JP2018099863A - 液体吐出装置および駆動回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】元駆動信号の波形に対する駆動信号の波形の再現性を改善する。
【解決手段】ノードN2からの駆動信号COM−Aによって容量性負荷を駆動する駆動回路120aは、信号Ainを増幅して、ノードN2に向けて供給する増幅回路200aと、信号Ainの電圧変化の大きさが閾値以下であるか否かを判別する制御信号出力回路140と、電圧変化の大きさが閾値以下であると判定された場合にオンするスイッチ343と、信号Ainに応じた電圧をノードN2に向けて出力するリニア増幅器341と、を具備する。
【選択図】図11

Description

本発明は、液体吐出装置および駆動回路に関する。
インクを吐出して画像や文書を印刷するインクジェットプリンターには、圧電素子(例えばピエゾ素子)を用いたものが知られている。圧電素子は、ヘッドユニットにおいて複数のノズルのそれぞれに対応して設けられ、それぞれが駆動信号にしたがって駆動される。この駆動により、ノズルから所定のタイミングで所定量のインク(液体)が吐出されて、ドットが形成される。圧電素子は、電気的にみればコンデンサーのような容量性負荷であるので、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。
そこで、インクジェットプリンターでは、駆動信号の元となる元駆動信号を増幅回路で増幅し、駆動信号としてヘッドユニットに供給して、圧電素子を駆動する構成となっている。増幅回路としては、例えばD級増幅が提案されている(特許文献1参照)。D級増幅は、端的にいえば、元駆動信号をパルス変調するとともに、当該変調信号にしたがって電源電圧間において直列に挿入されたハイサイドトランジスターおよびローサイドトランジスターをスイッチングし、このスイッチングによる出力信号をローパスフィルターで平滑化することで、元駆動信号を増幅する、というものである。
特開2010−114711号公報
ところで、液体吐出装置では、駆動信号の波形が元駆動信号の波形に対して忠実に再現されないと、液体の吐出精度に悪影響を与えてしまう。
そこで、本発明のいくつかの態様の目的の一つは、良好な波形再現性を有する液体吐出装置および駆動回路を提供することにある。
上記目的の一つを達成するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、所定の出力端からの駆動信号によって駆動される圧電素子を含み、当該圧電素子の変位によって液体を吐出する吐出部と、前記駆動信号の元となる元駆動信号を増幅して、前記出力端に向けて供給する第1増幅部と、前記元駆動信号の電圧変化の大きさが閾値以下であるか否かを判別する判別部と、前記電圧変化の大きさが閾値以下であると判定された場合に、前記元駆動信号に応じた電圧を前記出力端に向けて出力する第2増幅部と、を具備することを特徴とする。
上記一態様に係る液体吐出装置によれば、元駆動信号の電圧変化の大きさが閾値を超える部分については、第1増幅部によって元駆動信号を増幅したものが用いられ、電圧変化の大きさが閾値以下である部分については、第2増幅部の出力が用いられるので、変化から一定に遷移する際の誤差や、一定部分でのリプルの発生を抑えることができる結果、波形再現性を向上することができる。
なお、「(…)に向けて出力する」とは、(…)までの経路途中に別の中間要素が介在しても良い、という意味である。また、電圧変化の大きさについては絶対値を基準としている。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記判別部は、前記元駆動信号の波形を示す波形データに基づいて、前記元駆動信号の電圧変化の大きさが閾値以下であるか否かを判別する構成としても良い。
また、上記構成において、前記波形データをアナログの前記元駆動信号に変換するD/A変換器を有しても良い。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記第1増幅部は、前記出力端と電源高位側電圧の給電点との間に接続されたハイサイドトランジスターと、前記出力端と電源低位側電圧の給電点との間に接続されたローサイドトランジスターと、前記元駆動信号の電圧と前記駆動信号に応じた電圧との差電圧を増幅した制御信号を出力する差動増幅器と、前記元駆動信号の電圧変化に応じて前記ハイサイドトランジスターまたは前記ローサイドトランジスターを選択し、選択したトランジスターのゲート端子に向けて前記制御信号を供給するセレクターと、を含む構成としても良い。
上記構成において、前記セレクターは、前記元駆動信号の電圧変化が上昇方向であって、前記元駆動信号の電圧変化の大きさが前記閾値を超える第1の場合、前記ハイサイドトランジスターのゲート端子に向けて前記制御信号を供給し、前記元駆動信号の電圧変化が低下方向であって、前記元駆動信号の電圧変化の大きさが前記閾値を超える第2の場合、前記ローサイドトランジスターのゲート端子に向けて前記制御信号を供給しても良い。
また、前記セレクターは、前記第1の場合、前記ローサイドトランジスターのゲート端子に向けて、当該ローサイドトランジスターをオフさせる信号を供給し、前記第2の場合、前記ハイサイドトランジスターのゲート端子に向けて、当該ハイサイドトランジスターをオフさせる信号を供給し、前記元駆動信号の電圧変化の大きさが前記閾値以下の第3の場合、前記ハイサイドトランジスターのゲート端子に向けて、当該ハイサイドトランジスターをオフさせる信号を供給するとともに、前記ローサイドトランジスターのゲート端子に向けて、当該ローサイドトランジスターをオフさせる信号を供給しても良い。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記第2増幅部は、前記元駆動信号の電圧を所定倍数で増幅するリニア増幅器と、前記リニア増幅器と前記出力端との間に設けられ、前記元駆動信号の電圧変化の大きさが前記閾値以下の場合に、オンするスイッチと、を含む構成が好ましい。
また、上記一態様に係る液体吐出装置において、前記吐出部と、前記第1増幅部と、前記判別部と、前記第2増幅部と、が可動式のキャリッジに搭載された構成も好ましい。
なお、液体吐出装置は、液体を吐出するものであれば良く、これには後述する印刷装置のほかに、立体造形装置(いわゆる3Dプリンター)、捺染装置なども含まれる。
また、本発明は、液体吐出装置に限られず、種々の態様で実現することが可能であり、例えば当該圧電素子のような容量性負荷を駆動する駆動回路などとしても概念することが可能である。
印刷装置の概略構成を示す図である。 印刷装置のヘッドユニットにおけるノズルの配列等を示す図である。 ノズルの配列を拡大して示す図である。 ヘッドユニットにおける要部構成を示す断面図である。 印刷装置の電気的な構成を示すブロック図である。 駆動信号の波形等を説明するための図である。 選択制御部の構成を示す図である。 デコーダーのデコード内容を示す図である。 選択部の構成を示す図である。 選択部から圧電素子に供給される駆動信号を示す図である。 印刷装置の駆動回路の構成を示す図である。 制御信号出力回路における判別動作を示すタイミングチャートである。 駆動回路の動作を説明するための図である。 印刷装置に適用可能な駆動回路の別態様を示す図である。 駆動回路に適用可能な増幅回路の別例(その1)を示す図である。 印刷装置に適用可能な増幅回路の別例(その2)を示す図である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について、印刷装置を例にとって説明する。
図1は、印刷装置1の概略構成を示す斜視図である。
この図に示される印刷装置1は、液体の一例であるインクを吐出することによって、紙などの媒体Pにインクドット群を形成し、これにより、画像(文字や図形等などを含む)を印刷する液体吐出装置の一種である。
図1に示されるように、印刷装置1は、キャリッジ20を、主走査方向(X方向)に移動(往復動)させる移動機構6を備える。
移動機構6は、キャリッジ20を移動させるキャリッジモーター61と、両端が固定されたキャリッジガイド軸62と、キャリッジガイド軸62とほぼ平行に延在し、キャリッジモーター61により駆動されるタイミングベルト63と、を有している。
