JP6753246B2 - 液体吐出装置および駆動回路 - Google Patents

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Description

本発明は、液体吐出装置および駆動回路に関する。
インクを吐出して画像や文書を印刷するインクジェットプリンターには、圧電素子(例えばピエゾ素子)を用いたものが知られている。圧電素子は、ヘッドユニットにおいて複数のノズルのそれぞれに対応して設けられ、それぞれが駆動信号にしたがって駆動される。この駆動により、ノズルから所定のタイミングで所定量のインク(液体)が吐出されて、ドットが形成される。圧電素子は、電気的にみればコンデンサーのような容量性負荷であるので、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。
そこで、インクジェットプリンターでは、駆動信号の元となる元駆動信号を増幅回路で増幅し、駆動信号としてヘッドユニットに供給して、圧電素子を駆動する構成となっている。増幅回路としては、例えばD級増幅が提案されている(特許文献1参照)。D級増幅は、端的にいえば、元駆動信号をパルス変調するとともに、当該変調信号にしたがって電源電圧間において直列に挿入されたハイサイドトランジスターおよびローサイドトランジスターをスイッチングし、このスイッチングによる出力信号をローパスフィルターで平滑化することで、元駆動信号を増幅する、というものである。
特開2010−114711号公報
ところで、液体吐出装置では、駆動信号の波形が元駆動信号の波形に対して忠実に再現されないと、液体の吐出精度に悪影響を与えてしまう。
そこで、本発明のいくつかの態様の目的の一つは、良好な波形再現性を有する液体吐出装置および駆動回路を提供することにある。
上記目的の一つを達成するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、所定の出力端から出力されるとともに、第1期間にわたって第1電圧で一定となる駆動信号によって駆動される圧電素子を含み、当該圧電素子の駆動によって液体を吐出する吐出部と、前記駆動信号の元となる元駆動信号を、当該元駆動信号の電圧が変化する期間に増幅して、前記出力端に供給する増幅回路と、前記第1期間の一部または全部にわたって前記第1電圧を前記出力端に印加する定電圧出力回路と、を具備する。
上記一態様に係る液体吐出装置によれば、駆動信号のうち、電圧が変化する部分については、増幅回路による元駆動信号を増幅したものが用いられ、一定となる部分については、当該一定となる第1電圧を印加したものが用いられるので、変化から一定に遷移する際の誤差や、一定部分でのリプルの発生を抑えることができる結果、波形再現性を向上することができる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記駆動信号は、前記第1期間とは異なる第2期間にわたって前記第1電圧とは異なる第2電圧で一定となり、前記定電圧出力回路は、前記第2期間の一部または全部にわたって前記第2電圧を前記出力端に印加する構成としても良い。
上記構成において、前記定電圧出力回路は、前記第1電圧および前記第2電圧のうち、少なくとも一方を可変で出力しても良い。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記増幅回路は、前記出力端と電源高位側電圧の給電点との間に接続されたハイサイドトランジスターと、前記出力端と電源低位側電圧の給電点との間に接続されたローサイドトランジスターと、前記元駆動信号の電圧と前記駆動信号に応じた電圧との差電圧を増幅した制御信号を出力する差動増幅器と、前記元駆動信号の電圧変化が上昇方向である第1の場合、前記制御信号を選択して、前記ハイサイドトランジスターのゲート端子に供給し、前記元駆動信号の電圧変化が低下方向である第2の場合、前記制御信号を選択して、前記ローサイドトランジスターのゲート端子に供給するセレクターと、を含む構成としても良い。
上記構成において、前記セレクターは、前記第1の場合、前記ローサイドトランジスターをオフさせる信号を選択して、当該ローサイドトランジスターのゲート端子に供給し、前記第2の場合、前記ハイサイドトランジスターをオフさせる信号を選択して、当該ハイサイドトランジスターのゲート端子に供給しても良い。
上記構成において、前記セレクターは、少なくとも前記第1期間にわたって、前記ハイサイドトランジスターをオフさせる信号を選択して、当該ハイサイドトランジスターのゲート端子に供給するとともに、前記ローサイドトランジスターをオフさせる信号を選択して、当該ローサイドトランジスターのゲート端子に供給しても良い。
また、上記目的の一つを達成するために、本発明の別の態様に係る液体吐出装置は、第1出力端から出力されるととともに、第1期間にわたって第1電圧で一定となり、第2期間にわたって第2電圧で一定となる第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、第2出力端から出力されるととともに、前記第1期間の一部と重なる第3期間にわたって前記第1電圧で一定となる第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、前記第1駆動信号または前記第2駆動信号により液滴を吐出する吐出部と、を有し、前記第1駆動回路は、前記第1駆動信号の元となる第1元駆動信号を、当該第1元駆動信号の電圧が変化する期間に増幅して、前記第1出力端に供給する第1増幅回路と、前記第1期間の一部または全部にわたって前記第1電圧を前記出力端に印加し、前記第2期間の一部または全部にわたって前記第2電圧を前記第1出力端に印加する第1定電圧出力回路と、を含み、前記第2駆動回路は、前記第2駆動信号の元となる第2元駆動信号を、当該第2元駆動信号の電圧が変化する期間に増幅して、前記第2出力端に供給する第2増幅回路と、前記第3期間の一部または全部にわたって前記第1電圧を前記第2出力端に印加する第2定電圧出力回路と、を含む。
上記別の態様に係る液体吐出装置によれば、波形再現性を向上することができるほか、構成の簡素化を図ることがき、さらに、第1駆動回路および第2駆動回路での第1電圧のばらつきを抑えることができる。
なお、液体吐出装置は、液体を吐出するものであれば良く、これには後述する印刷装置のほかに、立体造形装置(いわゆる3Dプリンター)、捺染装置なども含まれる。
また、本発明は、液体吐出装置に限られず、種々の態様で実現することが可能であり、例えば当該圧電素子のような容量性負荷を駆動する駆動回路などとしても概念することが可能である。
印刷装置の概略構成を示す図である。 印刷装置のヘッドユニットにおけるノズルの配列等を示す図である。 ノズルの配列を拡大して示す図である。 ヘッドユニットにおける要部構成を示す断面図である。 印刷装置の電気的な構成を示すブロック図である。 駆動信号の波形等を説明するための図である。 選択制御部の構成を示す図である。 デコーダーのデコード内容を示す図である。 選択部の構成を示す図である。 選択部から圧電素子に供給される駆動信号を示す図である。 印刷装置の第1駆動回路の構成を示す図である。 印刷装置の第2駆動回路の構成を示す図である。 第1駆動回路における増幅回路(その1)の構成を示す図である。 第1駆動回路の動作を説明するための図である。 印刷装置に適用可能の第1駆動回路の別構成を示す図である。 第1駆動回路に適用可能な増幅回路(その2)の構成を示す図である。 第1駆動回路に適用可能な増幅回路(その3)の構成を示す図である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について、印刷装置を例にとって説明する。
図1は、印刷装置1の概略構成を示す斜視図である。
この図に示される印刷装置1は、液体の一例であるインクを吐出することによって、紙などの媒体Pにインクドット群を形成し、これにより、画像(文字や図形等などを含む)を印刷する液体吐出装置の一種である。
図1に示されるように、印刷装置1は、キャリッジ20を、主走査方向(X方向)に移動(往復動)させる移動機構6を備える。
移動機構6は、キャリッジ20を移動させるキャリッジモーター61と、両端が固定されたキャリッジガイド軸62と、キャリッジガイド軸62とほぼ平行に延在し、キャリッジモーター61により駆動されるタイミングベルト63と、を有している。
キャリッジ20は、キャリッジガイド軸62に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト63の一部に固定されている。そのため、キャリッジモーター61によりタイミングベルト63を正逆走行させると、キャリッジ20がキャリッジガイド軸62に案内されて往復動する。
キャリッジ20には、印刷ヘッド22が搭載されている。この印刷ヘッド22は、媒体Pと対向する部分に、インクを個別にZ方向に吐出する複数のノズルを有する。なお、印刷ヘッド22は、カラー印刷のために、概略的に4個のブロックに分かれている。4個のブロックの各々は、それぞれブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)のインクを吐出する。
なお、キャリッジ20には、フレキシブルフラットケーブル190を介してメイン基板(この図では省略)から各種の制御信号等が供給される構成となっている。
印刷装置1は、媒体Pを、プラテン80上で搬送させる搬送機構8を備える。搬送機構8は、駆動源である搬送モーター81と、搬送モーター81により回転し、媒体Pを副走査方向(Y方向)に搬送する搬送ローラー82と、を備える。
このような構成において、キャリッジ20の主走査に合わせて印刷ヘッド22のノズルから印刷データに応じてインクを吐出させるとともに、媒体Pを搬送機構8によって搬送する動作を繰り返すことで、媒体Pの表面に画像が形成される。
なお、本実施形態において主走査は、キャリッジ20を移動させることで実行されるが、媒体Pを移動させることで実行しても良く、キャリッジ20と媒体Pとの双方を移動させても良い。要は、媒体Pとキャリッジ20(印刷ヘッド22)とが相対的に移動する構成であれば良い。
