JP2016175336A - 液体吐出装置、駆動回路およびヘッドユニット - Google Patents

液体吐出装置、駆動回路およびヘッドユニット Download PDF

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Abstract

【課題】駆動回路の消費電力を改善するとともに、トランジスターの耐圧を低く抑えた液体吐出装置を提供する。
【解決手段】比較器221は、信号Vinを電圧Vだけ低くした電圧と出力の端子N3における電圧Out2とを比較して、その比較結果を示す信号Gt1を出力する。比較器222は、信号Vinを電圧Vだけ高くした電圧と電圧Out2とを比較して、その比較結果を示す信号Gt2を出力する。トランジスター231a、232aは電圧V、Gnd間に電気的に直列に挿入され、トランジスター231b、232bは電圧V、Vd間に電気的に直列に挿入される。セレクター280は、データdAに応じてトランジスター231a、232aまたはトランジスター231b、232bを選択して、選択されたトランジスターが駆動信号を出力する。
【選択図】図10

Description

本発明は、液体吐出装置、駆動回路およびヘッドユニットに関する。
インクを吐出して画像や文書を印刷するインクジェットプリンターには、圧電素子(例えばピエゾ素子)を用いたものが知られている。圧電素子は、ヘッドユニットにおいて複数のノズルのそれぞれに対応して設けられ、それぞれが駆動信号にしたがって駆動されることによって、ノズルから所定のタイミングで所定量のインク(液体)を吐出させて、ドットを形成する。圧電素子は、電気的にみればコンデンサーのような容量性負荷であるので、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。
このため、源駆動信号を増幅回路で増幅して、駆動信号としてヘッドユニットに供給して、圧電素子を駆動する構成となっている。増幅回路としては、源駆動信号をAB級などで電流増幅する方式(リニア増幅、特許文献1参照)が挙げられる。ただし、リニア増幅では消費電力が大きく、エネルギー効率が悪いので、近年では、D級増幅についても提案されている(特許文献2参照)。このD級増幅は、端的にいえば、入力信号をパルス幅変調やパルス密度変調するとともに、当該変調信号にしたがって電源電圧間において直列に挿入されたハイサイドトランジスターおよびローサイドトランジスターをスイッチングし、このスイッチングによる出力信号をローパスフィルターで濾波することで、入力信号を増幅する、というものである。
特開2009−190287号公報 特開2010−114711号公報
しかしながら、D級増幅方式では、リニア増幅方式と比較してエネルギー効率が高いものの、ローパスフィルターで消費される電力が無視できないので、消費電力を改善する点において改良の余地がある。
そこで、本発明のいくつかの態様の目的の一つは、消費電力を改善した液体吐出装置、駆動回路およびヘッドユニットを提供することにある。
上記目的の一つを達成するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、駆動信号の印加により変位する圧電素子を含み、各圧電素子の変位により液体をそれぞれ吐出する吐出部と、第1比較部と第2比較部とを含み、入力信号と前記駆動信号とが入力され、第1制御信号と第2制御信号とを出力する比較ユニットと、前記第1制御信号に基づいて制御される第1トランジスターと前記第2制御信号に基づいて制御される第2トランジスターとからなり、第1電圧と前記第1電圧よりも高位の第2電圧との電源電圧によって前記駆動信号を出力する第1トランジスター対と、前記第1制御信号に基づいて制御される第3トランジスターと前記第2制御信号に基づいて制御される第4トランジスターとからなり、前記第1電圧よりも高位の第3電圧と前記第3電圧よりも高位の第4電圧の電源電圧によって前記駆動信号を出力する第2トランジスター対と、前記第1トランジスター対または前記第2トランジスター対を、前記入力信号に応じて選択し、選択したトランジスター対に前記駆動信号を出力させる一方、非選択としたトランジスター対をオフとさせるトランジスター対選択部と、を備え、前記第1比較部は、第1比較信号と第2比較信号とを比較して、前記第1制御信号を出力し、前記第1比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号に基づく信号の一方をオフセットした信号であり、前記第2比較部は、第3比較信号と第4比較信号とを比較して、前記第2制御信号を出力し、前記第3比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号に基づく信号の一方をオフセットした信号であることを特徴とする。
上記一態様に係る液体吐出装置によれば、D級増幅方式と比較して、ローパスフィルターが不要であるので、当該ローパスフィルターにおいて消費される電力を無視することができる。また、入力信号に応じて駆動信号を出力する第1トランジスター対および第2トランジスター対が選択されるので、第1トランジスター、第2トランジスター、第3トランジスター、第4トランジスターの耐圧を低く抑えることができる。
なお、ここでいう「入力信号」には、当該入力信号がデータをアナログ変換したものであれば、当該データも含まれる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記第2比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号に基づく信号の他方を、ゼロを含む電圧でオフセットした信号であり、前記第4比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号に基づく信号の他方を、ゼロを含む電圧でオフセットした信号である構成としても良い。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記第1制御信号をレベルシフトして第1トランジスターのゲートに供給するとともに、前記第2制御信号をレベルシフトして第2トランジスターのゲートに供給する第1レベルシフターと、前記第1制御信号をレベルシフトして第3トランジスターのゲートに供給するとともに、前記第2制御信号をレベルシフトして第4トランジスターのゲートに供給する第2レベルシフターと、を含み、前記トランジスター対選択部は、前記入力信号に応じて前記第1レベルシフターまたは前記第2レベルシフターを選択して、前記選択したトランジスター対に前記駆動信号を出力させる構成としても良い。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記入力信号を第1電圧だけ低くする、または、前記駆動信号に基づく信号を前記第1電圧だけ高くする第1オフセット部と、前記入力信号を第2電圧だけ高くする、または、前記駆動信号に基づく信号を前記第2電圧だけ低くする第2オフセット部と、を有する構成としても良い。
また、この構成において、前記第1比較部は、前記駆動信号の電圧が、前記入力信号の電圧から前記第1電圧を減じた電圧よりも低ければ、前記第1制御信号を、前記第1トランジスターまたは第3トランジスターをオンさせる信号とし、前記第2比較部は、前記駆動信号の電圧が、前記入力信号の電圧に前記第2電圧を加えた電圧以上であれば、前記第2制御信号を、前記第2トランジスターまたは第4トランジスターをオンさせる信号としても良い。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記入力信号は、前記駆動信号の元となるデータをアナログ変化した信号であり、前記トランジスター対選択部は、前記データに基づいて前記第1トランジスター対または前記第2トランジスター対を選択する構成としても良い。
なお、液体吐出装置とは、液体を吐出するものであれば良く、これには後述する印刷装置のほかに、立体造形装置(いわゆる3Dプリンター)、捺染装置なども含まれる。
また、本発明は、液体吐出装置に限られず、種々の態様で実現することが可能であり、例えば当該圧電素子のような容量性負荷を駆動する駆動回路や、液体吐出装置におけるヘッドユニットなどとしても概念することが可能である。
実施形態に係る印刷装置の概略構成を示す図である。 ヘッドユニットにおけるノズルの配列等を示す図である。 ヘッドユニットにおける要部構成を示す断面図である。 印刷装置の電気的な構成を示す図である。 駆動信号の波形等を説明するための図である。 選択制御部の構成を示す図である。 デコーダーのデコード内容を示す図である。 選択部の構成を示す図である。 選択部により選択されて圧電素子に供給される駆動信号を示す図である。 駆動回路の構成を示す図である。 駆動回路に適用される電源電圧を示す図である。 駆動回路の動作を説明するための図である。 単位回路の動作を説明するための図である。 単位回路の動作を説明するための図である。 入力信号と出力信号との関係でトランジスターの動作を示す図である。 第1オフセット部および第2オフセット部の他の例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について、印刷装置を例にとって説明する。
図1は、印刷装置の概略構成を示す斜視図である。
