JP6353807B2 - 発泡粒子及び発泡成形体 - Google Patents
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Description
これらポリスチレン系樹脂及びオレフィン系樹脂よりも一般的に耐熱性が高い樹脂として、ポリカーボネート系樹脂がある。これは、乾燥地帯や熱帯地帯等の過酷な気候の場所でも利用可能な樹脂素材である。このポリカーボネート系樹脂は、耐熱性に優れているだけでなく、耐水性、電気特性、機械的強度、耐老化性及び耐薬品性にも優れている。そのため、ポリカーボネート系樹脂は、これまで建造物の内装材として用いられてきたが、近年その優れた特性を活用した自動車部材、包装材、各種容器等への用途展開も期待されている。
複雑な成形を可能にする方法としては、発泡粒子を金型内で発泡及び融着させる型内発泡成型法が知られている。この方法は、所望の形状に対応する空間を有する金型を用意し、その空間内に発泡粒子を充填し、加熱により発泡粒子を発泡及び融着させることで、複雑な形状を有する発泡成形体を得ることができる。ポリカーボネート系樹脂からなる発泡粒子から型内発泡成型法により発泡成形体を得る方法が、例えば、特許文献2(特開平6−100724号公報)、特許文献3(特開平11−287277号公報)、特許文献4(国際公開WO2011/019057号)に提案されている。
かくして本発明によれば、ポリカーボネート系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子であって、
前記発泡粒子が、1.0×108〜1.0×1012個/cm3の気泡密度X[気泡密度Xは、下記式:
気泡密度X=(ρ/D−1)/{(4/3)・π・(C/10/2)3}
(式中、Cは平均気泡径(mm)、ρはポリカーボネート系樹脂の密度(kg/m3)、Dは発泡粒子の見かけ密度(kg/m3)を意味する)
により算出する]を有し、
前記平均気泡径が0.016〜0.2000mmであることを特徴とする発泡粒子が提供される。
前記発泡成形体が、1.0×108〜1.0×1012個/cm3の気泡密度X[気泡密度Xは、下記式:
気泡密度X=(ρ/D−1)/{(4/3)・π・(C/10/2)3}
(式中、Cは平均気泡径(mm)、ρはポリカーボネート系樹脂の密度(kg/m3)、Dは発泡成形体の密度(kg/m3)を意味する)
により算出する]を有し、
前記平均気泡径が0.016〜0.2000mmであることを特徴とする発泡成形体が提供される。
平均気泡径が0.0030〜0.2000mmであり、ポリカーボネート系樹脂の密度が1.0×103〜1.4×103kg/m3であり、発泡粒子の見かけ密度が12〜600kg/m3である場合、外観がより良好で、かつ融着性がより向上したポリカーボネート系樹脂の発泡成形体、及びこの発泡成形体を与え得るポリカーボネート系樹脂の発泡粒子を提供できる。
発泡粒子は、ポリカーボネート系樹脂を基材樹脂とし、特定の気泡密度Xを有する。この気泡密度Xは、実施例と比較例とを比べると明らかなように、比較的高い値である。発明者等は、気泡密度Xを高くすることで、発泡成形体の外観と融着性を向上できることを見い出している。
気泡密度Xは、1.0×108〜1.0×1012個/cm3とすることができる。気泡密度Xが1.0×108個/cm3未満の場合、気泡膜が厚くなり成形前の2次発泡性が低下することがある。気泡密度Xが1.0×1012個/cm3より大きい場合、気泡膜が薄くなり発泡時に気泡膜が破れやすくなり、連続気泡となることがある。好ましい気泡密度Xは1.2×108〜5.0×1011個/cm3であり、より好ましい気泡密度Xは1.5×108〜1.0×1011個/cm3である。
ここで、気泡密度Xは、下記式:
気泡密度X=(ρ/D−1)/{(4/3)・π・(C/10/2)3}
により算出できる。式中、Cは平均気泡径(mm)、ρはポリカーボネート系樹脂の密度(kg/m3)、Dは発泡粒子の見かけ密度(kg/m3)を意味している。
平均気泡径Cは、0.0030〜0.2000mmの範囲であることが好ましい。より好ましい平均気泡径Cは0.0034〜0.0910mmであり、更に好ましい平均気泡径Cは0.0057〜0.0850mmである。
発泡粒子の見かけ密度Dは、12〜600kg/m3の範囲であることが好ましい。見かけ密度Dが12kg/m3未満の場合、気泡膜が薄くなり2次発泡時に気泡膜が破れ、連続気泡の割合が増え、気泡の座屈による発泡粒の収縮等が生じることがある。見かけ密度Dが600kg/m3より大きい場合、気泡膜が厚くなり2次発泡性が低下することがある。より好ましい見かけ密度Dは24〜240kg/m3であり、更に好ましい見かけ密度Dは30〜120kg/m3である。
