JP2018053037A - 樹脂成形品、及び、ビーズ発泡体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料樹脂のガラス転移温度をTg0、ビーズ発泡体のガラス転移温度をTg1とした際に、「0<(Tg0−Tg1)≦40℃」という関係を満たす樹脂成形品を提供する。
【選択図】 図1
Description
該ビーズ発泡体は、それ自体が魚箱等の樹脂成形品として利用される以外に他の部材とともに樹脂成形品の形成材料として利用されている。
例えば、板状のビーズ発泡体は、紙やプラスチック製の表装シートでサンドイッチされて断熱材などの樹脂成形品として広く利用されている。
例えば、ビーズ発泡体は、通常、成形型に設けられた蒸気流通用の孔に樹脂が入り込んでできた微小突起が表面に数多く形成されているが、これらのために表装シートなどが綺麗に貼り付けられない場合があり、表面を平坦化することが求められる場合がある。
また、ビーズ発泡体は、原料となる予備発泡粒子の大きさなどの関係から微細な部分形状を付与することが難しく、そのような部分形状が必要な場合は後加工が必要になる。
しかしながらビーズ発泡体を高いガラス転移温度(例えば、180℃以上)を有する樹脂で形成するとその一部を熱変形可能な温度に加熱することが難しくなって追加的な形状変更が難しくなる。
また、追加的な形状変更が不要な場合でも、高いガラス転移温度を有する樹脂を用いた樹脂成形品は、高温環境下で使用される際に熱歪みが生じて当初の形状を維持できないことがある。
本発明は、このような問題を解決することを課題としており、高いガラス転移温度を有する樹脂で形成されたビーズ発泡体で一部又は全部が構成されながらも所望の形状を発揮させることが容易な樹脂成形品を提供することを課題としている。
また、本発明者は、樹脂のガラス転移温度に対するビーズ発泡体のガラス転移温度を一定以上に保つことでビーズ発泡体の熱歪みを抑制し得ることを見出した。
0 < (Tg0−Tg1) ≦ 40℃ ・・・(1)
0 < (Tg0−Tg1) ≦ 40℃ ・・・(1)
以下においては、樹脂成形品の具体例として、ビーズ発泡体と、該ビーズ発泡体の一部又は全部を覆う繊維強化樹脂材とを備えた樹脂複合体を主たる例として本発明の実施の形態を説明する。
図に示すように、本実施形態の樹脂複合体Aは、逆四角錐台(逆切頭四角錐)形状を有し、その上面側には逆四角錐台形状の凹入部Aaが形成されている。
言い換えると、本実施形態の樹脂複合体Aは、凹入部Aaの底部たる平面視矩形の部位を底面部とする角型トレー形状を有しており、前記底面部の外周縁から外広がりに立ち上がる矩形枠状の周側壁部を備えた形状を有している。
なお、以下においては、図1における横方向(矢印Xの方向)を“横方向”、“幅方向”、又は、“左右方向”と称し、奥行き方向(矢印Yの方向)を“縦方向”、“長さ方向”、又は、“前後方向”と称する場合がある。
また、以下においては、この横方向Xと奥行き方向Yとに平行する平面に沿った方向を“水平方向”と称し、前記平面に対して直交する方向(矢印Zの方向)を“厚み方向”、“上下方向”、“高さ方向”又は“垂直方向”などと称する場合がある。
より詳しくは、前記ビーズ発泡体A11は、非発泡状態の樹脂粒子(以下「原粒」ともいう)に発泡剤を含有させて発泡性樹脂粒子を調製し、該発泡性樹脂粒子を一旦発泡させて予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を使ってビーズ発泡されたものである。
即ち、前記原粒を出発材料とした前記予備発泡粒子、並びに、前記ビーズ発泡体A11は、ガラス転移温度が180℃以上の樹脂を含む樹脂組成物によって構成されたものである。
また、本実施形態におけるビーズ発泡体A11は、後述するように予備発泡粒子が含有する発泡剤をビーズ成形時に全て消費させないようにして作製されたものであり、ガラス転移温度が180℃以上の樹脂(以下「高耐熱性樹脂」ともいう)とともに発泡剤を含んだものとなっている。
