JP5258447B2 - 酸化チタン系複合粒子の分散液および該分散液の製造方法 - Google Patents

酸化チタン系複合粒子の分散液および該分散液の製造方法 Download PDF

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本発明は酸化チタン系複合粒子の分散液および該分散液の製造方法に関するものである。更に詳しくは、光学特性、塗膜強度特性、誘電特性、触媒特性などを備えた酸化チタン系複合粒子を水および/または有機溶媒に分散してなる酸化チタン系複合粒子の分散液およびその製造方法に関するものである。
酸化チタン微粒子は、高い屈折率を有することからプラスチックレンズのハードコート層やプライマー層などの高屈折率被膜形成用塗布液の材料として好適に使用されてきた。しかし、酸化チタン微粒子自身の光触媒活性が高いことから被膜形成成分の有機ケイ素化合物や樹脂成分が分解したり、基材表面で被膜が劣化することにより基材と被膜の密着性が低下するといった問題があった。
このような問題を解決する方法として、特許文献1では、チタンとスズとを含む酸化物微粒子からなる核粒子をケイ素とジルコニウムおよび/またはアルミニウムを含む複合酸化物で被覆した複合酸化物微粒子が開示されている。このような複合酸化物微粒子を含む塗布液を使用すれば、屈折率が高く、しかも耐候性や耐光性に優れた塗膜を形成することができるが、その使用条件によっては、これらを更に改善させる必要があった。
一方、無機酸化物粒子の表面を疎水化し、有機溶媒中での分散性を向上させる手段としてアミノ基を有する金属アルコキシドによる表面処理を行うことは一般に行われている。また、特許文献2においてはシリカを含む複合酸化物ゾルの有機溶媒および有機樹脂中での分散性向上を目的として、複合酸化物中のケイ素に有機基を直接結合させる方法が記載されている。
特開2000−204301号公報 特許第3683070号公報
本発明の課題は、光触媒活性が抑制され、耐候性および耐光性に優れており、かつ屈折率の高い酸化チタン系複合粒子を含む、透明性に優れた酸化チタン系複合粒子の分散液および該分散液の製造方法を提供することにある。
本発明に係る酸化チタン系複合粒子の分散液は、チタニウムの酸化物微粒子、またはチタニウムと、ケイ素および/またはスズとを含む複合酸化物微粒子からなる核粒子の表面を、少なくとも、アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液と、ケイ酸液またはケイ酸塩の水溶液と、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウムおよびイットリウムより選ばれた1種または2種以上の金属元素の塩を溶解させた水溶液とを同時に添加して重縮合させて得られるアミノ基含有複合体で被覆し、さらにその表面をシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物で被覆してなることを特徴としている。
また、本発明に係る酸化チタン系複合粒子の分散液は、前記核粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記アミノ基含有複合体に含まれるアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)が0.001〜0.04の範囲にあることが好ましい。
前記アミノ基を有する金属アルコキシドは、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランより選ばれた1種または2種以上であることが好ましい。
前記酸化チタン系複合粒子の平均粒子径は、動的光散乱法で測定されるとき、3〜80nmの範囲にあることが好ましい。
本発明に係る酸化チタン系複合粒子の分散液の製造方法は、
(1)チタニウムの酸化物微粒子、またはチタニウムと、ケイ素および/またはスズとからなる複合酸化物微粒子からなる核粒子が分散した水分散液を加熱しながら、
(A)アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液、
(B)ケイ酸液またはケイ酸塩の水溶液、および
(C)アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウムおよびイットリウムより選ばれた1種または2種以上の金属元素の塩を溶解させた水溶液
とを、前記水分散液にそれぞれ同時に添加して得られる重縮合物からなるアミノ基含有複合体を前記核粒子の表面に被覆する工程、および
(2)前記工程(1)より得られた水分散液を加熱しながら、
(D)ケイ酸液、または
(E)ケイ酸液と、ジルコニウム、アンチモン、タングステン、スズ、アルミニウム、ニオブ、セリウムおよび亜鉛より選ばれた1種または2種以上の金属元素の水酸化物、過酸化物、アルコキシドおよび/または無機塩の水溶液
を添加したのち、加熱することにより、前記アミノ基含有複合体で被覆した粒子の表面にさらにシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物を被覆させる工程
を含むことを特徴としている。
さらに、本発明に係る酸化チタン系複合粒子の分散液の製造方法は、前記工程(2)より得られた水分散液を有機溶媒で溶媒置換する工程を含むことが好ましい。
また、前記工程(1)において、前記核粒子の水分散液の加熱温度は60〜210℃の範囲にあることが好ましい。
また、前記工程(1)において、前記成分(A)、(B)、および(C)の水溶液をそれぞれ同時に添加する時の分散液のpHが、7〜12の範囲にあるように調整することが好ましい。
また、前記工程(1)において、前記成分(A)の水溶液の添加速度は、該水溶液中に含まれる金属アルコキシドの保有するアミノ基のモル基準で0.005〜0.2モル/Hrの範囲にあることが好ましい。
また、前記工程(1)において、前記成分(B)の水溶液の添加速度は、該水溶液中に含まれるケイ酸またはケイ酸塩の保有するケイ素のモル基準で0.012〜0.5モル/Hrの範囲にあることが好ましい。
また、前記工程(1)において、前記成分(C)の水溶液の添加速度は、該水溶液中に含まれる金属塩の保有する金属元素のモル基準で0.005〜0.2モル/Hrの範囲にあることが好ましい。
また、前記工程(1)において、前記アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液の濃度が0.2〜20重量%の範囲にあり、前記ケイ酸液またはケイ酸塩の水溶液の濃度がSiO2換算基準で0.5〜6重量%の範囲にあり、しかも前記アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウムおよびイットリウムより選ばれた1種または2種以上の金属元素の塩を溶解させた水溶液の濃度が酸化物換算基準で0.01〜5重量%の範囲にあることが好ましい。
本発明に係る酸化チタン系複合粒子は、優れた耐候性、耐光性および光触媒活性抑制効果を有している。さらに該酸化チタン系複合粒子の分散液を用いた塗布液により得られる塗膜や、該酸化チタン系複合粒子の分散液を用いて得られる樹脂組成物などにおいては、該酸化チタン系複合粒子の光触媒活性に起因する劣化、変色などが非常に抑制される。
このような効果が得られるのは、核粒子の表面にアミノ基を含有する複合体を被覆させることで酸化チタン系複合粒子の光触媒活性が抑制されるためである。
また前記アミノ基を含有する複合体によれば、比較的低い被覆量で上記の光触媒活性抑制効果が得られるため酸化チタン系複合粒子の高屈折率性を低下させることが少ない。
このようなアミノ基は、例えばアミノ基を含むシランカップリング剤などを単独で用いて核粒子表面に反応させようとしても、不安定で少量しか反応しないが、特別な製造方法を用いて、アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物を他の被覆形成成分と複合化させることにより比較的大量のアミノ基を安定にアミノ基含有複合体に配合することができ、このアミノ基含有複合体で核粒子を被覆することによって耐酸安定性、保存安定性に優れた酸化チタン系複合粒子の分散液が提供される。
また、耐酸安定性および保存安定性、高分散性を更に高めるために、本発明に係る酸化チタン系複合粒子においてはアミノ基含有複合体の表面をさらにシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物により被覆している。このシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物はさらに酸化チタン系複合粒子の耐光性、光触媒活性抑制効果を向上させる効果をも持つ。しかも、本発明の酸化チタン系複合粒子においては核粒子の表面にアミノ基含有複合体を被覆することで核粒子の光触媒活性や耐候性および耐光性が抑制されているのでシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物の被覆量は比較的低量ですみ、酸化チタン系複合粒子の屈折率の低下を招くことが少ない。
また本発明の酸化チタン系複合粒子の分散液は透明性にも優れている。
この酸化チタン系複合粒子の分散液を被膜形成用塗布液、および有機樹脂などに配合すれば、高い耐候性、耐光性、耐変色性、光触媒活性抑制効果を有する塗膜、樹脂組成物などが得られる。
また前記酸化チタン系複合粒子は高い屈折率を維持していることから各種高屈折率塗膜、高屈折率樹脂組成物の材料として好適である。
また強度特性、導電性、適度な紫外線吸収特性および触媒活性などを有する材料であるため各種添加剤、または原料として各種無機化合物または有機化合物と混合または反応させて各種高屈折率材、ハードコート用コーティング材、紫外線吸収剤、防汚材、抗菌剤、脱臭剤、粘剤、隠蔽材、導電材、反射材、封止材、充填材、包装材、光触媒、反射防止膜材、繊維材、電極材、建材、紙、その他各種塗料の用途に広く使用することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
チタニウムの酸化物微粒子、またはチタニウムとケイ素および/またはスズとを含む複合酸化物微粒子からなる核粒子(核粒子)
