[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。このエンコーダ装置ECは、移動部の位置情報(移動位置情報)を検出する。エンコーダ装置ECは、例えばロータリーエンコーダである。移動部は、例えばモータM(動力供給部)の回転軸SFであり、移動部の移動は、例えば所定の軸まわりの回転である。また、移動部の位置情報は、例えば、回転軸SFの回転位置情報である。
回転軸SFは、例えばモータMのシャフト(回転子)であるが、モータMのシャフトに変速機などの動力伝達部を介して接続されるとともに負荷に接続される作用軸(出力軸)であってもよい。エンコーダ装置ECが検出した回転位置情報は、モータ制御部MCに供給される。モータ制御部MCは、エンコーダ装置ECから供給された回転位置情報を使って、モータMの回転を制御する。モータ制御部MCは、回転軸SFの回転を制御する。なお、エンコーダ装置ECは、例えばリニアエンコーダでもよく、リニアモータ、平面モータなどの動力駆動部の移動部(移動軸)の位置情報(移動位置情報)を検出してもよい。
エンコーダ装置ECは、位置検出部1と、電力供給部2とを備える。位置検出部1は、回転軸SFの回転位置情報を検出する。電力供給部2は、位置検出部1へ電力を供給する。電力供給部2は、例えば、第1磁石3と、信号発生部4と、切替部5と、バッテリー6とを備える。第1磁石3は、回転軸SFに連動して移動し、信号発生部4は、第1磁石3の移動による磁界の変化によって検出信号が発生する。切替部5は、信号発生部4で発生した検出信号を制御信号に用いて、バッテリー6から位置検出部1への電力の供給の有無を切替える。位置検出部1は、電力供給部2から電力の供給を受けて位置情報の検出を開始する。例えば、位置検出部1は、信号発生部4で発生した検出信号に基づいて電力供給部2から供給される電力によって、回転軸SFの回転位置情報を検出する。なお、位置検出部1は回転軸SFに固定されて回転軸SFに連動して移動してもよく、第1磁石3は位置検出部1に対して相対移動する。
また、エンコーダ装置ECは、第2磁石7を備える。第2磁石7は、信号発生部4における磁界の変化の抑制(低減を含む)が可能である。第2磁石7は、信号発生部4における磁界の変化の抑制の有無を切替可能である。第2磁石7は、例えば、信号発生部4における磁界の変化を抑制する第1状態(例、磁界変化抑制状態)と、信号発生部4における磁界の変化を抑制しない第2状態とに切替可能である。第2磁石7は、例えば、上記の第1状態において、信号発生部4に検出信号が発生しないように信号発生部4における磁界の変化を抑制する。そして、第2状態において、信号発生部4における磁界の変化は、第1磁石3の相対移動によって信号発生部4に検出信号が発生可能に設定される。
エンコーダ装置ECは、例えば、回転軸SFに取り付けられる前の状態(例、位置調整前や輸送時の状態など)において、第2磁石7は信号発生部4における磁界の変化を抑制する第1状態に設定される。例えば、エンコーダ装置ECは、第1状態において、信号発生部4に検出信号を発生させないことで、電力供給部2のバッテリー6から電力が供給されず、バッテリー6の消耗が抑制される。また、例えば、エンコーダ装置ECは、第1状態において、バッテリー6から電力が供給されないことによって回転位置情報の検出を行わなず、各部の消耗、劣化が抑制される。
エンコーダ装置ECは、例えば、回転軸SFに取り付けられた後の状態(例、位置情報の検出時の状態など)において、第2磁石7は信号発生部4における磁界の変化を抑制しない第2状態に設定される。例えば、第2磁石7は、第1状態において信号発生部4に磁界を形成する位置に取り付けられ、この位置から取り外されることで第2状態に切替られる。例えば、エンコーダ装置ECは、信号発生部4において磁気が発生しないように第2磁石7が磁気的に取り外されることで第2状態に切り替えられる。また、第2磁石7は、第1状態において、本体部(後述の保持部51及び治具52、又は保持部51)に挿入されて、信号発生部4において磁気が発生するように磁気的に本体部に取り付けられている。このように、例えば、第2磁石7は、本体部に対して挿脱可能(又は着脱可能)に構成されている。例えば、エンコーダ装置ECは、第2状態において、信号発生部4に検出信号が発生した際に、電力供給部2から電力が供給され、位置検出部1が回転軸SFの回転位置情報を検出する。電力供給部2は、検出信号の発生に応じて断続的(例、間欠的、選択的)に、バッテリー6から電力を供給する。なお、第2磁石7は複数個で構成されてもよい。
以下、エンコーダ装置ECの各部について説明する。位置検出部1は、回転軸SFの回転位置情報を検出する。本実施形態におけるエンコーダ装置ECは、多回転アブソリュートエンコーダであり、回転軸SFの回転の数を示す多回転情報、および1回転未満の角度位置(回転角)を示す角度位置情報を含む回転位置情報を検出する。位置検出部1は、回転軸SFの多回転情報を検出する多回転情報検出部1A、及び回転軸SFの角度位置を検出する角度検出部1Bを備える。
位置検出部1の少なくとも一部(例、角度検出部1B)は、例えば、通常状態において、第1電源8から供給される電力によって回転軸SFの回転位置情報を検出する。第1電源8は、例えば、エンコーダ装置ECが搭載される装置(例、駆動装置、ステージ装置、ロボット装置)の主電源であり、通常状態において回転軸SFの駆動に消費される電力を供給する。例えば、モータ制御部MCは、エンコーダ装置ECの検出結果に基づいて、第1電源8からの電力を調整してモータMに供給することで、回転軸SFの回転を制御する。
位置検出部1は、第1電源8の電力が投入されている状態(第1電源8がオンになっている状態、通常状態)で、第1電源8から電力の供給を受けて動作する。また、第1電源8が位置検出部1に投入されている状態において、角度検出部1B(又はその回路)は動作できる。例えば、第1電源8が位置検出部1に投入された通常状態になった場合に、角度検出部1Bは角度位置情報の検出(例、演算)を開始し、同様に多回転情報検出部1Aも多回転情報の検出(例、センサによる検出、検出結果の処理、演算)を開始する。
また、位置検出部1の少なくとも一部(例、多回転情報検出部1A)は、例えば、第1電源8からの電力の供給が遮断された状態(例、第1電源8が投入されていない状態、第1電源8がオフになっている状態、バックアップ状態)において、第1電源8とは異なる第2電源(例、バッテリー6)から供給される電力によって動作する。例えば、位置検出部1に対して第1電源8からの電力の供給が断たれた状態において、電力供給部2は、位置検出部1の少なくとも一部(例、多回転情報検出部1A)に対して検出信号をもとに断続的(間欠的、選択的)に電力を供給し、位置検出部1は、電力供給部2から電力が供給された際に回転軸SFの回転位置情報の少なくとも一部(例、多回転情報)を検出する。
また、第1電源8が投入されていない状態において、多回転情報検出部1A(又はその回路)は動作できる。例えば、第1電源8が投入されていなく第2電源から電力が供給されたバックアップ状態になった場合に、多回転情報検出部1Aは多回転情報の検出を継続するが、角度検出部1Bは角度位置情報の検出を停止する。このように、多回転情報検出部1Aは、検出信号に基づき、電源(第1電源8、バッテリー6等の第2電源など)のオンオフ状態(通常状態およびバックアップ状態)に関係なく、多回転情報の検出を行う。
多回転情報検出部1Aは、例えば、磁気式の検出部であり、磁気によって多回転情報を検出する。多回転情報検出部1Aは、例えば、第1磁石3、磁気センサ12、処理部13、及び記憶部14を備える。
第1磁石3は、例えば、回転軸SFに固定されたスケールSに設けられる。スケール(この場合、円板)Sは回転軸SFとともに回転するため、第1磁石3は回転軸SFと連動して回転(移動)する。磁気センサ12は回転軸SFの外部に固定され、第1磁石3および磁気センサ12は、回転軸SFの回転によって互いの相対位置が変化する。第1磁石3が形成する磁気センサ12上の磁界の強さおよび向きは、回転軸SFの回転によって変化する。なお、第1磁石3は、複数の磁石(例、2つ)を有し、その少なくとも1つがスケールSとは異なる別のスケールに配置されて回転軸SFとともに回転してもよい。
磁気センサ12は、第1磁石3が形成する磁界を検出し、処理部13は、磁石が形成する磁界を磁気センサ12が検出した結果に基づいて、回転軸SFの位置情報(例、多回転情報)を検出(算出)する。処理部13は、例えば、多回転情報を処理する多回転処理部である。記憶部14は、処理部13からの位置情報(例、多回転情報)の記憶指示(データの書き込み指令)に基づいて、処理部13が検出して処理した位置情報を記憶する。なお、第1磁石3は磁気センサ12又は信号発生部4に対して相対的な移動が可能であればよく、例えば、磁気センサ12がスケールSに設けられ、第1磁石3がスケールSの外部に設けられてもよい。
