JP2018052889A - 黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物とを含有する組成物 - Google Patents

黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物とを含有する組成物 Download PDF

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宏明 小嶋
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Abstract

【課題】本発明は、黒麹菌の培養物により、ポリフェノール類化合物の吸収が促進される組成物を提供する。【解決手段】黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物とを含有する組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物とを含有する組成物に関する。また、本発明は、黒麹菌の培養物により、ポリフェノール類化合物の吸収が促進される組成物(吸収促進剤)や、黒麹菌の培養物により、ポリフェノール類化合物の吸収を促進させる方法に関する。
ポリフェノールにはフラボノイドやセサミン等が含まれ、フラボノイドにはアントシアニンやイソフラボンが含まれる。
アントシアニンは、自然界に幅広く存在し、天然系色素として食品、医薬品、医薬部外品、化粧品等に幅広く使用されている。日本国内においてもアントシアニンの色素以外の利用法として、アントシアニンの機能性が注目され、視力改善から抗酸化作用まで幅広い効果を期待して健康食品等に添加されている。
アントシアニンに限らず、フラボノイド或いはポリフェノールに含まれる多くの生理活性物質は、経口投与された後、消化管から吸収され、血液を介して体内を循環し、その薬理効果を発揮する。しかしながら、例えばアントシアニンは、その吸収率が低い。そのため、アントシアニンの有する生理活性がより効果的に発揮されるための改良が検討されている。
ポリフェノール類化合物、例えばアントシアニンの体内への吸収を促進させる技術として、フィチン酸、レシチン、食用オイル、アミノ酸等を使用することが提案されている(特許文献1〜4)。また、アントシアニンを安定化させる技術として、酵母抽出物、乳酸発酵食品等を使用することが提案されている(特許文献5〜7)。
また、紫黒米に麹菌を用いて製造した飲用クエン酸酢、セサモリンを含む原料にアスペルギルス属微生物を用いて記微生物発酵処理を行うこと、紅芋に麹を用いた麹食品等が提案されている(特許文献8〜10)。しかし、これらの技術は、黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物とを含有する組成物とは異なるし、また、黒麹菌の培養物により、ポリフェノール類化合物の吸収を促進させる技術でもない。
特開2006-151922号公報 特開2009-046438号公報 特開2013-173687号公報 特表2011-079770号公報 特表2010-521449号公報 特開2001-086929号公報 特開2005-278517号公報 特開2006-262799号公報 特開2008-127301号公報 特開2008-278865号公報
本発明は、黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物とを含有する組成物、黒麹菌の培養物により、ポリフェノール類化合物の吸収が促進される組成物(吸収促進剤)、黒麹菌の培養物により、ポリフェノール類化合物の吸収を促進させる方法を提供することを目的とする。
アントシアニンに代表されるポリフェノール類化合物等の生理活性物質は、経口摂取後、消化管から吸収され、血液を介して体内を循環し、その薬理学的な性質を発揮する。つまり、生理活性物質は、体内でその薬理学的な性質を有効利用するために、消化管から体内に効果的に吸収されることが必要である。従って、生理活性物質が、効率良く薬理学的性質を発揮するためには、体内への吸収率が高いことが望ましい。
本発明者は、アントシアニン等のポリフェノール類化合物の吸収を高めることについて、鋭意検討を重ねていた。
本発明者は、黒麹菌の培養物にポリフェノール類化合物の吸収を促進させる作用があることを見出した。黒麹菌の培養物にポリフェノール類化合物を併用することで、ポリフェノール類化合物の血中濃度を高めることができることを確認した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成したものであり、下記の実施態様を含むものである。
(I)黒麹菌の培養物-ポリフェノール類化合物含有組成物
(I-1)黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物とを含有する組成物。
(I-2)前記黒麹菌が、Aspergillus awamori、Aspergillus saitoi、Aspergillus usamii、Aspergillus kawachii、Aspergillus luchuensis及びAspergillus nigerからなる群から選ばれる少なくとも一種の黒麹菌である、(I-1)に記載の組成物。
(I-3)前記黒麹菌の培養物が、黒麹菌の培養ろ液、又は黒麹菌体の破砕抽出物である、(I-1)又は(I-2)に記載の組成物。
(I-4)前記ポリフェノール類化合物が、フラボノイドである、(I-1)〜(I-3)のいずれかに記載の組成物。
(I-5)前記フラボノイドが、アントシアニン及びイソフラボンからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である、(I-4)に記載の組成物。
(I-6)前記ポリフェノール類化合物が、セサミン、セサモール、クルクミン、レスベラトロール、プロシアニジン、ゲニポシド酸、シリンガ酸、バニリン酸及びエクオールからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である、(I-1)〜(I-3)のいずれかに記載の組成物。
(I-7)前記黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物との配合割合が、黒麹菌の培養物1重量部に対して、ポリフェノール類化合物0.001〜1重量部である、(I-1)〜(I-6)のいずれかに記載の組成物。
