JP6606889B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機101について、図面を参照しながら説明する。スクロール圧縮機101は、空気調和装置等の冷凍装置に用いられる。スクロール圧縮機101は、冷凍装置の冷媒回路を循環する冷媒ガスを圧縮する。
スクロール圧縮機101は、互いに噛み合う渦巻き形状のラップを有する2つのスクロール部材を用いて冷媒を圧縮する圧縮機である。スクロール圧縮機101は、高低圧ドーム型のスクロール圧縮機である。
ケーシング10は、円筒状の胴部ケーシング部11と、胴部ケーシング部11の上端部に気密状に溶接される椀状の上壁部12と、胴部ケーシング部11の下端部に気密状に溶接される椀状の底壁部13とから構成される。ケーシング10は、ケーシング10の内部および外部において圧力や温度が変化した場合に、変形および破損が起こりにくい剛性部材で成型されている。ケーシング10は、胴部ケーシング部11の円筒状の軸方向が鉛直方向に沿うように設置される。
圧縮機構15は、ケーシング10の内部に収容され、低温低圧の冷媒ガスを吸引および圧縮して、高温高圧の冷媒ガス(以下、「圧縮冷媒」という。)を吐出する。圧縮機構15は、主に、固定スクロール24と、可動スクロール26とから構成される。固定スクロール24は、ケーシング10に対して固定されている。可動スクロール26は、固定スクロール24に対して公転運動を行う。図2は、鉛直方向に沿って視た固定スクロール24の下面図である。図3は、鉛直方向に沿って視た可動スクロール26の上面図である。
固定スクロール24は、第1鏡板24aと、第1鏡板24aに直立して形成される渦巻き形状の第1ラップ24bとを有する。第1鏡板24aには、主吸入孔24cが形成されている。主吸入孔24cは、吸入管19と、後述する圧縮室40とを接続する空間である。主吸入孔24cは、低温低圧の冷媒ガスを吸入管19から圧縮室40に導入するための吸入空間を形成する。主吸入孔24cには、後述する逆止弁80が設置されている。
可動スクロール26は、円盤形状の第2鏡板26aと、第2鏡板26aに直立して形成される渦巻き形状の第2ラップ26bとを有する。圧縮機構15は、非対称形状のラップを有している。すなわち、固定スクロール24の第1ラップ24bと、可動スクロール26の第2ラップ26bとは、互いに非対称となるように形成されている。第2鏡板26aの下面中央部には、上端軸受26cが形成されている。可動スクロール26には、給油細孔63が形成されている。給油細孔63は、第2鏡板26aの上面外周部と、上端軸受26cの内側の空間とを連通している。
ハウジング23は、圧縮機構15の下方に配置されている。ハウジング23の外周面は、胴部ケーシング部11の内周面に気密状に接合されている。これにより、ケーシング10の内部空間は、ハウジング23の下方の高圧空間S1と、ハウジング23の上方の空間である上部空間S2とに区画されている。ハウジング23は、固定スクロール24を載置し、固定スクロール24と共に可動スクロール26を挟持している。ハウジング23の外周部には、第2圧縮冷媒流路48が鉛直方向に貫通して形成されている。第2圧縮冷媒流路48は、ハウジング23の上面において第1圧縮冷媒流路46と連通し、ハウジング23の下面において高圧空間S1と連通する。
オルダム継手39は、可動スクロール26とハウジング23との間に設置される環状の部材である。オルダム継手39は、公転している可動スクロール26の自転を防止するための部材である。
駆動モータ16は、ハウジング23の下方に配置されるブラシレスDCモータである。駆動モータ16は、主に、ケーシング10の内面に固定されるステータ51と、ステータ51の内側にエアギャップを設けて配置されるロータ52とから構成される。
下部軸受60は、駆動モータ16の下方に配置される。下部軸受60の外周面は、ケーシング10の内面に気密状に接合されている。下部軸受60は、クランクシャフト17を支持する。下部軸受60の上端には、油分離板65が取り付けられている。油分離板65は、ケーシング10の内部に収容される平板状の部材である。油分離板65は、下部軸受60の上端面に固定されている。
クランクシャフト17は、ケーシング10の内部に収容される。クランクシャフト17は、その軸方向が鉛直方向に沿うように配置されている。クランクシャフト17は、その上端部の軸心が上端部を除く部分の軸心に対してわずかに偏心している形状を有している。クランクシャフト17は、バランスウェイト18を有する。バランスウェイト18は、ハウジング23の下方かつ駆動モータ16の上方の高さ位置において、クランクシャフト17に密着して固定されている。
吸入管19は、ケーシング10の外部から圧縮機構15へ、冷媒回路の冷媒を導入するための管である。吸入管19は、ケーシング10の上壁部12に気密状に嵌入されている。吸入管19は、上部空間S2を鉛直方向に貫通する。吸入管19の内端部は、固定スクロール24の主吸入孔24cに嵌め込まれている。吸入管19の内端部は、ケーシング10の内部空間における吸入管19の端部である。
