JP2018053127A - 白色顔料水系分散体、および、それを用いた塗膜体 - Google Patents

白色顔料水系分散体、および、それを用いた塗膜体 Download PDF

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Abstract

【課題】 沈降しにくく、保存安定性に優れた白色顔料水系分散体、および、白色度も隠ぺい性も高い塗膜体を提供することを課題とする。特に、大型インクジェット印刷などのプロダクション印刷に好適な白色顔料溶剤系分散体、および、塗膜体を提供することを課題とする。【解決手段】 分散剤と、コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子を含有し、該散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)が150〜400nmである白色顔料水系分散体である白色顔料水系分散体である。【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェットインクなどに適応すべく、沈降しにくく、保存安定性に優れた白色顔料水系分散体、および、隠ぺい性に優れた白色度の高い塗膜体に関するものである。即ち、分散剤とコアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子を含有する白色顔料水系分散体、および、それを用いた塗膜体に関するものである。
インクジェット記録は小型、低ランニングコストでありながら、高画質なカラー印刷を可能とするもので、オフィス用途や写真用途に使用されている。近年、インクジェットマシンやヘッドの改良により、大面積の広告、屋外広告、建物の外壁への印刷などの大型印刷の用途に使用されるようになってきた。この場合、フイルムなどの樹脂製の記録媒体上に印刷し、それを壁面に貼ること、あるいは、壁面に直接印刷することがなされている。
樹脂製の記録媒体としては、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンなどが挙げられる。また、サインやディスプレイ用途では、透明な樹脂製の記録媒体が有効である。
樹脂製の記録媒体上に印刷する場合、それらが、透明、あるいは、白以外の着色がなされていることが多く、印刷した画像は、光透過、あるいは、光散乱してしまい、十分な画像濃度を得ることが困難である。このため、これらの記録媒体上の画像の鮮鋭度を向上させるために、記録媒体上の着色インクを付与する領域、あるいは、記録媒体全体に、あらかじめ白色インクを塗付する。該塗布面上、あるいは、該塗布面の裏面上に着色インクを塗布し、画像を形成させることがなされている。
通常、白色顔料は、水などに分散され、白色顔料水系分散体とされる。さらに、そのまま、あるいは、添加剤を加えて、インクジェットインクに調整される。
この用途における白色顔料分散体は、高い白色度と高い隠ぺい性が必要であり、特に高い隠ぺい性を考慮して、二酸化チタンが主に用いられている。(特許文献1、2、3)しかしながら、二酸化チタンは比重が重いため、水中で沈降しやすく、一旦沈降すると、再分散させることが困難である。
一方、ハイドロタルサイト類化合物粒子は、層状複水化合物と云われ、層間に種々のイオンや分子などを挿入できる構造を有しており、該化学式は下記のとおりである。ハイドロタルサイト類化合物粒子は主に軽金属により構成されているため、他の白色顔料に比べ、比重は低い。
<化1>
〔M2+ 1−x3+ (OH)x+〔An− x/n・yHO〕x−
2+は、Mg2+、Ca2+、Zn2+などの二価金属イオン、
3+は、Al3+などの三価イオン、
AnはOH、Cl、CO 、SO 2−などのn価陰イオン、
xは一般に0.2〜0.33の範囲である。
このハイドロタルサイト類化合物粒子は、触媒への応用を始めとした各種塗工材料(特許文献4)や、煙草の煙などの吸着剤(特許文献5)、石油樹脂の脆さ改善(特許文献6)として用いられてきた。
特開2008−308692号公報 特開2009−191222号公報 特開2014−185235号公報 特開2005−89277号公報 特開平6−207124号公報 特開2001−234111号公報
これまで述べてきたように、白色度、隠ぺい性に優れ、沈降しにくく、保存安定性に優れた白色顔料水系分散体からなるインクジェットインクは、大型印刷の用途において、必要とされるようになってきているが、このような白色顔料水系分散体はいまだに得られていない。
そこで、白色度が高く、隠ぺい性が高く、沈降しにくく、保存安定性に優れた白色顔料水系分散体、および、塗膜体を提供することを技術的課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、分散剤と、コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子を含有し、該散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)が150〜400nmである白色顔料水系分散体である。(本発明1)
また、ハイドロタルサイト類化合物粒子のコアシェル構造が、Mg−Al系ハイドロタルサイトによるコア粒子と、M(2価金属)−Al系ハイドロタルサイトによるシェルからなる構造である本発明1記載の白色顔料水系分散体である。(本発明2)
また、ハイドロタルサイト類化合物粒子のシェルに存在する2価金属Mが、Mg、Ca、Znから選ばれた1種類以上の2価金属である本発明1、または2に記載の白色顔料水系分散体である。(本発明3)