この印刷装置1は、液体としてのインクを吐出することによって、紙などの媒体Pにインクドット群を形成し、これにより、画像(文字、図形等を含む)を印刷する液体吐出装置の一種である。
図1に示されるように、印刷装置1は、キャリッジ20を、主走査方向(X方向)に移動(往復動)させる移動機構6を備える。
移動機構6は、キャリッジ20を移動させるキャリッジモーター61と、両端が固定されたキャリッジガイド軸62と、キャリッジガイド軸62とほぼ平行に延在し、キャリッジモーター61により駆動されるタイミングベルト63と、を有している。
キャリッジ20は、キャリッジガイド軸62に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト63の一部に固定されている。そのため、キャリッジモーター61によりタイミングベルト63を正逆走行させると、キャリッジ20がキャリッジガイド軸62に案内されて往復動する。
キャリッジ20には、印刷ヘッド22が搭載されている。この印刷ヘッド22は、媒体Pと対向する部分に、インクを個別にZ方向に吐出する複数のノズルを有する。なお、印刷ヘッド22は、カラー印刷のために、概略的に4個のブロックに分かれている。個々のブロックは、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクをそれぞれ吐出する。
なお、キャリッジ20には、フレキシブルフラットケーブル190を介してメイン基板(この図では省略)から駆動信号を含む各種の制御信号等が供給される構成となっている。
印刷装置1は、媒体Pを、プラテン80上で搬送させる搬送機構8を備える。搬送機構8は、駆動源である搬送モーター81と、搬送モーター81により回転し、媒体Pを副走査方向(Y方向)に搬送する搬送ローラー82と、を備える。
このような構成において、キャリッジ20の主走査に合わせて印刷ヘッド22のノズルから印刷データに応じてインクを吐出させるとともに、媒体Pを搬送機構8によって搬送する動作を繰り返すことで、媒体Pの表面に画像が形成される。
なお、本実施形態において主走査は、キャリッジ20を移動させることで実行されるが、媒体Pを移動させることで実行しても良く、キャリッジ20と媒体Pとの双方を移動させても良い。要は、媒体Pとキャリッジ20(印刷ヘッド22)とが相対的に移動する構成であれば良い。
図2(a)は、印刷ヘッド22におけるインクの吐出面を媒体Pからみた場合の図である。この図に示されるように、印刷ヘッド22は、4個のヘッドユニット3を有する。4個のヘッドユニット3の各々は、それぞれブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)に対応し、主走査方向であるX方向に配列する。
図2(b)は、1個のヘッドユニット3におけるノズルの配列を示す図である。
この図に示されるように、1個のヘッドユニット3では、複数のノズルNが、2列で配列する。ここで、説明の便宜上、この2列をそれぞれノズル列Na、Nbとする。
ノズル列Na、Nbでは、それぞれ複数のノズルNが、Y方向に沿ってピッチP1で配列する。また、ノズル列Na、Nb同士は、Y方向にピッチP2だけ離間する。ノズル列Naに属するノズルNとノズル列Nbに属するノズルNとは、Y方向に、ピッチP1の半分だけシフトした関係となっている。
このようにノズルNを、ノズル列Na、Nbの2列で、Y方向にピッチP1の半分だけシフトして配置させることにより、Y方向の解像度を、1列の場合と比較して実質的に倍に高めることができる。
なお、1個のヘッドユニット3におけるノズルNの個数を便宜的にm(mは2以上の整数)とする。
ヘッドユニット3は、アクチュエーター基板に可撓性の回路基板が接続されるとともに、当該可撓性の回路基板に駆動ICが実装される。そこで次に、アクチュエーター基板の構造について説明する。
図3は、アクチュエーター基板の構造を示す断面図である。詳細には図2(b)におけるg−g線で破断した場合の断面を示す図である。
図3に示されるように、アクチュエーター基板40は、流路基板42のうち、Z方向の負側の面上に圧力室基板44と振動板46とが設けられる一方、Z方向の正側の面上にノズル板41が設置された構造体である。
アクチュエーター基板40の各要素は、概略的にはY方向に長尺な略平板状の部材であり、例えば接着剤を利用して互いに固定される。また、流路基板42および圧力室基板44は、例えばシリコンの単結晶基板で形成される。
ノズルNは、ノズル板41に形成される。ノズル列Naに属するノズルに対応する構造と、ノズル列Nbに属するノズルに対応する構造とは、Y方向にピッチP1の半分だけシフトした関係にあるが、それ以外では、略対称に形成されるので、以下においてはノズル列Naに着目してアクチュエーター基板40の構造を説明することにする。
流路基板42は、インクの流路を形成する平板材であり、開口部422と供給流路424と連通流路426とが形成される。供給流路424および連通流路426は、ノズル毎に形成され、開口部422は、複数のノズルにわたって連続するように形成されるとともに、対応する色のインクが供給される構造となっている。この開口部422は、液体貯留室Srとして機能し、当該液体貯留室Srの底面は、例えばノズル板41によって構成される。具体的には、流路基板42における開口部422と各供給流路424と連通流路426とを閉塞するように流路基板42の底面に固定される。
圧力室基板44のうち流路基板42とは反対側の表面に振動板46が設置される。振動板46は、弾性的に振動可能な平板状の部材であり、例えば酸化シリコン等の弾性材料で形成された弾性膜と、酸化ジルコニウム等の絶縁材料で形成された絶縁膜との積層で構成される。振動板46と流路基板42とは、圧力室基板44の各開口部422の内側で互い間隔をあけて対向する。各開口部422の内側で流路基板42と振動板46とに挟まれた空間は、インクに圧力を付与するキャビティ442として機能する。各キャビティ442は、流路基板42の連通流路426を介してノズルNに連通する。
振動板46のうち圧力室基板44とは反対側の表面には、ノズルN(キャビティ442)毎に圧電素子Pztが形成される。
圧電素子Pztは、振動板46の面上に形成された複数の圧電素子Pztにわたって共通の駆動電極72と、当該駆動電極72の面上に形成された圧電体74と、当該圧電体74の面上に圧電素子Pzt毎に形成された個別の駆動電極76とを包含する。このような構成において、駆動電極72、76によって圧電体74を挟んで対向する領域が圧電素子Pztとして機能する。
圧電体74は、例えば加熱処理(焼成)を含む工程で形成される。具体的には、複数の駆動電極72が形成された振動板46の表面に塗布された圧電材料を、焼成炉内での加熱処理により焼成してから圧電素子Pzt毎に成形(例えばプラズマを利用したミーリング)することで圧電体74が形成される。
なお、ノズル列Nbに対応する圧電素子Pztも同様に、駆動電極72と、圧電体74と、駆動電極76とを包含した構成である。
また、この例では、圧電体74に対し、共通の駆動電極72を下層とし、個別の駆動電極76を上層としたが、逆に駆動電極72を上層とし、駆動電極76を下層とする構成としても良い。
アクチュエーター基板40については、駆動ICを直接実装した構成でも良い。
後述するように、圧電素子Pztの一端である駆動電極76には、吐出すべきインク量に応じた駆動信号の電圧Voutが個別に印加される一方、圧電素子Pztの他端である駆動電極72には、電圧VBSの保持信号が共通に印加される。
このため、圧電素子Pztは、駆動電極72、76に印加された電圧に応じて、上または下方向に変位する。詳細には、駆動電極76を介して印加される駆動信号の電圧Voutが低くなると、圧電素子Pztにおける中央部分が両端部分に対して上方向に撓む一方、当該電圧Voutが高くなると、下方向に撓む構成となっている。
ここで、上方向に撓めば、キャビティ442の内部容積が拡大(圧力が減少)するので、インクが液体貯留室Srから引き込まれる一方、下方向に撓めば、キャビティ442の内部容積が縮小(圧力が増加)するので、縮小の程度によっては、インク滴がノズルNから吐出される。このように、圧電素子Pztに適切な駆動信号が印加されると、当該圧電素子Pztの変位によって、インクがノズルNから吐出される。このため、少なくとも圧電素子Pzt、キャビティ442、ノズルNによってインクを吐出する吐出部が構成されることになる。
次に、印刷装置1の電気的な構成について説明する。
図4は、印刷装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、印刷装置1は、メイン基板100にヘッドユニット3が接続された構成となっている。ヘッドユニット3は、アクチュエーター基板40と、駆動IC50とに大別される。
メイン基板100は、駆動IC50に、制御信号Ctrや、駆動信号COM−A、COM−Bを供給し、アクチュエーター基板40に、電圧VBS(オフセット電圧)の保持信号を、配線550を介して供給する。
なお、印刷装置1では、4個のヘッドユニット3が設けられ、メイン基板100が、4個のヘッドユニット3をそれぞれ独立に制御する。4個のヘッドユニット3では、吐出するインクの色以外において異なることがないので、以下においては便宜的に1個のヘッドユニット3について代表して説明することにする。
図4に示されるように、メイン基板100は、制御部110、D/A変換器(DAC)113a、113b、駆動回路120a、120b、および、オフセット電圧生成回路130を含む。