しかも、本実施形態におけるビーズ発泡体A11は、有機系物理発泡剤を含有するものとなっている。
そして、有機系物理発泡剤は、樹脂膜を構成している高耐熱性樹脂の分子間に存在して分子間力を低減させる。
そのことにより、ビーズ発泡体A11のガラス転移温度を測定した場合、本来であれば高耐熱性樹脂のガラス転移温度と同じ測定結果となるはずが、高耐熱性樹脂のガラス転移温度よりも低い温度となって観察される。
そのため、ビーズ発泡体は、通常、コアベントやキリ孔に侵入した樹脂による微小な突起が表面に数多く形成されている。
さらに、ビーズ発泡体に用いる成形型では、通常、予備発泡粒子の供給口を成形時に閉塞するための蓋体や、成形後のビーズ発泡体を成形型から払い出すためのイジェクトピンの先端部が成形面を構成しているためにビーズ発泡体の表面にはこれらの痕が残った状態となる。
さらに、本実施形態のビーズ発泡体は、発泡剤を含有することで他の追加的な形状付与も容易に実施可能となっている。
また、隙間A11aの幾つかはビーズ発泡体A11の表面において開口した状態になっており、繊維強化樹脂層A2を構成する際に繊維強化樹材の樹脂が入り込み得るものとなっている。
そうすると最終の樹脂成形品である樹脂複合体は、繊維強化樹脂層A2に樹脂不足が生じたり、不要な質量増加を生じたものとなり得る。
従って、ビーズ発泡体A11には、このような隙間を形成させないことが好ましい。
該透気抵抗度は複数個所について実施した平均値(平均透気抵抗度)として求められる。
具体的には、前記ビーズ発泡体の透気抵抗度は、ビーズ発泡体の表層部をスライスした複数のスライス片を使って測定される平均値が10秒以上であることが好ましい。
該平均透気抵抗度は、15秒以上であることがより好ましく、20秒以上であることがさらに好ましい。
ビーズ発泡体の表層部における透気抵抗度が低いということはビーズ発泡体の表面を形成している樹脂膜に薄い部分が形成されていることを意味する。
このような樹脂膜の薄い箇所が存在すると繊維強化樹脂層A2を形成すべく繊維強化樹材をビーズ発泡体の表面に積層した際に樹脂膜に破れが生じ易くなってビーズ発泡体に繊維強化樹材の樹脂が入り込み易くなる。
なお、ビーズ発泡体が、樹脂発泡粒子どうしの熱融着性が低いものである場合、樹脂膜の薄い部分から侵入した繊維強化樹材の樹脂が樹脂発泡粒子どうしの界面を伝って当該ビーズ発泡体のより深くにまで侵入するおそれを有する。
さらにビーズ発泡体が、連続気泡率の高いものであると樹脂膜の薄い部分から侵入した繊維強化樹材の樹脂が樹脂発泡粒子内により多く侵入し易くなる。
そのため、ビーズ発泡体は、透気抵抗度が高いことも重要であるが、さらに熱融着率が高く独立気泡性が高いことが好ましい。
尚、透気抵抗度は、以下のようにして求めることができる。
透気抵抗度は、JIS P8117:2009に準拠して測定する。
まず、ビーズ発泡体の表層をスプリッティングマシン(例えば、フォーチュナ社製「AB−320D」)を用いて最表層から0.8mm以上1mm以下の深さでスライスし、0.8mm〜1mm厚みの試料を用意する。
試料は、50mm×50mmの大きさとし、ビーズ発泡体から少なくとも10枚の試料を採取する。
試料の両面の内、ビーズ発泡体の表面を構成していた面が上になるようにして、ガーレ試験機B型にセットし透気抵抗度を測定する。
そして、同様に計10枚の試料についてそれぞれ透気抵抗度を測定し、算術平均して平均透気抵抗度を求める。
ビーズ発泡体A11の熱融着率は、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
ビーズ発泡体A11の熱融着率は、以下のようにして求めることができる。