キャリッジ20は、キャリッジガイド軸62に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト63の一部に固定されている。そのため、キャリッジモーター61によりタイミングベルト63を正逆走行させると、キャリッジ20がキャリッジガイド軸62に案内されて往復動する。
キャリッジ20には、印刷ヘッド22が搭載されている。この印刷ヘッド22は、媒体Pと対向する部分に、インクを個別にZ方向に吐出する複数のノズルを有する。なお、印刷ヘッド22は、カラー印刷のために、概略的に4個のブロックに分かれている。4個のブロックの各々は、それぞれシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(Bk)のインクを吐出する。
なお、キャリッジ20には、フレキシブルフラットケーブル190を介してメイン基板(この図では省略)から各種の制御信号等が供給される構成となっている。
印刷装置1は、媒体Pを、プラテン80上で搬送させる搬送機構8を備える。搬送機構8は、駆動源である搬送モーター81と、搬送モーター81により回転し、媒体Pを副走査方向(Y方向)に搬送する搬送ローラー82と、を備える。
このような構成において、キャリッジ20の主走査に合わせて印刷ヘッド22のノズルから印刷データに応じてインクを吐出させるとともに、媒体Pを搬送機構8によって搬送する動作を繰り返すことで、媒体Pの表面に画像が形成される。
なお、本実施形態において主走査は、キャリッジ20を移動させることで実行されるが、媒体Pを移動させることで実行しても良く、キャリッジ20と媒体Pとの双方を移動させても良い。要は、媒体Pとキャリッジ20(印刷ヘッド22)とが相対的に移動する構成であれば良い。
図2は、印刷ヘッド22におけるインクの吐出面を媒体Pからみた場合の構成を示す図である。この図に示されるように、印刷ヘッド22は、4個のヘッドユニット3を有する。4個のヘッドユニット3の各々は、それぞれシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(Bk)に対応し、主走査方向であるX方向に沿って配列する。
図3は、1個のヘッドユニット3におけるノズルの配列を示す図である。
この図に示されるように、1個のヘッドユニット3では、複数のノズルNが2列で配列する。ここで、説明の便宜上、この2列をそれぞれノズル列NaおよびNbとする。
ノズル列NaおよびNbでは、それぞれ複数のノズルNが、副走査方向であるY方向に沿ってピッチP1で配列する。また、ノズル列NaおよびNb同士は、X方向にピッチP2だけ離間する。ノズル列Naに属するノズルNとノズル列Nbに属するノズルNとは、Y方向に、ピッチP1の半分だけシフトした関係となっている。
このようにノズルNを、ノズル列NaおよびNbの2列で、Y方向にピッチP1の半分だけシフトして配置させることにより、Y方向の解像度を、1列の場合と比較して実質的に倍に高めることができる。
なお、1個のヘッドユニット3におけるノズルNの個数を便宜的にm(mは2以上の整数)とする。
ヘッドユニット3は、後述するように、m個のノズルN、および当該m個のノズルNの各々に対応して設けられる圧電素子を含むアクチュエーター基板と、各種の素子が実装された回路基板との間に、COF(Chip On Film)が接続された構成である。そこで説明の便宜のために、アクチュエーター基板の構造について説明する。
なお、本説明において、接続とは、2以上の要素間の直接的および間接的な結合を意味し、当該2つ以上の要素間に、1または2以上の中間要素が存在することも含む。
図4は、アクチュエーター基板の構造を示す断面図である。詳細には図3におけるg−g線で破断した場合の断面を示す図である。
図4に示されるように、アクチュエーター基板40は、流路基板42のうち、Z方向の負側の面上に圧力室基板44と振動板46とが設けられる一方、Z方向の正側の面上にノズル板41が設置された構造体である。
アクチュエーター基板40の各要素は、概略的にはY方向に長尺な略平板状の部材であり、例えば接着剤等により互いに固定される。また、流路基板42および圧力室基板44は、例えばシリコンの単結晶基板で形成される。
ノズルNは、ノズル板41に形成される。ノズル列Naに属するノズルに対応する構造と、ノズル列Nbに属するノズルに対応する構造とは、Y方向にピッチP1の半分だけシフトした関係にあるが、それ以外では、略対称に形成されるので、以下においてはノズル列Naに着目してアクチュエーター基板40の構造を説明することにする。
流路基板42は、インクの流路を形成する平板材であり、開口部422と供給流路424と連通流路426とが形成される。供給流路424および連通流路426は、ノズル毎に形成され、開口部422は、複数のノズルにわたって連続するように形成されるとともに、対応する色のインクが供給される構造となっている。この開口部422は、液体貯留室Srとして機能し、当該液体貯留室Srの底面は、例えばノズル板41によって構成される。具体的には、流路基板42における開口部422と各供給流路424と連通流路426とを閉塞するように流路基板42の底面に固定される。
圧力室基板44のうち流路基板42とは反対側の表面に振動板46が設置される。振動板46は、弾性的に振動可能な平板状の部材であり、例えば酸化シリコン等の弾性材料で形成された弾性膜と、酸化ジルコニウム等の絶縁材料で形成された絶縁膜との積層で構成される。振動板46と流路基板42とは、圧力室基板44の各開口部422の内側で互い間隔をあけて対向する。各開口部422の内側で流路基板42と振動板46とに挟まれた空間は、インクに圧力を付与するキャビティ442として機能する。各キャビティ442は、流路基板42の連通流路426を介してノズルNに連通する。
振動板46のうち圧力室基板44とは反対側の表面には、ノズルN(キャビティ442)毎に圧電素子Pztが形成される。
圧電素子Pztは、振動板46の面上に形成された複数の圧電素子Pztにわたって共通の駆動電極72と、当該駆動電極72の面上に形成された圧電体74と、当該圧電体74の面上に圧電素子Pzt毎に形成された個別の駆動電極76とを包含する。このような構成において、駆動電極72および76によって圧電体74を挟んで対向する領域が圧電素子Pztとして機能する。
圧電体74は、例えば加熱処理(焼成)を含む工程で形成される。具体的には、複数の駆動電極72が形成された振動板46の表面に塗布された圧電材料を、焼成炉内での加熱処理により焼成してから圧電素子Pzt毎に成形(例えばプラズマを利用したミーリング)することで圧電体74が形成される。
なお、ノズル列Nbに対応する圧電素子Pztも同様に、駆動電極72と、圧電体74と、駆動電極76とを包含した構成である。
また、この例では、圧電体74に対し、共通の駆動電極72を下層とし、個別の駆動電極76を上層としたが、逆に駆動電極72を上層とし、駆動電極76を下層とする構成としても良い。
圧電素子Pztの一端である駆動電極76には、吐出すべきインク量に応じた駆動信号の電圧Voutが回路基板から個別に印加される一方、圧電素子Pztの他端である駆動電極72には、電圧VBSの保持信号が共通に印加される。
このため、圧電素子Pztは、駆動電極72および76に印加された電圧に応じて、上または下方向に変位する。詳細には、駆動電極76を介して印加される駆動信号の電圧Voutが低くなると、圧電素子Pztにおける中央部分が両端部分に対して上方向に撓む一方、当該電圧Voutが高くなると、下方向に撓む構成となっている。
ここで、上方向に撓めば、キャビティ442の内部容積が拡大(圧力が減少)するので、インクが液体貯留室Srから引き込まれる一方、下方向に撓めば、キャビティ442の内部容積が縮小(圧力が増加)するので、縮小の程度によっては、インクがノズルNから吐出される。このように、圧電素子Pztに適切な駆動信号が印加されると、当該圧電素子Pztの変位によって、インクがノズルNから吐出される。このため、少なくとも圧電素子Pzt、キャビティ442、およびノズルNによってインクを吐出する吐出部が構成されることになる。