図2は、印刷ヘッド22におけるインクの吐出面を媒体Pからみた場合の構成を示す図である。この図に示されるように、印刷ヘッド22は、4個のヘッドユニット3を有する。4個のヘッドユニット3の各々は、それぞれブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)に対応し、主走査方向であるX方向に沿って配列する。
図3は、1個のヘッドユニット3におけるノズルの配列を示す図である。
この図に示されるように、1個のヘッドユニット3では、複数のノズルNが2列で配列する。ここで、説明の便宜上、この2列をそれぞれノズル列NaおよびNbとする。
ノズル列NaおよびNbでは、それぞれ複数のノズルNが、副走査方向であるY方向に沿ってピッチP1で配列する。また、ノズル列NaおよびNb同士は、X方向にピッチP2だけ離間する。ノズル列Naに属するノズルNとノズル列Nbに属するノズルNとは、Y方向に、ピッチP1の半分だけシフトした関係となっている。
このようにノズルNを、ノズル列NaおよびNbの2列で、Y方向にピッチP1の半分だけシフトして配置させることにより、Y方向の解像度を、1列の場合と比較して実質的に倍に高めることができる。
なお、1個のヘッドユニット3におけるノズルNの個数を便宜的にm(mは2以上の整数)とする。
ヘッドユニット3は、後述するように、m個のノズルNと、これらm個のノズルNの各々に対応して設けられる圧電素子とを含むアクチュエーター基板に、各種の素子が実装された回路基板が接続された構成である。そこで説明の便宜のために、アクチュエーター基板の構造について説明する。
なお、本説明において、接続とは、2以上の要素間の直接的および間接的な結合を意味し、当該2つ以上の要素間に、1または2以上の中間要素が存在することも含む。上述の例でいえば、回路基板がアクチュエーター基板に例えばFPC(Flexible Printed Circuits)を介して接続される。
図4は、アクチュエーター基板の構造を示す断面図である。詳細には図3におけるg−g線で破断した場合の断面を示す図である。
図4に示されるように、アクチュエーター基板40は、流路基板42のうち、Z方向の負側の面上に圧力室基板44と振動板46とが設けられる一方、Z方向の正側の面上にノズル板41が設置された構造体である。
アクチュエーター基板40の各要素は、概略的にはY方向に長尺な略平板状の部材であり、例えば接着剤等により互いに固定される。また、流路基板42および圧力室基板44は、例えばシリコンの単結晶基板で形成される。
ノズルNは、ノズル板41に形成される。ノズル列Naに属するノズルに対応する構造と、ノズル列Nbに属するノズルに対応する構造とは、Y方向にピッチP1の半分だけシフトした関係にあるが、それ以外では、略対称に形成されるので、以下においてはノズル列Naに着目してアクチュエーター基板40の構造を説明することにする。
流路基板42は、インクの流路を形成する平板材であり、開口部422と供給流路424と連通流路426とが形成される。供給流路424および連通流路426は、ノズル毎に形成され、開口部422は、複数のノズルにわたって連続するように形成されるとともに、対応する色のインクが供給される構造となっている。この開口部422は、液体貯留室Srとして機能し、当該液体貯留室Srの底面は、例えばノズル板41によって構成される。具体的には、流路基板42における開口部422と各供給流路424と連通流路426とを閉塞するように流路基板42の底面に固定される。
圧力室基板44のうち流路基板42とは反対側の表面に振動板46が設置される。振動板46は、弾性的に振動可能な平板状の部材であり、例えば酸化シリコン等の弾性材料で形成された弾性膜と、酸化ジルコニウム等の絶縁材料で形成された絶縁膜との積層で構成される。振動板46と流路基板42とは、圧力室基板44の各開口部422の内側で互い間隔をあけて対向する。各開口部422の内側で流路基板42と振動板46とに挟まれた空間は、インクに圧力を付与するキャビティ442として機能する。各キャビティ442は、流路基板42の連通流路426を介してノズルNに連通する。
振動板46のうち圧力室基板44とは反対側の表面には、ノズルN(キャビティ442)毎に圧電素子Pztが形成される。
圧電素子Pztは、振動板46の面上に形成された複数の圧電素子Pztにわたって共通の駆動電極72と、当該駆動電極72の面上に形成された圧電体74と、当該圧電体74の面上に圧電素子Pzt毎に形成された個別の駆動電極76とを包含する。このような構成において、駆動電極72および76によって圧電体74を挟んで対向する領域が圧電素子Pztとして機能する。
圧電体74は、例えば加熱処理(焼成)を含む工程で形成される。具体的には、複数の駆動電極72が形成された振動板46の表面に塗布された圧電材料を、焼成炉内での加熱処理により焼成してから圧電素子Pzt毎に成形(例えばプラズマを利用したミーリング)することで圧電体74が形成される。
なお、ノズル列Nbに対応する圧電素子Pztも同様に、駆動電極72と、圧電体74と、駆動電極76とを包含した構成である。
また、この例では、圧電体74に対し、共通の駆動電極72を下層とし、個別の駆動電極76を上層としたが、逆に駆動電極72を上層とし、駆動電極76を下層とする構成としても良い。
圧電素子Pztの一端である駆動電極76には、吐出すべきインク量に応じた駆動信号の電圧Voutが回路基板から個別に印加される一方、圧電素子Pztの他端である駆動電極72には、電圧VBSの保持信号が共通に印加される。
このため、圧電素子Pztは、駆動電極72および76に印加された電圧に応じて、上または下方向に変位する。詳細には、駆動電極76を介して印加される駆動信号の電圧Voutが低くなると、圧電素子Pztにおける中央部分が両端部分に対して上方向に撓む一方、当該電圧Voutが高くなると、下方向に撓む構成となっている。
ここで、上方向に撓めば、キャビティ442の内部容積が拡大(圧力が減少)するので、インクが液体貯留室Srから引き込まれる一方、下方向に撓めば、キャビティ442の内部容積が縮小(圧力が増加)するので、縮小の程度によっては、インク滴がノズルNから吐出される。このように、圧電素子Pztに適切な駆動信号が印加されると、当該圧電素子Pztの変位によって、インクがノズルNから吐出される。このため、少なくとも圧電素子Pzt、キャビティ442、およびノズルNによってインクを吐出する吐出部が構成されることになる。
次に、印刷装置1の電気的な構成について説明する。
図5は、印刷装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、印刷装置1は、メイン基板100にフレキシブルフラットケーブル190を介してヘッドユニット3が接続された構成となっている。ヘッドユニット3は、アクチュエーター基板40と、回路基板50とに大別される。
なお、印刷装置1では、4個のヘッドユニット3が設けられ、メイン基板100が、4個のヘッドユニット3をそれぞれ独立に制御する。4個のヘッドユニット3では、吐出するインクの色以外において異なることがないので、以下においては便宜的に1個のヘッドユニット3について代表して説明することにする。
図5に示されるように、メイン基板100は、制御部110およびオフセット電圧生成回路130を含む。
このうち、制御部110は、CPUや、RAM、ROMなどを有する一種のマイクロコンピューターであり、印刷対象となる画像データがホストコンピューター等から供給されたときに、所定のプログラムを実行して各部を制御するための各種の信号等をそれぞれ出力する。
具体的には、第1に、制御部110は、データdAおよびdBと、信号群OaおよびObとを、それぞれ回路基板50に供給する。
ここで、データdAは、駆動信号COM−Aの波形を時系列で規定する。信号群Oaは、データdAで規定される駆動信号COM−Aの波形の電圧変化に応じた論理レベルとなる複数信号の集合体であり、詳細については後述する。
データdBは、駆動信号COM−Bの波形を時系列で規定する。信号群Obは、データdBで規定される駆動信号COM−Aの波形の電圧変化に応じた論理レベルとなる複数信号の集合体であり、詳細については後述する。
第2に、制御部110は、移動機構6および搬送機構8に対する制御に同期して、ヘッドユニット3に各種の制御信号Ctrを供給する。なお、制御信号Ctrには、ノズルNから吐出させるインクの量を規定する印刷データSI(吐出制御信号)、当該印刷データの転送に用いるクロック信号Sck、印刷周期等を規定する信号LAT、CHが含まれる。
なお、制御部110は、移動機構6および搬送機構8を制御するが、このような構成については既知であるので説明を省略する。
また、オフセット電圧生成回路130は、電圧VBSの保持信号を生成する。なお、電圧VBSの保持信号は、フレキシブルフラットケーブル190および回路基板50を介して、アクチュエーター基板40における複数の圧電素子Pztの他端にわたって共通に印加される。電圧VBSの保持信号は、複数の圧電素子Pztの他端を、それぞれ一定の状態に保つためのものである。
一方、ヘッドユニット3において回路基板50は、第1駆動回路120aと、第2駆動回路120bと、選択制御部510と、圧電素子Pztに一対一に対応した選択部520と、を有する。
第1駆動回路120aは、詳細については後述するが、データdAをアナログに変換し、当該変換した信号を、信号群Oaを用い駆動能力を高めて(低インピーダンスに変換して)駆動信号COM−Aとして出力する。
同様に、第2駆動回路120bは、データdBをアナログに変換し、当該変換した信号を、信号群Obを用い駆動能力を高めて(低インピーダンスに変換し)駆動信号COM−Bとして出力する。
なお、駆動信号COM−AおよびCOM−Bについては、それぞれ後述するように台形波形である。
選択制御部510は、選択部520の各々における選択をそれぞれ制御する。詳細には、選択制御部510は、制御部110からクロック信号に同期して供給される印刷データを、ヘッドユニット3のノズル(圧電素子Pzt)の数個分、一旦蓄積するとともに、各選択部520に対し、印刷データにしたがって駆動信号COM−A、COM−Bの選択を、タイミング信号で規定される印刷周期の開始タイミングで指示する。