また、ハイドロタルサイト類化合物粒子のシェルに存在する2価金属Mの含有量が、コア粒子に含有されるMgとのモル当量比M/Mgで0.1〜0.8である本発明1〜3のいずれかに記載の白色顔料水系分散体である。(本発明4)
また、散乱強度分布の累積90%の粒径(D90)が、D50の2倍以内の粒径である本発明1〜4のいずれかに記載の白色顔料水系分散体である。(本発明5)
また、分散剤が、ポリ有機酸系分散剤であり、その重量平均分子量Mwが3,000以上である請求項1〜5のいずれかに記載の白色顔料水系分散体である。(本発明6)
また、本発明1〜6のいずれかに記載の白色顔料水系分散体を用いた塗膜体である。(本発明7)
本発明に係る白色顔料水系分散体は、分散剤とコアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子、水を含有する白色顔料水系分散体である。前記化合物粒子の散乱強度分布の粒径を高度に制御した分散体は、沈降しにくく、保存安定性と隠ぺい性に優れており、それを用いた塗膜体は、白色度が高い。即ち、本発明に係る白色顔料水系分散体は、特に大型印刷の用途において、分散体、および、塗膜体として好適である。
実施例5で得られたコアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子のTEM像である。 実施例5で得られたコアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子のSTEM像、および、EDSマッピング像である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
先ず、本発明に係る白色顔料水系分散体について述べる。
本発明に係る白色顔料水系分散体は、コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子、分散剤、水を含有する。必要に応じて、樹脂などが配合され、構成される。
本発明におけるコアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子は、コアとシェルにおいて、各々ハイドロタルサイト構造であるが、該構造における元素および/または元素比が異なっている。
本発明に係る白色顔料水系分散体の散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)は、150〜400nmである。該粒径が150nm未満では、前記分散体は透明になり、隠ぺい力も低下する。400nmを超えると、得られる塗膜体に、色むらが生じやすい。好ましくは、180〜350nmである。
前記白色顔料水系分散体に含まれるハイドロタルサイト類化合物粒子の含有量は、1〜50重量パーセントが好ましい。1重量パーセント未満では、白色度が低下し、前記分散体は透明になる。50重量パーセントを超えると、分散が困難である。さらに好ましくは、2〜40重量パーセント、さらに、より好ましくは、5〜35重量パーセントである。
前記白色顔料水系分散体の粘度は、30mPa・s以下が好ましく、30mPa・s超える場合は、分散性に優れているとは言いがたい。より好ましくは1〜20mPa・sである。
本発明におけるハイドロタルサイト類化合物粒子は、コアシェル構造を持ち、コア粒子がMg−Al系ハイドロタルサイト粒子であり、シェルがM(2価金属)−Al系ハイドロタルサイトであることが好ましい。ここで、Mgは2価イオン、Alは3価イオンを形成するとする。この粒子をコアとして、任意の組成のハイドロタルサイト類化合物で適度な厚みのシェル層を付加することにより、目的の白色を示すことができる。
コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子のシェルに存在する2価金属Mが、Mg、Ca、Znから選ばれた1種類以上の2価金属であり、2種類、3種類であってもよい。
コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子のシェルに存在する2価金属Mの含有量が、コア粒子に含有されるMgに対するモル当量比M/Mgで0.1〜0.8であることが好ましい。0.1未満の場合、粒径が小さく、隠ぺい力が低下し、また、光が散乱しにくいため、白色となりにくい。0.8を超えると、シェル形成のために添加した成分が単独で微粒子を形成してしまうため、白色となりにくく、さらに、分散が困難になる。好ましくは、0.1〜0.6である。
コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子に含有されるアニオンの種類は特に限定されるものではないが、例えば、水酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、ケイ酸イオン、有機カルボン酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機リン酸イオンなどが挙げられる。
コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子の一次粒子の平均板面径は、0.15〜0.4μmが好ましい。0.15μm未満の場合は、白色顔料水系分散体が透明に近づき、白色を表現しづらい。0.4μmを超える場合は白色顔料水系分散体に沈殿が発生しやすい。さらに好ましくは、0.15〜0.35μmである。
本発明に係る白色顔料水系分散体の散乱強度分布の累積90%の粒径(D90)は、D50の2倍以内であることが好ましい。2倍を超えると、コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子が沈降しやすく、インクジェットインクにしたとき、ノズル、ヘッドの目詰まりを起こしやすい。好ましくは、D50の1.8倍以内である。
コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子のBET比表面積値は、10〜50m/gが好ましい。さらに好ましくは、10〜40m/gである。
コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子は、分散性、発色性などを向上させるために、表面処理を行われていてもよい。表面処理材料としては、特に限定されるものではないが、アルキルアルコール、脂肪酸、アルキルアミンなどの界面活性剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などのポリマー、シランカップリング剤、シランなどの有機ケイ素化合物などの有機表面処理剤、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどの無機微粒子などの無機表面処理剤、ロジン−カルシウム、ロジン−マグネシウムなどの有機無機表面処理剤などが挙げられ、あるいは、それらが2つ以上組み合わさったもので処理されたものでもよい。
本発明における分散剤は、ポリ有機酸系分散剤が好ましい。ポリ有機酸系分散剤組成としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸アンモニウム、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリカルボン酸アンモニウム、カルボン酸系共重合体、スルホン酸系共重合体、などが挙げられる。ポリ有機酸系分散剤は、側鎖に負電荷のカルボキシル基やスルホン酸基を多数もつことにより、正電荷の多いハイドロタルサイト類化合物粒子表面に多点で吸着して、ハイドロタルサイト類化合物粒子が良好に分散されると推測される。
本発明における分散剤は、多点でハイドロタルサイト類化合物粒子表面に吸着するため、高分子であることが好ましい。また、重量平均分子量Mw(単位:g/mol)として、3,000以上が好ましい。重量平均分子量Mwが3,000未満であると、分散体の分散性が劣り、分散安定性が保ちにくい。具体的には、東亞合成製アロンT−50(ポリアクリル酸ナトリウム、Mw=6,000)、アロンA−6001(カルボン酸系共重合体、Mw=6,000)、アロンA−6012(スルホン酸系共重合体、Mw=10,000)、アロンA−6017(スルホン酸系共重合体、Mw=7,000)、アロンA−6330(ポリカルボン酸ナトリウム、Mw=7,000)、アロンA−6712(カルボン酸系共重合体、Mw=7,000)、アロンA−30SL(ポリアクリル酸アンモニウム、Mw=6,000)、アロンA−6114(カルボン酸系共重合体、Mw=8,000)、アロンSD−10(ポリアクリル酸系重合体、Mw=10,000)アロンAC−10SL(ポリアクリル酸、Mw=3,000)、アロンAC−103(ポリアクリル酸ナトリウム、Mw=6,000)、日本乳化剤製ディスロールH14−N(ポリアクリル酸ナトリウム)、ディスロールAQ−3(メタクリル系共重合物)などが挙げられる。
分散剤の添加量は、特に限定されるものではないが、コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子に対して、3〜100重量パーセントであることが好ましい。より好ましくは、5〜50重量パーセントである。
樹脂としては、通常使用されるアクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、UV硬化樹脂などを用いることができる。
色相は、後述する評価方法によって測定した表色指数のうち、L値、a値、b値、c値を指す。
白色度は、後述する評価方法によって測定した表色指数L値において、60以上が好ましい。より好ましくは、70以上である。
隠ぺい性は、後述する評価方法によって測定した表色指数cにおいて、14以下が好ましい。より好ましくは10以下である。
沈降のしにくさは、後述する評価方法によって測定した遠心分離による分散安定性試験において、白色顔料濃度33重量パーセントにて、400rpm回転したときの、白色顔料の沈降速度が6μm/s以下が好ましい。より好ましくは、5μm/s以下が好ましい。
保存安定性評価は、後述する評価方法によって測定した粘度変化率において±15%未満が好ましく、より好ましくは±12%以下、さらにより好ましくは±10%以下である。
次に、本発明に係る白色顔料水系分散体、および、塗膜体の製造方法について述べる。
本発明に係る白色顔料水系分散体の製造方法は、コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子含有ケーキ、また、あるいは、コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子、分散剤、必要に応じて、添加剤、樹脂を混合し、ビーズミルなどのメディア分散機、あるいは、クレアミックス、フィルミックス、超音波ホモジナイザーなどのメディアレス分散機を用いて分散され、濾過などの後処理がなされる製造方法である。
コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子含有ケーキは、1次反応工程、2次反応工程にて、コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子が製造され、その後、水洗工程を経ることによって、製造される。
コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子の生成のため、アニオンを含有したアルカリ性水溶液と、マグネシウム塩水溶液とアルミニウム塩水溶液を混合し、pHを10.0〜13.0の範囲の混合溶液とした後、該混合溶液を40〜100℃の温度範囲で反応して、Mg−Al系ハイドロタルサイト類化合物粒子のコア粒子を生成させた。(1次反応工程)次いで、該コア粒子を含む水性懸濁液に、該コア粒子の生成時に添加した前記マグネシウムのモル数に対して0.1〜0.8となる割合で2価金属M、および、アルミニウムを含有する水溶液を添加した後、pH値が8.0〜12.0の範囲、温度が60〜240℃の範囲で熟成させ、コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子として製造される。(2次反応工程)
アニオンとしては、炭酸、硝酸、塩酸、硫酸などの無機アニオンや、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、アスコルビン酸、パラトルエンスルホン酸などの有機アニオンなどが挙げられる。
アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、尿素水溶液などが挙げられる。
マグネシウム塩水溶液としては、硫酸マグネシウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液、硝酸マグネシウム水溶液などを使用することができる。好ましくは、硫酸マグネシウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液である。また、酸化マグネシウム粉末や水酸化マグネシウム粉末スラリーを代用してもよい。
アルミニウム塩水溶液としては、硫酸アルミニウム水溶液、塩化アルミニウム水溶液、硝酸アルミニウム水溶液などを使用することができる。好ましくは、硫酸アルミニウム水溶液、塩化アルミニウム水溶液である。また、酸化アルミニウム粉末や水酸化アルミニウム粉末スラリーを代用してもよい。
1次反応工程において、前記アニオンを含有したアルカリ性水溶液、マグネシウム塩水溶液、アルミニウム塩水溶液の混合順序は、特に限定されるものではなく、また、各水溶液、あるいは、スラリーを同時に混合してもよい。好ましくは、アニオンを含有するアルカリ水溶液に、あらかじめ、マグネシウム塩水溶液を加え、攪拌した後、アルミニウム塩水溶液を混合する。
1次反応工程において、各水溶液を添加する場合、該水溶液を一度に添加する、または、連続的に滴下する、いずれかの方法でもよい。
1次反応工程における反応中のpHは、10.0〜13.0が好ましい。pHが10.0未満の場合、加水分解反応が困難になる。pHが13.0を超える場合、アルミニウムなどの両性化合物が溶解してしまう。より好ましくは、10.3〜13.0である。
1次反応工程において、反応温度は、40〜100℃であることが好ましい。40℃未満の場合、板面径が小さすぎるハイドロタルサイト類化合物粒子となってしまう。100℃を超えるとハイドロタルサイト類化合物粒子同士の結着が懸念される。より好ましい反応温度は、50〜100℃である。
1次反応工程において、反応時間は、特に限定はしないが、1〜24時間が好ましい。24時間を超えると工業的に有利ではない。
1次反応工程終了時点で、マグネシウムとアルミニウムは反応懸濁液中に溶存しておらず、全て、ハイドロタルサイト類化合物粒子の生成に寄与している。したがって、ハイドロタルサイト類化合物粒子のコア粒子の組成は仕込み組成とほぼ同一になると推定される。
2次反応工程において、2価金属Mのモル数は、1次反応工程で添加したマグネシウム塩水溶液のモル数に対して0.1〜0.8であることが好ましい。0.8を超えて添加した場合は、シェルを形成すること以外に、系外に粒子が単独で発生してしまい、均一なコアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子が得られない。
2次反応工程において、2価金属M、および、アルミニウム塩水溶液の添加順序は、特に限定されるものではなく、また、各水溶液、あるいは、スラリーを同時に添加してもよい。好ましくは、あらかじめ、2価金属M、および、アルミニウム塩水溶液を混合した水溶液、あるいは、スラリーを添加する。
2次反応工程において、2価金属M、および、アルミニウムを混合した反応溶液中の金属濃度の合計は、0.1〜0.3mol/lが好ましい。より好ましくは、0.1〜0.25mol/lである。
2次反応工程における熟成反応中の温度は60〜240℃が好ましい。60℃未満の場合、安定したシェルが形成されず、微細な系外粒子が形成されやすい。その後、所望のサイズの粒子を得るために、熟成時間の延長、または、240℃以上の温度へ昇温して、さらなる熟成を行うことができる。その温度範囲は240〜260℃である。
2次反応工程におけるpHは8.0〜12.0が好ましい。pHが8.0未満の場合、板面径が大きく、適度な厚みを有したハイドロタルサイト類化合物粒子が得られない。また、pHが12.0を超えると添加した2価金属Mの一部やアルミニウム等のイオンが析出せず、水溶液中に残り、組成比のずれや収率低下を引き起こしてしまう。より好ましくは9.0〜11.0である。
2次反応工程において、各水溶液を添加する場合、該水溶液を一度に添加する、または、連続的に滴下する、いずれかの方法でもよい。
2次反応工程において、熟成させる時間は、特に限定はしないが、1〜24時間が好ましい。24時間を超えると工業的に有利ではない。