ビーズ発泡体の表面にカッターナイフで深さ約2mmの切り込み線を入れた後、この切り込み線に沿ってビーズ発泡体を二分割し、その破断面における樹脂発泡粒子について、100〜150個の任意の範囲で粒子内で破断している粒子の数(a)と粒子同士の界面で破断している粒子の数(b)とを数え、式[(a)/((a)+(b))]×100に代入して得られた値を融着率(%)とする。
なお、熱融着率の測定試料は、基本的に平板形状とし、厚み30mm程度、幅300mm程度、長さ400mm程度のものとし、前記切り込み線は、測定試料の長さ方向中央部を幅方向に向かって横断するように形成する。
ビーズ発泡体からこのような測定試料が採取できない場合、前記熱融着率は、ビーズ発泡体から採取し得る大きさの試料を用いて求めればよい。
ビーズ発泡体の発泡倍率は5倍以上であることがより好ましく、10倍以上であることがさらに好ましい。
ビーズ発泡体は、本実施形態における樹脂成形品(樹脂複合体A)に優れた強度を発揮させる上において、発泡倍率が60倍以下であることが好ましい。
ビーズ発泡体の発泡倍率は50倍以下であることがより好ましく、40倍以下であることがより好ましい。
真密度は、ビーズ発泡体を熱プレスするなどして非発泡状態の試料を作製し、該試料の密度を測定して求めることができる。
このときの測定は、JIS K7112:1999「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」の水中置換法とすることができる。
ビーズ発泡体の見掛け密度の測定は、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方」に準じて測定できる。
ビーズ発泡体の連続気泡率は、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましい。
ビーズ発泡体の連続気泡率は、通常、1%以上とされる。
ビーズ発泡体の連続気泡率は、以下のようにして求めることができる。
測定に用いる試験片は、ビーズ発泡体から表皮を残さないように切り出し、さらに切断面表面をパンスライサーにて仕上げ、25mm×25mm×25mmの立方体状とする。
該試験片は、5つ作製する。
該試験片の連続気泡率は、試験片をJIS K7100−1999 記号23/50、2級の環境下で16時間状態調節した後、同環境下で見掛けの体積(cm3)を測定するとともに空気比較式比重計で体積を測定することで求める。
見掛けの体積は、ミツトヨ社製「デジマチックキャリパ」を用いて、1/100mmの精度で外寸を測定して求める。
次に空気比較式比重計1000型(東京サイエンス(株)製)を使用して、1−1/2−1気圧法により測定試料の体積(cm3)を求め、下記式により連続気泡率(%)を計算し、5つの試験片の連続気泡率の平均値を求める。
なお、空気比較式比重計は、標準球(大28.96cc 小8.58cc)にて補正を行ったものを用いる。
連続気泡率(%)=
100×(見掛け体積−空気比較式比重計での測定体積)/見掛け体積
そのため、ビーズ発泡体は、前記高耐熱性樹脂のガラス転移温度をTg0(℃)とし、当該ビーズ発泡体のガラス転移温度をTg1(℃)とした際に、下記関係式(1)を満たすことが好ましい。
0 < (Tg0−Tg1) ≦ 40℃ ・・・(1)
また、前記の差(Tg0−Tg1)は、30℃以下であることがより好ましく、25℃以下であることがさらに好ましい。
即ち、本実施形態においては、下記関係式(2)を満たすことがより好ましく、下記関係式(3)を満たすことがさらに好ましく、下記関係式(4)を満たすことがとりわけ好ましい。
1 ≦ (Tg0−Tg1) ≦ 40℃ ・・・(2)
2 ≦ (Tg0−Tg1) ≦ 30℃ ・・・(3)
3 ≦ (Tg0−Tg1) ≦ 25℃ ・・・(4)
(ガラス転移温度の求め方)
ガラス転移温度は、JIS K7121:1987、JIS K7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定する。