本発明に係る核粒子としては、従来公知のチタニウムの酸化物微粒子、またはチタニウムとケイ素および/またはスズを含む複合酸化物微粒子からなる核粒子を用いることができる。
前記核粒子の結晶構造はアナターゼ型、ルチル型、またはこれらの混在型のいずれであってもよい。ルチル型の核粒子は高屈折率性および耐光性、耐候性に優れるため特に好ましい。
前記核粒子の結晶構造の一部を化学式で模式的に示せば、以下の通りである。
核粒子の構造の一例

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−O−Ti−O−Ti−O−
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−O−Ti−O−Si−O−
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−O−Ti−O−Sn−O−
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−O−Ti−O−Sn−O−Si−O−
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アミノ基含有複合体
本発明に係る酸化チタン系複合粒子においては、前記核粒子の表面にアミノ基含有複合体よりなる中間被覆層が形成されている。前記アミノ基含有複合体は、前記核粒子の表面で、アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液と、ケイ酸液またはケイ酸塩の水溶液と、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウムおよびイットリウムより選ばれた1種または2種以上の金属元素の塩を溶解させた水溶液とを同時に添加して重縮合させて得られるものである。
前記アミノ基含有複合体に含まれるアミノ基の含有量は、チタニウムの酸化物微粒子、またはチタニウムとケイ素および/またはスズとを含む複合酸化物微粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記アミノ基含有複合体に含まれるアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)が0.001〜0.04の範囲、特に、0.004〜0.020の範囲にあることが好ましい。上記モル比はアミノ基を含む金属アルコキシドの仕込量により調節することができる。前記モル比が0.001未満であると本発明に係る酸化チタン系複合粒子の耐光性、耐候性および光活性抑制効果が低下し、0.04を超えると得られる酸化チタン系複合粒子の屈折率が低下したりアミノ基含有金属アルコキシドの加水分解物が酸化チタン系複合粒子中に安定に化合可能な量を超えて酸化チタン系複合粒子外に遊離し、得られる酸化チタン系複合粒子分散液の安定性、耐酸性などが低下することがあるので好ましくない。
前記アミノ基を有する金属アルコキシドとしては、アミノ基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを用いることができる。γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランなどが好ましく使用できる。またこれらを混合して用いても良い。
また3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、1−アミノ−2−(ジメチルエトキシシリル)プロパン、(アミノエチルアミノ)−3−イソブチルジメチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシランアミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルアミノメチルエトキシシラン、(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(N−アセチルグリシジル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランより選ばれた1種以上を用いてもよい。
また、ここで、前記アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液とは、上記のアミノ基を有する金属アルコキシドを水に攪拌混合した水溶液である。また前記アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物とは、アミノ基を有する金属アルコキシドを水に攪拌混合して加水分解させたものであって、アミノ基を有する金属アルコキシドの持つOR基の少なくとも一部がOH基と置換した構造をとるものを意味する。
また、ここで前記ケイ酸液とは、水溶性ケイ酸塩の水溶液を陽イオン交換樹脂などで脱アルカリすることによって得られる酸性ケイ酸液であって、ケイ酸の低重合物を含む水溶液を意味する。
また、ここで前記ケイ酸塩の水溶液とは、ケイ酸ナトリウムやケイ酸カリウムなどのアルカリ金属ケイ酸塩を水に溶解させたものを意味する。
また、前記アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウム、イットリウムより選ばれるいずれか1種または2種以上の金属元素の塩としては、水溶性の塩であれば制限なく用いることができる。このような塩としては例えばアルミン酸ナトリウム塩、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ペルオキソチタニウム、スズ酸カリウム、硫酸マグネシウム、硝酸亜鉛などを好適に用いることができる。
前記アミノ基含有複合体の構造は、シリカと、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウム、イットリウムより選ばれた1種または2種以上の金属元素の酸化物と、アミノ基を含む金属アルコキシドの加水分解物とが分子レベルで複合化したものである。
本発明においてチタニウムの酸化物微粒子またはチタニウムと、ケイ素および/またはスズとを含む複合酸化物微粒子からなる核粒子の表面をアミノ基含有複合体で被覆することにより、得られる酸化チタン系複合粒子の耐候性および耐光性および光触媒活性抑制効果が向上する効果が得られる。
その理由については定かではないものの、前記アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物中において、アミノ基は解離してNH3+となり正の電荷を帯び、核粒子表面のOH基や、シリカとアルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウム、イットリウムより選ばれた1種または2種以上の金属元素の酸化物とが形成する複合酸化物中の負電荷と相互作用を不活性化させるためであると考えられる。
このようなアミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物は、単独で核粒子表面に表面処理または被覆させたのでは、不均一で、かつ少量しか付着させることができない上、アミノ基のほとんど全量が粒子界面に存在するため安定性が低く水分またはアルカリの影響によりアミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物が容易に粒子表面から脱離する。またアミノ基を有する金属アルコキシドを単独で核粒子に表面処理した上から更に無機酸化物による被覆を行うことは困難である。
しかし本発明においては、上記のようにアミノ基が複合体中の負電荷と配位することに加え、アミノ基含有金属アルコキシドの加水分解物に含まれるOH基が、アミノ基含有複合体の調製時に同時添加されるケイ酸液またはケイ酸塩の水溶液に含まれるケイ酸モノマーまたはケイ酸ポリマー中のOH基などと重縮合することで分子レベルの3次元的網目構造を形成するため、前記複合体骨格中に所望量のアミノ基を安定に固定することができる。
上記の効果により、比較的少ない被覆量でも、得られる酸化チタン系複合粒子の耐候性、耐光性および光触媒活性抑制効果を向上することができるため、該酸化チタン系複合粒子の高屈折率性を高く維持することが可能となる。
前記アミノ基含有複合体の核粒子に対する被覆量は、核粒子100重量部に対して1〜40重量部、より好ましくは5〜20重量部の範囲にあることが好ましい。
前記被覆量が核粒子100重量部に対して1重量部未満であると、本発明に係る酸化チタン系複合粒子の耐候性、耐光性及び光触媒活性抑制効果が低下し、前記被覆量が40重量部を超えると、本発明に係る酸化チタン系複合粒子の屈折率が低下するので好ましくない。
シリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物被覆
本発明に係る酸化チタン系複合粒子においては、前記アミノ基含有複合体の表面にシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物からなる被覆層が形成されている。
前記シリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物の被覆量は、酸化チタン系複合粒子100重量部に対して0.5〜30重量部の範囲にあることが好ましい。
前記重量比が酸化チタン系複合粒子100重量部に対して0.5重量部未満の場合には、得られる酸化チタン系複合粒子の分散液の安定性や耐酸性が低下したり、表面処理が困難になることがあるので好ましくない。また前記重量比が酸化チタン系複合粒子100重量部に対して30重量部を超えると、得られる酸化チタン系複合酸化物粒子の屈折率が低下するので好ましくない場合がある。
ここで、前記シリカ系酸化物とは主として二酸化ケイ素からなる酸化物であり、シリカ系複合酸化物とはケイ素とジルコニウム、アンチモン、タングステン、スズ、アルミニウム、ニオブ、セリウム、亜鉛より選ばれた1種または2種以上の金属元素との複合酸化物である。シリカ系複合酸化物がジルコニウムを含むものであると、本発明に係る酸化チタン系複合粒子の屈折率を低下させることが少ないので特に好ましい。
このようなシリカ系複合酸化物の一部を化学式で模式的に示せば、以下の通りである。
