JP2018053746A - 圧縮機 - Google Patents

圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP2018053746A
JP2018053746A JP2016188035A JP2016188035A JP2018053746A JP 2018053746 A JP2018053746 A JP 2018053746A JP 2016188035 A JP2016188035 A JP 2016188035A JP 2016188035 A JP2016188035 A JP 2016188035A JP 2018053746 A JP2018053746 A JP 2018053746A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
discharge space
space
discharge
flow path
compressor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016188035A
Other languages
English (en)
Inventor
早祐美 西川
Sayumi Nishikawa
早祐美 西川
義友 塚
Yoshitomo Tsuka
義友 塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP2016188035A priority Critical patent/JP2018053746A/ja
Publication of JP2018053746A publication Critical patent/JP2018053746A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compressor (AREA)
  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Abstract

【課題】本発明に係る圧縮機は、吐出脈動に起因する騒音を効果的に低減することができる。【解決手段】スクロール圧縮機101は、圧縮機構15と、電磁弁74とを備える。圧縮機構15は、冷媒を圧縮して、第1吐出空間71に吐出する。第1吐出空間71は、連通孔47aを介して第2吐出空間72と連通する。第1吐出空間71は、圧縮機構15によって圧縮された冷媒を導くための第1圧縮冷媒流路46と連通する。第2吐出空間72は、バイパス流路73を介して第1圧縮冷媒流路46と連通する。電磁弁74は、スクロール圧縮機101の運転条件に応じて、バイパス流路73を冷媒が流れることができない閉状態と、バイパス流路73を冷媒が流れることができる開状態とを切り替える。第2吐出空間72および連通孔47aは、電磁弁74が閉状態のときに、ヘルムホルツ共鳴室として機能する。【選択図】図4

Description

本発明は、冷凍装置に用いられる圧縮機に関する。
従来、空気調和装置等の冷凍装置に用いられる密閉型の圧縮機は、圧縮機構によって圧縮された冷媒が吐出される吐出空間で発生する吐出脈動に起因する騒音を低減するための機構を備えている。吐出脈動とは、圧縮機構から吐出空間へ圧縮された冷媒が周期的に流入することによる、吐出空間における圧力の変動である。吐出脈動は、圧縮機の振動を引き起こし、圧縮機から発生する騒音の原因となる。
特許文献1(特開2002−48064号公報)に開示される圧縮機は、吐出脈動に起因する騒音を低減するための機構として、圧縮機構から吐出された冷媒が通過する消音空間を備えている。消音空間は、吐出脈動を平滑化するために十分な容積を有している空間である。消音空間において吐出脈動が平滑化されることで、吐出脈動に起因する騒音が低減される。
特許文献2(特開2000−161220号公報)に開示される圧縮機は、吐出脈動に起因する騒音を低減するための機構として、吐出空間と連通するヘルムホルツ共鳴室を備えている。ヘルムホルツ共鳴室とは、ヘルムホルツ共鳴を発生させるための空間である。ヘルムホルツ共鳴室は、吐出空間のみと連通する減衰空間と、吐出空間と減衰空間とを連通する1つの連通路とを有する。ヘルムホルツ共鳴室は、減衰空間内部の空気がバネとして作用し、連通路内部の空気が剛体的に振動することによって、特定の周波数の音に共鳴する。連通路内部で振動する空気と、連通路の内壁との間で摩擦エネルギーが発生することで、吐出脈動のエネルギーが低減されて、吐出脈動に起因する騒音が低減される。
吐出脈動に起因する騒音を低減するためのヘルムホルツ共鳴室の共鳴周波数は、減衰空間の容積、連通路の断面積、および、連通路の長さによって決定される。しかし、吐出脈動に起因する騒音の音圧レベルが大きくなりやすい圧縮機の運転条件は限られている。そのような運転条件が満たされていない場合には、吐出脈動に起因する騒音の音圧レベルはもともと小さく、ヘルムホルツ共鳴室は、吐出脈動に起因する騒音を低減する効果をほとんど有しない。その場合、ヘルムホルツ共鳴室は、圧縮機内部において死容積となる。そのため、従来の圧縮機は、小型化を達成するために、吐出空間の近傍に形成された小容積のヘルムホルツ共鳴室を備えている。しかし、ヘルムホルツ共鳴室の容積が小さい場合、吐出脈動に起因する騒音を低減する効果が小さいという問題点がある。
本発明の目的は、吐出脈動に起因する騒音を効果的に低減することができる圧縮機を提供することである。
本発明の第1観点に係る圧縮機は、ケーシングと、圧縮機構と、開閉機構とを備える。圧縮機構は、ケーシングに収容され、冷媒を圧縮するための機構である。圧縮機構は、圧縮された冷媒を第1吐出空間に吐出する。第1吐出空間は、連通空間を介して第2吐出空間と連通する。第1吐出空間は、圧縮機構によって圧縮された冷媒を導くための吐出流路と連通する。第2吐出空間は、バイパス流路を介して吐出流路と連通する。開閉機構は、圧縮機の運転条件に応じて、バイパス流路を冷媒が流れることができない閉状態と、バイパス流路を冷媒が流れることができる開状態とを切り替える。第2吐出空間および連通空間は、開閉機構が閉状態のときに、ヘルムホルツ共鳴室として機能する。
この圧縮機では、第1吐出空間で発生する吐出脈動に起因する騒音が大きくなりやすい運転条件を満たすときに、開閉機構は閉状態となり、そのような運転条件を満たさないときに、開閉機構は開状態となる。開閉機構が閉状態のとき、第2吐出空間および連通空間は、ヘルムホルツ共鳴室として機能する。開閉機構が開状態のとき、第1吐出空間および第2吐出空間は、マフラ空間として機能する。これにより、開閉機構が閉状態のときは、特定の周波数の吐出脈動に起因する騒音が効果的に抑制され、開閉機構が開状態のときは、全周波数の吐出脈動に起因する騒音が抑制される。従って、この圧縮機は、吐出脈動に起因する騒音を効果的に低減することができる。