但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下の通りとする。
中間点ガラス転移温度は、(株)日立ハイテクサイエンス製「DSC7000X型」示差走査熱量計を用い、アルミニウム製簡易密閉容器の底にすきまのないよう試料を5.5±0.5mg充てんして、窒素ガス流量20mL/minのもと20℃/minの速度で30℃から−40℃まで冷却し、5分間保持後、−40℃から260℃まで昇温した時に得られたDSC曲線より、装置付属の解析ソフトを用いて算出する。
この時に基準物質としてはアルミナを用いる。
この中間点ガラス転移温度は前記の規格(9.3「ガラス転移温度の求め方」)より求める。
また、発泡体の測定試料は、コルクボーラーを用いて発泡体を厚み方向に打ち抜き、その打ち抜いた試料の中心より採取する。
該高耐熱性樹脂は、過度にガラス転移温度が高いと、予備発泡をさせたり、型内成形によってビーズ発泡体を形成させたりすることが困難になるおそれを有する。
従って、前記高耐熱性樹脂は、ガラス転移温度が300℃以下であることが好ましく、260℃以下であることがより好ましい。
前記高耐熱性樹脂は、前記ビーズ発泡体A11に対して1種のものを単独で含有させる必要はなく、2種類以上のものをビーズ発泡体A11に含有させるようにしてもよい。
なお、ビーズ発泡体A11の形成に2種類以上の高耐熱性樹脂を用いる場合、前記のガラス転移温度についての関係は、ビーズ発泡体A11の主成分となっている樹脂について満たしていればよい。
ビーズ発泡体A11を構成する樹脂組成物に複数種類の高耐熱性樹脂を含む場合、「主成分」とは、樹脂組成物に含まれる樹脂の中で最も質量割合が多い高耐熱性樹脂を意味する。
前記発泡性樹脂粒子は、含有する樹脂が実質的に高耐熱性樹脂のみで構成されていることがとりわけ好ましい。
該有機系物理発泡剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、以下においては、特段の断りが無い限りにおいて、「発泡剤」との用語は、「有機系物理発泡剤」を意味する用語として用いる。
(ただし、R1、R2は、炭素数1〜6のアルキル基、又は、互いに結合してカルボニル基を形成している炭素原子とともに環をなす炭素数1〜6のアルキレン基である。R1、R2は、炭素数が異なっていても共通していてもよい。)
なかでも、アセトンは本実施形態における発泡剤として好適である。
ビーズ発泡体における発泡剤の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましく1.5質量%以下であることがとりわけ好ましい。
ビーズ発泡体における発泡剤の含有量は、0.05質量%以上2質量%以下であることが好ましい。
試料約0.05gを20mLバイアルに精秤後、DEB(ジエチルベンゼン)入りDMF(ジメチルホルムアミド)1mLで溶解し、セプタム、アルミキャップをのせてアルミキャップ締め器で密閉する。
バイアルをYL社製「HT2000H型」ヘッドスペースオートサンプラーにセット後、90℃60min加熱して発生した揮発成分をガスタイトシリンジにて2mL採取し、これを(株)島津製作所製「GC2025AF」ガスクロマトグラフにて測定する。
なお、GC測定条件は下記に示す通りであり、得られたクロマトグラムを内部標準法により定量する。
<GC測定条件>
測定装置:(株)島津製作所製「GC2025AF」ガスクロマトグラフ、
カラム:PHENOMENEX社製「ZB−WAX」(φ0.25mm×30m(膜厚0.25μm)、
検出器:FID
GCオーブン昇温条件:初期温度 60℃(3min保持)第1段階昇温速度 20℃/min(100℃まで、3min保持)第2段階昇温速度 40℃/min(220℃まで)最終温度 220℃(0.5min保持)