シリカ系複合酸化物の一例

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−O−Si−O−Zr−O−
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−O−Si−O−Al−O−
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本発明に係る酸化チタン系複合粒子において、前記アミノ基含有複合体の表面を前記シリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物により被覆することで、得られる酸化チタン系複合粒子の分散液中での安定性および耐酸性が向上する効果がある。またアミノ基含有複合体の表面に一部存在するアミノ基が後述するシランカップリング剤などによる表面処理が阻害することを抑制する効果がある。また酸化チタン系複合粒子の耐光性、耐候性および光触媒活性抑制効果が向上される効果もある。
本発明においては、核粒子表面にアミノ基含有複合体を形成することによって核粒子の耐光性、耐候性および光触媒活性抑制効果が向上するため、シリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物の被覆量は比較的少なくてすむ。そのため高屈折率な酸化チタン系複合粒子を得ることができる。
酸化チタン系複合粒子
本発明に係る酸化チタン系複合粒子について以下に説明する。
本発明に係る酸化チタン系複合粒子はチタニウムの酸化物微粒子、またはチタニウムと、ケイ素および/またはスズとを含む複合酸化物微粒子からなる核粒子の表面を、少なくとも、アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液と、ケイ酸液またはケイ酸塩の水溶液と、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウム、イットリウムより選ばれるいずれか1種または2種以上の金属元素の塩を溶解させた水溶液とを、同時に添加して重縮合させて得られるアミノ基含有複合体で被覆し、さらにその表面をシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物で被覆してなるものである。
前記酸化チタン系複合粒子の平均粒子径は、動的光散乱法で測定した時に3〜80nm、より好ましくは5〜30nmの範囲にあることが好ましい。
前記平均粒子径が3nm未満であると該酸化チタン系複合粒子の分散液の安定性が低下するので好ましくない。前記平均粒子径が80nmを超えると、該酸化チタン系複合粒子の分散液の透明性が低下するので好ましくない場合がある。
前記酸化チタン系複合粒子の形状については、特に制限されるものではないが、棒状または粒状または球状であることが好ましい。
また酸化チタン系複合粒子のBET法で測定される比表面積は、80〜400m2/g、より好ましくは150〜300m2/gの範囲にあることが好ましい。
前記比表面積が80m2/g未満であると、該酸化チタン系複合粒子の分散液または該分散液を用いて得られる被膜の透明性が低下することがあるので好ましくない。また前記比表面積が400m2/gを超えると該酸化チタン系複合粒子の分散液を濃縮した際に安定性が低下することがあるので好ましくない。
酸化チタン系複合粒子分散液
本発明に係る酸化チタン系複合粒子分散液は、前記酸化チタン系複合粒子を水および/または有機溶媒に含む分散液である。
前記有機溶媒としては、特に制限されないが、水に可溶なものであることが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、メタクリル酸メチル、スチレン、酢酸ビニル、ε-カプロラクラム、ウンデカンラクタム、ラウリルラクタム、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、セバシン酸、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、γ−ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、メチルイソブチルケトンおよびメチルエチルケトンなどを好適に用いることができる。
前記分散液の固形分濃度は1〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%の範囲にあることが好ましい。前記固形分濃度が1重量%未満であると、該分散液中に含まれる無機物質の量が不足し、期待の効果が得られない場合がある。前記固形分濃度が40重量%を超えると、該分散液の安定性が低下してゲル化しやすくなるので好ましくない。
酸化チタン系複合粒子の分散液の製造方法
本発明に係る酸化チタン系複合粒子を含む分散液の製造方法について以下に説明する。
チタニウムの酸化物微粒子、または複合酸化物微粒子からなる核粒子(核粒子)の製造方法としては特に制限されず公知のものを用いることができる。このような核粒子としては分散液状のものが製法上および性能上の面から好ましく、このような核粒子分散液は例えば、特開2000−204301号公報に記載の核粒子分散液の調製方法や特開平10−182152号公報に記載の酸化チタンゾルの調製方法などで製造することができる。
アミノ基含有複合体の被覆方法
前記核粒子をアミノ基含有複合体で被覆する方法としては、前記核粒子の水分散液を加熱しながら、攪拌下で、少なくとも、アミノ基を含有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液と、ケイ酸液またはケイ酸塩の水溶液と、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウム、イットリウムよりなる群から選ばれるいずれか1種または2種以上の金属元素の塩を溶解させた水溶液とを前記核粒子の水分散液にそれぞれ同時に少しずつ添加して、核粒子表面で重縮合させる方法が好ましい。
この時、前記アミノ基を含有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液と、ケイ酸液またはケイ酸塩の水溶液と、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウム、イットリウムより選ばれた1種または2種以上の元素の塩を溶解させた水溶液とは、混合せず各々別々に用意したものをそれぞれ同時に核粒子の水分散液に添加することが好ましい。また前記金属元素の塩を2種以上用いる際も、2種以上の塩の水溶液を混合せずそれぞれを同時に前記水分散液に添加することが好ましい。これは前記水溶液中での成分の沈殿および凝集を抑制するためである。
前記核粒子の水分散液の加熱温度は、60〜210℃の範囲にあることが好ましい。
上記加熱温度が60℃未満の場合、前記水分散液がゲル化または凝集したり、均一なアミノ基含有複合体を形成することができないので好ましくない。
上記加熱温度が210℃を超えると、アミノ基含有金属アルコキシドに含まれるアミノ基が変質または分解し、期待する効果が得られなくなるので好ましくない。
また、前記核粒子の水分散液を加熱しながらアミノ基を含有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液と、ケイ酸液またはケイ酸塩の水溶液と、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウム、イットリウムより選ばれた1種以上の元素の塩を溶解させた水溶液とを前記核粒子分散液に同時に少しずつ添加する間、前記分散液のpHが7〜12の範囲となるように添加することが好ましい。前記水分散液のpHが7未満または12より大きいと、分散液がゲル化するので好ましくない。
上記の分散液のpH条件は、NaOH、KOH、NH4OHなどのアルカリをpH調整剤として用いて、核粒子の水分散液のpHがあらかじめpH7〜12の範囲となるように調整しておくことで満たすことができる。アミノ基含有複合体の原料は、核粒子の水分散液に比べて少量であるため、核粒子の水分散液をアルカリ側にしておれば、アミノ基含有複合体被膜形成中に分散液のpHが大きく変動することはない。
また、酸性のケイ酸液をアミノ基含有複合体の原料として用いる場合には、同時に加える金属元素の塩として水中でアルカリ性を示すものを用いたり、アルカリ性のケイ酸塩の水溶液を用いる場合には、金属元素の塩として水中で酸性を示すものを使用するなどの調整を必要に応じて行うこともできる。
また、前記核粒子の水分散液にアミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液を添加する時の添加速度は、前記水溶液中に含まれる金属アルコキシドの保有するアミノ基のモル基準で0.005〜0.2モル/Hr、より好ましくは0.02〜0.15モル/Hrの範囲となるように添加することが好ましい。前記添加速度が0.005モル/Hr未満の場合には、得られるアミノ基含有複合体の性状には特に問題はないものの製造工程に不要に長時間を要することになるので好ましくない。また前記添加速度が0.2モル/Hrを超えると前記水分散液に含まれる成分がゲル化または凝集したり、均一なアミノ基含有複合体が得られなくなるので好ましくない。
また、前記核粒子の水分散液にケイ酸またはケイ酸塩の水溶液を添加する時の添加速度は、該水溶液中に含まれるケイ素のモル基準で0.012〜0.5モル/Hrの範囲となるように添加することが好ましい。前記添加速度が0.012モル/Hrより遅いと、得られるアミノ基含有複合体の性状には特に問題はないが製造時間に不要に長時間を有することとなり、また前記添加速度が0.5モル/Hrを超えると前記水分散液に含まれる成分がゲル化または凝集したり、均一なアミノ基含有複合体が得られないこととなるので好ましくない。