角度検出部1Bは、光学式または磁気式のエンコーダであり、スケールSの一回転内の位置情報(角度位置情報、絶対又は相対位置情報)を検出する。例えば、角度検出部1Bは、光学式のエンコーダである場合、スケール(この場合、円板)Sのパターンニング情報を受光素子で読み取ることにより、回転軸SFの1回転以内の角度位置情報を検出する。スケールSのパターンニング情報は、例えばスケールS上のスリット(透過パターン)又は反射パターン等による明暗のパターンである。角度検出部1Bは、多回転情報検出部1Aの検出対象と同じ回転軸SFの角度位置情報を検出する。
角度検出部1Bは、スケールS、発光素子21、受光センサ22、及び処理部23を備える。スケールSは、回転軸SFに固定されて設けられている。スケールSは、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSを含む。インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSは、例えば、スケールSにおいて第1磁石3と同じ側の面に設けられる。インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSは、例えば、回転軸SFに関する放射方向(例、径方向)において、第1磁石3の外側に配置される。アブソリュートパターンABSは、例えば、回転軸SFに関する放射方向(例、径方向)において、インクリメンタルパターンINCの外側に配置される。
なお、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSの一方または双方は、スケールSにおいて第1磁石3と同じ側の面又は反対側の面に設けられていてもよい。また、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSの一方または双方は、第1磁石3の位置に対して内側と外側との少なくとも一方に設けられていてもよい。また、第1磁石3は、スケールSと別の部材に設けられてもよい。例えば、スケールSは、移動体(例、回転軸SF)に固定された第1の移動体(例、第1の回転体)であって、第1磁石3は、移動体(例、回転軸SF)に固定された第2の移動体(例、第2の回転体)に設けられてもよい。上記の第1の移動体は、第2の移動体と一体化(ユニット化)されてもよい。
発光素子21(照射部、発光部)は、スケールSのインクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSに光を照射する。受光センサ22(光検出部)は、発光素子21から照射されインクリメンタルパターンINCを経由した光、及び発光素子21から照射されアブソリュートパターンABSを経由した光を検出する。図1において、角度検出部1Bは反射型であり、受光センサ22は、スケールSで反射した光を検出する。角度検出部1Bは透過型であってもよく、この場合、受光センサ22は、スケールSを透過した光を検出する。
受光センサ22は、検出結果を示す信号を処理部23へ供給する。処理部23は、受光センサ22の検出結果を使って、回転軸SFの角度位置を検出する。例えば、処理部23は、アブソリュートパターンABSからの光を検出した結果を使って第1分解能の角度位置情報を検出する。また、処理部23は、インクリメンタルパターンINCからの光を検出した結果を使って、第1分解能の角度位置情報に内挿演算を行うことにより、第1分解能よりも高い第2分解能の角度位置情報を検出する。
本実施形態において、エンコーダ装置ECは、信号処理部25を備える。信号処理部25は、処理部13から出力される信号、及び処理部23から出力される信号を処理する。信号処理部25は、合成部26および通信部27を備える。信号処理部25は、例えば、その少なくとも一部が処理基板部54に設けられる。信号処理部25の少なくとも一部は、処理基板部54と別の部分に設けられてもよい。
合成部26は、処理部23が検出した第2分解能の角度位置情報を取得する。また、合成部26は、多回転情報検出部1Aの記憶部14から回転軸SFの多回転情報を取得する。合成部26は、処理部23からの角度位置情報、及び多回転情報検出部1Aからの多回転情報を合成し、回転軸SFの回転位置情報を算出する。例えば、処理部23の検出結果がθ[rad]であり、多回転情報検出部1Aの検出結果がn回転である場合に、合成部26は、回転位置情報として(2π×n+θ)[rad]を算出する。回転位置情報は、多回転情報と、1回転未満の角度位置情報とを組にした情報でもよい。
そして、合成部26は、算出した回転位置情報を通信部27に送信する。通信部27(外部通信部、外部接続インターフェース)は、有線または無線によって、モータ制御部MCの通信部MC1と通信可能に接続されている。通信部27は、デジタル形式の回転位置情報を、モータ制御部MCの通信部MC1に供給する。モータ制御部MCは、角度検出部1Bの通信部27からの回転位置情報を適宜復号する。モータ制御部MCは、回転位置情報を使ってモータMへ供給される電力(駆動電力)を制御することにより、モータMの回転を制御する。
電力供給部2は、第1電源8からの電力の供給が遮断された状態(例、第1電源8が投入されていない状態、第1電源8がオフになっている状態、バックアップ状態)において、電力を供給する。
信号発生部4は、移動部(例、回転軸SF)の移動(例、回転)に伴う磁界の変化によって電気信号(検出信号)が発生する(出力する)。この電気信号は、例えば、電力(電流、電圧)が時間変化する波形を含む。信号発生部4には、例えば、回転軸SFの回転に伴って変化する磁界によって、電気信号として検出信号が発生する。例えば、信号発生部4には、多回転情報検出部1Aが回転軸SFの多回転情報の検出に用いる第1磁石3が形成する磁界の変化によって、検出信号が発生する。信号発生部4は、回転軸SFの回転によって、第1磁石3との相対的な角度位置が変化するように、配置される。信号発生部4には、例えば、信号発生部4と第1磁石3との相対位置が所定の位置になった際に、パルス状の電気信号が発生する。
バッテリー6は、信号発生部4で発生する検出信号に応じて、位置検出部1で消費される電力の少なくとも一部を供給する。バッテリー6は、例えばボタン型電池、乾電池などの一次電池であるが、リチウムイオン二次電池などの二次電池でもよい。
切替部5は、信号発生部4で発生した検出信号を制御信号に用いてバッテリー6から位置検出部1への電力の供給の有無を切り替える。例えば、切替部5は、信号発生部4で発生する電気信号のレベルが閾値以上になることでバッテリー6から位置検出部1への電力の供給を開始させる。例えば、切替部5は、信号発生部4で閾値以上の検出信号が発生することでバッテリー6から位置検出部1への電力の供給を開始させる。
また、切替部5は、信号発生部4で発生する電気信号のレベルが閾値未満になることでバッテリー6から位置検出部1への電力の供給を停止させる。例えば、切替部5は、信号発生部4で発生する検出信号が閾値未満になることでバッテリー6から位置検出部1への電力の供給を停止させる。例えば、第1電源8からの電力の供給が遮断された状態(バックアップ状態)において、信号発生部4にパルス状の電気信号が発生する場合、切替部5は、この電気信号のレベル(電位)がローレベルからハイレベルに立ち上がった際に、バッテリー6から位置検出部1への電力の供給を開始させ、この電気信号のレベル(電位)がローレベルへ変化してから所定の時間経過後に、バッテリー6から位置検出部1への電力の供給を停止させる。
なお、電力供給部2は、検出信号の電圧をレギュレータなどで調整した電力を位置検出部1に供給してもよい。例えば、電力供給部2は、検出信号の電圧をレギュレータなどで調整した電力と、バッテリー6からの電力とを併用してあるいは切り替えて、位置検出部1に供給してもよい。
図2は、本実施形態に係る第1磁石3、磁気センサ12、及び信号発生部4を示す図である。図2(A)には第1磁石3、磁気センサ12、及び信号発生部4の斜視図を示し、図2(B)には回転軸SFの方向から見た第1磁石3、磁気センサ12、及び信号発生部4の平面図を示した。また、図2(C)には、第1磁気センサ12aの回路構成を示した。
第1磁石3は、回転によって回転軸SFに対する放射方向(径方向)における磁界の向きおよび強さが変化するように構成される。第1磁石3は、例えば回転軸SFと同軸の円環状の部材である。第1磁石3の主面(表面および裏面)は、それぞれ、回転軸SFとほぼ垂直である。図2(B)に示すように、第1磁石3は、4極に着磁した永久磁石である。第1磁石3は、その内周側と外周側のそれぞれにおいて周方向にN極とS極が並んでおり、内周側と外周側とで位相が180°ずれている。第1磁石3において、内周側におけるN極とS極との境界は、外周側におけるN極とS極との境界と、周方向の位置(角度位置)がほぼ一致している。
以下の説明において、回転軸SFの先端側(図1のモータMと反対側)から見た場合の、反時計回りの回転を順回転、時計回りの回転を逆回転という。また、順回転の角度を正の値で表し、逆回転の角度を負の値で表す。なお、回転軸SFの基端側(図1のモータM側)から見た場合の、反時計回りの回転を順回転、時計回りの回転を逆回転と定義してもよい。