次に、印刷装置1の電気的な構成について説明する。
図5は、印刷装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、印刷装置1は、メイン基板100にフレキシブルフラットケーブル190を介してヘッドユニット3がそれぞれ接続された構成となっている。
なお、印刷装置1では、4個のヘッドユニット3が設けられ、メイン基板100が、4個のヘッドユニット3をそれぞれ独立に制御する。4個のヘッドユニット3では、吐出するインクの色以外において異なるところがないので、以下においては便宜的に1個のヘッドユニット3について代表して説明することにする。
図5に示されるように、メイン基板100は、制御部110および電圧生成回路130を含む。
このうち、制御部110は、CPUや、RAM、ROMなどを有する一種のマイクロコンピューターであり、印刷対象となる画像データがホストコンピューター等から供給されたときに、所定のプログラムを実行して各部を制御するための各種の信号等をそれぞれ出力する。
具体的には、第1に、制御部110は、データdAおよびdBを、それぞれクロック信号Clkに同期して回路基板50に供給する。データdAは、駆動信号COM−Aの波形(電圧)を時系列で規定する波形データであり、同様に、データdBは、駆動信号COM−Bの波形を時系列で規定する波形データである。
第2に、制御部110は、移動機構6および搬送機構8に対する制御に同期して、ヘッドユニット3に各種の制御信号Ctrを供給する。なお、制御信号Ctrには、ノズルNから吐出させるインクの量を規定する印刷データSI、当該印刷データSIの転送に用いるクロック信号Sck、印刷周期等を規定する信号LATおよびCHが含まれる。
なお、制御部110は、移動機構6および搬送機構8を制御するが、このような構成については既知であるので説明を省略する。
また、電圧生成回路130は、電圧VBSの保持信号を生成する。なお、電圧VBSの保持信号は、フレキシブルフラットケーブル190、回路基板50およびCOF52を順に介して、アクチュエーター基板40における複数の圧電素子Pztの他端にわたって共通に印加される。電圧VBSの保持信号は、複数の圧電素子Pztの他端を、それぞれ一定の状態に保つためのものである。
回路基板50には、駆動回路120aおよび120bが実装される。
駆動回路120aは、詳細については後述するが、第1に、データdAをアナログ信号に変換したときに、当該アナログ信号の電圧が変化する期間であるか、または、一定の期間であるかを判別して、当該判別結果に基づいて制御信号を生成し、第2に、当該制御信号を用いて、当該アナログ信号の駆動能力を高める増幅をして(低インピーダンスに変換して)駆動信号COM−Aとして出力する。なお、駆動回路120aから出力された駆動信号COM−Aは、COF52における複数の選択部520の各々にそれぞれ供給される。
駆動回路120bについても同様であり、第1に、データdBをアナログ信号に変換したときに、当該アナログ信号の電圧が変化する期間であるか、または、一定の期間であるかを判別して、当該判別結果に基づいて制御信号を生成し、第2に、当該制御信号を用いて、当該アナログ信号の駆動能力を高める増幅をして駆動信号COM−Bとして出力する。なお、駆動回路120bから出力された駆動信号COM−Bは、COF52における複数の選択部520の各々にそれぞれ供給される。
なお、本実施形態では、COF52が回路基板50に直接的に接続された構成としているが、フレキシブルフラットケーブルを介して間接的に接続された構成としても良い。
COF52において、選択制御部510は、選択部520の各々における選択をそれぞれ制御する。詳細には、選択制御部510は、制御部110からクロック信号に同期して供給される印刷データを、ヘッドユニット3のノズル(圧電素子Pzt)のm個分、一旦蓄積するとともに、各選択部520に対し、印刷データにしたがって駆動信号COM−A、COM−Bの選択を、タイミング信号で規定される印刷周期の開始タイミングで指示する。
各選択部520は、選択制御部510による指示にしたがって、駆動信号COM−A、COM−Bのいずれかを選択し(または、いずれも選択せずに)、電圧Voutの駆動信号として、対応する圧電素子Pztの一端に印加する。
本実施形態において、1つのドットについては、1つのノズルNからインクを最多で2回吐出させることで、大ドット、中ドット、小ドットおよび非記録の4階調を表現させる。この4階調を表現するために、本実施形態では、2種類の駆動信号COM−A、COM−Bを用意するとともに、各々の1周期にそれぞれ前半パターンと後半パターンとを持たせている。そして、1周期のうち、前半・後半において駆動信号COM−A、COM−Bを、表現すべき階調に応じた選択して(または選択しないで)、圧電素子Pztに供給する構成となっている。
そこで先に、駆動信号COM−A、COM−Bについて説明し、この後、駆動信号COM−A、COM−Bを選択するための選択制御部510および選択部520の詳細な構成について説明する。
図6は、駆動信号COM−A、COM−Bの波形等を示す図である。
図に示されるように、駆動信号COM−Aは、印刷周期Taのうち、制御信号LATが出力されて(立ち上がって)から制御信号CHが出力されるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、印刷周期Taのうち、制御信号CHが出力されてから次の制御信号LATが出力されるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを繰り返す波形となっている。
本実施形態において台形波形Adp1、Adp2とは、互いにほぼ同一の波形であり、仮にそれぞれが圧電素子Pztの一端である駆動電極76に供給されたとしたならば、当該圧電素子Pztに対応するノズルNから所定量、具体的には中程度の量のインクをそれぞれ吐出させる波形である。
駆動信号COM−Bは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを繰り返す波形となっている。本実施形態において台形波形Bdp1、Bdp2とは、互いに異なる波形である。このうち、台形波形Bdp1は、ノズルN付近のインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波形である。このため、仮に台形波形Bdp1が圧電素子Pztの一端に供給されたとしても、当該圧電素子Pztに対応するノズルNからインク滴が吐出されない。また、台形波形Bdp2は、台形波形Adp1(Adp2)とは異なる波形となっている。仮に台形波形Bdp2が圧電素子Pztの一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子Pztに対応するノズルNから上記所定量よりも少ない量のインクを吐出させる波形である。
なお、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、およびBdp2における各開始タイミングでの電圧と、各終了タイミングでの電圧とは、いずれも電圧Vcenで共通である。すなわち、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、およびBdp2の各々は、それぞれ電圧Vcenで開始し、電圧Vcenで終了する波形となっている。
また、台形波形の駆動信号COM−AおよびCOM−Bの各々では、電圧が一定となる期間がそれぞれに複数存在する。
駆動信号COM−Aには、一定となる電圧が上記Vcenを含めて3値ある。この3値を高位順に、Vmax、Vcen、Vminと表記している。駆動信号COM−Bには、一定となる電圧が上記Vcenを含めて4値ある。
上述したように、駆動回路120aは、データdAをアナログ信号に変換したときに当該アナログ信号の電圧変化期間であるか一定期間であるかを判別して、当該判別結果に基づいて制御信号を生成する一方、当該アナログ信号を増幅して駆動信号COM−Aとして出力する。このため、データdAを変換したアナログ信号の波形と、駆動信号COM−Aの波形とは、電圧振幅方向にほぼ相似形となる関係となる。