2次反応工程において、さらなるシェルを形成させるために、さらに、3次反応工程として、2価金属M、アルミニウムを追加添加し、反応、熟成して、シェル量を増やす、あるいは、新たなシェルを形成させることができる。追加する2価金属Mのモル数は、1次反応工程で添加したマグネシウム塩水溶液のモル数に対して0.1〜0.8であることが好ましい。0.8を超えて添加した場合は、シェルの形成以外に、系外に粒子が単独で発生してしまい、均一なコアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子が得られない。また、熟成温度は前述と同様に、60〜240℃が好ましい。60℃未満の場合、安定したシェルが形成されず、微細な系外粒子が形成されやすい。その後、所望のサイズの粒子を得るために、熟成時間の延長、または、240℃以上の温度へ昇温して、さらなる熟成を行うことができる。その温度範囲は240〜260℃である。
合成されたハイドロタルサイト類化合物粒子は、常法に従って、ろ過水洗され、固形分濃度10〜40%のハイドロタルサイト類化合物粒子含有ケーキに成形されるのが好ましい。(水洗工程)
分散工程は、ハイドロタルサイト類化合物粒子含有ケーキ、分散剤、水、必要に応じて、添加剤、樹脂を混合し、ビーズミルなどのメディア分散機、あるいは、クレアミックス、フィルミックス、超音波ホモジナイザーなどのメディアレス分散機を用いて分散され、ろ過などの後処理をされて製造される。分散安定性を高めるために、自己分散処理や、マイクロカプセル処理をして製造されてもよい。
本発明に係る白色の塗膜体は、前記分散工程で得られた分散体をバーコーターなどにより、シートに塗布・乾燥後、得ることができる。
<作用>
本発明に係る白色顔料水系分散体は、コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子、分散剤、および、水を含有する白色顔料水系分散体であって、前記化合物粒子の散乱強度分布の粒径を高度に制御することにより、沈降しにくく、保存安定性に優れた白色顔料水系分散体、および、白色度も隠ぺい性も高い塗膜体を得ることができるという事実である。コアシェル構造をとることにより、ハイドロタルサイト類化合物粒子内部に安定的に多くの水分が閉じ込められるため、粒子の比重が軽くなり、沈降しにくく、保存安定性に優れると推定される。また、多段の反応によるコアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子は、表面状態が複雑になっているため、複雑な光屈折を起こし、白色度、隠ぺい性向上に寄与しているものと推定される。
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
ハイドロタルサイト類化合物粒子の同定は、X線回折装置(リガク製、RINT−2500)で行った。回折角2θが30〜80°、ステップ角0.03°、FT0.3secの条件で測定した。線源種はCuを用いた。
散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)、および、累積90%の粒径(D90)は濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000、大塚電子製)にて測定を行った。粘度は、E型粘度計(東機産業製)での摺り速度383s−1で測定した。
一次粒子の平均板面径は、透過型電子顕微鏡(TEM)JEM−F200(日本電子製)による顕微鏡写真に示される一次粒子350個の平均値で示した。
コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子のTEM像とSTEM像を透過型電子顕微鏡(TEM)JEM−3000F(日本電子製)で撮影後、組成マッピングを付属のエネルギー分散型X線分光器(EDS)で行った。
一次粒子の厚みは、X線回折装置で行った。線源種はCuを使用し、管電圧40kV、管電流300mA、ステップ角0.01°、FT0.1secの条件で、ハイドロタルサイト類化合物粒子の(006)結晶面の回折ピーク曲線から、シェラーの式を用いて計算した。
比表面積BET値は、窒素を用いたBET法により測定した。装置は、モノソーブMS−21(QUANTA CHROME製)を使用した。
本発明に係る塗膜体の色相などの諸特性は、白色顔料水系分散体をガラス片上にWET膜厚24μmのバーコーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約6μm)を作製し、暗箱上に乗せ、該塗布片について、分光測色計X−Rite939(X−Rite製)を用いてJIS Z8729に定めるところに従って表色指数L値、a値、b値をそれぞれ測定した値で示した。彩度cはa値、b値を用い、下記数1で求めた。
<数1>
=((a+(b1/2
本発明に係る白色顔料水系分散体の白色度の判定は、明度Lにより、70以上のものを◎、60以上70未満のものを○、50以上60未満のものを△、50未満のものを×とした。
本発明に係る白色顔料水系分散体の隠ぺい性の判定は、彩度cにより、10未満のものを◎、10以上14未満のものを○、14以上16未満ものを△、16以上のものを×とした。
本発明に係る白色顔料水系分散の沈降のしにくさの判定は、顔料濃度33重量パーセントの分散体を分散安定性分析装置LUMiSizer/Fuge(独国LUM社製)を用い、分散体をPA(ポリアミド)製2mmセルに入れ、25℃で400rpmにて回転し、セルの下部1.0cm部分が遠心力によって外側に沈降していく様子を光源870nmの透過率の時間変化で測定し、評価した。沈降速度が5μm/s未満のものを◎、5μm/s以上7μm/s未満のものを○、7μm/s以上9μm/s未満ものを△、9μm/s以上ものを×とした。
本発明に係る白色顔料水系分散体の保存安定性評価は、初期粘度と、70℃で2週間後の経時粘度をE型粘度計TV−30(東機産業製)を用いて測定した。この初期粘度から経時粘度への変化率を下記数2で算出し、下記3段階で評価した。