また、前記核粒子の水分散液にアルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウムおよびイットリウムより選ばれた1種または2種以上の金属元素の塩を溶解させた水溶液を添加する時の添加速度は、該水溶液中に含まれる金属元素のモル基準で0.005〜0.2モル/Hr、より好ましくは0.02〜0.15モル/Hrの範囲となるように添加することが好ましい。前記添加速度が0.005モル/Hrより遅いと、得られるアミノ基含有複合体の性状には特に問題はないが製造時間に不要に長時間を有することとなり、また前記添加速度が0.2モル/Hrを超えると前記水分散液に含まれる成分がゲル化または凝集したり、均一なアミノ基含有複合体が得られないこととなるので好ましくない。
また、前記アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液の濃度は、アミノ基を有する金属アルコキシド換算基準で0.2〜20重量%の範囲にあることが好ましい。前記水溶液の濃度が0.2重量%未満であると、反応溶液量が多くなり、生産性が悪くなる。また前記濃度が20重量%より多いと分散液がゲル化しやすく、均一なアミノ基含有複合体が得られないので好ましくない。
前記アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウムおよびイットリウムより選ばれた1種または2種以上の金属元素の塩を溶解させた水溶液の濃度は、前記金属元素の酸化物換算基準(Al23、ZrO2、ZnO、CeO2、SnO2、La23、MgO、CaO、Y23換算基準)で0.01〜5重量%を超えないことが好ましい。前記濃度が5重量%を超えると分散液がゲル化しやすく、均一なアミノ基含有複合体が得られないので好ましくない。
前記ケイ酸液またはケイ酸塩の水溶液の濃度はSiO2換算基準で0.5〜6重量%の範囲にあることが好ましい。前記濃度が0.5重量%未満であると、反応溶液量が多くなり、生産性が悪い。また前記濃度が6重量%を超えると分散液がゲル化しやすく、均一なアミノ基含有複合体が得られないので好ましくない。
また、前記水分散液の攪拌速度は、使用する装置によっても異なるが、アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液と、ケイ酸液またはケイ酸塩の水溶液と、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウムおよびイットリウムより選ばれた1種または2種以上の金属元素の塩を溶解させた水溶液とが瞬時に混合されるような攪拌速度に適時調節することが好ましい。
また、前記アミノ基含有複合体の核粒子に対する被覆量は、核粒子100重量部に対して1〜40、より好ましくは5〜20重量部の範囲となるように仕込量で調節することが望ましい。
シリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物の被覆方法
上記で得られたアミノ基含有複合体で被覆した核粒子の水分散液を固形分濃度1〜3重量%の範囲に調製し、80℃〜95℃の温度範囲に加熱した後、(D)ケイ酸液、または(E)ケイ酸液とジルコニウム、アンチモン、タングステン、スズ、アルミニウム、ニオブ、セリウムおよび亜鉛より選ばれた1種または2種以上の金属元素の水酸化物、過酸化物、アルコキシドおよび/または無機塩の水溶液を徐々に添加して、更に添加終了後0.5〜2時間熟成する。
次いで、得られた分散液のpHを必要に応じてイオン交換などでpH7〜10に調製したのち、この分散液をオートクレーブに入れて、約160〜170℃の温度で約16〜20時間加熱し、酸化チタン系複合粒子の水分散液を得る。
必要に応じて、得られた酸化チタン複合粒子の水分散液を限外濾過膜装置により濃縮して、固形分濃度が約10〜30重量%の酸化チタン系複合粒子分散液を得る。
また、前記シリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物の被覆量は、酸化チタン系複合粒子100重量部に対して重量比で0.5〜30重量部の範囲となるように仕込量で調節することが好ましい。
また前記金属元素の無機塩としては、特に制限されるものではないが、前記金属元素の硝酸塩、酢酸塩、塩酸塩、炭酸塩、硫酸塩などが挙げられる。
酸化チタン系複合粒子の分散液の溶媒置換
上記で得られた酸化チタン系複合粒子の水分散液は必要に応じて溶媒置換装置に供して、該水分散液中に含まれる水分を有機溶媒で溶媒置換することができる。
前記溶媒置換装置としては、ロータリーエバポレーターまたは限外濾過膜またはその他の公知のものを使用することができる。この際、前記水分を完全に除去できない場合があるが溶媒中に水と有機溶媒とが混在していてもかまわない。
前記溶媒置換工程において、得られる酸化チタン系複合粒子分散液の固形分濃度が1〜40重量%となるように前記溶媒置換装置に前記有機溶媒を加えることが望ましい。
また有機溶媒又は樹脂が分散した溶液に分散させる場合の前記酸化チタン系複合粒子の凝集を防ぐため、必要に応じて表面処理剤を用いて前記酸化チタン系複合粒子表面に疎水化処理を行ってもよい。
この表面疎水化処理は表面処理剤を分散液に添加して必要に応じて加熱または水熱処理を行う工程であり、前記溶媒置換操作前に行っても、溶媒置換と同時または溶媒置換後に行っても良い。また、この際、必要に応じてアンモニア等の触媒を使用してもよい。
前記表面改質剤としては、テトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムなどのアルコキシド化合物、シランカップリング剤またはチタンカップリング剤などのカップリング剤、ノニオン系またはカチオン系またはアニオン系などの低分子または高分子界面活性剤、脂肪酸の金属塩またはナフテン酸の金属塩などの金属石鹸塩などの公知のものを使用することができる。
このようにして得られた酸化チタン系複合粒子の水分散液および/または有機溶媒分散液を被膜形成用塗布液に用いる方法、または樹脂組成物に配合する方法としては適時従来公知の方法を用いることができる。
[測定方法]
本発明の実施例その他で使用された評価方法および測定方法を以下に示す。
[1]酸化チタン系複合粒子の屈折率
(1)酸化チタン系複合粒子のメタノール分散液またはエチレングリコール分散液をエバポレーターに供して分散媒を蒸発させたのち、120℃で乾燥させて粉末とした。
(2)次いで、屈折率が既知の標準屈折率2、3滴をガラス基板上に滴下し、これに前記酸化チタン系複合粒子の乾燥粉末を混合して混合液を調製する。
上記(2)の操作を様々の屈折率の標準屈折率液を用いて行い、前記混合液が透明になったときの標準屈折率液の屈折率を酸化チタン系複合粒子の粒子屈折率とした。
[2] 酸化チタン系複合粒子の耐光性評価
陽イオン交換樹脂により脱イオン交換した、固形分濃度20重量%の酸化チタン系複合粒子のメタノール分散液またはエチレングリコール分散液0.90gに、純水11.2gおよびメタノール5.9gを混合して固形分濃度1.0重量%の試料18.0gを調製し、これを長さ1mm、幅1cm、高さ5cmの石英セルに入れて密封した後、I線(波長365nm)の波長域が選択された紫外線ランプ(AS ONE製SLUV−6)を用いて、前記石英セルに照射距離5.5cmから照射強度0.4mW/cm2(波長365nm換算)で60分、紫外線を照射する。暴露中の前記試料の変色について以下の基準で目視による外観評価を行った。
○:60分で青変色がないもの
△:30分以上〜60分未満で青変色が始まる
×:30分未満で青変色が始まる
[3] 酸化チタン系複合粒子の光触媒活性抑制効果の評価
酸化チタン系複合粒子のメタノール分散液またはエチレングリコール分散液(固形分含有量20重量%)0.66gに純水9.34gを混合して調製した、固形分重量6.6重量%の試料0.33gに、固形分含有量0.02重量%のサンセットイエロー染料のグリセリン溶液9.70gを混合する。次いで、これを長さ1mm、幅1cm、高さ5cmの石英セルに入れる。次に、I線(波長365nm)の波長域が選択された紫外線ランプ(AS ONE製SLUV−6)を用いて、前記石英セルに照射距離5.5cmから照射強度0.4mW/cm2(波長365nm換算)で3時間、紫外線を照射する。一方、紫外線照射前後において、前記試料の波長490nmにおけるそれぞれの吸光度(A0とA3)を紫外可視光分光光度計(JASCO製、V−550)にて測定し、以下の式から染料の退色変化率を算出する。
退色変化率(%)=A3/A0×100
さらに、以下の基準に基づき粒子の光触媒活性を評価する。ここで退色変化率が低い粒子ほど、光触媒活性が抑制されていることを意味する。
○:退色変化率が20%未満
△:退色変化率が20%以上50%未満
×:退色変化率が50%以上
[4]酸化チタン系複合粒子の耐候性評価
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製、Z−6040)276.1重量部およびメタノール138.1重量部を入れた反応容器の温度を10℃に保持し、攪拌しながら0.01NのHCl水溶液64.2重量部を除々に滴下した。さらに、この混合液を一昼夜攪拌してγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加水分解してマトリックス形成成分を得た。
このマトリックス形成成分を含む液に固形分濃度20重量%の酸化チタン系複合粒子のメタノール分散液を1173.4重量部加え、さらにアルミニウムアセチルアセトナート(東京化成工業(株)製)10.03重量部およびレベリング剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L-7001)1.4重量部を添加して液を一昼夜攪拌して充分に混合し、ハードコート膜形成用塗布液を得た。
次いで、樹脂製レンズ基材(三井化学(株)社製:MR−7 屈折率1.67)を、47℃の13%NaOH水溶液中に数分間浸漬した後、充分に水洗した。
次いでこの基材を、前記塗布液中に浸漬した後に引上げ速度250mm/分で引上げ、90℃で10分間乾燥し、110℃で2時間加熱硬化してハードコート膜を形成した。
得られたハードコート膜付基材をキセノンウェザーメーター(スガ試験機(株)製、X−75)を用いて、100時間の曝露加速試験を行った後に、密着性の試験を行う。密着性試験は、暴露前にあらかじめ基材の表面にナイフで縦横それぞれ1mmの間隔で11本の平行な傷を付けて100個の升目を作り、曝露加速試験を行った後これにセロファンテープを接着し、次いでセロファンテープを剥離したときに被膜が剥離せず残存している升目の多少により膜密着性を評価した。評価基準は以下の通りである。