各選択部520は、選択制御部510による指示にしたがって、駆動信号COM−A、COM−Bのいずれかを選択し(または、いずれも選択せずに)、電圧Voutの駆動信号として、対応する圧電素子Pztの一端に印加する。
一方、ヘッドユニット3におけるアクチュエーター基板40は、図4で説明したように、ノズルN毎に圧電素子Pztが1個ずつ設けられる。圧電素子Pztの各々における他端は共通接続されて、当該他端にはオフセット電圧生成回路130による電圧VBSが印加される。
なお、ヘッドユニット3は、アクチュエーター基板40に、回路基板50が接続されるとともに、当該回路基板50に、第1駆動回路120a、第2駆動回路120b、選択制御部510、および複数の選択部520を構成する素子が、それぞれ実装される。
本実施形態において、1つのドットについては、1つのノズルNからインクを最多で2回吐出させることで、大ドット、中ドット、小ドットおよび非記録の4階調を表現させる。この4階調を表現するために、本実施形態では、2種類の駆動信号COM−A、COM−Bを用意するとともに、各々の1周期にそれぞれ前半パターンと後半パターンとを持たせている。そして、1周期のうち、前半・後半において駆動信号COM−A、COM−Bを、表現すべき階調に応じた選択して(または選択しないで)、圧電素子Pztに供給する構成となっている。
そこで先に、駆動信号COM−A、COM−Bについて説明し、この後、駆動信号COM−A、COM−Bを選択するための選択制御部510および選択部520の詳細な構成について説明する。
図6は、駆動信号COM−A、COM−Bの波形等を示す図である。
図に示されるように、駆動信号COM−Aは、印刷周期Taのうち、制御信号LATが出力されて(立ち上がって)から制御信号CHが出力されるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、印刷周期Taのうち、制御信号CHが出力されてから次の制御信号LATが出力されるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを繰り返す波形となっている。
本実施形態において台形波形Adp1、Adp2とは、互いにほぼ同一の波形であり、仮にそれぞれが圧電素子Pztの一端である駆動電極76に供給されたとしたならば、当該圧電素子Pztに対応するノズルNから所定量、具体的には中程度の量のインクをそれぞれ吐出させる波形である。
駆動信号COM−Bは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを繰り返す波形となっている。本実施形態において台形波形Bdp1、Bdp2とは、互いに異なる波形である。このうち、台形波形Bdp1は、ノズルN付近のインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波形である。このため、仮に台形波形Bdp1が圧電素子Pztの一端に供給されたとしても、当該圧電素子Pztに対応するノズルNからインク滴が吐出されない。また、台形波形Bdp2は、台形波形Adp1(Adp2)とは異なる波形となっている。仮に台形波形Bdp2が圧電素子Pztの一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子Pztに対応するノズルNから上記所定量よりも少ない量のインクを吐出させる波形である。
なお、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、およびBdp2における各開始タイミングでの電圧と、各終了タイミングでの電圧とは、いずれも電圧Vcenで共通である。すなわち、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、およびBdp2の各々は、それぞれ電圧Vcenで開始し、電圧Vcenで終了する波形となっている。
また、台形波形の駆動信号COM−AおよびCOM−Bの各々では、電圧が一定となる期間がそれぞれに複数存在する。
駆動信号COM−Aには、一定となる電圧が上記Vcenを含めて3値ある。この3値を高位順に、Vmax、Vcen、Vminと表記している。なお、電圧Vmaxおよび電圧Vminは、いずれも台形波形Adp1およびAdp2の各々において存在する。
駆動信号COM−Bには、一定となる電圧が上記Vcenを含めて4値ある。この4値を高位順に、V1、Vcen、V2、V3と表記している。なお、電圧V1および電圧V3は、いずれも台形波形Bdp2において存在し、電圧V2は、台形波形Bdp1、Bdp2の双方に存在する。
なお、制御部110はデータdAを出力し、第1駆動回路120aは当該データdAをアナログに変換し、当該変換した信号を低インピーダンスに変換して駆動信号COM−Aとして出力する。同様に、制御部110はデータdBを出力し、第2駆動回路120bは当該データdBをアナログに変換し、当該変換した信号を低インピーダンスに変換して駆動信号COM−Bとして出力する。
このため、制御110は、駆動信号COM−Aおよび駆動信号COM−Bの台形波形については、それぞれ制御部110によって規定されることになる。
制御部110は、駆動信号COM−Aの台形波形に応じて、次のような複数の信号を信号群Oaとして出力する。
すなわち、制御部110は、信号群Oaとして、信号O1a、ODa、O2a、およびOCaを出力し、このうち、信号O1aについては、駆動信号COM−Aが電圧Vmaxで一定となる期間P4においてHレベルとし、それ以外の期間においてLレベルとして出力し、信号ODaについては、駆動信号COM−Aが電圧Vcenで一定となる期間P3、P4、P5、およびP6においてHレベルとし、それ以外の期間においてLレベルとして出力し、信号O2aについては、駆動信号COM−Aが電圧Vminで一定となる期間P2においてHレベルとし、それ以外の期間においてLレベルとして出力する。なお、信号OCa、および期間P1からP6までの詳細については後述する。
制御部110は、駆動信号COM−Bの台形波形に応じて、次のような複数の信号を信号群Obとして出力する。
すなわち、制御部110は、信号群Obとして、信号O1b、ODb、O2b、O3ba、およびOCbを出力し、このうち、信号O1bについては、駆動信号COM−Bが電圧V1で一定となる期間においてHレベルとし、それ以外の期間においてLレベルとして出力し、信号ODbについては、駆動信号COM−Bが電圧Vcenで一定となる期間においてHレベルとし、それ以外の期間においてLレベルとして出力し、信号O2bについては、駆動信号COM−Bが電圧V2で一定となる期間においてHレベルとし、それ以外の期間においてLレベルとして出力し、信号O3bについては、駆動信号COM−Bが電圧V3で一定となる期間においてHレベルとし、それ以外の期間においてLレベルとして出力する。なお、信号ODbについては後述する。
図7は、図5における選択制御部510の構成を示す図である。
この図に示されるように、選択制御部510には、クロック信号Sck、印刷データSI、制御信号LATおよびCHが供給される。選択制御部510では、シフトレジスタ(S/R)512とラッチ回路514とデコーダー516との組が、圧電素子Pzt(ノズルN)のそれぞれに対応して設けられている。
印刷データSIは、印刷周期Taにわたって、着目しているヘッドユニット3において、すべてのノズルNによって形成すべきドットを規定するデータである。本実施形態では、非記録、小ドット、中ドットおよび大ドットの4階調を表現するために、ノズル1個分の印刷データは、上位ビット(MSB)および下位ビット(LSB)の2ビットで構成される。
印刷データSIは、クロック信号Sckに同期してノズルN(圧電素子Pzt)毎に、媒体Pの搬送に合わせて制御部110から供給される。当該印刷データSIを、ノズルNに対応して2ビット分、一旦保持するための構成がシフトレジスタ512である。
詳細には、m個の圧電素子Pzt(ノズル)の各々に対応した計m段のシフトレジスタ512が縦続接続されるとともに、図において左端に位置する1段のシフトレジスタ512に供給された印刷データSIが、クロック信号Sckにしたがって順次後段(下流側)に転送される構成となっている。
なお、図では、シフトレジスタ512を区別するために、印刷データSIが供給される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
ラッチ回路514は、シフトレジスタ512で保持された印刷データSIを制御信号LATの立ち上がりでラッチする。
デコーダー516は、ラッチ回路514によってラッチされた2ビットの印刷データSIをデコードして、制御信号LATと制御信号CHとで規定される期間T1、T2ごとに、選択信号Sa、Sbを出力して、選択部520での選択を規定する。
図8は、デコーダー516におけるデコード内容を示す図である。
この図において、ラッチされた2ビットの印刷データSIについては(MSB、LSB)と表記している。デコーダー516は、例えばラッチされた印刷データSIが(0、1)であれば、選択信号Sa、Sbの論理レベルを、期間T1ではそれぞれH、Lレベルで、期間T2ではそれぞれL、Hレベルで、出力するということを意味している。
なお、選択信号Sa、Sbの論理レベルについては、クロック信号Sck、印刷データSI、制御信号LATおよびCHの論理レベルよりも、レベルシフター(図示省略)によって、高振幅論理にレベルシフトされる。
図9は、図5における選択部520の構成を示す図である。
この図に示されるように、選択部520は、インバーター(NOT回路)522aおよび522bと、トランスファーゲート524aおよび524bとを有する。
デコーダー516からの選択信号Saは、トランスファーゲート524aにおいて丸印が付されていない正制御端に供給される一方で、インバーター522aによって論理反転されて、トランスファーゲート524aにおいて丸印が付された負制御端に供給される。同様に、選択信号Sbは、トランスファーゲート524bの正制御端に供給される一方で、インバーター522bによって論理反転されて、トランスファーゲート524bの負制御端に供給される。
