JP2018051802A - 液体吐出装置、駆動回路および駆動方法 - Google Patents

液体吐出装置、駆動回路および駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液体吐出装置の吐出部に供給する駆動信号の波形精度を改善する。
【解決手段】駆動回路120aは、イネーブルされたときに、信号ainを、グランドGndから電圧Vまでの電圧域で増幅してノードN2から出力するトランジスター231aおよび232aと、イネーブルされたときに、信号ainを、電圧Vから電圧Vまでの電圧域で増幅してノードN2から出力するトランジスター231bおよび232bと、信号ainの電圧と、電圧Vとに基づいた(V±α)/10とを比較し、当該比較結果に応じて、トランジスター231aおよび232aとトランジスター231bおよび232bとの各々を個別にイネーブルさせる比較器300とを備える。
【選択図】図11

Description

本発明は、液体吐出装置、駆動回路および駆動方法に関する。
インクを吐出して画像や文書を印刷するインクジェットプリンターには、圧電素子(例えばピエゾ素子)を用いたものが知られている。圧電素子は、ヘッドユニットにおいて複数のノズルのそれぞれに対応して設けられ、それぞれが駆動信号にしたがって駆動される。このような駆動により、ノズルから所定のタイミングで所定量のインク(液体)が吐出されて、ドットが形成される。圧電素子は、電気的にみればコンデンサーのような容量性負荷であるので、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。
このため、インクジェットプリンターでは、駆動信号の元となる元駆動信号を増幅回路で増幅し、駆動信号としてヘッドユニットに供給して、圧電素子を駆動する構成となっている。増幅回路としては、元駆動信号をAB級などで電流増幅する方式(リニア増幅、特許文献1参照)が挙げられる。ただし、リニア増幅では消費電力が大きく、エネルギー効率が悪いので、近年では、D級増幅についても提案されている(特許文献2参照)。D級増幅は、端的にいえば、元駆動信号をパルス変調するとともに、当該変調信号にしたがって電源電圧間において直列に挿入されたハイサイドトランジスターおよびローサイドトランジスターをスイッチングし、このスイッチングによる出力信号をローパスフィルターで濾波することで、元駆動信号を増幅する、というものである。
特開2009−190287号公報 特開2010−114711号公報
しかしながら、D級増幅方式では、リニア増幅方式と比較してエネルギー効率が高いものの、ローパスフィルターで消費される電力が無視できないので、消費電力を改善する点において改良の余地がある。
そこで、本発明のいくつかの態様の目的の一つは、消費電力を改善した液体吐出装置、駆動回路および駆動方法を提供することにある。
上記目的の一つを達成するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、所定の出力端から出力される駆動信号に基づいて駆動される圧電素子を含み、当該圧電素子の駆動により液体を吐出する吐出部と、イネーブルされたときに、前記駆動信号の元となる元駆動信号を、第1電圧から当該第1電圧よりも高位の第2電圧までの電圧域で増幅して前記出力端から出力する第1増幅部と、イネーブルされたときに、前記元駆動信号を、前記第2電圧から当該第2電圧よりも高位の第3電圧までの電圧域で増幅して前記出力端から出力する第2増幅部と、前記元駆動信号に応じた電圧と前記第2電圧に応じた電圧とを比較し、当該比較結果に基づいて前記第1増幅部および前記第2増幅器の各々を個別にイネーブルさせる比較器と、を具備する。
上記一態様に係る液体吐出装置によれば、ローパスフィルターが不要であるので、装置構成の肥大化を抑えることができる。また、元駆動信号に応じた電圧と、第2電圧に応じた電圧とを比較し、当該比較結果に基づいて第1増幅部および第2増幅部の各々が個別にイネーブルされるので、1つの増幅部により第1電圧から第3電圧までの電圧域で増幅する構成と比較して低消費電力化を図ることができる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記比較器は、前記元駆動信号の電圧が前記第2電圧の降圧電圧を所定値分高位側にシフトした電圧未満であれば前記第1増幅部をイネーブルさせ、前記降圧電圧を所定値分低位側にシフトした電圧以上であれば前記第2増幅部をイネーブルさせる構成が好ましい。
この構成において、前記第1増幅部および前記第2増幅部は、所定の電圧増幅率で前記元駆動信号を増幅し、前記降圧電圧は、前記第2電圧を、前記所定の電圧増幅率の逆数に降圧した電圧であることが好ましい。
また、上記一態様に係る液体吐出装置において、前記第1増幅部は、前記出力端と前記第1電圧の給電点との間に接続された第1ローサイドトランジスターと、前記出力端と前記第2電圧の給電点との間に接続された第1ハイサイドトランジスターと、を有し、前記第2増幅部は、前記出力端と前記第2電圧の給電点との間に接続された第2ローサイドトランジスターと、前記出力端と前記第3電圧の給電点との間に接続された第2ハイサイドトランジスターと、を有する構成が好ましい。
この構成において、前記元駆動信号の電圧と前記駆動信号に応じた電圧との差電圧を増幅した制御信号を出力する差動増幅器と、前記元駆動信号の電圧変化が上昇方向であって、かつ、前記電圧変化の大きさが閾値以上の第1の場合と、前記元駆動信号の電圧変化が低下方向であって、かつ、前記電圧変化の大きさが前記閾値以上の第2の場合とにおいて、前記制御信号を選択する選択部と、前記第1の場合で前記第1増幅部がイネーブルされたときに、前記選択部により選択された制御信号を前記第1ハイサイドトランジスターのゲート端子に転送し、前記第2の場合で前記第1増幅部がイネーブルされたときに、前記選択部により選択された制御信号を前記第1ローサイドトランジスターのゲート端子に転送する第1転送部と、前記第1の場合で前記第2増幅部がイネーブルされたときに、
前記選択部により選択された制御信号を前記第2ハイサイドトランジスターのゲート端子に転送し、前記第2の場合で前記第2増幅部がイネーブルされたときに、前記選択部により選択された制御信号を前記第2ローサイドトランジスターのゲート端子に転送する第2転送部と、を有しても良い。
上記差動増幅器、選択部、第1転送部、および第2転送部を有する構成において、前記元駆動信号の電圧変化の大きさが前記閾値未満の場合、第1転送部は、前記第1ハイサイドトランジスターのゲート端子、および、前記第1ローサイドトランジスターのゲート端子の各々に、対応するトランジスターをオフさせるオフ信号をそれぞれ供給し、第2転送部は、前記第2ハイサイドトランジスターのゲート端子、および、前記第2ローサイドトランジスターのゲート端子の各々にオフ信号をそれぞれ供給し、前記第1の場合、第1転送部は、前記第1ローサイドトランジスターのゲート端子にオフ信号を供給し、第2転送部は、前記第2ローサイドトランジスターのゲート端子にオフ信号を供給し、前記第2の場合、第1転送部は、前記第1ハイサイドトランジスターのゲート端子にオフ信号を供給し、第2転送部は、前記第2ハイサイドトランジスターのゲート端子にオフ信号を供給しても良い。
上記一態様に係る液体吐出装置において、吐出部、第1増幅部、第2増幅部、および比較器が可動式のキャリッジに搭載された構成としても良い。
なお、液体吐出装置としては、液体を吐出するものであれば良く、これには後述する印刷装置のほかに、立体造形装置(いわゆる3Dプリンター)、捺染装置なども含まれる。
また、本発明は、液体吐出装置に限られず、種々の態様で実現することが可能であり、例えば当該圧電素子のような容量性負荷を駆動する駆動回路や、駆動方法などとしても概念することが可能である。
印刷装置の概略構成を示す図である。 印刷装置のヘッドユニットにおけるノズルの配列等を示す図である。 ノズルの配列を拡大して示す図である。 ヘッドユニットにおける要部構成を示す断面図である。 印刷装置の電気的な構成を示すブロック図である。 駆動信号の波形等を説明するための図である。 選択制御部の構成を示す図である。 デコーダーのデコード内容を示す図である。 選択部の構成を示す図である。 選択部から圧電素子に供給される駆動信号を示す図である。 印刷装置に適用される駆動回路の構成を示す図である。 駆動回路の電圧範囲等を説明するための図である。 駆動回路における比較器の例を示す図である。 駆動回路の動作を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について、印刷装置を例にとって説明する。
図1は、印刷装置の概略構成を示す斜視図である。
この図に示される印刷装置は、液体の一例であるインクを吐出することによって、紙などの媒体Pにインクドット群を形成し、これにより、画像(文字や図形等などを含む)を印刷する液体吐出装置の一種である。
図1に示されるように、印刷装置1は、キャリッジ20を、主走査方向(X方向)に移動(往復動)させる移動機構6を備える。
移動機構6は、キャリッジ20を移動させるキャリッジモーター61と、両端が固定されたキャリッジガイド軸62と、キャリッジガイド軸62とほぼ平行に延在し、キャリッジモーター61により駆動されるタイミングベルト63と、を有している。
キャリッジ20は、キャリッジガイド軸62に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト63の一部に固定されている。そのため、キャリッジモーター61によりタイミングベルト63を正逆走行させると、キャリッジ20がキャリッジガイド軸62に案内されて往復動する。
キャリッジ20には、印刷ヘッド22が搭載されている。この印刷ヘッド22は、媒体Pと対向する部分に、インクを個別にZ方向に吐出する複数のノズルを有する。なお、印刷ヘッド22は、カラー印刷のために、概略的に4個のブロックに分かれている。4個のブロックの各々は、それぞれブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)のインクを吐出する。
なお、キャリッジ20には、フレキシブルフラットケーブル190を介してメイン基板(この図では省略)から各種の制御信号等が供給される構成となっている。
印刷装置1は、媒体Pを、プラテン80上で搬送させる搬送機構8を備える。搬送機構8は、駆動源である搬送モーター81と、搬送モーター81により回転し、媒体Pを副走査方向(Y方向)に搬送する搬送ローラー82と、を備える。
このような構成において、キャリッジ20の主走査に合わせて印刷ヘッド22のノズルから印刷データに応じてインクを吐出させるとともに、媒体Pを搬送機構8によって搬送する動作を繰り返すことで、媒体Pの表面に画像が形成される。
なお、本実施形態において主走査は、キャリッジ20を移動させることで実行されるが、媒体Pを移動させることで実行しても良く、キャリッジ20と媒体Pとの双方を移動させても良い。要は、媒体Pとキャリッジ20(印刷ヘッド22)とが相対的に移動する構成であれば良い。
図2は、印刷ヘッド22におけるインクの吐出面を媒体Pからみた場合の構成を示す図である。この図に示されるように、印刷ヘッド22は、4個のヘッドユニット3を有する。4個のヘッドユニット3の各々は、それぞれブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)に対応し、主走査方向であるX方向に沿って配列する。
図3は、1個のヘッドユニット3におけるノズルの配列を示す図である。
