JP2018052918A - 不飽和結合含有シラン化合物の精製方法及び製造方法 - Google Patents

不飽和結合含有シラン化合物の精製方法及び製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不飽和結合含有シラン化合物とテトラヒドロフランを含む混合物から、高純度の不飽和結合含有シラン化合物を得ることが可能な精製方法を提供することを目的とする。【解決手段】下記一般式(1)で示される少なくとも1種の不飽和結合含有シラン化合物と、テトラヒドロフランと、前記不飽和結合含有シラン化合物及びテトラヒドロフランより沸点の高い高沸点溶媒と、の混合物に対して、蒸留を行うことを特徴とする不飽和結合含有シラン化合物の精製方法を用いる。Si(R1)x(R2)4−x(1)〔一般式(1)中、R1はそれぞれ互いに独立して、炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。R2はそれぞれ互いに独立して、フッ素基、炭素数が1以上10以下の直鎖又は分岐状のアルキル基から選択され、前記アルキル基はフッ素原子及び/又は酸素原子を有していてもよい。xは2以上4以下の整数である。〕【選択図】なし

Description

本発明は、不飽和結合含有シラン化合物の純度を向上させる精製方法などに関するものである。
不飽和結合含有シラン化合物は、ポリオレフィンのコモノマーとして使用される工業的に有用な製品であり、近年リチウムイオン電池用電解液の添加剤としても利用されつつある。
不飽和結合含有シラン化合物の製造方法として、さまざまな方法が提案されている。特許文献1では、典型元素金属および/または金属化合物類を触媒とする不均化反応によりヒドロシラン化合物からビニルシラン化合物を製造する方法が記載されている。
他に、特許文献2では、アセチレン化合物と少なくとも1つ水素を有するシラン化合物とをチタン化合物存在下で反応させることによる位置および立体選択性を制御したビニルシラン化合物の製造方法が記載されている。
また、非特許文献1では、グリニャール反応を利用し、ハロゲン化シランとビニルマグネシウムクロリド(以下、ビニルグリニャール試薬とも呼ぶ)とを加熱還流してビニルシラン化合物を合成する方法が記載されている。
また、ハロゲン化シランをアルカリ金属アセチリドと反応させてエチニルシラン化合物を合成する方法が知られている。例えば、特許文献3には、ヨウ化シラン(SiHI)をナトリウムアセチリド(NaC≡CH)と反応させることで、SiHC≡CHを得ることができ、さらに、ヒドロシラン類とアセチレン類とを金属酸化物の存在下に反応させることにより、エチニルシラン化合物を製造する方法が記載されている。
また、特許文献4では、モノハロゲン化シランを溶媒中でアルカリ金属アルコキシドと反応させ、オルガノモノアルコキシシランを合成する方法が開示されている。
特開2000−143677号公報 特開2004−256494号(特許第4296006号)公報 特開平5−194541号公報 特開2001−335588号公報
Sanders D. Rosenberg, John J. Walburn, Theodore D. Stankovich, Allen E. Balint, Hugh E. Ramsden, Journal of Organic Chemistry, 22 (10), 1200-1202; 1957
グリニャール反応を利用して不飽和結合含有シラン化合物を合成する場合、グリニャール試薬の合成はテトラヒドロフラン中で行われることが多い。同様に、アルカリ金属アセチリドやアルカリ金属アルコキシドも、テトラヒドロフラン中で合成されることが多い。そのため、テトラヒドロフラン存在下でグリニャール試薬や、アルカリ金属アセチリド、アルカリ金属アルコキシドを利用して得られた生成物は、不飽和結合含有シラン化合物とテトラヒドロフランと未反応物などの混合物となっている。その場合、未反応物等は蒸留により容易に除去できるが、不飽和結合含有シラン化合物とテトラヒドロフランとを蒸留によって分離することが難しいという問題点があった。
本発明は、不飽和結合含有シラン化合物とテトラヒドロフランを含む混合物から、高純度のシラン化合物を得ることが可能な精製方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、不飽和結合含有シラン化合物とテトラヒドロフランと、不飽和結合含有シラン化合物やテトラヒドロフランよりも沸点の高い高沸点溶媒の三成分系の混合物の蒸留を行うと、不飽和結合含有シラン化合物とテトラヒドロフランの二成分系の混合物を蒸留する場合よりも高純度の不飽和結合含有シラン化合物を得られることを見出し、本発明を着想した。
本発明は、下記一般式(1)で示される少なくとも1種の不飽和結合含有シラン化合物と、テトラヒドロフランと、前記不飽和結合含有シラン化合物及びテトラヒドロフランより沸点の高い高沸点溶媒と、の混合物に対して、蒸留を行うことを特徴とする不飽和結合含有シラン化合物の精製方法である。
Si(R(R4−x (1)
〔一般式(1)中、Rはそれぞれ互いに独立して、炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。Rはそれぞれ互いに独立して、フッ素基、炭素数が1以上10以下の直鎖又は分岐状のアルキル基から選択され、前記アルキル基はフッ素原子及び/又は酸素原子を有していてもよい。xは2以上4以下の整数である。〕
本発明では、シラン化合物とテトラヒドロフランの二成分系でなく、さらに高沸点溶媒を含む三成分系とすることで、シラン化合物とテトラヒドロフランの相対揮発度を変化させ、蒸留で分離しにくいシラン化合物とテトラヒドロフランを分離しやすくすることができ、高純度のシラン化合物の組成物を得ることができる。さらに、高沸点溶媒がシラン化合物やテトラヒドロフランよりも沸点が高いため、蒸留時に高沸点溶媒が釜に残り、蒸留操作が容易となる。
本発明により、不飽和結合含有シラン化合物とテトラヒドロフランを含む混合物から、高純度の不飽和結合含有シラン化合物を得ることが可能な精製方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の一例であり、これらの具体的内容に限定はされない。その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明は、下記一般式(1)で示される少なくとも1種の不飽和結合含有シラン化合物と、テトラヒドロフランと、前記不飽和結合含有シラン化合物及びテトラヒドロフランより沸点の高い高沸点溶媒と、の混合物に対して、蒸留を行うことを特徴とする不飽和結合含有シラン化合物の精製方法である。
Si(R(R4−x (1)
〔一般式(1)中、Rはそれぞれ互いに独立して、炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。Rはそれぞれ互いに独立して、フッ素基、炭素数が1以上10以下の直鎖又は分岐状のアルキル基から選択され、前記アルキル基はフッ素原子及び/又は酸素原子を有していてもよい。xは2以上4以下の整数である。〕
蒸留の際には、混合物を高沸点溶媒の沸点未満の温度に加熱する。なお、1回の蒸留で必要な純度まで到達しない場合、複数回の蒸留を行ってもよい。