同様に、データBAを変換したアナログ信号の波形と、駆動信号COM−Bの波形とは、電圧振幅方向にほぼ相似形となる関係となる。
データdAの判別結果に基づいて生成される制御信号は、次のような信号FltaおよびOCaである。信号Fltaは、図6に示されるように、駆動信号COM−A(データdAを変換したアナログ信号)の電圧が変化する期間にわたってLレベルとなり、当該電圧が一定となる期間にわたってHレベルとなる。信号OCaについては、当該駆動信号COM−Aの電圧が上昇する期間にわたってLレベルとなり、それ以外の期間にわたってHレベルとなる。
データdBの判別結果に基づいて生成される制御信号は、次のような信号FltbおよびOCbである。信号Fltbは、駆動信号COM−B(データdBを変換したアナログ信号)の電圧が変化する期間にわたってLレベルとなり、当該電圧が一定となる期間にわたってHレベルとなる。信号OCbについては、当該駆動信号COM−Bの電圧が上昇する期間にわたってLレベルとなり、それ以外の期間にわたってHレベルとなる。
なお、信号Flta(Fltb)およびOCa(OCb)を生成するための回路については、駆動回路120a(120b)のところで説明することにする。
図7は、図5における選択制御部510の構成を示す図である。
この図に示されるように、選択制御部510には、クロック信号Sck、印刷データSI、制御信号LATおよびCHが供給される。選択制御部510では、シフトレジスタ(S/R)512とラッチ回路514とデコーダー516との組が、圧電素子Pzt(ノズルN)のそれぞれに対応して設けられている。
印刷データSIは、印刷周期Taにわたって、着目しているヘッドユニット3において、すべてのノズルNによって形成すべきドットを規定するデータである。本実施形態では、非記録、小ドット、中ドットおよび大ドットの4階調を表現するために、ノズル1個分の印刷データは、上位ビット(MSB)および下位ビット(LSB)の2ビットで構成される。
印刷データSIは、クロック信号Sckに同期してノズルN(圧電素子Pzt)毎に、媒体Pの搬送に合わせて制御部110から供給される。当該印刷データSIを、ノズルNに対応して2ビット分、一旦保持するための構成がシフトレジスタ512である。
詳細には、m個の圧電素子Pzt(ノズル)の各々に対応した計m段のシフトレジスタ512が縦続接続されるとともに、図において左端に位置する1段のシフトレジスタ512に供給された印刷データSIが、クロック信号Sckにしたがって順次後段(下流側)に転送される構成となっている。
なお、図では、シフトレジスタ512を区別するために、印刷データSIが供給される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
ラッチ回路514は、シフトレジスタ512で保持された印刷データSIを制御信号LATの立ち上がりでラッチする。
デコーダー516は、ラッチ回路514によってラッチされた2ビットの印刷データSIをデコードして、制御信号LATと制御信号CHとで規定される期間T1、T2ごとに、選択信号Sa、Sbを出力して、選択部520での選択を規定する。
図8は、デコーダー516におけるデコード内容を示す図である。
この図において、ラッチされた2ビットの印刷データSIについては(MSB、LSB)と表記している。デコーダー516は、例えばラッチされた印刷データSIが(0、1)であれば、選択信号Sa、Sbの論理レベルを、期間T1ではそれぞれH、Lレベルで、期間T2ではそれぞれL、Hレベルで、出力するということを意味している。
なお、選択信号Sa、Sbの論理レベルについては、クロック信号Sck、印刷データSI、制御信号LATおよびCHの論理レベルよりも、レベルシフター(図示省略)によって、高振幅論理にレベルシフトされる。
図9は、図5における選択部520の構成を示す図である。
この図に示されるように、選択部520は、インバーター(NOT回路)522aおよび522bと、トランスファーゲート524aおよび524bとを有する。
デコーダー516からの選択信号Saは、トランスファーゲート524aにおいて丸印が付されていない正制御端に供給される一方で、インバーター522aによって論理反転されて、トランスファーゲート524aにおいて丸印が付された負制御端に供給される。同様に、選択信号Sbは、トランスファーゲート524bの正制御端に供給される一方で、インバーター522bによって論理反転されて、トランスファーゲート524bの負制御端に供給される。
トランスファーゲート524aの入力端には、駆動信号COM−Aが供給され、トランスファーゲート524bの入力端には、駆動信号COM−Bが供給される。トランスファーゲート524aおよび524bの出力端同士は、共通接続されるとともに、対応する圧電素子Pztの一端に接続される。
トランスファーゲート524aは、選択信号SaがHレベルであれば、入力端および出力端の間を導通(オン)させ、選択信号SaがLレベルであれば、入力端と出力端との間を非導通(オフ)させる。トランスファーゲート524bについても同様に選択信号Sbに応じて、入力端および出力端の間をオンオフさせる。
図6に示されるように、印刷データSIは、ノズル毎に、クロック信号Sckに同期して供給されて、ノズルに対応するシフトレジスタ512において順次転送される。そして、クロック信号Sckの供給が停止すると、シフトレジスタ512のそれぞれには、各ノズルに対応した印刷データSIが保持された状態になる。
ここで、制御信号LATが立ち上がると、ラッチ回路514のそれぞれは、シフトレジスタ512に保持された印刷データSIを一斉にラッチする。図6において、L1、L2、…、Lm内の数字は、1段、2段、…、m段のシフトレジスタ512に対応するラッチ回路514によってラッチされた印刷データSIを示している。
デコーダー516は、ラッチされた印刷データSIで規定されるドットのサイズに応じて、期間T1、T2のそれぞれにおいて、選択信号Sa、Saの論理レベルを図8に示されるような内容で出力する。
すなわち、第1に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(1、1)であって、大ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてもH、Lレベルとする。第2に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(0、1)であって、中ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第3に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(1、0)であって、小ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第4に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(0、0)であって、非記録を規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Hレベルとし、期間T2においてL、Lレベルとする。
図10は、印刷データSIに応じて選択されて、圧電素子Pztの一端に供給される駆動信号の電圧波形を示す図である。
印刷データSIが(1、1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオンし、トランスファーゲート524bがオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。選択信号Sa、Sbは期間T2においてもH、Lレベルとなるので、選択部520は、駆動信号COM−Aの台形波形Adp2を選択する。