この図に示されるように、1個のヘッドユニット3では、複数のノズルNが2列で配列する。ここで、説明の便宜上、この2列をそれぞれノズル列NaおよびNbとする。
ノズル列NaおよびNbでは、それぞれ複数のノズルNが、副走査方向であるY方向に沿ってピッチP1で配列する。また、ノズル列NaおよびNb同士は、X方向にピッチP2だけ離間する。ノズル列Naに属するノズルNとノズル列Nbに属するノズルNとは、Y方向に、ピッチP1の半分だけシフトした関係となっている。
このようにノズルNを、ノズル列NaおよびNbの2列で、Y方向にピッチP1の半分だけシフトして配置させることにより、Y方向の解像度を、1列の場合と比較して実質的に倍に高めることができる。
なお、1個のヘッドユニット3におけるノズルNの個数を便宜的にm(mは2以上の整数)とする。
ヘッドユニット3は、後述するように、m個のノズルNと、これらm個のノズルNの各々に対応して設けられる圧電素子とを含むアクチュエーター基板に、各種の素子が実装された回路基板が接続された構成である。そこで説明の便宜のために、アクチュエーター基板の構造について説明する。
なお、本説明において、接続とは、2以上の要素間の直接的および間接的な結合を意味し、当該2つ以上の要素間に、1または2以上の中間要素が存在することも含む。上述の例でいえば、回路基板がアクチュエーター基板に例えばFPC(Flexible Printed Circuits)を介して接続される。
図4は、アクチュエーター基板の構造を示す断面図である。詳細には図3におけるg−g線で破断した場合の断面を示す図である。
図4に示されるように、アクチュエーター基板40は、流路基板42のうち、Z方向の負側の面上に圧力室基板44と振動板46とが設けられる一方、Z方向の正側の面上にノズル板41が設置された構造体である。
アクチュエーター基板40の各要素は、概略的にはY方向に長尺な略平板状の部材であり、例えば接着剤等により互いに固定される。また、流路基板42および圧力室基板44は、例えばシリコンの単結晶基板で形成される。
ノズルNは、ノズル板41に形成される。ノズル列Naに属するノズルに対応する構造と、ノズル列Nbに属するノズルに対応する構造とは、Y方向にピッチP1の半分だけシフトした関係にあるが、それ以外では、略対称に形成されるので、以下においてはノズル列Naに着目してアクチュエーター基板40の構造を説明することにする。
流路基板42は、インクの流路を形成する平板材であり、開口部422と供給流路424と連通流路426とが形成される。供給流路424および連通流路426は、ノズル毎に形成され、開口部422は、複数のノズルにわたって連続するように形成されるとともに、対応する色のインクが供給される構造となっている。この開口部422は、液体貯留室Srとして機能し、当該液体貯留室Srの底面は、例えばノズル板41によって構成される。具体的には、流路基板42における開口部422と各供給流路424と連通流路426とを閉塞するように流路基板42の底面に固定される。
圧力室基板44のうち流路基板42とは反対側の表面に振動板46が設置される。振動板46は、弾性的に振動可能な平板状の部材であり、例えば酸化シリコン等の弾性材料で形成された弾性膜と、酸化ジルコニウム等の絶縁材料で形成された絶縁膜との積層で構成される。振動板46と流路基板42とは、圧力室基板44の各開口部422の内側で互い間隔をあけて対向する。各開口部422の内側で流路基板42と振動板46とに挟まれた空間は、インクに圧力を付与するキャビティ442として機能する。各キャビティ442は、流路基板42の連通流路426を介してノズルNに連通する。
振動板46のうち圧力室基板44とは反対側の表面には、ノズルN(キャビティ442)毎に圧電素子Pztが形成される。
圧電素子Pztは、振動板46の面上に形成された複数の圧電素子Pztにわたって共通の駆動電極72と、当該駆動電極72の面上に形成された圧電体74と、当該圧電体74の面上に圧電素子Pzt毎に形成された個別の駆動電極76とを包含する。このような構成において、駆動電極72および76によって圧電体74を挟んで対向する領域が圧電素子Pztとして機能する。
圧電体74は、例えば加熱処理(焼成)を含む工程で形成される。具体的には、複数の駆動電極72が形成された振動板46の表面に塗布された圧電材料を、焼成炉内での加熱処理により焼成してから圧電素子Pzt毎に成形(例えばプラズマを利用したミーリング)することで圧電体74が形成される。
なお、ノズル列Nbに対応する圧電素子Pztも同様に、駆動電極72と、圧電体74と、駆動電極76とを包含した構成である。
また、この例では、圧電体74に対し、共通の駆動電極72を下層とし、個別の駆動電極76を上層としたが、逆に駆動電極72を上層とし、駆動電極76を下層とする構成としても良い。
圧電素子Pztの一端である駆動電極76には、吐出すべきインク量に応じた駆動信号の電圧Voutが回路基板から個別に印加される一方、圧電素子Pztの他端である駆動電極72には、電圧VBSの保持信号が共通に印加される。
このため、圧電素子Pztは、駆動電極72および76に印加された電圧に応じて、上または下方向に変位する。詳細には、駆動電極76を介して印加される駆動信号の電圧Voutが低くなると、圧電素子Pztにおける中央部分が両端部分に対して上方向に撓む一方、当該電圧Voutが高くなると、下方向に撓む構成となっている。
ここで、上方向に撓めば、キャビティ442の内部容積が拡大(圧力が減少)するので、インクが液体貯留室Srから引き込まれる一方、下方向に撓めば、キャビティ442の内部容積が縮小(圧力が増加)するので、縮小の程度によっては、インク滴がノズルNから吐出される。このように、圧電素子Pztに適切な駆動信号が印加されると、当該圧電素子Pztの変位によって、インクがノズルNから吐出される。このため、少なくとも圧電素子Pzt、キャビティ442、およびノズルNによってインクを吐出する吐出部が構成されることになる。
次に、印刷装置1の電気的な構成について説明する。
図5は、印刷装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、印刷装置1は、メイン基板100にフレキシブルフラットケーブル190を介してヘッドユニット3が接続された構成となっている。ヘッドユニット3は、アクチュエーター基板40と、回路基板50とに大別される。
なお、印刷装置1では、4個のヘッドユニット3が設けられ、メイン基板100が、4個のヘッドユニット3をそれぞれ独立に制御する。4個のヘッドユニット3では、吐出するインクの色以外において異なることがないので、以下においては便宜的に1個のヘッドユニット3について代表して説明することにする。
図5に示されるように、メイン基板100は、制御部110およびオフセット電圧生成回路130を含む。
このうち、制御部110は、CPUや、RAM、ROMなどを有する一種のマイクロコンピューターであり、印刷対象となる画像データがホストコンピューター等から供給されたときに、所定のプログラムを実行して各部を制御するための各種の信号等をそれぞれ出力する。
具体的には、第1に、制御部110は、データdAおよびdBと、信号OEa、OCa、OEbおよびOCbとを、それぞれ回路基板50に供給する。
ここで、データdAは、駆動信号COM−Aを規定するデジタルのデータである。信号OEaおよびOCaの各々は、それぞれデータdAで規定される駆動信号COM−Aの波形の電圧変化に応じた論理レベルとなる信号であり、詳細については後述する。
同様に、データdBは、駆動信号COM−Bを規定するデジタルのデータである。信号OEbおよびOCbの各々は、それぞれ、データdBで規定される駆動信号COM−Bの波形の電圧変化に応じた論理レベルとなる信号であり、詳細については後述する。
第2に、制御部110は、移動機構6および搬送機構8に対する制御に同期して、ヘッドユニット3に各種の制御信号Ctrを供給する。なお、制御信号Ctrには、ノズルNから吐出させるインクの量を規定する印刷データSI、当該印刷データの転送に用いるクロック信号Sck、印刷周期等を規定する信号LAT、CHが含まれる。
なお、制御部110は、移動機構6および搬送機構8を制御するが、このような構成については既知であるので説明を省略する。
また、オフセット電圧生成回路130は、電圧VBSの保持信号を生成する。電圧VBSの保持信号は、フレキシブルフラットケーブル190および回路基板50を介して、アクチュエーター基板40における複数の圧電素子Pztの他端にわたって共通に印加される。電圧VBSの保持信号は、複数の圧電素子Pztの他端を、それぞれ一定の状態に保つためのものである。
一方、ヘッドユニット3において回路基板50は、駆動回路120aおよび120bと、選択制御部510と、圧電素子Pztに一対一に対応した選択部520と、を有する。
駆動回路120aは、データdAをアナログ信号に変換し、当該アナログ信号を、信号OEa、OCaを用いて例えば電圧10倍に増幅し、駆動能力を高めて(低インピーダンスに変換して)駆動信号COM−Aとして出力する。
同様に、駆動回路120bは、データdBをアナログ信号に変換し、当該アナログ信号を、信号OEb、OCbを用いて例えば電圧10倍に増幅して駆動信号COM−Bとして出力する。
なお、詳細については後述するが、便宜的にデータdAをアナログに変換した信号をainと表記し、データdBをアナログに変換した信号をbinと表記する。また、駆動信号COM−A(ain)およびCOM−B(bin)については、それぞれ後述するように台形波形である。
選択制御部510は、選択部520の各々における選択をそれぞれ制御する。
詳細には、選択制御部510は、制御部110からクロック信号に同期して供給される印刷データを、ヘッドユニット3のノズル(圧電素子Pzt)の数個分、一旦蓄積するとともに、各選択部520に対し、印刷データにしたがって駆動信号COM−A、COM−Bの選択を、タイミング信号で規定される印刷周期の開始タイミングで指示する。
各選択部520は、選択制御部510による指示にしたがって、駆動信号COM−A、COM−Bのいずれかを選択し(または、いずれも選択せずに)、電圧Voutの駆動信号として、対応する圧電素子Pztの一端に印加する。
一方、ヘッドユニット3におけるアクチュエーター基板40は、図4で説明したように、ノズルN毎に圧電素子Pztが1個ずつ設けられる。圧電素子Pztの各々における他端は共通接続されて、当該他端にはオフセット電圧生成回路130による電圧VBSが印加される。
なお、ヘッドユニット3では、アクチュエーター基板40に回路基板50が接続されるとともに、当該回路基板50に、駆動回路120a、120b、選択制御部510、および、複数の選択部520を構成する素子が、それぞれ実装される。
本実施形態において、1つのドットについては、1つのノズルNからインクを最多で2回吐出させることで、大ドット、中ドット、小ドットおよび非記録の4階調を表現させる。この4階調を表現するために、本実施形態では、2種類の駆動信号COM−A、COM−Bを用意するとともに、各々の1周期をそれぞれ前半と後半とに分けている。そして、1周期のうち、前半および後半の各々において駆動信号COM−A、COM−Bを、表現すべき階調に応じた選択して(または選択しないで)、圧電素子Pztに供給する構成となっている。
そこで先に、駆動信号COM−A、COM−Bについて説明し、この後、駆動信号COM−A、COM−Bを選択するための選択制御部510および選択部520の詳細な構成について説明する。
図6は、駆動信号COM−A、COM−Bの波形等を示す図である。