このうち、制御部110は、CPUや、RAM、ROMなどを有する一種のマイクロコンピューターであり、印刷対象となる画像データがホストコンピューター等から供給されたときに、所定のプログラムを実行することによって、各部を制御するための各種の制御信号等を出力する。
具体的には、制御部110は、第1に、DAC113aおよび駆動回路120aにデジタルのデータdAを繰り返して供給し、DAC113bおよび駆動回路120bにデジタルのデータdBを同じく繰り返して供給する。ここで、データdAは、ヘッドユニット3に供給する駆動信号COM−Aの波形を規定し、データdBは、駆動信号COM−Bの波形を規定する。
なお、駆動信号COM−A、COM−B(および増幅前の信号Ain、Bin)については、それぞれ後述するように台形波形である。
DAC113aは、データdAをアナログ変換し、信号Ainとして駆動回路120aに供給する。同様に、DAC113bは、データdBをアナログ変換し、信号Binとして駆動回路120bに供給する。
駆動回路120aは、詳細については後述するが、インピーダンスの信号Ainを、容量性負荷である圧電素子Pztに対し、電圧増幅するとともに駆動能力を高めて(低インピーダンスに変換して)駆動信号COM−Aとして出力する。同様に、駆動回路120bは、信号Binを、電圧増幅するとともに駆動能力を高めて駆動信号COM−Bとして出力する。
DAC113a(113b)により変換された信号Ain(Bin)は例えば電圧0〜4V程度で振幅するのに対し、駆動信号COM−A(COM−B)の電圧は0〜40V程度で振幅する。このため、駆動回路120a(120b)は、DAC113a(113b)により変換された信号Ain(Bin)の電圧を例えば10倍に増幅して、出力する構成となっている。
なお、駆動回路120a、120bについては、入力する信号、および、出力する駆動信号の波形がそれぞれ異なるのみであり、回路的な構成は同一である。
第2に、制御部110は、移動機構6および搬送機構8に対する制御に同期して、ヘッドユニット3に各種の制御信号Ctrを供給する。なお、ヘッドユニット3に供給される制御信号Ctrには、ノズルNから吐出させるインクの量を規定する印刷データ(吐出制御信号)、当該印刷データの転送に用いるクロック信号、印刷周期等を規定するタイミング信号等が含まれる。
なお、制御部110は、移動機構6および搬送機構8を制御するが、このための構成については既知であるので省略する。
メイン基板100におけるオフセット電圧生成回路130は、電圧VBSの保持信号を生成して配線550に出力する。なお、電圧VBSは、アクチュエーター基板40における複数の圧電素子Pztの他端を、それぞれにわたって一定の状態に保持するためのものである。
一方、ヘッドユニット3において、駆動IC50は、選択制御部510と、圧電素子Pztに一対一に対応した選択部520と、を有する。このうち、選択制御部510は、選択部520の各々における選択をそれぞれ制御する。詳細には、選択制御部510は、制御部110からクロック信号に同期して供給される印刷データを、ヘッドユニット3のノズル(圧電素子Pzt)の数個分、一旦蓄積するとともに、各選択部520に対し、印刷データにしたがって駆動信号COM−A、COM−Bの選択を、タイミング信号で規定される印刷周期の開始タイミングで指示する。
各選択部520は、選択制御部510による指示にしたがって、駆動信号COM−A、COM−Bのいずれかを選択し(または、いずれも選択せずに)、電圧Voutの駆動信号として、対応する圧電素子Pztの一端に印加する。
アクチュエーター基板40には、上述したようにノズルN毎に圧電素子Pztが1個ずつ設けられる。圧電素子Pztの各々における他端は共通接続されて、当該他端には配線550を介してオフセット電圧生成回路130による電圧VBSが印加される。
本実施形態において、1つのドットについては、1つのノズルNからインクを最多で2回吐出させることで、大ドット、中ドット、小ドットおよび非記録の4階調を表現させる。この4階調を表現するために、本実施形態では、2種類の駆動信号COM−A、COM−Bを用意するとともに、各々の1周期にそれぞれ前半パターンと後半パターンとを持たせている。そして、1周期のうち、前半・後半において駆動信号COM−A、COM−Bを、表現すべき階調に応じた選択して(または選択しないで)、圧電素子Pztに供給する構成となっている。
そこで先に、駆動信号COM−A、COM−Bについて説明し、この後、駆動信号COM−A、COM−Bを選択するための選択制御部510および選択部520の詳細な構成について説明する。
図5は、駆動信号COM−A、COM−Bの波形等を示す図である。
図に示されるように、駆動信号COM−Aは、印刷周期Taのうち、制御信号LATが出力されて(立ち上がって)から制御信号CHが出力されるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、印刷周期Taのうち、制御信号CHが出力されてから次の制御信号LATが出力されるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを繰り返す波形となっている。
本実施形態において台形波形Adp1、Adp2とは、互いにほぼ同一の波形であり、仮にそれぞれが圧電素子Pztの一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子Pztに対応するノズルNから所定量、具体的には中程度の量のインクをそれぞれ吐出させる波形である。
駆動信号COM−Bは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを繰り返す波形となっている。本実施形態において台形波形Bdp1、Bdp2とは、互いに異なる波形である。このうち、台形波形Bdp1は、ノズルN付近のインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波形である。このため、仮に台形波形Bdp1が圧電素子Pztの一端に供給されたとしても、当該圧電素子Pztに対応するノズルNからインク滴が吐出されない。また、台形波形Bdp2は、台形波形Adp1(Adp2)とは異なる波形となっている。仮に台形波形Bdp2が圧電素子Pztの一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子Pztに対応するノズルNから上記所定量よりも少ない量のインクを吐出させる波形である。
台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2の開始タイミングでの電圧と、終了タイミングでの電圧とは、いずれも電圧Vcenで共通である。すなわち、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2は、それぞれ電圧Vcenで開始し、電圧Vcenで終了する波形となっている。
なお、駆動回路120a(120b)は、上述したように信号Ain(Bin)の電圧を10倍に増幅して出力するので、入力である信号Ain(Bin)は、後述する誤差を伴うものの、駆動信号COM−A(COM−B)の電圧をそのまま1/10とした波形である。
図6は、図4における選択制御部510の構成を示す図である。
この図に示されるように、選択制御部510には、クロック信号Sck、印刷データSI、制御信号LAT、CHが供給される。選択制御部510では、シフトレジスタ(S/R)512とラッチ回路514とデコーダー516との組が、圧電素子Pzt(ノズルN)のそれぞれに対応して設けられている。
印刷データSIは、印刷周期Taにわたって、着目しているヘッドユニット3において、すべてのノズルNによって形成すべきドットを規定するデータである。本実施形態では、非記録、小ドット、中ドットおよび大ドットの4階調を表現するために、ノズル1個分の印刷データは、上位ビット(MSB)および下位ビット(LSB)の2ビットで構成される。
印刷データSIは、クロック信号Sckに同期してノズルN(圧電素子Pzt)毎に、媒体Pの搬送に合わせて供給される。当該印刷データSIを、ノズルNに対応して2ビット分、一旦保持するための構成がシフトレジスタ512である。
詳細には、m個の圧電素子Pzt(ノズル)の各々に対応した計m段のシフトレジスタ512が縦続接続されるとともに、図において左端に位置する1段のシフトレジスタ512に供給された印刷データSIが、クロック信号Sckにしたがって順次後段(下流側)に転送される構成となっている。
なお、図では、シフトレジスタ512を区別するために、印刷データSIが供給される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
ラッチ回路514は、シフトレジスタ512で保持された印刷データSIを制御信号LATの立ち上がりでラッチする。
デコーダー516は、ラッチ回路514によってラッチされた2ビットの印刷データSIをデコードして、制御信号LATと制御信号CHとで規定される期間T1、T2ごとに、選択信号Sa、Sbを出力して、選択部520での選択を規定する。
図7は、デコーダー516におけるデコード内容を示す図である。