<数2>
[粘度変化率]=([経時粘度]−[初期粘度])/[初期粘度]×100
○:粘度変化率が±15%未満
△:粘度変化率が±15%以上±30%未満
×:粘度変化率が±30%以上
<白色顔料水系分散体の製造>
実施例1
3mol/lの炭酸ナトリウム水溶液220部と18.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液120部、および、純水560部を混合し、全量を900部とした後、60℃にて攪拌した。これに、2.07mol/lの硫酸マグネシウム水溶液330部、2mol/lの硫酸アルミニウム水溶液80部の混合溶液を添加し、さらに、純水を90部加えて、全量を1400部とした。反応溶液中のマグネシウム化合物濃度は、0.49mol/l、アルミニウム化合物濃度は0.11mol/l、炭酸ナトリウム濃度は0.47mol/l、水酸化ナトリウム濃度は1.59mol/lであった。(仕込みのマグネシウム/アルミニウムのモル比は2.2とした。)添加終了後、pH10.8、95℃にて5時間反応し、コア粒子となる白色沈殿物を含むスラリーを生成した。得られた白色沈殿物は、X線回折により、ハイドロタルサイト類化合物粒子と同定できた。(コア粒子1)得られたコア粒子1の板面径は0.07μm、厚みは、0.02μm、BET比表面積は48m/gであった。溶液中にマグネシウム/アルミニウムはイオンとして検出されないため、仕込んだマグネシウムとアルミニウムの全量がハイドロタルサイト類化合物粒子(コア粒子)を形成すると推定した。(1次反応工程)
次いで、前記スラリーに2.07mol/lの硫酸マグネシウム水溶液110部、2mol/lの硫酸アルミニウム水溶液30部、および、純水160部の混合溶液を徐々に添加し、全量を1700部とした。反応溶液中のマグネシウム化合物濃度は0.13mol/l、アルミニウム化合物粒子濃度は0.035mol/lであった。(仕込みのマグネシウム/アルミニウムのモル比は1.86であった。)添加終了後、pH10.3、95℃で1時間反応した。さらに、オートクレーブ反応器にて、pH9.7、160℃で7時間熟成して、白色沈殿物を含むスラリーを得た。この白色沈殿物をX線回折により、同定した結果、ハイドロタルサイト類化合物粒子であることが同定された。このハイドロタルサイト類化合物粒子の板面径は0.25μm、比表面積12.5m/gであった。また、2次反応で添加したマグネシウム/アルミニウムの量から、表面に存在するMg/コア粒子のMgの比は0.32、表面に存在するMg/Alの平均組成比は1.9のシェル層が形成されたと推定した。(2次反応工程)
この白色沈殿物を濾過、水洗して、35.7重量パーセントの含水ケーキを得た。(水洗工程)
35.7重量パーセントのハイドロタルサイト類化合物粒子含水ケーキ、28部、分散剤として、ポリアクリル酸ナトリウム(アロンT−50、Mw=6,000、東亞合成製)2部、を混合し、2mmのジルコニアビーズ60部を加えて、ボールミルにて、24時間、70rpmにて分散し、白色顔料水系分散体を得た。この白色顔料水系分散体の顔料濃度は33重量パーセント、散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)は、264nm、累積90%の粒径(D90)は381nmであり、D90/D50=1.4であった。粘度は12mPa・sであった。保存安定性は○、沈降のしにくさは◎であった。(分散工程)
実施例2
反応溶液中のマグネシウム化合物濃度を、0.37mol/l、アルミニウム化合物濃度を、0.07mol/l、炭酸ナトリウム濃度を0.47mol/l、水酸化ナトリウム濃度を1.43mol/lとし、pH10.5で反応した以外は、実施例1の1次反応工程と同様に反応を行い、コア粒子2のスラリーを得た。得られたコア粒子2の板面径は、0.06μm、厚みは0.01μm、比表面積は、70m/gであった。次いで、反応溶液中のマグネシウム化合物濃度を0.12mol/l、アルミニウム化合物粒子濃度を0.023mol/lとし、熟成温度を145℃、熟成時間を5時間とした以外は、実施例1と同様の2次反応工程を行い、白色沈殿物を含むスラリーを得た。この白色沈殿物をX線回折により、同定した結果、ハイドロタルサイト類化合物粒子であることが同定された。このハイドロタルサイト類化合物粒子の板面径は0.20μm、比表面積15.5m/gであった。2次反応で添加したマグネシウム/アルミニウムの量から、表面に存在するMg/コア粒子のMgの比は0.39、表面に存在するMg/Alの平均組成比は2.6のシェル層が形成されたと推定した。次いで、実施例1と同様にして、水洗工程、分散工程を行い、白色顔料水系分散体を得た。この白色顔料水系分散体の顔料濃度は33重量パーセント、散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)は、213nm、累積90%の粒径(D90)は325nmであり、D90/D50=1.5であった。粘度は14mPa・sであった。保存安定性は○、沈降しにくさは◎であった。
実施例3