図に示されるように、駆動信号COM−Aは、印刷周期Taのうち、制御信号LATが出力されて(立ち上がって)から制御信号CHが出力されるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、印刷周期Taのうち、制御信号CHが出力されてから次の制御信号LATが出力されるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを繰り返す波形となっている。
本実施形態において台形波形Adp1、Adp2とは、互いにほぼ同一の波形であり、仮にそれぞれが圧電素子Pztの一端である駆動電極76に供給されたとしたならば、当該圧電素子Pztに対応するノズルNから所定量、具体的には中程度の量のインクをそれぞれ吐出させる波形である。
駆動信号COM−Bは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを繰り返す波形となっている。本実施形態において台形波形Bdp1、Bdp2とは、互いに異なる波形である。このうち、台形波形Bdp1は、ノズルN付近のインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波形である。このため、仮に台形波形Bdp1が圧電素子Pztの一端に供給されたとしても、当該圧電素子Pztに対応するノズルNからインク滴が吐出されない。また、台形波形Bdp2は、台形波形Adp1(Adp2)とは異なる波形となっている。仮に台形波形Bdp2が圧電素子Pztの一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子Pztに対応するノズルNから上記所定量よりも少ない量のインクを吐出させる波形である。
台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2の開始タイミングでの電圧と、終了タイミングでの電圧とは、いずれも電圧Vcenで共通である。すなわち、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2の各々は、それぞれ電圧Vcenで開始し、電圧Vcenで終了する波形となっている。
なお、駆動回路120a(120b)は、データdA(dB)をアナログに変換した信号ain(bin)を、電圧増幅して(インピーダンス変換して)駆動信号COM−A(COM−B)として出力するものである。このため、駆動信号COM−A(COM−B)電圧波形は、多少の誤差を伴うものの、増幅前のアナログの信号ain(bin)の電圧波形をそれぞれ10倍とした相似形の関係にある。
制御部110は、駆動信号COM−A(信号ain)の台形波形に応じて、次のような論理レベルとなる信号OEaおよびOCaの各々を駆動回路120aにそれぞれ供給する。詳細には、第1に、制御部110は、信号OEaを、駆動信号COM−Aについて電圧を低下させる期間と電圧を上昇させる期間とにわたってLレベルとし、それ以外の駆動信号COM−Aの電圧を一定とさせる期間にわたってHレベルとする。第2に、制御部110は、信号OCaを、駆動信号COM−Aの電圧を上昇させる期間にわたってLレベルとし、それ以外の期間にわたってHレベルとする。
これにより、駆動信号COM−Aの台形波形において電圧が一定となる期間では、信号OEaがHレベルとなり、電圧が変化する期間では、信号OEaがLレベルとなる。さらに、駆動信号COM−Aの電圧が変化する期間(すなわち信号OEaがLレベルとなる期間)のうち、電圧が低下する期間では信号OCaがHレベルとなり、電圧が上昇する期間では信号OCaがLレベルとなる。
同様に、制御部110は、駆動信号COM−B(信号bin)の台形波形に応じて、次のような論理レベルとなる信号OEbおよびOCbの各々を駆動回路120bにそれぞれ供給する。詳細には、第1に、制御部110は、信号OEbを、駆動信号COM−B(信号bin)について電圧を低下させる期間と電圧を上昇させる期間とにわたってLレベルとし、それ以外の駆動信号COM−Bの電圧を一定とさせる期間にわたってHレベルとする。第2に、制御部110は、信号OCbを、駆動信号COM−Bの電圧を上昇させる期間にわたってLレベルとし、それ以外の期間にわたってHレベルとする。
これにより、駆動信号COM−Bの台形波形において電圧が一定となる期間では、信号OEbがHレベルとなり、電圧が変化する期間では、信号OEbがLレベルとなる。さらに、駆動信号COM−Bの電圧が変化する期間(すなわち信号OEbがLレベルとなる期間)のうち、電圧が低下する期間では信号OCbがHレベルとなり、電圧が上昇する期間では信号OCbがLレベルとなる。
図7は、図5における選択制御部510の構成を示す図である。
この図に示されるように、選択制御部510には、クロック信号Sck、印刷データSI、制御信号LATおよびCHが供給される。選択制御部510では、シフトレジスタ(S/R)512とラッチ回路514とデコーダー516との組が、圧電素子Pzt(ノズルN)のそれぞれに対応して設けられている。
印刷データSIは、印刷周期Taにわたって、着目しているヘッドユニット3において、すべてのノズルNによって形成すべきドットを規定するデータである。本実施形態では、非記録、小ドット、中ドットおよび大ドットの4階調を表現するために、ノズル1個分の印刷データは、上位ビット(MSB)および下位ビット(LSB)の2ビットで構成される。
印刷データSIは、クロック信号Sckに同期してノズルN(圧電素子Pzt)毎に、媒体Pの搬送に合わせて制御部110から供給される。当該印刷データSIを、ノズルNに対応して2ビット分、一旦保持するための構成がシフトレジスタ512である。
詳細には、m個の圧電素子Pzt(ノズル)の各々に対応した計m段のシフトレジスタ512が縦続接続されるとともに、図において左端に位置する1段のシフトレジスタ512に供給された印刷データSIが、クロック信号Sckにしたがって順次後段(下流側)に転送される構成となっている。
なお、図では、シフトレジスタ512を区別するために、印刷データSIが供給される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
ラッチ回路514は、シフトレジスタ512で保持された印刷データSIを制御信号LATの立ち上がりでラッチする。
デコーダー516は、ラッチ回路514によってラッチされた2ビットの印刷データSIをデコードして、制御信号LATと制御信号CHとで規定される期間T1、T2ごとに、選択信号Sa、Sbを出力して、選択部520での選択を規定する。
図8は、デコーダー516におけるデコード内容を示す図である。
この図において、ラッチされた2ビットの印刷データSIについては(MSB、LSB)と表記している。デコーダー516は、例えばラッチされた印刷データSIが(0、1)であれば、選択信号Sa、Sbの論理レベルを、期間T1ではそれぞれH、Lレベルで、期間T2ではそれぞれL、Hレベルで、出力するということを意味している。
なお、選択信号Sa、Sbの論理レベルについては、クロック信号Sck、印刷データSI、制御信号LATおよびCHの論理レベルよりも、レベルシフター(図示省略)によって、高振幅論理にレベルシフトされる。
図9は、図5における選択部520の構成を示す図である。
この図に示されるように、選択部520は、インバーター(NOT回路)522aおよび522bと、トランスファーゲート524aおよび524bとを有する。
デコーダー516からの選択信号Saは、トランスファーゲート524aにおいて丸印が付されていない正制御端に供給される一方で、インバーター522aによって論理反転されて、トランスファーゲート524aにおいて丸印が付された負制御端に供給される。同様に、選択信号Sbは、トランスファーゲート524bの正制御端に供給される一方で、インバーター522bによって論理反転されて、トランスファーゲート524bの負制御端に供給される。
トランスファーゲート524aの入力端には、駆動信号COM−Aが供給され、トランスファーゲート524bの入力端には、駆動信号COM−Bが供給される。トランスファーゲート524aおよび524bの出力端同士は、共通接続されるとともに、対応する圧電素子Pztの一端に接続される。
トランスファーゲート524aは、選択信号SaがHレベルであれば、入力端および出力端の間を導通(オン)させ、選択信号SaがLレベルであれば、入力端と出力端との間を非導通(オフ)させる。トランスファーゲート524bについても同様に選択信号Sbに応じて、入力端および出力端の間をオンオフさせる。
図6に示されるように、印刷データSIは、ノズル毎に、クロック信号Sckに同期して供給されて、ノズルに対応するシフトレジスタ512において順次転送される。そして、クロック信号Sckの供給が停止すると、シフトレジスタ512のそれぞれには、各ノズルに対応した印刷データSIが保持された状態になる。
ここで、制御信号LATが立ち上がると、ラッチ回路514のそれぞれは、シフトレジスタ512に保持された印刷データSIを一斉にラッチする。図6において、L1、L2、…、Lm内の数字は、1段、2段、…、m段のシフトレジスタ512に対応するラッチ回路514によってラッチされた印刷データSIを示している。
デコーダー516は、ラッチされた印刷データSIで規定されるドットのサイズに応じて、期間T1、T2のそれぞれにおいて、選択信号Sa、Saの論理レベルを図8に示されるような内容で出力する。
すなわち、第1に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(1、1)であって、大ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてもH、Lレベルとする。第2に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(0、1)であって、中ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第3に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(1、0)であって、小ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第4に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(0、0)であって、非記録を規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Hレベルとし、期間T2においてL、Lレベルとする。
図10は、印刷データSIに応じて選択されて、圧電素子Pztの一端に供給される駆動信号の電圧波形を示す図である。
印刷データSIが(1、1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオンし、トランスファーゲート524bがオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。選択信号Sa、Sbは期間T2においてもH、Lレベルとなるので、選択部520は、駆動信号COM−Aの台形波形Adp2を選択する。
このように期間T1において台形波形Adp1が選択され、期間T2において台形波形Adp2が選択されて、駆動信号として圧電素子Pztの一端に供給されると、当該圧電素子Pztに対応したノズルNから、中程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pにはそれぞれのインクが着弾し合体して、結果的に、印刷データSIで規定される通りの大ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(0、1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオンし、トランスファーゲート524bはオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてL、Hレベルとなるので、駆動信号COM−Bの台形波形Bdp2が選択される。