トランスファーゲート524aの入力端には、駆動信号COM−Aが供給され、トランスファーゲート524bの入力端には、駆動信号COM−Bが供給される。トランスファーゲート524aおよび524bの出力端同士は、共通接続されるとともに、対応する圧電素子Pztの一端に接続される。
トランスファーゲート524aは、選択信号SaがHレベルであれば、入力端および出力端の間を導通(オン)させ、選択信号SaがLレベルであれば、入力端と出力端との間を非導通(オフ)させる。トランスファーゲート524bについても同様に選択信号Sbに応じて、入力端および出力端の間をオンオフさせる。
図6に示されるように、印刷データSIは、ノズル毎に、クロック信号Sckに同期して供給されて、ノズルに対応するシフトレジスタ512において順次転送される。そして、クロック信号Sckの供給が停止すると、シフトレジスタ512のそれぞれには、各ノズルに対応した印刷データSIが保持された状態になる。
ここで、制御信号LATが立ち上がると、ラッチ回路514のそれぞれは、シフトレジスタ512に保持された印刷データSIを一斉にラッチする。図6において、L1、L2、…、Lm内の数字は、1段、2段、…、m段のシフトレジスタ512に対応するラッチ回路514によってラッチされた印刷データSIを示している。
デコーダー516は、ラッチされた印刷データSIで規定されるドットのサイズに応じて、期間T1、T2のそれぞれにおいて、選択信号Sa、Saの論理レベルを図8に示されるような内容で出力する。
すなわち、第1に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(1、1)であって、大ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてもH、Lレベルとする。第2に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(0、1)であって、中ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第3に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(1、0)であって、小ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第4に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(0、0)であって、非記録を規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Hレベルとし、期間T2においてL、Lレベルとする。
図10は、印刷データSIに応じて選択されて、圧電素子Pztの一端に供給される駆動信号の電圧波形を示す図である。
印刷データSIが(1、1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオンし、トランスファーゲート524bがオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。選択信号Sa、Sbは期間T2においてもH、Lレベルとなるので、選択部520は、駆動信号COM−Aの台形波形Adp2を選択する。
このように期間T1において台形波形Adp1が選択され、期間T2において台形波形Adp2が選択されて、駆動信号として圧電素子Pztの一端に供給されると、当該圧電素子Pztに対応したノズルNから、中程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pにはそれぞれのインクが着弾し合体して、結果的に、印刷データSIで規定される通りの大ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(0、1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオンし、トランスファーゲート524bはオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてL、Hレベルとなるので、駆動信号COM−Bの台形波形Bdp2が選択される。
したがって、ノズルから、中程度および小程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pには、それぞれのインクが着弾して合体して、結果的に、印刷データSIで規定された通りの中ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(1、0)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてともにLレベルとなるので、トランスファーゲート524a、524bがオフする。このため、期間T1において台形波形Adp1、Bdp1のいずれも選択されない。トランスファーゲート524a、524bがともにオフする場合、当該トランスファーゲート524a、524bの出力端同士の接続点から圧電素子Pztの一端までの経路は、電気的にどの部分にも接続されないハイ・インピーダンス状態になる。ただし、圧電素子Pztの両端では、自己が有する容量性によって、トランスファーゲートがオフする直前の電圧(Vcen−VBS)が保持される。
次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてL、Hレベルとなるので、駆動信号COM−Bの台形波形Bdp2が選択される。このため、ノズルNから、期間T2においてのみ小程度の量のインクが吐出されるので、媒体Pには、印刷データSIで規定された通りの小ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(0、0)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてL、Hレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオフし、トランスファーゲート524bがオンする。このため、期間T1において駆動信号COM−Bの台形波形Bdp1が選択される。次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてともにLレベルとなるので、台形波形Adp2、Bdp2のいずれも選択されない。
このため、期間T1においてノズルN付近のインクが微振動するのみであり、インクは吐出されないので、結果的に、ドットが形成されない、すなわち、印刷データSIで規定された通りの非記録になる。
このように、選択部520は、選択制御部510による指示にしたがって駆動信号COM−A、COM−Bを選択し(または選択しないで)、圧電素子Pztの一端に印加する。このため、各圧電素子Pztは、印刷データSIで規定されるドットのサイズに応じて駆動されることになる。
なお、図6に示した駆動信号COM−A、COM−Bはあくまでも一例である。実際には、媒体Pの性質や搬送速度などに応じて、予め用意された様々な波形の組み合わせが用いられる。
また、ここでは、圧電素子Pztが、電圧の低下に伴って上方向に撓む例で説明したが、駆動電極72、76に印加する電圧を逆転させると、圧電素子Pztは、電圧の低下に伴って下向に撓むことになる。このため、圧電素子Pztが、電圧の低下に伴って下方向に撓む構成では、図に例示した駆動信号COM−A、COM−Bが、電圧Vcenを基準に反転した波形となる。
次に、回路基板50における第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bについて説明する。
図11は、第1駆動回路120aの構成を示す図である。この図に示されるように、第1駆動回路120aは、DAC122aと、電圧増幅器124aと、増幅回路200aと、電圧源E1a、EDa、およびE2aと、スイッチSw1a、SwDa、およびSw2aとを含む。
このうち、DAC122aは、デジタルのデータdAをアナログ信号に変換し、電圧増幅器124aは、当該アナログ信号の電圧を例えば10倍に増幅して信号Ainとして出力する。増幅回路200aは、入力端に入力された信号Ainを、少なくとも当該信号Ainの電圧変化期間において低インピーダンスに変換して、出力端から出力する。
なお、増幅回路200bの詳細については後述する。
電圧源E1aは電圧Vmaxを出力するものであり、正出力端がスイッチSw1aの一端に接続され、負出力端が電圧ゼロのグランドGndに接地されている。電圧源EDaは電圧Vcenを出力するものであり、正出力端がスイッチSwDaの一端と後述するスイッチSwDbの一端とにそれぞれ接続され、負出力端がグランドGndに接地されている。電圧源E2aは電圧Vminを出力するものであり、正出力端がスイッチSw3aの一端に接続され、負出力端がグランドGndに接地されている。
スイッチSw1aは、信号O1aがHレベルのときにオンし、Lレベルのときにオフする。同様に、スイッチSwDaは、信号ODaがHレベルのときにオンし、Lレベルのときにオフし、スイッチSw3aは、信号O2aがHレベルのときにオンし、Lレベルのときにオフする。
なお、電圧源E1a、EDa、およびE2aと、スイッチSw1a、SwDa、およびSw2aとが、定電圧出力回路(または第1定電圧出力回路)として機能する。
増幅回路200aの出力端、スイッチSw1aの他端、スイッチSwDaの他端、およびスイッチSw3aの他端は、共通接続されてノードN1となっている。
図12は、第2駆動回路120bの構成を示す図である。この図に示されるように、第2駆動回路120bは、DAC122bと、電圧増幅器124bと、増幅回路200bと、電圧源E1b、E2b、およびE3bと、スイッチSw1b、SwDb、Sw2b、およびSw3bとを含む。