ポリカーボネート系樹脂は、炭酸とグリコール又は2価のフェノールとのポリエステル構造を有することが好ましい。耐熱性をより一層高める観点からは、ポリカーボネート系樹脂は、芳香族骨格を有することが好ましい。ポリカーボネート系樹脂の具体例としては、2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)エタン等のビスフェノールから誘導されるポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂は、ポリカーボネート樹脂以外の他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、アクリル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ABS系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びポリフェニレンオキサイド系樹脂等が挙げられる。ポリカーボネート系樹脂には、上記ポリカーボネート樹脂を50重量%以上含むことが好ましい。
また、ポリカーボネート系樹脂は1〜20g/10分のMFRを有していることが好ましい。この範囲の樹脂は発泡に適しており、より高発泡化させやすい。より好ましいMFRの範囲は、2〜15g/10分である。
発泡粒子の形状は特に限定されない。例えば、球状、円柱状等が挙げられる。この内、できるだけ球状に近いことが好ましい。即ち、発泡粒子の短径と長径との比ができるだけ1に近いことが好ましい。
発泡粒子は、1〜20mmの平均粒子径を有していることが好ましい。
発泡粒子は、発泡性ガス含浸樹脂粒子(以下、発泡性粒子ともいう)に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得、発泡性粒子を発泡させることにより得ることができる。
1−4−1.発泡性ガス含浸樹脂粒子の製造
発泡性粒子は、ポリカーボネート系樹脂製の樹脂粒子に発泡剤を含浸させることにより得ることができる。
樹脂粒子は、公知の方法により得ることができる。例えば、ポリカーボネート系樹脂を、必要に応じて他の添加剤と共に、押出機中で溶融混練して押出すことでストランドを得、得られたストランドを、空気中でカット、水中でカット、加熱しつつカットすることで、造粒する方法が挙げられる。樹脂粒子には、市販の樹脂粒子を使用してもよい。樹脂粒子には、必要に応じて、樹脂以外に他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤としては、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、充填剤、着色剤、耐候剤、老化防止剤、滑剤、防曇剤、香料等が挙げられる。
発泡剤の含有量(含浸量)は、ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して、3〜15重量部であることが好ましい。発泡剤の含有量が3重量部未満であると、発泡力が低くなり、良好に発泡させ難いことがある。含有量が15重量部を超えると、可塑化効果が大きくなり、発泡時に収縮が起こりやすく、生産性が悪くなると共に、安定して所望の発泡倍数を得難くなることがある。より好ましい発泡剤の含有量は、4〜12重量部である。
含浸を効率的に行い、より一層良好な発泡粒子及び発泡成形体を得る観点からは、含浸圧は0.5〜10MPa(ゲージ圧)であることが好ましい。1〜4.5MPa(ゲージ圧)であることがより好ましい。
上記結合防止剤(合着防止剤)は、発泡工程において、発泡粒子同士の合着を防止する役割を果たす。ここで、合着とは、複数の発泡粒子が合一して一体化することをいう。上記結合防止剤の具体例としては、タルク、炭酸カルシウム、及び水酸化アルミニウム等が挙げられる。
上記帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル及びステアリン酸モノグリセリド等が挙げられる。
上記展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール及びシリコンオイル等が挙げられる。
発泡性ガス含浸樹脂粒子を発泡させて発泡粒子(1次発泡粒子)を得る方法としては、発泡性ガス含浸樹脂粒子を熱風、オイルの様な熱媒、そしてスチーム(水蒸気)等により加熱して発泡させる方法がある。安定的に製造する為には、スチームが好ましい。