したがって、ノズルから、中程度および小程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pには、それぞれのインクが着弾して合体して、結果的に、印刷データSIで規定された通りの中ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(1、0)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてともにLレベルとなるので、トランスファーゲート524a、524bがオフする。このため、期間T1において台形波形Adp1、Bdp1のいずれも選択されない。トランスファーゲート524a、524bがともにオフする場合、当該トランスファーゲート524a、524bの出力端同士の接続点から圧電素子Pztの一端までの経路は、電気的にどの部分にも接続されないハイ・インピーダンス状態になる。ただし、圧電素子Pztの両端では、自己が有する容量性によって、トランスファーゲートがオフする直前の電圧(Vcen−VBS)が保持される。
次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてL、Hレベルとなるので、駆動信号COM−Bの台形波形Bdp2が選択される。このため、ノズルNから、期間T2においてのみ小程度の量のインクが吐出されるので、媒体Pには、印刷データSIで規定された通りの小ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(0、0)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてL、Hレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオフし、トランスファーゲート524bがオンする。このため、期間T1において駆動信号COM−Bの台形波形Bdp1が選択される。次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてともにLレベルとなるので、台形波形Adp2、Bdp2のいずれも選択されない。
このため、期間T1においてノズルN付近のインクが微振動するのみであり、インクは吐出されないので、結果的に、ドットが形成されない、すなわち、印刷データSIで規定された通りの非記録になる。
このように、選択部520は、選択制御部510による指示にしたがって駆動信号COM−A、COM−Bを選択し(または選択しないで)、圧電素子Pztの一端に印加する。このため、各圧電素子Pztは、印刷データSIで規定されるドットのサイズに応じて駆動されることになる。
なお、図6に示した駆動信号COM−A、COM−Bはあくまでも一例である。実際には、媒体Pの性質や搬送速度などに応じて、予め用意された様々な波形の組み合わせが用いられる。
また、ここでは、圧電素子Pztが、電圧の低下に伴って上方向に撓む例で説明したが、駆動電極72、76に印加する電圧を逆転させると、圧電素子Pztは、電圧の低下に伴って下向に撓むことになる。このため、圧電素子Pztが、電圧の低下に伴って下方向に撓む構成では、図に例示した駆動信号COM−A、COM−Bが、電圧Vcenを基準に反転した波形となる。
次に、回路基板50における駆動回路120a、120bについて、駆動信号COM−Aを出力する側の駆動回路120aを例にとって説明する。
図11は、駆動回路120aの構成を示す図である。この図に示されるように、駆動回路120aは、補助電源Ea、Eb、EcおよびEdと、D/A変換器(DAC、Digital to Analog Converter)210と、差動増幅器221と、セレクター223と、ゲートセレクター270a、270b、270cおよび270dと、比較器300と、4つのトランジスター対と、抵抗素子R1およびR2と、コンデンサーC0とを含む。
このうち、補助電源Eaは電圧Vを出力し、補助電源Ebは電圧Vを出力し、補助電源Ecは電圧Vを出力し、補助電源Edは電圧Vを出力する。
図12は、電圧V、V、V、およびVについて説明するための図である。
この図に示されるように、電圧V、V、V、およびVの各々は、それぞれ順番に10.5V、21.0V、31.5V、および42.0Vである。駆動回路120aでは、電圧V、V、V、およびVを基準として次のような電圧範囲が規定される。詳細には、電圧ゼロのグランドGnd以上電圧V未満の範囲が第1範囲として規定され、電圧V以上電圧V未満の範囲が第2範囲として規定され、電圧V以上電圧V未満の範囲が第3範囲として規定され、電圧V以上電圧V未満の範囲が第4範囲として規定されている。
なお、補助電源Ea、Eb、EcおよびEdの各々は、例えば図示省略した主電源から電圧の供給を受けて、それぞれ順番に電圧V、V、V、およびVにそれぞれ生成する。
図11の説明に戻すと、DAC210は、デジタルのデータdAをアナログの信号ainに変換する。
差動増幅器221の負入力端(−)には信号ainが供給される一方、正入力端(+)にはノードN3の電圧Out2が印加されている。このため、差動増幅器221は、電圧Out2から、入力である信号ainの電圧Vinを減算した差電圧を増幅した信号(制御信号)を出力することになる。
なお、差動増幅器221は、例えば電源の低位側をグランドGndとして電源の高位側を電圧Vとしている。このため、差動増幅器221の出力電圧は、グランドGndから電圧Vまでの範囲となる。
セレクター(選択部)223は、信号OEaおよびOCaの論理レベルに応じて、次のような2つの信号を選択して、それぞれ信号Gt1およびGt2として出力する。
詳細には、セレクター223は、信号OEaがLレベルであって、かつ、信号OCaがLレベルであれば、信号Gt1として差動増幅器221の出力信号を選択し、信号Gt2としてLレベルを選択する。
一方、セレクター223は、信号OEaがLレベルであって、かつ、信号OCaがHレベルであれば、信号Gt1としてHレベルを選択し、信号Gt2として差動増幅器221の出力信号を選択する。
なお、セレクター223は、信号OEaがHレベルであれば、信号OCaの論理レベルとは無関係に、信号Gt1としてHレベルを選択し、信号Gt2としてLレベルを選択する。
換言すれば、セレクター223は、第1に、駆動信号COM−Aの増幅前である信号ainの電圧上昇期間であれば、信号Gt1として差動増幅器221の出力信号を選択し、信号Gt2としてLレベルを選択し、第2に、信号ainの電圧下降期間であれば、信号Gt1としてHレベルを選択し、信号Gt2として差動増幅器221の出力信号を選択し、第3に、信号ainの電圧平坦期間であれば、信号Gt1としてHレベルを選択し、信号Gt2としてLレベルを選択する。
なお、セレクター223は、図示省略しているが、電源の低位側をグランドGndとし、電源の高位側を電圧Vとしている。このため、セレクター223の出力電圧については、差動増幅器221の出力信号が選択されてときには、グランドGndから電圧Vまでの範囲であり、Hレベルが電圧Vとなり、LレベルがグランドGndとなる。
比較器300は、信号ainの電圧が、信号V、V、Vを基準にして、どの電圧範囲に含まれるかを判別して、当該判別の結果に応じて、それぞれ次のように選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdを出力する。
詳細には、比較器300は、選択信号Saについては、信号ainを電圧10倍で増幅したときの電圧がグランドGnd以上(V+α)未満の範囲であればHレベルとし、それ以外の範囲であればLレベルとする。なお、例えば信号ainを電圧10倍で増幅したときの電圧が(V+α)未満であるときとは、信号ainの電圧が(V+α)/10未満であるときである。
また、比較器300は、選択信号Sbについては、信号ainを電圧10倍で増幅したときの電圧が(V−α)以上(V+α)未満の範囲であればHレベルとし、それ以外の範囲であればLレベルとする。
同様に、比較器300は、選択信号Scについては、信号ainを電圧10倍で増幅したときの電圧が(V−α)以上(V+α)未満の範囲であればHレベルとし、それ以外の範囲であればLレベルとする。
比較器300は、選択信号Sdについては、信号ainを電圧10倍で増幅したときの電圧が(V−α)以上V未満の範囲であればHレベルとし、それ以外の範囲であればLレベルとする。
ここで、信号ainを電圧10倍で増幅したときの電圧が(V−α)以上(V+α)未満である場合、選択信号SaおよびSbがともにHレベル(選択信号ScおよびSdがともにLレベル)となる。
また、信号ainを電圧10倍で増幅したときの電圧が(V−α)以上(V+α)未満である場合、選択信号SbおよびScがともにHレベル(選択信号SaおよびSdがともにLレベル)となり、(V−α)以上(V+α)未満である場合、選択信号ScおよびSdがともにHレベル(選択信号SaおよびSbがともにLレベル)となる。
まとめると、選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdの各々がHレベルとなるのは、信号ainを電圧10倍で増幅したときの電圧が、図12において太線の範囲にある場合である。
次に、このような選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdを出力する比較器300の具体例について説明する。
図13は、比較器300の具体例についての構成を示す図である。
この図の例において比較器300は、抵抗素子R11〜R19、演算増幅器321〜326、NOT回路331〜333、AND回路341および342を含む。
このうち、抵抗素子R11〜R13は、グランドGndと電圧Vの給電点との間で直列に接続されて、電圧Vを分圧することによって次の2つの電圧を生成し、比較対象として演算増幅器321および322に給電している。詳細には、抵抗素子R11およびR12の接続点で電圧(V−α)/10が生成されて、演算増幅器321の正入力端(+)に給電され、抵抗素子R12およびR13の接続点で電圧(V+α)/10が生成されて、演算増幅器322の正入力端(+)に給電される。
同様に、抵抗素子R14〜R16は、グランドGndと電圧Vの給電点との間で直列に接続されて、電圧Vを分圧することによって次の2つの電圧を生成し、比較対象として演算増幅器323および324に給電している。詳細には、抵抗素子R14およびR15の接続点で電圧(V−α)/10が生成されて、演算増幅器323の正入力端(+)に給電され、抵抗素子R15およびR16の接続点で電圧(V+α)/10が生成されて、演算増幅器324の正入力端(+)に給電される。
抵抗素子R17〜R19は、グランドGndと電圧Vの給電点との間で直列に接続されて、電圧Vを分圧することによって次の2つの電圧を生成し、比較対象として演算増幅器325および326に給電している。詳細には、抵抗素子R17およびR18の接続点で電圧(V−α)/10が生成されて、演算増幅器325の正入力端(+)に給電され、抵抗素子R18およびR19の接続点で電圧(V+α)/10が生成されて、演算増幅器326の正入力端(+)に給電される。