(I-8)ポリフェノール類化合物の吸収促進剤である、(I-1)〜(I-7)のいずれかに記載の組成物。
(I-9)麹菌の培養物を含む、ポリフェノール類化合物吸収促進用食品組成物。
(I-10)前記麹菌が、黒麹菌である、(I-9)に記載のポリフェノール類化合物吸収促進用食品組成物。
(I-11)前記ポリフェノール類化合物が、アントシアニンである、(I-9)又は(I-10)に記載のポリフェノール類化合物吸収促進用食品組成物。
(II)麹菌の培養物-ポリフェノール類化合物吸収促進剤
(II-1)麹菌の培養物を含むポリフェノール類化合物の吸収促進剤。
(II-2)前記ポリフェノール類化合物が、アントシアニンである、(II-1)に記載の組成物。
(III)ポリフェノール類化合物の吸収促進方法
(III-1)ポリフェノール類化合物に麹菌の培養物を配合することを特徴とする、ポリフェノール類化合物の吸収促進方法。
(III-2)麹菌の培養物を用いた、ポリフェノール類化合物の吸収促進方法。
(III-3)前記麹菌が、黒麹菌である、(III-1)又は(III-2)に記載の吸収促進方法。
(III-4)前記ポリフェノール類化合物が、アントシアニンである、(III-1)〜(III-3)に記載の吸収促進方法。
本発明によれば、ポリフェノール類化合物の吸収を促進させることができる。本発明によれば、ポリフェノール類化合物に黒麹菌の培養物を併用することで、ポリフェノール類化合物の吸収が促進される組成物(吸収促進剤)を提供することができる。
細胞試験及び動物試験の結果を表すグラフである。
(I)黒麹菌の培養物-ポリフェノール類化合物含有組成物
本発明の組成物は、黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物とを含有することを特徴とする。黒麹菌の培養物を用いることで、ポリフェノール類化合物(アントシアニン等)を体内で有効に吸収させ、十分な生理活性を発揮させることができる。
(1)黒麹菌の培養物
黒麹菌は、アスペルギルス(Aspergillus)属に分類され、胞子の色が黒褐色をしている麹菌である。黒麹菌は、黄麹菌と比べて、大量のクエン酸を造ることが特徴である。黒麹菌として、
・Aspergillus awamori(アスペルギルス・アワモリ)、
・Aspergillus saitoi(アスペルギルス・サイトイ、Aspergillus phoenicis(アスペルギルス・フォエニシス)と学名変更されている)、
・Aspergillus usamii(アスペルギルス・ウサミ、Aspergillus niger var. awamoriと学名変更されている)、
・Aspergillus kawachii(アスペルギルス・カワチ)、
・Aspergillus luchuensis(アスペルギルス・ルウチウエンス)、及び
・Aspergillus niger(アスペルギルス・ニガー)
を使用することが好ましい。
Aspergillus awamori、Aspergillus saitoi及びAspergillus usamiiは、沖縄で泡盛の製造に使用されるカビである。Aspergillus nigerは、クエン酸等の有機酸やアミラーゼ、ペクチナーゼ等の各種酵素剤の製造に用いられる等、食品産業の分野で重要なカビである。
Aspergillus kawachiiは、黒麹菌の突然変異による白化型として発見された白麹菌としても知られており、焼酎製造に広く用いられるカビである。Aspergillus luchuensisは、沖縄の泡盛の醸造に伝統的に用いられてきた糸状菌であり、アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ等の分解酵素や多様な代謝物を生産する。
黒麹菌として、Aspergillus awamori、Aspergillus saitoi、Aspergillus usamii、Aspergillus kawachii、Aspergillus luchuensis及びAspergillus nigerからなる群から選ばれる少なくとも一種の黒麹菌を使用することが好ましい。
黒麹菌の培養物は特に制限無く調製することができる。黒麹菌の培養物として、黒麹菌の培養ろ液、又は黒麹菌体の破砕抽出物を使用することが好ましい。
黒麹菌の培養には、液体培地を用いることが好ましい。
この液体培地は黒麹菌が生育及び増殖するのに必要な栄養を含む。液体培地には、炭素源、窒素源、無機塩類等の栄養を含む培養原料を用いることが好ましい。栄養として、酵母菌体又はその処理物(酵母菌体分解物、酵母エキス等)等を用いることも可能である。
液体培地中、栄養の濃度は、黒麹菌の増殖を促進する程度であれば特に限定はなく、好ましくは5〜60%(w/vol)程度、より好ましくは10〜50%(w/vol)程度である。
栄養を含む液体培地を、必要に応じて滅菌処理を行なっても良い。滅菌処理として、例えば高温高圧滅菌法を採用し、例えば121℃で15分間行うことが可能である。
液体培地(好ましくは滅菌した液体培地)を培養温度まで冷却した後、黒麹菌を液体培地に接種する。培地に接種する麹菌の形態は任意であり、胞子又は菌糸を用いることができる。
黒麹菌の液体培地への接種量には特に制限されない。液体培地1ml当り、黒麹菌の胞子であれば1×104〜1×106個程度、黒麹菌の菌糸であれば前培養液を0.1〜10%(体積比)程度接種することが好ましい。
黒麹菌の培養温度や培養時間は、生育に影響を及ぼさない限りであれば特に限定されない。黒麹菌の培養温度は、好ましくは25〜45℃程度であり、より好ましくは30〜40℃程度である。黒麹菌の増殖が良好で、雑菌による汚染も防ぐことに繋がる。黒麹菌の培養時間は24〜120時間程度が適当である。
黒麹菌の培養は、(回転)振盪培養(100〜200rpm程度)が好ましい。
培養装置は、液体培養を行なうことができるものであれば良い。培養装置は、黒麹菌は好気培養を行なう必要があり、酸素や空気を培地中に供給できる好気的条件を備える培養装置を用いる。また、培養装置は、培養中、培地中の原料、酸素、及び麹菌が装置内に均一に分布するように撹拌条件を備える培養装置が好ましい。培養装置、培地の粘度等から、培養環境を好気的に保つために、撹拌条件や通気量を適宜選択することが好ましい。