この図において、ラッチされた2ビットの印刷データSIについては(MSB、LSB)と表記している。デコーダー516は、例えばラッチされた印刷データSIが(0、1)であれば、選択信号Sa、Sbの論理レベルを、期間T1ではそれぞれH、Lレベルで、期間T2ではそれぞれL、Hレベルで、出力するということを意味している。
なお、選択信号Sa、Sbの論理レベルについては、クロック信号Sck、印刷データSI、制御信号LAT、CHの論理レベルよりも、レベルシフター(図示省略)によって、高振幅論理にレベルシフトされる。
図8は、図4における選択部520の構成を示す図である。
この図に示されるように、選択部520は、インバーター(NOT回路)522a、522bと、トランスファーゲート524a、524bとを有する。
デコーダー516からの選択信号Saは、トランスファーゲート524aにおいて丸印が付されていない正制御端に供給される一方で、インバーター522aによって論理反転されて、トランスファーゲート524aにおいて丸印が付された負制御端に供給される。同様に、選択信号Sbは、トランスファーゲート524bの正制御端に供給される一方で、インバーター522bによって論理反転されて、トランスファーゲート524bの負制御端に供給される。
トランスファーゲート524aの入力端には、駆動信号COM−Aが供給され、トランスファーゲート524bの入力端には、駆動信号COM−Bが供給される。トランスファーゲート524a、524bの出力端同士は、共通接続されるとともに、対応する圧電素子Pztの一端に接続される。
トランスファーゲート524aは、選択信号SaがHレベルであれば、入力端および出力端の間を導通(オン)させ、選択信号SaがLレベルであれば、入力端と出力端との間を非導通(オフ)させる。トランスファーゲート524bについても同様に選択信号Sbに応じて、入力端および出力端の間をオンオフさせる。
図5に示されるように、印刷データSIは、ノズル毎に、クロック信号Sckに同期して供給されて、ノズルに対応するシフトレジスタ512において順次転送される。そして、クロック信号Sckの供給が停止すると、シフトレジスタ512のそれぞれには、各ノズルに対応した印刷データSIが保持された状態になる。
ここで、制御信号LATが立ち上がると、ラッチ回路514のそれぞれは、シフトレジスタ512に保持された印刷データSIを一斉にラッチする。図5において、L1、L2、…、Lm内の数字は、1段、2段、…、m段のシフトレジスタ512に対応するラッチ回路514によってラッチされた印刷データSIを示している。
デコーダー516は、ラッチされた印刷データSIで規定されるドットのサイズに応じて、期間T1、T2のそれぞれにおいて、選択信号Sa、Saの論理レベルを図7に示されるような内容で出力する。
すなわち、第1に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(1、1)であって、大ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてもH、Lレベルとする。第2に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(0、1)であって、中ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第3に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(1、0)であって、小ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第4に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(0、0)であって、非記録を規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Hレベルとし、期間T2においてL、Lレベルとする。
図9は、印刷データSIに応じて選択されて、圧電素子Pztの一端に供給される駆動信号の電圧波形を示す図である。
印刷データSIが(1、1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオンし、トランスファーゲート524bがオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。選択信号Sa、Sbは期間T2においてもH、Lレベルとなるので、選択部520は、駆動信号COM−Aの台形波形Adp2を選択する。
このように期間T1において台形波形Adp1が選択され、期間T2において台形波形Adp2が選択されて、駆動信号として圧電素子Pztの一端に供給されると、当該圧電素子Pztに対応したノズルNから、中程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pにはそれぞれのインクが着弾し合体して、結果的に、印刷データSIで規定される通りの大ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(0、1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオンし、トランスファーゲート524bはオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてL、Hレベルとなるので、駆動信号COM−Bの台形波形Bdp2が選択される。
したがって、ノズルから、中程度および小程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pには、それぞれのインクが着弾して合体して、結果的に、印刷データSIで規定された通りの中ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(1、0)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてともにLレベルとなるので、トランスファーゲート524a、524bがオフする。このため、期間T1において台形波形Adp1、Bdp1のいずれも選択されない。トランスファーゲート524a、524bがともにオフする場合、当該トランスファーゲート524a、524bの出力端同士の接続点から圧電素子Pztの一端までの経路は、電気的にどの部分にも接続されないハイ・インピーダンス状態になる。ただし、圧電素子Pztの両端では、自己が有する容量性によって、トランスファーゲートがオフする直前の電圧(Vcen−VBS)が保持される。
次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてL、Hレベルとなるので、駆動信号COM−Bの台形波形Bdp2が選択される。このため、ノズルNから、期間T2においてのみ小程度の量のインクが吐出されるので、媒体Pには、印刷データSIで規定された通りの小ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(0、0)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてL、Hレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオフし、トランスファーゲート524bがオンする。このため、期間T1において駆動信号COM−Bの台形波形Bdp1が選択される。次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてともにLレベルとなるので、台形波形Adp2、Bdp2のいずれも選択されない。
このため、期間T1においてノズルN付近のインクが微振動するのみであり、インクは吐出されないので、結果的に、ドットが形成されない、すなわち、印刷データSIで規定された通りの非記録になる。
このように、選択部520は、選択制御部510による指示にしたがって駆動信号COM−A、COM−Bを選択し(または選択しないで)、圧電素子Pztの一端に印加する。このため、各圧電素子Pztは、印刷データSIで規定されるドットのサイズに応じて駆動されることになる。
なお、図5に示した駆動信号COM−A、COM−Bはあくまでも一例である。実際には、媒体Pの性質や搬送速度などに応じて、予め用意された様々な波形の組み合わせが用いられる。
また、ここでは、圧電素子Pztが、電圧の下降に伴って上方向に撓む例で説明したが、駆動電極72、76に印加する電圧を逆転させると、圧電素子Pztは、電圧の下降に伴って下向に撓むことになる。このため、圧電素子Pztが、電圧の下降に伴って下方向に撓む構成では、図に例示した駆動信号COM−A、COM−Bが、電圧Vcenを基準に反転した波形となる。
次に、メイン基板100における駆動回路120a、120bについて、駆動信号COM−Aを出力する駆動回路120aを例にとって説明するが、括弧書きの部分は、駆動回路120bの場合を示している。
図10は、駆動回路120aの構成を示す図である。
この図に示されるように、駆動回路120aは、4つの基準電源Eと、基準電源211、212と、比較器221、222と、レベルシフター270a、270b、270c、270dと、セレクター280と、4つのトランジスター対と、抵抗素子R1、R2とを含む。