演算増幅器321〜326の各々は、正入力端(+)の電圧が負入力端(−)の電圧以上である場合にHレベルを出力し、正入力端(+)の電圧が負入力端(−)の電圧未満である場合にLレベルを出力するコンパレーターである。
演算増幅器321〜326における各負入力端(−)には、それぞれ信号ainが共通に供給されている。
演算増幅器321の出力信号は、NOT回路331により論理反転されて、AND回路341の入力端の一方に供給される。
演算増幅器322の出力信号は、選択信号Saとしてゲートセレクター270a(図11参照)に供給される。
演算増幅器323の出力信号は、NOT回路332により論理反転されて、AND回路342の入力端の一方に供給される。
演算増幅器324の出力信号は、AND回路341の入力端の他方に供給される。
AND回路341の出力信号は、選択信号Sbとしてゲートセレクター270b(図11参照)に供給される。
演算増幅器325の出力信号は、NOT回路333により論理反転されて、選択信号Sdとしてゲートセレクター270d(図11参照)に供給される。
演算増幅器326の出力信号は、AND回路342の入力端の他方に供給される。
AND回路342の出力信号は、選択信号Scとしてゲートセレクター270c(図11参照)に供給される。
図13の具体例によれば、信号ainの電圧Vinが(V−α)/10未満であれば、すなわち、信号ainを電圧10倍で増幅したときの電圧が(V+α)未満であれば、演算増幅器322の出力信号である選択信号SaがHレベルとなる。
また、電圧Vinが(V−α)/10以上(V+α)/10未満であれば、すなわち、信号ainを電圧10倍で増幅したときの電圧が(V−α)以上(V+α)未満の範囲であれば、AND回路341の出力信号である選択信号SbがHレベルとなる。
同様に、電圧Vinが(V−α)/10以上(V+α)/10未満であれば、すなわち、信号ainを電圧10倍で増幅したときの電圧が(V−α)以上(V+α)未満の範囲であれば、AND回路342の出力信号である選択信号ScがHレベルとなり、電圧Vinが(V−α)/10以上であれば、すなわち、信号ainを電圧10倍で増幅したときの電圧が(V−α)以上であれば、演算増幅器325の出力信号をNOT回路333で論理反転した信号である選択信号SdがHレベルとなる。
次に、説明の便宜上、4つのトランジスター対について説明する。
この例において、4つのトランジスター対は、トランジスター231a、232aの対、トランジスター231b、232bの対、トランジスター231c、232cの対、および、トランジスター231d、232dの対によって構成される。
4つのトランジスター対を構成する計8つのトランジスターのうち、トランジスター231a、231b、231c、231dが、ハイサイドであって例えばPチャネル型の電界効果トランジスターであり、トランジスター232a、232b、232c、232dが、ローサイドであって、例えばNチャネル型の電界効果トランジスターである。
トランジスター231aについては、ソース端子に電圧Vが印加され、ドレイン端子がノードN2に接続される。トランジスター232aについては、ソース端子がグランドGndに接地され、ドレイン端子がノードN2に接続される。
同様に、トランジスター231b(231c、231d)については、ソース端子に電圧V(V、V)が印加され、ドレイン端子がノードN2に接続される。トランジスター232b(232c、232d)については、ソース端子に電圧V(V、V)が印加され、ドレイン端子がノードN2に接続される。
なお、例えばトランジスター231aを第1ハイサイドトランジスターとし、トランジスター232aを第1ローサイドトランジスターとした場合、トランジスター231bが第2ハイサイドトランジスターとなり、トランジスター232bが第2ローサイドトランジスターとなる。
ゲートセレクター270aは、電源の低位側をグランドGndとし、高位側を電圧Vとして、入力端Enbに供給された選択信号SaがHレベルのときにイネーブルされ、Lレベルにディセーブルされる。ゲートセレクター270aは、イネーブルされたときに、セレクター223から出力される信号Gt1およびGt2の各々をそれぞれレベルシフトして、トランジスター231aのゲート端子、および、トランジスター232aのゲート端子にそれぞれ供給する。詳細には、ゲートセレクター270aは、イネーブルされたときに、信号Gt1の最低電圧から最高電圧までの範囲を、電源のグランドGndから電圧Vまでの範囲にレベルシフトして、トランジスター231aのゲート端子に供給し、信号Gt2の最低電圧から最高電圧までの範囲を、グランドGndから電圧Vまでの範囲にレベルシフトして、トランジスター232aのゲート端子に供給する。
なお、信号Gt1およびGt2の最低電圧から最高電圧までの範囲は、グランドGndから電圧Vまでの範囲に一致しているので、ゲートセレクター270aに限っていえば、イネーブルされたときに、信号Gt1を0Vシフトして(そのまま)トランジスター231aのゲート端子に、信号Gt2を0Vシフトしてトランジスター232aのゲート端子に、それぞれ供給する。
ゲートセレクター270bは、電源の低位側を電圧Vとし、高位側を電圧Vとして、入力端に供給された選択信号SbがHレベルのときにイネーブルされ、Lレベルにディセーブルされる。ゲートセレクター270bは、イネーブルされたときに、信号Gt1の最低電圧から最高電圧までの範囲を、電源の電圧Vから電圧Vまでの範囲にレベルシフトして、トランジスター231bのゲート端子に供給し、信号Gt2の最低電圧から最高電圧までの範囲を、電圧Vから電圧Vまでの範囲にレベルシフトして、トランジスター232bのゲート端子に供給する。すなわち、ゲートセレクター270bに限っていえば、イネーブルされたときに、信号Gt1に10.5Vを上乗せしてトランジスター231bのゲート端子に供給し、信号Gt2に10.5Vを上乗せしてトランジスター232bのゲート端子に供給する。
同様に、ゲートセレクター270cは、電源の低位側を電圧Vとし、高位側を電圧Vとして、入力端Enbに供給された選択信号ScがHレベルのときにイネーブルされ、Lレベルにディセーブルされる。ゲートセレクター270cは、イネーブルされたときに、信号Gt1の最低電圧から最高電圧までの範囲を、電源の電圧Vから電圧Vまでの範囲にレベルシフトして、トランジスター231cのゲート端子に供給し、信号Gt2の最低電圧から最高電圧までの範囲を、電圧Vから電圧Vまでの範囲にレベシフトして、トランジスター232cのゲート端子に供給する。すなわち、ゲートセレクター270cに限っていえば、イネーブルされたときに、信号Gt1に21.0Vを上乗せしてトランジスター231cのゲート端子に供給し、信号Gt2に21.0Vを上乗せしてトランジスター232cのゲート端子に供給する。
同様に、ゲートセレクター270dは、電源の低位側を電圧Vとし、高位側を電圧Vとするものであり、イネーブルされたときに、信号Gt1の最低電圧から最高電圧までの範囲を、電源の電圧Vから電圧Vまでの範囲にレベルシフトして、トランジスター231dのゲート端子に供給し、信号Gt2の最低電圧から最高電圧までの範囲を、電圧Vから電圧Vまでの範囲にレベルシフトして、トランジスター232dのゲート端子に供給する。すなわち、ゲートセレクター270dに限っていえば、イネーブルされたときに、信号Gt1に31.5Vを上乗せしてトランジスター231dのゲート端子に供給し、信号Gt2に31.5Vを上乗せしてトランジスター232dのゲート端子に供給する。
なお、ゲートセレクター270a、270b、270c、および270dの各々は、ディセーブルされたとき、それぞれに対応する2つのトランジスターをそれぞれオフとさせる信号を出力する。すなわち、ゲートセレクター270a、270b、270cおよび270dは、ディセーブルされると、信号Gt1を強制的にHレベルに変換し、信号Gt2を強制的にLレベルに変換する。
ここでいうHレベル(およびLレベル)は、ゲートセレクター270a、270b、270cおよび270dのそれぞれにおける電源の高位側電圧(および低位側電圧)である。例えば、ゲートセレクター270bは、電圧Vと電圧Vとを電源とするので、高位側の電圧VがHレベルであり、低位側の電圧VがLレベルである。
さて、出力端であるノードN2からは駆動信号COM−Aが出力される。この駆動信号COM−Aは、抵抗素子R1を介して差動増幅器221の正入力端(+)に帰還される。この例では、便宜的に、差動増幅器221の正入力端(+)をノードN3と表記する一方、当該ノードN3の電圧をOut2と表記している。
ノードN3は、抵抗素子R2を介してグランドGndに接地される。このため、ノードN3の電圧Out2は、ノードN2の電圧Outの電圧を、抵抗素子R1およびR2の抵抗値で規定される比、すなわち、R2/(R1+R2)で分圧した電圧となる。本実施形態において、分圧比は、駆動回路120における電圧増幅率の逆数である1/10に設定される。このため、ノードN3における電圧Out2は、ノードN2における電圧Outの1/10という関係となる。
なお、ダイオードd1、d2は逆流防止用である。ダイオードd1の順方向は、トランジスター231a、231bおよび231cのドレイン端子からノードN2に向かう方向であり、ダイオードd2の順方向は、ノードN2からトランジスター231b、231cおよび231dのドレイン端子に向かう方向である。
ノードN2の電圧Outは電圧Vよりも高くならないので、逆流を考慮する必要がない。このため、トランジスター231dに対してダイオードd1は設けられていない。同様にノードN2の電圧Outは電圧ゼロのグランドGndよりも低くならないので、トランジスター232aに対してダイオードd2は設けられていない。
また、コンデンサーC0は、異常発振の防止等のために設けられ、一端がノードN2に接続され、他端が一定電位の、例えばグランドGndに接地されている。
なおここでは、駆動信号COM−Aを出力する駆動回路120aを例にとって説明したが、駆動信号COM−Bを出力する駆動回路120bの構成については、駆動回路120aと同一であって、入出力信号だけが異なる。すなわち、駆動回路120bは、信号OEaの代わりに信号OEbが、信号OCaの代わりに信号OCbが、データdAの代わりにデータdBが、それぞれ入力される一方、ノードN2から駆動信号COM−Bが出力される構成となる。
次に、駆動回路120aの動作について説明する。
図14は、駆動回路120aの動作を説明するための図である。この図に示されるように、また、上述したように信号ainの電圧波形は、図6に示した駆動信号COM−Aの電圧波形を増幅前の1/10に縮小した相似形である。
なお、信号ainについては、図14に示されるような波形で時間経過とともに推移する、として説明する。
ここで、台形波形である信号ainにおける開始・終了電圧のVcen/10が、(V+α)/10以上(V−α)/10未満であり、最低電圧がグランドGnd以上(V−α)/10未満であり、最高電圧が(V+α)/10以上V未満であるとする。
また、台形波形の信号ainの電圧Vinは、台形波形の当初においてVcen/10で第3範囲にあり、電圧低下とともに第2範囲および第1範囲に移行して最低電圧のminで一定となり、電圧上昇とともに第1範囲、第2範囲、第3範囲、および第4範囲に移行して最高電圧maxで一定となり、再び電圧低下して第4範囲および第3範囲に移行して、電圧Vcen/10で一定となるものとする。
なお、ここでは信号ainを基準にしているので、各電圧範囲は、駆動信号COM−Aを基準にしてみたとき(図12参照)の1/10とした関係にある。