このように期間T1において台形波形Adp1が選択され、期間T2において台形波形Adp2が選択されて、駆動信号として圧電素子Pztの一端に供給されると、当該圧電素子Pztに対応したノズルNから、中程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pにはそれぞれのインクが着弾し合体して、結果的に、印刷データSIで規定される通りの大ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(0、1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオンし、トランスファーゲート524bはオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてL、Hレベルとなるので、駆動信号COM−Bの台形波形Bdp2が選択される。
したがって、ノズルから、中程度および小程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pには、それぞれのインクが着弾して合体して、結果的に、印刷データSIで規定された通りの中ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(1、0)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてともにLレベルとなるので、トランスファーゲート524a、524bがオフする。このため、期間T1において台形波形Adp1、Bdp1のいずれも選択されない。トランスファーゲート524a、524bがともにオフする場合、当該トランスファーゲート524a、524bの出力端同士の接続点から圧電素子Pztの一端までの経路は、電気的にどの部分にも接続されないハイ・インピーダンス状態になる。ただし、圧電素子Pztの両端では、自己が有する容量性によって、トランスファーゲートがオフする直前の電圧(Vcen−VBS)が保持される。
次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてL、Hレベルとなるので、駆動信号COM−Bの台形波形Bdp2が選択される。このため、ノズルNから、期間T2においてのみ小程度の量のインクが吐出されるので、媒体Pには、印刷データSIで規定された通りの小ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(0、0)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてL、Hレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオフし、トランスファーゲート524bがオンする。このため、期間T1において駆動信号COM−Bの台形波形Bdp1が選択される。次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてともにLレベルとなるので、台形波形Adp2、Bdp2のいずれも選択されない。
このため、期間T1においてノズルN付近のインクが微振動するのみであり、インクは吐出されないので、結果的に、ドットが形成されない、すなわち、印刷データSIで規定された通りの非記録になる。
このように、選択部520は、選択制御部510による指示にしたがって駆動信号COM−A、COM−Bを選択し(または選択しないで)、圧電素子Pztの一端に印加する。このため、各圧電素子Pztは、印刷データSIで規定されるドットのサイズに応じて駆動されることになる。
なお、図6に示した駆動信号COM−A、COM−Bはあくまでも一例である。実際には、媒体Pの性質や搬送速度などに応じて、予め用意された様々な波形の組み合わせが用いられる。
また、ここでは、圧電素子Pztが、電圧の低下に伴って上方向に撓む例で説明したが、駆動電極72および76に印加する電圧を逆転させると、圧電素子Pztは、電圧の低下に伴って下向に撓むことになる。このため、圧電素子Pztが、電圧の低下に伴って下方向に撓む構成では、図に例示した駆動信号COM−AおよびCOM−Bが、電圧Vcenを基準に反転した波形となる。
次に、回路基板50における駆動回路120aおよび120bについて説明する。
なお、駆動回路120aおよび120bの構成および動作については、おおよそ同一であるので、ここでは駆動回路120aについて説明することにする。
図11は、駆動回路120aの構成を示す図である。
この図に示されるように、駆動回路120aは、ラッチ回路124および126と、DAC130と、電圧増幅器132と、制御信号出力回路140と、増幅回路200aと、リニア増幅器341と、スイッチ343と、コンデンサーC0と、を含む。
図12は、ラッチ回路124、126および制御信号出力回路140の動作を説明するためのタイミングチャートである。
本実施形態において、データdAは、例えば10ビットのデータdAであり、制御部110から、クロック信号Clkの1周期にわたって上位5ビットおよび下位5ビットに分けて供給される。詳細には、制御部110は、クロック信号Clkの立ち上がりタイミングを含む期間で上位5ビット供給し、クロック信号Clkの立ち下がりタイミングを含む期間で下位5ビット供給する。
ラッチ回路124は、先行して供給された上位5ビットを、後行して供給された下位5ビットに合体させて、ラッチする(図12の(a)参照)。
なお、図12において、「V(n) D9−D5」という表記は、時刻(n)における最上位の9ビット目から下位5ビット目までの上位5ビットであることを意味している。一方、また、「V(n) D4−D0」という表記は、時刻(n)における下位4ビット目から最下位の0ビット目までの下位5ビットであることを意味している。時刻の(n)は、時間経過とともに、(n+1)、(n+2)、…というように増加する。時刻(n+1)は、時刻(n)に対してデータdAの1サンプリング周期分だけ後行したタイミングであることを意味している。
ラッチ回路126は、ラッチ回路124でラッチされた10ビットのデータを、クロック信号Clkの立ち下がりタイミングでラッチする(図12の(b)参照)。
制御信号出力回路140は、クロック信号Clkの立ち下がりタイミング直前においてラッチ回路124でラッチされている10ビットのデータ(a)と、ラッチ回路124でラッチされている10ビットのデータ(b)とを比較して、当該比較結果に基づいて、当該データdAをアナログ変換したときの信号の電圧が変化するか、または、一定であるかを判別して信号FltaおよびOCaを出力する。
データ(b)は、データ(a)に対して時間的に1サンプリング周期分だけ後行しているので、データ(a)を基準にデータ(b)を比較したときに、両データが異なる場合、データdAをアナログ変換したときの信号の電圧が変化することを意味している。両データが異なる場合のうち、データ(b)がデータ(a)に対して大きい第1の場合であれば、データdAをアナログ変換したときの信号の電圧が上昇することを意味し、データ(b)がデータ(a)に対して小さい第2の場合であれば、データdAをアナログ変換したときの信号の電圧が低下することを意味する。
また、両データが同一である第3の場合、データdAをアナログ変換したときの信号の電圧が一定であることを意味する。
制御信号出力回路140は、上記第1の場合、信号FltaおよびOCaをそれぞれLレベルとし、上記第2の場合、信号FltaをLレベルとし、信号OCaをHレベルとし、それぞれ出力し、上記第3の場合、信号FltaおよびOCaをそれぞれHレベルとして出力する。
なおここでは、駆動信号COM−Aが台形波形であるので、制御信号出力回路140が、データdAをアナログ変換したときの信号の電圧が変化するか、または、一定であるかを判別しているが、駆動信号COM−Aが、後述するように例えば正弦波のように傾きに連続性を有する波形である場合には、絶対値でみたときの電圧変化の大きさが、閾値を超えているか、閾値以下であるかを判別しても良い。
説明を図11に戻すと、DAC130は、ラッチ回路126でラッチされたデータ(b)を、アナログの信号ainに変換する。電圧増幅器132は、信号ainの電圧を例えば10倍に増幅し、信号Ainとして増幅回路200aに供給する。
増幅回路200aは、信号Ainを、信号FltaおよびOCaに基づいて低インピーダンスに変換して出力するものであって、第1増幅部として機能する。増幅回路200aは、差動増幅器221と、セレクター223と、トランジスター対と、を含む。