本発明の第2観点に係る圧縮機は、第1観点に係る圧縮機であって、圧縮機構に取り付けられる吐出空間形成部材をさらに備える。第1吐出空間および第2吐出空間は、圧縮機構と吐出空間形成部材とによって囲まれた空間に形成される。
この圧縮機では、吐出空間形成部材のみによって、第1吐出空間および第2吐出空間が形成されている。従って、この圧縮機は、製造コストを抑えることができる。
本発明の第3観点に係る圧縮機は、第1観点または第2観点に係る圧縮機であって、第1吐出空間と第2吐出空間とを仕切る仕切り部材をさらに備える。仕切り部材は、連通空間である孔を有する。
この圧縮機では、仕切り部材のみによって、第1吐出空間と第2吐出空間とが仕切られ、かつ、連通空間が形成されている。従って、この圧縮機は、製造コストを抑えることができる。
本発明の第4観点に係る圧縮機は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係る圧縮機であって、開閉機構は、第2吐出空間において、バイパス流路の開口に設けられている弁である。
この圧縮機では、開閉機構である弁は、第2吐出空間において、バイパス流路の開口を開閉するように設置されている。そのため、バイパス流路の途中に弁が設置される場合と比べて、ヘルムホルツ共鳴室の容積が容易に算出可能である。従って、この圧縮機は、ヘルムホルツ共鳴室として機能する空間を高い精度で設計することができる。
本発明の第5観点に係る圧縮機は、第4観点に係る圧縮機であって、弁は、運転条件に応じて、閉状態と開状態との切り替えが自動的に制御される電磁弁である。
この圧縮機では、開閉機構は、自動制御される電磁弁である。従って、この圧縮機は、運転条件に応じて、開閉機構の閉状態と開状態との切り替えを適切に行うことができる。
本発明の第6観点に係る圧縮機は、第5観点に係る圧縮機であって、圧縮機の運転条件は、圧縮機構を駆動するためのモータの周波数、圧縮機構によって圧縮された冷媒の温度、および、圧縮機構によって圧縮された冷媒の圧力の少なくとも1つに関する条件である。
この圧縮機では、開閉機構の状態を切り替えるための運転条件として、種種のパラメータに関する条件を用いることができる。従って、この圧縮機は、運転条件を容易に設定することができる。
本発明の第7観点に係る圧縮機は、第4観点に係る圧縮機であって、弁は、圧縮機構によって圧縮された冷媒の温度に応じて、閉状態と開状態との切り替えが自動的に制御される感熱弁である。
この圧縮機では、開閉機構は、自動制御される感熱弁である。従って、この圧縮機は、運転条件に応じて、開閉機構の閉状態と開状態との切り替えを適切に行うことができる。
本発明の第8観点に係る圧縮機は、第1観点から第7観点のいずれか1つに係る圧縮機であって、バイパス流路は、開閉機構が開状態のときに、第2吐出空間から吐出流路に向かって、圧縮機構によって圧縮された冷媒を導く。
この圧縮機では、第1吐出空間で発生する吐出脈動に起因する騒音が大きくなりやすい運転条件を満たさないときに、第1吐出空間の冷媒の一部は、第2吐出空間およびバイパス流路を介して吐出流路に流入することができる。そのため、圧縮機構から吐出された冷媒の流路抵抗の低下が抑制される。従って、この圧縮機は、運転効率の低下を抑制することができる。
本発明に係る圧縮機は、吐出脈動に起因する騒音を効果的に低減することができる圧縮機を提供することである。
実施形態に係るスクロール圧縮機101の縦断面図である。 固定スクロール24の下面図である。 可動スクロール26の上面図である。 固定スクロール24の近傍における図1の拡大図である。電磁弁74が閉状態のときの図である。 図4と同様の図であって、電磁弁74が開状態のときの図である。 可動スクロール26の第2ラップ26b、および、圧縮室40が示された固定スクロール24の下面図である。 圧縮室40、吐出孔41、第1圧縮冷媒流路46、連通孔47a、第2圧縮冷媒流路48、第1吐出空間71、第2吐出空間72、バイパス流路73および高圧空間S1の連通関係を模式的に示した図である。電磁弁74が閉状態のときの図である。 図7と同様の図であって、電磁弁74が開状態のときの図である。 変形例Dのカバー部材144および仕切り部材147を説明するための図である。
本発明の実施形態に係る圧縮機について、図面を参照しながら説明する。本実施形態の圧縮機は、空気調和装置等の冷凍装置に用いられるスクロール圧縮機101である。スクロール圧縮機101は、冷凍装置の冷媒回路を循環する冷媒ガスを圧縮する。
(1)スクロール圧縮機の構成
図1は、スクロール圧縮機101の縦断面図である。図1において、矢印Uは、鉛直方向上方を示す。スクロール圧縮機101は、主として、ケーシング10と、圧縮機構15と、ハウジング23と、オルダム継手39と、モータ16と、下部軸受60と、クランクシャフト17と、吸入管19と、吐出管20とから構成される。次に、スクロール圧縮機101の各構成要素について説明する。
(1−1)ケーシング
ケーシング10は、円筒形状の胴部ケーシング部11と、椀形状の上壁部12と、椀形状の底壁部13とから構成される。上壁部12は、胴部ケーシング部11の上端部に気密状に溶接されている。底壁部13は、胴部ケーシング部11の下端部に気密状に溶接されている。
ケーシング10は、ケーシング10の内部および外部において圧力および温度が変化した場合に、変形および破損が起こりにくい剛性部材で成形されている。ケーシング10は、胴部ケーシング部11の円筒形状の軸方向が鉛直方向に沿うように設置されている。
ケーシング10の内部には、主として、圧縮機構15と、ハウジング23と、オルダム継手39と、モータ16と、下部軸受60と、クランクシャフト17とが収容されている。ケーシング10には、吸入管19および吐出管20が気密状に溶接されている。
ケーシング10の内部空間の底部には、潤滑油が貯留される油溜まり空間10aが形成されている。潤滑油は、スクロール圧縮機101の運転中において、圧縮機構15等の摺動部の潤滑性を良好に保つために使用される冷凍機油である。
(1−2)圧縮機構
圧縮機構15は、低温低圧の冷媒ガスを吸引して圧縮し、高温高圧の冷媒ガス(以下、「圧縮冷媒」という。)を吐出する。圧縮機構15は、主として、固定スクロール24と、可動スクロール26とから構成される。固定スクロール24は、ケーシング10に対して固定されている。可動スクロール26は、固定スクロール24に対して公転運動を行う。図2は、鉛直方向に沿って視た固定スクロール24の下面図である。図3は、鉛直方向に沿って視た可動スクロール26の上面図である。図4は、固定スクロール24の近傍における図1の拡大図である。
(1−2−1)固定スクロール