ここで、第1磁石3に固定した座標系において、周方向におけるN極とS極との1つの境界の角度位置を位置3aで表し、位置3aから90°回転した角度位置を位置3bで表す。また、位置3bから90°回転した角度位置を位置3cで表し、位置3cから90°回転した位置を位置3dで表す。位置3cは、周方向におけるN極とS極とのもう一つの境界の角度位置である。
位置3aから反時計回りに180°の第1区間において、第1磁石3の外周側にN極が配置されており、第1磁石3の内周側にS極が配置されている。この第1区間において、磁界の径方向の向きは、概ね第1磁石3の外周側から内周側へ向かう向きである。第1区間において、磁界の強さは、位置3bにおいて最大となり、位置3aの近傍および位置3cの近傍で最小となる。
位置3cから反時計回りに180°の第2区間において、第1磁石3の内周側にN極が配置されており、第1磁石3の外周側にS極が配置されている。この第2区間において、磁界の径方向の向きは、第1磁石3の内周側から外周側へ向かう向きである。第2区間において、磁界の強さは、位置3dにおいて最大となり、位置3aの近傍および位置3cの近傍で最小となる。
このように、第1磁石3が形成する磁界の径方向の向きは、位置3aにおいて反転し、位置3cにおいて反転する。第1磁石3は、第1磁石3の外部に固定された座標系に対し、第1磁石3の回転に伴って径方向の磁界の向きが反転する交流磁界を形成する。信号発生部4は、第1磁石3の主面の法線方向から見て第1磁石3と重なる位置に配置されている。
本実施形態において、信号発生部4は、第1信号発生部4aおよび第2信号発生部4bを備える。第1信号発生部4aおよび第2信号発生部4bは、それぞれ、電気信号を発生するユニットであり、第1磁石3と非接触に設けられる。第1信号発生部4aは、第1感磁性部41および第1発電部42を備える。第1感磁性部41および第1発電部42は、第1磁石3の外部に固定されており、第1磁石3の回転に伴って第1磁石3上の各位置との相対位置が変化する。例えば、図2(B)では、第1信号発生部4aから反時計回りに45°の位置に、第1磁石3の位置3bが配置されており、この状態から第1磁石3が順方向(反時計回り)に1回転すると、信号発生部4の近傍を位置3b、位置3c、位置3d、位置3aが、この順に通過する。
第1感磁性部41は、ウィーガントワイヤなどの感磁性ワイヤ(磁性体)である。第1感磁性部41には、第1磁石3の回転に伴う磁界の変化によって大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガンド効果)が生じる。第1感磁性部41は、円柱状の部材であり、その軸方向が第1磁石3の径方向に設定されている。第1感磁性部41は、その軸方向に交流磁界が印加され磁界が反転する際に、軸方向の一端から他端に向かう磁壁が発生する。
第1発電部42は、第1感磁性部41に巻き付けられて配置される高密度コイルなどである。第1発電部42には、第1感磁性部41における磁壁の発生に伴って電磁誘導が生じ、誘導電流が流れる。信号発生部4は、第1磁石3が所定の位置に配置された際に、検出信号が発生する。例えば、図2(B)に示した第1磁石3の位置3aまたは位置3cが信号発生部4の近傍を通過する際に、第1発電部42にパルス状の電流(電気信号)が発生する。また、第1発電部42は、大バルクハウゼンジャンプを利用して正パルスや負パルス等の検出パルスを含む検出信号を出力可能であり、外部(例、図1の第1電源8)からの電力供給がなくても動作可能である。
第1発電部42に発生する電流の向きは、磁界の反転前後の向きに応じて変化する。例えば、第1磁石3の外側を向く磁界から内側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きは、第1磁石3の内側を向く磁界から外側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きの反対になる。第1発電部42に発生する電力(誘導電流)は、例えば高密度コイルの巻き数により設定できる。
図2(A)に示すように、第1感磁性部41および第1発電部42は、ケース43に収納されている。ケース43には端子43aおよび端子43bが設けられている。第1発電部42の高密度コイルは、その一端が端子43aと接続され、その他端が端子43bと接続されている。第1発電部42で発生した電力は、端子43aおよび端子43bを介して、第1信号発生部4aの外部へ取り出し可能である。
第2信号発生部4bは、第1信号発生部4aが配置される角度位置から0°より大きく180°よりも小さい角度をなす角度位置に、配置される。第1信号発生部4aの角度位置と第2信号発生部4bの角度位置との角度は、45°以上135°以下の範囲から選択され、図2(B)では約90°である。第2信号発生部4bは、第1信号発生部4aと同様の構成である。第2信号発生部4bは、第2感磁性部45および第2発電部46を備える。第2感磁性部45および第2発電部46は、それぞれ、第1感磁性部41および第1発電部42と同様であり、その説明を省略する。第2感磁性部45および第2発電部46は、ケース47に収納されている。ケース47には端子47aおよび端子47bが設けられている。第2発電部46で発生した電力は、端子47aおよび端子47bを介して、第2信号発生部4bの外部へ取り出し可能である。
なお、上述の信号発生部4の構成は一例であり、その構成は適宜変更可能である。例えば、信号発生部4は、大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガンド効果)を利用しない電磁誘導によって電力を発生してもよい。また、信号発生部4が備える発電ユニットの数は、適宜変更可能であり、例えば、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、信号発生部4の配置についても適宜変更可能である。
磁気センサ12は、第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bを含む。第1磁気センサ12aは、回転軸SFの回転方向において、第1感磁性部41(第1信号発生部4a)に対して0°より大きく90°未満の角度位置で配置される。第2磁気センサ12bは、回転軸SFの回転方向において、第1感磁性部41(第1信号発生部4a)に対して90°より大きく180°未満の角度位置で配置される。
図2(C)に示すように、第1磁気センサ12aは、磁気抵抗素子48と、磁気抵抗素子48に一定の強さの磁界を与えるバイアス磁石(図示せず)と、磁気抵抗素子48からの波形を整形する波形整形回路(図示せず)とを備える。磁気抵抗素子48は、エレメント49a、エレメント49b、エレメント49c、及びエレメント49dを直列に結線したフルブリッジ形状である。エレメント49aとエレメント49cとの間の信号線は、電源端子48pに接続されている。エレメント49bとエレメント49dとの間の信号線は、接地端子48gに接続されている。エレメント49aとエレメント49bとの間の信号線は、第1出力端子48aに接続されている。エレメント49cとエレメント49dとの間の信号線は、第2出力端子48bに接続されている。第2磁気センサ12bは、第1磁気センサ12aと同様の構成である。
図3は、本実施形態に係る第2磁石を示す図である。図3において、X方向およびY方向は、回転軸SFに垂直な方向であり、Z方向は、回転軸SFに平行な方向である。回転軸SFの回転方向(移動方向)は、XY平面に平行であり、Z方向は、回転軸SFの回転方向に対する交差方向である。X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれについて、適宜、矢印の先と同じ側を+側(例、+Z側)と称し、矢印の先と反対側を−側(例、−Z側)と称する。+Z側は、例えば回転軸SFの先端側(図1のモータMと反対側)であり、−Z側は、例えば回転軸SFの基端側(モータMと同じ側)である。
図3(A)は、エンコーダ装置ECを+Y側から見た平面図である。本実施形態において、エンコーダ装置ECは、本体部として保持部51および治具52、又は本体部として保持部51を備える。保持部51は、図1に示した位置検出部1および電力供給部2の少なくとも一部を保持する。保持部51は、例えば、中空の円柱状の部材である。保持部51は、例えば、支持部53および処理基板部54を含む。支持部53は、例えば、円筒状の部材であり、図1のモータMにおける固定子側の部材(例、本体部BD)と固定される。モータMの本体部BDは、モータMにおける電機子(例、可動子)および磁石(例、固定子)を収容する。モータMにおける電機子は、回転軸SFと接続される。
支持部53は、例えば、円筒状の部材であり、その内部にスケールSを収容する。スケールSは、保持部51と接触しないように回転軸SFに取り付けられ、保持部51は、スケールSを囲む(例、覆う)ように配置される。例えば、スケールSは、フランジ状の部材であり、その軸AXがベアリング50を介して保持部51に支持される。回転軸SFは、その先端側(+Z側)が支持部53の内部に挿入され、スケールSの軸AXと固定される。
処理基板部54は、例えば、支持部53に対してモータM(例、本体部BD)と反対側(+Z側)に配置される。処理基板部54は、支持部53に固定されている。処理基板部54は、例えば、円筒状の支持部53の片方の開口を塞ぐように設けられる。処理基板部54は、例えば円板状であり、その回転軸SFの基端側(−Z側)の面55aが保持部51と固定される。