差動増幅器221にあっては、負入力端(−)に信号Ainが供給される一方、正入力端(+)には出力である駆動信号COM−Aが帰還されている。このため、差動増幅器221は、正入力端(+)の電圧から負入力端(−)の電圧を減算した差電圧、つまり、出力である駆動信号COM−Aの電圧から信号Ain(元駆動信号)の電圧を減算した差電圧を増幅して出力することになる。
なお、差動増幅器221は、特に図示しないが例えば電源の高位側を電圧V(=42V)とし、低位側をグランドGndとしている。このため、出力電圧は、グランドGndから電圧Vまでの範囲となる。
また、増幅回路200aでは、後述するように、駆動信号COM−Aを降圧して帰還する一方、元駆動信号を電圧増幅して駆動信号として出力する場合もある。
セレクター223は、信号FltaがLレベルであって、かつ、信号OCaがLレベルであれば、信号Gt1として差動増幅器221の出力信号を選択して、トランジスター231のゲート端子に供給するとともに、信号Gt2としてLレベルを選択し、トランジスター232のゲート端子に供給する。
一方、セレクター223は、信号FltaがLレベルであって、かつ、信号OCaがHレベルであれば、信号Gt1としてHレベルを選択し、トランジスター231のゲート端子に供給するとともに、信号Gt2として差動増幅器221の出力信号を選択し、トランジスター232のゲート端子に供給する。
なお、セレクター223は、信号FltaがHレベルであれば、信号OCaの論理レベルとは無関係に、信号Gt1としてHレベルをトランジスター231のゲート端子に供給し、信号Gt2としてLレベルをトランジスター232のゲート端子に供給する。
トランジスター対は、トランジスター231および232によって構成される。このうち、高位側のトランジスター231(ハイサイドトランジスター)は、例えばPチャネル型の電界効果トランジスターであり、ソース端子には電源の高位側電圧Vが印加されている。低位側のトランジスター232(ローサイドトランジスター)は、例えばNチャネル型の電界効果トランジスターであり、ソース端子が電源の低位側となるグランドGndに接地されている。
トランジスター231および232のドレイン端子同士は、互いに接続されてノードN2となっている。
リニア増幅器341は、信号Ainを電圧増幅率1倍で増幅して出力するオペアンプである。スイッチ343は、リニア増幅器341の出力端とノードN2との間において、信号FltaがHレベルであるときにオンし、Lレベルであるときにオフする。このため、リニア増幅器341およびスイッチ343が第2増幅部として機能する。
なお、ノードN2は、駆動回路120aの出力端であり、駆動信号COM−Aが出力される。また、説明の便宜のために、ノードN2(駆動信号COM−A)の電圧をOutと表記する場合がある。また、駆動回路120aの入力である信号Ainの電圧をVinと表記する場合がある。
ノードN2には、コンデンサーC0の一端が接続され、コンデンサーC0の他端は、一定電位の、例えばグランドGndに接地されている。
このような増幅回路200aにおいて、セレクター223は、第1に、駆動信号COM−A(信号Ain)の電圧上昇期間であれば、トランジスター231のゲート端子に差動増幅器221の出力信号を供給し、トランジスター232のゲート端子に当該トランジスター232がオフする信号を供給し、第2に、駆動信号COM−Aの電圧低下期間であれば、トランジスター231のゲート端子に当該トランジスター231がオフする信号を供給し、トランジスター232のゲート端子に差動増幅器221の出力信号を供給し、第3に、駆動信号COM−Aの電圧平坦期間であれば、トランジスター231のゲート端子に、当該トランジスター231がオフする信号を供給し、トランジスター232のゲート端子に、当該トランジスター232がオフする信号を供給する。
なお、ここでは、駆動回路120aの構成について説明したが、駆動回路120bについては、駆動回路120aと同一であって、入出力信号だけが異なる。すなわち、駆動回路120bには、データdAの代わりにデータdBが供給され、ノードN2から駆動信号COM−Bが出力される構成となる。
また、駆動回路120bの内部において、制御信号制御回路140は、データdBの判別結果に基づいて信号FltbおよびOCb(図6参照)を出力し、DAC130は、データdBをアナログに変換した信号binを出力し、電圧増幅器132は、信号ainの電圧を10倍に増幅した信号Binを出力する。
次に、駆動回路120aの動作について説明する。
図13は、駆動回路120aの動作を説明するための各部における電圧波形を示す図である。
この図において、信号Ainは、駆動信号COM−Aのインピーダンス変換前の信号であるので、当該駆動信号COM−Aとほぼ同波形である。また、上述したように、駆動信号COM−Aは、印刷周期Taにおいて2つの同じ台形波形Adp1、Adp2が繰り返された波形であるので、信号Ainも同様な繰り返し波形である。
図13は、このような繰り返し波形のうち、1つの台形波形を示している。また、この図において、期間P1は、信号Ainが電圧Vcenから電圧Vminまで低下する期間であり、当該期間P1に続く期間P2は、信号Ainが電圧Vminで一定となる期間であり、当該期間P2に続く期間P3は、信号Ainが電圧Vminから電圧Vmaxまで上昇する期間であり、当該期間P3に続く期間P4は、信号Ainが電圧Vmaxで一定となる期間であり、当該期間P4に続く期間P5は、信号Ainが最高値maxから電圧Vcenまで低下する期間である。
なお、図13における複数の電圧波形の各々については、説明の便宜上、縦スケールは必ずしも揃っていない。
まず、期間P1は、駆動信号COM−A(Ain)の電圧低下期間である。この期間P1では、信号FltaがLレベルとなるので、スイッチ343がオフする。
また、期間P1では、信号FltaがLレベルになり、信号OCaがHレベルであるので、セレクター223は、信号Gt1としてHレベルを選択し、信号Gt2として差動増幅器221の出力信号を選択する。信号Gt1がHレベルであれば、Pチャネル型のトランジスター231はオフする。
当該期間P1では、まず信号Ainの電圧がノードN2の電圧よりも先んじて低下する。逆にいえば、ノードN2の電圧は、信号Ainの電圧以上となる。このため、信号Gt2として選択される差動増幅器221の出力信号の電圧は、両者の差電圧に応じて高くなり、ほぼHレベルに振れる。信号Gt2がHレベルになると、トランジスター232がオンするので、ノードN2の電圧が低下する。なお、ノードN2の電圧は、コンデンサーC0、および、負荷である圧電素子Pztの容量性によって、実際には、一気にグランドGndに低下することはなく、緩慢に低下する。
ノードN2の電圧が信号Ainの電圧よりも低くなると、信号Gt2がLレベルになり、トランジスター232がオフする。なお、トランジスター232がオフしても、ノードN2の電圧は、コンデンサーC0および圧電素子Pztの容量性により保持されるので、不定にはならない。
トランジスター232がオフすると、ノードN2の電圧の低下が中断するが、信号Ainの電圧低下が継続しているので、再びノードN2の電圧が信号Ainの電圧以上となる。このため、信号Gt2がHレベルとなって、トランジスター232が再びオンすることになる。
期間P1では、信号Gt2がHおよびLレベルで交互に切り替えられ、これにより、トランジスター232は、オンオフを繰り返す動作、すなわちスイッチング動作をする。このスイッチング動作により、ノードN2の電圧が信号Ainの電圧低下に追従するように制御されることになる。
次に、期間P2は、駆動信号COM−A(Ain)が電圧Vminで一定にすべき期間である。この期間P2では、信号FltaがHレベルとなるので、スイッチ343がオンする。
また、期間P2では、信号FltaがHレベルとなるので、セレクター223が、信号Gt1としてHレベルを選択し、信号Gt2としてLレベルを選択する結果、トランジスター231および232がともにオフとなる。
したがって、期間P2においてノードN2には、オンしたスイッチ343を介して、リニア増幅器341の出力電圧、すなわち、信号Ainの電圧Vminを電圧増幅率1倍で増幅した電圧が印加される。