黒麹菌の培養は、1種類の菌株による培養や、同種若しくは異種の2種類以上の菌株による混合培養のどちらも採用することができる。これらの培養では、胞子又は前培養により得られる菌糸のいずれの形態のものを用いることができる。
ポリフェノール類化合物に対して、Aspergillus awamori、Aspergillus saitoi、Aspergillus usamii、Aspergillus kawachii、Aspergillus luchuensis及びAspergillus nigerからなる群から選ばれる黒麹菌の培養物を用いることが好ましい。
黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物とを含有する組成物(吸収促進剤)を用いることで、例えばこれを経口で摂取することで、より多くのポリフェノール類化合物(アントシアニン等)が体内に吸収される。そして、体内では、ポリフェノール類化合物の生理活性をより効果的に発揮することができる。黒麹菌の中でも、Aspergillus nigerを使用することが好ましい。
前記培養法で培養することにより、黒麹菌の培養液を得ることができる。黒麹菌の培養液から、これを黒麹菌の培養物として用いることができる。
黒麹菌の培養物として、黒麹菌の培養ろ液、又は黒麹菌体の破砕抽出物を用いることが好ましい。
黒麹菌の培養ろ液
黒麹菌の培養ろ液は、黒麹菌を培養した後、その黒麹菌の培養物(培養液)を濾過又は遠心分離等することにより、菌体を取り除いた部分(清澄液)である。この黒麹菌の培養ろ液の濃縮物を用いることもできる。
黒麹菌の培養物から、黒麹菌の培養ろ液は、乾燥重量として1〜3重量%程度を回収することができる。
黒麹菌体の破砕抽出物
黒麹菌体の破砕抽出物は、黒麹菌を培養した後、その黒麹菌の培養物(培養液)を濾過又は遠心分離等することにより、菌体を回収した部分である。この回収した黒麹菌の菌体を超音波破砕等した後、菌体残渣を取り除き、菌体抽出物(破砕抽出物)を得ることができる。得られた抽出物は、そのままの液状形態を有していても良く、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の乾燥工程により粉末化することも可能である。
黒麹菌体の破砕抽出物とは、菌体残渣を取り除いた後の菌体抽出液又はこの乾燥品である。菌体残渣は、取り除くことが好ましい。これを黒麹菌のエキス(末)とも呼ぶ。
黒麹菌の培養物から、黒麹菌体の破砕抽出物は、乾燥重量として0.1〜0.3重量%程度を回収することができる。
(2)ポリフェノール類化合物
ポリフェノール類化合物に対して、黒麹菌の培養物を用いることで、例えばその組成物を経口で摂取することにより、より多くのポリフェノール類化合物を体内で有効に吸収させ、十分な生理活性を発揮させることができる。
ポリフェノール類化合物として、フラボノイドを使用することが好ましい。
フラボノイドとして、アントシアニン及びイソフラボンからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を使用することが好ましい。
アントシアニン(anthocyanin)は、植物界において広く存在する色素であるアントシアン(anthocyan)の中で、アントシアニジン(anthocyanidin)がアグリコンとして糖や糖鎖と結びついた配糖体成分である。アントシアニンは、天然系色素として食品、医薬品、医薬部外品、化粧品等に幅広く使用されている。
アントシアニンは、アントシアニンを含有する植物体から得ることができる。アントシアニンを含有する植物体として、例えばビルベリー、ブルーベリー、クランベリー、コケモモ(カウベリー)、リンゴンベリー、ハックルベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ローガンベリー、サーモンベリー、ボイセンベリー、イチゴ(ストロベリー)、クワ(マルベリー)、エルダベリー、ハスカップ、ニワトコ、ハイビスカス、スグリ(カシス:ブラックカーラント、レッドカーラント)、クズベリー、アサイー、プルーン、サクランボ、リンゴ、マンゴー、シソ、有色イモ(サツマイモ、ジャガイモ、ヤマイモ)、赤キャベツ、赤ダイコン、ブドウ、紫トウモロコシ、紫タマネギ、ナス、有色米、黒豆、黒ゴマ、椿等を用いることが好ましい。例えば、ブルーベリーやカシスのアントシアニンには有効な薬理学的性質が見出されている。
アントシアニンを含有する植物体は、それら植物体を単独で用いることができ、また二種以上の植物体を組み合せて用いることもできる。これらの中で、アントシアニンを多く含有するビルベリー、ブルーベリー等を用いることが好ましい。
アントシアニンを含有する植物体では、アントシアニンが色素成分であることから、適用部位として果実、種、葉、花又はその一部を含有する部位を使用することが好ましい。
アントシアニンを含有する植物体(適用部位)をそのまま用いることができる。また、アントシアニンを含有する植物体から、抽出溶媒を用いて抽出される抽出物を用いることも可能である。アントシアニンとして、夾雑物の多くが分離されることから、植物体からの抽出物を用いることが好ましい。
抽出溶媒として、有機溶媒、水、有機溶媒/水混合物、酸溶媒等を用いることが好ましい。有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類;グリセリン、氷酢酸等の極性溶媒、ヘキサン、酢酸エチル等の低極性溶媒等を用いることができる。これらの抽出溶媒は、一種類を用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。抽出溶媒として、アントシアニンの抽出効率、生体への適用性、抽出コスト等の観点からエタノールを用いることが好ましい。
抽出溶媒を用いた抽出処理は、常温〜加温(40〜100℃)下において、静置又は撹拌しながら行うことが好ましい。抽出時間は、アントシアニンを抽出溶媒中に十分に移行させるために、30分以上であることが好ましい。
得られた抽出液を、そのままアントシアニン(アントシアニン含有素材)として使用することができる。抽出液を、必要に応じて濃縮、乾燥等を行い、アントシアニンとして使用することができる。抽出液の濃縮、乾燥等は、公知の減圧濃縮、膜濃縮、凍結濃縮、真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等を利用することができる。
