JP6279496B2 - 発泡粒子及び発泡成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、発泡粒子及び発泡成形体に関する。更に詳しくは、本発明は、ポリカーボネート系樹脂を基材樹脂とし、有底孔又は貫通孔を有する発泡粒子及び、この発泡粒子から得られた発泡成形体に関する。
発泡成形体は、軽いことに加え、加工性及び形状保持性が良く、比較的強度も強いため、食品トレーや自動車用部材を始め、建材、土木資材、照明器具等のさまざまな分野で使用されている。特に耐熱性が要求されない場合にはポリスチレン系樹脂製の発泡成形体が用いられ、緩衝特性、回復性、柔軟性等が必要な場合にはポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂製の発泡成形体が用いられる傾向にある。
これらポリスチレン系樹脂及びオレフィン系樹脂よりも一般的に耐熱性が高い樹脂として、ポリカーボネート系樹脂がある。これは、日本以外の国でも、また乾燥地帯や熱帯地帯等の過酷な気候の場所でも利用可能な樹脂素材である。このポリカーボネート系樹脂は、耐熱性に優れているだけでなく、耐水性、電気特性、機械的強度、耐老化性及び耐薬品性にも優れている。そのため、ポリカーボネート系樹脂は、これまで建造物の内装材として用いられてきたが、近年その優れた特性を活用した自動車部材、包装材、各種容器等への用途展開も期待されている。
ところで、ポリカーボネート系樹脂の発泡体の製法としては、例えば特許文献1(特開平9−076332号公報)のような押出発泡法がよく知られている。しかしながら、この方法で得られる発泡体は、ボード状であるため、単純な建築材を得ることしかできなかった。従って、押出発泡法では、自動車部材のような複雑な形状をした発泡体を得ることは困難であった。
複雑な成形を可能にする方法としては、発泡粒子を金型内で発泡及び融着させる型内発泡成型法が知られている。この方法は、所望の形状に対応する空間を有する金型を用意し、その空間内に発泡粒子を充填し、加熱により発泡粒子を発泡及び融着させることで、複雑な形状を有する発泡成形体を得ることができる。ポリカーボネート系樹脂からなる発泡粒子から型内発泡成型法により発泡成形体を得る方法が、例えば、特許文献2(特開平6−100724号公報)及び特許文献3(特開平11−287277号公報)に提案されている。
特開平9−076332号公報 特開平6−100724号公報 特開平11−287277号公報
しかしながら、特許文献2及び3では、発泡成形体を得る際の発泡粒子の発泡力が小さく倍数の高い発泡成形体が得られ難いという課題があった。
本発明の発明者等は、上記課題を鑑み、ポリカーボネート系樹脂を基材樹脂とし、有底孔又は貫通孔を有する発泡粒子が、高い発泡力を有すること、そのような発泡粒子を使用すれば、高い倍数の発泡成形体を提供可能であることを意外にも見い出し本発明に至った。
かくして本発明によれば、ポリカーボネート系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子であり、前記発泡粒子が有底孔又は貫通孔を有し、前記孔が、下記式
r={(10個の発泡粒子の孔の深さの合計)mm/(10個の発泡粒子の孔の深さ方向の粒径の合計)mm}×100
で表される50%以上の深さの比rを有することを特徴とする発泡粒子が提供される。
また、本発明によれば、上記発泡粒子を成形工程に付すことで得られた発泡成形体が提供される。
本発明の有底孔又は貫通孔を有する発泡粒子は、高い発泡力を有する。そのため、発泡成形体作製時の加熱により高倍化が可能となり、高い倍数のポリカーボネート系樹脂製の発泡成形体を提供できる。
ポリカーボネート系樹脂が芳香族骨格を有することで、より高い倍数のポリカーボネート系樹脂製の発泡成形体を提供できる。
更に、発泡粒子が0.024g/cm3以上の嵩密度を有することで、より高い倍数のポリカーボネート系樹脂製の発泡成形体を提供できる。
実施例2の発泡粒子の写真である。 実施例3の発泡粒子の切断状態の写真である。 実施例1の発泡成形体の写真である。 実施例2の発泡成形体の写真である。 実施例3の発泡成形体の写真である。 実施例4の発泡成形体の写真である。 実施例5の発泡成形体の写真である。 比較例2の発泡成形体の写真である。 比較例3の発泡成形体の写真である。
(1)発泡粒子