期間P3は、駆動信号COM−A(Ain)の電圧上昇期間である。この期間P3では、信号FltaがLレベルとなるので、スイッチ343がオフする。
また、この期間P3では、信号FltaがLレベルになり、信号OCaがLレベルになるので、セレクター223は、信号Gt1として差動増幅器221の出力信号を選択し、信号Gt2としてLレベルを選択する。信号Gt2がLレベルであれば、Nチャネル型のトランジスター232はオフする。
当該期間P3では、まず信号Ainの電圧がノードN2の電圧よりも先んじて上昇する。逆にいえば、ノードN2の電圧は、信号Ainの電圧よりも低くなる。このため、信号Gt1として選択される差動増幅器221の出力信号の電圧は、両者の差電圧に応じて低くなり、ほぼLレベルに振れる。信号Gt1がLレベルになると、トランジスター231がオンするので、ノードN2の電圧が上昇する。なお、ノードN2の電圧は、コンデンサーC0および圧電素子Pztにより、実際には、一気に電圧Vに上昇することはなく、緩慢に上昇する。
ノードN2の電圧が信号Ainの電圧以上になると、信号Gt2がHレベルになり、トランジスター231がオフする。なお、トランジスター231がオフしても、ノードN2の電圧は、コンデンサーC0および圧電素子Pztの容量性により保持されるので、不定にはならない。
トランジスター231がオフすると、ノードN2の電圧の上昇は停止するが、信号Ainの電圧上昇が継続しているので、再びノードN2の電圧が信号Ainの電圧よりも低くなる。このため、信号Gt1がLレベルとなって、トランジスター231が再びオンすることになる。
期間P3では、信号Gt1がHおよびLレベルで交互に切り替えられ、これにより、トランジスター231は、スイッチング動作をする。このスイッチング動作により、ノードN2の電圧が信号Ainの電圧の上昇に追従するように制御されることになる。
期間P4は、駆動信号COM−A(Ain)が電圧Vmaxで一定にすべき期間である。この期間P1では、信号FltaがHレベルとなるので、スイッチ343がオンする。
また、この期間P4では、信号FltaがHレベルとなるので、セレクター223が、信号Gt1としてHレベルを選択し、信号Gt2としてLレベルを選択する結果、トランジスター231および232がともにオフとなる。
したがって、期間P4においてノードN2には、オンしたスイッチ343を介して、リニア増幅器341の出力電圧、すなわち、信号Ainの電圧Vmaxを電圧増幅率1倍で増幅した電圧が印加される。
期間P5は、駆動信号COM−A(Ain)の電圧低下期間である。このため、期間P5は、期間P1と同様な動作となる。すなわち、信号Gt2がH、Lレベルで交互に切り替えられ、これによりトランジスター232がスイッチング動作となり、ノードN2の電圧が信号Ainの電圧の低下に追従するように制御されることになる。
期間P5の後の期間P6は、駆動信号COM−A(Ain)が電圧Vcenで一定にすべき期間である。この期間P6では、信号FltaがHレベルとなるので、スイッチ343がオンする。
また、この期間P6では、信号FltaがHレベルとなるので、セレクター223が、信号Gt1としてHレベルを選択し、信号Gt2としてLレベルを選択する結果、トランジスター231および232がともにオフとなる。
したがって、期間P6においてノードN2には、オンしたスイッチ343を介して、リニア増幅器341の出力電圧、すなわち、信号Ainの電圧Vcenを電圧増幅率1倍で増幅した電圧が印加される。
駆動回路120aによれば、期間P1〜P6毎に、次のような動作となる。
すなわち、信号Ainの電圧が低下する期間P1、P5ではトランジスター232のスイッチング動作により、また、信号Ainの電圧が上昇する期間P3ではトランジスター231のスイッチング動作により、それぞれノードN2の電圧Outを信号Ainの電圧に追従させる制御が実行される。一方、信号Ainの電圧が一定となる区間では、トランジスター231、232がそれぞれオフし、スイッチ343がオンするので、ノードN2には、信号Ainの電圧をリニア増幅器341によって電圧増幅率1倍で増幅した電圧が印加される。
ここでは、駆動回路120aの動作について説明したが、駆動回路120bの動作についても同様となる。すなわち、信号Binの電圧が低下する期間ではトランジスター232のスイッチング動作により、また、信号Binの電圧が上昇する期間ではトランジスター231のスイッチング動作により、それぞれノードN2の電圧Outを信号Binの電圧に追従させる制御が実行される一方、信号Binの電圧が一定となる区間では、ノードN2には、信号Binの電圧をリニア増幅器341によって電圧増幅率1倍で増幅した電圧が印加される。
駆動回路120a(120b)によれば、ハイサイドのトランジスターとローサイドのトランジスターとが常時スイッチングするD級増幅と比較して、信号Ain(Bin)の電圧が一定となる期間では、トランジスター231および232がスイッチング動作をしない。
また、D級増幅では、スイッチング信号を復調するLPF(Low Pass Filter)、特にコイルのようなインダクターが必要となるが、駆動回路120a(120b)では、そのようなLPFが不要である。
このため、駆動回路120a(120b)によれば、D級増幅と比較して、スイッチング動作やLPFで消費される電力を抑えることができるほか、回路の簡略化、小型化を図ることができる。
駆動回路120a(120b)において、信号Ain(Bin)の電圧変化期間では、トランジスター231または232のスイッチング動作によって、ノードN2の電圧が信号Ain(Bin)の電圧変化に追従するように制御される。
一方、駆動回路120a(120b)において、信号Ain(Bin)の電圧一定期間では、トランジスター231および232がともにオフするが、スイッチ343のオンにより、信号Ain(Bin)の電圧をリニア増幅器341によって増幅した電圧が印加される。
特に、信号Ain(Bin)の電圧変化期間から一定期間に転じるとき、トランジスター231および232によるスイッチング動作が停止して、いずれのトランジスターもオフする。上記スイッチング動作の停止は、ノードN2の電圧を信号Ain(Bin)の電圧に追従させる制御の停止を意味するので、スイッチング動作の停止直後では、ノードN2の電圧が信号Ain(Bin)の電圧から乖離してしまう状況が発生し、波形再現性を損なう原因となり得る。
これに対して、本実施形態では、トランジスター231または232のスイッチング動作が停止した直後において、スイッチ343がオンして、信号Ain(Bin)の電圧をリニア増幅器341によって増幅した電圧が印加されるので、上述したような乖離を抑えて、波形再現性を向上させることできる。
ところで、制御部110は、駆動信号COM−Aの台形波形を規定するデータdA、および、駆動信号COM−Bの台形波形を規定するデータdBを出力するので、その電圧変化についても制御部110自身が事前に把握することができる。このため、駆動回路120a(120b)で用いる信号Flta(信号Fltb)および信号OCa(信号OCb)についても、制御部110が出力する構成が考えられる。
ただし、この構成では、信号Flta、Fltb、OCa、およびOCbが、メイン基板100から回路基板50までFFC190を介して伝送されることになる。
このように信号Flta、OCa等をFFC190により伝送する場合、当該伝送路の長さやインピーダンスなどの相違によるタイミングずれを抑えるために、等長配線化や等インピーダンス化などの対策を講じる必要がある。特に媒体Pが大きい、いわゆるラージフォーマットプリンタに適用する場合には、FFC190の長さが数メートルに及ぶこともあり、上記対策は必須となる。
これ対して本実施形態では、信号FltaおよびOCa(FltbおよびOCb)を、メイン基板100ではなく、回路基板50の側で、データdA(データdB)に基づいて生成しているので、上述したような等長配線化や等インピーダンス化などの対策を講じる必要をなくすることができる。