実施例2の1次反応工程と同様にして、コア粒子2のスラリーを得た。次いで、反応溶液中のマグネシウム化合物濃度を0.06mol/l、アルミニウム化合物粒子濃度を0.018mol/lとし、熟成温度を80℃、熟成時間を6時間とした以外は、実施例1と同様の2次反応工程を行い、白色沈殿物を含むスラリーを得た。この白色沈殿物をX線回折により、同定した結果、ハイドロタルサイト類化合物粒子であることが同定された。このハイドロタルサイト類化合物粒子の板面径は0.15μm、比表面積35.2m/gであった。2次反応で添加したマグネシウム/アルミニウムの量から、表面に存在するMg/コア粒子のMgの比は0.14、表面に存在するMg/Alの平均組成比は1.7のシェル層が形成されたと推定した。次いで、実施例1と同様にして、水洗工程を行った。さらに、分散剤をアロンT−50から、アロンA−6712(カルボン酸系共重合体、Mw=10,000、東亞合成製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、分散工程を行い、白色顔料水系分散体を得た。この白色顔料水系分散体の顔料濃度は33重量パーセント、散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)は、162nm、累積90%の粒径(D90)は288nmであり、D90/D50=1.8であった。粘度は23mPa・sであった。保存安定性は○、沈降しにくさは◎であった。
実施例4
反応溶液中のマグネシウム化合物濃度を、0.51mol/l、アルミニウム化合物濃度を、0.10mol/l、炭酸ナトリウム濃度を0.19mol/l、水酸化ナトリウム濃度を2.71mol/lとし、pH11.5で反応した以外は、実施例1の1次反応工程と同様に反応を行い、コア粒子3のスラリーを得た。得られたコア粒子3の板面径は、0.08μm、厚みは0.03μm、比表面積は、41m/gであった。次いで、反応溶液中のマグネシウム化合物濃度を0.18mol/l、アルミニウム化合物粒子濃度を0.023mol/lとし、熟成温度を200℃、熟成時間を7時間とした以外は、実施例1と同様の2次反応工程を行い、白色沈殿物を含むスラリーを得た。この白色沈殿物をX線回折により、同定した結果、ハイドロタルサイト類化合物粒子であることが同定された。このハイドロタルサイト類化合物粒子の板面径は0.32μm、比表面積9.5m/gであった。2次反応で添加したマグネシウム/アルミニウムの量から、表面に存在するMg/コア粒子のMgの比は0.59、表面に存在するMg/Alの平均組成比は3.9のシェル層が形成されたと推定した。次いで、実施例1と同様にして、水洗工程を行った。さらに、分散剤をアロンT−50から、アロンAC−103(ポリアクリル酸ナトリウム、Mw=6,000、東亞合成製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、分散工程を行い、白色顔料水系分散体を得た。この白色顔料水系分散体の顔料濃度は33重量パーセント、散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)は、300nm、累積90%の粒径(D90)は386nmであり、D90/D50=1.3であった。粘度は12mPa・sであった。保存安定性は○、沈降しにくさは◎であった。
実施例5
実施例1の1次反応工程と同様にして、コア粒子1のスラリーを得た。次いで、添加する硫酸マグネシウムを硫酸亜鉛に変更した以外は、実施例1と同様の2次反応工程を行い、白色沈殿物を含むスラリーを得た。この白色沈殿物をX線回折により、同定した結果、ハイドロタルサイト類化合物粒子であることが同定された。このハイドロタルサイト類化合物粒子の板面径は0.28μm、比表面積12.8m/gであった。2次反応で添加した亜鉛/アルミニウムの量から、表面に存在するZn/コア粒子のMgの比は0.19、表面に存在するMg/Alの平均組成比は1.9のシェル層が形成されたと推定した。次いで、実施例1と同様にして、水洗工程を行い、実施例4と同様にして、分散工程を行い、白色顔料水系分散体を得た。この白色顔料水系分散体の顔料濃度は33重量パーセント、散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)は、297nm、累積90%の粒径(D90)は400nmであり、D90/D50=1.3であった。粘度は14mPa・sであった。保存安定性は○、沈降しにくさは◎であった。図1にTEMの明視野像、および、図2にSTEM像と亜鉛のEDSマッピング像を示す。該マッピング像において、粒子中央の輝度が高いため、又、一次反応に亜鉛を使用していないことを考慮すると、該粒子中央が亜鉛を含むハイドロタルサイトで覆われてシェルを形成していることが分かった。
実施例6
実施例2の1次反応工程と同様にして、コア粒子2のスラリーを得た。次いで、添加する硫酸マグネシウムを塩化カルシウムに変更した以外は、実施例1と同様の2次反応工程を行い、白色沈殿物を含むスラリーを得た。この白色沈殿物をX線回折により、同定した結果、ハイドロタルサイト類化合物粒子であることが同定された。このハイドロタルサイト類化合物粒子の板面径は0.26μm、比表面積12.6m/gであった。2次反応で添加したカルシウム/アルミニウムの量から、表面に存在するCa/コア粒子のMgの比は0.43、表面に存在するMg/Alの平均組成比は1.9のシェル層が形成されたと推定した。次いで、実施例1と同様にして、水洗工程を行い、さらに、分散剤をアロンT−50から、アロンA−6012(スルホン酸系共重合体、Mw=10,000、東亞合成製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、分散工程を行い、白色顔料水系分散体を得た。この白色顔料水系分散体の顔料濃度は33重量パーセント、散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)は、281nm、累積90%の粒径(D90)は372nmであり、D90/D50=1.3であった。粘度は13mPa・sであった。保存安定性は○、沈降しにくさは◎であった。
実施例7