イソフラボン(isoflavone)はフラボノイドの一種であり、フラボノイドはポリフェノール類化合物に含まれる。イソフラボンは、イソフラボンを基本骨格とするイソフラボン類に属する誘導体を含む。これらをまとめてイソフラボン類とも記す。
イソフラボン類は、特にダイズ、クズ等のマメ科の植物に多く含まれている。
ポリフェノール類化合物として、セサミン、セサモール、クルクミン、レスベラトロール、プロシアニジン、ゲニポシド酸、シリンガ酸、バニリン酸及びエクオールからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を使用することが好ましい。
セサミン(sesamin)及びセサモール(sesamol)は、ゴマリグナンに含まれる成分の一つである。ゴマリグナンはゴマに含まれる抗酸化作用を有する物質である。セサモールは、特に、ごま油に含まれるフェノールの誘導体である。
クルクミン(curcumin)は、ウコン等に含まれる黄色のポリフェノール化合物である。
レスベラトロール(resveratrol)は、スチルベノイド(スチルベン誘導体)ポリフェノールの一種であり、抗酸化作用を有する物質である。レスベラトロールは、食品では赤ブドウの果皮や赤ワイン等に含まれる。
プロシアニジン(procyanidin)は、カテキンが幾つか結合した構造を持ち、抗酸化作用を有する物質である。プロシアニジンは、リンゴ、ビワ、ブドウ、緑茶等に含まれ、また、フランスカイガンショウ(Pinus pinaster)と呼ばれる地中海西部沿岸域を原産とするマツ科マツ属の常緑針葉樹の樹皮に含まれる。
ゲニポシド酸(geniposidic acid)は、杜仲茶に含まれる主要成分の一つである。
シリンガ酸(syringic acid)及びバニリン酸(vanillic acid)は、4-ヒドロキシ安息香酸の誘導体の一種であり、抗酸化作用を有する物質である。シリンガ酸及びバニリン酸は、シイタケ菌糸体抽出物(シイタケ菌糸体)に含まれる。
エクオール(equol)は、大豆イソフラボンの一種であるダイゼイン(daidzein)から、腸内細菌によって生成される成分である。
イソフラボン、セサミン、セサモール、クルクミン、レスベラトロール、プロシアニジン、ゲニポシド酸、シリンガ酸、バニリン酸、エクオール等のポリフェノール類化合物も、それら成分を含有する植物体をそのまま用いることができる。また、イソフラボン等の成分を含有する植物体から、抽出溶媒を用いて抽出される抽出物を用いることも可能である。
また、ポリフェノール類化合物として、ポリフェノール類化合物を含有する植物体をそのまま乾燥したもの、乾燥後に破砕若しくは粉砕するか又は破砕若しくは粉砕後に乾燥したもの(乾燥破砕物又は乾燥粉砕物)、搾汁又はその乾燥物(濃縮物)、及び抽出物又はその乾燥物(エキス、乾燥エキス)を用いることも可能である。噴霧乾燥(スプレードライ)、凍結乾燥(フリーズドライ)等を利用して、乾燥物を調製することができる。
(3)黒麹菌の培養物-ポリフェノール類化合物含有組成物
本発明の黒麹菌の培養物-ポリフェノール類化合物含有組成物の一態様として、黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物とを含む製剤を挙げることができる。
黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物との配合割合
本発明の組成物において、黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物との配合割合は、黒麹菌の培養物により、ポリフェノール類化合物の吸収を促進できる範囲に調整することが好ましい。
黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物との配合割合は、黒麹菌の培養物を1重量部とした場合に、ポリフェノール類化合物を0.001〜1重量部程度配合することが好ましい。つまり、黒麹菌の培養物:ポリフェノール類化合物=1:0.001〜1(重量比)に調整することが好ましい。
黒麹菌の培養物により、ポリフェノール類化合物の吸収を促進できるか否かは、後述する試験例に示すように、ポリフェノール類化合物に黒麹菌の培養物を配合した組成物(併用区)と、ポリフェノール類化合物単独(単独区)とで、細胞試験でポリフェノール類化合物の細胞間透過度を測定したり、動物試験でポリフェノール類化合物の血中濃度を測定したりすることで、吸収促進を対比することができる。
TJ機能
経口摂取したポリフェノール類化合物、特にアントシアニン類化合物の体内吸収の場は、腸管、殊に小腸が中心であると考えられている。小腸吸収をin vitroで評価する方法としてヒト結腸癌由来Caco-2細胞株を用いた小腸上皮モデルが知られており、上皮細胞及び細胞間隙(Tight Junction、密着結合)からの物質透過度を、電気抵抗値(TEER)等を観測することにより知ることができる。
TJとは、隣り合う上皮細胞をつなぎ、様々な分子が細胞間を通過するのを阻害する、或いは細胞外からの無差別な吸収を防ぐ、細胞間結合の一つである。TJの機能が低下すると、細胞間隙経路が緩み、物質透過度が高くなる。細胞試験で物質透過度が高いことは、TJ機能が低下していることが推測され、ポリフェノール類化合物(アントシアニン等)の吸収が促進されていることを意味する。
動物試験でポリフェノール類化合物の血中濃度が高いことは、ポリフェノール類化合物の体内への吸収が促進されていることを意味する。
ポリフェノール類化合物単独(単独区)のポリフェノール類化合物の細胞間透過度や血中濃度に比べて、ポリフェノール類化合物に黒麹菌の培養物を配合した組成物(併用区)のポリフェノール類化合物の細胞間透過度や血中濃度が高い場合に、ポリフェノール類化合物に黒麹菌の培養物を配合することで、ポリフェノール類化合物の吸収を促進できると判断することができる。
本発明の組成物では、黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物との配合割合は、黒麹菌の培養物1重量部に対して、ポリフェノール類化合物0.001〜1重量部程度であること(黒麹菌の培養物:ポリフェノール類化合物=1:0.001〜1(重量比))がより好ましい。
更に、黒麹菌の培養物:ポリフェノール類化合物は、