注入口温度:150℃
検出器温度:250℃
測定試料液注入量:2mL
スプリット比=70:1
カラム流量=1.6mL/min
(He)ガス圧力=122kPa
<HS測定条件>
測定装置:YL社製「HT2000H型」ヘッドスペースオートサンプラー
加熱温度:90℃
加熱時間:60min
定量法:内部標準法=DEB
<算出条件>
標準試料:アセトン、
算出方法:
アセトンをDEB(ジエチルベンゼン)入DMF(ジメチルホルムアミド)溶液にて作製した標準液の濃度当りの面積係数を用いて算出する。
具体的には、成形品の最も厚みのある部分の中心部をコルクボーラー(8φ穴)で抜き取り採取したものを試料とする。
まず質量を測定したSUS製容器に試料を数g入れ、試料+容器の質量を測定する。
アルミホイルで容器に蓋をして260℃のオーブンで2時間加熱した後、室温まで冷却してから再び試料+容器の重量を測定し、下記式により発泡剤含浸量を算出する。
発泡剤含浸量(質量%)=
100×(加熱前の(試料+容器)質量(g)−加熱後の(試料+容器)質量(g))/(加熱前の(試料+容器)質量(g)−容器質量(g))
前記アジピン酸エステルとしては、例えば、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジブチル等が挙げられる。
本実施形態の繊維強化樹脂層A2は、第1繊維強化樹脂材A21と第2繊維強化樹脂材A22とによって形成された2層構造のものとなっている。
第1繊維強化樹脂材A21と第2繊維強化樹脂材A22とは、繊維と樹脂との割合や繊維や樹脂の種類が同じである必要は無く、これらを互いに異ならせていてもよい。
繊維を連続繊維とする場合、該繊維は引き揃え糸や撚糸といった糸の状態で繊維強化樹脂層A2に含有され得る。
糸は、織物や編物となって繊維強化樹脂層A2に含有され得る。
織物は、平織物、綾織物、繻子織物などであってもよい。
前記繊維が短繊維の場合、該繊維は不織布のような状態で繊維強化樹脂層A2に含有され得る。
繊維強化樹脂層A2の形成に用いることができる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂とを予備重合した樹脂などが挙げられる。
該熱硬化性樹脂は、耐熱性、衝撃吸収性、耐薬品性に優れていることから、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂が好ましい。
該熱可塑性樹脂は、接着性に優れていることから、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂が好ましい。
具体的には、エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂が好ましい。
また、前記繊維強化樹脂層A2は、通常、前記繊維を10質量%以上90質量%以下の割合で含有するように形成される。
前記予備発泡工程では、発泡性樹脂粒子の発泡に利用した発泡剤を予備発泡粒子にある程度残存させておくことが好ましい。
そして、前記成形工程では、この発泡剤を含んだ予備発泡粒子を成形型内で加熱して発泡させ、当該予備発泡粒子を発泡させてなる樹脂発泡粒子を前記成形型内で熱融着させることにより前記ビーズ発泡体を形成させることが好ましい。
0 < (Tg0−Tg1) ≦ 40℃ ・・・(1)
しかしながら、このような方法では、ビーズ発泡体の表層部を構成する樹脂発泡粒子が大きく発泡する結果、当該樹脂発泡粒子の気泡を取り巻く樹脂膜が薄くなってしまったり、ピンホールを生じてしまったりして、前記のような平均透気抵抗度の高いビーズ発泡体を得られにくくなる。
さらに、一般的な方法でビーズ発泡体を作製すると成形型の壁面(成形面)の近くに位置する予備発泡粒子がいち早く二次発泡してビーズ発泡体の表層部となる部位に樹脂発泡粒子の壁を形成してしまい、平均透気抵抗度は高いが内部の発泡剤が抜けず、発泡体内に発泡剤が過剰に残存して前記関係式(1)を満たすビーズ発泡体が得られにくくなる。