発泡粒子はポリカーボネート系樹脂を基材樹脂とし、有底孔又は貫通孔を有する。有底孔又は貫通孔を有する発泡粒子は、一般的に、発泡不良であると判断される。そのため、その後の発泡成形に付されないことが一般的である。加えて、有底孔及び貫通孔のない発泡粒子に比べて、有底孔又は貫通孔を有する発泡粒子は、発泡力が劣ると本発明の発明者等は考えていた。ところが、有底孔又は貫通孔を有する発泡粒子は、発泡力が意外にも高く、このような発泡不良の発泡粒子を発泡成形に付すことで、密度の低い発泡成形体が得られることを意外にも見い出している。その理由を発明者等は、発泡成形時に発泡粒子に熱エネルギーを効率良く与えられるため発泡成形体の軽量化が可能になったものと推測している。
[ポリカーボネート系樹脂]
ポリカーボネート系樹脂は、炭酸とグリコール又は2価のフェノールとのポリエステル構造を有することが好ましい。耐熱性をより一層高める観点からは、ポリカーボネート系樹脂は、芳香族骨格を有することが好ましい。ポリカーボネート系樹脂の具体例としては、2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)エタン等のビスフェノールから誘導されるポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、直鎖状ポリカーボネート樹脂及び分岐状ポリカーボネート樹脂等が挙げられ、これら両者がブレンドされていてもよい。
ポリカーボネート系樹脂は、ポリカーボネート樹脂以外の他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、アクリル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ABS系樹脂、ポリスチレン系樹脂、及びポリフェニレンオキサイド系樹脂等が挙げられる。ポリカーボネート系樹脂には、ポリカーボネート樹脂を50重量%以上含むことが好ましい。
また、ポリカーボネート系樹脂は1〜20g/10分のMFRを有していることが好ましい。この範囲の樹脂は発泡に適しており、より高倍化させやすい。より好ましいMFRの範囲は、2〜15g/10分である。
[粒子の形状]
発泡粒子の形状は、有底孔又は貫通孔が存在する限り、特に限定されない。
貫通孔とは、発泡粒子の一方端から他方端に向かって空間が連続し、底が存在しない孔を意味する。有底孔とは、発泡粒子の一方端から他方端に向かって空間が連続するが、底が存在し、他方端が開放されていない孔を意味する。
有底孔における孔の深さは、孔の深さ方向の発泡粒子の粒径に対する比で表される。具体的には、孔の深さの比rは、次のようにして算出する。まず、10個の発泡粒子を、孔の深さ方向に、孔が半分になるように切断する。切断面における孔の深さを測定する。10個の発泡粒子の孔の深さの合計を算出し、下記式の分子の値とする。次に、その10個の発泡粒子の孔の深さ方向の粒径を測定し、合計したものを下記式の分母の値とする。
r={(10個の発泡粒子の孔の深さの合計)mm/(10個の発泡粒子の孔の深さ方向の粒径の合計)mm}×100
本発明の発泡粒子には、有底孔の孔の深さの比rが50%以上のもの(発泡粒子の粒径に対する孔の深さの比が1/2のもの)が使用される。50%未満の場合、発泡成形用の加熱媒体が進入する距離が短くなり、孔のない発泡粒子と発泡力が同等になってしまう可能性がある。比rは50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。なお、貫通孔の孔の深さの比rは100%である。
10個の発泡粒子の孔の深さ方向の粒径の合計は、100〜2000mmであることが好ましく、200〜1500mmがより好ましい。
発泡粒子における有底孔及び貫通孔の数は、1個又は2個以上の複数である。複数の孔を有する発泡粒子において、比rは最も深い孔の比を意味する。但し、数が増えると、発泡粒子に占める樹脂部分が小さくなるため、孔の数はできるだけ少ないことが好ましく、2個以下であることが好ましい。
また、有底孔又は貫通孔の開口部の孔の幅は、次のようにして算出する。まず、10個の発泡粒子を、孔の深さ方向に、孔が半分になるように切断する。切断面における開口部の幅を測定する。10個の発泡粒子の孔の開口部の合計を算出し、下記式の分子の値とする。次に、その10個の発泡粒子の孔の幅方向の粒径を測定し、合計したものを下記式の分母の値とする。