1:0.001〜0.5(重量比)、1:0.001〜0.375(重量比)、1:0.001〜0.1(重量比)、
1:0.001〜0.075(重量比)、1:0.001〜0.02(重量比)、1:0.001〜0.015(重量比)、
の順に好ましい。
この配合割合で、ポリフェノール類化合物に対して、黒麹菌の培養物を用いることで、ポリフェノール類化合物の吸収を促進することができる。
黒麹菌の培養物及びポリフェノール類化合物の配合割合は、夫々実質量に換算する。例えば、各成分が抽出物であれば、実質的に抽出溶媒を含まない態様として、例えば乾燥加工物等の固形分として、配合割合を換算して調整する。
ポリフェノール類化合物の吸収促進剤
本発明の組成物では、ポリフェノール類化合物に対して、黒麹菌の培養物を用いることで、例えばその組成物を経口で摂取することにより、より多くのポリフェノール類化合物を体内で有効に吸収させ、十分な生理活性を発揮させることができる。本発明の黒麹菌の培養物-ポリフェノール類化合物含有組成物は、ポリフェノール類化合物の吸収促進剤として有用である。
組成物及び吸収促進剤の形態
本発明が対象とする黒麹菌の培養物-ポリフェノール類化合物含有組成物、及びポリフェノール類化合物の吸収促進剤は、少なくとも黒麹菌の培養物及びポリフェノール類化合物を成分として含有し、本発明の効果に基づいて、商品の品質、特に外観の低下が抑制できるという利点が享受できるものであれば良い。その限りにおいて、製剤の形態、使用態様、及び用途を特に限定するものではない。
本発明の組成物の使用態様は制限されず、目的に応じて適宜設定することができる。本発明の組成物の使用態様として、食品組成物(各種保健機能食品等)や医薬組成物等、また食品組成物や医薬組成物等への添加剤等として使用することができる。
組成物(及び吸収促進剤)として、経口組成物、口腔用組成物等が好ましい。経口組成物として、経口医薬組成物、経口医薬部外品、食品組成物(食品添加剤を含む)等が好ましい。口腔用組成物として、口腔医薬組成物、口腔医薬部外品、口腔化粧組成物等が好ましい。
本発明の組成物(及び吸収促進剤)を経口医薬組成物とする場合、上述した黒麹菌の培養物-ポリフェノール類化合物含有組成物をそのまま経口医薬組成物としても良いし、医薬品の分野において許容される担体や添加剤と共に様々な剤型に調製しても良い。経口医薬組成物の剤型は、特に制限されないが、例えば、散剤、錠剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤(軟カプセル剤又は硬カプセル剤)、トローチ、チュアブル錠、ドライシロップ剤等の固形剤や、シロップ剤等の液剤が挙げられる。好ましくは固形剤である。
また、薬効成分の放出性を制御した製剤形態を有するものであっても良い(例えば、速放性製剤、徐放性製剤等)。また、好ましくは錠剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤(軟カプセル剤又は硬カプセル剤)である。このような剤型を有する製剤は、当業界の慣用法に従って調製することができる。
また、上記成分の他、本発明の効果が減殺されない範囲であれば、通常医薬品の添加物として許容される賦形剤、安定剤、分散剤、流動化剤、緩衝剤、湿潤剤、粘稠剤、防腐剤、pH調整剤、溶剤、溶解補助剤等の任意成分を所望に応じて添加することもできる。
上記の経口医薬組成物の投与量(摂取量)は、製剤の用途、患者の年齢、性別、治療すべき症状の程度、及び投与方法により左右されるが、経口医薬組成物に含まれているポリフェノール類化合物の量に換算して、成人に対する1日あたりの投与量が通常10〜1000mg程度となる割合を挙げることができる。この投与範囲であれば、1日に1〜数回に分けて投与することもできる。
ポリフェノール類化合物吸収促進用食品組成物
本発明の組成物を食品組成物として用いることができる。
食品組成物は、黒麹菌の培養物、ポリフェノール類化合物の生理作用に基づいて、各種の保健機能食品(栄養機能食品、特定保健用食品、サプリメント等)、病者用食品等の機能性食品として調製することができる。
食品組成物として、錠菓(タブレットキャンデー)、キャンディー、チョコレート、ガム、キャラメル、グミ、ゼリー、ようかん、まんじゅう、スナック菓子、クッキー、せんべい等の菓子類や、アイスクリーム、ヨーグルト、フルーツソース、ミルク等の乳製品等が好ましい。食品形態は、固体であっても液体であっても良い。
また、食品として調製する場合、継続的な摂取が行い易いように、例えば顆粒剤、散剤、フィルム、タブレット、カプセル(軟カプセル剤又は硬カプセル剤)、錠剤(チュアブル剤等を含む)、丸剤、飲料(ドリンク剤)等の形態で調製することも可能である。
食品組成物として、中でもカプセル剤、錠剤の形態が、摂取の簡便さの点からは好ましい。食品組成物は、食品の分野で許容される担体を用いて、常法に従って適宜調製することができる。
本発明の食品組成物では、麹菌(好ましくは黒麹菌)の培養物を用いることで、例えばその組成物を経口で摂取することにより、より多くのポリフェノール類化合物(好ましくはアントシアニン)を体内で有効に吸収させ、十分な生理活性を発揮させることができる。
本発明のポリフェノール類化合物吸収促進用食品組成物は、麹菌の培養物を含む。ポリフェノール類化合物吸収促進用食品組成物において、前記麹菌は黒麹菌であることが好ましい。ポリフェノール類化合物吸収促進用食品組成物において、前記ポリフェノール類化合物はアントシアニンであることが好ましい。
その他、使用する麹菌(特に黒麹菌)の培養物及びポリフェノール類化合物(特にアントシアニン)の形態や調製方法、配合割合等は上記内容を援用することができる。
本発明の食品組成物では、「ポリフェノール類化合物(好ましくはアントシアニン)吸収促進用」という用途は、麹菌の培養物がポリフェノール類化合物の吸収を促進するという未知の属性を発見したことにより見いだされたものである。また、その属性により見いだされた用途は、「麹菌(好ましくは黒麹菌)の培養物を含む食品組成物」について、従来知られている用途とは異なる新たなものである。
(II)ポリフェノール類化合物の吸収促進剤
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤は、麹菌の培養物を含有することを特徴とする。前記ポリフェノール類化合物は、アントシアニンであることが好ましい。
麹菌の培養物