処理基板部54は、例えばプリント基板を含み、その表面に配線が形成されている。処理基板部54は、エンコーダ装置ECの回路(後に図5に示す)に含まれる電子部品の少なくとも一部を保持する。処理基板部54は、例えば、位置検出部1に含まれる部材(例、電子部品)および電力供給部2に含まれる部材(例、電子部品、バッテリー6)の少なくとも一部を保持する。処理基板部54は、例えば、図1の磁気センサ12、処理部13、記憶部14、発光素子21、受光センサ22、処理部23、信号処理部25、信号発生部4、切替部5、及びバッテリー6を保持する。
なお、位置検出部1および電力供給部2の少なくとも一部は、支持部53に保持されてもよい。例えば、センサ部(磁気センサ12、発光素子21、及び受光センサ22)の少なくとも一部は、支持部53に保持(例、支持、固定)されてもよい。また、位置検出部1および電力供給部2の少なくとも一部(例、バッテリー6)は、保持部51(例、第1保持部)と別の部材(例、第2保持部)に保持されてもよい。また、保持部51は、円柱状以外の形状でもよく、例えば、XY平面での形状が矩形の柱状あるいは板状でもよいし、その他の形状でもよい。
信号発生部4は、例えば、処理基板部54の+Z側の面55bに配置される。信号発生部4は、例えば、面55bに実装(支持、マウント)され、面55bに形成された配線と電気的に接続される。なお、信号発生部4は、処理基板部54の−Z側の面55aに配置(例、実装)されてもよく、例えば、支持部53の内側に収容されていてもよい。また、信号発生部4は、支持部53に保持(例、支持、固定)されてもよい。
治具52は、第2磁石7を保持する。例えば、治具52は、上述の第1状態において保持部51に取り付けられ、上述の第2状態において保持部51から取り外し可能である。治具52は、例えば、ネジなどの固定部材56によって保持部51に取り付けられており、固定部材56を外すことによって保持部51から分離可能である。第2磁石7は、治具52が保持部51に取り付けられた状態において、治具52を介して保持部51に保持される。第2磁石7は、治具52が保持部51から取り外されることで、保持部51から取り外される(分離される)。
なお、治具52は、第2磁石7を備えてもよく、第2磁石7と固定(例、ユニット化)されていてもよい。また、治具52は、第2磁石7を備えなくてもよく、第2磁石7と別の部材でもよい。例えば、第2磁石7は、治具52に取り付け可能でもよく、治具52に取り付けられた状態で治具52が保持部51に取り付けられることで、信号発生部4と位置決めされてもよい。
図3(B)は、第1磁石3、信号発生部4、及び第2磁石7を+Z側から見た平面図である。第2磁石7は、例えば、永久磁石であり、形成する磁界の向きおよび強さが一定である。第2磁石7は、第2磁石7は、保持部51に取り付けられた状態で信号発生部4との相対位置が固定される。第2磁石7は、信号発生部4ごとに設けられ、第2磁石7として第2磁石7aおよび第2磁石7bが設けられる。第2磁石7aは第1信号発生部4aに対応し、第2磁石7bは第2信号発生部4bに対応する。
第2磁石7aは、第1信号発生部4aの位置に磁界を形成する位置に配置される。例えば、第2磁石7aは、第1信号発生部4aに対して第1磁石3と反対において、第1信号発生部4aの近傍に配置される。第2磁石7aは、治具52が固定部材56によって保持部51に取り付けられることで、第1信号発生部4aと位置決めされる。また、第2磁石7bは、第2信号発生部4bの位置に磁界を形成する位置に配置される。例えば、第2磁石7bは、第2信号発生部4bに対して第1磁石3と反対において、第2信号発生部4bの近傍に配置される。第2磁石7bは、治具52が固定部材56によって保持部51に取り付けられることで、第2信号発生部4bと位置決めされる。
なお、第2磁石7の位置は、図3の例に限定されず、適宜変更可能である。例えば、第2磁石7aは、信号発生部4の側方に配置されてもよく、XY平面において信号発生部4と並んで配置されてもよい。また、第2磁石7は、信号発生部4と第1磁石3との間に配置されてもよい。
第2磁石7は、信号発生部4における検出信号の発生を抑制するように設けられる。例えば、信号発生部4は、交流磁界が印加され磁界が反転する際に検出信号が発生し、第2磁石7は、信号発生部4において磁界の向きの反転(磁界の変化)が発生しないように、信号発生部4に磁界を印加する。
図3(C)は、第1磁石3が第1信号発生部4aに形成する第1磁界MF1、第2磁石7aが第1信号発生部4aに形成する第2磁界MF2、及び第1磁界MF1と第2磁界MF2とを合成したMF3を示す図である。MF3は、第1信号発生部4aにおける磁界に相当する。図3(C)において、横軸は、第1信号発生部4aに対する第1磁石3の回転位置である。例えば、図3(C)の横軸において「11a」は、第1信号発生部4aの位置に第1磁石3の位置3a(図3(B)参照)が配置される回転位置であることを示す。図3(C)の縦軸は、回転軸SFに関する放射方向の内側から外側へ向かう向きを正(+)とした磁界の強さである。例えば、磁界が負(−)である場合、磁界の向きは、回転軸SFに関する放射方向の外側から内側へ向かう向きである。
第1磁石3が形成する第1磁界MF1の向きは、位置3aおよび位置3cのそれぞれにおいて反転する。第2磁石7aが形成する第2磁界MF2は、第1磁石3の位置に依存せず(位置情報によらず)、一定である。第2磁界MF2の磁界の向きは、例えば、回転軸SFに関する放射方向の外側から内側へ向かう向きである。このように、例えば、第2磁石7aは信号発生部4における磁界の向き(例、第2磁界MF2の向き)を一定に保つことが可能(例、磁界の変化を抑制可能)である。第2磁石7aが信号発生部4に形成する第2磁界MF2の強さの絶対値は、第1磁石3が信号発生部4に形成する第1磁界MF1の強さの絶対値よりも大きい。例えば、第2磁界MF2の強さの絶対値は、位置3bおよび位置3dのそれぞれにおいて極大となり、第1磁界MF1の強さの絶対値は、第2磁界MF2の強さの絶対値の極大値よりも大きい。また、例えば、第2磁石7が信号発生部4に形成する磁界は、第1磁石3が信号発生部4に形成する磁界よりも強い。
第1信号発生部4aにおいて、第1磁界MF1と第2磁界MF2とを合成したMF3は、第1磁界MF1に負のオフセットを加えたパターンである。MF3の強さは、第1磁石3の回転位置に応じて変化するが、第1磁界MF1の強さの絶対値が第2磁界MF2の強さの絶対値の極大値よりも大きい場合、MF3の向きは、反転しない。MF3の向きが反転しない場合、第1信号発生部4aは、検出信号が発生しない。
次に、本実施形態に係るエンコーダ装置の取り付け方法(組み立て方法)の例について説明する。図4は、本実施形態に係るエンコーダ装置の取り付け方法を示す図である。まず、図4(A)に示すように、治具52が取り付けられた保持部51をモータMに取り付ける。例えば、スケールSと回転軸SFとを固定し、保持部51をモータMの固定子側の部材(例、本体部BD)と固定する。スケールSは、例えば、ベアリング50を介して、予め保持部51に支持されている。信号発生部4、磁気センサ12(図1参照)、発光素子21、及び受光センサ22は、例えば、保持部51に予め取り付けられている。第2磁石7は、治具52を介して保持部51に取り付けられており、信号発生部4における磁界の変化を抑制する第1状態である。信号発生部4は、第2磁石7が取り付けられていることで、検出信号が発生しない状態である。
次に、図4(B)に示すように、第2磁石7を保持した治具52を保持部51から取り外す。第2磁石7は、保持部51から取り外されることで、信号発生部4における磁界の変化の抑制の有無が切替えられる。例えば、第2磁石7を保持した治具52が保持部51から取り外されることで、第2磁石7は、信号発生部4における磁界の変化の抑制しない第2状態へ切替わる(変化する)。信号発生部4は、第2磁石7が取り外されることで、検出信号が発生可能な状態になる。例えば、位置検出部1は、第2磁石7が信号発生部における磁界の変化を抑制しない第2状態において、電力供給部2から電力の供給を受けることができる。また、例えば、電力供給部2は、第2磁石7が信号発生部における磁界の変化を抑制しない第2状態において、位置検出部1へ電力を供給することができる。
図4(C)に示すように、エンコーダ装置ECは、図1の位置検出部1および電力供給部2を保持した保持部51がモータMに取り付けられ、かつ第2磁石7を保持した治具52が保持部51から取り外された状態で、回転軸SFの回転位置情報を検出する。本明細書において、第2磁石7を保持した治具52が保持部51を、適宜、エンコーダ本体EC1という。エンコーダ本体EC1は、例えば、位置検出部1、電力供給部2、及び保持部51を含み、第2磁石7を含まない。例えば、エンコーダ本体EC1は、第2磁石7を保持した治具52を含まない。