基準電源(第1オフセット部)211は、正端子および負端子の間において電圧Vを出力するものである。ここで、基準電源211の正端子は、電圧増幅器115a(図4参照)からの信号Ainの電圧Vinが供給される端子N1に接続され、基準電源211の負端子は、比較器221の負入力端(−)に接続されている。このため、比較器221の負入力端(−)には、入力信号である電圧Vinから電圧Vを減じた電圧(Vin−V)が印加されることになる。比較器221の正入力端(+)は、端子N3に接続されている。
端子N3は、抵抗素子R1を介し、電圧Outが出力される端子N1に接続される一方、抵抗素子R2を介して電圧ゼロのグランドGndに接地されている。このため、端子N3の電圧Out2は、電圧Outの電圧を、抵抗素子R1、R2の抵抗値で規定される比で降圧した電圧となる。本実施形態において、降圧比は、駆動回路120aの電圧増幅率の逆数の1/10に設定される。すなわち、電圧Out2は、イコール電圧Out/10という関係にある。
比較器(第1比較部)221は、正入力端(+)の印加電圧と負入力端(−)の印加電圧との比較結果に応じた信号Gt1を第1制御信号として出力する。詳細には、比較器221は、正入力端(+)に印加された電圧Out2が負入力端(−)に印加された電圧(Vin−V)以上であれば信号Gt1をHレベルで出力し、電圧Out2が電圧(Vin−V)よりも低ければ信号Gt1をLレベルで出力する。
ここで、比較器221において、負入力端(−)に印加された電圧(Vin−V)の信号を第1比較信号とした場合、正入力端(+)に印加された電圧Out2の信号が、駆動信号に基づく信号を電圧ゼロでオフセットした第2比較信号となる。
一方、基準電源(第2オフセット部)212は、正端子および負端子の間において電圧Vを出力するものである。ここで、基準電源212の負端子は端子N1に接続され、基準電源212の正端子は、比較器222の負入力端(−)に接続されている。このため、比較器221の負入力端(−)には、入力信号である電圧Vinに電圧Vを加えた電圧(Vin+V)が印加されることなる。比較器(第2比較部)221の正入力端(+)は、端子N3に接続されている。
比較器222は、正入力端(+)の印加電圧と負入力端(−)の印加電圧との比較結果に応じた信号Gt2を第2制御信号として出力するものであり、詳細には、正入力端(+)に印加された電圧Out2が入力端(−)に印加された電圧(Vin+V)以上であれば信号Gt2をHレベルで出力し、電圧Out2が電圧(Vin+V)よりも低ければ信号Gt2をLレベルで出力する。
ここで、比較器222において、負入力端(−)に印加された電圧(Vin+V)の信号を第3比較信号とした場合、正入力端(+)に印加された電圧Out2の信号が、駆動信号に基づく信号を電圧ゼロでオフセットした第4比較信号となる。
なお、比較器221から出力される信号Gt1と比較器222から出力される信号Gt2とにおける論理レベルについては、例えばHレベルが信号Ain(Bin)および端子N3の最高電圧である4Vであり、Lレベルが電圧ゼロのグランドGndである。
図10に示される例では、電圧Eを出力する基準電源の4段直列接続によって電圧E、2E、3E、4Eがそれぞれ電圧V、V、V、Vとして出力される。
図11は、電圧V、V、V、Vについて説明するための図である。
この図に示されるように、電圧Eを例えば10.5Vとしたとき、電圧V、V、V、Vの各々は、それぞれ10.5V、21.0V、31.5V、42.0Vである。本実施形態では、電圧V、V、V、Vで次のような電圧範囲が規定される。すなわち、電圧ゼロ以上電圧V未満が第1範囲として規定され、電圧V以上電圧V未満が第2範囲として規定され、電圧V以上電圧V未満が第3範囲として規定され、電圧V以上電圧V未満が第4範囲として規定される。
セレクター280は、制御部110(図4参照)から供給されるデータdA(dB)から、信号Ain(Bin)の電圧Vinの電圧範囲を判別して、当該判別の結果に応じて、それぞれ次のように選択信号Sa、Sb、Sc、Sdを出力する。
詳細には、セレクター280は、データdA(dB)で規定される電圧Vinが0V以上1.05V未満であると判別した場合、すなわち、電圧Vinを10倍で増幅したときの電圧が上記第1範囲に含まれる場合、選択信号SaのみをHレベルとし、他の選択信号Sb、Sc、SdをLレベルとする。また、セレクター280は、データdA(dB)で規定される電圧Vinが1.05V以上2.10V未満であると判別した場合、すなわち、電圧Vinを10倍で増幅したときの電圧が上記第2範囲に含まれる場合、選択信号SbのみをHレベルとし、他の選択信号Sa、Sc、SdをLレベルとする。同様に、セレクター280は、データdA(dB)で規定される電圧Vinが2.10V以上3.15V未満であると判別した場合、すなわち、電圧Vinを10倍で増幅したときの電圧が上記第3範囲に含まれる場合、選択信号ScのみをHレベルとし、他の選択信号Sa、Sb、SdをLレベルとし、当該電圧Vinが3.15V以上4.20V未満であると判別した場合、すなわち、電圧Vinを10倍で増幅したときの電圧が上記第4範囲に含まれる場合、選択信号SdのみをHレベルとし、他の選択信号Sa、Sb、ScをLレベルとする。
レベルシフター270aは、イネーブルされたときに、信号Gt1、Gt2の論理レベルをそれぞれレベルシフトして、トランジスター231a、232aのゲート電極に供給するものである。詳細には、レベルシフター270aは、選択信号SaがHレベルのときにイネーブルされて、信号Gt1のHレベルを例えば電圧V(=10.5V)に、Lレベルを例えばグランドGnd(電圧ゼロ)にそれぞれレベルシフトして、トランジスター231aのゲート電極に供給し、信号Gt2のHレベルを電圧Vに、LレベルをグランドGndにそれぞれレベルシフトして、トランジスター232aのゲート電極に供給する。
レベルシフター270bは、選択信号SbがHレベルのときにイネーブルされて、信号Gt1のHレベルを例えば電圧V(=21.0V)に、Lレベルを例えば電圧V(=10.5V)にそれぞれレベルシフトして、トランジスター231bのゲート電極に供給し、信号Gt2のHレベルを電圧Vに、Lレベルを電圧Vにそれぞれレベルシフトして、トランジスター232bのゲート電極に供給する。
同様に、レベルシフター270cは、選択信号ScがHレベルのときにイネーブルされて、信号Gt1のHレベルを例えば電圧V(=31.5V)に、Lレベルを例えば電圧V(=21.0V)にそれぞれレベルシフトして、トランジスター231cのゲート電極に供給し、信号Gt2のHレベルを電圧Vに、Lレベルを電圧Vにそれぞれレベルシフトして、トランジスター232cのゲート電極に供給する。
そして、レベルシフター270dは、選択信号SdがHレベルのときにイネーブルされて、信号Gt1のHレベルを例えば電圧V(=42.0V)に、Lレベルを例えば電圧V(=31.5V)にそれぞれレベルシフトして、トランジスター231dのゲート電極に供給し、信号Gt2のHレベルを電圧Vに、Lレベルを電圧Vにそれぞれレベルシフトして、トランジスター232dのゲート電極に供給する。
なお、レベルシフター270a、270b、270c、270dは、ディセーブルにされると、すなわち対応する選択信号がLレベルであれば、それぞれに対応する2つのトランジスターをそれぞれオフとさせる信号を出力する。すなわち、レベルシフター270a、270b、270c、270dは、ディセーブルにされると、対応する2つのトランジスターのチャネルが次に説明する型であれば、信号Gt1を強制的にHレベルに変換し、信号Gt2を強制的にLレベルに変換する。
トランジスター231aは、例えばPチャネル型の電界効果トランジスターであり、ソース端子には電圧Vが印加され、ドレイン端子がダイオードd1を介して端子N2に接続される。トランジスター232aは、例えばNチャネル型の電界効果トランジスターであり、ソース端子はグランドGndに接地され、ドレイン端子がダイオードd2を介して端子N2に接続される。なお、ダイオードd1、d2は逆流防止用であって、ダイオードd1の順方向は、トランジスター231aのドレイン端子から端子N2に向かう方向であり、ダイオードd2の順方向は、端子N2からトランジスター232aのドレイン端子に向かう方向である。
同様に、トランジスター231b(231c、231d)は、例えばPチャネル型の電界効果トランジスターであり、ソース端子には電圧V(V、V)が印加され、ドレイン端子がダイオードd1を介して端子N2に接続され、トランジスター232b(232c、232d)は、例えばNチャネル型の電界効果トランジスターであり、ソース端子には電圧V(V、V)が印加され、ドレイン端子がダイオードd2を介して端子N2に接続される。
なお、例えばトランジスター231aを第1トランジスターとし、トランジスター232aを第2トランジスターとして、トランジスター231a、232aが第1トランジスター対となる場合、トランジスター231bを第3トランジスターとし、トランジスター232bを第4トランジスターとして、トランジスター231b、232bが第4トランジスター対となる。
また、詳細には後述するが、トランジスター231a、232aは、レベルシフター270aがイネーブルされたときに、電圧VとグランドGndとを電源電圧として駆動信号を出力し、トランジスター231b、232bは、レベルシフター270bがイネーブルされたときに、電圧Vと電圧Vとを電源電圧として駆動信号を出力する。同様に、トランジスター231c、232cは、レベルシフター270cがイネーブルされたときに、電圧Vと電圧Vとを電源電圧として駆動信号を出力し、トランジスター231d、232dは、レベルシフター270dがイネーブルされたときに、電圧Vと電圧Vとを電源電圧として駆動信号を出力する構成となっている。