発泡時の発泡機には密閉耐圧の発泡容器を使用することが好ましい。また、スチームの圧力は0.10〜0.80MPa(ゲージ圧)であることが好ましく、0.25〜0.45MPa(ゲージ圧)であることがより好ましい。発泡時間は所望の発泡倍数を得るのに必要な時間であればよい。好ましい発泡時間は、5〜180秒である。180秒を超えると発泡粒子の収縮が始まることがあり、そのような発泡粒子からは良好な物性の発泡成形体が得られないことがある。
上記合着防止剤は成形前に除去してもよい。除去方法としては、水、塩酸等の酸性水溶液を用いて洗浄することが好ましい。
上記発泡粒子の製造工程の内、含浸条件(含浸圧、含浸時間、含浸温度)、1次発泡条件(発泡圧、発泡時間)を調整することで気泡密度Xを大きく又は小さくすることができる。
発泡成形体は、ポリカーボネート系樹脂を基材樹脂とし、特定の気泡密度Xを有する。また、発泡成形体は、複数の発泡粒子から構成される。
2−1.気泡密度X
気泡密度Xは、発泡成形体を構成する発泡粒子から算出される。気泡密度Xは、上記発泡粒子と同様、下記式:
気泡密度X=(ρ/D−1)/{(4/3)・π・(C/10/2)3}
から算出できる。ここで、Dは、発泡成形体の密度である。
更に、平均気泡径C及びポリカーボネート系樹脂の密度ρの好ましい範囲、その範囲とした理由、より好ましい範囲、更に好ましい範囲は、上記発泡粒子のそれぞれと同様である。
発泡成形体の密度Dは、12〜600kg/m3の範囲であることが好ましい。密度Dが12kg/m3未満の場合、気泡膜が薄くなり2次発泡時に気泡膜が破れ、連続気泡の割合が増え、成形体としての強度劣化に繋がることがある。密度Dが600kg/m3より大きい場合、気泡膜が厚くなり2次発泡性の低下や成形時の発泡粒同士の融着性が低下する事がある。より好ましい見かけ密度Dは24〜240kg/m3であり、更に好ましい見かけ密度Dは30〜120kg/m3である。
ポリカーボネート系樹脂は、上記発泡粒子と同じポリカーボネート系樹脂を使用できる。
2−3.発泡成形体の形状
発泡成形体は、特に限定されず、用途に応じて種々の形状をとり得る。例えば、発泡成形体は、建材(土木関係、住宅関係等)、自動車構造部材、風車、ヘルメット等の構造部材、梱包材、複合部材としてのFRPの芯材等の用途に応じて種々の形状をとり得る。
発泡成形体は、例えば、上記発泡粒子の気泡を押し広げる力を付与させ、次いでこの発泡粒子を成形工程に付すことで得ることができる。
発泡成形体を作製する前に、発泡粒子内に発泡剤を含浸させ発泡力(2次発泡力)を付与することが好ましい。
含浸方法としては、発泡粒子を水系に分散させ撹拌させながら発泡剤を圧入することで含浸させる湿式含浸法や、密閉可能な容器に発泡粒子を投入し、発泡剤を圧入して含浸させる実質的に水を使用しない乾式含浸法(気相含浸法)等が挙げられる。特に水を使用せずに含浸できる乾式含浸法が好ましい。発泡粒子に発泡剤を含浸させる際の含浸圧、含浸時間及び含浸温度は特に限定されない。
内圧を付与するための圧力は、発泡粒子がつぶれてしまわない程度の圧力でかつ発泡力を付与できる範囲であることが望ましい。そのような圧力は、0.1〜4MPa(ゲージ圧)であることが好ましく、0.3〜3MPa(ゲージ圧)であることがより好ましい。このように発泡粒に発泡剤を含浸することを内圧付与とする。
水蒸気の圧力は、0.2〜0.5MPa(ゲージ圧)であることが好ましい。また、加熱時間は、10〜90秒であることが好ましく、20〜80秒であることがより好ましい。
なお、気泡密度Xの調整は、上記特定の気泡密度Xを有する発泡粒子を使用すること以外に、発泡成形体の製造工程の内、含浸条件(含浸温度、含浸時間、含浸圧)、1次発泡条件(発泡圧、発泡時間)を調整することで気泡密度Xを大きくすることができる。また、含浸条件(含浸温度、含浸時間、含浸圧)、1次発泡条件(発泡圧、発泡時間)を調整することで気泡密度Xを小さくすることができる。
[ポリカーボネート系樹脂の密度の測定]
ポリカーボネート系樹脂の密度はISO1183−1:2004、もしくは、ASTM D−792に規定した方法で測定する。
メルトフローレイト(MFR)は、東洋精機製作所社製「セミオートメルトインデクサー2A」を用いて測定し、JIS K7210:1999「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」B法に記載のb)ピストンが所定の距離を移動する時間を測定する方法に準拠して測定される。具体的には、測定条件は、試料3〜8g、予熱270秒、ロードホールド30秒、試験温度300℃、試験荷重11.77N、ピストン移動距離(インターバル)25mmとする。試料の試験回数は3回とし、その平均をメルトフローレイト(g/10分)の値とする。なお、測定試料は、真空乾燥機にて120℃で、100kPaの減圧下、5時間の条件で乾燥をしたものを測定で用いる。