s={(10個の発泡粒子の孔の開口部の幅の合計)mm/(10個の発泡粒子の孔の幅方向の粒径の合計)mm}×100
10個の発泡粒子の孔の開口部の幅の合計は、2.5〜40mmであることが好ましく、6〜35mmであることがより好ましい。
有底孔又は貫通孔の開口部の孔の幅は、幅方向の発泡粒子の粒径に対して、0.2%以上の比を有することが好ましい。0.3%未満の場合、加熱媒体が発泡粒子内部に進入し難くなり、孔のない発泡粒子と発泡力が同等になってしまう可能性がある。比sは1.0%以上であることがより好ましく、1.1%以上であることが更に好ましい。なお、この比の算出に使用する発泡粒子の孔の開口部の幅、幅方向の粒径は、幅の広い方を採用する。
発泡粒子は、種々の嵩密度をとり得る。嵩密度は、0.024g/cm3以上とすることが可能であり、0.030g/cm3以上とすることが好ましい。また、嵩密度の上限は、0.4g/cm3であることが好ましい。
[他の発泡粒子]
発泡粒子には有底孔又は貫通孔を有する発泡粒子の他に、他の発泡粒子として、孔のない発泡粒子を混合してもよい。他の発泡粒子は、比rが0%である。他の発泡粒子の含有割合の上限は、有底孔又は貫通孔を有する発泡粒子と他の発泡粒子との合計値から算出される比rが50%以上となる量である。例えば、貫通孔を有する発泡粒子と他の発泡粒子を使用し、両発泡粒子の粒径が同程度である場合、他の発泡粒子の含有割合は、50重量%未満であることが好ましい。
[他の添加剤]
発泡粒子には、必要に応じて、樹脂以外に他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤としては、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、充填剤、着色剤、耐候剤、老化防止剤、滑剤、防曇剤、香料等が挙げられる。
[製造方法]
発泡粒子は、ポリカーボネート系樹脂製の樹脂粒子に発泡剤を含浸させ、次いで発泡させることにより得ることができる。貫通孔を有する発泡粒子は、貫通孔を有する樹脂粒子を発泡させることで得ることができる。
貫通孔を有する樹脂粒子は、公知の方法により得ることができる。例えば、ポリカーボネート系樹脂を、必要に応じて他の添加剤と共に、押出機中で溶融混練して混錬物を得、混錬物を円筒状のダイを介して押出すことでストランドを得、得られたストランドを、空気中でカット、水中でカット、加熱しつつカットすること等で、造粒する方法が挙げられる。
また、有底孔を有する発泡粒子は、有底孔を有する樹脂粒子を発泡させることで得ることができる。
有底孔を有する樹脂粒子は、公知の方法により得ることができる。例えば、まず、有底孔の形状に対応する突起を複数備えた治具を用意する。複数の突起の間隔は、樹脂粒子の粒径より十分狭くする。この治具上に、突起に刺さらないように、孔のない樹脂粒子をまんべんなく載置する。載置後、圧を加えることで、樹脂粒子に突起を陥入させることで有底孔を有する樹脂粒子を得ることができる。孔の深さは、突起の高さを調整することで所望の値にすることができる。なお、同じような方法で、孔のない発泡粒子から有底孔を有する発泡粒子を得ることも可能である。
市販の樹脂粒子には、貫通孔や有底孔を有する樹脂粒子が混在したものがあり、これら孔を有する樹脂粒子を選別して使用してもよい。
次に、樹脂粒子に含浸される発泡剤としては、既知の揮発性発泡剤や無機発泡剤を使用できる。揮発性発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素や、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、脂肪族アルコール等が挙げられる。無機発泡剤としては、炭酸ガス、窒素ガス、エアー(空気)等が挙げられる。これら発泡剤は2種以上併用してもよい。これら発泡剤の内、無機発泡剤が好ましく、炭酸ガスがより好ましい。
発泡剤の含有量(含浸量)は、ポリカーボネート系樹脂100重量に対して、3〜12重量部であることが好ましい。発泡剤の含有量が3重量部未満であると、発泡力が低くなり、高い倍数に良好に発泡させ難いことがある。含有量が12重量部を超えると、可塑化効果が大きくなり、発泡時に収縮が起こりやすく、生産性が悪くなると共に、安定して所望の倍数を得難くなることがある。より好ましい発泡剤の含有量は、4〜10重量部である。