なお、本発明では、不飽和結合含有シラン化合物の分解を抑制するために、低温でも蒸留できるように5kPa以上50kPa以下の減圧度の減圧環境で蒸留を行うことが好ましい。
不飽和結合含有シラン化合物がテトラヒドロフランよりも沸点が高い場合、最初にテトラヒドロフランが蒸発し、その後、不飽和結合含有シラン化合物が蒸発し、本留として精製された不飽和結合含有シラン化合物が得られる。高沸点溶媒は釜残となるため、不飽和結合含有シラン化合物の蒸発中に液体の高沸点溶媒が残り、加熱を効率的に行うことができる。特に、蒸留の初期は、減圧度を高め(例えば、25kPa以上50kPa以下など)かつ温度を低め(例えば、25℃以上100℃以下)に設定して、主にテトラヒドロフランを除去し、次第に減圧度を下げながら温度を上げ、蒸留の終期には減圧度を低め(例えば、5kPa以上25kPa以下など)かつ温度を高め(例えば、100℃以上150℃以下)に設定することが好ましい。
シラン化合物の一般式(1)中のRが、ビニル基(即ち、HC=CH−で表されるエテニル基である)、アリル基(即ち、HC=CH−CH−で表される2−プロペニル基である)、エチニル基(HC≡C−で表される)、プロパルギル基(即ち、HC≡C−CH−で表される2−プロピニル基である)、1−プロピニル基(HC−C≡C−で表される)、トリメチルシリルエチニル基((HC)−Si−C≡C−で表される)、及びプロパルギルオキシ基(即ち、HC≡C−CH−O−で表される2−プロピニルオキシ基)からなる群から選ばれるいずれか一種以上であることが好ましい。特にRが、ビニル基、エチニル基及び2−プロピニルオキシ基からなる群から選ばれるいずれか一種以上であることが特に好ましい。
一般式(1)で示される不飽和結合含有シラン化合物としては、より具体的には以下の化合物が挙げられる。例えば、化合物(1−2)であるトリビニルメチルシラン(沸点101〜102℃)、化合物(1−6)であるテトラビニルシラン(沸点130℃)、化合物(1−20)であるトリビニルフルオロシラン(沸点107℃)、化合物(1−27)であるトリエチニルメチルシラン、化合物(1−33)であるトリ(2−プロピニルオキシ)メチルシランを用いることができる。但し、本発明で用いられるシラン化合物は、以下の例示によりなんら制限を受けるものではない。
Figure 2018052918
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上記一般式(1)で示される不飽和結合含有シラン化合物は、シラノール基又は加水分解性基を有するシラン化合物と、炭素−炭素不飽和結合を有するグリニャール試薬を反応させて、シラノール基又は加水分解性基を炭素−炭素不飽和結合を有する基に置換して製造することができる。加水分解性基としては、加水分解してシラノール基を生じる置換基であれば特に限定されないが、一例としてクロロ基を挙げることができる。例えば、不飽和結合含有シラン化合物としてトリビニルメチルシラン、トリビニルフルオロシラン、テトラビニルシランを合成する場合、それぞれ、トリクロロメチルシラン、トリクロロフルオロシラン、テトラクロロシランにビニルグリニャール試薬を反応させて得ることができる。ビニルグリニャール試薬は、マグネシウムと塩化ビニルを反応させることで得ることができる。また、ビニルグリニャール試薬として、臭素を利用したビニルマグネシウムブロミドを使用することもできる。
また、上記一般式(1)で示される不飽和結合含有シラン化合物のうち、エチニル基がシリコン原子と結合するシラン化合物は、ハロゲン化シラン化合物と、アルカリ金属アセチリドを反応させて、ハロゲン基を炭素−炭素不飽和結合を有する基に置換して製造することができる。アルカリ金属アセチリドとしては、リチウムアセチリド、ナトリウムアセチリド、カリウムアセチリドを使用することができる。
また、上記一般式(1)で示される不飽和結合含有シラン化合物のうち、炭素−炭素不飽和結合を有するアルコキシ基がシリコン原子と結合するシラン化合物は、ハロゲン化シラン化合物と、炭素−炭素不飽和結合を有するアルコキシ基のアルカリ金属アルコキシドを反応させて、ハロゲン基を炭素−炭素不飽和結合を有するアルコキシ基に置換して製造することができる。アルカリ金属アルコキシドは、アルコールに水素化アルカリ金属を反応させて得ることができる。アルカリ金属アルコキシドとしては、リチウムアセチリド、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシドを使用できる。
前記不飽和結合含有シラン化合物及びテトラヒドロフラン(沸点66℃)より沸点の高い高沸点溶媒が、エーテル系溶媒又は炭化水素系溶媒であることが好ましい。エーテル系溶媒としては、シクロペンチルメチルエーテル(沸点106℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点188℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点255℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点216℃、トリグライムとも呼ばれる)などを使用でき、炭化水素系溶媒としては、1,3,5−トリメチルベンゼン(沸点165℃、メシチレンとも呼ばれる)、1,2,4−トリメチルベンゼン(沸点169℃)、ジエチルベンゼン(オルト体(沸点183℃)、メタ体(沸点182℃)、パラ体(沸点184℃)のいずれも使用できこれらの混合物も使用できる。)、ブチルベンゼン(n−ブチルベンゼン(沸点183℃)とtert−ブチルベンゼン(169℃)のいずれも使用できこれらの混合物も使用できる)、1,3,5−トリエチルベンゼン(沸点212〜222℃)、ジイソプロピルベンゼン(オルト体(沸点204℃)、メタ体(沸点203℃)、パラ体(沸点210℃)のいずれも使用できこれらの混合物も使用できる。)などを使用できる。なお、以上に記載した沸点の値は大気圧(1atm)での値であり、減圧環境での沸点の値は上記の値よりも小さくなる。また、高沸点溶媒は、蒸留にて分離を容易にするため、不飽和結合含有シラン化合物の沸点よりも20℃以上、好ましくは30℃以上高い沸点を持つ溶媒を使用することが好ましい。
不飽和結合含有シラン化合物とテトラヒドロフランと高沸点溶媒の混合物中の、高沸点溶媒の含有量が、混合物中の不飽和結合含有シラン化合物の含有量よりも多いことが好ましく、質量比で2倍以上であることがより好ましい。高沸点溶媒の量が不飽和結合含有シラン化合物より少なすぎると、十分に蒸留を行えず、蒸留した不飽和結合含有シラン化合物の純度が低くなる。
不飽和結合含有シラン化合物とテトラヒドロフランと高沸点溶媒の混合物中のテトラヒドロフランの含有量が、1質量%以上90質量%以下であることが好ましく、10質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。テトラヒドロフランの量を少なくするためには、グリニャール試薬の合成や保管、不飽和結合含有シラン化合物の合成に特別な方法を用いる必要があり、効率的でない。一方で、テトラヒドロフランの量が多すぎると、蒸留に必要なエネルギーが過大となる。