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤は、前記黒麹菌に加えて、他の麹菌(Aspergillus属)を用いることができる。例えば、胞子の色が黄、黄緑又は黄褐色をしている黄麹菌や、黒麹菌の突然変異体であり、胞子の色が白色をしている白麹菌を用いることが好ましい。
黄麹菌は、デンプンの分解力が強いことが特徴である。黄麹菌として、
・Aspergillus oryzae(アスペルギルス・オリゼー、ニホンコウジカビ)、及び
・Aspergillus sojae(アスペルギルス・ソーエ、ショウユコウジカビ)
を使用することが好ましい。
Aspergillus oryzaeは、醤油や味噌、醸造酒等の製造に使用されるカビである。Aspergillus sojae、は、タンパク質をアミノ酸に分解する性質が特に強く、醤油の発酵生産に使用されるカビである。
その他、鰹節の製造に用いられるAspergillus glaucus(アルペルギルス・グラウカス、カツオブシカビ、Eurotium herbariorumと学名変更されている)や、醤油の中でもたまり醤油の製造に使われるAspergillus tamarii(アスペルギルス・タマリ)を用いることが好ましい。尚、Aspergillus kawachii(アスペルギルス・カワチ)は、黒麹菌の突然変異による白化型として発見された白麹菌としても知られている。
使用する麹菌の培養物及びポリフェノール類化合物(特にアントシアニン)の形態や調製方法等は上記(I)に記載した内容を援用することができる。
上記(I)に記載するように、細胞試験でポリフェノール類化合物の細胞間透過度を測定したり、動物試験でポリフェノール類化合物の血中濃度を測定したりすることで、ポリフェノール類化合物に麹菌の培養物を配合にすることにより、ポリフェノール類化合物の吸収を促進できるか否かを確認することができる。当該記載もここに援用することができる。
(III)ポリフェノール類化合物の吸収促進方法
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進方法は、ポリフェノール類化合物に麹菌の培養物を併用することで実施することができる。
使用する麹菌として、アスペルギルス(Aspergillus)属を用いることが好ましい。
麹菌として、Aspergillus awamori、Aspergillus saitoi、Aspergillus usamii、Aspergillus kawachii、Aspergillus luchuensis、Aspergillus niger等の黒麹菌;Aspergillus oryzae、Aspergillus sojae等の黄麹菌;Aspergillus glaucus、Aspergillus tamari等の麹菌を使用することが好ましい。これら麹菌の少なくとも一種を使用することが好ましい。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進方法では、ポリフェノール類化合物に対して、麹菌の培養物を用いることで、例えばその組成物を経口で摂取することにより、より多くのポリフェノール類化合物を体内で有効に吸収させ、十分な生理活性を発揮させることができることから、麹菌の中でも黒麹菌を用いることが好ましい。前記ポリフェノール類化合物として、アントシアニンを用いることが好ましい。
使用する麹菌(特に黒麹菌)の培養物及びポリフェノール類化合物(特にアントシアニン)の形態や調製方法等は上記(I)及び(II)に記載した内容を援用することができる。
麹菌の培養物とポリフェノール類化合物との配合割合は、麹菌の培養物により、ポリフェノール類化合物の吸収を促進できる範囲に調整することが好ましい。
麹菌の培養物とポリフェノール類化合物との配合割合は、麹菌の培養物1重量部に対して、ポリフェノール類化合物0.001〜1重量部であることが好ましい。麹菌の培養物やポリフェノール類化合物の配合割合は、抽出物であれば、抽出溶媒を実質的に含まない態様として、乾燥加工物の割合に換算して調整する。この配合割合で、ポリフェノール類化合物に対して、黒麹菌の培養物を用いることで、ポリフェノール類化合物の吸収を促進することができる。
上記(I)に記載するように、細胞試験でポリフェノール類化合物の細胞間透過度を測定したり、動物試験でポリフェノール類化合物の血中濃度を測定したりすることで、ポリフェノール類化合物に麹菌の培養物を配合にすることにより、ポリフェノール類化合物の吸収を促進できるか否かを確認することができる。当該記載もここに援用することができる。
以下、本発明及びその効果を、試験例及び実施例を用いてより明確に説明する。
但し、本発明はかかる試験例及び実施例になんら制限されるものではない。
(1)麹菌の培養物及びポリフェノール類化合物
黒麹菌の培養物:菌体(A.niger)を、MMY培地100mLに殖菌し2日間振とう培養した。MMY培地は、マルトース(和光純薬)20g、イーストイクストラクト(和光純薬)5g及び麦芽エキス(和光純薬)2gを1Lの蒸留水で溶解し、滅菌したものである。
培養後の菌体を遠心分離(1,000×g、15分)に供して、菌体を回収した。回収した菌体に10倍量の水を加え、超音波破砕機(株式会社トミー精工、UR-21P)を用いて、10分間破砕処理した。続いて、この菌体破砕物を遠心分離(1,000×g、15分)に供して、菌体抽出液を回収した。この菌体抽出液を凍結乾燥して、黒麹菌エキス末を調製した。
ポリフェノール類化合物:アントシアニンを35重量%含有するビルベリーエキス末(BB、市販品)
(2)動物試験方法
マウスを使った動物試験で、アントシアニン類の吸収作用を確認した。
(2-1)動物
種:ICR系マウス雄、週齢(試験時):7週齢、供給源:日本SLC株式会社
(2-2)飼育条件
飼料
種類:市販固型飼料CE-2(日本クレア(株))
給餌方法:自由摂取、試験16時間前から絶食とした。
給水
給水方法:給水瓶にて自由摂取とした。
(2-3)試験項目及び方法
被験物質(試験製剤)の調整及び投与
表1の各配合比率に従って混合し、50mM酢酸Na緩衝液を用いて溶解した。
マウスに、経口ゾンデを用いて、各溶解液200μLを強制経口投与した。
採血
投与60分後にイソフルラン麻酔下で腹部後大静脈より、ヘパリン処置のうえ全採血を行った。採血後の処理として、4℃、1,000×g、30分間遠心分離し、血漿300μLを採取し、血漿300μLに対し,酸添加の後、-30℃で冷凍保存した。