固定スクロール24は、第1鏡板24aと、第1ラップ24bとを有する。第1ラップ24bは、第1鏡板24aの下面から直立している。第1ラップ24bは、鉛直方向に沿って見た場合に、渦巻き形状を有している。第1鏡板24aの下面には、図2に示されるように、C字形状の油溝24eが形成されている。
第1鏡板24aには、主吸入孔24cが形成されている。主吸入孔24cは、吸入管19と、後述する圧縮室40とを接続する空間である。主吸入孔24cは、低温低圧の冷媒ガスを吸入管19から圧縮室40に導入するための空間である。
第1鏡板24aの上面には、円筒形状の窪みである拡大凹部42が形成されている。拡大凹部42の底面には、吐出孔41が形成されている。吐出孔41は、圧縮室40と連通する。
第1鏡板24aには、第1圧縮冷媒流路46が形成されている。第1圧縮冷媒流路46は、拡大凹部42と連通し、かつ、第1鏡板24aの上面、および、固定スクロール24の下面に開口している。
固定スクロール24には、カバー部材44および仕切り部材47が、ボルト49によって締結されている。ボルト49は、カバー部材44および仕切り部材47を貫通して、第1鏡板24aに固定されている。仕切り部材47は、固定スクロール24とカバー部材44とによって挟まれている。カバー部材44は、仕切り部材47と共に、固定スクロール24の拡大凹部42を塞いでいる。固定スクロール24、カバー部材44および仕切り部材47は、ガスケット(図示せず)を介してシールされている。
仕切り部材47は、円形の板状部材である。ボルト49は、仕切り部材47の縁部を貫通する。仕切り部材47は、連通孔47aおよび第1バイパス孔47bを有する。連通孔47aおよび第1バイパス孔47bは、仕切り部材47に形成された円筒形状の貫通孔である。以下、図4に示されるように、仕切り部材47と固定スクロール24とによって囲まれた拡大凹部42を、第1吐出空間71と呼ぶ。第1吐出空間71は、吐出孔41、連通孔47aおよび第1圧縮冷媒流路46と連通する。第1圧縮冷媒流路46は、第1バイパス孔47bと連通する。
カバー部材44は、カバー凸部44aと、カバー縁部44bとを有する。カバー縁部44bは、カバー凸部44aの周囲に形成されている。ボルト49は、カバー縁部44bを貫通する。カバー凸部44aは、カバー縁部44bに対して、鉛直方向上方に向かって突出している。カバー部材44の下面には、円筒形状の窪みであるカバー凹部44cが形成されている。カバー凹部44cは、カバー凸部44aの内側の空間である。以下、図4に示されるように、仕切り部材47とカバー部材44とによって囲まれたカバー凹部44cを、第2吐出空間72と呼ぶ。第2吐出空間72は、仕切り部材47の連通孔47aを介して、第1吐出空間71と連通する。カバー部材44には、第2バイパス孔44dが形成されている。第2バイパス孔44dは、カバー凹部44cと連通し、かつ、カバー部材44の下面に開口する。第2バイパス孔44dは、カバー部材44を貫通する孔である。第2バイパス孔44dは、第2吐出空間72、および、仕切り部材47の第1バイパス孔47bと連通する。以下、第1バイパス孔47bおよび第2バイパス孔44dから構成される空間を、バイパス流路73と呼ぶ。バイパス流路73は、第2吐出空間72と第1圧縮冷媒流路46とを連通する。
第2吐出空間72におけるバイパス流路73の開口には、電磁弁74が取り付けられている。電磁弁74は、バイパス流路73の開口を閉じたり開いたりする機能を有する。電磁弁74は、スクロール圧縮機101の運転条件に応じて、閉状態と開状態とを自動的に切り替える。閉状態は、バイパス流路73の開口が閉じられ、第2吐出空間72がバイパス流路73を介して第1圧縮冷媒流路46と連通していない状態である。開状態は、バイパス流路73の開口が開かれ、第2吐出空間72がバイパス流路73を介して第1圧縮冷媒流路46と連通している状態である。電磁弁74の状態は、スクロール圧縮機101の組み込みシステム(図示せず)によって自動制御される。電磁弁74の容積は、第2吐出空間72の容積に比べて、無視できる程度である。
図4は、電磁弁74が閉状態のときの図である。図5は、図4と同様の図であって、電磁弁74が開状態のときの図である。図4に示されるように、電磁弁74が閉状態のときは、第2吐出空間72から第1圧縮冷媒流路46に向かって、バイパス流路73を冷媒が流れることができない。図5に示されるように、電磁弁74が開状態のときは、第2吐出空間72から第1圧縮冷媒流路46に向かって、バイパス流路73を冷媒が流れることができる。
(1−2−2)可動スクロール
可動スクロール26は、第2鏡板26aと、第2ラップ26bと、上端軸受26cとを有する。第2ラップ26bは、第2鏡板26aの上面から直立している。第2ラップ26bは、鉛直方向に沿って見た場合に、渦巻き形状を有している。上端軸受26cは、第2鏡板26aの下面の中央部から直立している。上端軸受26cは、円筒形状を有している。
第2鏡板26aには、給油細孔63が形成されている。給油細孔63は、第2鏡板26aの外周部の上方の空間と、上端軸受26cの内側の空間とを連通している。
固定スクロール24および可動スクロール26は、第1ラップ24bと第2ラップ26bとが噛み合うことにより、第1鏡板24aと、第1ラップ24bと、第2鏡板26aと、第2ラップ26bとによって囲まれる空間である圧縮室40を形成する。圧縮室40の容積は、可動スクロール26の公転運動によって周期的に変化する。可動スクロール26の公転中に、固定スクロール24の第1鏡板24aおよび第1ラップ24bの下面は、可動スクロール26の第2鏡板26aおよび第2ラップ26bの上面と摺動する。以下、可動スクロール26と摺動する第1鏡板24aの表面を、スラスト摺動面24dと呼ぶ。
図6は、可動スクロール26の第2ラップ26b、および、圧縮室40が示された固定スクロール24の下面図である。図6において、ハッチングされた領域は、スラスト摺動面24dを表す。図6に示されるように、固定スクロール24の油溝24eは、スラスト摺動面24dに納まるように第1鏡板24aの下面に形成されている。
(1−3)ハウジング
ハウジング23は、圧縮機構15の下方に配置されている。ハウジング23の外周面は、胴部ケーシング部11の内周面に気密状に接合されている。これにより、ケーシング10の内部空間は、ハウジング23の下方の高圧空間S1と、ハウジング23の上方の上部空間S2とに区画されている。ハウジング23は、固定スクロール24を載置し、固定スクロール24と共に可動スクロール26を挟み込んでいる。ハウジング23の外周部には、第2圧縮冷媒流路48が形成されている。第2圧縮冷媒流路48は、ハウジング23を鉛直方向に貫通する孔である。第2圧縮冷媒流路48は、ハウジング23の上面において第1圧縮冷媒流路46と連通し、ハウジング23の下面において高圧空間S1と連通する。