なお、図4に示したエンコーダ本体EC1(エンコーダ装置)の取り付け方法は、一例であり、適宜変更可能である。例えば、図4では、エンコーダ本体EC1がモータMに取り付られた後に、第2磁石7を保持した治具52がエンコーダ本体EC1から取り外されるが、エンコーダ本体EC1は、第2磁石7を保持した治具52がエンコーダ本体EC1から取り外された後に、モータMに取り付けられてもよい。第2磁石7は、例えば、エンコーダ本体EC1が回転軸SFの回転位置情報を検出する前に、信号発生部4における磁界の変化(例、磁界の向きの反転)を抑制する第1状態から、信号発生部4における磁界の変化(例、磁界の向きの反転)を抑制しない第2状態へ切り替えられてもよい。第2磁石7は、例えば、第1電源8からエンコーダ装置ECへ電力の供給が開始される前に、上記の第1状態から上記の第2状態へ切り替えられてもよい。
次に、実施形態に係るエンコーダ装置ECの回路構成について説明する。図5は、本実施形態に係る位置検出部1(例、多回転情報検出部1A)および電力供給部2の回路構成を示す図である。電力供給部2は、第1信号発生部4a、整流スタック61、第2信号発生部4b、整流スタック62、及びバッテリー6を備える。また、電力供給部2は、図1の切替部5としてレギュレータ63を備える。
整流スタック61は、第1信号発生部4aから流れる電流を整流する整流器である。整流スタック61の第1入力端子61aは、第1信号発生部4aの端子43aと接続されている。整流スタック61の第2入力端子61bは、第1信号発生部4aの端子43bと接続されている。整流スタック61の接地端子61gは、シグナルグランドSGと同電位が供給される接地線GLに接続されている。多回転情報検出部1Aの動作時に、接地線GLの電位は、回路60の基準電位になる。整流スタック61の出力端子61cは、レギュレータ63の制御端子63cに接続されている。
整流スタック62は、第2信号発生部4bから流れる電流を整流する整流器である。整流スタック62の第1入力端子62aは、第2信号発生部4bの端子47aと接続されている。整流スタック62の第2入力端子62bは、第2信号発生部4bの端子47bと接続されている。整流スタック62の接地端子62gは、接地線GLに接続されている。整流スタック62の出力端子62cは、レギュレータ63の制御端子63cに接続されている。
レギュレータ63は、このレギュレータ63のオン状態及びオフ状態に応じて、バッテリー6から位置検出部1へ供給される電力を調整する。レギュレータ63は、バッテリー6と位置検出部1との間の電力の供給経路に設けられるスイッチ(例、スイッチング素子64)を含む。レギュレータ63は、信号発生部4で発生する電気信号(検出信号)を制御信号(例、イネーブル信号)に用いてスイッチング素子64の動作を制御する。
レギュレータ63の入力端子63aは、バッテリー6に接続されている。レギュレータ63の出力端子63bは、電源線PLに接続されている。レギュレータ63の接地端子63gは、接地線GLに接続されている。レギュレータ63の制御端子63cはイネーブル端子であり、レギュレータ63は、制御端子63cに閾値以上の電圧が印加された状態で、出力端子63bの電位を所定電圧に維持する。レギュレータ63の出力電圧(上記の所定電圧)は、計数部67がCMOSなどで構成される場合に例えば3Vである。記憶部14の動作電圧は、例えば、所定電圧と同じ電圧に設定される。なお、所定電圧は、電力供給に必要な電圧であり、一定の電圧値でもよいし、段階的に変化する電圧でもよい。
スイッチング素子64(スイッチ)は、位置検出部1に電力を供給する回路60の導通と遮断とを切替える。回路60は、例えば、第2電源(例、バッテリー6)の第1電極(正極)と第2電極(負極)とを結ぶ電力の供給経路を構成し、電源線PLおよび接地線GLを含む。接地線GLは、例えば、バッテリー6の負極と接続され、その電位が回路60の基準電位となる。スイッチング素子64は、例えば、バッテリー6から回路60を介した位置検出部1への電力の供給の有無を切替える。
レギュレータ63は、信号発生部4から制御端子63cに供給される電気信号を制御信号(イネーブル信号)に用いて、スイッチング素子64の第1端子64aと第2端子64bとの間の導通状態(オン状態)と絶縁状態(オフ状態)とを切り替える。例えば、スイッチング素子64は、MOS、TFTなどを含み、第1端子64aと第2端子64bとはソース電極とドレイン電極であり、制御端子64cがゲート電極である。
制御端子64cは、信号発生部4で発生する電気信号(検出信号)によって充電される。スイッチング素子64は、制御端子64cの電圧に応じて回路60を導通へ切替える。例えば、スイッチング素子64は、制御端子64cの電位が回路60の基準電位である状態で回路60を遮断している。また、スイッチング素子64は、制御端子64cの電圧が所定値以上になることで、第1端子64aと第2端子64bとの間が導通状態(オン状態)になる。回路60を導通へ切替える。第1端子64aと第2端子64bとの間がオン状態になると、バッテリー6から、電源線PLおよび接地線GLを介して回路60に電力が供給される。なお、電力供給部2は、レギュレータ63のオン状態及びオフ状態を取得する手段を備えてもよい。
また、多回転情報検出部1Aは、第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bを含む。例えば、多回転情報検出部1Aは、図1に示した処理部13として、アナログコンパレータ65、アナログコンパレータ66、及び計数部67を含む。第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bは、それぞれ、回転軸SFを検出するセンサである。第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bは、回転軸SFに取り付けられた第1磁石3が形成する磁界を検出することで、回転軸SFを検出する。第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bは、それぞれ、バッテリー6から供給される電力を用いて、第1磁石3が形成する磁界を検出する。
第1磁気センサ12aの電源端子55pは、電源線PLに接続されている。第1磁気センサ12aの接地端子55gは、接地線GLに接続されている。第1磁気センサ12aの出力端子55cは、アナログコンパレータ65の入力端子65aに接続されている。出力端子55cは、例えば、図2(C)に示した第2出力端子48bの電位と基準電位との差に相当する電圧を出力する。
アナログコンパレータ65は、第1磁気センサ12aから出力される電圧を二値化する二値化部である。アナログコンパレータ65は、例えば比較器であり、第1磁気センサ12aから出力される電圧を所定電圧と比較する。アナログコンパレータ65の電源端子65pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ65の接地端子65gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ65の出力端子65bは、計数部67の第1入力端子67aに接続されている。アナログコンパレータ65は、第1磁気センサ12aの出力電圧が閾値以上である場合に出力端子からHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子からLレベルの信号を出力する。
第2磁気センサ12bおよびアナログコンパレータ66は、第1磁気センサ12aおよびアナログコンパレータ65と同様の構成である。第2磁気センサ12bの電源端子56pは、電源線PLに接続されている。第2磁気センサ12bの接地端子56gは、接地線GLに接続されている。第2磁気センサ12bの出力端子56cは、アナログコンパレータ66の入力端子66aに接続されている。アナログコンパレータ66の電源端子66pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ66の接地端子66gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ66の出力端子66bは、計数部67の第2入力端子67bに接続されている。アナログコンパレータ66は、第2磁気センサ12bの出力電圧が閾値以上である場合に出力端子からHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子66bからLレベルの信号を出力する。
計数部67は、回転軸SFの多回転情報を、バッテリー6から供給される電力を用いて計数する。計数部67は、例えばCMOS論理回路などを含む。計数部67は、電源端子67pおよび接地端子67gを介して供給される電力を用いて動作する。計数部67の電源端子67pは、電源線PLに接続されている。計数部67の接地端子67gは、接地線GLに接続されている。計数部67は、第1入力端子67aを介して供給される電圧、及び第2入力端子67bを介して供給される電圧を制御信号として、計数処理を行う。