蒸留により得られた不飽和結合含有シラン化合物の組成物中の不飽和結合含有シラン化合物の含有量が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。組成物にテトラヒドロフランや高沸点溶媒が含まれても、その合計の含有量が10質量ppm以上10質量%以下であることが好ましく、100質量ppm以上1質量%以下であることがより好ましい。テトラヒドロフランと高沸点溶媒のそれぞれの含有量を1質量ppm未満にまで精製するためには、蒸留を複数回繰り返す必要があるなど、不飽和結合含有シラン化合物の組成物を得るためのコストが高くなるため、通常は組成物中にテトラヒドロフランと高沸点溶媒のそれぞれの含有量が1質量ppm以上である。一方、合計の含有量が多すぎる場合、不飽和結合含有シラン化合物をリチウムイオン電池用電解液の添加剤として用いる場合、テトラヒドロフランや高沸点溶媒がリチウムイオン電池に悪影響を与える可能性がある。
本発明の精製方法を適用することで、純度90質量%以上の高純度な不飽和結合含有シラン化合物の組成物を得ることができる。また、精製工程を非水系で行うことで、不飽和結合含有シラン化合物の組成物の含水量を低減することができ、リチウムイオン電池用電解液の添加剤として適した不飽和含有シラン化合物の組成物を得ることができる。
また、蒸留装置の釜が空焚きになる事を防ぐため、不飽和結合含有シラン化合物とテトラヒドロフランの二成分系の混合物を蒸留する場合、不飽和結合含有シラン化合物を一部残さないといけないが、高沸点溶媒を含む三成分系では、釜に高沸点溶媒が残るため、不飽和結合含有シラン化合物を全て留出することができ、収率を高くすることができる。
また、不飽和結合含有シラン化合物とテトラヒドロフランと、不飽和結合含有シラン化合物よりも沸点の低い低沸点溶媒の三成分系では、蒸留時に不飽和結合含有シラン化合物とテトラヒドロフランだけでなく低沸点溶媒も揮発させなくてはならないため、多量のエネルギーが必要となるが、高沸点溶媒を用いた三成分系では、テトラヒドロフランと不飽和結合含有シラン化合物だけを揮発させればよいため、蒸留に必要なエネルギーを節約することが可能である。
上述の蒸留工程を含む不飽和結合含有シラン化合物の製造方法の一例として、以下の三つの方法を挙げることができる。
[第1の方法]
第1の不飽和結合含有シラン化合物の製造方法では、不飽和結合含有シラン化合物をテトラヒドロフラン中で合成する工程と、さらに高沸点溶媒を加える工程により混合物を得た後に、この混合物を蒸留する。
不飽和結合含有シラン化合物の合成においては、炭素−炭素不飽和結合を有するグリニャール試薬のテトラヒドロフラン溶液に対して、シラノール基又は加水分解性基を有するシラン化合物を供給して反応させて合成する方法を用いることができる。第1の方法では、グリニャール試薬がテトラヒドロフラン中で安定であるため、保管条件や反応条件などを厳密に制御しなくても不飽和結合含有シラン化合物を得ることができる。
また、不飽和結合含有シラン化合物のRがエチニル基である場合、アルカリ金属アセチリドのテトラヒドロフラン溶液に対して、ハロゲン化シランを供給して反応させて合成する方法を用いることができる。
また、不飽和結合含有シラン化合物のRが炭素−炭素不飽和結合を有するアルコキシ基である場合、炭素−炭素不飽和結合を有するアルコキシ基のアルカリ金属アルコキシドのテトラヒドロフラン溶液に対して、ハロゲン化シランを供給して反応させて合成する方法を用いることができる。
[第2の方法]
第2の不飽和結合含有シラン化合物の製造方法では、不飽和結合含有シラン化合物を、テトラヒドロフランと高沸点溶媒の混合溶媒中で合成する工程により混合物を得た後に、この混合物を蒸留する。
不飽和結合含有シラン化合物の合成においては、炭素−炭素不飽和結合を有するグリニャール試薬のテトラヒドロフランと高沸点溶媒の混合溶媒の溶液に対して、シラノール基又は加水分解性基を有するシラン化合物を供給して反応させて合成する。第2の方法では、第1の方法よりもテトラヒドロフランの量が減るため、蒸留に必要なエネルギーを減らすことができる。
また、不飽和結合含有シラン化合物のRがエチニル基である場合、アルカリ金属アセチリドのテトラヒドロフランと高沸点溶媒の混合溶媒の溶液に対して、ハロゲン化シランを供給して反応させて、不飽和結合含有シラン化合物を合成することができる。
また、不飽和結合含有シラン化合物のRが炭素−炭素不飽和結合を有するアルコキシ基である場合、炭素−炭素不飽和結合を有するアルコキシ基のアルカリ金属アルコキシドの、テトラヒドロフランと高沸点溶媒の混合溶媒の溶液に対して、ハロゲン化シランを供給して反応させて、不飽和結合含有シラン化合物を合成することができる。
[第3の方法]
第3の不飽和結合含有シラン化合物の製造方法では、炭素−炭素不飽和結合を有するグリニャール試薬をテトラヒドロフラン中で合成する工程と、グリニャール試薬の溶媒を高沸点溶媒に置換する工程と、高沸点溶媒及び残余のテトラヒドロフランの混合溶媒中で、シラノール基又は加水分解性基を有するシラン化合物とグリニャール試薬とを反応させて、不飽和結合含有シラン化合物を合成する工程により混合物を得た後に、この混合物を蒸留する。
また、不飽和結合含有シラン化合物のRがエチニル基である場合、アルカリ金属アセチリドをテトラヒドロフラン中で合成する工程と、アルカリ金属アセチリドの溶媒を高沸点溶媒に置換する工程と、高沸点溶媒及び残余のテトラヒドロフランの混合溶媒中で、ハロゲン化シランとアルカリ金属アセチリドとを反応させて、不飽和結合含有シラン化合物を合成する工程により混合物を得た後に、この混合物を蒸留する方法でも、不飽和結合含有シラン化合物を得ることができる。
また、不飽和結合含有シラン化合物のRが炭素−炭素不飽和結合を有するアルコキシ基である場合、炭素−炭素不飽和結合を有するアルコキシ基のアルカリ金属アルコキシドをテトラヒドロフラン中で合成する工程と、アルカリ金属アルコキシドの溶媒を高沸点溶媒に置換する工程と、高沸点溶媒及び残余のテトラヒドロフランの混合溶媒中で、ハロゲン化シランとアルカリ金属アルコキシドとを反応させて、不飽和結合含有シラン化合物を合成する工程により混合物を得た後に、この混合物を蒸留する方法でも、不飽和結合含有シラン化合物を得ることができる。
溶媒置換工程は特に限定されないが、高沸点溶媒を添加した後にテトラヒドロフランを減圧留去することが好ましい。溶媒置換後の高沸点溶媒とテトラヒドロフランの質量比は80:20〜99:1程度である。この範囲内であれば、溶媒置換の効果を得つつ、簡単な操作で到達可能である。
この方法では、溶媒置換をすることで、蒸留で揮発させるテトラヒドロフランの量が減るため、蒸留に必要なエネルギーを減らすことができる。しかし、テトラヒドロフラン以外のグリニャール試薬の溶液は、安定でない場合が多いため、保管条件や反応条件の制御等が難しくなるという問題もある。
また、不飽和結合含有シラン化合物を合成した後の溶媒は、高沸点溶媒の濃度が高いため、蒸留で留去した高沸点溶媒を、グリニャール試薬の溶媒を置換する高沸点溶媒として再利用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は係る実施例により限定されるものではない。
[実施例1−1:第3の方法]