ハウジング23の上面には、クランク室23aと呼ばれる窪みが形成されている。ハウジング23には、ハウジング貫通孔31が形成されている。ハウジング貫通孔31は、クランク室23aの底面の中央部から、ハウジング23の下面の中央部まで、ハウジング23を鉛直方向に貫通する孔である。以下、ハウジング23の一部であり、かつ、ハウジング貫通孔31の周囲の部分を、上部軸受32と呼ぶ。
ハウジング23には、クランク室23aと高圧空間S1とを連通する油排出通路23bが形成されている。クランク室23aにおいて、油排出通路23bの開口は、クランク室23aの底面付近に形成されている。
(1−4)オルダム継手
オルダム継手39は、公転している可動スクロール26の自転を防止するための部材である。オルダム継手39は、可動スクロール26とハウジング23との間に配置されている。
(1−5)モータ
モータ16は、ハウジング23の下方に配置されるブラシレスDCモータである。モータ16は、主として、ステータ51と、ロータ52とを有する。
ステータ51は、主として、ステータコア51aと、複数のコイル51bとから構成される。ステータコア51aは、ケーシング10の内周面に固定される円筒形状の部材である。ステータコア51aは、複数のティース(図示せず)を有する。ティースに巻線が巻かれることで、コイル51bが形成される。
ステータコア51aの外周面には、複数のコアカットが形成されている。コアカットは、ステータコア51aの上端面から下端面に亘って鉛直方向に形成される溝である。コアカットは、ステータコア51aの周方向に沿って所定の間隔で形成されている。コアカットは、胴部ケーシング部11とステータコア51aとの間を鉛直方向に延びるコアカット通路55を形成する。
ロータ52は、ステータコア51aの内側に配置される円柱形状の部材である。ステータコア51aの内周面と、ロータ52の外周面との間には、エアギャップが形成されている。ロータ52は、クランクシャフト17に連結されている。ロータ52は、クランクシャフト17を介して、圧縮機構15に接続されている。
(1−6)下部軸受
下部軸受60は、モータ16の下方に配置される。下部軸受60の外周面は、ケーシング10の内周面に接合されている。下部軸受60は、クランクシャフト17を支持する。下部軸受60には、油分離板62が取り付けられている。油分離板62は、ケーシング10の内部に収容される板状部材である。油分離板62は、下部軸受60の上端面に固定されている。
(1−7)クランクシャフト
クランクシャフト17は、その軸方向が鉛直方向に沿うように配置されている。クランクシャフト17の上端部の軸心は、上端部を除く部分の軸心に対して偏心している。クランクシャフト17は、バランスウェイト18を有する。バランスウェイト18は、ハウジング23の下方かつモータ16の上方の高さ位置において、クランクシャフト17に密着して固定されている。
クランクシャフト17は、ロータ52の回転中心部を鉛直方向に貫通して、ロータ52に連結されている。クランクシャフト17の上端部は、可動スクロール26の上端軸受26cに嵌め込まれている。これにより、クランクシャフト17は、可動スクロール26に接続されている。クランクシャフト17は、上部軸受32および下部軸受60によって支持されている。
クランクシャフト17の内部には、主給油路61が形成されている。主給油路61は、クランクシャフト17の軸方向に沿って延びている。主給油路61の上端は、クランクシャフト17の上端面と第2鏡板26aの下面との間の空間である油室83と連通している。油室83は、第2鏡板26aの給油細孔63を介して、スラスト摺動面24dおよび油溝24eに連通し、圧縮室40を介して最終的に低圧空間S2に連通する。主給油路61の下端は、油溜まり空間10aに連通している。
クランクシャフト17は、主給油路61から分岐する第1副給油路61a、第2副給油路61bおよび第3副給油路61cを有している。第1副給油路61a、第2副給油路61bおよび第3副給油路61cは、水平方向に延びている。第1副給油路61aは、クランクシャフト17と、可動スクロール26の上端軸受26cとの摺動部に開口している。第2副給油路61bは、クランクシャフト17と、ハウジング23の上部軸受32との摺動部に開口している。第3副給油路61cは、クランクシャフト17と下部軸受60との摺動部に開口している。
(1−8)吸入管
吸入管19は、ケーシング10の外部から圧縮機構15へ、冷媒回路の冷媒を導入するための管である。吸入管19は、ケーシング10の上壁部12を貫通する。吸入管19は、上部空間S2を鉛直方向に貫通する。ケーシング10の内部において、吸入管19の端部は、固定スクロール24の主吸入孔24cに嵌め込まれている。
(1−9)吐出管
吐出管20は、高圧空間S1からケーシング10の外部へ、圧縮冷媒を吐出するための管である。吐出管20は、ケーシング10の胴部ケーシング部11を貫通する。吐出管20は、高圧空間S1を水平方向に貫通する。ケーシング10の内部において、吐出管20の端部は、ハウジング23とモータ16との間の高さ位置にある。
(2)スクロール圧縮機の動作
最初に、スクロール圧縮機101内部における冷媒の流れについて説明する。次に、スクロール圧縮機101内部における潤滑油の流れについて説明する。
(2−1)冷媒の流れ
モータ16が駆動してロータ52が回転し始めると、ロータ52に連結されているクランクシャフト17が軸回転を始める。クランクシャフト17の軸回転運動は、上端軸受26cを介して可動スクロール26に伝達される。クランクシャフト17の上端部の軸心は、クランクシャフト17の回転軸に対して偏心している。そのため、クランクシャフト17の軸回転運動によって、可動スクロール26は、固定スクロール24に対して公転運動を行う。また、可動スクロール26は、オルダム継手39を介してハウジング23と係合している。そのため、可動スクロール26が公転運動している間、可動スクロール26の自転が防止される。
圧縮される前の低温低圧の冷媒は、吸入管19から主吸入孔24cを経由して、圧縮機構15の圧縮室40に供給される。可動スクロール26の公転運動により、圧縮室40は容積を徐々に減少させながら固定スクロール24の外周部から中心部に向かって移動する。その結果、圧縮室40の冷媒は圧縮されて圧縮冷媒となる。圧縮冷媒は、吐出孔41から第1吐出空間71に吐出された後、第1圧縮冷媒流路46および第2圧縮冷媒流路48を経由して、モータ16の上方の高圧空間S1へ吐出される。その後、圧縮冷媒は、一部のコアカット通路55を下方に向かって流れて、モータ16の下方の高圧空間S1に到達する。その後、圧縮冷媒は、流れの向きを反転させて、他のコアカット通路55、および、モータ16のエアギャップを上方に向かって流れて、モータ16の上方の高圧空間S1に到達する。その後、圧縮冷媒は、吐出管20からスクロール圧縮機101の外部に吐出される。