記憶部14は、処理部13が検出した回転位置情報の少なくとも一部(例、多回転情報)を、バッテリー6から供給される電力を用いて記憶する(書き込み動作を行う)。記憶部14は、処理部13が検出した回転位置情報として、計数部67による計数の結果(多回転情報)を記憶する。記憶部14の電源端子14pは、電源線PLに接続されている。記憶部14の接地端子14gは、接地線GLに接続されている。記憶部14は、例えば不揮発性メモリを含み、電力が供給されている間に書き込まれた情報を、電力が供給されない状態においても保持可能である。なお、多回転情報検出部1Aは、レギュレータ63のオン状態及びオフ状態を取得する手段を備えてもよい。
本実施形態において、整流スタック61、整流スタック62とレギュレータ63との間には、キャパシタ69が設けられている。キャパシタ69の第1電極69aは、整流スタック61、整流スタック62とレギュレータ63の制御端子63cとを接続する信号線に接続されている。キャパシタ69の第2電極69bは、接地線GLに接続されている。このキャパシタ69は、例えば平滑キャパシタであり、脈動を低減してレギュレータの負荷を低減する。キャパシタ69の定数は、例えば、処理部13により回転位置情報を検出して記憶部14に回転位置情報を書き込むまでの期間に、バッテリー6から処理部13および記憶部14への電力供給が維持されるように設定される。
次に、電力供給部2および多回転情報検出部1Aの動作について、回転軸SFが反時計回りに回転(順回転)するときの多回転情報検出部1Aの動作を代表的に説明する。図6は、回転軸SFが反時計回りに回転(順回転)するときの多回転情報検出部1Aの動作を示すタイミングチャートである。
図6の「磁界」において、実線は第1信号発生部4aの位置での磁界を示し、破線は第2信号発生部4bの位置での磁界を示す。「第1信号発生部」、「第2信号発生部」は、ぞれぞれ、第1信号発生部4aの出力、第2信号発生部4bの出力を示し、1方向に流れる電流の出力を正(+)とし、その逆方向に流れる電流の出力を負(−)とした。「イネーブル信号」は、信号発生部4で発生する電気信号によりレギュレータ63の制御端子63aに印加される電位を示し、ハイレベルを「H」で表し、ローレベルを「L」で表した。「レギュレータ」は、レギュレータ63の出力を示し、ハイレベルを「H」で表し、ローレベルを「L」で表した。
図6の「第1磁気センサ」、「第2磁気センサ」は、それぞれ、第1磁気センサ12a、第2磁気センサ12bの出力を実線で示す。「第1磁気センサ」、「第2磁気センサ」において点線は、常時駆動された場合の出力である。「第1アナログコンパレータ」、「第2アナログコンパレータ」は、それぞれ、アナログコンパレータ65、アナログコンパレータ66からの出力を示す。
第1信号発生部4aは、角度位置135°において、逆方向に流れる電流パルス(「第1信号発生部」の負)を出力する。また、第1信号発生部4aは、角度位置315°において、順方向に流れる電流パルス(「第1信号発生部」の正)を出力する。第2信号発生部4bは、角度位置45°において、順方向に流れる電流パルス(「第2信号発生部」の正)を出力する。また、第2信号発生部4bは、角度位置225°において、逆方向に流れる電流パルス(「第2信号発生部」の負)を出力する。そのため、イネーブル信号は、角度位置45°、角度位置135°、角度位置225°、角度位置315°のそれぞれにおいて、ハイレベルに切り替わる。また、レギュレータ63は、イネーブル信号がハイレベルに維持された状態に対応して、角度位置45°、角度位置135°、角度位置225°、角度位置315°のそれぞれにおいて、電源線PLに所定電圧を供給する。
本実施形態において、第1磁気センサ12aの出力と第2磁気センサ12bの出力は、90°の位相差を有しており、処理部13は、この位相差を利用して回転位置情報を検出する。第1磁気センサ12aの出力は、角度位置0°から角度位置180°の範囲において、正のサイン波状である。この角度範囲において、レギュレータ63は角度位置45°、角度位置135°において電力を出力する。第1磁気センサ12aおよびアナログコンパレータ65は、角度位置45°と角度位置135°のそれぞれにおいて供給される電力により駆動される。アナログコンパレータ65から出力される信号(以下、A相信号という)は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置45°と角度位置135°のそれぞれにおいてHレベルになる。
また、第2磁気センサ12bの出力は、角度位置270°(−90°)から角度位置90°の範囲において、正のサイン波状である。この角度範囲において、レギュレータ63は、角度位置315°(−45°)、角度位置45°において電力を出力する。第2磁気センサ12bおよびアナログコンパレータ66は、角度位置315°と角度位置45°のそれぞれにおいて供給される電力により駆動される。アナログコンパレータ66から出力される信号(以下、B相信号という)は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置315°と角度位置45°のそれぞれにおいてHレベルになる。
ここで、計数部67に供給されるA相信号がHレベル(H)であり、計数部67に供給されるB相信号がLレベルである場合に、これら信号レベルの組を(H,L)のように表す。図6では、角度位置315°において信号レベルの組が(L,H)であり、角度位置45°において信号レベルの組が(H,H)、角度位置135°において信号レベルの組が(H,L)である。
計数部67は、磁気センサ12が検出したA相信号とB相信号の一方または双方がHレベルである場合に、記憶部14に信号レベルの組を記憶させる。計数部67は、次に検出したA相信号とB相信号の一方または双方がHレベルである場合に、前回のレベルの組を記憶部14から読み出し、前回のレベルの組と今回のレベルの組と比較して回転方向を判定する。
例えば、前回の信号レベルの組が(H,H)であって、今回の信号レベルが(H,L)である場合には、前回の検出において角度位置45°であり、今回の検出において角度位置135°であるので、反時計回り(順回転)であることがわかる。計数部67は、今回のレベルの組が(H,L)であって、かつ前回のレベルの組が(H,H)である場合、カウンタをアップすることを示すアップ信号を記憶部14に供給する。記憶部14は、計数部67からのアップ信号を検出した場合に、記憶している多回転情報を1増加した値に更新する。本実施形態に係る多回転情報検出部1Aは、回転軸SFの回転方向を判定しながら、多回転情報を検出できる。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、信号発生部4に電気信号が発生してから短時間のうちに、バッテリー6から多回転情報検出部1Aに電力が供給され、多回転情報検出部1Aがダイナミック駆動(間欠駆動)する。多回転情報の検出および書き込みの終了後は、多回転情報検出部1Aへの電源供給は絶たれるが、計数値は、記憶部14に格納されているので保持される。このようなシーケンスは、外部からの電力供給が絶たれた状態においても、第1磁石3上の所定位置が信号発生部4の近傍を通過するたびに繰り返される。
記憶部14に記憶されている多回転情報は、例えば、次にモータMが起動される際にモータ制御部MCなどに読み出され、回転軸SFの初期位置などの算出に利用される。このようなエンコーダ装置ECは、信号発生部4で発生する電気信号に応じて、位置検出部1(例、多回転情報検出部1A)で消費される電力の少なくとも一部をバッテリー6が供給するので、バッテリー6を長寿命にすることができる。バッテリー6のメンテナンス(例、交換)をなくしたり、メンテナンスの頻度を減らしたりすることができる。例えば、バッテリー6の寿命がエンコーダ装置ECの他の部分の寿命よりも長い場合、バッテリー6の交換を不要にすることもできる。
また、ウィーガントワイヤ等の感磁性ワイヤを利用すると、第1磁石3の回転が極めて低速であっても、信号発生部4からパルス電流の出力が得られる。そのため、例えばモータMへ電力供給がなされていない状態などにおいて、回転軸SF(第1磁石3)の回転が極めて低速な場合にも、信号発生部4の出力を電気信号として利用できる。
なお、多回転情報検出部1Aは、上記の実施形態において磁気式の検出部であるが、光学式(例、反射光又は透過光)の検出部であってもよい。この場合、多回転情報検出部1Aの一部は、角度検出部1Bと共用であってもよい。また、電力供給部2は、信号発生部4で発生する検出信号の電力を電源に用いてもよい。例えば、電力供給部2は、検出信号の電圧をレギュレータなどで所定電圧に調整し、検出信号の電力を位置検出部1に供給してもよい。また、上述の実施形態において、信号発生部4は、第1磁石3に対して所定の位置関係になった際に検出信号が発生する。エンコーダ装置EC(多回転情報検出部1A)は、信号発生部4を、回転軸SF(第1磁石3)の位置情報を検出するセンサとして備えてもよい。
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図7は、本実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。このエンコーダ装置ECは、第2磁石7の磁気回路を形成するヨーク71を備える。信号発生部4(例、第1信号発生部4a)は、感磁性部(例、図2の第1感磁性部41)を備え、第1感磁性部41は、ヨーク71が形成する磁気回路における磁界を感じる位置に配置される。