実施例4の1次反応工程と同様にして、コア粒子3のスラリーを得た。次いで、添加する硫酸マグネシウムを硫酸マグネシウムと硫酸亜鉛の混合溶液に変更し、反応溶液中のマグネシウム化合物濃度を0.07mol/l、亜鉛化合物濃度を0.07mol/lに変更した以外は、実施例1と同様の2次反応工程を行い、白色沈殿物を含むスラリーを得た。この白色沈殿物をX線回折により、同定した結果、ハイドロタルサイト類化合物粒子であることが同定された。このハイドロタルサイト類化合物粒子の板面径は0.24μm、比表面積12.7m/gであった。2次反応で添加した(マグネシウム+亜鉛)/アルミニウムの量から、表面に存在する(Mg+Zn)/コア粒子のMgの比は0.33、表面に存在するMg/Alの平均組成比は2.0のシェル層が形成されたと推定した。次いで、実施例1と同様にして、水洗工程を行い、さらに、分散剤をアロンT−50から、アロンAC−10SL(ポリアクリル酸ナトリウム、Mw=3,000、東亞合成製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、分散工程を行い、白色顔料水系分散体を得た。この白色顔料水系分散体の顔料濃度は33重量パーセント、散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)は、261nm、累積90%の粒径(D90)は378nmであり、D90/D50=1.4であった。粘度は13mPa・sであった。保存安定性は○、沈降しにくさは◎であった。
比較例1
実施例1の1次反応工程と同様にして、コア粒子1のスラリーを得た。次いで、2次反応工程を経ずして、実施例1と同様にして、水洗工程、分散工程を行い、白色顔料水系分散体を得た。この白色顔料水系分散体の顔料濃度は33重量パーセント、散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)は、118nm、累積90%の粒径(D90)は301nmであり、D90/D50=2.6であった。粘度は40mPa・sであった。保存安定性は×、沈降しにくさは○であった。
比較例2
2次反応工程において、オートクレーブ反応器での熟成を行わない以外は、実施例1と同様の反応を行い、白色顔料水系分散体を得た。この白色顔料水系分散体の顔料濃度は33重量パーセント、散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)は、136nm、累積90%の粒径(D90)は280nmであり、D90/D50=2.1であった。粘度は35mPa・sであった。保存安定性は△、沈降しにくさは△であった。
比較例3
分散工程において、アロンT−50の代わりに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(分子量348、和光純薬製)を添加した以外は、実施例1と同様に反応を行い、白色顔料水系分散体を得た。この白色顔料水系分散体の顔料濃度は33重量パーセント、散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)は、512nm、累積90%の粒径(D90)は1726nmであり、D90/D50=3.4であった。粘度は121mPa・sであった。保存安定性は×、沈降しにくさは×であった。
表1に1次反応工程の製造条件、表2にコア粒子の諸特性、表3に2次反応工程の製造条件、表4にコアシェル構造を有するハイドロタルサイト類会合物粒子の諸特性、表5に白色顔料水系分散体の諸特性を示す。
以上のように、実施例のコアシェル構造を有する白色顔料水系分散体は、沈降しにくく、保存安定性に優れているのは明らかである。
次に、白色顔料水系分散体をガラス片上にWET膜厚24μmのバーコーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約6μm)を、塗膜体として、評価した。表6に塗膜体の諸特性を示す。
以上のように、実施例の、塗膜体は、白色度が高く、隠ぺい性が高いのは明らかである。
本発明に係る白色顔料水系分散体は、白色度が高く、隠ぺい性が高く、沈降しにくく、保存安定性に優れているので、インクジェットインク、特に、大型インクジェット印刷などのプロダクション印刷に好適である。また、従来からの塗料、印刷インキ、絵の具、筆記用具などの各種用途にも好適である。

Claims (7)

  1. 分散剤と、コアシェル構造を有するハイドロタルサイト類化合物粒子を含有し、該散乱強度分布の累積50%の粒径(D50)が150〜400nmであることを特徴とする白色顔料水系分散体。
  2. ハイドロタルサイト類化合物粒子のコアシェル構造が、Mg−Al系ハイドロタルサイトによるコア粒子と、M(2価金属)−Al系ハイドロタルサイトによるシェルからなる構造である請求項1記載の白色顔料水系分散体。
  3. ハイドロタルサイト類化合物粒子のシェルに存在する2価金属Mが、Mg、Ca、Znから選ばれた1種類以上の2価金属である請求項1、または2に記載の白色顔料水系分散体。
  4. ハイドロタルサイト類化合物粒子のシェルに存在する2価金属Mの含有量が、コア粒子に含有されるMgに対するモル当量比M/Mgで0.1〜0.8である請求項1〜3のいずれかに記載の白色顔料水系分散体。
  5. 散乱強度分布の累積90%の粒径(D90)が、D50の2倍以内の粒径である請求項1〜4のいずれかに記載の白色顔料水系分散体。
  6. 分散剤が、ポリ有機酸系分散剤であり、その重量平均分子量Mwが3,000以上である請求項1〜5のいずれかに記載の白色顔料水系分散体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の白色顔料水系分散体を用いた塗膜体。
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