○:残存する升目の数が100/100〜71/100
△:残存する升目の数が70/100〜31/100
×:残存する升目の数が30/100〜0/100
[5]酸化チタン系複合粒子の耐酸安定性評価
酸化チタン系複合粒子のメタノール分散液またはエチレングリコール分散液(固形分濃度20重量%)50mlを計量し、固形分濃度が1重量%になるようにメタノールで希釈する。得られた溶液を透明なスクリュー管に入れて、攪拌子を投入し、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら12%濃度の塩酸を0.1g添加する。添加直後から、1時間、および1日室温で室内に放置したときの透過率を下記 [6]の方法で測定し、以下の基準により評価した。
○:透過率60%以上
△:透過率30%以上60%未満
×:透過率30%未満
[6]酸化チタン系複合粒子の透過率評価
酸化チタン系複合粒子のメタノール分散液またはエチレングリコール分散液(固形分濃度20重量%)を、固形分濃度5重量%となるように純水で希釈したのち、厚さ10mmの石英セルに入れ、透過率測定装置(日本分光(株)製:V−550、波長550nm)により透過率を測定した。
[7]平均粒子径測定方法
動的光散乱法による微粒子粒度測定装置(Honeywell社製、マイクロトラックUPA)を用いて、固形分濃度が20重量%の粒子の水分散液、またはメタノール分散液、またはエチレングリコール分散液7.0gを採取して粒子径分布を測定した。粒子形状は球状とし、粒子屈折率と粒子密度はそれぞれの粒子の固有値を用い、溶液の屈折率は溶剤の理論屈折率を使用した。得られた粒度分布測定結果における個数頻度50%の粒子径値を粒子の平均粒子径とした。
[8]酸化チタン系複合粒子の比表面積
酸化チタン系複合粒子の水分散液の乾燥粉体を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、温度300℃で2時間乾燥後、デシケーターに入れて、室温まで冷却する。次に測定用試料を1g採取し、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、比表面積(m2/g)をBET法にて測定した。
[9]核粒子のチタニウム含有量の測定方法
核粒子の水分散液をジルコニアボールに採取し、乾燥、焼成した後、Na2OとNaOHを加えて溶融した。さらに、H2SO4とHClで溶解し、純水で希釈した後、ICP装置(島津製作所(株)製、ICPS−8100)を用いて、チタニウムの含有量をTiO2換算基準で測定した。
[10]核粒子の結晶形態
核粒子の水分散液を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、110℃12時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次に、乳鉢にて15分粉砕後、X線回折装置(理学電気(株)製、RINT1400)を用いて結晶形態を測定した。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子(核粒子)の調製
TiO2に換算して濃度が7.75重量%の四塩化チタン(住友チタニウム(株)製)の水溶液92.3kgと、濃度15重量%のアンモニア水35.8kgとを混合して中和したのち、純水によって洗浄し、53.8kgの含水チタン酸ケーキを得た。
次いで、この含水チタン酸ケーキ5.62kgに、過酸化水素水(過酸化水素濃度35重量%、三菱瓦斯化学(株)製)6.2kgと、水13.6kgとを加えた後、80℃で5時間加熱し、TiO2濃度が2.0重量%の過酸化チタン酸水溶液25.3kgを得た。なお、この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.1であった。
次に、動的光散乱法により測定した平均粒子径が10nmのシリカ微粒子が水に分散してなるシリカゾル(SiO2濃度が15重量%のシリカゾル、日揮触媒化成(株)製)770gと、前記過酸化チタン酸水溶液23.1kgおよび純水28.0kgとを混合し、オートクレーブ((株)菱化製作所製))中で170℃、20時間加熱した。その結果、チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子(核粒子)の水分散液を得た。
次いで、得られた核粒子の水分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子(核粒子)の水分散液5.4kgを調製した。
この水分散液の外観は透明な淡青白色であり、また該分散液中に含まれるチタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子(核粒子)の動的光散乱法により測定された平均粒子径は11nmであった。また、チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子(核粒子)のエックス線回折法により測定したところ、その結晶構造は、アナターゼ型であった。
また上記で得られたチタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子(核粒子)の水分散液5.0kgに含まれるチタニウムの含有量はTiO2換算基準で410g(5.13モル)であった。
アミノ基含有複合体の被覆方法
上記で得られたチタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子(核粒子)の水分散液5.0kgに5.0kgの純水を混合し、1%NaOH水溶液でpH10.5に調整し、80℃に加温した。この溶液を攪拌しながら、SiO2換算基準で1.5重量%のケイ酸ナトリウム水溶液250gと2.2重量%濃度のγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(分子量221.4)水溶液250g(γ-アミノプロピルトリエトキシシラン:0.025モル)、Al23換算基準で0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液500gとを、それぞれ30分かけて(一定速度で)同時に少しずつ連続的に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは、添加直後、12.7に上昇し、その後殆ど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜装置を用いて、液面を保持して、連続的に純水を添加して、pH10となった時点で濃縮し、アミノ基含有複合体で被覆された、核粒子の水分散液(固形分濃度10重量%)を得た。
シリカ系酸化物の被覆方法
<ケイ酸液の調製>
市販の水ガラス(3号水硝子、AGCエスアイテック(株)製)1.7kgを純水で希釈したのち、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を用いて、脱アルカリし、SiO2濃度が2重量%のケイ酸液22.9kgを調製した。なお、このケイ酸水溶液のpHは、2.3であった。
<酸化チタン系複合粒子の調製>
上記で調製したアミノ基含有複合体で被覆された核粒子の水分散液5.0kgに、純水20.0kgと5%NaOH水溶液16gを加えて固形分濃度を2重量%に調整し、温度90℃に加熱した。これに前記ケイ酸液(SiO2濃度2重量%)3.13kg(酸化チタン系複合粒子の固形分重量100gに対する被覆量はSiO2換算基準で11.1g)を添加し、混合溶液を調製した。
次いで、前記混合溶液をオートクレーブに入れて、温度170℃で18時間、加熱処理を行った。その結果、核粒子をアミノ基含有複合体で被覆した上から、更にシリカ系酸化物を被覆した酸化チタン系複合粒子の水分散液を得た。
次いで、得られた酸化チタン系複合粒子の水分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%の酸化チタン系複合粒子の水分散液5.8kgを調製した。この水分散液の外観は淡青白色であり、また、該水分散液中に分散した酸化チタン系複合粒子の動的光散乱法により測定された平均粒子径は13nmであり、BET法により測定した比表面積は200m2/gであった。
前記酸化チタン系複合粒子の水分散液3.0kgに、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)75.0gを加えて撹拌したのち、陽イオン交換樹脂を分離除去して、陽イオン交換処理された酸化チタン系複合粒子の水分散液(固形分濃度10重量%)を得た。
次に、得られた酸化チタン系複合粒子の水分散液を、室温まで冷却した。次いで、この水分散液2.4kgにメタノール2.4kgを混合し、表面改質剤としてテトラエトキシシラン180gを添加後、60℃の温度を保持しながら2時間加温した。そして、限外濾過装置を用いて、分散媒を水からメタノールに置換し、固形分濃度が20重量%の酸化チタン系複合粒子がメタノールに分散してなる酸化チタン系複合粒子のメタノール分散液1.4kgを調製した。この液状組成物の外観は、透明な淡青白色であり、該メタノール分散液に含まれる酸化チタン系複合粒子の平均粒子径は13nmであった。
前記チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記アミノ基含有複合体に含まれるアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)は0.0048であった。
実施例1に示すアミノ基含有複合体の被覆工程において、用いたγ-アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液の濃度を2.2%から4.4%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、酸化チタン系複合粒子の水分散液およびメタノール分散液を調製した。また、この酸化チタン系複合粒子の動的光散乱法により測定した平均粒子径は13nmであり、BET法により測定した比表面積は210m2/gであった。