分析
血漿サンプルに1%ギ酸-アセトニトリル800μLを添加して、遠心して上清を回収し、抽出乾固ののち5%ギ酸水溶液50μLで再溶解して分析に用いた。
HPLCの移動相溶液に溶解してHPLC分析(電気化学検出法)することにより測定した。
HPLCによるアントシアニン類の分離は、HPLC装置(Prominence HPLC、株式会社島津製作所製)にて実施した。HPLC装置には、3.2 mm×100 mmの逆相系シリカモノリスカラム(MonoBisカラム、株式会社京都モノテック製)を装着し、カラム温度を30℃とした。カラムへのサンプルのインジェクション量を10μLとした。混合移動相として、移動相Aには5%ギ酸、移動相Bには0.1%ギ酸含有アセトニトリルを用いた。溶出プログラムを0 min-3 min(A:B=95:5→90:10)、3 min-12 min(A:B=90:10→55:45)、12 min-15 min(A:B=0:100)に設定して、流速1 mL/minで溶出した。
アントシアニン類の検出は、フォトダイオードアレイ検出器(SPD-M20A、株式会社島津製作所)を用いて行った。主要アントシアニン類の溶出パターンから、ピーク面積を算出した。
(2-4)試験結果
試験結果を表2に示した。黒麹菌無添加群と比較して、添加群での血中アントシアニン類増加率を相対値として算出した。
ビルベリーエキス末(BB)と黒麹菌の培養物との配合比率を変えることにより、アントシアニン類の高吸収作用を確認できた。
(3)細胞試験方法
Caco-2細胞を使った細胞試験で、物質透過度及びTJ(Tight Junction)機能(タイトジャンクション機能)を確認した。TJ機能はTranswell上部と下部の間の膜抵抗値(TEER)を測定することによって評価した。
(3-1)試験材料
測定試料
測定試料:対象化合物透過試験後の透過液(HBSS-HEPES溶液、pH7.4)
培養期間:21日間
Caco-2細胞培養(3週間培養系)
培養培地:D-MEM 500 mLボトルに牛胎児血清50 mLを加え、十分に攪拌し、4℃冷蔵保存した。使用直前に水浴で約37℃にして使用した。
細胞調製:直径12 mmのTranswell(ポリカーボネートフィルターの培養面積1.13 cm2、ポアサイズ0.4μm、Corning社製)を使用し、各上部に1.77×104 cells/well Caco-2細胞懸濁液250μLずつを播種した。毎週月曜日、水曜日及び金曜日に古い培地を除去し、新しい培地を上部に250μL、下部に0.8 mL添加し、計21日培養して形成されるCaco-2細胞膜を試験に供した。
(3-2)試験方法
添加溶液の調製
ビルベリーエキス末を終濃度100μg/mLとなるようにHBSS-MES溶液(pH6.5)にて溶解し、コントロール添加溶液とした。添加サンプルを終濃度25mg/mLとなるように、夫々HBSS-MES溶液(pH6.5)に溶解した。夫々の溶液に終濃度100μg/mLとなるようビルベリーエキス末を溶解し、添加溶液とした。ビルベリーエキス末溶解後の調製及び保管は全て低温条件で実施し、調整後1時間以内に使用した。
検量線溶液の調製
10%ギ酸にて調製したシアニジン-3-グルコシド10 mM標準溶液を2%ギ酸(v/v)/0.5N HCl混合溶液で順次希釈して1.6、3.2、8、40、200、1,000、2,000及び4,000 nM溶液を調製し、これを検量線溶液とした。
内部標準溶液の調製
10 mMスルファフェナゾールDMSO溶液を10%ギ酸含有メタノールで希釈して、0.2 μMスルファフェナゾール溶液を調製し、これを内部標準溶液とした。測定条件の検討結果に応じて、適宜変更した。
Caco-2単層膜の健全性評価及び透過試験
Millicell ERSメーター(Millipore社製)を用いて、Transwell上部と下部の間の膜抵抗値(TEER)を測定することによって、細胞単層のTJ機能をモニターした。上部に被験物質不含HBSS-MES溶液(pH6.5)300μLを、下部に透過液(HBSS-HEPES溶液、pH7.4)800μLを加え、恒温振とう機(37℃、200rpm)にて20分以上インキュベートした。その後、評価ウェル(n=3)毎に、試験前の抵抗値(実測値)を測定した。抵抗値(実測値)が800 Ω以上のウェルを試験に使用した。
<膜抵抗値(TEER)算出式>
TEER=(R-R0)×A
TEER:細胞膜抵抗値(Ω・cm2
R:細胞播種ウェルの抵抗値(実測値)(Ω)
R0:無細胞ウェルの抵抗値(Ω)
A:膜面積(cm2
TEER測定後、上部を添加溶液350μL、下部を新たな透過液(HBSS-HEPES溶液、pH7.4)800μLに交換し、上部から50μLを採取した(これを0時点Donor溶液とする)。その後、恒温振とう機(37℃、200rpm)にてインキュベートした。60分後に、TEERを測定した後、それぞれの下部から透過液を、100μLずつ採取した。
透過サンプルの前処理操作
2%ギ酸(v/v)/0.5N HCl混合溶液100μLを添加しておいたプレートに、下部の透過サンプル100μLを夫々添加した。これらを混合して得られた溶液100μLに内部標準溶液150μLを加え攪拌した。
検量線溶液
検量線溶液100μLにHBSS-HEPES溶液(pH7.4)100μLを添加した。これらを混合して得られた溶液100μLに内部標準溶液150μLを加え攪拌した。
0時点Donor溶液
2%ギ酸(v/v)/0.5N HCl混合溶液50μLを添加しておいたプレートに、0時点Donor溶液50μLを添加した。これらを混合して得られた溶液を、10倍希釈した溶液100μLに内部標準溶液150μLを加え攪拌した。
これらの溶液を-20℃で30分間以上静置し、遠心分離(4℃、3,000rpm、10分間)後、上清200 μLを採取し、分析に供した。
(3-3)分析条件
LC設定条件
分析カラム:Inertsil ODS-3、2.1 mm I.D. × 33 mm L.、3μm
(株)ジーエルサイエンス
カラム温度:40℃
移動相:A 0.2%ギ酸、B 0.2%ギ酸含有アセトニトリル
グラジエントプログラム:
時間:B濃度=0分:B2%、0.2分:B2%、1.0分:B98%、
2.5分:B98%、2.51分:B2%、4.0分:B2%
流量:0.4 mL/min
注入量:10μL(但し条件5のDonor溶液の測定時のみ0.2 μL)