平均粒子径とはD50で表現される値である。
具体的には、ロータップ型篩振とう機(飯田製作所社製)を用いて、篩目開き26.5mm、22.4mm、19.0mm、16.0mm、13.2mm、11.20mm、9.50mm、8.80mm、6.70mm、5.66mm、4.76mm、4.00mm、3.35mm、2.80mm、2.36mm、2.00mm、1.70mm、1.40mm、1.18mm、1.00mm、0.85mm、0.71mm、0.60mm、0.50mm、0.425mm、0.355mm、0.300mm、0.250mm、0.212mm及び0.180mmのJIS標準篩(JIS Z8801:2006)で試料約25gを10分間分級し、篩網上の試料重量を測定する。得られた結果から累積重量分布曲線を作成し、累積重量が50%となる粒子径(メディアン径)を平均粒子径とする。
1次発泡によって得られた発泡粒子を抜き取る。この発泡粒子を任意の方向に切断し、切り出した断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製「S−3400N」)にて10〜200倍に拡大して撮影する。撮影した画像をA4用紙上に印刷し、任意の気泡を10個選択し、平均値を算出する。この数値を平均気泡径とする。
[発泡成形体の平均気泡径の測定]
縦400mm×横300mm×厚さ30mmの成形体中央部から縦50mm×横50mm×厚さ30mmを切り出し、切り出した成形体片の厚み方向、断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製「S−3400N」)にて10〜200倍に拡大して撮影する。撮影した画像をA4用紙上に印刷し、任意の気泡を10個選択し、平均値を算出する。この数値を平均気泡径とする。
発泡粒子約1000cm3を、メスシリンダー内に1000cm3の目盛りまで充填する。なお、メスシリンダーを水平方向から目視し、発泡粒子が1つでも1000cm3の目盛りに達していれば、その時点で発泡粒子のメスシリンダー内への充填を終了する。次に、メスシリンダー内に充填した発泡粒子の重量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をWgとする。そして、下記式により発泡粒子の嵩密度は求められる。
見かけ密度(kg/m3)=(W×1000)/1000×(0.01)3
嵩倍数は嵩密度の逆数にポリカーボネート系樹脂の密度(kg/m3)を積算した値である。
発泡成形体(成形後、40℃で20時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例75×300×30mm)の質量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(kg/m3)を求める。
倍数は密度の逆数にポリカーボネート系樹脂の密度(kg/m3)を積算した値である。
成形時の加熱終了時点から、発泡成形体の単位面積当たりの発泡圧力が0kgf/cm2になるまでの真空冷却時間を以下の基準で評価する。
○:長時間(41秒以上)
△:中程度(21秒〜40秒)
×:短時間(20秒以下)
なお、発泡成形体の単位面積当たりの発泡圧力が加熱直後に0kgf/cm2になるまでの時間が長いことは、発泡粒子の発泡力が高く、その結果、発泡粒子同士の融着性が高くなることを意味する。
発砲成形体に30cmの高さから1kgの鉄球を落下させた後、発泡成形体の状態を以下の基準で評価する。
○:成形体表面は凹むが破断しない。
△:成形体表面や内部にヒビは入るが破断しない。
×:成形体は破断する。
外観は、次のように評価する。即ち、発泡成形体から任意に50mm×50mmの表皮付試験片を切り出し、試験片表面(表皮面)の粒子間の個数を計測する。ここで、粒子間とは発泡粒子が3個以上で接している接点のことをいう。次に、粒子間のピンホール(くぼみ)の個数を計測する。粒子間の個数とピンホールの個数から、以下の式により発泡成形体のノビを算出する。ここでのピンホール(くぼみ)は、発泡成形体製造時に金型に接していた表面から2mm以上凹んでいる、もしくは、2mm以上のくぼみの幅(但し、金型に接していた表面側の幅)が存在する部分の事を示す。
発泡成形体のノビ=(1−粒子間ピンホール個数/全粒子間個数)×5
算出されたノビ値を以下の基準で評価する。
外観○:4個以上(表面が滑らか。発泡粒同士が接着しており、発泡粒形状が確認し難い。)
外観×:4個未満(表面に凹凸が生じている。発泡粒の形状が確認できる。ポーラス状である。粒子の形状がそのまま残っている。)