フラスコにマグネシウム23.3g(0.96モル)、塩化ビニル66.3g(1.06モル)、テトラヒドロフラン750gを入れ、攪拌して、グリニャール試薬を合成した。その後、ジエチレングリコールジエチルエーテル650gを添加し、エバポレーターにて減圧濃縮し、溶媒置換を行った。溶媒置換後の混合溶媒中のテトラヒドロフランとジエチレングリコールジエチルエーテルの質量比は5:95であった。その後、冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに、溶媒置換したグリニャール試薬を入れ、滴下漏斗を用いてトリクロロメチルシラン43.4g(0.29モル)、ジエチレングリコールジエチルエーテル75gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、この塩を100gのジエチレングリコールジエチルエーテルで洗浄した。濾液をエバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、トリビニルメチルシラン4質量%とテトラヒドロフラン1質量%とジエチレングリコールジエチルエーテル95質量%を含む混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してトリビニルメチルシラン組成物22.5g(収率60%、GC純度96面積%)を得た。
[実施例1−2:第1の方法]
冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに塩化ビニルマグネシウム80.7g(0.93モル)、テトラヒドロフラン590gを入れ攪拌した後、滴下漏斗を用いてトリクロロメチルシラン61.3g(0.41モル)、テトラヒドロフラン200gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、濾液にジエチレングリコールジエチルエーテル500gを添加した後、エバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、トリビニルメチルシランとテトラヒドロフランとジエチレングリコールジエチルエーテルを含む混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度20kPaで100℃に加熱して蒸留してトリビニルメチルシラン組成物34.5g(収率65%、GC純度96面積%)を得た。
[実施例1−3:第2の方法]
冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに塩化ビニルマグネシウム109.4g(1.26モル)、テトラヒドロフラン590g、ジエチレングリコールジエチルエーテル500gを入れ攪拌した後、滴下漏斗を用いてトリクロロメチルシラン61.3g(0.41モル)、ジエチレングリコールジエチルエーテル150gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、この塩を100gのジエチレングリコールジエチルエーテルで洗浄した。濾液をエバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、トリビニルメチルシランとテトラヒドロフランとジエチレングリコールジエチルエーテルを主成分とする混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してトリビニルメチルシラン組成物31.9g(収率60%、GC純度96面積%)を得た。
[実施例1−4:第1の方法]
冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに塩化ビニルマグネシウム109.4g(1.26モル)、テトラヒドロフラン590gを入れ攪拌した後、滴下漏斗を用いてトリクロロメチルシラン61.3g(0.41モル)、テトラヒドロフラン200gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、濾液にメシチレン500gを添加した後、エバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、トリビニルメチルシランとテトラヒドロフランとメシチレンを主成分とする混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してトリビニルメチルシラン組成物32.9g(収率62%、GC純度96面積%)を得た。
[実施例1−5:第3の方法]
フラスコにマグネシウム23.3g(0.96モル)、塩化ビニル66.3g(1.06モル)、テトラヒドロフラン750gを入れ、攪拌して、グリニャール試薬を合成した。その後、ジエチレングリコールジブチルエーテル650gを添加し、エバポレーターにて減圧濃縮し、溶媒置換を行った。溶媒置換後の混合溶媒中のテトラヒドロフランとジエチレングリコールジブチルエーテルの質量比は5:95であった。その後、冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに、溶媒置換したグリニャール試薬を入れ、滴下漏斗を用いてトリクロロメチルシラン43.4g(0.29モル)、ジエチレングリコールジブチルエーテル75gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、この塩を100gのジエチレングリコールジブチルエーテルで洗浄した。濾液をエバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、トリビニルメチルシラン4質量%とテトラヒドロフラン1質量%とジエチレングリコールジブチルエーテル95質量%を含む混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してトリビニルメチルシラン組成物20.4g(収率55%、GC純度97面積%)を得た。
[比較例1−1]
冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに、塩化ビニルマグネシウム109.4g(1.26モル)、テトラヒドロフラン590gを入れ攪拌した後、滴下漏斗を用いてトリクロロメチルシラン61.3g(0.41モル)、テトラヒドロフラン200gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、濾液をエバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、トリビニルメチルシランとテトラヒドロフランを含む混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度20kPaで100℃に加熱して蒸留してトリビニルメチルシラン組成物47.0g(収率60%、GC純度65面積%)を得た。なお、空焚き防止のため、一部のトリビニルメチルシランを蒸留装置の釜に残した。
[実施例2−1:第3の方法]