このうち、DAC122bは、デジタルのデータdBをアナログ信号に変換し、電圧増幅器124bは、当該アナログ信号の電圧を例えば10倍に増幅して信号Binとして出力する。増幅回路200bは、入力端に入力された信号Binを、少なくとも当該信号Binの電圧変化期間において低インピーダンスに変換して、出力端から出力する。
なお、増幅回路200bの詳細については後述する。
電圧源E1bは電圧V1を出力するものであり、正出力端がスイッチSw1bの一端に接続され、負出力端がグランドGndに接地されている。電圧源E2bは電圧V2を出力するものであり、正出力端がスイッチSw2bの一端に接続され、負出力端がグランドGndに接地されている。電圧源E3bは電圧V3を出力するものであり、正出力端がスイッチSw3bの一端に接続され、負出力端がグランドGndに接地されている。
なお、第1駆動回路120aにおける電圧源E2aによる電圧Vcenが、スイッチSwDbの一端に印加される。
また、スイッチSw1bは、信号O1bがHレベルのときにオンし、Lレベルのときにオフする。同様に、スイッチSwDbは、信号ODbがHレベルのときにオンし、Lレベルのときにオフし、スイッチSw2bは、信号O2bがHレベルのときにオンし、Lレベルのときにオフし、スイッチSw3bは、信号O3bがHレベルのときにオンし、Lレベルのときにオフする。
なお、電圧源E1b、(EDa)、E2b、およびE3bと、スイッチSw1b、SwDb、Sw2b、およびSw3bとが、第2定電圧出力回路として機能する。
増幅回路200bの出力端、スイッチSw1bの他端、スイッチSwDbの他端、スイッチSw2bの他端、およびスイッチSw3bの他端は、共通接続されて第2駆動回路12bの出力端であるノードN2となっている。
次に、第1駆動回路120aに適用される増幅回路200aの一例について説明する。なお、増幅回路200aについては、いくつかの態様が存在するので、区別するために例えば、増幅回路(その1)、増幅回路(その2)というように符号の代わりに括弧書を付与して表記する場合がある。
図13は、第1駆動回路120aに適用可能な増幅回路(その1)の構成を示す図である。
この図に示されるように、増幅回路(その1)は、差動増幅器221と、セレクター223と、トランジスター対と、コンデンサーC0とを含む。
差動増幅器221にあっては、負入力端(−)に信号Ain(元駆動信号)が供給される一方、正入力端(+)には出力である駆動信号COM−Aが帰還されている。このため、差動増幅器221は、正入力端(+)の電圧から負入力端(−)の電圧を減算した差電圧、つまり、出力である駆動信号COM−Aの電圧から、入力である信号Ainの電圧を減算した差電圧を増幅して出力することになる。
なお、差動増幅器221は、特に図示しないが例えば電源の高位側を電圧V(=42V)とし、低位側をグランドGnd(=0V)としている。このため、差動増幅器221の出力電圧は、グランドGndから電圧Vまでの範囲となる。
ただし、差動増幅器221の出力信号は、本実施形態ではトランジスター対をスイッチングさせるために用いられるので、Hレベル(電圧V)およびLレベル(グランドGnd)の2値的な論理信号である。すなわち、差動増幅器221は、コンパレーターとして機能する。
また、駆動信号を降圧して帰還する一方、元駆動信号を電圧増幅して駆動信号として出力する場合もあるので、駆動信号に基づく信号が差動増幅器221に帰還される、と言っても良い。
セレクター223は、信号OEaがLレベルであって、かつ、信号OCaがLレベルであれば、信号Gt1として差動増幅器221の出力信号を選択して、トランジスター231のゲート端子に供給するとともに、信号Gt2としてLレベルを選択し、トランジスター232のゲート端子に供給する。
一方、セレクター223は、信号OEaがLレベルであって、かつ、信号OCaがHレベルであれば、信号Gt1としてHレベルを選択し、トランジスター231のゲート端子に供給するとともに、信号Gt2として差動増幅器221の出力信号を選択し、トランジスター232のゲート端子に供給する。
なお、セレクター223は、信号OEaがHレベルであれば、信号OCaの論理レベルとは無関係に、信号Gt1としてHレベルをトランジスター231のゲート端子に供給し、信号Gt2としてLレベルをトランジスター232のゲート端子に供給する。
ここで、信号OEaは、駆動信号COM−Aの電圧が変化する期間にわたってLレベルとなり、それ以外の駆動信号COM−Aの電圧が一定となる期間にわたってHレベルとなる。この信号OEaについては、制御部110から供給される構成としても良いし、上述した信号O1a、ODa、およびO2aの論理和信号を論理回路(図示省略)により求めて用いる構成としても良い。
また、信号OCaは、駆動信号COM−Aの電圧が上昇する期間にわたってLレベルとし、それ以外の期間にわたってHレベルとなる。この信号OEaが制御部110から供給される点については上述した通りである。
なお、図13では、増幅回路200aに信号OEaおよびOCaが供給される点が示されているが、図11では、便宜的にその点が省略されている。
セレクター223について 換言すると、駆動信号COM−A(信号Ain)の電圧上昇期間である第1の場合であれば、トランジスター231のゲート端子に差動増幅器221の出力信号を供給し、トランジスター232のゲート端子に当該トランジスター232がオフする信号を供給する。
一方、セレクター223は、駆動信号COM−Aの電圧下降期間である第2の場合であれば、トランジスター231のゲート端子に当該トランジスター231がオフする信号を供給し、トランジスター232のゲート端子に差動増幅器221の出力信号を供給する。
なお、セレクター223は、駆動信号COM−Aの電圧平坦期間であれば、トランジスター231のゲート端子に、当該トランジスター231がオフする信号を供給し、トランジスター232のゲート端子に、当該トランジスター232がオフする信号を供給する。
トランジスター対は、トランジスター231および232によって構成される。このうち、高位側のトランジスター231(ハイサイドトランジスター)は、例えばPチャネル型の電界効果トランジスターであり、ソース端子には電源の高位側電圧Vが印加されている。低位側のトランジスター232(ローサイドトランジスター)は、例えばNチャネル型の電界効果トランジスターであり、ソース端子が電源の低位側となるグランドGndに接地されている。
トランジスター231および232のドレイン端子同士は、互いに接続されて、第1駆動回路120aの出力端であるノードN1となっている。
コンデンサーC0は、異常発振の防止等のために設けられ、一端がノードN1に接続され、他端が一定電位の、例えばグランドGndに接地されている。
なお、第1駆動回路120aにおける増幅回路200aについて説明したが、第2駆動回路120bにおける増幅回路200bについては、増幅回路200aと同一であって、入出力信号だけが異なる。すなわち、増幅回路200bには、信号OEaの代わりに信号OEbが、信号OCaの代わりに信号OCbが、信号Ainの代わりに信号Binが、それぞれ入力される一方、ノードN2から駆動信号COM−Bが出力される構成となる。
ここで、信号OEbは、駆動信号COM−Bの電圧が変化する期間にわたってLレベルとなり、それ以外の駆動信号COM−Bの電圧が一定となる期間にわたってHレベルとなる。この信号OEaについては、制御部110から供給される構成としても良いし、上述した信号O1b、ODb、O2bおよびO3bの論理和を論理回路(図示省略)により求めて用いる構成としても良い。
また、信号OCbは、駆動信号COM−Bの電圧が上昇する期間にわたってLレベルとし、それ以外の期間にわたってHレベルとなる。この信号OCaが制御部110から供給される点については上述した通りである。
ここでは、増幅回路200bに信号OEbおよびOCbが供給されると説明したが、図12では、信号OEbおよびOCbの供給について便宜的に省略されている。
次に、第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bの動作について説明する。まず、第1駆動回路120aの動作について説明する。
図14は、第1駆動回路120aの動作を説明するための各部における電圧波形を示す図である。
この図において、信号Ainは、駆動信号COM−Aのインピーダンス変換前の信号であるので、当該駆動信号COM−Aとほぼ同波形である。また、上述したように、駆動信号COM−Aは、印刷周期Taにおいて2つの同じ台形波形Adp1、Adp2が繰り返された波形であるので、信号Ainも同様な繰り返し波形である。
図14は、このような繰り返し波形のうち、1つの台形波形を示している。また、この図において、期間P1は、信号Ainが電圧Vcenから電圧Vminまで低下する期間であり、当該期間P1に続く期間P2は、信号Ainが電圧Vminで一定となる期間であり、当該期間P2に続く期間P3は、信号Ainが電圧Vminから電圧Vmaxまで上昇する期間であり、当該期間P3に続く期間P4は、信号Ainが電圧Vmaxで一定となる期間であり、当該期間P4に続く期間P5は、信号Ainが最高値maxから電圧Vcenまで低下する期間である。
なお、図14における複数の電圧波形の各々については、説明の便宜上、縦スケールは必ずしも揃っていない。
まず、期間P1は、駆動信号COM−A(Ain)の電圧低下期間である。このため、信号O1a、ODa、およびO2aがいずれもLレベルとなるので、スイッチSw1a、SwDa、およびSw2aがそれぞれオフする。
また、期間P1では、信号OEaがLレベルになり、信号OCaがHレベルであるので、図13において、セレクター223は、信号Gt1としてHレベルを選択し、信号Gt2として差動増幅器221の出力信号を選択する。
期間P1では、信号Gt1がHレベルであるので、Pチャネル型のトランジスター231はオフする。
一方、当該期間P1では、まず信号Ainの電圧がノードN1の電圧よりも先んじて低下する。逆にいえば、ノードN1の電圧は、信号Ainの電圧以上となる。このため、信号Gt2として選択される差動増幅器221の出力信号の電圧は、両者の差電圧に応じて高くなり、ほぼHレベルに振れる。信号Gt2がHレベルになると、トランジスター232がオンするので、ノードN1の電圧が低下する。なお、ノードN1の電圧は、コンデンサーC0、および、負荷である圧電素子Pztの容量性によって、実際には、一気にグランドGndに低下することはなく、緩慢に低下する。