ここで、圧縮機構15の吐出孔41から第1吐出空間71に吐出された圧縮冷媒の流れについて、詳細に説明する。図7および図8は、圧縮室40、吐出孔41、第1圧縮冷媒流路46、連通孔47a、第2圧縮冷媒流路48、第1吐出空間71、第2吐出空間72、バイパス流路73および高圧空間S1の連通関係を模式的に示した図である。図7および図8では、各空間の境界が点線で示され、かつ、圧縮冷媒の流れが鎖線の矢印で示されている。図7および図8には、電磁弁74が示されている。図7は、電磁弁74が閉状態のときの図である。図8は、電磁弁74が開状態のときの図である。
電磁弁74が閉状態のときは、図7に示されるように、電磁弁74によってバイパス流路73が閉じられているので、第2吐出空間72は、第1圧縮冷媒流路46と連通していない。そのため、第1吐出空間71の圧縮冷媒のほとんどは、第1圧縮冷媒流路46に直接流入する。そして、圧縮冷媒は、第1圧縮冷媒流路46を通過した後、第2圧縮冷媒流路48を経由して、高圧空間S1へ吐出される。すなわち、電磁弁74が閉状態のときは、第2吐出空間72は、連通孔47aのみを介して第1吐出空間71と連通しているので、圧縮冷媒は、第2吐出空間72からバイパス流路73を経由して第1圧縮冷媒流路46に流入することができない。後述するように、電磁弁74が閉状態のとき、第2吐出空間72および連通孔47aは、ヘルムホルツ共鳴室として機能する。
電磁弁74が開状態のときは、図8に示されるように、電磁弁74によってバイパス流路73が閉じられていないので、第2吐出空間72は、第1圧縮冷媒流路46と連通している。そのため、第1吐出空間71の圧縮冷媒の一部は、連通孔47aを経由して、第2吐出空間72に流入し、バイパス流路73を経由して、第1圧縮冷媒流路46に流入する。また、第1吐出空間71の圧縮冷媒の一部は、第1圧縮冷媒流路46に直接流入する。すなわち、電磁弁74が開状態のとき、圧縮冷媒の流れは、第1吐出空間71で2つに分流して、第1圧縮冷媒流路46で合流する。そして、圧縮冷媒は、第1圧縮冷媒流路46を通過した後、第2圧縮冷媒流路48を経由して、高圧空間S1へ吐出される。後述するように、電磁弁74が開状態のとき、第1吐出空間71および第2吐出空間72は、マフラ空間として機能する。
(2−2)潤滑油の流れ
モータ16が駆動してロータ52が回転し始めると、ロータ52に連結されているクランクシャフト17が軸回転を始める。クランクシャフト17の軸回転運動によって圧縮機構15が冷媒を圧縮し、高圧空間S1に圧縮冷媒が供給されると、高圧空間S1の圧力が上昇する。クランクシャフト17の主給油路61の下端は、高圧空間S1底部の油溜まり空間10aに連通している。主給油路61の上端は、油室83および給油細孔63を介して低圧空間S2に連通している。これにより、主給油路61の上端と下端との間に差圧が発生する。その結果、油溜まり空間10aに貯留されている潤滑油は、差圧によって、主給油路61の下端から吸引され、主給油路61を油室83に向かって上昇する。
主給油路61を上昇する潤滑油のほとんどは、順に、第3副給油路61c、第2副給油路61bおよび第1副給油路61aに分流する。第3副給油路61cを流れる潤滑油は、クランクシャフト17と下部軸受60との間の摺動部を潤滑した後、高圧空間S1に流入して油溜まり空間10aに戻る。第2副給油路61bを流れる潤滑油は、クランクシャフト17と、ハウジング23の上部軸受32との間の摺動部を潤滑した後、高圧空間S1およびクランク室23aに流入する。高圧空間S1に流入した潤滑油は、油溜まり空間10aに戻る。クランク室23aに流入した潤滑油は、油排出通路23bを経由して高圧空間S1に流入し、油溜まり空間10aに戻る。第1副給油路61aを流れる潤滑油は、クランクシャフト17と、可動スクロール26の上端軸受26cとの間の摺動部を潤滑した後、クランク室23aに流入し、油排出通路23bを経由して高圧空間S1に流入し、油溜まり空間10aに戻る。
主給油路61を上端まで上昇して油室83に到達した潤滑油は、差圧によって、給油細孔63を流れて油溝24eに供給される。油溝24eに供給された潤滑油の一部は、スラスト摺動面24dをシールしながら、低圧空間S2および圧縮室40に漏れ出す。このとき、漏れ出した高温の潤滑油は、低圧空間S2および圧縮室40に存在する低温の冷媒ガスを加熱する。また、圧縮室40に漏れ出した潤滑油は、微小な油滴の状態で圧縮冷媒に混入される。圧縮冷媒に混入された潤滑油は、圧縮冷媒と同じ経路を通って、圧縮室40から高圧空間S1に流入する。その後、潤滑油は、圧縮冷媒と共にコアカット通路55を下降した後に、油分離板62に衝突する。油分離板62に付着した潤滑油は、高圧空間S1を落下して油溜まり空間10aに戻る。
(3)スクロール圧縮機の特徴
スクロール圧縮機101は、第2吐出空間72と第1圧縮冷媒流路46とを連通するバイパス流路73を開閉する電磁弁74を備える。電磁弁74は、スクロール圧縮機101の運転条件に応じて、図7に示される閉状態、および、図8に示される開状態のいずれかの状態に自動的に切り替わる。
電磁弁74は、第1吐出空間71で発生する吐出脈動の周波数が所定の値になる特定の運転条件が満たされるときに、閉状態となり、そのような運転条件が満たされないときに、開状態となる。吐出脈動とは、圧縮機構15の吐出孔41から第1吐出空間71に圧縮冷媒が周期的に流入することによる、第1吐出空間71における圧力の変動である。第1吐出空間71で発生する吐出脈動は、ケーシング10に伝達され、運転中のスクロール圧縮機101の騒音の原因となり得る。
ここで、電磁弁74の状態を決める、スクロール圧縮機101の運転条件は、例えば、モータ16の運転周波数、圧縮機構15から吐出された圧縮冷媒の温度、および、圧縮機構15から吐出された圧縮冷媒の圧力の少なくとも1つに関する条件である。運転条件として使用される圧縮冷媒の温度および圧力は、圧縮機構15から高圧空間S1に供給された直後の圧縮冷媒の温度および圧力であり、例えば、第2圧縮冷媒流路48の下側の開口の近傍に設置されたセンサによって測定される。スクロール圧縮機101の運転条件は、他のパラメータに関する条件であってもよく、また、複数のパラメータが組み合わされた条件であってもよい。このように、スクロール圧縮機101の運転条件として、種種のパラメータに関する条件を用いることで、電磁弁74の状態を決める運転条件を容易に設定することができる。
スクロール圧縮機101では、図7に示されるように、電磁弁74が閉状態のとき、第2吐出空間72および連通孔47aは、ヘルムホルツ共鳴室として機能する。ヘルムホルツ共鳴室とは、ヘルムホルツ共鳴を発生させるための空間である。ヘルムホルツ共鳴室は、第2吐出空間72および連通孔47aから構成される。ヘルムホルツ共鳴室は、第2吐出空間72内部の気体がバネとして作用し、連通孔47a内部の気体が剛体的に単振動することによって、第1吐出空間71で発生する特定の周波数の吐出脈動に共鳴する。このとき、連通孔47a内部で振動する気体と、連通孔47aの内壁との間で摩擦エネルギーが発生することで、吐出脈動のエネルギーが低減される。その結果、第1吐出空間71で発生する吐出脈動に起因する、運転中のスクロール圧縮機101の騒音が低減される。