フラスコにマグネシウム16.3g(0.67モル)、塩化ビニル46.3g(0.74モル)、テトラヒドロフラン750gを入れ、攪拌して、グリニャール試薬を合成した。その後、ジエチレングリコールジエチルエーテル650gを添加し、エバポレーターにて減圧濃縮し、溶媒置換を行った。溶媒置換後の混合溶媒中のテトラヒドロフランとジエチレングリコールジエチルエーテルの質量比は5:95であった。その後、冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに、溶媒置換したグリニャール試薬を入れ、滴下漏斗を用いてトリクロロフルオロシラン32.2g(0.21モル)、ジエチレングリコールジエチルエーテル75gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、この塩を100gのジエチレングリコールジエチルエーテルで洗浄した。濾液をエバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、トリビニルフルオロシラン4質量%とテトラヒドロフラン1質量%とジエチレングリコールジエチルエーテル95質量%を含む混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してトリビニルフルオロシラン組成物14.0g(収率50%、GC純度96面積%)を得た。
[実施例2−2:第1の方法]
冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに塩化ビニルマグネシウム80.7g(0.93モル)、テトラヒドロフラン590gを入れ攪拌した後、滴下漏斗を用いてトリクロロフルオロシラン46g(0.30モル)、テトラヒドロフラン200gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、濾液にジエチレングリコールジエチルエーテル500gを添加した後、エバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、トリビニルフルオロシランとテトラヒドロフランとジエチレングリコールジエチルエーテルを含む混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度20kPaで100℃に加熱して蒸留してトリビニルフルオロシラン組成物24.5g(収率60%、GC純度94面積%)を得た。
[実施例2−3:第2の方法]
冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに塩化ビニルマグネシウム80.7g(0.93モル)、テトラヒドロフラン590g、ジエチレングリコールジエチルエーテル500gを入れ攪拌した後、滴下漏斗を用いてトリクロロフルオロシラン46g(0.30モル)、ジエチレングリコールジエチルエーテル150gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、この塩を100gのジエチレングリコールジエチルエーテルで洗浄した。濾液をエバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、トリビニルフルオロシランとテトラヒドロフランとジエチレングリコールジエチルエーテルを主成分とする混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してトリビニルフルオロシラン組成物22.5g(収率55%、GC純度94面積%)を得た。
[実施例2−4:第1の方法]
冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに塩化ビニルマグネシウム80.7g(0.93モル)、テトラヒドロフラン590gを入れ攪拌した後、滴下漏斗を用いてトリクロロフルオロシラン46g(0.30モル)、テトラヒドロフラン200gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、濾液にメシチレン500gを添加した後、エバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、トリビニルフルオロシランとテトラヒドロフランとメシチレンを主成分とする混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してトリビニルフルオロシラン組成物24.8g(収率60%、GC純度93面積%)を得た。
[実施例2−5:第3の方法]
フラスコにマグネシウム16.3g(0.67モル)、塩化ビニル46.3g(0.74モル)、テトラヒドロフラン750gを入れ、攪拌して、グリニャール試薬を合成した。その後、ジエチレングリコールジブチルエーテル650gを添加し、エバポレーターにて減圧濃縮し、溶媒置換を行った。溶媒置換後の混合溶媒中のテトラヒドロフランとジエチレングリコールジブチルエーテルの質量比は5:95であった。その後、冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに、溶媒置換したグリニャール試薬を入れ、滴下漏斗を用いてトリクロロフルオロシラン32.2g(0.21モル)、ジエチレングリコールジブチルエーテル75gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、この塩を100gのジエチレングリコールジブチルエーテルで洗浄した。濾液をエバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、トリビニルフルオロシラン4質量%とテトラヒドロフラン1質量%とジエチレングリコールジブチルエーテル95質量%を含む混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してトリビニルフルオロシラン組成物12.8g(収率45%、GC純度95面積%)を得た。
[比較例2−1]
冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに、塩化ビニルマグネシウム80.7g(0.93モル)、テトラヒドロフラン590gを入れ攪拌した後、滴下漏斗を用いてトリクロロフルオロシラン46g(0.30モル)、テトラヒドロフラン200gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、濾液をエバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、トリビニルフルオロシランとテトラヒドロフランを含む混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度20kPaで100℃に加熱して蒸留してトリビニルフルオロシラン組成物33.0g(収率54%、GC純度63面積%)を得た。なお、空焚き防止のため、一部のトリビニルフルオロシランを蒸留装置の釜に残した。
[実施例3−1:第3の方法]