前記チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記アミノ基含有複合体に含まれるアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)は0.0096であった。
実施例1に示すアミノ基含有複合体の被覆工程において、用いたγ-アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液の濃度を2.2%から6.6%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、酸化チタン系複合粒子の水分散液およびメタノール分散液を調製した。また、この酸化チタン系複合粒子の動的光散乱法により測定した平均粒子径は13nmであり、BET法により測定した比表面積は220m2/gであった。
前記チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記アミノ基含有複合体に含まれるアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)は0.0144であった。
実施例1に示すアミノ基含有複合体の被覆工程において、用いたγ-アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液の濃度を2.2%から6.6%に変更し、シリカ系酸化物の被覆工程で用いたケイ酸液(2重量%濃度)を3.13kgから2.0kgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、酸化チタン系複合粒子の水分散液およびメタノール分散液を調製した。また、この酸化チタン系複合粒子の動的光散乱法により測定した平均粒子径は13nmであり、BET法により測定した比表面積は231m2/gであった。
前記チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記アミノ基含有複合体に含まれるアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)は0.0144であった。
実施例1のアミノ基含有複合体の被覆工程において、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液の濃度を2.2%から6.6%に変更し、Al23換算基準で0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液500を用いるかわりにZrO2換算基準で0.9重量%の炭酸ジルコニルアンモニウム{(NH42ZrO(CO3)2}水溶液515gとした以外は実施例1と同様の方法で、酸化チタン系複合粒子の水分散液(固形分濃度10重量%)およびメタノール分散液を得た。
前記チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記アミノ基含有複合体に含まれるアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)は0.0144であった。
実施例1のアミノ基含有複合体の被覆工程において、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液の濃度を2.2%から6.6%に変更した以外は実施例1と同様の方法で酸化チタン系複合粒子の水分散液(固形分濃度10重量%)を得た。
次いで、前記酸化チタン系複合粒子の水分散液3.0kgにエチレングリコール2.2kgを添加し、ロータリーエバポレーターを用いて、分散媒を水からエチレングリコールに置換し、固形分濃度が12重量%の、酸化チタン系複合粒子がエチレングリコールに分散してなるエチレングリコール分散液2.5kgを調製した。この液状組成物の外観は、透明な淡青白色であり、また該エチレングリコール分散液中に含まれる酸化チタン系複合粒子の平均粒子径は13nmであった。
また、前記チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記アミノ基含有複合体に含まれるアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)は0.0144であった。
チタニウムとケイ素およびスズを含む複合酸化物微粒子(核粒子)の調製
四塩化チタン(大阪チタニウムテクノロジーズ(株)製)をTiO2換算基準で7.75重量%含む四塩化チタン水溶液93.7kgと、アンモニアを15重量%含むアンモニア水(宇部興産(株)製)36.3kgとを混合し、pH9.5の白色スラリー液を調製した。
次いで、このスラリーを濾過した後、純水(日揮触媒化成(株)製)で洗浄して、固形分含有量が10重量%の含水チタン酸ケーキ72.6kgを得た。
次に、このケーキに、過酸化水素を35重量%含む過酸化水素水(三菱瓦斯化学(株)製)83.0kgと純水411.4kgとを加えた後、80℃の温度で1時間、攪拌下で加熱し、さらに純水159kgを加えて、過酸化チタン酸をTiO2換算基準で1重量%含む過酸化チタン酸水溶液を726kg得た。この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.5であった。
次いで、前記過酸化チタン酸水溶液72.9kgに陽イオン交換樹脂3.5kgを混合して、これに、スズ酸カリウム(昭和化工(株)製)をSnO2換算基準で1重量%含むスズ酸カリウム水溶液9.11kgを攪拌下で徐々に添加した。
次に、カリウムイオンなどを取り込んだ陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を分離した後、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を15重量%含むシリカゾル(日揮触媒化成(株)製)1.2kgと純水18.0kgとを混合して、オートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、120L)中で165℃の温度で18時間、加熱することによって、チタニウムとケイ素およびスズを含む複合酸化物微粒子の水分散液を得た。
次に、得られた前記水分散液を室温まで冷却した後、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、ACV−3010)で濃縮して、固形分含有量が10重量%の水分散液10.0kgを得た。
このようにして得られた水分散液中に含まれるチタニウムとケイ素およびスズを含む複合酸化物微粒子の結晶形態を上記の方法で測定したところ、ルチル型の結晶構造を有する複合酸化物微粒子であった。
上記の水分散液の外観は透明な淡青白色であり、また該分散液中に含まれるチタニウムとケイ素およびスズを含む複合酸化物微粒子の平均粒子径は16nmであった。
また上記で得られた複合酸化物微粒子の水分散液1kgに含まれるチタニウムの含有量は73.7g(0.922モル)であった。
次いで、実施例1で調製したチタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子の水分散液5.0kgのかわりに、上記で調製したチタニウムとケイ素およびスズを含む複合酸化物微粒子の水分散液5.0kgを用いた以外は実施例1に記載されたアミノ基含有複合体の被覆方法と同様の方法で、チタニウムとケイ素およびスズを含む複合酸化物微粒子の表面をシリカとアルミニウムを含むアミノ基含有複合体で被覆した。
次いで、以下の方法で前記アミノ基含有複合体の表面に更にシリカ系複合酸化物を被覆した。
シリカ系複合酸化物の被覆方法
<過酸化ジルコン酸水溶液の調製>
オキシ塩化ジルコニウム(太陽鉱工(株)製)5.6kgを純水10.0kgに溶解させて、ZrO2濃度が2.0重量%のオキシ塩化ジルコニウム水溶液を調製した。このオキシ塩化ジルコニウム水溶液にアンモニア水溶液(濃度15重量%)を添加し、加水分解させことにより、pH8.5のスラリーを得た。
このスラリーを濾過することにより洗浄し、ZrO2濃度が10.0重量%のケーキを得た。そして、このケーキ1.4kgに純水3.6kgを加え、さらにKOH純度86重量%の水酸化カリウム(関東化学(株)製)0.27kgを加えてアルカリ性とし、これに過酸化水素水10.6kg(H22濃度35重量%)を加えて、温度50℃で加熱することにより溶解させて、ZrO2としての濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液7.2kgを調製した。
<酸化チタン系複合粒子の調製>
上記で調製したケイ素とアルミニウムを含むアミノ基含有複合体で被覆された核粒子の水分散液5.0kgに、純水20.0kgを加えて固形分濃度を2重量%に調整し、温度90℃に加熱した。これに上記で調製した過酸化ジルコン酸水溶液(ZrO2濃度2重量%)1.70kgと、実施例1に記載の方法で調製したケイ酸液(SiO2濃度2重量%)1.33kgを添加し、混合溶液を90℃で1時間加温した。
次いで、前記混合溶液をオートクレーブに入れて、温度170℃で18時間、加熱処理を行った。その結果、核粒子をアミノ基含有複合体で被覆した上から、更にケイ素とジルコニウムとを含有するシリカ系複合酸化物を被覆した酸化チタン系複合粒子の水分散液を得た。
次いで、得られた酸化チタン系複合粒子の水分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%の酸化チタン系複合粒子の水分散液5.8kgを調製した。この水分散液の外観は淡青白色であり、また、該水分散液中に分散した酸化チタン系複合粒子の動的光散乱法により測定された平均粒子径は17nmであり、BET法により測定した比表面積は200m2/gであった。
次いで、得られた酸化チタン系複合粒子の水分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%の酸化チタン系複合粒子の水分散液を調製した。
前記酸化チタン系複合粒子の水分散液3.0kgに、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)75.0gを加えて撹拌したのち、陽イオン交換樹脂を分離除去して、陽イオン交換処理された酸化チタン系複合粒子の水分散液(固形分濃度10重量%)を得た。