第2吐出空間72および連通孔47aから構成されるヘルムホルツ共鳴室と共鳴する吐出脈動の周波数は、次の式(1)を用いて算出することができる。
Figure 2018053746
式(1)において、fはヘルムホルツ共鳴室と共鳴する吐出脈動の周波数(Hz)であり、cは音速(m/s)であり、Sは連通孔47aの断面積(m)であり、Vは第2吐出空間72の容積(m)であり、lは連通孔47aの長さ(m)である。lは、仕切り部材47の厚みに等しい。式(1)に基づいて、第2吐出空間72の容積V、連通孔47aの断面積S、および、連通孔47aの長さlを適切に設定することで、第1吐出空間71で発生する特定の周波数fの吐出脈動が効果的に低減される。
例えば、第1吐出空間71で発生する、周波数fが644Hzの吐出脈動を低減するためのヘルムホルツ共鳴室を設計する場合、音速cが181m/sであると仮定すると、第2吐出空間72の容積Vを1.0×10−4に設定し、連通孔47aの断面積Sを2.5×10−4に設定し、連通孔47aの長さlを5.0×10−3mに設定すればよい。
スクロール圧縮機101では、図4に示されるように、電磁弁74は、第2吐出空間72におけるバイパス流路73の開口に取り付けられている。電磁弁74の容積は、第2吐出空間72の容積に比べて、無視できる程度である。そのため、式(1)のパラメータVとして、第2吐出空間72の容積を利用することができる。第2吐出空間72の容積は、カバー部材44の円筒形状のカバー凹部44cが占める体積に等しい。これにより、バイパス流路73の途中に電磁弁74が設置されている場合と比べて、カバー部材44のカバー凹部44cの寸法を調節することで、式(1)のパラメータVを高い精度で設定することができる。
また、スクロール圧縮機101では、図8に示されるように、電磁弁74が開状態のとき、第1吐出空間71および第2吐出空間72は、マフラ空間として機能する。すなわち、電磁弁74が開状態のとき、圧縮機構15の吐出孔41から吐出された圧縮冷媒の一部は、第1吐出空間71、連通孔47a、第2吐出空間72およびバイパス流路73を順番に通過して第1圧縮冷媒流路46に流入する。この一連の流路において、流路断面積が一時的に大きくなる第1吐出空間71および第2吐出空間72では、圧縮冷媒が膨張して圧縮冷媒の圧力が低下する。そのため、圧縮冷媒が高圧空間S1に流入したときの圧縮冷媒の急激な膨張による圧力波の発生が抑えられる。この圧力波は、ケーシング10に伝達され、運転中のスクロール圧縮機101の騒音の原因となり得る。従って、圧縮冷媒が高圧空間S1に流入する前に、第1吐出空間71および第2吐出空間72において圧縮冷媒の圧力を予め低下させておくことにより、運転中のスクロール圧縮機101の騒音が低減される。第1吐出空間71および第2吐出空間72がマフラ空間として機能することによって低減される騒音は、第1吐出空間71で発生する全周波数の吐出脈動に起因する騒音である。なお、第1吐出空間71および第2吐出空間72がマフラ空間として機能することによる騒音低減効果は、第2吐出空間72および連通孔47aがヘルムホルツ共鳴室として機能することによる騒音低減効果より小さい。
以上より、電磁弁74が閉状態のときは、特定の周波数の吐出脈動に起因するスクロール圧縮機101の騒音が効果的に抑制され、電磁弁74が開状態のときは、全周波数の吐出脈動に起因するスクロール圧縮機101の騒音が抑制される。従って、スクロール圧縮機101は、第1吐出空間71で発生する吐出脈動に起因する騒音を効果的に低減することができる。
また、スクロール圧縮機101では、電磁弁74が開状態のとき、第1吐出空間71の圧縮冷媒の一部は、第2吐出空間72およびバイパス流路73を経由して第1圧縮冷媒流路46に流入する。すなわち、電磁弁74が開状態のときは、図8に示されるように、第1吐出空間71から第1圧縮冷媒流路46に到達する圧縮冷媒の流路は2つ存在する。そのため、圧縮機構15から吐出された圧縮冷媒の流路抵抗の低下が抑制される。従って、スクロール圧縮機101は、バイパス流路73によって運転効率の低下を抑制することができる。
また、スクロール圧縮機101では、カバー部材44および仕切り部材47のみを固定スクロール24に取り付けることによって、第1吐出空間71、連通孔47aおよび第2吐出空間72が形成されている。従って、スクロール圧縮機101は、製造コストを抑えることができる。
(4)変形例
本発明の具体的構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で変更可能である。次に、本発明の実施形態の適用可能な変形例について説明する。
(4−1)変形例A
実施形態に係るスクロール圧縮機101は、運転条件に応じて閉状態または開状態のいずれかの状態に自動的に切り替わる電磁弁74を備えている。しかし、スクロール圧縮機101は、電磁弁74の代わりに、スクロール圧縮機101の運転条件に応じてバイパス流路73を開閉するための他の機構を備えてもよい。
例えば、スクロール圧縮機101は、電磁弁74の代わりに、感熱弁を備えてもよい。感熱弁は、実施形態の電磁弁74と同様に、第1吐出空間71で発生する吐出脈動の周波数が所定の値になる特定の運転条件が満たされるときに、閉状態となり、そのような運転条件が満たされないときに、開状態となる。以下、本変形例の感熱弁の一例について説明する。
感熱弁は、第2吐出空間72の雰囲気の温度に応じて、閉状態または開状態のいずれかの状態に自動的に切り替わる構成を有している。感熱弁は、第2吐出空間72におけるバイパス流路73の開口に取り付けられている。感熱弁は、第2吐出空間72の雰囲気が所定温度以下の場合には開状態となり、第2吐出空間72の雰囲気が所定温度を超える場合には閉状態となる。第2吐出空間72の雰囲気の温度は、スクロール圧縮機101の起動後、圧縮機構15から吐出される高温の圧縮冷媒によって徐々に上昇する。そのため、感熱弁は、スクロール圧縮機101が起動してから所定時間が経過するまでは開状態となり、その所定時間が経過した後は閉状態となる。
スクロール圧縮機101の起動後に所定時間が経過して、モータ16の運転周波数が安定化すると、第1吐出空間71で発生する圧力脈動の周波数が一定になる。このとき、第2吐出空間72の雰囲気が所定温度まで上昇すると、感熱弁が開状態から閉状態に移行し、第2吐出空間72におけるバイパス流路73の開口が閉じられる。これにより、第2吐出空間72および連通孔47aは、ヘルムホルツ共鳴室として機能する。このとき、ヘルムホルツ共鳴室の共鳴周波数が、第1吐出空間71で発生する圧力脈動の周波数と等しい場合、第1吐出空間71で発生する吐出脈動に起因する、運転中のスクロール圧縮機101の騒音が低減される。