比較器300は、台形波形の信号ainの電圧がVcen/10から低下し、タイミングtにおいて(V+α)/10未満になると、選択信号SbをLレベルからHレベルに切り替え、タイミングtにおいて(V−α)/10未満になると、選択信号ScをHレベルからLレベルに切り替える。
比較器300は、信号ainの電圧がさらに低下し、タイミングtにおいて(V+α)/10未満になると、選択信号SaをLレベルからHレベルに切り替え、タイミングtにおいて(V−α)未満になると、選択信号SbをLレベルに切り替える。
信号ainの電圧がさらに低下し、最低電圧で一定となり、その後、上昇に転じて、タイミングtにおいて(V−α)/10以上になると、比較器300は、選択信号SbをLレベルからHレベルに切り替える。
比較器300は、信号ainの電圧がさらに上昇し、タイミングtにおいて(V+α)/10以上になると、選択信号SaをLレベルに切り替え、タイミングtにおいて(V−α)以上になると、選択信号ScをHレベルに切り替える。
比較器300は、信号ainの電圧が引き続き上昇し、タイミングtにおいて(V+α)/10以上になると、選択信号SbをLレベルに切り替え、タイミングtにおいて(V−α)以上になると、選択信号SdをHレベルに切り替え、タイミングt10において(V+α)/10以上になると、選択信号ScをLレベルに切り替える。
信号ainの電圧がさらに上昇して最高電圧で一定となり、その後、低下に転じ、タイミングt11において(V+α)/10未満になると、比較器300は、選択信号ScをHレベルに切り替え、タイミングt12において(V−α)未満になると、選択信号SdをLレベルに切り替える。
このように信号ainの電圧の推移に応じて選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdの各々の論理レベルが変化する。この変化において、選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdのうち、Hレベルとなるのは、1つか、または、隣り合うもの同士の2つである。なお、ここでいう隣り合うもの同士とは、選択信号SaおよびSb同士、選択信号SbおよびSc同士、または、選択信号ScおよびSd同士のいずれかをいう。
そこで次に、トランジスター対の動作について、選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdのうち、1つがHレベルとなる場合と、2つがHレベルとなる場合とにわけて説明する。
まず、トランジスター対の動作について、選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdのうち、1つがHレベルとなる場合について説明する。この場合、Hレベルとなった選択信号によって対応する1つのゲートセレクターがイネーブルされ、他の3つのゲートセレクターがディセーブルされる。
ディセーブルにされた3つのゲートセレクターの各々は、対応するハイサイドトランジスターおよびローサイドトランジスターをそれぞれオフにさせるので、信号ainの増幅動作には寄与しない。このため、信号ainの増幅動作に寄与するのは、イネーブルにされたゲートセレクターに対応するハイサイドトランジスターおよびローサイドトランジスターのみとなる。
そこで、選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdのうち、Hレベルとなるものを、一般化するために、符号末尾のa、b、cまたはdを削除して符号Sとして説明する。同様に、イネーブルされるゲートセレクターの符号を270とし、イネーブルされたゲートセレクター270に対応するハイサイドトランジスターの符号を231とし、ローサイドトランジスターの符号を232として説明する。
信号ainの電圧波形は、本実施形態では台形波形としているので、いずれかの選択信号SがHレベルとなる電圧範囲において信号ainの電圧変化で分けると、次の3つのパターンがある。すなわち、
信号ainの電圧が上昇する場合(第1パターン)と、
信号ainの電圧が低下する場合(第2パターン)と、
信号ainの電圧が一定の場合(第3パターン)と、
である。
第1パターンの場合、信号OEaおよびOCaがともにLレベルとなるので、セレクター223は、信号Gt1として差動増幅器221の出力信号を選択し、信号Gt2としてLレベルを選択する。このため、信号Gt1として選択された差動増幅器221の出力信号は、イネーブルされたゲートセレクター270によりレベルシフトされてトランジスター231のゲート端子に供給され、信号Gt2として選択されたLレベルは、同ゲートセレクター270によりレベルシフトされてトランジスター232のゲート端子に供給される。
第1パターンでは、増幅前の信号ainの電圧Vinが、増幅後に基づく電圧Out2よりも先んじて上昇する。逆にいえば、電圧Out2は、電圧Vin未満となる。このため、信号Gt1として選択される差動増幅器221の出力信号の電圧は、両者の差電圧に応じて低くなり、ほぼLレベルに振れる。信号Gt1がLレベルになると、Pチャネル型のトランジスター231がオンするので、電圧Out2が上昇する。なお、電圧Out2は、コンデンサーC0や容量性を有する圧電素子Pztなどにより、実際には、一気に電源の高位側電圧に上昇することはなく、緩慢に上昇する。
電圧Out2が上昇して電圧Vin以上になると、信号Gt2がHレベルになり、トランジスター231がオフするが、電圧Vinが上昇しているので、再び電圧Out2が電圧Vin未満となる。このため、信号Gt2がLレベルとなって、トランジスター231が再びオンすることになる。
このように第1パターンにおいては信号Gt1がL、Hレベルで交互に切り替えられ、これにより、トランジスター231は、スイッチング動作をすることになる。このスイッチング動作により、電圧Out2が電圧Vinに追従するように制御される。ここで、電圧Out2は、ノードN2の電圧Outを1/10に分圧した電圧であるから、電圧Outは、信号ainの電圧Vinを10倍した電圧となるように制御されることになる。
また、第1パターンの場合、セレクター223は、信号Gt2としてLレベルを選択するので、Nチャネル型のトランジスター232はオフすることになる。
第2パターンの場合、信号OEaがLレベルであり、信号OCaがHレベルとなるので、セレクター223は、信号Gt1としてHレベルを選択し、信号Gt2として差動増幅器221の出力信号を選択する。このため、信号Gt1として選択されたHレベルは、イネーブルされたゲートセレクター270によりレベルシフトされてトランジスター231のゲート端子に供給され、信号Gt2として選択された差動増幅器221の出力信号は、同ゲートセレクター270によりレベルシフトされてトランジスター232のゲート端子に供給される。
第2パターンでは、増幅前の信号ainの電圧Vinが、増幅後に基づく電圧Out2よりも先んじて低下する。逆にいえば、電圧Out2は、電圧Vin以上となる。このため、信号Gt2として選択される差動増幅器221の出力信号の電圧は、両者の差電圧に応じて高くなり、ほぼHレベルに振れる。信号Gt2がHレベルになると、Nチャネル型のトランジスター232がオンするので、電圧Out2が低下する。なお、電圧Out2は、コンデンサーC0や容量性を有する圧電素子Pztなどにより、実際には、一気に電源の低位側電圧に低下することはなく、緩慢に低下する。
電圧Out2が低下して電圧Vin未満になると、信号Gt2がLレベルになり、トランジスター232がオフするが、電圧Vinが低下しているので、再び電圧Out2が電圧Vin以上となる。このため、信号Gt2がHレベルとなって、トランジスター232が再びオンすることになる。
このように第2パターンにおいては信号Gt1がH、Lレベルで交互に切り替えられ、これにより、トランジスター232は、スイッチング動作をすることになる。このスイッチング動作により、電圧Out2が電圧Vinに追従するように制御される。このため、第2パターンにおいても、電圧Outは、信号ainの電圧Vinを10倍した電圧となるように制御されることになる。
また、第2パターンの場合、セレクター223は、信号Gt1としてHレベルを選択するので、Pチャネル型のトランジスター231はオフすることになる。
なおここでは、第1パターンの場合に、トランジスター231がスイッチング動作し、第2パターンの場合に、トランジスター232がスイッチング動作すると説明したが、接続される圧電素子Pztの個数が多い場合、トランジスターのオン抵抗と負荷容量で決まる時定数の関係で、リニア動作する場合もあり得る。
第3パターンの場合、信号OEaがHレベルとなるので、セレクター223は、信号Gt1としてHレベルを選択し、信号Gt2としてLレベルを選択する。このため、信号Gt1として選択されたHレベルは、イネーブルされたゲートセレクター270によりレベルシフトされてトランジスター231のゲート端子に供給されるので、Pチャネル型のトランジスター231がオフする一方、信号Gt2として選択されたLレベルは、同ゲートセレクター270によりレベルシフトされてトランジスター232のゲート端子に供給されるので、Nチャネル型のトランジスター232がオフすることになる。
トランジスター231および232がオフすると、ノードN2は、コンデンサーC0によって、スイッチング動作終了時の電圧に保持される。
なお、駆動回路120aの負荷は、容量性の圧電素子Pztであるから、電圧一定であれば、電流が流れない。このため、リーク等を考慮しないのであれば、ノードN2の電圧VoutはコンデンサーC0によって一定に保たれることになる。
ここでは、イネーブルされた、ある1つのゲートセレクター270と、当該ゲートセレクター270に対応するトランジスター231および232との動作について説明したが、例えばゲートセレクター270aがイネーブルされたならば、トランジスター231aおよび232aによってグランドGndから電圧Vまでの第1範囲で信号ainを電圧10倍で増幅することになる。
また例えばゲートセレクター270bがイネーブルされたならば、トランジスター231bおよび232bによって電圧Vから電圧Vまでの第2範囲で信号ainを電圧10倍で増幅することになる。
同様にゲートセレクター270cがイネーブルされたならば、トランジスター231cおよび232cによって電圧Vから電圧Vまでの第3範囲で信号ainを電圧10倍で増幅し、ゲートセレクター270dがイネーブルされたならば、トランジスター231dおよび232dによって電圧Vから電圧Vまでの第4範囲で信号ainを電圧10倍で増幅することになる。
次に、トランジスター対の動作について、選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdのうち、隣り合うもの同士の2つがHレベルとなる場合について説明する。この場合、2つの選択信号に対応する2つのゲートセレクターがイネーブルされ、他の2つのゲートセレクターがディセーブルされる。
例えば選択信号SaおよびSbの2つがHレベルとなる場合、ゲートセレクター270aおよび270bがイネーブルされ、ゲートセレクター270cおよび270dがディセーブルされる。
なお、選択信号SaおよびSbの2つがHレベルとなる場合とは、信号ainの電圧が(V−α)/10以上(V+α)/10未満の範囲にある場合である。
イネーブルされた2つのゲートセレクターのうち、一方のゲートセレクター270aは、セレクター223から出力される信号Gt1をレベルシフトしてトランジスター231aのゲート端子に供給し、信号Gt2をレベルシフトしてトランジスター232aのゲート端子に供給する。