この構成では、トランジスター231a、232aの電源電圧、トランジスター231b、232bの電源電圧、トランジスター231c、232cの電源電圧、および、トランジスター231d、232dの電源電圧は、それぞれ10.5Vとなる。
なお、端子N2からは、駆動回路120aであれば駆動信号COM−Aが出力され、駆動回路120bであれば、駆動信号COM−Bが出力されることになる。
次に、駆動回路120a、120bの動作について、駆動信号COM−Aを出力する駆動回路120aを例にとって説明する。
図12は、駆動回路120aの動作を説明するための図である。
上述したように駆動信号COM−Aの印刷周期Taにおいて2つの同じ台形波形Adp1、Adp2が繰り返される波形となっているので、駆動信号COM−Aの電圧増幅前の信号Ainも同様な波形となっている。
ただし、信号Ainは、駆動信号COM−Aの電圧を1/10としたものである。このため、電圧V、V、V、Vで規定される第1範囲から第4範囲までを、信号Ainの電圧範囲に換算する場合、電圧V/10、V/10、V/10、V/10で規定すれば良い。すなわち、電圧Vinが、0V以上電圧V/10(=1.05V)未満が第1範囲に相当し、電圧V/10以上電圧V/10(=2.10V)未満が第2範囲に相当し、電圧V/10以上電圧V/10(=3.15V)未満が第3範囲に相当し、電圧V/10以上電圧V/10(=4.20V)未満が第4範囲に相当する。
図12は、信号Ainの1つの台形波形を示しており、詳細には、信号Ainの電圧Vinでみたときに、例えば電圧Vcenに相当する電圧が第3範囲であり、時間経過とともに第2範囲、第1範囲を経由して下降し、当該第1範囲から第4範囲まで一気に上昇し、その後、第3範囲の電圧Vcenに相当する電圧まで下降する状態を示している。
まず、セレクター280は、電圧Vinが第3範囲であるとデータdAから判別した場合、選択信号ScのみをHレベルとし、他の選択信号Sa、Sb、SdをLレベルとするので、レベルシフター270cがイネーブルされ、他のレベルシフター270a、270b、270dがディセーブルされる。したがって、この場合、トランジスター231c、232cが、電源電圧として電圧V、Vを用いて駆動信号COM−Aを出力することになる。
次に、電圧Vinがタイミングt1からタイミングt2までの期間にわたって第2範囲となったとき、セレクター280は、選択信号SbのみをHレベルとし、他の選択信号Sa、Sc、SdをLレベルとするので、レベルシフター270bがイネーブルされ、他のレベルシフター270a、270c、270dがディセーブルされる。したがって、この場合、トランジスター231b、232bが電源電圧として電圧V、Vを用いて駆動信号COM−Aを出力することになる。
電圧Vinがタイミングt2からタイミングt3までの期間にわたって第1範囲となったとき、セレクター280は、選択信号SaのみをHレベルとし、この結果、レベルシフター270aのみがイネーブルされるので、トランジスター231a、232aが電源電圧として電圧V、グランドGndを用いて駆動信号COM−Aを出力することになる。
以降については簡単に説明すると、タイミングt3からタイミングt4までの期間では、レベルシフター270bのみがイネーブルされるので、トランジスター231b、232bが電源電圧として電圧V、Vを用い、タイミングt4からタイミングt5までの期間では、レベルシフター270cのみがイネーブルされるので、トランジスター231c、232cが電源電圧として電圧V、Vを用い、タイミングt5からタイミングt6までの期間では、レベルシフター270dのみがイネーブルされるので、トランジスター231d、232dが電源電圧として電圧V、Vを用い、タイミングt6からは、レベルシフター270cのみがイネーブルされるので、トランジスター231c、232cが電源電圧として電圧V、Vを用いて、それぞれ駆動信号COM−Aを出力することになる。
次に、トランジスター対の動作について、第1範囲で動作するトランジスター231a、232aを例にとって説明する。なお、第1範囲では、レベルシフター270aのみがイネーブルである。
この動作について概略すれば、端子N3の電圧Out2が電圧(Vin−V)よりも低ければ、信号Gt1がLレベルになってトランジスター231aがオンするので、当該電圧Out2(Out)を高くする方向に制御される一方、電圧Out2が電圧(Vin+V)以上であれば、信号Gt2がHレベルになってトランジスター232aがオンするので、当該電圧Out2(Out)を低くする方向に制御される。
詳細について、図14および図15を参照して説明する。
図13および図14は、信号Ainの電圧Vinの変化に対して、電圧Out2がどのように変化するのかを示す図である。信号Ainは、台形波形であるので、電圧変化率(傾き)が変化する態様については、次の4パターンとなる。すなわち、4パターンとは、
上昇から平坦への変化(第1パターン)、
平坦から下降への変化(第2パターン)、
下降から平坦への変化(第3パターン)、
平坦から上昇への変化(第4パターン)、
である。なお、この4パターンは、必ずしもこの順番で電圧Vinが変化することを意味するのではない。
図13の左欄は、第1パターンで電圧Vinが変化したときの電圧Out2の波形を示す図である。
電圧Vinが上昇する場合に、電圧(Vin−V)も当該電圧Vinにしたがって上昇する。このような電圧Vinの上昇に対し、電圧Out2が上昇する電圧(Vin−V)よりも低くなったときに、信号Gt1がLレベルになってトランジスター231aがオンするので、当該電圧Out2が高くなるが、直ちに電圧(Vin−V)以上となるので、信号Gt1がHレベルになってトランジスター231aがオフすることになる。電圧Vinの上昇時には、このような動作が繰り返されるので、電圧Out2は、理想的には図において破線で示されるように階段状に変化するはずである。ただし、端子N2から出力側をみた場合、駆動信号COM−Aを供給する配線抵抗やインダクタンス成分、負荷である圧電素子Pztなどにより一種の積分回路が形成されるので、実際の電圧Outの波形は、階段状の波形に対して鈍る。このため、電圧Outを降圧した電圧Out2についても鈍る。
なお、電圧Vinの上昇が停止して平坦になったとき、電圧(Vin−V)も平坦になるので、電圧Outは、最後にトランジスター231aがオンからオフしたときの値に、負荷である容量性を有する圧電素子Pzt等によって保持されるので、電圧Out2についても保持される。
図13の右欄は、第2パターンで電圧Vinが変化したときの電圧Out2の波形を示す図である。
電圧Vinが平坦から下降に転じる場合に、電圧(Vin+V)も当該電圧Vinにしたがって下降する。このような電圧Vinの下降に対し、平坦に保持されていた電圧Out2が下降する電圧(Vin+V)以上になれば、トランジスター232aがオンするので、当該電圧Out2が低くなるが、直ちに電圧(Vin+V)よりも低くなるので、トランジスター232aがオフすることになる。電圧Vinの下降時には、このような動作が繰り返されるので、電圧Out2は、理想的には図において破線で示されるように階段状に変化するが、実際の電圧Out2の波形は、上記積分回路によって鈍る。
図14の左欄は、第3パターンで電圧Vinが変化したときの電圧Out2の波形を示す図である。電圧Vinの下降から平坦に転じる場合、電圧(Vin+V)も平坦になるので、電圧Out2は、最後にトランジスター232aがオンからオフしたときの値に保持される。
図14の右欄は、第4パターンで電圧Vinが変化したときの電圧Out2の波形を示す図である。電圧Vinの平坦から上昇に転じる場合、電圧(Vin−V)も当該電圧Vinにしたがって上昇する。このような電圧Vinの上昇に対し、平坦に保持されていた電圧Out2が上昇する電圧(Vin−V)よりも低くなる。これ以降の動作は第1パターンでの電圧Vinの上昇時の動作になる。
したがって、電圧Vinが第1範囲にあれば、電圧Out2は電圧Vinに追従するように制御されるので、結局のところ、電圧Outは、電圧Vinに対して10倍となるように制御されることになる。
電圧Vinが第2範囲あれば、レベルシフター270bがイネーブルされるので、同様にして、電圧Outは、トランジスター231b、232bによって電圧Vinに対して10倍となるように制御される。
電圧Vinが第3範囲あれば、レベルシフター270cがイネーブルされるので、トランジスター231c、232cによって、また、電圧Vinが第4範囲あれば、レベルシフター270dがイネーブルされるので、トランジスター231d、232dによって、それぞれ電圧Vinに対して10倍となるように制御される。
以上については電圧Vinの変化率(傾き)が変化する態様について着目して説明したが、電圧Vinについては、第1範囲から第4範囲までにおいて隣り合う領域を跨ぐ(移行)場合がある。例えば図12でいえば、電圧Vinは、タイミングt1において第3範囲から第2範囲へと移行する。