ノードN1の電圧が信号Ainの電圧よりも低くなると、信号Gt2がLレベルになり、トランジスター232がオフする。なお、トランジスター232がオフしても、ノードN1の電圧は、コンデンサーC0および圧電素子Pztの容量性により保持されるので、不定にはならない。
トランジスター232がオフすると、ノードN1の電圧の低下が中断するが、信号Ainの電圧低下が継続しているので、再びノードN1の電圧が信号Ainの電圧以上となる。このため、信号Gt2がHレベルとなって、トランジスター232が再びオンすることになる。
期間P1では、信号Gt2がHおよびLレベルで交互に切り替えられ、これにより、トランジスター232は、オンオフを繰り返す動作、すなわちスイッチング動作をすることになる。このスイッチング動作により、ノードN1の電圧が信号Ainの電圧低下に追従するように制御されることになる。
次に、期間P2は、駆動信号COM−A(Ain)が電圧Vminで一定となる期間である。このため、期間P2では、信号OEaがHレベルとなるので、セレクター223が、信号Gt1としてHレベルを選択し、信号Gt2としてLレベルを選択する結果、トランジスター231および232がともにオフとなる。
一方、期間P2では、信号O2aがHレベルとなるので(図5参照)、スイッチSw2aがオンする。このため、ノードN1は電圧Vminとなる。
期間P3は、駆動信号COM−A(Ain)の電圧上昇期間である。このため、信号O1a、ODa、およびO2aがいずれもLレベルとなるので、スイッチSw1a、SwDa、およびSw2aがそれぞれオフする。
また、期間P3では、信号OEaがLレベルになり、信号OCaがLレベルになるので、セレクター223は、信号Gt1として差動増幅器221の出力信号を選択し、信号Gt2としてLレベルを選択する。
期間P3では、信号Gt2がLレベルであるので、Nチャネル型のトランジスター232はオフする。
一方、当該期間P3では、まず信号Ainの電圧がノードN1の電圧よりも先んじて上昇する。逆にいえば、ノードN1の電圧は、信号Ainの電圧よりも低くなる。このため、信号Gt1として選択される差動増幅器221の出力信号の電圧は、両者の差電圧に応じて低くなり、ほぼLレベルに振れる。信号Gt1がLレベルになると、トランジスター231がオンするので、ノードN1の電圧が上昇する。なお、ノードN1の電圧は、コンデンサーC0および圧電素子Pztにより、実際には、一気に電圧Vに上昇することはなく、緩慢に上昇する。
ノードN1の電圧が信号Ainの電圧以上になると、信号Gt2がHレベルになり、トランジスター231がオフする。なお、トランジスター231がオフしても、ノードN1の電圧は、コンデンサーC0および圧電素子Pztの容量性により保持されるので、不定にはならない。
トランジスター231がオフすると、ノードN1の電圧の上昇は停止するが、信号Ainの電圧上昇が継続しているので、再びノードN1の電圧が信号Ainの電圧よりも低くなる。このため、信号Gt1がLレベルとなって、トランジスター231が再びオンすることになる。
期間P3では、信号Gt1がHおよびLレベルで交互に切り替えられ、これにより、トランジスター231は、スイッチング動作をすることになる。このスイッチング動作により、ノードN1の電圧が信号Ainの電圧の上昇に追従するように制御されることになる。
期間P4は、駆動信号COM−A(Ain)が電圧Vmaxで一定となる期間である。このため、期間P4では、信号OEaがHレベルになるので、セレクター223が、信号Gt1としてHレベルを選択し、信号Gt2としてLレベルを選択する結果、トランジスター231および232がともにオフとなる。
一方、期間P4では、信号O1aがHレベルとなるので(図5参照)、スイッチSw1aがオンする。このため、ノードN1は電圧Vmaxとなる。
期間P5は、駆動信号COM−A(Ain)の電圧低下期間である。このため、期間P5は、期間P1と同様な動作となる。すなわち、スイッチSw1a、SwDa、およびSw2aがそれぞれオフする一方、信号Gt2がH、Lレベルで交互に切り替えられ、これによりトランジスター232がスイッチング動作となり、ノードN1の電圧が信号Ainの電圧の低下に追従するように制御されることになる。
期間P5の後の期間P6は、駆動信号COM−A(Ain)が電圧Vcenで一定となる期間である。このため、期間P6では、信号OEaがHレベルになるので、セレクター223が、信号Gt1としてHレベルを選択し、信号Gt2としてLレベルを選択する結果、トランジスター231、232がともにオフとなる。
一方、期間P6では、信号ODaがHレベルとなるので(図5参照)、スイッチSwDaがオンする。このため、ノードN1は電圧Vcenとなる。
図11に示した第1駆動回路120aによれば、期間P1〜P6毎に、次のような動作となる。
すなわち、信号Ainの電圧が低下する期間P1およびP5では、増幅回路200aにおけるトランジスター232のスイッチング動作により、それぞれノードN1の電圧が信号Ainの電圧低下に追従するように制御される。
期間P3ではトランジスター231のスイッチング動作により、ノードN1の電圧が信号Ainの電圧上昇に追従するように制御される。
また、信号Ainの電圧が一定となる期間P2、P4、またはP6においては、トランジスター231、232ではなく、電圧源E1a、EDa、またはE2aのいずれかの印加によりノードN1の電圧が決定される。
詳細には、ノードN1は、期間P2においては、スイッチSw2aのオンによって電圧源E2aの電圧Vminとなり、期間P4においては、スイッチSw1aのオンによって電圧源E1aの電圧Vmaxとなり、期間P6においては、スイッチSwDaのオンによって電圧源EDaの電圧Vcenとなる。
ここでは、第1駆動回路120aの動作について説明したが、第2駆動回路120bの動作についても同様となる。詳細には、第2駆動回路120bでは、ノードN2の電圧が、信号Binの電圧変化期間では、増幅回路200aによって当該信号Binの電圧変化に追従するように制御される一方、電圧一定期間のうち、信号ODbがHレベルとなる期間ではスイッチSwDbのオンによって電圧源EDaの電圧Vcenとさせ、信号O3bがHレベルとなる期間ではスイッチSw3bのオンによって電圧源E3bの電圧V3とさせ、信号O2bがHレベルとなる期間ではスイッチSw2bのオンによって電圧源E2bの電圧V2とさせ、信号O1bがHレベルとなる期間ではスイッチSw1bのオンによって電圧源E1bの電圧V1とさせる。
第1駆動回路120aによれば、ハイサイドのトランジスターとローサイドのトランジスターとが常時スイッチングするD級増幅と比較して、信号Ainの電圧が一定となる期間P2、P4、P6では、トランジスター231および232がスイッチング動作をしない。第2駆動回路120bについても同様であり、信号Binの電圧が一定となる期間では、トランジスター231および232がスイッチング動作をしない。
また、D級増幅では、スイッチング信号を復調するLPF(Low Pass Filter)、特にコイルのようなインダクターが必要となるが、第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bの各々では、そのようなLPFが不要である。
このため、第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bの各々によれば、それぞれD級増幅と比較して、スイッチング動作やLPFで消費される電力を抑えることができるほか、回路の簡略化、小型化を図ることができる。
また、第1駆動回路120aにおいて、信号Ainの電圧変化期間では、トランジスター231または232のスイッチング動作によって、ノードN1の電圧が信号Ainの電圧変化に追従するように制御される。
一方、第1駆動回路120aにおいて、信号Ainの電圧一定期間では、トランジスター231および232がともにオフするが、スイッチSw1a、SwDa、またはSw2aのいずれかのオンにより、当該オンしたスイッチに対応する電圧源の電圧がノードN1に印加される。このため、トランジスター231および232がオフしても、ノードN1は、いずれかの電圧源の電圧にて安定する。
特に、駆動信号COM−Aの電圧が変化期間から一定期間に転じるとき、トランジスター231および232によるスイッチング動作が停止して、いずれのトランジスターもオフする。上記スイッチング動作の停止は、ノードN1の電圧を信号Ainの電圧に追従させる制御の停止を意味するので、スイッチング動作の停止直後では、ノードN1の電圧が信号Ainの電圧から乖離してしまう状況が発生し、波形再現性を損なう原因となり得る。
これに対して、本実施形態では、トランジスター231または232のスイッチング動作が停止した直後において、当該スイッチSw1a、SwDa、またはSw2aのいずれかがオンして、当該オンしたスイッチに対応する電圧源の電圧がノードN1に印加されるので、上述したような乖離を防止して、波形再現性を向上させることできる。
第2駆動回路120bにおいても同様に、 波形再現性を向上させることできる。
ところで、駆動信号COM−AおよびCOM−Bにおける各台形波形は、それぞれ電圧Vcenで開始し、電圧Vcenで終了する波形となっている。その理由は、例えば印刷周期Taにおいて時間的に前寄りの期間T1から後寄りの期間T2にかけて、駆動信号COM−AおよびCOM−Bの一方から他方に切り替える際に、圧電素子Pztの一端に印加される電圧が変化しないようにするためである。
ここで、信号Ainを増幅回路200aだけで増幅し、信号Binを増幅回路200bだけで増幅する構成において、増幅回路200aおよび200bの特性に差が生じていると、例えば期間T1から期間T2にかけて、駆動信号COM−AおよびCOM−Bの一方から他方に切り替えたときに、圧電素子Pztの一端に印加される電圧が変化することになるので、インクの誤吐出などの印刷品位の低下を招くことになる。