選択信号SaおよびSbがともにHレベルとなる電圧範囲のうち、信号ainの電圧が(V−α)/10以上V/10未満の範囲にあれば、トランジスター231aおよび232aは、当該電圧ainの電圧変化に応じて上記第1パターン、第2パターン、または第3パターンのいずれかと同様な動作をして、信号ainの電圧Vinを10倍して駆動信号COM−Aとして出力する。
選択信号SaおよびSbがともにHレベルとなる電圧範囲のうち、信号ainの電圧がV/10以上(V+α)/10未満の範囲にあって、当該電圧ainの電圧が上昇する第1パターンの場合に、トランジスター231aはオンする可能性があるが、当該トランジスター231aのソース端子は電圧Vであるので、駆動信号COM−Aを当該電圧V以上とするための増幅動作には寄与しない。また、信号ainの電圧がV/10以上(V+α)/10未満の範囲にあれば、ノードN2の電圧Outがトランジスター231aのソース端子の電圧Vよりも高位となっている場合もあるが、ダイオードd1により逆流が阻止されるので、トランジスター231aの破壊が防止される。
なお、選択信号SaおよびSbがともにHレベルとなる電圧範囲のうち、信号ainの電圧がV/10以上(V+α)/10未満の範囲にあって、当該電圧ainの電圧が低下する第2パターンの場合、トランジスター232aは、スイッチング動作して、信号ainの増幅動作に寄与することになる。
一方、イネーブルされた2つのゲートセレクターのうち、他方のゲートセレクター270bは、セレクター223から出力される信号Gt1をレベルシフトしてトランジスター231bのゲート端子に供給し、信号Gt2をレベルシフトしてトランジスター232bのゲート端子に供給する。
選択信号SaおよびSbがともにHレベルとなる電圧範囲のうち、信号ainの電圧がV/10以上(V+α)/10未満の範囲にあれば、トランジスター231bおよび232bは、当該電圧ainの電圧変化に応じて上記第1パターン、第2パターン、または、第パターンのいずれかと同様な動作をして、信号ainの電圧Vinを10倍して駆動信号COM−Aとして出力することになる。
選択信号SaおよびSbがともにHレベルとなる電圧範囲のうち、信号ainの電圧が(V−α)/10以上V/10未満の範囲にあって、当該電圧ainの電圧が低下する第2パターンの場合、トランジスター232bはオンする可能性があるが、当該トランジスター232bのソース端子は電圧Vであるので、駆動信号COM−Aを当該電圧V未満とするための増幅動作には寄与しない。また、信号ainの電圧が(V−α)/10以上V/10未満の範囲にあれば、ノードN2の電圧Outがトランジスター232bのソース端子の電圧Vよりも低位となっている場合もあるが、ダイオードd2により逆流が阻止されるので、トランジスター232bの破壊が防止される。
なお、選択信号SaおよびSbがともにHレベルとなる電圧範囲のうち、信号ainの電圧が(V−α)/10以上V/10未満の範囲にあって、当該電圧ainの電圧が上昇する第1パターンの場合、トランジスター231bは、スイッチング動作して、信号ainの増幅動作に寄与することになる。
ここで、仮に比較器300として、信号ainの電圧がグランドGnd以上V/10未満の範囲で選択信号SaのみがHレベルになり、V/10以上V/10未満の範囲で選択信号SbのみがHレベルになる構成を想定してみる。この構成では、信号ainの電圧が上昇してV/10を跨ぐ際に、選択信号SaにおけるLレベルへの切り替わりから、選択信号SbにおけるHレベルへの切り替わりまでに、何らかの原因で時間差が発生してしまうと、トランジスター231aおよび232aの対によるスイッチング動作から、トランジスター231bおよび232bの対によるスイッチング動作までの時間的な間が発生して、駆動信号COM−Aにノイズが重畳される原因となる。
また、上記構成では、信号ainの電圧が低下してV/10を跨ぐときにも、同様に、選択信号SbにおけるLレベルへの切り替わりから、選択信号SaにおけるHレベルへの切り替わりまでに、時間差が発生してしまうと、駆動信号COM−Aにノイズが重畳される原因となる。
なお、駆動信号COM−Aにノイズが重畳されると圧電素子Pztの変位に悪影響を与えるので、印刷品位を低下させることになる。
これに対して、本実施形態では、信号ainの電圧が(V−α)/10以上(V+α)/10未満の範囲であれば、選択信号SaおよびSbがともにHレベルとなるので、トランジスター231aおよび232aの対によるスイッチング動作と、トランジスター231bおよび232bの対によるスイッチング動作とが時間的にオーバーラップされて実行される。このため、スイッチング動作が途切れて、ノイズが重畳されるという不具合が防止されて、印刷品位の低下を抑えることができる。
また、駆動信号COM−Aの電圧変化部分では、トランジスター231または232のオン抵抗とドレイン電流の積との出力電圧が飽和するので、オーバーラップさせない構成では、出力段であるノードN2においてトランジスター対の切り換え時に不連続な歪みが発生しやすい。
これに対して、本実施形態では、オーバーラップの電圧幅を、予測される飽和電圧以上に設定することにより、出力電圧の飽和に起因する歪みが低減される。これにより、高い波形精度を確保することができる。
ここでは、選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdのうち、隣り合うもの同士の2つがHレベルとなる場合の例として、選択信号SaおよびSbがHレベルとなる場合を挙げたが、選択信号SbおよびScがHレベルとなる場合、および、選択信号ScおよびSdがHレベルとなる場合についても、特段説明しないでも良いであろう。
また実際には、選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdの各論理レベルは、信号ainの電圧変化に対して図14に示されるように順次変化し、選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdのうち、1つ、または、2つがHレベルとなってゲートセレクターがイネーブルされる。そして、イネーブルされた1または2つのゲートセレクターに対応するトランジスター対によって信号ainの電圧を10倍に増幅し、駆動信号COM−Aとして出力する動作が実行されることになる。
なお、グランドGndを第1電圧とし、第2電圧をVとし、第3電圧をVとした場合、ゲートセレクター270aが選択信号Saによりイネーブルされると、信号ainが、トランジスター231aおよび232aによって、第1電圧であるグランドGndから第2電圧であるVまでの電圧域で増幅される。このため、トランジスター231aおよび232aが第1増幅部に相当することになる。
なお、比較器300が、選択信号Saによりイネーブルするのは、直接的にはゲートセレクター270aであるが、ゲートセレクター270aがイネーブルされると、トランジスター231aおよび232aによる増幅(スイッチング動作)もイネーブルされる。このため、選択信号Saおよびゲートセレクター270aを介して間接的にトランジスター231aおよび232aがイネーブルされる、ということができる。
一方、この場合に、ゲートセレクター270bが選択信号Sbによりイネーブルされると、信号ainが、トランジスター231bおよび232bによって、第2電圧である電圧Vから第3電圧であるVまでの電圧域で増幅される。このため、トランジスター231bおよび232bが第2増幅部に相当することになる。また、選択信号Sbおよびゲートセレクター270bを介して間接的にトランジスター231bおよび232bがイネーブルされる、ということができる。
ところで、選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdを出力する比較器300では、実施形態のようにアナログの信号ainではなく、デジタルのデータdAで判別する構成や、電圧閾値である(V−α)/10、および(V+α)/10等を別途生成して比較する構成などが考えられる。詳細には、データdAと、電圧閾値である(V−α)/10および(V+α)/10等に相当するデータとをデジタルで比較して、当該比較結果に基づいて選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdを出力する構成や、信号ainと、別途独立して生成した(V−α)/10および(V+α)/10等とをアナログで比較して、当該比較結果に基づいて選択信号Sa、Sb、Sc、およびSdを出力する構成などが考えられる。
しかしながら、電圧V、V、V、およびVは、電源伝送路のインピーダンス変化や主電源の経時劣化等で変動しやすい。このため、上記構成において、トランジスター対に給電される電圧V、V、V、およびVが変動すると、選択信号Sa、Sb、Sb、およびSdによって指定されるトランジスター対のイネーブル精度が低下する。
また、オーバーラップの範囲である±αは、消費電力の観点から言えばできるだけ狭くするのが好ましい。かといって狭くし過ぎると、スイッチング動作が途切れる可能性も高くなる。
一方、実施形態において、4段のトランジスター対については、隣り合うトランジスター対で3つの電圧V、V、およびVが共通に使用される。これらの3つの電圧V、V、およびVにおけるオーバーラップの範囲は、実施形態のよう各電圧について幅±αで共通が好ましい。ここで、各電圧についてオーバーラップ範囲を±αで共通にするためには、電圧が高位となるほど、αを高い精度で設定することが要求される。例えば、10.5Vの電圧Vに対して、±αの範囲を10%の1.05Vに設定するのであれば、31.5Vの電圧Vに対しては±αの範囲を3.3%の精度で設定する必要がある。
本実施形態では、図13に示されるように、実際の電圧V、V、およびVの各々を入力し、当該電圧に基づいて比較基準の電圧閾値である(V−α)/10、(V+α)/10、(V−α)/10、(V+α)/10、(V−α)/10、および(V+α)/10を生成し、信号ainの電圧と比較している。
このため、本実施形態では、電圧V、V、および、Vがそれぞれ誤差を持ち、または変動したときでも、当該誤差および変動に応じて電圧閾値も変動する。したがって、オーバーラップの範囲である±αを狭くしつつ、選択信号Sa、Sb、Sb、およびSdによって指定されるトランジスター対のイネーブル精度を高めることができる。
ここでは、駆動信号COM−Aを出力する駆動回路120aを例にとって説明したが、駆動信号COM−Bを出力する駆動回路120bについても同様な動作となる。なお、駆動信号COM−Bの波形と、当該波形に対する信号OEbおよびOCbとについては図6で説明した通りである。このため、駆動回路120bについても、信号binの電圧を10倍に増幅し、駆動信号COM−Bとして出力する動作が実行されることになる。
駆動回路120a(120b)によれば、D級増幅方式と比較して、入力信号を変調する際に三角波形などを発振する回路や、復調のためのローパスフィルターが不要であるので、その分、回路構成の簡略化とともに、消費電力を抑えることができる。
また、信号ainの電圧Vinが一定である場合、すべてのハイサイドトランジスターおよびローサイドトランジスターがオフするので、D級増幅方式のようにスイッチングにより電力が消費される、という問題も発生しない。
したがって、駆動回路120a(120b)によれば、回路構成の簡略化とともに、さらなる低消費電力化を図ることもできる。
なお、比較器300については、実際の電圧V、V、およびVの各々をADC(Analog to Digital Converter)でデジタルに変換して、デジタルのデータdA(dB)と比較する構成としても良い。この構成においては、データdA(dB)で規定される電圧値を10倍に換算するか、あるいは、デジタルに変換した電圧V、V、およびVの各々を1/10に換算した上で、αを考慮しつつ比較する構成とすれば良い。