含浸方法としては、樹脂粒子を水系に分散させ撹拌させながら発泡剤を圧入することで含浸させる湿式含浸法や、密閉可能な容器に樹脂粒子を投入し、発泡剤を圧入して含浸させる実質的に水を使用しない乾式含浸法(気相含浸法)等が挙げられる。特に水を使用せずに含浸できる乾式含浸法が好ましい。樹脂粒子に発泡剤を含浸させる際の含浸圧、含浸時間及び含浸温度は特に限定されない。
含浸を効率的に行い、より一層良好な発泡粒子及び発泡成形体を得る観点からは、含浸圧は2〜4.5MPaであることが好ましい。
含浸時間は、0.5〜200時間であることが好ましい。0.5時間未満の場合、発泡剤の樹脂粒子への含浸量が低下するため、十分な発泡力が得られ難いことがある。200時間より長い場合、生産性が低下することがある。より好ましい含浸時間は、1〜100時間である。
含浸温度は、0〜60℃であることが好ましい。0℃未満の場合、発泡剤の樹脂粒子への含浸量が高くなり過ぎ、良好な気泡形成が困難になり十分な1次発泡力が得られ難いことがある。60℃より高い場合、生産性が悪くなることがある。より好ましい含浸温度は、5〜50℃である。
樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得る方法としては、発泡剤を含浸させた樹脂粒子を例えば、熱風やスチーム:水蒸気等の加熱媒体により加熱して発泡させる方法があるが、スチームが好適に使用される。
発泡時の発泡機には密閉耐圧の発泡容器を使用することが好ましい。また、スチームの圧力は0.2〜0.5MPaであることが好ましく、0.25〜0.4MPaであることがより好ましい。発泡時間は所望の倍数を得るのに必要な時間であればよい。好ましい発泡時間は、10〜180秒である。10秒未満では所望の倍数を得られないことがある。180秒を超えると発泡粒子の収縮が始まることがあり、そのような発泡粒子からは良好な物性の発泡成形体が得られないことがある。
(2)発泡成形体
発泡成形体はポリカーボネート系樹脂を基材樹脂とする複数の発泡粒子の集合体から構成される。この発泡成形体は、上記発泡粒子に内圧を付与し、次いで発泡粒子を成形工程に付すことで得られる。上記発泡粒子から得られる発泡成形体は、意外にも低い密度とすることができることを発明者等は見い出している。
発泡成形体の形状は、特に限定されず、用途に応じて種々とり得る。例えば、発泡成形体は、土木関係の建材、自動車構造部材、風車等の構造部材、複合部材としてのFRPの芯材等の用途に応じて種々の形状をとり得る。
発泡成形体は、種々の密度をとり得る。密度は、0.037g/cm3以上とすることが可能である。更には、0.020g/cm3以上とすることが可能である。密度の上限は、0.4g/cm3であることが好ましい。
発泡成形体は、例えば、上記発泡粒子に内圧を付与し、次いで発泡粒子を成形工程に付すことで得ることができる。
発泡成形体を作製する前に、発泡粒子内に発泡剤を含浸させ発泡力を付与することが好ましい。ここで使用する発泡剤には、発泡粒子製造時の発泡剤を使用できる。その中でも、無機発泡剤を使用することが好ましい。特に、窒素ガス、エアー及び炭酸ガスから1つを使用すること又は2つ以上を併用することが好ましい。
内圧を付与するための圧力は、発泡粒子がつぶれてしまわない程度の圧力でかつ発泡力を付与できる範囲であることが望ましい。そのような圧力は、0.1〜4MPaであることが好ましく、0.3〜3MPaであることがより好ましい。
内圧付与した発泡粒子を、発泡成形機の成形金型内に形成された成形空間に供給した後、加熱媒体(熱風、スチーム等)で加熱することで、所望の発泡成形体に型内成形できる。発泡成形機としては、ポリスチレン系樹脂製の発泡粒子から発泡成形体を製造する際に用いられるEPS成形機やポリプロピレン系樹脂製の発泡粒子から発泡成形体を製造する際に用いられる高圧仕様の成形機等を用いることができる。
加熱媒体は、加熱時間が長くなると収縮や融着不良を起こしてしまうため短時間に高エネルギーを与える必要があることから、水蒸気の使用が好ましい。水蒸気の圧力(ゲージ圧)は、0.2〜0.5MPaであることが好ましい。また、加熱時間は、10〜200秒であることが好ましく、15〜150秒であることがより好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず実施例における各種物性の測定法を下記する。
[有底孔及び貫通孔の孔の深さの測定]