洗浄液:アセトニトリル/水(1:1、v/v)
MS/MS設定条件
タンデム質量分析計:API 4000、AB Sciex Pte. Ltd.
インターフェース:Turbo-V spray
イオン化法:Electrospray ionization(ESI)、 Positive ion mode
スキャンモード:Multiple reaction monitoring(MRM)mode
モニターイオン
シアニジン3グルコシド:Q1:450.1、Q3:288.1
I.S.(スルファフェナゾール):Q1:315.0、Q3:158.0
(3-4)算出方法
TJ機能値の算出
0分時点のTEERを100%とした時の60分時点のTEERを相対値(%)として算出した。
透過度の算出
60分後の定量値と膜面積、下部の容量と初期濃度から、以下の式にて透過度を算出した。
黒麹菌エキス末を用いて細胞試験及び動物試験を実施した(図1)。
細胞試験では、TJ機能とアントシアニンの透過度を、夫々、添加60分後のTEERの測定と、添加60分後のTranswell上部から下部へ移行するアントシアニン類含量をHPLCで測定することで確認した。
動物試験では、生体における吸収量を、投与60分後の血中アントシアニン濃度をHPLCで測定することで確認した。
細胞試験の結果、黒麹菌エキス末添加群では非添加群と比較してCaco-2細胞でのTEERが低下しており、TJ機能が低下していることが確認できた。同じく細胞試験において、黒麹菌エキス末添加群では非添加群と比較してCaco-2細胞でのアントシアニン類透過度が大きくなっていることが確認できた。
次に動物試験の結果、黒麹菌エキス末投与群では非添加群と比較して、血中のアントシアニン濃度が高まり、アントシアニン吸収量が増加していることが確認できた。
以上より、黒麹菌エキス末では細胞試験でのTJ機能値低下作用があり、それによって消化管上皮細胞でのアントシアニン類の透過度が高まることで、生体におけるアントシアニン吸収量が増加していることが確認できた。これによって、TJ機能値と生体でのアントシアニン吸収量が相関することが確認できた。
ポリフェノール類化合物(例えばアントシアニン)に対して、麹菌(好ましくは黒麹菌)の培養物を用いることで、ポリフェノール類化合物の吸収が促進されることが確認された。
麹菌(好ましくは黒麹菌)の培養物とポリフェノール類化合物(例えばアントシアニン)とを含む組成物は、ポリフェノール類化合物(例えばアントシアニン)の吸収促進剤として有用であることが確認された。本発明の組成物は、麹菌(好ましくは黒麹菌)の培養物を用いることで、ポリフェノール類化合物(好ましくはアントシアニン)の吸収促進用の食品組成物としても有用であることが確認された。

Claims (10)

  1. 黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物とを含有する組成物。
  2. 前記黒麹菌が、Aspergillus awamori、Aspergillus saitoi、Aspergillus usamii、Aspergillus kawachii、Aspergillus luchuensis及びAspergillus nigerからなる群から選ばれる少なくとも一種の黒麹菌である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記黒麹菌の培養物が、黒麹菌の培養ろ液、又は黒麹菌体の破砕抽出物である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記ポリフェノール類化合物が、フラボノイドである、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 前記フラボノイドが、アントシアニン及びイソフラボンからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である、請求項4に記載の組成物。
  6. 前記ポリフェノール類化合物が、セサミン、セサモール、クルクミン、レスベラトロール、プロシアニジン、ゲニポシド酸、シリンガ酸、バニリン酸及びエクオールからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  7. 前記黒麹菌の培養物とポリフェノール類化合物との配合割合が、黒麹菌の培養物1重量部に対して、ポリフェノール類化合物0.001〜1重量部である、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
  8. ポリフェノール類化合物の吸収促進剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
  9. 麹菌の培養物を含むポリフェノール類化合物の吸収促進剤。
  10. 前記ポリフェノール類化合物が、アントシアニンである、請求項9に記載の組成物。
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C22 Notice of designation (change) of administrative judge

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C13 Notice of reasons for refusal

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C22 Notice of designation (change) of administrative judge

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C23 Notice of termination of proceedings

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C03 Trial/appeal decision taken

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C30A Notification sent

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