成形性は、2次発泡性により以下の基準で評価する。2次発泡性は、以下の式より算出する。なお、2次発泡粒子の発泡倍率は、内圧付与工程を済ました1次発泡粒子を、0.34MPaで30秒間、水蒸気で加熱することにより示される2次発泡粒子の発泡倍率を意味する。
2次発泡倍率(倍)=(2次発泡粒子の発泡倍率)/(1次発泡粒子の発泡倍率)
○:2倍以上。
△:1.5倍〜2倍。
×:1.5倍以下。
(含浸工程)
ポリカーボネート系樹脂として、レキサン153(SABIC社製、密度1.2×103kg/m3、MFR4g/10分、平均粒子径3mm)100重量部(1000g)を密閉可能な10Lの圧力容器に投入し、炭酸ガスを用いて圧力容器内をゲージ圧4MPaまで昇圧させ、20℃で24時間保持して発泡性粒子を得た。
(発泡工程)
含浸終了後、圧力容器内の炭酸ガスをゆっくりと除圧し内部の発泡性粒子を取出した。直ちに結合防止剤としての0.3重量部(3g)の炭酸カルシウムと発泡性粒子100重量部(1000g)とを混合した。その後、撹拌機付きの高圧発泡機に発泡性粒子を投入し、撹拌しながら0.34MPaの水蒸気を120秒用いて発泡させることで、嵩倍数23倍(見かけ密度52kg/m3)の発泡粒子(平均粒子径6mm:1次発泡粒子)を得た。
得られた発泡粒子の表面を0.01N−塩酸を用いて洗浄し乾燥させた後、10Lの圧力容器に投入し、密閉した。窒素ガスを用いて密閉した圧力容器内を0〜20℃でゲージ圧1MPaまで昇圧させ24時間放置して内圧付与することで発泡粒子(2次発泡粒子)を得た。
内圧付与を実施した圧力容器内の窒素ガスをゆっくり除圧し、発泡粒子を取出し、直ちに高圧成形機を用いて発泡成形を実施した。縦400mm×横300mm×厚さ30mmの内寸の成形用金型内に発泡粒子を充填し、0.30〜0.35MPaの水蒸気を60秒導入して加熱し、1秒間の放冷後、10秒間水冷を行い、金型内で真空冷却することで倍数16倍(密度75kg/m3)の発泡成形体を得た。
ポリカーボネート系樹脂として、SABIC社製のレキサン101R(密度1.2×103kg/m3、MFR9g/10分、平均粒子径3mm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして嵩倍数14倍(見かけ密度86kg/m3)の1次発泡粒子(平均粒子径5mm)及び倍数13倍(密度92kg/m3)の発泡成形体を得た。
<実施例3>
ポリカーボネート系樹脂として、SABIC社製のレキサン121R(密度1.2×103kg/m3、MFR15g/10分、平均粒子径3mm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして嵩倍数16倍(見かけ密度75kg/m3)の1次発泡粒子(平均粒子径5mm)及び倍数14倍(密度86kg/m3)の発泡成形体を得た。
ポリカーボネート系樹脂として、SABIC社製のレキサン131(密度1.2×103kg/m3、MFR3g/10分、平均粒子径3mm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして嵩倍数14倍(見かけ密度86kg/m3)の1次発泡粒子(平均粒子径5mm)及び倍数13倍(密度92kg/m3)の発泡成形体を得た。
<実施例5>
ポリカーボネート系樹脂として、バイエル社製のマクロロンWB1439(密度1.2×103kg/m3、MFR3g/10分、平均粒子径3mm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして嵩倍数21倍(見かけ密度57kg/m3)の1次発泡粒子(平均粒子径6mm)及び倍数20倍(密度60kg/m3)の発泡成形体を得た。
ポリカーボネート系樹脂として、帝人社製のパンライトX0730(密度1.2×103kg/m3、MFR3g/10分、平均粒子径3mm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして嵩倍数30倍(見かけ密度40kg/m3)の1次発泡粒子(平均粒子径6.5mm)及び倍数24倍(密度50kg/m3)の発泡成形体を得た。
<比較例2>
ポリカーボネート系樹脂として、帝人社製のパンライトL−1250Y(密度1.2×103kg/m3、MFR8g/10分、平均粒子径3mm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして嵩倍数25倍(見かけ密度48kg/m3)の1次発泡粒子(平均粒子径6mm)及び倍数21倍(密度57kg/m3)の発泡成形体を得た。
