光束を大きくすることができる。
なお、本実施の形態における光学デバイス2は、実施の形態1における光学デバイス1と同様に、建物の窓等として用いることができる。また、本実施の形態においても、図4及び図5に示される変形例を適用することができる。
(その他変形例等)
以上、本発明に係る光学デバイスについて、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態1において、屈折率調整層30における液晶材料として、強誘電性液晶等のメモリ性を有する液晶を用いてもよい。これにより、屈折率調整層30がメモリ性を有することになるので、屈折率調整層30に電界が与えられたときの状態が維持される。このため、屈折率を変化させたい場合に第1電極10及び第2電極20に電圧を印加し、屈折率を変化させたくない場合には第1電極10及び第2電極20に電圧を印加しないように構成することができるので、電力効率を向上させることができる。なお、実施の形態2における屈折率調整層30Aの液晶材料についてもメモリ性を有する液晶を用いてもよい。
また、上記実施の形態1、2において、光学デバイス1、2に入射する光として太陽光を例示したが、これに限るものではない。例えば、光学デバイス1、2に入射する光は、照明装置等の発光装置であってもよい。この場合、光学デバイス1、2と発光装置とを組み合わせることで光学装置(光学システム)を実現してもよい。なお、発光装置としては、LED(Light Emitting Diode)や有機EL(Electro Luminescence)等を用いたものが考えられる。
また、上記実施の形態1、2において、液晶材料としてネマティック液晶を用いたが、この場合、ツイストネマティック液晶(TN液晶)を用いてもよい。ただし、この場合、屈折率調整層30、30Aにおける第2電極20との界面付近の液晶分子31は、垂直配向させるのではなく、水平配向(HA)にするとよい。例えば、第2電極20の表面に水平配向処理を施したり第2電極20の表面に配向膜を形成したりすることによって、液晶分子31を水平配向にすることができる。
なお、その他、上記の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記の実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
1、1A、1B、2 光学デバイス
10 第1電極
20 第2電極
30、30A 屈折率調整層
31 液晶分子
32 ポリマー構造(高分子)
40 凹凸層
50 第1基板
60 第2基板
70 配向膜

Claims (10)

  1. 光透過性を有する一対の第1電極及び第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、可視光領域での屈折率が調整可能な屈折率調整層と、
    前記屈折率調整層の一方の面を凹凸にする凹凸層とを有し、
    前記屈折率調整層は、主として、液晶分子を含む液晶材料からなり、
    前記屈折率調整層の前記一方の面における前記液晶分子は、垂直配向している
    光学デバイス。
  2. 前記屈折率調整層の前記一方の面とは反対側の他方の面における前記液晶分子は、垂直配向している
    請求項1に記載の光学デバイス。
  3. 前記凹凸層は、前記屈折率調整層と前記第1電極との間に配置されている
    請求項1又は2に記載の光学デバイス。
  4. 前記凹凸層の表面には、前記液晶分子を垂直配向させるための垂直配向処理が施されている
    請求項3に記載の光学デバイス。
  5. さらに、前記凹凸層の表面に形成され、前記液晶分子を垂直配向させるための配向膜を有する
    請求項3に記載の光学デバイス。
  6. 前記第1電極は、前記屈折率調整層と前記凹凸層との間に配置されている
    請求項1又は2に記載の光学デバイス。
  7. 前記第1電極の表面には、前記液晶分子を垂直配向させるための垂直配向処理が施されている
    請求項6に記載の光学デバイス。
  8. さらに、前記第1電極の表面に形成され、前記液晶分子を垂直配向させるための配向膜を有する
    請求項7に記載の光学デバイス。
  9. 前記屈折率調整層は、光散乱性を変化させることが可能である
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学デバイス。
  10. 前記液晶材料は、高分子を含む、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学デバイス。
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