フラスコにマグネシウム24.3g(1.00モル)、塩化ビニル67.9g(1.09モル)、テトラヒドロフラン750gを入れ、攪拌して、グリニャール試薬を合成した。その後、ジエチレングリコールジエチルエーテル650gを添加し、エバポレーターにて減圧濃縮し、溶媒置換を行った。溶媒置換後の混合溶媒中のテトラヒドロフランとジエチレングリコールジエチルエーテルの質量比は5:95であった。その後、冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに、溶媒置換したグリニャール試薬を入れ、滴下漏斗を用いてテトラクロロシラン36.2g(0.21モル)、ジエチレングリコールジエチルエーテル75gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、この塩を100gのジエチレングリコールジエチルエーテルで洗浄した。濾液をエバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、テトラビニルシラン4質量%とテトラヒドロフラン1質量%とジエチレングリコールジエチルエーテル95質量%を含む混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してテトラビニルシラン組成物20.8g(収率72%、GC純度99面積%)を得た。
[実施例3−2:第1の方法]
冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに塩化ビニルマグネシウム109.4g(1.26モル)、テトラヒドロフラン590gを入れ攪拌した後、滴下漏斗を用いてテトラクロロシラン51g(0.30モル)、テトラヒドロフラン200gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、濾液にジエチレングリコールジエチルエーテル500gを添加した後、エバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、テトラビニルシランとテトラヒドロフランとジエチレングリコールジエチルエーテルを主成分とする混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してテトラビニルシラン組成物23.9g(収率68%、GC純度95面積%)を得た。
[実施例3−3:第2の方法]
冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに塩化ビニルマグネシウム109.4g(1.26モル)、テトラヒドロフラン590g、ジエチレングリコールジエチルエーテル500gを入れ攪拌した後、滴下漏斗を用いてテトラクロロシラン51g(0.30モル)、ジエチレングリコールジエチルエーテル150gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、この塩を100gのジエチレングリコールジエチルエーテルで洗浄した。濾液をエバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、テトラビニルシランとテトラヒドロフランとジエチレングリコールジエチルエーテルを主成分とする混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してテトラビニルシラン組成物28.9g(収率70%、GC純度99面積%)を得た。
[実施例3−4:第1の方法]
冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに塩化ビニルマグネシウム109.4g(1.26モル)、テトラヒドロフラン590gを入れ攪拌した後、滴下漏斗を用いてテトラクロロシラン51g(0.30モル)、テトラヒドロフラン200gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、濾液にメシチレン500gを添加した後、エバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、テトラビニルシランとテトラヒドロフランとメシチレンを主成分とする混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してテトラビニルシラン組成物29.2g(収率70%、GC純度98面積%)を得た。
[実施例3−5:第3の方法]
フラスコにマグネシウム24.3g(1.00モル)、塩化ビニル67.9g(1.09モル)、テトラヒドロフラン750gを入れ、攪拌して、グリニャール試薬を合成した。その後、ジエチレングリコールジブチルエーテル650gを添加し、エバポレーターにて減圧濃縮し、溶媒置換を行った。溶媒置換後の混合溶媒中のテトラヒドロフランとジエチレングリコールジブチルエーテルの質量比は5:95であった。その後、冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに、溶媒置換したグリニャール試薬を入れ、滴下漏斗を用いてテトラクロロシラン36.2g(0.21モル)、ジエチレングリコールジブチルエーテル75gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、この塩を100gのジエチレングリコールジブチルエーテルで洗浄した。濾液をエバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、テトラビニルシラン4質量%とテトラヒドロフラン1質量%とジエチレングリコールジブチルエーテル95質量%を含む混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してテトラビニルシラン組成物17.7g(収率60%、GC純度97面積%)を得た。
[比較例3−1]
冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに、塩化ビニルマグネシウム109.4g(1.26モル)、テトラヒドロフラン590gを入れ攪拌した後、滴下漏斗を用いてテトラクロロシラン51g(0.30モル)、テトラヒドロフラン200gを6時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化マグネシウム塩を濾過し、濾液をエバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、テトラビニルシラン5質量%とテトラヒドロフラン95質量%を含む混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してテトラビニルシラン組成物39.5g(収率58%、GC純度60面積%)を得た。なお、空焚き防止のため、一部のテトラビニルシランを蒸留装置の釜に残した。
[実施例4−1]
冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに、18wt%ナトリウムアセチリド―テトラヒドロフラン懸濁液85.3g(0.32モル)、テトラヒドロフラン100gを入れ攪拌した後、滴下漏斗を用いてトリクロロメチルシラン15g(0.10モル)、テトラヒドロフラン15gを1時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化ナトリウム塩を濾過で除去し、濾液にジエチレングリコールジエチルエーテル500gを添加した後、エバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、トリエチニルメチルシランとテトラヒドロフランとジエンチレングリコールジエチルエーテルを主成分とする混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してトリエチニルメチルシラン組成物8.5g(収率70%、GC純度97面積%)を得た。