(4−2)変形例B
実施形態に係るスクロール圧縮機101では、電磁弁74は、第2吐出空間72におけるバイパス流路73の開口に取り付けられている。しかし、電磁弁74が閉状態のときにバイパス流路73を圧縮冷媒が流れることができないのであれば、電磁弁74は、他の位置に取り付けられてもよい。
例えば、電磁弁74は、バイパス流路73の内部に取り付けられてもよい。この場合、電磁弁74は、仕切り部材47の第1バイパス孔47bと、カバー部材44の第2バイパス孔44dとの間に設けられてもよい。また、電磁弁74は、第1圧縮冷媒流路46におけるバイパス流路73の開口に取り付けられてもよい。
本変形例では、電磁弁74の代わりに、変形例Aに記載の感熱弁等の、スクロール圧縮機101の運転条件に応じてバイパス流路73を開閉するための他の機構が用いられてもよい。
(4−3)変形例C
実施形態に係るスクロール圧縮機101では、電磁弁74が開状態のとき、圧縮冷媒の流れは、第1吐出空間71で2つに分流して、第1圧縮冷媒流路46で合流する。図8に示されるように、第1吐出空間71から第1圧縮冷媒流路46に直接流入した圧縮冷媒は、第1吐出空間71から第2吐出空間72を経由してバイパス流路73を通過した圧縮冷媒と合流する。以下、2つの圧縮冷媒の流れが合流する、第1圧縮冷媒流路46の内部の位置を、圧縮冷媒の合流地点と呼ぶ。
本変形例では、第1圧縮冷媒流路46は、圧縮冷媒の合流地点より下流側の流路断面積が、圧縮冷媒の合流地点より上流側の流路断面積よりも大きくてもよい。この場合、バイパス流路73の流路断面積と、圧縮冷媒の合流地点より上流側の第1圧縮冷媒流路46の流路断面積との合計は、圧縮冷媒の合流地点より下流側の第1圧縮冷媒流路46の流路断面積と等しいことが好ましい。これにより、第1圧縮冷媒流路46において、圧縮冷媒の合流地点より下流側の圧縮冷媒の流量は、圧縮冷媒の合流地点より上流側の圧縮冷媒の流量と同程度になる。この場合、第1圧縮冷媒流路46を通過する圧縮冷媒の流速は、第1圧縮冷媒流路46全体に亘って、一定となる。従って、第1圧縮冷媒流路46を通過する圧縮冷媒の圧力が変化することに起因する、スクロール圧縮機101の騒音の発生が抑制される。
(4−4)変形例D
実施形態に係るスクロール圧縮機101では、図4に示されるように、仕切り部材47は、カバー部材44と固定スクロール24との間に挟まれ、かつ、カバー部材44と共にボルト49によって固定スクロール24に締結されている。しかし、カバー部材44および仕切り部材47の形状および設置方法は、実施形態のものに限られない。以下に、カバー部材44および仕切り部材47の他の実施例について説明する。
図9は、本変形例のカバー部材144および仕切り部材147を説明するための図である。図9は、図4と同様の、固定スクロール24の近傍の拡大図である。図9において、カバー部材144および仕切り部材147以外の構成要素は、実施形態と同じである。カバー部材144および仕切り部材147は、それぞれ、実施形態のカバー部材44および仕切り部材47に相当する。
カバー部材144は、カバー凸部144aと、カバー縁部144bとを有する。カバー縁部144bは、カバー凸部144aの周囲に形成されている。カバー凸部144aは、カバー縁部144bに対して、鉛直方向上方に向かって突出している。カバー部材144の下面には、円筒形状の窪みであるカバー凹部144cが形成されている。カバー凹部144cは、カバー凸部144aの内側の空間である。カバー部材144には、第2バイパス孔144dが形成されている。第2バイパス孔144dは、カバー凹部144cと連通し、かつ、カバー部材144の下面に開口する。第2バイパス孔144dは、カバー部材144を貫通する孔である。カバー凹部144cおよび第2バイパス孔144dは、それぞれ、実施形態のカバー凹部44cおよび第2バイパス孔44dに相当する。
仕切り部材147は、円形の板状部材である。仕切り部材147は、連通孔147aを有する。連通孔147aは、仕切り部材147に形成された円筒形状の貫通孔である。連通孔147aは、実施形態の連通孔47aに相当する。仕切り部材147は、カバー凹部144cを塞ぐようにカバー部材144に接合されている。具体的には、仕切り部材147の側面が、カバー凹部144cの側面下部と接触するように、仕切り部材147は、カバー部材144に溶接等によって気密状に取り付けられている。
本変形例では、カバー部材144のみが、ボルト49によって固定スクロール24に締結され、仕切り部材147は、固定スクロール24に締結されていない。実施形態と同様に、カバー部材144と固定スクロール24とによって囲まれる空間は、第1吐出空間71であり、カバー部材144と仕切り部材147とによって囲まれる空間は、第2吐出空間72である。カバー部材144の第2バイパス孔144dは、バイパス流路73として機能する。第2吐出空間72において、バイパス流路73の開口には電磁弁74が取り付けられている。
本発明に係る圧縮機は、吐出脈動に起因する騒音を効果的に低減することができる。
10 ケーシング
15 圧縮機構
16 モータ
44 カバー部材(吐出空間形成部材)
46 第1圧縮冷媒流路(吐出流路)
47 仕切り部材
47a 連通孔(連通空間)
71 第1吐出空間
72 第2吐出空間
73 バイパス流路
74 電磁弁(開閉機構)
101 圧縮機(スクロール圧縮機)
特開2002−48064号公報 特開2000−161220号公報

Claims (8)

  1. ケーシング(10)と、
    前記ケーシングに収容され、冷媒を圧縮するための圧縮機構(15)と、
    を備える圧縮機であって、
    前記圧縮機構は、圧縮された前記冷媒を第1吐出空間(71)に吐出し、
    前記第1吐出空間は、連通空間(47a)を介して第2吐出空間(72)と連通し、かつ、前記圧縮機構によって圧縮された前記冷媒を導くための吐出流路(46)と連通し、
    前記第2吐出空間は、バイパス流路(73)を介して前記吐出流路と連通し、
    前記圧縮機の運転条件に応じて、前記バイパス流路を前記冷媒が流れることができない閉状態と、前記バイパス流路を前記冷媒が流れることができる開状態とを切り替える開閉機構(74)をさらに備え、
    前記第2吐出空間および前記連通空間は、前記開閉機構が前記閉状態のときに、ヘルムホルツ共鳴室として機能する、
    圧縮機(101)。
  2. 前記圧縮機構に取り付けられる吐出空間形成部材(44)をさらに備え、
    前記第1吐出空間および前記第2吐出空間は、前記圧縮機構と前記吐出空間形成部材とによって囲まれた空間に形成される、