そして、成形工程では、このことによって成形空間の中心部に存在する予備発泡粒子に十分な発泡力を発現させるとともに当該発泡力を成形面近くの予備発泡粒子に作用させ、該予備発泡粒子を成形面に圧接させるための圧力へと前記発泡力を転化させることが好ましい。
なお、予備発泡粒子を形成している樹脂を溶質、発泡剤を溶媒として見た場合、通常、溶媒の温度が高い方が溶質の溶解度が高くなる。
言い換えると予備発泡粒子の気泡膜は、温度が高い方が発泡剤の受容性が向上する。
その一方で、発泡剤は、加熱されることで蒸気圧が高くなって予備発泡粒子から脱離して周囲に拡散し易くなる。
通常のビーズ発泡においては、後者の方が支配的なものとなるが加熱条件を緩慢なものにすると予備発泡粒子から発泡剤が十分に拡散せずにビーズ発泡体に発泡剤が多く残ることがある。
そのため、成形工程後には、得られたビーズ発泡体を再び加熱して余分な発泡剤を揮発除去する発泡剤除去工程を実施することが好ましい。
このことにより前記関係式(1)を満たすビーズ発泡体をより確実に得ることができる。
また、ビーズ発泡体が加熱されることでビーズ発泡体の表面に僅かながら熱溶融が生じてピンホールや樹脂発泡粒子間の隙間が閉塞され得る。
発泡剤除去工程を成形型から取り出したビーズ発泡体に対して実施することで当該ビーズ発泡体を芯材A1とした樹脂複合体Aを作製する前に、突起などの高さを低くして表面を平滑化させることができる。
例えば、成形型から取り出したビーズ発泡体を金属板の上に載せてオーブン中で加熱すれば金属板との接触面に存在する突起は軟化して突出高さが減少されることになる。
なお、本実施形態においては、加熱することでこれらの突起を容易に軟化させることができるので、そのまま繊維強化樹脂材を貼り合せても繊維強化樹脂層A2の表面に凹凸が生じたり、繊維強化樹脂層A2の繊維の並びに乱れが生じたりすることが抑制され得る。
従って、本実施形態のビーズ発泡体を使って得られる樹脂複合体Aは、樹脂不足によって繊維強化樹脂層A2の表面に繊維が露出することが防止され、美麗な外観を有するものとなる。
なお、本実施形態のビーズ発泡体は、その用途が樹脂複合体の芯材に限定されるわけではなく種々の用途に利用可能である。
該ビーズ発泡体は、単独でも耐熱性に優れ、且つ、寸法安定性が高いことからこれ等についての特性が重要視されるような用途に特に有用である。
本実施形態のビーズ発泡体を備えた樹脂成形品の具体的な用途を挙げると、例えば、断熱材、耐熱容器、照明器具用部材などとして有用である。
断熱材は、樹脂発泡体で構成された断熱層を有する断熱材であり、前記断熱層が前記ビーズ発泡体で構成された断熱材であることで熱歪みによって断熱空間に隙間が形成されたりすることが抑制される。
断熱材は、ビーズ発泡体のみで構成されても、ビーズ発泡体と、該ビーズ発泡体の表面に貼り合わされる表装シートとを備えたものであってもよい。
前記耐熱容器としては、例えば、食品等を加熱処理するためのオーブンなどに加熱対象物を収容した状態で投入されるような使用形態のものが挙げられる。
前記照明器具用部材としては、例えば、光源が発する光を反射する反射板などが挙げられる。
直径φ2.3mm×長さ3.3mmのポリエーテルイミド樹脂(SABIC Innovative Plastics社、Ultem(登録商標)1010)を180℃の除湿乾燥機により3時間乾燥させた。
次に、単軸スクリュー押出機(φ40mm、L/D40)に投入し下記条件で溶融し、押出機に取り付けた金型(口径φ1.5mm、ランド長1mm)から出てきたストランド状の非発泡ポリエーテルイミド樹脂を水槽により冷却し、ペレタイズすることで直径φ1.0mm×長さ1.1mmの樹脂ペレットを作製した。
フィード〜溶融ゾーン温度:380℃
メータリングゾーン〜金型温度:350℃