[比較例4−1]
冷却コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた3つ口フラスコに、18wt%ナトリウムアセチリド―テトラヒドロフラン懸濁液 85.3g(0.32モル)、テトラヒドロフラン100gを入れ、滴下漏斗を用いてトリクロロメチルシラン15g(0.1モル)、テトラヒドロフラン15gを1時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化ナトリウム塩を濾過で除去した、濾液として得られた混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度20kPaで100℃に加熱して蒸留しトリエチニルメチルシラン組成物10.9g(収率60%、GC純度65面積%)を得た。なお、空焚き防止のため、一部のトリエチニルメチルシランを蒸留装置の釜に残した。
[実施例5−1]
フラスコにプロパルギルアルコール 6.7g(0.12モル)、水素化ナトリウム2.9g(0.12モル)、テトラヒドロフラン70gを添加した。その後、滴下漏斗を用いてトリクロロメチルシラン6.0g(0.04モル)、テトラヒドロフラン10gを1時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化ナトリウム塩を濾過で除去し、濾液にジエチレングリコールジブチルエーテル200gを添加した後、エバポレーターにて液体成分を蒸発・凝縮させて固形成分を除去して、トリ(2―プロピニルオキシ)メチルシランとテトラヒドロフランとジエンチレングリコールジブチルエーテルを主成分とする混合物を得た。この混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで125℃に加熱して蒸留してトリ(2―プロピニルオキシ)メチルシラン組成物6.0g(収率70%、GC純度97面積%)を得た。
[比較例5−1]
フラスコにプロパルギルアルコール 6.7g(0.12モル)、水素化ナトリウム2.9g(0.12モル)、テトラヒドロフラン70gを添加した。その後、滴下漏斗を用いてトリクロロメチルシラン6.0g(0.04モル)、テトラヒドロフラン10gを1時間かけて添加した。滴下後、室温で1時間攪拌を続けた。
反応後、副生成する塩化ナトリウム塩を濾過で除去した。濾液として得られた混合物を初期には減圧度30kPaで40℃に加熱し、終期には減圧度10kPaで110℃に加熱して蒸留しトリ(2―プロピニルオキシ)メチルシラン組成物6.9g(収率50%、GC純度60面積%)を得た。なお、空焚き防止のため、一部のトリ(2―プロピニルオキシ)メチルシランを蒸留装置の釜に残した。
実施例・比較例における、蒸留条件、蒸留後の組成物について、表1にまとめた。蒸留後の組成物中のビニルシラン化合物の純度、テトラヒドロフランと高沸点溶媒の含有量は、ガスクロマトグラフィーにより分析して得られた面積%である。なお、本系では、ガスクロマトグラフィーで測定した面積%が、質量%と近い数値となるため、上記の面積%は、質量%と読み替えることができる。なお、表中のTHFはテトラヒドロフランを、DGDEはジエチレングリコールジエチルエーテルを、DGDBはジエチレングリコールジブチルエーテルを意味する。
Figure 2018052918
実施例1−1〜1−5では、比較例1−1に比べて、高純度のトリビニルメチルシラン組成物を得ることができた。また、実施例1−1〜1−5では、比較例1−1に比べて、純度だけでなく収率も向上している。同様に実施例2−1〜2−5では、比較例2−1に比べて高純度のトリビニルフルオロシラン組成物を収率良く得ることができ、実施例3−1〜3−5では、比較例3−1に比べて高純度のテトラビニルシラン組成物を収率良く得ることができた。また、実施例4−1では、比較例4−1に比べて高純度のトリエチニルメチルシランを収率良く得ることができ、実施例5−1では、比較例5−1に比べて高純度のトリ(2−プロピニルオキシ)メチルシランを収率良く得ることができた。

Claims (17)

  1. 下記一般式(1)で示される少なくとも1種の不飽和結合含有シラン化合物と、テトラヒドロフランと、前記不飽和結合含有シラン化合物及びテトラヒドロフランより沸点の高い高沸点溶媒と、の混合物に対して、蒸留を行うことを特徴とする不飽和結合含有シラン化合物の精製方法。
    Si(R(R4−x (1)
    〔一般式(1)中、Rはそれぞれ互いに独立して、炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。Rはそれぞれ互いに独立して、フッ素基、炭素数が1以上10以下の直鎖又は分岐状のアルキル基から選択され、前記アルキル基はフッ素原子及び/又は酸素原子を有していてもよい。xは2以上4以下の整数である。〕
  2. 前記高沸点溶媒が、エーテル系溶媒及び炭化水素系溶媒からなる群から選ばれるいずれか一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の不飽和結合含有シラン化合物の精製方法。
  3. 前記エーテル系溶媒が、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル及びトリエチレングリコールジメチルエーテルからなる群から選ばれるいずれか一種以上であり、
    前記炭化水素系溶媒が、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ブチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン及びジイソプロピルベンゼンからなる群から選ばれるいずれか一種以上であることを特徴とする請求項2に記載の不飽和結合含有シラン化合物の精製方法。
  4. 前記混合物中の前記高沸点溶媒の含有量が、前記混合物中の前記不飽和結合含有シラン化合物の含有量よりも多いことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の不飽和結合含有シラン化合物の精製方法。
  5. 前記混合物中のテトラヒドロフランの含有量が、1質量%以上90質量%以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の不飽和結合含有シラン化合物の精製方法。
  6. 前記蒸留を減圧環境下で行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の不飽和結合含有シラン化合物の精製方法。
  7. 前記減圧環境が、5kPa以上50kPa以下の減圧度であることを特徴とする請求項6に記載の不飽和結合含有シラン化合物の精製方法。
  8. 前記不飽和結合含有シラン化合物の一般式(1)中のRが、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基、1−プロピニル基、トリメチルシリルエチニル基及びプロパルギルオキシ基からなる群から選ばれるいずれか一種以上であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の不飽和結合含有シラン化合物の精製方法。