孔の深さは、孔の深さ方向の発泡粒子の粒径に対する比で表される。具体的には、孔の深さの比rは、次のようにして算出する。まず、10個の発泡粒子を、孔の深さ方向に、孔が半分になるように切断する。切断面における孔の深さを測定する。10個の発泡粒子の孔の深さの合計を算出し、下記式の分子の値とする。次に、その10個の発泡粒子の孔の深さ方向の粒径を測定し、合計したものを下記式の分母の値とする。
r={(10個の発泡粒子の孔の深さの合計)mm/(10個の発泡粒子の孔の深さ方向の粒径の合計)mm}×100
[有底孔及び貫通孔の開口部の幅の測定]
孔の開口部の幅は、孔の幅方向の発泡粒子の粒径に対する比で表される。具体的には、孔の開口部の幅の比sは、次のようにして算出する。まず、10個の発泡粒子を、孔の深さ方向に、孔が半分になるように切断する。切断面における開口部の幅を測定する。ここで、孔の幅は、最大となる場所を幅として測定する。10個の発泡粒子の孔の開口部の幅の合計を算出し、下記式の分子の値とする。次に、その10個の発泡粒子の孔の幅方向の粒径を測定し、合計したものを下記式の分母の値とする。
s={(10個の発泡粒子の孔の開口部の幅の合計)mm/(10個の発泡粒子の孔の幅方向の粒径の合計)mm}×100
[発泡粒子の嵩密度の測定]
発泡粒子約1000cm3を、メスシリンダー内に1000cm3の目盛りまで充填する。なお、メスシリンダーを水平方向から目視し、発泡粒子が1つでも1000cm3の目盛りに達していれば、その時点で発泡粒子のメスシリンダー内への充填を終了する。次に、メスシリンダー内に充填した発泡粒子の重量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をWgとする。そして、下記式により発泡粒子の嵩密度は求められる。
嵩密度(g/cm3)=W/1000
嵩倍数は嵩密度の逆数にポリカーボネート系樹脂の密度(g/cm3)を積算した値である。
ポリカーボネート系樹脂の密度はISO1183に規定した方法で測定する。
[発泡力の測定]
樹脂粒子に発泡剤を含浸させ、1次発泡粒子を得る。1次発泡粒子に更に発泡剤を含浸させ2次発泡粒子を得る。1次発泡粒子と2次発泡粒子の嵩倍数の比を発泡力として算出する。
発泡力=2次発泡粒子の嵩倍数/1次発泡粒子の嵩倍数
[発泡成形体の密度の測定]
発泡成形体(成形後、50℃で8時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例75×300×30mm)の質量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(g/cm3)を求める。
[MFRの測定]
メルトフローレイト(MFR)は、東洋精機製作所社製「セミオートメルトインデクサー2A」を用いて測定し、JIS K7210:1999「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」B法に記載のb)ピストンが所定の距離を移動する時間を測定する方法に準拠して測定される。具体的には、測定条件は、試料3〜8g、予熱270秒、ロードホールド30秒、試験温度300℃、試験荷重11.77N、ピストン移動距離(インターバル)25mmとする。試料の試験回数は3回とし、その平均をメルトフローレイト(g/10分)の値とする。なお、測定試料は、真空乾燥機にて120℃で、100kPaの減圧下、5時間の条件で乾燥をしたものを測定で用いる。
<実施例1>
(樹脂粒子製造工程)
ポリカーボネート系樹脂粒子(帝人社製パンライトL−1250Y、密度1.2g/cm3、MFR8g/10分)を120℃で4時間乾燥させた。得られた乾燥物を金型口径が4mmの押出機で溶融混練し、ダイからストランド状に押出した。次いで押出したストランド状の樹脂を、冷却水槽中を通過させて冷却し、ペレタイザーで長さL/D=3/3mmにカットすることで樹脂粒子を得た。
(含浸工程)
樹脂粒子1000gを密閉可能な圧力容器に投入し、炭酸ガスを用いて圧力容器内をゲージ圧4MPaまで昇圧させ、室温(約25℃)の環境下で24時間保持して発泡性粒子を得た。
(発泡工程)
含浸終了後、圧力容器内の炭酸ガスをゆっくりと除圧し内部の発泡性粒子を取出した。直ちに結合防止剤としての3gの炭酸カルシウムと発泡性粒子とを混合した。その後、撹拌機付きの高圧発泡機に発泡性粒子を投入し、撹拌しながら0.34MPaの水蒸気を用いて発泡させることで、20倍(嵩密度0.06g/cm3)の発泡粒子(1次発泡粒子)を得た。