駆動信号COM−A(COM−B)については台形波形に限られず、正弦波などのように、傾きに連続性を有する波形であっても良い。このような波形を出力させる際には、次のように信号OEa(OEb)およびOCa(OCb)を出力する構成とすれば良い。
詳細には、増幅前の信号ain(bin)の電圧変化が低下方向である場合であって、当該電圧変化が相対的に大きい場合、例えば、単位時間当たりにおける電圧変化が絶対値でみて予め定められた閾値以上の場合(第1の場合)であれば、信号OEa(OEb)をLレベルとし、信号OCa(OCb)をHレベルとすれば良い。
一方、信号ain(bin)の電圧変化が上昇方向である場合であって、当該電圧変化の大きさが絶対値でみて閾値以上の場合(第2の場合)であれば、信号OEa(OEb)およびOCa(OCb)をいずれもLレベルとすれば良い。
また、信号ain(bin)の電圧変化の大きさが絶対値でみて閾値未満の場合であれば、信号OEa(OEb)およびOCa(OCb)をいずれもHレベルとすれば良い。なお、信号OEa(OEb)およびOCa(OCb)をいずれもHレベルであれば、すべてのハイサイドトランジスターおよびローサイドトランジスターがオフして、スイッチング動作が実行されないので、ここでいう閾値については小さく設定するように配慮する必要がある。
なお、第1の場合と第2の場合とにおいて、セレクター223が差動増幅器221の出力信号を選択し、ゲートセレクター270aがトランジスター231aおよび232aを間接的にイネーブルする場合であって、第1の場合であれば、差動増幅器221の出力信号をトランジスター231aのゲート端子に供給(転送)し、第2の場合であれば、差動増幅器221の出力信号をトランジスター232aのゲート端子に供給する。このため、ゲートセレクター270aが、第1転送部に相当する。
また、ゲートセレクター270bは、トランジスター231bおよび232bを間接的にイネーブルする場合であって、第1の場合であれば、差動増幅器221の出力信号をトランジスター231bのゲート端子に供給し、第2の場合であれば、差動増幅器221の出力信号をトランジスター232bのゲート端子に供給(転送)する。このため、ゲートセレクター270bが、第2転送部に相当する。
なお、信号OEa(OEb)およびOCa(OCb)については、制御部110が出力するのではなく、別の回路が、制御部110から出力されるデータdA(dB)を次のように解析することにより生成することが可能である。
例えば、当該別の回路は、当該データdA(dB)について、時間的に隣り合う離散値(データ)同士を比較して、当該離散値同士が互いに同じであれば、電圧一定期間であるので、信号OEa(OEb)をHレベルで出力すれば良い。また、当該別の回路は、当該データdA(dB)について、時間的に隣り合う離散値同士を比較して、当該離散値同士が互い異なっていれば、電圧上昇期間または電圧低下期間のいずれかであるので、信号OEa(OEb)をLレベルで出力すれば良い。また、当該別の回路は、電圧上昇期間であれば、信号OCa(OCb)をLレベルとし、そうでなければHレベルで出力すれば良い。
また、上記説明では、トランジスター対のうち、トランジスター231をPチャネル型とし、トランジスター232をNチャネル型としたが、トランジスター231、232をPチャネル型またはNチャネル型で揃えても良い。ただし、トランジスターのチャネル型に合わせて、差動増幅器221による出力信号を正転または反転させたり、トランジスターを強制オフさせるときのゲート信号の論理レベルを適宜合わせたりする必要がある。
駆動回路120aおよび120bにおいてトランジスター対の段数を「4」としたが、「2」以上であれば良い。
上記説明では、液体吐出装置を印刷装置として説明したが、液体を吐出して立体を造形する立体造形装置や、液体を吐出して布地を染める捺染装置などであっても良い。
また、駆動回路120aおよび120bの各々については、それぞれヘッドユニット3に搭載する構成としたが、それぞれメイン基板100に実装された構成として良い。
ただし、駆動回路120aおよび120bがメイン基板100に実装された構成では、大振幅の信号が長尺のフレキシブルフラットケーブル190を介してヘッドユニット3に供給する必要があるので、消費電力および耐ノイズ性で不利である。逆に言えば、駆動回路120aおよび120bがヘッドユニット3に搭載された構成では、大振幅の信号をフレキシブルフラットケーブル190に供給する必要がないので、消費電力および耐ノイズ性で有利である。
さらに、上記説明では、駆動回路120aおよび120bの駆動対象としてインクを吐出するための圧電素子Pztを例にとって説明したが、駆動回路120aおよび120bを印刷装置から切り離して考えてみたときに、駆動対象としては、圧電素子Pztに限られず、例えば超音波モーターや、タッチパネル、静電スピーカー、液晶パネルなどの容量性成分を有する負荷のすべてに適用可能である。
1…印刷装置(液体吐出装置)、3…ヘッドユニット、100…メイン基板、120a、120b…駆動回路、221…差動増幅器、223…セレクター、231a、231b、231c、231d、232a、232b、232c、232d…トランジスター、270a、270b、270c、270d…ゲートセレクター、3000…比較器、442…キャビティ、Pzt…圧電素子、N…ノズル、R1、R2…抵抗素子、C0…コンデンサー。

Claims (8)

  1. 所定の出力端から出力される駆動信号に基づいて駆動される圧電素子を含み、当該圧電素子の駆動により液体を吐出する吐出部と、
    イネーブルされたときに、前記駆動信号の元となる元駆動信号を、第1電圧から当該第1電圧よりも高位の第2電圧までの電圧域で増幅して前記出力端から出力する第1増幅部と、
    イネーブルされたときに、前記元駆動信号を、前記第2電圧から当該第2電圧よりも高位の第3電圧までの電圧域で増幅して前記出力端から出力する第2増幅部と、
    前記元駆動信号に応じた電圧と前記第2電圧に応じた電圧とを比較し、当該比較結果に基づいて前記第1増幅部および前記第2増幅部の各々を個別にイネーブルさせる比較器と、
    を具備することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記比較器は、
    前記元駆動信号の電圧が、前記第2電圧の降圧電圧を所定値分高位側にシフトした電圧未満であれば前記第1増幅部をイネーブルさせ、前記降圧電圧を所定値分低位側にシフトした電圧以上であれば前記第2増幅部をイネーブルさせる
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記第1増幅部および前記第2増幅部は、所定の電圧増幅率で前記元駆動信号を増幅し、
    前記降圧電圧は、前記第2電圧を、前記所定の電圧増幅率の逆数に降圧した電圧である
    ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記第1増幅部は、
    前記出力端と前記第1電圧の給電点との間に接続された第1ローサイドトランジスターと、
    前記出力端と前記第2電圧の給電点との間に接続された第1ハイサイドトランジスターと、
    を有し、
    前記第2増幅部は、
    前記出力端と前記第2電圧の給電点との間に接続された第2ローサイドトランジスターと、
    前記出力端と前記第3電圧の給電点との間に接続された第2ハイサイドトランジスターと、
    を有することを特徴とする請求項1、2または3に記載の液体吐出装置。
  5. 前記元駆動信号の電圧と前記駆動信号に応じた電圧との差電圧を増幅した制御信号を出力する差動増幅器と、
    前記元駆動信号の電圧変化が上昇方向であって、かつ、前記電圧変化の大きさが閾値以上の第1の場合と、
    前記元駆動信号の電圧変化が低下方向であって、かつ、前記電圧変化の大きさが前記閾値以上の第2の場合とにおいて、前記制御信号を選択する選択部と、
    前記第1の場合で前記第1増幅部がイネーブルされたときに、
    前記選択部により選択された制御信号を前記第1ハイサイドトランジスターのゲート端子に転送し、
    前記第2の場合で前記第1増幅部がイネーブルされたときに、
    前記選択部により選択された制御信号を前記第1ローサイドトランジスターのゲート端子に転送する第1転送部と、
    前記第1の場合で前記第2増幅部がイネーブルされたときに、
    前記選択部により選択された制御信号を前記第2ハイサイドトランジスターのゲート端子に転送し、
    前記第2の場合で前記第2増幅部がイネーブルされたときに、
    前記選択部により選択された制御信号を前記第2ローサイドトランジスターのゲート端子に転送する第2転送部と、
    を有することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
  6. 前記元駆動信号の電圧変化の大きさが前記閾値未満の場合、
    第1転送部は、前記第1ハイサイドトランジスターのゲート端子、および、前記第1ローサイドトランジスターのゲート端子の各々に、対応するトランジスターをオフさせるオフ信号をそれぞれ供給し、
    第2転送部は、前記第2ハイサイドトランジスターのゲート端子、および、前記第2ローサイドトランジスターのゲート端子の各々にオフ信号をそれぞれ供給し、
    前記第1の場合、
    第1転送部は、前記第1ローサイドトランジスターのゲート端子にオフ信号を供給し、
    第2転送部は、前記第2ローサイドトランジスターのゲート端子にオフ信号を供給し、
    前記第2の場合、
    第1転送部は、前記第1ハイサイドトランジスターのゲート端子にオフ信号を供給し、
    第2転送部は、前記第2ハイサイドトランジスターのゲート端子にオフ信号を供給する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
  7. 所定の出力端から駆動信号を出力して容量性負荷を駆動する駆動回路であって、
    イネーブルされたときに、前記駆動信号の元となる元駆動信号を、第1電圧から当該第1電圧よりも高位の第2電圧までの電圧域で増幅して前記出力端から出力する第1増幅部と、
    イネーブルされたときに、前記元駆動信号を、前記第2電圧から当該第2電圧よりも高位の第3電圧までの電圧域で増幅して前記出力端から出力する第2増幅部と、
    前記元駆動信号に応じた電圧と前記第2電圧に応じた電圧とを比較し、当該比較結果に基づいて前記第1増幅部および前記第2増幅部の各々を個別にイネーブルさせる比較器と、
    を具備することを特徴とする駆動回路。
  8. イネーブルされたときに、駆動信号の元となる元駆動信号を、第1電圧から当該第1電圧よりも高位の第2電圧までの電圧域で増幅して所定の出力端から出力する第1増幅部と、
    イネーブルされたときに、前記元駆動信号を、前記第2電圧から当該第2電圧よりも高位の第3電圧までの電圧域で増幅して前記出力端から出力する第2増幅部と、
    を含み、前記出力端から出力される駆動信号で容量性負荷を駆動する駆動方法であって、
    前記元駆動信号の電圧と前記第2電圧に基づいた電圧とを比較し、当該比較結果に応じて、前記第1増幅部および前記第2増幅部の各々を個別にイネーブルさせる
    ことを特徴とする駆動方法。
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