  9. 前記不飽和結合含有シラン化合物の一般式(1)中のRが、ビニル基、エチニル基及びプロパルギルオキシ基からなる群から選ばれるいずれか一種以上であることを特徴とする請求項8に記載の不飽和結合含有シラン化合物の精製方法。
  10. 前記シラン化合物が、トリビニルメチルシラン、トリビニルフルオロシラン、テトラビニルシラン、トリエチニルメチルシラン及びトリ(2−プロピニルオキシ)メチルシランからなる群から選ばれるいずれか一種以上であり、
    前記高沸点溶媒が、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル及び1,3,5−トリメチルベンゼンからなる群から選ばれるいずれか一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の不飽和結合含有シラン化合物の精製方法。
  11. 下記一般式(1)で示される少なくとも1種の不飽和結合含有シラン化合物を、テトラヒドロフラン中で合成する工程と、
    合成後の混合物に対し、前記不飽和結合含有シラン化合物及びテトラヒドロフランより沸点の高い高沸点溶媒を加える工程と、
    得られた混合物を蒸留する工程と、
    を含むことを特徴とする不飽和結合含有シラン化合物の製造方法。
    Si(R(R4−x (1)
    〔一般式(1)中、Rはそれぞれ互いに独立して、炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。Rはそれぞれ互いに独立して、フッ素基、炭素数が1以上10以下の直鎖又は分岐状のアルキル基から選択され、前記アルキル基はフッ素原子及び/又は酸素原子を有していてもよい。xは2以上4以下の整数である。〕
  12. 下記一般式(1)で示される少なくとも1種の不飽和結合含有シラン化合物を、テトラヒドロフランと、前記不飽和結合含有シラン化合物及びテトラヒドロフランより沸点の高い高沸点溶媒の混合溶媒中で、合成する工程と、
    合成後の混合物を蒸留する工程と、
    を含むことを特徴とする不飽和結合含有シラン化合物の製造方法。
    Si(R(R4−x (1)
    〔一般式(1)中、Rはそれぞれ互いに独立して、炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。Rはそれぞれ互いに独立して、フッ素基、炭素数が1以上10以下の直鎖又は分岐状のアルキル基から選択され、前記アルキル基はフッ素原子及び/又は酸素原子を有していてもよい。xは2以上4以下の整数である。〕
  13. 前記不飽和結合含有シラン化合物が、トリビニルメチルシラン、トリビニルフルオロシラン、テトラビニルシラン、トリエチニルメチルシラン及びトリ(2−プロピニルオキシ)メチルシランからなる群から選ばれるいずれか一種以上であり、
    前記高沸点溶媒が、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル及び1,3,5−トリメチルベンゼンからなる群から選ばれるいずれか一種以上であることを特徴とする請求項9または10に記載のシラン化合物の製造方法。
  14. 下記一般式(1)で示される少なくとも1種の不飽和結合含有シラン化合物の製造方法であって、
    テトラヒドロフラン中で炭素−炭素不飽和結合を有するグリニャール試薬、アルカリ金属アセチリド又はアルカリ金属アルコキシドを合成する工程と、
    前記グリニャール試薬、アルカリ金属アセチリド又はアルカリ金属アルコキシドの溶媒を、前記不飽和結合含有シラン化合物及びテトラヒドロフランより沸点の高い高沸点溶媒に置換する工程と、
    前記高沸点溶媒及び残余のテトラヒドロフランの混合溶媒中で、シラノール基若しくは加水分解性基を有するシラン化合物と前記グリニャール試薬と、又は、ハロゲン化シランとアルカリ金属アセチリド若しくはアルカリ金属アルコキシドとを反応させて、前記不飽和結合含有シラン化合物を合成する工程と、
    合成後の混合物を蒸留する工程と、
    を含むことを特徴とする不飽和結合含有シラン化合物の製造方法。
    Si(R(R4−x (1)
    〔一般式(1)中、Rはそれぞれ互いに独立して、炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。Rはそれぞれ互いに独立して、フッ素基、炭素数が1以上10以下の直鎖又は分岐状のアルキル基から選択され、前記アルキル基はフッ素原子及び/又は酸素原子を有していてもよい。xは2以上4以下の整数である。〕
  15. 前記加水分解性基を有するシラン化合物又はハロゲン化シランがトリクロロメチルシラン、トリクロロフルオロシラン及びテトラクロロシランからなる群から選ばれるいずれか一種以上からなる群のいずれか一種以上であり、
    前記不飽和結合含有シラン化合物がトリビニルメチルシラン、トリビニルフルオロシラン、テトラビニルシラン、トリエチニルメチルシラン及びトリ(2−プロピニルオキシ)メチルシランからなる群から選ばれるいずれか一種以上であり、
    前記高沸点溶媒がジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル及び1,3,5−トリメチルベンゼンからなる群から選ばれるいずれか一種以上であることを特徴とする請求項14に記載の不飽和結合含有シラン化合物の製造方法。
  16. 下記一般式(1)で示される少なくとも1種の不飽和結合含有シラン化合物と、テトラヒドロフランと、前記不飽和結合含有シラン化合物及びテトラヒドロフランより沸点の高い高沸点溶媒と、を含む組成物であって、
    前記組成物中の前記不飽和結合含有シラン化合物の含有量が90質量%以上であり、
    前記組成物中のテトラヒドロフラン及び前記高沸点溶媒の含有量はそれぞれ1質量ppm以上であり、
    前記組成物中のテトラヒドロフラン及び前記高沸点溶媒の合計の含有量が10質量%以下であり、
    前記高沸点溶媒が、エーテル系溶媒及び炭化水素系溶媒からなる群のいずれか一種以上であることを特徴とする不飽和結合含有シラン化合物の組成物。
    Si(R(R4−x (1)
    〔一般式(1)中、Rはそれぞれ互いに独立して、炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。Rはそれぞれ互いに独立して、フッ素基、炭素数が1以上10以下の直鎖又は分岐状のアルキル基から選択され、前記アルキル基はフッ素原子及び/又は酸素原子を有していてもよい。xは2以上4以下の整数である。〕
  17. 前記不飽和結合含有シラン化合物が、トリビニルメチルシラン、トリビニルフルオロシラン、テトラビニルシラン、トリエチニルメチルシラン及びトリ(2−プロピニルオキシ)メチルシランからなる群から選ばれるいずれか一種以上であり、
    前記高沸点溶媒がジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル及び1,3,5−トリメチルベンゼンからなる群から選ばれるいずれか一種以上であることを特徴とする請求項16に記載の不飽和結合含有シラン化合物の組成物。
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