電圧Vinが第3範囲であれば、レベルシフター270cがイネーブルされるので、トランジスター231c、232cによって、当該電圧Vinに対して電圧Outが10倍となるように制御される。タイミングt1において電圧Vinが第3範囲から第2範囲に移行したとき、レベルシフター270cがディセーブルになり、レベルシフター270bがイネーブルされるので、トランジスター231b、232bによって、当該電圧Vinに対して引き続き電圧Outが10倍となるように制御される。
ここでは、電圧Vinが第3範囲から第2範囲へと移行する場合を例にとって説明したが、他の場合でも同様であり、例えば第2範囲から第1範囲への移行であれば、レベルシフター270bがディセーブルになり、レベルシフター270aがイネーブルされるので、トランジスター231a、232aによって、当該電圧Vinに対して引き続き電圧Outが10倍となるように制御されることになる。
なお、ここでは駆動信号COM−Aを出力する駆動回路120aで説明したが、駆動信号COM−Bを出力する駆動回路120bについても期間T1において台形波形Bdp1となり、期間T2において台形波形Bdp2となる点に留意すれば、同様な動作となる。
図15は、電圧(Out−Vin)の変化に対しトランジスター231、232のオンする領域を示す図である。
なお、ここでトランジスター231、232とは、トランジスター231a、232a、トランジスター231b、232b、トランジスター231c、232c、または、トランジスター231d、232dを特に電圧範囲を特定しない場合に一般化して説明するためのものである。
この図に示されるように、電圧(Out2−Vin)が、−Vよりも低くなれば、トランジスター231のみがオンし、電圧(Out2−Vin)がV以上になれば、トランジスター232のみがオンする。
一方、電圧(Out2−Vin)が、−V以上であって、かつ、V未満であれば、トランジスター231、232がいずれもオフする。このため、第1範囲から第4電圧までにおいて電圧Out2(Out)が変化しない領域(不感帯)が存在する。この不感帯のため、電圧Out2が電圧Vinに対して、マイナス方向では最大でV、プラス方向では最大でVの誤差を伴うことになり、端子N2の電圧Outでみれば、電圧増幅率の10倍、すなわちマイナス方向では最大で10V、プラス方向では最大で10Vの誤差を伴うことになる。
ただし、基準電源211による電圧Vおよび基準電源212による電圧Vの設定次第で当該誤差を小さくすることができる。具体的には、電圧V、Vを例えば0.01V程度に設定すれば、40V程度で振幅する駆動信号COM−Aの波形において実用上問題ない程度の誤差に抑えることができる。
ところで、電圧Outは0〜40V程度で振幅するので、高位側のトランジスターと低位側のトランジスターとの1セットのみで電圧Outを制御する構成にすると、これらのトランジスターのセットを、40Vの電源電圧で駆動する必要があり、高い耐圧が要求されて、高コスト化や、回路規模の肥大化を招く。
これに対して、本実施形態では、4つのトランジスター対における電源電圧は、いずれも電圧E、すなわち10.5Vであるので、トランジスターとして低い耐圧のものを用いることができ、高コスト化や、回路規模の肥大化を防ぐことができる。
なお、本実施形態では、4つのトランジスター対のいずれかで駆動するために、セレクター280がデータdA(dB)に応じてイネーブルするレベルシフター270a、270b、270c、270dから1つ選択し、イネーブルされたレベルシフターがトランジスター対に信号Gt1、Gt2をレベルシフトして供給する構成となっている。
このため、本実施形態では、トランジスター対の各々に対応して比較ユニットが設けられる構成と比較して、比較器221、222の比較ユニットの1組で足りる。
また、本実施形態では、D級増幅方式と比較して、入力信号を変調する際に三角波形などを発振する回路や、復調のためのローパスフィルターが不要であるので、その分、回路構成の簡略化とともに、消費電力を抑えることができる。
さらに、入力信号の電圧が平坦の場合、トランジスター231a、231b、231c、231d、232a、232b、232c、232dがすべてオフするので、スイッチングにより電力が無駄に消費される、という問題も発生しない。
なお、実施形態では、トランジスター231a、231b、231c、231dをPチャネル型とし、トランジスター232a、232b、232c、232dをNチャネル型としたが、Pチャネル型またはNチャネル型で揃えても良い。
また、これらのトランジスターについてはオンまたはオフするスイッチング素子として説明したが、本発明は、これに限られない。例えば、ゲート・ソース間の電圧に応じてドレイン電流(ソース・ドレイン間の抵抗)を変化させる構成としても良い。すなわち、信号Gt1(Gt2)によってトランジスター231(232)が制御される構成であれば良い。
また、基準電源211、212、比較器221、222、レベルシフター270a、270b、270c、270d セレクター280については半導体で集積化しても良い。換言すれば、基準電源E、トランジスター231a、231b、231c、231d、232a、232b、232c、232d(逆流防止用のダイオードd1、d2を含む)については外付け部品で構成するのが好ましい。
実施形態では、電圧Vinを、基準電源211によって電圧Vだけオフセットし、基準電源212によって電圧Vだけオフセットしたが、電圧Vin(または、後述するように電圧Out)を高低方向にオフセットした2つの電圧を得ることができれば良いので、当該オフセットのための構成については電源(電池)等の素子に限られない。例えば、次のように、ダイオードや抵抗などの素子を複数組み合わせても良い。
図16は、電圧Vinを高低方向にそれぞれオフセットした電圧(Vin+V)、(Vin−V)を得るための構成例(第1オフセット部および第2オフセット部の他の例)を示す図である。
この例では、電圧VinをダイオードD1の順方向電圧だけ高位側にオフセットした電圧から、電圧VinをダイオードD2の順方向電圧だけ低位側にオフセットした電圧までを、抵抗分割することによって電圧(Vin−V)、(Vin+V)が得ることができる。
また、実施形態に係る駆動回路120a(120b)は、比較器221は、電圧Out2が電圧(Vin−V)以上であるか、または、未満であるかを判別する構成であった。
すなわち、比較器221は、
Out2≧Vin−V、または、
Out2<Vin−V
を判別する構成であった。
ここで、上記不等式は、
Out2+V≧Vin、または、
Out2+V<Vin、
に変形できるので、比較器221は、電圧(Out2+V)が電圧Vin以上であるか、または、未満であるかを判別しても良い。
また、ここでの不等式は、例えば
Out+V/2≧Vin−V/2、または、
Out+V/2<Vin−V/2、
にも変形できる。
このため、比較器221は、電圧(Out2+V/2)が電圧(Vin−V/2)以上であるか、未満であるかを判別しても良い。
要は、比較器221は、入力信号である電圧Vinまたは出力の駆動信号に基づく電圧Out2のうち、少なくとも一方をレベルシフトして、一方に対して他方を相対的に電圧Vだけオフセットした電圧同士を比較する構成であれば良い。
同様に、比較器222は、
Out2≧Vin+V、または、
Out2<Vin+V
を判別する構成であった。
ここで、上記不等式は、
Out2−V≧Vin、または、
Out2−V<Vin、
に変形できるので、比較器222は、電圧(Out2−V)が電圧Vin以上であるか、または、未満であるかを判別しても良い。
また、ここでの不等式は、例えば
Out2−V/2≧Vin+V/2、または、
Out2−V/2<Vin+V/2、
にも変形できる。
このため、比較器222は、電圧(Out2−V/2)が電圧(Vin+V/2)以上であるか、未満であるかを判別しても良い。
要は、比較器222は、入力信号である電圧Vinまたは出力の駆動信号に基づく電圧Out2のうち、少なくとも一方をレベルシフトして、一方に対して他方を相対的に電圧Vだけオフセットした電圧同士を比較する構成であれば良い。
実施形態において、駆動回路120a(120b)におけるセレクター280は、データdA(dB)によって電圧Vinが第1範囲乃至第4範囲のいずれかに含まれるかを判別する構成としたが、多少精度や遅延が発生するものの、DAC113a(113b)の出力である信号Ain(Bin)で判別しても良い。
このため、電圧Vinに応じて(入力信号に応じて)とは、データdA(dB)にしたがって、当該データdA(dB)をアナログ変換した信号にしたがって、それぞれ判別して(トランジスター対を選択する)と同義である。
また、データdA(dB)、当該データdA(dB)をアナログ変換した信号Ain(Bin)の2つの信号を重み付けして、組み合わせて判別しても良い。
実施形態において、駆動回路120a(120b)におけるレベルシフターおよびトランジスター対のセット数をそれぞれ「4」としたが、「2」以上であれば良い。セット数を多くするにつれて、電源電圧が低く抑えられるので、トランジスターを、より低い耐圧のものを用いることができる。
また、実施形態では、電圧V、V、V、Vについて、電圧Eを出力する基準電源の4段直列接続(図11参照)によって出力する構成としたので、各電圧セットにおける高位側電圧と低位側電圧との差を電圧E(=10.5V)で揃えたが、不揃いとした構成であっても良い。