これに対して、本実施形態における第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bが出力する電圧Vcenは、共用されている電圧源EDaの出力電圧であるから、駆動信号COM−AおよびCOM−Bの一方から他方に切り替えたときに差が生じることはない。
このため、第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bによれば、電圧源EDaの共用による構成の簡素化とともに、インクの誤吐出などの印刷品位の低下を抑えることができる。
図15は、印刷装置1に適用可能の第1駆動回路120aの別構成を示す図である。
この図に示される第1駆動回路が図11と相違する点は、電圧源E1aの出力である電圧Vmax、電圧源EDaの出力である電圧Vcen、および電圧源E2aの出力である電圧Vminをそれぞれ可変となっている点にある。第1駆動回路120aについて、各電圧源の出力電圧を可変とする理由は、次の通りである。
すなわち、経年劣化や周辺環境などに起因して電圧源の出力電圧が変動するのを補償するため、および、圧電素子Pztの特性に合わせて駆動信号COM−Aの電圧振幅を設定可能とするためである。
圧電素子Pztの特性に合わせて駆動信号COM−Aの電圧振幅を設定する理由について以下に説明する。
まず、圧電素子Pztの特性、詳細には圧電素子Pztの電圧変化に対する撓みの特性は、同じ1個のアクチュエーター基板40における複数個の圧電素子Pzt同士では比較的揃うが、異なるアクチュエーター基板40の圧電素子Pzt同士では、製造バラツキなどにより揃わないことがある。このため、例えばあるアクチュエーター基板40における圧電素子Pztは、他のアクチュエーター基板40における圧電素子Pztと比較して、より小さい電圧振幅で同じ量だけ撓む、換言すれば、同じ量の液体を吐出するのに、効率が高い結果、より小さい電圧振幅で済む、ということが起こり得る。
逆に、あるアクチュエーター基板40における圧電素子Pztは、他のアクチュエーター基板40における圧電素子Pztと比較して、効率が悪い結果、同じ量の液体を吐出するのに、より大きな電圧振幅が必要となる、ということが起こり得る。
なお、ここでいう電圧振幅とは、駆動信号の電圧最高値から電圧最低値までの電圧範囲をいい、駆動信号COM−Aでいえば最高の電圧Vmaxから最低の電圧Vminまでの範囲をいう。
そこで、圧電素子Pztの特性がアクチュエーター基板40(ヘッドユニット3)毎に異なる場合に対処するために、圧電素子Pztの特性を事前に測定し、測定した特性に合わせて駆動信号の電圧振幅を設定する、という方策が採られる。具体的には、効率の高い圧電素子Pztで構成されるアクチュエーター基板40に対しては、駆動信号COM−Aの電圧振幅を小さくし、効率の低い圧電素子Pztで構成されるアクチュエーター基板40に対しては、駆動信号COM−Aの電圧振幅をそれぞれ大きくする、という方策が採られる。
圧電素子Pztの特性に合わせて駆動信号COM−Aの電圧振幅を設定するために、制御部110は、例えばオリジナルのデータdA(の各離散値)に所定係数を乗じて出力する。一方、駆動信号COM−Aの電圧振幅を設定するために、第1駆動回路120aでは、
設定される電圧振幅において、一定値となる3電圧に合致するように、電圧源E1aの出力である電圧Vmax、電圧源EDaの出力である電圧Vcen、および電圧源E2aの出力である電圧Vminを、それぞれ変更する必要があるためである。
なお、ここでは、第1駆動回路120aの別構成について説明したが、第2駆動回路120の別構成についても、特に図示しないが、電圧源E1bの出力である電圧V1、電圧源E2bの出力である電圧V2、および電圧源E3bの出力である電圧V3をそれぞれ可変としても良い。
また、増幅回路200a(200b)については、信号Ain(Bin)または駆動信号COM−A(COM−B)の電圧が一定となる電圧数に応じて電圧源およびスイッチの組を設けたが、電圧源およびスイッチを1組だけ設けて、例えば、増幅回路200aでいえば、期間P2において、当該電圧源が電圧Vminを出力し、当該スイッチがオンし、期間P4において、当該電圧源が電圧Vmaxを出力し、当該スイッチがオンし、期間P6において、当該電圧源が電圧Vcenを出力し、当該スイッチがオンする、という構成としても良い。
増幅回路200a(200b)は、信号Ain(Bin)をインピーダンス変換して駆動信号COM−A(COM−B)として出力する構成としたが、信号Ain(Bin)を電圧増幅およびインピーダンス変換する構成としても良い。
具体的には、第1駆動回路120aでいえば、電圧増幅器124aを無くして、DAC122aの出力信号を直接、増幅回路200aに供給するとともに、増幅回路200aでは、ノードN1の電圧を例えば1/10に降圧して、差動増幅器221が、当該降圧電圧と、DAC122の出力信号との差電圧を出力する構成とすれば良い。
増幅回路200a(200b)は、図13に示した構成に限られず、信号Ain(Bin)を当該信号Ain(Bin)電圧変化期間において低インピーダンスに変換して出力する構成であれば良い。
そこで次に、第1駆動回路120a(第2駆動回路120b)に適用可能な増幅回路200a(200b)の他の例について説明する。
図16は、第1駆動回路120aに適用可能な増幅回路(その2)の構成を示す図である。
この図に示されるように、増幅回路(その2)は、図13に示した増幅回路(その1)における電圧増幅器221およびセレクター223の代わりに、比較器241および242を有する構成となっている。
増幅回路(その2)において、信号Ainは、比較器241の負入力端(−)および比較器242の負入力端(−)の各々に供給される。また、ノードN1は、トランジスター231のドレイン端子、トランジスター232のドレイン端子とともに、比較器241の正入力端(+)および比較器242の正入力端(+)に接続される。
なお、コンデンサーC0の一端がノードN1に接続され、コンデンサーC0の他端がグランドGndnに接地されているのは、増幅回路(その1)と同様である。
比較器241および242は、正入力端(+)および負入力端(−)の一方または双方の電圧をオフセットした上で、電圧同士を比較するものである。
詳細には、信号Ainの電圧をVinと表記し、ノードN1の電圧をOutと表記した場合、比較器241は、電圧Outが電圧(Vin−V)以上であれば信号Gt1をHレベルで出力し、電圧Outが電圧(Vin−V)よりも低ければ信号Gt1をLレベルで出力する。なお、電圧Vは、比較器241に設定されるオフセット量である。
比較器242は、電圧Outが電圧(Vin+V)以上であれば信号Gt2をHレベルで出力し、電圧Outが電圧(Vin+V)よりも低ければ信号Gt2をLレベルで出力する。なお、電圧Vは、比較器242に設定されるオフセット量である。
このような構成の増幅回路(その2)では、ノードN1の電圧Outが電圧(Vin−V)よりも低ければ、信号Gt1がLレベルになってトランジスター231がオンするので、当該電圧Outを高くする方向の制御がなされる一方、電圧Outが電圧(Vin+V)以上であれば、信号Gt2がHレベルになってトランジスター232がオンするので、当該電圧Outを低くする方向の制御がなされる。
また、ノードN1の電圧Outが電圧(Vin−V)以上であって、かつ、電圧(Vin+V)よりも低ければ、すなわち、電圧Outが信号Ainの電圧Vinに対して下方向にVだけシフトした電圧から、上方向にVだけシフトした電圧までの範囲に収まっていれば、トランジスター231および232がともにオフする。
すなわち、増幅回路(その2)では、電圧Outが電圧Vinに対して、
Vin−V≦Out<Vin+V
となるように制御される。
増幅回路(その2)において、信号Ainの電圧が一定となる期間では、電圧Outが電圧Vinに対して上記範囲に収まった上で、トランジスター231および232がオフするが、電圧源E1aの出力である電圧Vmax、電圧源EDaの出力である電圧Vcen、または電圧源E2aの出力である電圧VminのいずれかがノードN1に印加されることになる。
増幅回路(その2)では、信号Ainをインピーダンス変換して駆動信号COM−Aとして出力する増幅回路200aを例にとって説明したが、信号Binをインピーダンス変換して駆動信号COM−Bとして出力する増幅回路200bについても同様な構成となる。
なお、増幅回路(その2)をそれぞれ適用した第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bにおいても電圧Vcenを出力する電圧源EDaが共用される。また、増幅回路(その2)をそれぞれ適用した第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bにおいて、同様に、各電圧源の出力電圧を可変としても良い。
図17は、第1駆動回路120aに適用可能な増幅回路(その3)の構成を示す図である。
この図に示されるように、増幅回路(その3)は、図13に示した増幅回路(その1)における電圧増幅器221、セレクター223、およびコンデンサーC0の代わりに、変調回路251、ゲートドライバー252、インダクターL1、およびコンデンサーC1を有する構成となっている。
変調回路251は、信号Ainを、当該信号Ainの電圧に応じたパルス幅を有する変調信号(パルス幅変調信号)に変換する。例えば、変調回路251は、信号Ainの電圧と三角波信号の電圧とを比較することにより、上記変調信号を出力する。
なお、変調回路251は、パルス幅変調信号ではなくパルス密度変調信号を、すなわち信号Ainの電圧に応じた密度の変調信号を出力しても良い。また、変調回路251は、ノードN1の電圧を帰還して、パルス幅またはパルス密度を補正しても良い。
ゲートドライバー252は、変調回路251から出力される変調信号に基づき、トランジスター231のゲート端子に信号Gt1を出力する一方、トランジスター232のゲート端子に、信号Gt1の論理レベルを反転した信号Gt2を出力する。これにより、変調信号にしたがってトランジスター231および232が排他的にオンオフして、トランジスター231および232のドレイン端子の接続点には、変調信号を増幅した増幅変調信号が現れる。