ポリカーボネート系樹脂として、帝人社製のパンライトL−1225L(密度1.2×103kg/m3、MFR19g/10分、平均粒子径3mm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして嵩倍数12倍(見かけ密度100kg/m3)の1次発泡粒子(平均粒子径5mm)及び倍数10倍(密度120kg/m3)の発泡成形体を得た。
<比較例4>
ポリカーボネート系樹脂として、三菱エンジアニンリングプラスチックス社製のノバレックスM7027U(密度1.2×103kg/m3、MFR5g/10分、平均粒子径3mm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして嵩倍数27倍(見かけ密度44kg/m3)の1次発泡粒子(平均粒子径6.5mm)及び倍数25倍(密度48kg/m3)の発泡成形体を得た。
ポリカーボネート系樹脂として、三菱エンジアニンリングプラスチックス社製のユーピロンS−1000N(密度1.2×103kg/m3、MFR8g/10分、平均粒子径3mm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして嵩倍数24倍(見かけ密度50kg/m3)の1次発泡粒子(平均粒子径6mm)及び倍数19倍(密度63g/m3)の発泡成形体を得た。
<比較例6>
ポリカーボネート系樹脂として、三菱エンジアニンリングプラスチックス社製のユーピロンS−2000N(密度1.2×103kg/m3、MFR10g/10分、平均粒子径3mm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして嵩倍数20倍(見かけ密度60kg/m3)の1次発泡粒子(平均粒子径5.5mm)及び倍数18倍(密度67kg/m3)の発泡成形体を得た。
ポリカーボネート系樹脂として、三菱エンジアニンリングプラスチックス社製のユーピロンS−3000N(密度1.2×103kg/m3、MFR15g/10分、平均粒子径3mm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして嵩倍数15倍(見かけ密度80kg/m3)の1次発泡粒子(平均粒子径5mm)及び倍数14倍(密度86kg/m3)の発泡成形体を得た。
図1(a):実施例1、図2(a):実施例2、図3(a):実施例3、図4(a):実施例4、図5(a):実施例5、図6(a):比較例1、図7(a):比較例2、図8(a):比較例3、図9(a):実施例4、図10(a):比較例5、図11(a):比較例6、図12(a):比較例7は10倍の写真である。
図1(b):実施例1は80倍、図2(b):実施例2は100倍、図3(b):実施例3、図4(b):実施例4、図5(b):実施例5は150倍、図13は200倍の写真である。
図6(b):比較例1は60倍、図7(b):比較例2、図8(b):比較例3、図10(b):比較例5、図11(b):比較例6、図12(b):比較例7、図9(a):比較例4は40倍の写真である。
Claims (4)
- ポリカーボネート系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子であって、
前記発泡粒子が、1.0×108〜1.0×1012個/cm3の気泡密度X[気泡密度Xは、下記式:
気泡密度X=(ρ/D−1)/{(4/3)・π・(C/10/2)3}
(式中、Cは平均気泡径(mm)、ρはポリカーボネート系樹脂の密度(kg/m3)、Dは発泡粒子の見かけ密度(kg/m3)を意味する)
により算出する]を有し、
前記平均気泡径が0.016〜0.2000mmであることを特徴とする発泡粒子。 - 前記ポリカーボネート系樹脂の密度が1.0×103〜1.4×103kg/m3であり、前記発泡粒子の見かけ密度が12〜600kg/m3である請求項1に記載の発泡粒子。
- ポリカーボネート系樹脂を基材樹脂とし、複数の発泡粒子から構成される発泡成形体であって、
前記発泡成形体が、1.0×108〜1.0×1012個/cm3の気泡密度X[気泡密度Xは、下記式:
気泡密度X=(ρ/D−1)/{(4/3)・π・(C/10/2)3}
(式中、Cは平均気泡径(mm)、ρはポリカーボネート系樹脂の密度(kg/m3)、Dは発泡成形体の密度(kg/m3)を意味する)
により算出する]を有し、
前記平均気泡径が0.016〜0.2000mmであることを特徴とする発泡成形体。 - 前記発泡成形体が、請求項1又は2に記載の発泡粒子から得られる請求項3に記載の発泡成形体。
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