ヨーク71は、例えば、第2磁石7とユニット化され、治具52に保持される。治具52は、1つ又は複数のヨーク71を備えてもよく、第2磁石7と固定(例、ユニット化)されていてもよい。また、治具52は、ヨーク71を備えなくてもよく、ヨーク71と別の部材でもよい。例えば、ヨーク71は、治具52に取り付け可能でもよく、治具52に取り付けられた状態で治具52が保持部51に取り付けられることで、信号発生部4と位置決めされてもよい。また、ヨーク71は、第2磁石7と固定されていなくてもよく、保持部51(例、処理基板部54)に配置されてもよい。
ヨーク71は、例えば、第2磁石7が形成する磁界のうち信号発生部4以外の部分に作用する磁界を低減する。例えば、第2磁石7は、信号発生部4に形成される磁界の損失を減らすことで、信号発生部4で検出信号が発生することを効率的に抑制する。ヨーク71は、例えば、第2磁石7を小型化しつつ、信号発生部4で検出信号が発生しないように第2磁石7の磁界の強さを確保することに寄与する。ヨーク71は、例えば、信号発生部4と第2磁石7との位置関係の制約を緩和する(第2磁石7の配置自由度を高くする)ことに寄与する。例えば、ヨーク71は、第2磁石7が信号発生部4から離れて配置される場合において、信号発生部4で検出信号が発生しないように第2磁石7の磁界の強さを確保することに寄与する。エンコーダ装置ECは、図4で説明したように、第2磁石7が取り外された第2状態で回転軸SFの回転位置情報を検出する。
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図8は、本実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。図8(A)に示すように、エンコーダ装置ECにおいて、第2磁石7は、電磁石72を含む。電磁石72は、磁心73、コイル74、及び電力の供給経路75(例、配線)を含む。
電磁石72は、例えば、図1に示したバッテリー6と異なるバッテリー76から電力の供給を受けて、磁界を形成する。第2磁石7は、電磁石72が電力供給される状態で信号発生部4における磁界の変化を抑制する。第2磁石7は、例えば、図8で説明したように保持部51に取り付けられた状態で、信号発生部4における磁界の変化を抑制する第1状態に設定される。また、第2磁石7は、例えば、保持部51から取り外された状態で、信号発生部4における磁界の変化を抑制しない第2状態に設定される。エンコーダ装置ECは、第2磁石7が第2状態に設定された状態で、回転軸SFの回転位置情報を検出する。
第2磁石7は、例えば、電磁石72への電力供給の有無によって、信号発生部4における磁界の変化の抑制の有無が切替えられてもよい。例えば、第2磁石7は、バッテリー76からの電力が供給された状態において、信号発生部4における磁界の変化を抑制する第1状態である。また、第2磁石7は、バッテリー76から電力供給が断たれた状態において、信号発生部4における磁界の変化を抑制しない第2状態である。第2磁石7は、バッテリー76から電力供給が断たれることで、上記の第1状態から上記の第2状態へ切替わる。
例えば、図8(B)に示すように、第2磁石7は、第2磁石7への電力の供給経路75からバッテリー76が取り外されることで、上記の第1状態から上記の第2状態へ切替わる。また、例えば、図8(C)に示すように、供給経路75にはスイッチ77が設けられ、スイッチが供給経路75を導通(オン状態)から絶縁(オフ状態)へ切り替えられることで、上記の第1状態から上記の第2状態へ切り替えられる。また、例えば、第2磁石7(電磁石72)は、治具52が取り外されることによって上記の第1状態から上記の第2状態へ切り替わるように構成してもよい。
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図9は、本実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。信号発生部4は、図2、図6等で説明したように、第1磁石3が所定の位置(例、磁界の変化に伴い検出信号が発生する位置)に配置された際に、検出信号が発生する。本実施形態において、第2磁石7は、第1磁石3の所定の位置への移動を抑制する。第2磁石7は、第1磁石3の所定の位置への移動を抑制することで、信号発生部4における磁界の変化(例、磁界の向きの反転)の抑制が可能である。第2磁石7は、第1磁石3の所定の位置への移動を抑制することで、信号発生部4で検出信号が発生することを抑制する。
第2磁石7は、例えば、永久磁石であり、保持部51から取り外し可能に設けられる。第2磁石7は、例えば、保持部51に取り付けられた状態で、信号発生部4における磁界の変化を抑制する第1状態に設定される。また、第2磁石7は、例えば、保持部51から取り外された状態で、信号発生部4における磁界の変化を抑制しない第2状態に設定される。エンコーダ装置ECは、第2磁石7が第2状態に設定された状態で、回転軸SFの回転位置情報を検出する。なお、第2磁石7には、図7で説明したヨーク71が設けられてもよい。また、第2磁石7は、図8で説明したように、電磁石を含んでもよい。第2磁石7が電磁石を含む場合、例えば、電磁石への電力供給の有無によって、上記の第1状態と上記の第2状態とが切り替えられてもよい。
第2磁石7は、例えば、一対の磁石(磁石78aおよび磁石78b)を含む。磁石78aおよび磁石78bは、回転軸SFと信号発生部4との相対移動を抑制する。例えば、磁石78aおよび磁石78bの一方(例、磁石78a)は、回転軸SFに連動して移動し、磁石78aおよび磁石78bの他方(例、磁石78b)は、は保持部51(例、支持部53)に設けられる。例えば、磁石78aは、モータMの可動子と連動して移動する部材(例、回転軸SF、スケールS)に取り外し可能に設けられる。また、磁石78bは、例えば、モータMの固定子側の部材(例、保持部51)に取り外し可能に設けられる。第2磁石7は、磁石78aおよび磁石78bが取り付けられた状態で上記の第1状態である。また、第2磁石7は、磁石78aと磁石78bとの一方または双方が取り外された状態で上記の第2状態である。
磁石78aおよび磁石78bの各々は、例えば、スケールSの周方向と交差する方向(例、回転軸SFと平行な方向)にN極とS極とが分布するように配置される。なお、磁石78aおよび磁石78bの各々は、例えば、スケールSの周方向にN極とS極とが分布するように配置されてもよい。また、磁石78aおよび磁石78bの各々は、例えば、スケールSの径方向にN極とS極とが分布するように配置されてもよい。
なお、第2磁石7は、磁石78aおよび磁石78bが電磁石である場合、磁石78aと磁石78bとの少なくとも一方への電力供給の有無によって第1状態と第2状態とが切り替えられる。また、第2磁石7は、磁石78aまたは磁石78bが電磁石である場合、この電磁石への電力供給の有無によって第1状態と第2状態とが切り替えられる。また、第2磁石7は、磁石78aおよび磁石78bが電磁石である場合、磁界の向きと磁界の強さとの一方または双方が可変でもよい。
図10は、本実施形態に係る第2磁石の配置を示す図である。磁石78aおよび磁石78bの各々は、例えば、スケールSの周方向で90°ごとに配置される。図10(A)に示すように、磁石78bは、第1磁石3の位置3aが第1信号発生部4aの近傍に配置される際に、磁石78aと対向する位置に配置される。図10(A)の状態において、互いに対向する磁石78aと磁石78bとの間には斥力が発生し、スケールSは、この斥力によって回転し、第1磁石3の位置3aが第1信号発生部4aの位置またはその近傍に配置されることが抑制される。
図10(B)は、図10(A)の状態からスケールSが反時計回りに90°回転した状態である。磁石78bは、第1磁石3の位置3cが第2信号発生部4bの近傍に配置される際に、磁石78aと対向する位置に配置される。図10(B)の状態において、互いに対向する磁石78aと磁石78bとの間には斥力が発生し、スケールSは、この斥力によって回転し、第1磁石3の位置3cが第2信号発生部4bの位置またはその近傍に配置されることが抑制される。図10(B)の状態からスケールSが反時計回りに90°あるいは180°回転した場合についても同様に、スケールSは、磁石78aと磁石78bとの斥力によって回転し、第1磁石3は、その位置3aあるいは位置3cが信号発生部4の位置またはその近傍に配置されることが抑制される。
なお、第2磁石7(磁石78a、磁石78b)の配置は、図10の例に限定されず、適宜変更可能である。図11および図12は、本実施形態に係る第2磁石の配置の例を示す図である。図11(A)において、磁石78aは、スケールSの周方向における90°ごとの4か所に設けられ、磁石78bは、スケールSの周方向の1か所に設けられる。この場合、磁石78aと磁石78bが対向する位置からスケールSが90°回転するごとに、磁石78aと磁石78bとの間に斥力が発生し、第1磁石3は、位置3aあるいは位置3cが信号発生部4の近傍に配置されることが抑制される。なお、図11(A)の磁石78bは、図10(A)の4つの磁石78bのうち3つを省略した配置であるが、図10(A)の4つの磁石78bのうち1つまたは2つを省略した配置でもよい。