また、電圧範囲については、第1範囲から第4範囲までのうち、隣り合う範囲については一部重複させても良い。例えば第1範囲については、電圧ゼロ以上電圧(V+α)未満とし、第2範囲については、電圧(V−α)以上電圧(V+α)未満とし、第3範囲については、電圧(V−α)以上電圧(V+α)未満とし、第4範囲については、電圧(V−α)以上電圧V未満として、電圧V、V、Vを中心に±αだけそれぞれ重複させても良い。
また、実施形態では液体吐出装置を印刷装置として説明したが、液体を吐出して立体を造形する立体造形装置や、液体を吐出して布地を染める捺染装置などであっても良い。
また、実施形態では、駆動回路120a(120b)の駆動対象としてインクを吐出する圧電素子Pztを例にとって説明したが、駆動回路120aを印刷装置から切り離して考えてみたときに、駆動対象としては、圧電素子Pztに限られず、例えば超音波モーターや、タッチパネル、静電スピーカー、液晶パネルなどの容量性成分を有する負荷のすべてに適用可能である。
1…印刷装置(液体吐出装置)、3…ヘッドユニット、50…駆動IC、100…メイン基板、120a、120b…駆動回路、200…単位回路、211、212…基準電源、221、222…比較器、231a、231b、231c、231d、232a、232b、232c、232d…トランジスター、270a、270b、270c、270d…レベルシフター、280…セレクター、442…キャビティ、550…配線、Pzt…圧電素子、N…ノズル。

Claims (8)

  1. 駆動信号の印加により変位する圧電素子を含み、各圧電素子の変位により液体をそれぞれ吐出する吐出部と、
    第1比較部と第2比較部とを含み、入力信号と前記駆動信号とが入力され、第1制御信号と第2制御信号とを出力する比較ユニットと、
    前記第1制御信号に基づいて制御される第1トランジスターと前記第2制御信号に基づいて制御される第2トランジスターとからなり、第1電圧と前記第1電圧よりも高位の第2電圧との電源電圧によって前記駆動信号を出力する第1トランジスター対と、
    前記第1制御信号に基づいて制御される第3トランジスターと前記第2制御信号に基づいて制御される第4トランジスターとからなり、前記第1電圧よりも高位の第3電圧と前記第3電圧よりも高位の第4電圧の電源電圧によって前記駆動信号を出力する第2トランジスター対と、
    前記第1トランジスター対または前記第2トランジスター対を、前記入力信号に応じて選択し、選択したトランジスター対に前記駆動信号を出力させる一方、非選択としたトランジスター対をオフとさせるトランジスター対選択部と、
    を備え、
    前記第1比較部は、第1比較信号と第2比較信号とを比較して、前記第1制御信号を出力し、
    前記第1比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号に基づく信号の一方をオフセットした信号であり、
    前記第2比較部は、第3比較信号と第4比較信号とを比較して、前記第2制御信号を出力し、
    前記第3比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号に基づく信号の一方をオフセットした信号である
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記第2比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号に基づく信号の他方を、ゼロを含む電圧でオフセットした信号であり、
    前記第4比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号に基づく信号の他方を、ゼロを含む電圧でオフセットした信号である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記第1制御信号をレベルシフトして第1トランジスターのゲートに供給するとともに、前記第2制御信号をレベルシフトして第2トランジスターのゲートに供給する第1レベルシフターと
    前記第1制御信号をレベルシフトして第3トランジスターのゲートに供給するとともに、前記第2制御信号をレベルシフトして第4トランジスターのゲートに供給する第2レベルシフターと、
    を含み、
    前記トランジスター対選択部は、
    前記入力信号に応じて前記第1レベルシフターまたは前記第2レベルシフターを選択して、前記選択したトランジスター対に前記駆動信号を出力させる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記入力信号を第1電圧だけ低くする、または、前記駆動信号に基づく信号を前記第1電圧だけ高くする第1オフセット部と、
    前記入力信号を第2電圧だけ高くする、または、前記駆動信号に基づく信号を前記第2電圧だけ低くする第2オフセット部と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  5. 前記第1比較部は、
    前記駆動信号の電圧が、前記入力信号の電圧から前記第1電圧を減じた電圧よりも低ければ、前記第1制御信号を、前記第1トランジスターまたは第3トランジスターをオンさせる信号とし、
    前記第2比較部は、
    前記駆動信号の電圧が、前記入力信号の電圧に前記第2電圧を加えた電圧以上であれば、前記第2制御信号を、前記第2トランジスターまたは第4トランジスターをオンさせる信号とする
    ことを特徴とする請求項4記載の液体吐出装置。
  6. 前記入力信号は、前記駆動信号の元となるデータをアナログ変化した信号であり、
    前記トランジスター対選択部は、前記データに基づいて前記第1トランジスター対または前記第2トランジスター対を選択する
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液体吐出装置。
  7. 駆動信号により容量性負荷を駆動する駆動回路であって、
    第1比較部と第2比較部とを含み、入力信号と前記駆動信号とが入力され、第1制御信号と第2制御信号とを出力する比較ユニットと、
    前記第1制御信号に基づいて制御される第1トランジスターと前記第2制御信号に基づいて制御される第2トランジスターとからなり、第1電圧と前記第1電圧よりも高位の第2電圧との電源電圧によって前記駆動信号を出力する第1トランジスター対と、
    前記第1制御信号に基づいて制御される第3トランジスターと前記第2制御信号に基づいて制御される第4トランジスターとからなり、前記第1電圧よりも高位の第3電圧と前記第3電圧よりも高位の第4電圧の電源電圧によって前記駆動信号を出力する第2トランジスター対と、
    前記第1トランジスター対または前記第2トランジスター対を、前記入力信号に応じて選択し、選択したトランジスター対に前記駆動信号を出力させる一方、非選択としたトランジスター対をオフとさせるトランジスター対選択部と、
    を備え、
    前記第1比較部は、第1比較信号と第2比較信号とを比較して、前記第1制御信号を出力し、
    前記第1比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号の一方をオフセットした信号であり、
    前記第2比較部は、第3比較信号と第4比較信号とを比較して、前記第2制御信号を出力し、
    前記第3比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号の一方をオフセットした信号である
    ことを特徴とする駆動回路。
  8. 駆動信号の印加により変位する圧電素子を含み、各圧電素子の変位により液体をそれぞれ吐出する吐出部を含むヘッドユニットであって、
    前記ヘッドユニットの吐出部は、
    第1比較部と第2比較部とを含み、入力信号と前記駆動信号とが入力され、第1制御信号と第2制御信号とを出力する比較ユニットと、
    前記第1制御信号に基づいて制御される第1トランジスターと前記第2制御信号に基づいて制御される第2トランジスターとからなり、第1電圧と前記第1電圧よりも高位の第2電圧との電源電圧によって前記駆動信号を出力する第1トランジスター対と、
    前記第1制御信号に基づいて制御される第3トランジスターと前記第2制御信号に基づいて制御される第4トランジスターとからなり、前記第1電圧よりも高位の第3電圧と前記第3電圧よりも高位の第4電圧の電源電圧によって前記駆動信号を出力する第2トランジスター対と、
    前記第1トランジスター対または前記第2トランジスター対を、前記入力信号に応じて選択し、選択したトランジスター対に前記駆動信号を出力させる一方、非選択としたトランジスター対をオフとさせるトランジスター対選択部と、
    を備え、
    前記第1比較部は、第1比較信号と第2比較信号とを比較して、前記第1制御信号を出力し、
    前記第1比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号の一方をオフセットした信号であり、
    前記第2比較部は、第3比較信号と第4比較信号とを比較して、前記第2制御信号を出力し、
    前記第3比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号の一方をオフセットした信号である
    駆動回路によって駆動される
    ことを特徴とするヘッドユニット。
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