(第2の含浸工程:内圧付与工程)
得られた発泡粒子の表面を0.01N−塩酸を用いて洗浄し乾燥させた後、圧力容器に500g投入し、密閉した。窒素ガスを用いて密閉した圧力容器内をゲージ圧1MPaまで昇圧させ24時間放置することで内圧付与した。内圧付与を実施した圧力容器内の窒素ガスをゆっくり除圧し、発泡粒子を50mL取り分け、残りに結合防止剤として炭酸カルシウムを1.5g添加し、混合した。
(2次発泡)
結合防止剤と混合された発泡粒子の一部を撹搾機付きの高圧発泡機に投入し、撹拌しながら0.34MPaの水蒸気を用いて38倍(嵩密度0.032g/cm3)の2次発泡粒子を得た。
(成形工程)
内圧付与工程で取り分けた発泡粒子50mLを、直ちに成形金型(縦40mm×横80mm×深さ25mm)に充填した。充填後の金型を高圧発泡槽に入れ、0.30〜0.35MPaの水蒸気で1分間加熱することで成形した。成形終了後、水で冷却することで発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を50℃の乾燥室で8時間程度乾燥させた。
<実施例2>
ポリカーボネート系樹脂粒子をSABIC社製レキサン153(密度1.2g/cm3、MFR4/10分)に変更すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
<実施例3>
ポリカーボネート系樹脂粒子をSABIC社製レキサン101R(密度1.2g/cm3、MFR9g/10分)に変更すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
<比較例1>
ポリカーボネート系樹脂粒子(帝人社製パンライトL−1250Y、MFR8g/10分)から孔のない樹脂粒子を選択し、直接含浸工程に付すこと以外は実施例1と同様にして発泡粒子(r=0%)及び発泡成形体を得た。
<比較例2>
ポリカーボネート系樹脂粒子をSABIC社製レキサン153(MFR4g/10分)に変更すること以外は比較例1と同様にして発泡成形体を得た。
<比較例3>
ポリカーボネート系樹脂粒子をSABIC社製レキサン101R(MFR9g/10分)に変更すること以外は比較例1と同様にして発泡成形体を得た。
<実施例4、実施例5及び比較例4>
r=80%(実施例4)、50%(実施例5)及び30%(比較例4)となるように、実施例1のr=100%発泡粒子と、比較例1のr=0%発泡粒子とを混合し、均一になった発泡粒子を使用すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
実施例及び比較例のポリカーボネート系樹脂のMFR、各発泡粒子の形状、嵩密度と発泡力、及び発泡成形体の密度を表1に示す。
比較例1、4は発泡力が少なく、発泡成形体は作れたがもろく、発泡粒子のごく一部が容易に剥離する状態であったため、発泡成形体としての評価は実施していない。
実施例2のs比の測定用の発泡粒子の写真を図1に示す。また、実施例3のr比の測定用の発泡粒子の切断状態の写真を図2に示す。
更に、実施例1〜5及び比較例2〜3の発泡成形体表面の写真を図3〜9に示す。
上記表1及び図3〜9から、所定のr値の深さの孔を有する発泡粒子により、高い倍数の発泡成形体が得られることが分かる。

Claims (4)

  1. ポリカーボネート系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子であり、前記発泡粒子が有底孔又は貫通孔を有し、前記孔が、下記式
    r={(10個の発泡粒子の孔の深さの合計)mm/(10個の発泡粒子の孔の深さ方向の粒径の合計)mm}×100
    で表される50%以上の深さの比rを有することを特徴とする発泡粒子。
  2. 前記ポリカーボネート系樹脂が、芳香族骨格を有する請求項1に記載の発泡粒子。
  3. 前記発泡粒子が、0.024g/cm3以上の嵩密度を有する請求項1又は2に記載の発泡粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の発泡粒子を成形工程に付すことで得られた発泡成形体。
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