逆止弁80は、主吸入孔24cの内部に設置され、圧縮室40から吸入管19へ向かう冷媒の流れを禁止する部材である。逆止弁80は、主として、弁体部材81と、付勢部材82とを有している。
吐出管20は、高圧空間S1からケーシング10の外部へ、圧縮冷媒を吐出するための管である。吐出管20は、ケーシング10の胴部ケーシング部11に気密状に嵌入されている。吐出管20は、高圧空間S1を水平方向に貫通する。ケーシング10内にある吐出管20の開口部20aは、ハウジング23の近傍に位置している。
本実施形態に係るスクロール圧縮機101の動作について説明する。最初に、スクロール圧縮機101を備える冷媒回路を循環する冷媒の流れについて説明する。次に、スクロール圧縮機101内部における潤滑油の流れについて説明する。
最初に、駆動モータ16が駆動することによって、ロータ52が回転する。これにより、ロータ52に固定されているクランクシャフト17が軸回転する。クランクシャフト17の軸回転運動は、上端軸受26cを介して可動スクロール26に伝達される。クランクシャフト17の上端部の軸心は、クランクシャフト17の軸回転運動の軸心に対して偏心している。可動スクロール26は、オルダム継手39を介してハウジング23に係合されている。これにより、可動スクロール26は、自転することなく、固定スクロール24に対して公転運動を行う。
最初に、モータ16が駆動することによってロータ52が回転し、これにより、クランクシャフト17が軸回転する。クランクシャフト17の軸回転によって圧縮機構15が駆動し、高圧空間S1に圧縮冷媒が吐出されると、高圧空間S1内の圧力が上昇する。また、主給油路61の上端は、油室67および給油細孔63を介して低圧空間S2に連通している。これにより、主給油路61の上端と下端との間に差圧が発生する。その結果、油溜まり空間10aに貯留されている潤滑油は、差圧によって、主給油路61の下端から吸引され、主給油路61内を油室67に向かって上昇する。
スクロール圧縮機101の運転時において、固定スクロール24は、クランクシャフト17の回転によって公転する可動スクロール26と摺動して振動する。図5に示されるように、吸入管19は、弾性体70を介して、固定スクロール24の主吸入孔24cに取り付けられており、吸入管19は、固定スクロール24と接触していない。そのため、固定スクロール24の振動は、弾性体70に吸収されて吸入管19に伝達されない。
本発明の第2実施形態に係るスクロール圧縮機201について説明する。スクロール圧縮機201の基本的な構成および動作は、第1実施形態のスクロール圧縮機101と同じであるので、スクロール圧縮機101とスクロール圧縮機201との相違点を主に説明する。
スクロール圧縮機201は、吸入管119を備える。吸入管119以外のスクロール圧縮機201の構成要素は、第1実施形態のスクロール圧縮機101と同じである。図6は、スクロール圧縮機201の縦断面図の一部であり、吸入管119の近傍を示す拡大図である。
弾性体170は、第1弾性部171および第2弾性部172から構成される。第1弾性部171は、水平方向において吸入管119と固定スクロール24との間に挟まれる弾性部材である。第2弾性部172は、鉛直方向において吸入管119と固定スクロール24との間に挟まれる弾性部材である。第1弾性部171は、吸入管119の径方向(水平方向)における固定スクロール24の振動を吸収する。第2弾性部172は、吸入管119の軸方向(鉛直方向)における固定スクロール24の振動を吸収する。これにより、弾性体170は、固定スクロール24の任意の方向における振動を効果的に吸収することができる。そのため、スクロール圧縮機201の運転時において、固定スクロール24の振動が吸入管119を介してケーシング10に伝達されることが抑制される。従って、スクロール圧縮機201は、吸入管119と固定スクロール24との間に設置される弾性体170によって、運転中の騒音を抑制することができる。
本発明の第3実施形態に係るスクロール圧縮機301について説明する。スクロール圧縮機301の基本的な構成および動作は、第1実施形態のスクロール圧縮機101と同じであるので、スクロール圧縮機101とスクロール圧縮機301との相違点を主に説明する。
スクロール圧縮機301は、吸入管219を備える。吸入管219以外のスクロール圧縮機301の構成要素は、第1実施形態のスクロール圧縮機101と同じである。図7は、スクロール圧縮機301の縦断面図の一部であり、吸入管219の近傍を示す拡大図である。