次に、得られた酸化チタン系複合粒子の水分散液を、室温まで冷却した。次いで、この水分散液2.4kgにメタノール2.4kgを混合し、表面改質剤としてテトラエトキシシラン180gを添加後、60℃の温度を保持しながら攪拌下で2時間加温した。そして、限外濾過装置を用いて、分散媒を水からメタノールに置換し、固形分濃度が20重量%の酸化チタン系複合粒子がメタノールに分散してなる酸化チタン系複合粒子のメタノール分散液1.4kgを調製した。この液状組成物の外観は、透明な淡青白色であり、該メタノール分散液に含まれる酸化チタン系複合粒子の平均粒子径は17nmであった。
前記チタニウムとケイ素およびスズを含む複合酸化物微粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記アミノ基含有複合体に含まれるアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)は0.0054であった。
また、この酸化チタン系複合粒子の動的光散乱法により測定した平均粒子径は17nmであり、BET法により測定した比表面積は221m2/gであった。
実施例7で調製した過酸化ジルコン酸水溶液(ZrO2濃度2重量%)1.70kgを0.5kgに、ケイ酸液(SiO2濃度2重量%)1.33kgを1.50kgに変更した以外は、実施例7に記載の方法と同様にしてチタニウムとケイ素とスズを含む複合酸化物微粒子をケイ素とアルミニウムを含むアミノ基含有複合体で被覆した上から更にケイ素とジルコニウムを含むシリカ系複合酸化物で被覆した酸化チタン系複合粒子の水分散液およびメタノール分散液を調製した。
この酸化チタン系複合粒子の水分散液中に分散した酸化チタン系複合粒子の動的光散乱法により測定された平均粒子径は17nmであり、BET法により測定した比表面積は225m2/gであった。
前記チタニウムとケイ素およびスズを含む複合酸化物微粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記酸化チタン系複合粒子に含まれるアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)は0.0054であった。
実施例1に示すアミノ基含有複合体の被覆工程において、2.2%濃度のγ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液250gのかわりに6.6%濃度のN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランの分子量222)250gを用いた以外は実施例1と同様の方法で酸化チタン系複合粒子の水分散液およびメタノール分散液を調製した。また、この酸化チタン系複合粒子の動的光散乱法により測定した平均粒子径は13nmであり、BET法により測定した比表面積は223m2/gであった。
前記チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記アミノ基含有複合体に含まれるアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)は0.0144であった。
比較例1
実施例1で調製したチタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子の水分散液(固形分濃度10重量%)2.4kgに、メタノール2.4kgを混合し、表面改質剤としてテトラエトキシシラン180gを添加したのち、60℃の温度に保持しながら2時間加温した。
そして、限外濾過膜装置を用いて、分散媒を水からメタノールに置換し、固形分濃度が20重量%の、核粒子のメタノール分散液を得た。この分散液の外観は透明な淡青白色であり、該メタノールに含まれるチタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子の平均粒子径は13nmであった。
比較例2
実施例1で調製したチタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子の水分散液5.0kgに、純水20.0kgを加えて固形分濃度を2.0重量%に調整し、90℃の温度に加熱した。
これに実施例1で調製したケイ酸液(SiO2濃度2.0重量%)3.13kgを添加し、混合溶液を調製した。
次いで、前記混合溶液をオートクレーブに入れて、温度170℃で18時間、加熱処理を行った。その結果、チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子の表面を、シリカ系酸化物で被覆してなる無機酸化物粒子の水分散液を得た。次いで、得られた水分散液を限外濾過膜装置で濃縮して固形分濃度が10重量%の無機酸化物粒子の水分散液を得た。次いでこの水分散液2.4kgにメタノール2.4kgを混合し、表面改質剤としてテトラエトキシシラン180gを添加したのち、60℃の温度を保持しながら2時間加温した。
そして、限外濾過膜装置を用いて、分散媒を水からメタノールに置換し、固形分濃度が20重量%の、無機酸化物粒子のメタノール分散液を得た。この分散液の外観は透明な淡青白色であり、該メタノールに含まれる無機酸化物粒子の平均粒子径は13nmであった。
比較例3
実施例1で調製したチタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子の水分散液(固形分濃度10重量%)5.0kgを陽イオン交換樹脂を用いて脱イオン処理したのち、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン5.5gを溶解したメタノール溶液244.5gに添加した後、50℃の温度で3時間加熱した。
次に、この水分散液を室温まで冷却してから、限外濾過膜装置を用いて分散媒を水からメタノールに置換した。
さらに、得られたメタノール分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子をγ-アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理した表面処理粒子のメタノール分散液3.0kg(固形分濃度10重量%)を調製した。
前記チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記表面処理に使用したアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)は0.0048であった。
比較例4
実施例1に記載の方法で調製したチタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子(核粒子)の水分散液5.0kg(TiO2として5.13モルのチタニウムを含む)に5.0kgの純水を混合し、1%NaOH水溶液でpH10.5に調整し、80℃に加温した。この溶液を攪拌しながら、SiO2換算基準で1.5重量%のケイ酸ナトリウム水溶液250gとAl23換算基準で0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液500gとを30分かけて同時に少しずつ連続的に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは、添加直後、12.7に上昇し、その後殆ど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜装置を用いて、液面を保持して、連続的に純水を添加して、pH10となった時点で濃縮し、ケイ素とアルミニウムを含む複合酸化物で被覆された核粒子の水分散液(固形分濃度10重量%)を得た。
このケイ素とアルミニウムを含む複合酸化物で被覆された核粒子の水分散液(固形分濃度10重量%)5.0kgに、純水20.0kgを加えて固形分濃度を2重量%に調整し、温度90℃に加熱した。これに、実施例6で調製した過酸化ジルコン酸水溶液(ZrO2濃度2重量%)0.5kgと、実施例1で調製したケイ酸液(SiO2濃度2重量%)1.5kgを添加し、混合溶液を調製した。次いで、前記混合溶液をオートクレーブに入れて、温度170℃で18時間、加熱処理を行った。その結果、チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子(核粒子)の表面を、アルミニウムとケイ素を含む複合酸化物で被覆し、更にその上からケイ素とジルコニウムを含有するシリカ系複合酸化物で被覆してなる無機酸化物粒子の水分散液を得た。次いで、得られた無機酸化物粒子の水分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%の無機酸化物粒子の水分散液5.4kgを調製した。この水分散液の外観は淡青白色であり、該水分散液中に分散した無機酸化物粒子の動的光散乱法により測定した平均粒子径は13nmであり、BET法により測定した比表面積は200m2/gであった。
上記で得られた無機酸化物粒子の水分散液3.0kg(TiO2換算基準で225g、すなわち2.82モルのチタニウムを含む)に、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)75.0gを加えて攪拌したのち、陽イオン交換樹脂を分離除去して、陽イオン交換処理された前記無機酸化物粒子の水分散液を得た。この溶液3.0kgに、2.2%濃度のγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(分子量221.4)水溶液150g(γ-アミノプロピルトリエトキシシラン:0.015モル)を添加した後50℃の温度で3時間加熱した。
次に、この水分散液を室温まで冷却してから、限外濾過膜装置を用いて分散媒を水からメタノールに置換した。