インダクターL1の一端は、トランジスター231および232のドレイン端子に接続され、インダクターL1の他端は、コンデンサーC1の一端およびノードN1に接続されている。コンデンサーC1の他端はグランドGndに接地されている。これにより、インダクターL1およびコンデンサーC1は、増幅変調信号を平滑化(復調)し、駆動信号COM−Aとして出力するローパスフィルターとして機能する。
増幅回路(その3)において、信号Ainの電圧が一定となる期間では、ローパスフィルターの出力点A13(インダクターL1の他端とコンデンサーC1の一端との接続点)には、信号Ainとほぼ同じ電圧が現れるが、ローパスフィルターでは、リップル成分を完全に除去することができず残存する場合がある。ただし、増幅回路(その3)を適用した第1駆動回路120aによれば、ノードN1には、電圧源E1aの出力である電圧Vmax、電圧源EDaの出力である電圧Vcen、または電圧源E2aの出力である電圧Vminのいずれかが印加されるので、一定とすべき期間でのリップルを抑えることができる。
なお、信号Ainの電圧が一定となる期間において、ローパスフィルターの出力点A13に現れるリップルが大きいと、当該出力点A13から電圧源に(または逆方向に)向かって流れる電流が無視できない場合がある。この場合、出力点A13とノードN1との間に、信号OEaがHレベルであればオフし、Lレベルであればオンするスイッチを設けても良い。
増幅回路(その3)では、信号Ainをインピーダンス変換して駆動信号COM−Aとして出力する増幅回路200aを例にとって説明したが、信号Binをインピーダンス変換して駆動信号COM−Bとして出力する増幅回路200bについても同様な構成となる。
なお、増幅回路(その3)をそれぞれ適用した第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bにおいても電圧Vcenを出力する電圧源EDaが共用される。また、増幅回路(その2)をそれぞれ適用した第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bにおいて、同様に、各電圧源の出力電圧を可変としても良い。
第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bが駆動する対象は、圧電素子Pztのような容量であるので、電圧Outが一定になった後において、トランジスター231および232がともにオフしても、当該電圧Outは一定に保持される。このため、信号Ain(Bin)の電圧が一定となる期間の全域にわたって、スイッチSw1a、SwDa、またはSw2a(Sw1b、SwDb、Sw2b、またはSw3b)のいずれかをオンさせる必要はなく、当該期間の一部であっても良い。
上記説明では、液体吐出装置を印刷装置1として説明したが、液体を吐出して立体を造形する立体造形装置や、液体を吐出して布地を染める捺染装置などであっても良い。
また、第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bの各々については、それぞれヘッドユニット3に搭載する構成としたが、それぞれメイン基板100に実装された構成として良い。
ただし、第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bがメイン基板100に実装された構成では、大振幅の信号が長尺のフレキシブルフラットケーブル190を介してヘッドユニット3に供給する必要があるので、消費電力および耐ノイズ性で不利である。逆に言えば、第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bがヘッドユニット3に搭載された構成では、大振幅の信号をフレキシブルフラットケーブル190に供給する必要がないので、消費電力および耐ノイズ性で有利である。
さらに、上記説明では、第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bの駆動対象としてインクを吐出するための圧電素子Pztを例にとって説明したが、第1駆動回路120aおよび第2駆動回路120bを印刷装置から切り離して考えてみたときに、駆動対象としては、圧電素子Pztに限られず、例えば超音波モーターや、タッチパネル、静電スピーカー、液晶パネルなどの容量性成分を有する負荷のすべてに適用可能である。
1…印刷装置(液体吐出装置)、3…ヘッドユニット、100…メイン基板、120a第1駆動回路、120b…第2駆動回路、200a、200b…単位回路、221…差動増幅器、223…セレクター、231、231…トランジスター、241、242…比較器、251…変調回路、252…ゲートドライバー、442…キャビティ、Pzt…圧電素子、N…ノズル、C0、C1…コンデンサー。

Claims (8)

  1. 所定の出力端から出力されるとともに、第1期間にわたって第1電圧で一定となる駆動信号によって駆動される圧電素子を含み、当該圧電素子の駆動によって液体を吐出する吐出部と、
    前記駆動信号の元となる元駆動信号を、当該元駆動信号の電圧が変化する期間に増幅して、前記出力端に供給する増幅回路と、
    前記第1期間の一部または全部にわたって前記第1電圧を前記出力端に印加する定電圧出力回路と、
    を具備することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記駆動信号は、前記第1期間とは異なる第2期間にわたって前記第1電圧とは異なる第2電圧で一定となり、
    前記定電圧出力回路は、
    前記第2期間の一部または全部にわたって前記第2電圧を前記出力端に印加する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記定電圧出力回路は、前記第1電圧および前記第2電圧のうち、少なくとも一方を可変で出力する
    ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記増幅回路は、
    前記出力端と電源高位側電圧の給電点との間に接続されたハイサイドトランジスターと、
    前記出力端と電源低位側電圧の給電点との間に接続されたローサイドトランジスターと、
    前記元駆動信号の電圧と前記駆動信号に応じた電圧との差電圧を増幅した制御信号を出力する差動増幅器と、
    前記元駆動信号の電圧変化が上昇方向である第1の場合、前記制御信号を選択して、前記ハイサイドトランジスターのゲート端子に供給し、
    前記元駆動信号の電圧変化が低下方向である第2の場合、前記制御信号を選択して、前記ローサイドトランジスターのゲート端子に供給するセレクターと、
    を含む
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体吐出装置。
  5. 前記セレクターは、
    前記第1の場合、前記ローサイドトランジスターをオフさせる信号を選択して、当該ローサイドトランジスターのゲート端子に供給し、
    前記第2の場合、前記ハイサイドトランジスターをオフさせる信号を選択して、当該ハイサイドトランジスターのゲート端子に供給する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
  6. 前記セレクターは、
    少なくとも前記第1期間にわたって、
    前記ハイサイドトランジスターをオフさせる信号を選択して、当該ハイサイドトランジスターのゲート端子に供給するとともに、
    前記ローサイドトランジスターをオフさせる信号を選択して、当該ローサイドトランジスターのゲート端子に供給する、
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の液体吐出装置。
  7. 第1出力端から出力されるととともに、第1期間にわたって第1電圧で一定となり、第2期間にわたって第2電圧で一定となる第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、
    第2出力端から出力されるととともに、前記第1期間の一部と重なる第3期間にわたって前記第1電圧で一定となる第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、
    前記第1駆動信号または前記第2駆動信号により液滴を吐出する吐出部と、
    を有し、
    前記第1駆動回路は、
    前記第1駆動信号の元となる第1元駆動信号を、当該第1元駆動信号の電圧が変化する期間に増幅して、前記第1出力端に供給する第1増幅回路と、
    前記第1期間の一部または全部にわたって前記第1電圧を前記出力端に印加し、前記第2期間の一部または全部にわたって前記第2電圧を前記第1出力端に印加する第1定電圧出力回路と、
    を含み、
    前記第2駆動回路は、
    前記第2駆動信号の元となる第2元駆動信号を、当該第2元駆動信号の電圧が変化する期間に増幅して、前記第2出力端に供給する第2増幅回路と、
    前記第3期間の一部または全部にわたって前記第1電圧を前記第2出力端に印加する第2定電圧出力回路と、
    を含む、
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  8. 所定の出力端から出力されるとともに、第1期間にわたって第1電圧で一定となる駆動信号によって容量性負荷を駆動する駆動回路であって、
    前記駆動信号の元となる元駆動信号を、当該元駆動信号の電圧が変化する期間に増幅して、前記出力端から出力する増幅回路と、
    前記第1期間の一部または全部にわたって前記第1電圧を前記出力端に印加する定電圧出力回路と、
    を具備することを特徴とする駆動回路。
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