    請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記第1吐出空間と前記第2吐出空間とを仕切る仕切り部材(47)をさらに備え、
    前記仕切り部材は、前記連通空間である孔を有する、
    請求項1または2に記載の圧縮機。
  4. 前記開閉機構は、前記第2吐出空間において、前記バイパス流路の開口に設けられている弁である、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の圧縮機。
  5. 前記弁は、前記運転条件に応じて、前記閉状態と前記開状態との切り替えが自動的に制御される電磁弁である、
    請求項4に記載の圧縮機。
  6. 前記運転条件は、前記圧縮機構を駆動するためのモータ(16)の周波数、前記圧縮機構によって圧縮された前記冷媒の温度、および、前記圧縮機構によって圧縮された前記冷媒の圧力の少なくとも1つに関する条件である、
    請求項5に記載の圧縮機。
  7. 前記弁は、前記圧縮機構によって圧縮された前記冷媒の温度に応じて、前記閉状態と前記開状態との切り替えが自動的に制御される感熱弁である、
    請求項4に記載の圧縮機。
  8. 前記バイパス流路は、前記開閉機構が前記開状態のときに、前記第2吐出空間から前記吐出流路に向かって、前記圧縮機構によって圧縮された前記冷媒を導く、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の圧縮機。
JP2016188035A 2016-09-27 2016-09-27 圧縮機 Pending JP2018053746A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016188035A JP2018053746A (ja) 2016-09-27 2016-09-27 圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016188035A JP2018053746A (ja) 2016-09-27 2016-09-27 圧縮機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018053746A true JP2018053746A (ja) 2018-04-05

Family

ID=61832928

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016188035A Pending JP2018053746A (ja) 2016-09-27 2016-09-27 圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018053746A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102013614B1 (ko) * 2018-04-09 2019-08-23 엘지전자 주식회사 스크롤 압축기
KR102083966B1 (ko) * 2018-09-05 2020-03-03 엘지전자 주식회사 압축기
WO2023187438A1 (en) 2022-03-28 2023-10-05 Siam Compressor Industry Co., Ltd. A scroll compressor
DE112021007778T5 (de) 2021-06-08 2024-03-28 Mitsubishi Electric Corporation Spiral-Kompressor

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102013614B1 (ko) * 2018-04-09 2019-08-23 엘지전자 주식회사 스크롤 압축기
US11293442B2 (en) 2018-04-09 2022-04-05 Lg Electronics Inc. Scroll compressor having discharge cover providing a space to guide a discharge flow from a discharge port to a discharge passgae formed by a plurality of discharge holes
KR102083966B1 (ko) * 2018-09-05 2020-03-03 엘지전자 주식회사 압축기
WO2020050605A1 (ko) * 2018-09-05 2020-03-12 엘지전자 주식회사 압축기
DE112021007778T5 (de) 2021-06-08 2024-03-28 Mitsubishi Electric Corporation Spiral-Kompressor
WO2023187438A1 (en) 2022-03-28 2023-10-05 Siam Compressor Industry Co., Ltd. A scroll compressor

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2574791B1 (en) Scroll compressor
JP2018053746A (ja) 圧縮機
JP2013108389A (ja) 圧縮機および冷凍装置
JP2017025762A (ja) 圧縮機
JP2012202208A (ja) 圧縮機
JPH08303365A (ja) スクロール気体圧縮機
JP2010285930A (ja) スクロール圧縮機
JP6172411B1 (ja) スクロール圧縮機
JP2017210898A (ja) スクロール圧縮機
JP2015166553A (ja) 圧縮機
JPH03202682A (ja) 気体圧縮機
JP6332518B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2012057595A (ja) 圧縮機及び冷凍装置
JP6137166B2 (ja) スクロール圧縮機および冷凍装置
JP2015105635A (ja) 圧縮機
JP2009167983A (ja) スクロール圧縮機
JP2568711B2 (ja) 気体圧縮機
JP7117607B2 (ja) 圧縮機
WO2018159449A1 (ja) 圧縮機
JP2021080903A (ja) スクロール圧縮機
JP2014070622A (ja) 圧縮機
JP2014070588A (ja) スクロール圧縮機
JP6606889B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2013238191A (ja) 圧縮機
JP7037093B1 (ja) 圧縮機