さらに、得られたメタノール分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子(核粒子)をケイ素とアルミニウムとを含む複合酸化物で被覆し、さらにその表面をケイ素とジルコニウムを含む複合酸化物で被覆した無機酸化物粒子をγ-アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理した表面処理無機酸化物粒子のメタノ−ル分散液1.4kg(固形分濃度20重量%)を調製した。該メタノール分散液に含まれる表面修飾無機酸化物粒子の平均粒子径は13nmであった。
前記チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記表面処理に使用したアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)は0.0053であった。
比較例5
実施例1に示すアミノ基含有複合体の被覆工程において、用いたγ−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液の濃度を2.2%から6.6%に変更した以外は、実施例1と同様の方法でアミノ基含有複合体で被覆された核粒子の水分散液(固形分濃度10重量%)を得た。
次いで、この水分散液2.4kgにメタノール2.4kgを混合し、表面改質剤としてテトラエトキシシラン180gを添加したのち、60℃の温度を保持しながら2時間加温した。そして、限外濾過膜装置を用いて、分散媒を水からメタノールに置換し、固形分濃度が20重量%の、アミノ基含有複合体で被覆された核粒子のメタノール分散液を得た。この分散液の外観は透明な淡青白色であり、該メタノールに含まれるアミノ基含有複合体で被覆された核粒子の平均粒子径は17nmであった。
比較例6
実施例1に示すアミノ基含有複合体の被覆工程において、用いたγ-アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液の濃度を2.2%から42%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、酸化チタン系複合粒子の水分散液およびメタノール分散液を調製した。また、この酸化チタン系複合粒子の動的光散乱法により測定した平均粒子径は13nmであり、BET法により測定した比表面積は215m2/gであった。
チタニウムとケイ素を含む複合酸化物微粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記アミノ基含有複合体に含まれるアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)は0.09であった。
比較例7
実施例1のアミノ基含有複合体の被覆方法の工程において、SiO2換算基準で1.5重量%のケイ酸ナトリウム水溶液250gと2.2%濃度のγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(分子量221.4)水溶液250g(γ-アミノプロピルトリエトキシシラン:0.025モル)、Al23換算基準で0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液500gとを2分かけて一定速度で同時に添加したところ、混合溶液がゲル化した。
このようにして得られた実施例1〜9および比較例1〜6の粒子の水分散液、メタノール分散液またはエチレングリコール分散液について、上記の評価試験法を用いて、屈折率、耐光性、光触媒活性抑制効果、耐候性、耐酸安定性、透過率を評価した。その結果を表1に示す。ただし、実施例6の酸化チタン系複合粒子のエチレングリコール分散液については、耐候性評価は行っていない。また、比較例7については、分散液がゲル化したため評価は行わなかった。なお、表1において、TE0Sはテトラエトキシシラン、γ-APTSはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−AEγはN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランを意味する。

Figure 0005258447

Claims (12)

  1. チタニウムの酸化物微粒子、またはチタニウムと、ケイ素および/またはスズとを含む複合酸化物微粒子からなる核粒子の表面を、少なくとも、アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液と、ケイ酸液またはケイ酸塩の水溶液と、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウムおよびイットリウムより選ばれた1種または2種以上の金属元素の塩を溶解させた水溶液とを同時に添加して重縮合させて得られるアミノ基含有複合体で被覆し、さらにその表面をシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物で被覆してなり、前記核粒子に含まれるチタニウムのモル数をAで表し、前記アミノ基含有複合体に含まれるアミノ基のモル数をBで表したとき、そのモル比(B/A)が0.001〜0.04の範囲にあることを特徴とする酸化チタン系複合粒子の分散液。
  2. 記モル比(B/A)が0.004〜0.020の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の酸化チタン系複合粒子の分散液。
  3. 前記アミノ基を有する金属アルコキシドが、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランより選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸化チタン系複合粒子の分散液。
  4. 前記酸化チタン系複合粒子の平均粒子径が、動的光散乱法で測定されるとき、3〜80nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化チタン系複合粒子の分散液。
  5. (1)チタニウムの酸化物微粒子、またはチタニウムと、ケイ素および/またはスズとからなる複合酸化物微粒子からなる核粒子が分散した水分散液を加熱しながら、
    (A)アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液、
    (B)ケイ酸液またはケイ酸塩の水溶液、および
    (C)アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウムおよびイットリウムより選ばれた1種または2種以上の金属元素の塩を溶解させた水溶液
    とを、前記水分散液にそれぞれ同時に添加して得られる重縮合物からなるアミノ基含有複合体を前記核粒子の表面に被覆する工程、および
    (2)前記工程(1)より得られた水分散液を加熱しながら、
    (D)ケイ酸液、または
    (E)ケイ酸液と、ジルコニウム、アンチモン、タングステン、スズ、アルミニウム、ニオブ、セリウムおよび亜鉛より選ばれた1種または2種以上の金属元素の水酸化物、過酸化物、アルコキシドおよび/または無機塩の水溶液
    を添加したのち、加熱することにより、前記アミノ基含有複合体で被覆した粒子の表面にさらにシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物を被覆させる工程
    を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸化チタン系複合粒子の分散液の製造方法。
  6. さらに、前記工程(2)より得られた水分散液を有機溶媒で溶媒置換する工程
    を含むことを特徴とする請求項5に記載の酸化チタン系複合粒子の分散液の製造方法。
  7. 前記工程(1)において、前記核粒子の水分散液の加熱温度が60〜210℃の範囲にあることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の酸化チタン系複合粒子の分散液の製造方法。
  8. 前記工程(1)において、前記成分(A)、(B)、および(C)の水溶液をそれぞれ同時に添加する時の分散液のpHが、7〜12の範囲にあるように調整することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の酸化チタン系複合粒子の分散液の製造方法。
  9. 前記工程(1)において、前記成分(A)の水溶液の添加速度が、該水溶液中に含まれる金属アルコキシドの保有するアミノ基のモル基準で0.005〜0.2モル/Hrの範囲にあることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の酸化チタン系複合粒子の分散液の製造方法。
  10. 前記工程(1)において、前記成分(B)の水溶液の添加速度が、該水溶液中に含まれるケイ酸またはケイ酸塩の保有するケイ素のモル基準で0.012〜0.5モル/Hrの範囲にあることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の酸化チタン系複合粒子の分散液の製造方法。
  11. 前記工程(1)において、前記成分(C)の水溶液の添加速度が、該水溶液中に含まれる金属塩の保有する金属元素のモル基準で0.005〜0.2モル/Hrの範囲にあることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の酸化チタン系複合粒子の分散液の製造方法。
  12. 前記工程(1)において、前記アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解物を含む水溶液の濃度が0.2〜20重量%の範囲にあり、前記ケイ酸液またはケイ酸塩の水溶液の濃度がSiO2換算基準で0.5〜6重量%の範囲にあり、しかも前記アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、セリウム、スズ、ランタン、マグネシウム、カルシウムおよびイットリウムより選ばれた1種または2種以上の金属元素の塩を溶解させた水溶液の濃度が酸化物換算基準で0.01〜5重量%の範囲にあることを特徴とする請求項5〜11のいずれかに記載の酸化チタン系複合粒子の分散液の製造方法。
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