樹脂温度:350℃
吐出量:6.5kg/h
攪拌羽を有する10Lの耐圧容器内に、5kgのアセトンと上記で作製したポリエーテルイミド樹脂ペレット(以下、PEI樹脂ペレット)2kgを入れて、65℃で14時間加熱撹拌し、該PEI樹脂ペレットにアセトンを含浸させた。
このアセトンを含浸させたPEI樹脂ペレットにムラなく送風ブロワーで気流を2時間当てることでアセトンを12.9質量%含有する発泡性樹脂粒子を得た。
外側にジャケットを有し中心部に撹拌翼を具備した内容積50Lの円筒形の発泡器を備え、熱風ブロワーからの熱風を前記発泡器の底面より送風可能な熱風発泡機を用い、下記条件で上記の工程で得られた発泡性樹脂粒子を予備発泡させた。
得られた予備発泡粒子は、嵩密度0.121g/cm3(嵩倍率10.5倍)で、アセトン含有量が10.2質量%であった。
ジャケット温度:128.4℃
熱風入口温度:147.7℃
缶内温度:134.5℃
排気温度:133.1℃
熱風ブロワー温度:150℃
熱風ブロワー風量:3.7m3/min
発泡性樹脂粒子投入量:1.5kg
予備発泡時間:110秒
上記で作製した予備発泡粒子を300mm×400mm×30mmの内容積を有する成形型に充填し、0.4MPaの飽和蒸気を20秒間金型内へ導入後冷却し、該予備発泡粒子を蒸気加熱によって2次発泡させる型内成形を実施した。
得られたビーズ発泡体の密度は0.125g/cm3で、発泡剤の含有量は6.0質量%で、融着率は95%、連続気泡率は40%であった。
また、このビーズ発泡体の平均透気抵抗度を測定したところ110秒であった。
得られたビーズ発泡体を熱風循環型乾燥機を用いて100℃で160時間加熱することで余剰発泡剤を揮発除去し、ビーズ発泡体のガラス転移温度が193℃となるよう調整した。(Tg0−Tg1=24℃)
Claims (5)
- ビーズ発泡体で一部又は全部が構成された樹脂成形品であって、
前記ビーズ発泡体は、ガラス転移温度が180℃以上の樹脂を含む樹脂組成物によって構成され、有機系物理発泡剤が含まれており、
前記樹脂のガラス転移温度をTg0(℃)、前記ビーズ発泡体のガラス転移温度をTg1(℃)とした際に、下記関係式(1)を満たす樹脂成形品。
0 < (Tg0−Tg1) ≦ 40℃ ・・・(1)
- 前記ビーズ発泡体における前記有機系物理発泡剤の含有量が0.05質量%以上2質量%以下である請求項1記載の樹脂成形品。
- 前記ビーズ発泡体と、該ビーズ発泡体の一部又は全部を覆う繊維強化樹脂材とを備えた樹脂複合体である請求項1又は2記載の樹脂成形品。
- 樹脂発泡体で構成された断熱層を有する断熱材であり、前記断熱層が前記ビーズ発泡体で構成された断熱材である請求項1乃至3の何れか1項に記載の樹脂成形品。
- 発泡剤を含む予備発泡粒子を成形型内で加熱して発泡させ、前記予備発泡粒子を発泡させてなる樹脂発泡粒子を前記成形型内で熱融着させる成形工程を実施してビーズ発泡体を作製するビーズ発泡体の製造方法であって、
ガラス転移温度が180℃以上の樹脂を含み、前記発泡剤として有機系物理発泡剤を含む前記予備発泡粒子を用いて前記成形工程を実施し、
該成形工程の後には、成形工程で得られたビーズ発泡体に含まれている前記有機系物理発泡剤の一部をビーズ発泡体から除去する発泡剤除去工程を実施し、
該発泡剤除去工程では、少なくとも表面の温度が前記有機系物理発泡剤の沸点以上となるようにビーズ発泡体を加熱することで該ビーズ発泡体から前記有機系物理発泡剤を除去し、
該発泡剤除去工程後のビーズ発泡体のガラス転移温度をTg1(℃)とし、前記樹脂のガラス転移温度をTg0(℃)とした際に、前記下記関係式(1)を満たすように前記発泡剤除去工程を実施するビーズ発泡体の製造方法。
0 < (Tg0−Tg1) ≦ 40℃ ・・・(1)
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