弾性体270は、第1弾性部271、第2弾性部272および第3弾性部273から構成される。第1弾性部271は、水平方向において吸入管219と固定スクロール24との間に挟まれる弾性部材である。第2弾性部272は、鉛直方向において吸入管219と固定スクロール24との間に挟まれる弾性部材である。第3弾性部273は、鉛直方向において吸入管219と逆止弁80との間に挟まれる弾性部材である。第1弾性部271および第3弾性部273は、吸入管219の径方向(水平方向)における固定スクロール24の振動を吸収する。第2弾性部272は、吸入管219の軸方向(鉛直方向)における固定スクロール24の振動を吸収する。これにより、弾性体270は、固定スクロール24の任意の方向における振動を効果的に吸収することができる。そのため、スクロール圧縮機301の運転時において、固定スクロール24の振動が吸入管219を介してケーシング10に伝達されることが抑制される。従って、スクロール圧縮機301は、吸入管219と固定スクロール24との間に設置される弾性体270によって、運転中の騒音を抑制することができる。
本発明の実施形態に対する適用可能な変形例について説明する。
第1乃至第3実施形態では、図5〜7に示されるように、固定スクロール24の主吸入孔24cの内部に逆止弁80が設置されている。しかし、主吸入孔24cの内部に逆止弁80が設置されていなくてもよい。この場合においても、スクロール圧縮機101,201,301は、弾性体70,170,270によって運転中の騒音を抑制することができる。
第1実施形態では、弾性体70は、第1弾性部71および第2弾性部72から構成される。第1弾性部71の下端は、吸入管19の下端よりも上方に位置している。しかし、第1弾性部71の下端は、吸入管19の下端よりも下方に位置していてもよい。
第2実施形態では、弾性体170は、第1弾性部171および第2弾性部172である2つのOリングから構成される。しかし、第1弾性部171および第2弾性部172は、それぞれ、吸入管119の第1リング溝119b1および第2リング溝119b2に嵌め込むことができる形状を有していれば、Oリング以外の部材であってもよい。
第3実施形態では、弾性体270は、第1弾性部271、第2弾性部272および第3弾性部273から構成される。しかし、弾性体270は、第2弾性部272を有していなくともよい。この場合、吸入管219は、突出部219aを有していなくてもよい。
15 圧縮機構
16 駆動モータ(モータ)
17 クランクシャフト
19 吸入管
24 固定スクロール
24c 主吸入孔(吸入孔)
26 可動スクロール
40 圧縮室
70 弾性体
71 第1弾性部
72 第2弾性部
80 逆止弁
81a 弁端面
101 スクロール圧縮機
273 第3弾性部(吸入管支持部)
Claims (8)
- ケーシング(10)と、
固定スクロール(24)と、前記固定スクロールと噛み合って圧縮室(40)を形成する可動スクロール(26)とを有し、前記ケーシングに収容される圧縮機構(15)と、
前記固定スクロールに対して前記可動スクロールを旋回させるクランクシャフト(17)と、
前記クランクシャフトを回転させるモータ(16)と、
前記圧縮機構に取り付けられ、前記圧縮室に冷媒を導く吸入管(19)と、
を備え、
前記固定スクロールは、前記圧縮機構の外部空間および前記圧縮室と連通する吸入孔(24c)を有し、
前記吸入管は、前記固定スクロールと非接触の状態で、弾性体(70)を介して前記吸入孔に取り付けられ、
前記弾性体は、前記吸入管の径方向および軸方向の両方において前記吸入管と前記固定スクロールとの間に挟み込まれて、前記吸入管と前記固定スクロールとを連結している、
スクロール圧縮機(101)。 - 前記弾性体は、
前記吸入孔の内部において、前記径方向に沿って前記吸入管と前記固定スクロールとを連結する第1弾性部(71)と、
前記吸入孔の外部において、前記軸方向に沿って前記吸入管と前記固定スクロールとを連結する第2弾性部(72)と、
を有する、
請求項1に記載のスクロール圧縮機。 - 前記弾性体は、前記第1弾性部および前記第2弾性部が一体となった部材である、
請求項2に記載のスクロール圧縮機。 - 前記弾性体は、互いに分離している前記第1弾性部および前記第2弾性部から構成される、
請求項2に記載のスクロール圧縮機。 - 前記第1弾性部および前記第2弾性部の少なくとも一方は、Oリングである、
請求項4に記載のスクロール圧縮機。 - 前記吸入孔の内部に設けられ、前記圧縮室からの前記冷媒の逆流を防止するための逆止弁(80)をさらに備え、
前記逆止弁は、前記吸入管によって前記冷媒が前記圧縮室に導かれていないときに前記吸入管の下端と接触する弁端面(81a)を有する、
請求項2から5のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。 - 前記吸入孔の内部に設けられ、前記圧縮室からの前記冷媒の逆流を防止するための逆止弁(80)をさらに備え、
前記逆止弁は、前記吸入管によって前記冷媒が前記圧縮室に導かれていないときに前記第1弾性部の下端と接触する弁端面(81a)を有する、
請求項2から5のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。 - 前記第1弾性部は、前記径方向の内側に突出している吸入管支持部(273)を有し、
前記吸入管支持部は、前記吸入管の下端と接触している、
請求項7に記載のスクロール圧縮機。
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