図11(B)において、磁石78aは、スケールSの周方向の1か所に設けられ、磁石78bは、スケールSの周方向における90°ごとの4か所に設けられる。この場合、磁石78aと磁石78bが対向する位置からスケールSが90°回転するごとに、磁石78aと磁石78bとの間に斥力が発生し、第1磁石3は、位置3aあるいは位置3cが信号発生部4の近傍に配置されることが抑制される。なお、図11(B)の磁石78aは、図10(A)の4つの磁石78aのうち3つを省略した配置であるが、図10(A)の4つの磁石78aのうち1つまたは2つを省略した配置でもよい。
図12(A)において、磁石78aおよび磁石78bのそれぞれは、スケールSの周方向の2か所に設けられる。2つの磁石78aは、スケールSの周方向で互いに180°ずれて配置される。また、2つの磁石78bは、スケールSの周方向で互いに90°ずれて配置される。この場合、磁石78aと磁石78bが対向する位置からスケールSが90°回転するごとに、磁石78aと磁石78bとの間に斥力が発生し、第1磁石3は、位置3aあるいは位置3cが信号発生部4の近傍に配置されることが抑制される。なお、2つの磁石78aは、スケールSの周方向で互いに90°ずれて配置され、2つの磁石78bは、スケールSの周方向で互いに180°ずれて配置される場合について同様である。
図12(B)において、磁石78aおよび磁石78bは、第1磁石3が所定の位置(例、信号発生部4に検出信号が発生する位置)から外れて配置される際に、磁石78aと磁石78bとの間に磁界による引力が発生する。磁石78aおよび磁石78bは、第1磁石3が所定の位置から外れて配置される際に、互いに異なる極性が対向する。スケールSは、磁石78aと磁石78bとの引力によって回転が抑制され、第1磁石の所定の位置への移動が抑制される。図12(B)において、磁石78aは、スケールSの周方向の90°ごとの4か所に設けられ、磁石78bは、スケールSの周方向の90°ごとの4か所に設けられる。磁石78aと磁石78bとの少なくとも一方は、図11、図12(A)で説明したように、一部が省略されてもよい。
なお、第2磁石7は、第1磁石3との間の引力あるいは斥力によって、第1磁石3の所定の位置への移動を抑制してもよい。例えば、第2磁石7は、上記の一対の磁石の一方の磁石として、第1磁石3を用いる構成でもよい。また、第2磁石7は、第1磁石3の所定の位置への移動を抑制し、かつ第1磁界MF1(図3(C)参照)と第2磁界MF2とを合成した磁界MF3の向きが反転しないように設けられてもよい。なお、上述したように、例えば、本実施形態における第2磁石7は、信号発生部4に対するスケールの第1磁石3の相対移動(例、所定方向への回転、振動を含む移動)を防止する脱着可能な移動防止用磁石(例、振動防止用磁石)として構成される。
[駆動装置]
次に、実施形態に係る駆動装置について説明する。図13は、駆動装置MTRの一例を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。この駆動装置MTRは、電動モータを含むモータ装置である。駆動装置MTRは、回転軸SFと、回転軸SFを回転駆動する本体部(駆動部)BDと、回転軸SFの回転位置情報を検出するエンコーダ装置ECとを有している。
図13において、信号発生部4は、スケールSに対して、発光素子21および受光センサ22と同じ側に配置されている。なお、第1磁石3、信号発生部4、スケールS、発光素子21、及び受光センサ22の配置は、図13に示す配置に限定されず、例えば図1に示した配置でもよいし、その他の配置でもよい。例えば、信号発生部4は、スケールSに対して、発光素子21および受光センサ22と逆側の面に配置されてもよい。
回転軸SFは、負荷側端部SFaと、反負荷側端部SFbとを有している。負荷側端部SFaは、減速機など他の動力伝達機構に接続される。反負荷側端部SFbには、固定部を介してスケールSが固定される。このスケールSの固定とともに、エンコーダ装置ECが取り付けられている。エンコーダ装置ECは、上述した実施形態、変形例、あるいはその組み合わせに係るエンコーダ装置である。
この駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの検出結果を使って、図1などに示したモータ制御部MCが本体部BDを制御する。駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。なお、駆動装置MTRは、モータ装置に限定されず、油圧や空圧を利用して回転する軸部を有する他の駆動装置であってもよい。
[ステージ装置]
次に、実施形態に係るステージ装置について説明する。図14は、ステージ装置STGを示す図である。このステージ装置STGは、図13に示した駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaに、ステージ(回転テーブルTB、移動物体)を取り付けた構成である。ステージ装置STGは、例えば、1次元のリニアモータによって、ステージを1方向に直線的に移動させる構成でもよい。また、ステージ装置STGは、複数の1次元のリニアモータあるいは2次元のリニアモータ(例、平面モータ)によって、ステージを2方向に移動させる構成でもよい。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
ステージ装置STGは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させる。この回転は、回転テーブルTBに伝達され、その際にエンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、回転テーブルTBの角度位置を検出することができる。なお、駆動装置MTRの負荷側端部SFaと回転テーブルTBとの間に減速機等が配置されてもよい。
ステージ装置STGは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が低い又は無いので、メンテナンスコストを減らすことができる。なお、ステージ装置STGは、例えば、旋盤等の工作機械に備える回転テーブル等に適用できる。
[ロボット装置]
次に、実施形態に係るロボット装置について説明する。図15は、ロボット装置RBTを示す斜視図である。なお、図15には、ロボット装置RBTの一部(関節部分)を模式的に示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略装置または簡略化する。このロボット装置RBTは、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを有している。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。
第1アームAR1は、腕部101、軸受101a、及び軸受101bを備えている。第2アームAR2は、腕部102および接続部102aを有する。接続部102aは、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの間に配置されている。接続部102aは、回転軸SF2と一体的に設けられている。回転軸SF2は、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの両方に挿入されている。回転軸SF2のうち軸受101bに挿入される側の端部は、軸受101bを貫通して減速機RGに接続されている。
減速機RGは、駆動装置MTRに接続されており、駆動装置MTRの回転を例えば100分の1等に減速して回転軸SF2に伝達する。図15に図示しないが、駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaは、減速機RGに接続されている。また、駆動装置MTRの回転軸SFのうち反負荷側端部SFbには、エンコーダ装置ECのスケールSが取り付けられている。
ロボット装置RBTは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させると、この回転が減速機RGを介して回転軸SF2に伝達される。回転軸SF2の回転により接続部102aが一体的に回転し、これにより第2アームAR2が、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、第2アームAR2の角度位置を検出することができる。ロボット装置RBTは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。なお、ロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、駆動装置MTRは、関節を備える各種ロボット装置に適用できる。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。