図14は、印刷装置1に適用可能な駆動回路120aの別例(その1)を示す図である。この駆動回路が、図11に示した駆動回路と相違する点は、差動増幅器221の負入力端(−)に、DAC130から出力される信号ainが直接入力されている点と、ノードN2が抵抗素子R1を介して差動増幅器221の正入力端(+)に帰還されている点と、差動増幅器221の正入力端(+)が抵抗素子R2を介してグランドGndに接地されている点と、リニア増幅器341の電圧増幅率が変更されている点と、である。
図14において、差動増幅器221の正入力端(+)に帰還される電圧は、ノードN2の電圧Outの電圧を、抵抗素子R1およびR2の抵抗値で規定される比、すなわち、R2/(R1+R2)で分圧した電圧となる。この例において分圧比は、図11における電圧増幅器132の電圧増幅率の逆数である1/10に設定される。このため、差動増幅器221の正入力端(+)に帰還される電圧は、ノードN2における電圧Outの1/10という関係となる。
したがって、図14に示される駆動回路では、電圧Outを1/10とした帰還電圧が信号ainの電圧に追従するように、逆に言えば、電圧Outが信号ainの電圧を10倍とした電圧となるように、制御されることになる。
なお、リニア増幅器341の電圧増幅倍率は、分圧比の逆数に設定される。例えば上記分圧比が1/10であれば、リニア増幅器341の電圧増幅倍率は10倍に設定される。
図11または図14に示した駆動回路120aにおいて、駆動対象は、圧電素子Pztのような容量性負荷であるので、電圧Outが一定になった後において、トランジスター231および232がともにオフしても、当該電圧Outは一定に保持される。このため、信号Ainの電圧が一定となる期間の全域にわたって、スイッチ343をオンさせる必要はなく、当該期間の一部であれば良い。
増幅回路200aは、図11等に示した構成に限られず、信号Ainの電圧変化期間において当該信号Ainを低インピーダンスに変換して出力する構成であれば良い。
そこで次に、駆動回路120aに適用可能な増幅回路200aの他の例について説明する。
図15は、駆動回路120aに適用可能な増幅回路の別例(その1)の構成を示す図である。
この図に示されるように、増幅回路の別例(その1)は、図11に示した増幅回路200aにおける差動増幅器221およびセレクター223の代わりに、比較器241および242を有する構成となっている。
増幅回路の別例(その1)において、信号Ainは、比較器241の負入力端(−)および比較器242の負入力端(−)の各々に供給される。また、ノードN2は、トランジスター231のドレイン端子、トランジスター232のドレイン端子とともに、比較器241の正入力端(+)および比較器242の正入力端(+)に接続される。
なお、コンデンサーC0の一端がノードN2に接続され、コンデンサーC0の他端がグランドGndに接地されているのは、図11に示した増幅回路200aと同様である。
比較器241および242は、正入力端(+)および負入力端(−)の一方または双方の電圧をオフセットした上で、電圧同士を比較するものである。
詳細には、信号Ainの電圧をVinと表記し、ノードN2の電圧をOutと表記した場合、比較器241は、電圧Outが電圧(Vin−V)以上であれば信号Gt1をHレベルで出力し、電圧Outが電圧(Vin−V)よりも低ければ信号Gt1をLレベルで出力する。なお、電圧Vは、比較器241に設定されるオフセット量である。
比較器242は、電圧Outが電圧(Vin+V)以上であれば信号Gt2をHレベルで出力し、電圧Outが電圧(Vin+V)よりも低ければ信号Gt2をLレベルで出力する。なお、電圧Vは、比較器242に設定されるオフセット量である。
このような構成の増幅回路の別例(その1)では、ノードN2の電圧Outが電圧(Vin−V)よりも低ければ、信号Gt1がLレベルになってトランジスター231がオンするので、当該電圧Outを高くする方向の制御がなされる一方、電圧Outが電圧(Vin+V)以上であれば、信号Gt2がHレベルになってトランジスター232がオンするので、当該電圧Outを低くする方向の制御がなされる。
また、ノードN2の電圧Outが電圧(Vin−V)以上であって、かつ、電圧(Vin+V)よりも低ければ、すなわち、電圧Outが信号Ainの電圧Vinに対して下方向にVだけシフトした電圧から、上方向にVだけシフトした電圧までの範囲に収まっていれば、トランジスター231および232がともにオフする。
すなわち、増幅回路の別例(その1)では、電圧Outが電圧Vinに対して、
Vin−V≦Out<Vin+V
となるように制御される。
増幅回路の別例(その1)において、信号Ainの電圧が一定となる期間では、トランジスター231および232がオフするが、スイッチ343のオンにより、信号Ain(Bin)の電圧をリニア増幅器341によって増幅した電圧がノードN2に印加されることになる。
増幅回路の別例(その1)では、駆動信号COM−Aを出力する増幅回路200aを例にとって説明したが、信号Binをインピーダンス変換して駆動信号COM−Bとして出力する増幅回路200bについても同様な構成となる。
図16は、駆動回路120aに適用可能な増幅回路の別例(その2)の構成を示す図である。
この図に示されるように、増幅回路の別例(その2)は、図11に示した増幅回路200aにおける差動増幅器221、セレクター223、およびコンデンサーC0の代わりに、変調回路251、ゲートドライバー252、インダクターL1、およびコンデンサーC1を有する構成となっている。
変調回路251は、信号Ainを、当該信号Ainの電圧に応じたパルス幅を有する変調信号(パルス幅変調信号)に変換する。例えば、変調回路251は、信号Ainの電圧と三角波信号の電圧とを比較することにより、上記変調信号を出力する。
なお、変調回路251は、パルス幅変調信号ではなくパルス密度変調信号を、すなわち信号Ainの電圧に応じた密度の変調信号を出力しても良い。また、変調回路251は、ノードN2の電圧を帰還して、パルス幅またはパルス密度を補正しても良い。
ゲートドライバー252は、変調回路251から出力される変調信号に基づき、トランジスター231のゲート端子に信号Gt1を出力する一方、トランジスター232のゲート端子に、信号Gt1の論理レベルを反転した信号Gt2を出力する。これにより、変調信号にしたがってトランジスター231および232が排他的にオンオフして、トランジスター231および232のドレイン端子の接続点には、変調信号を増幅した増幅変調信号が現れる。
インダクターL1の一端は、トランジスター231および232のドレイン端子に接続され、インダクターL1の他端は、コンデンサーC1の一端およびノードN2に接続されている。コンデンサーC1の他端はグランドGndに接地されている。これにより、インダクターL1およびコンデンサーC1は、増幅変調信号を平滑化(復調)し、駆動信号COM−Aとして出力するローパスフィルターとして機能する。
増幅回路の別例(その2)において、信号Ainの電圧が一定となる期間では、ローパスフィルターの出力点A13(インダクターL1の他端とコンデンサーC1の一端との接続点、ノードN2と同じ)には、信号Ainとほぼ同じ電圧が現れるが、ローパスフィルターでは、リップル成分を完全に除去することができず残存する場合がある。ただし、増幅回路の別例(その2)を適用した駆動回路120aによれば、スイッチ343のオンにより、信号Ain(Bin)の電圧をリニア増幅器341によって増幅した電圧がノードN2に印加されることになる。
なお、信号Ainの電圧が一定となる期間において、ローパスフィルターの出力点A13に現れるリップルが大きいと、当該出力点A13からリニア増幅器341に(または逆方向に)向かって流れる電流が無視できない場合がある。この場合、出力点A13とノードN2との間に、信号FltaがHレベルであればオフし、Lレベルであればオンするスイッチを設けても良い。
増幅回路の別例(その2)では、駆動信号COM−Aを出力する増幅回路200aを例にとって説明したが、信号Binをインピーダンス変換して駆動信号COM−Bとして出力する増幅回路200bについても同様な構成となる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば次に述べるような各種の応用・変形が可能である。なお、次に述べる応用・変形の態様は、任意に選択された一または複数を適宜に組み合わせることもできる。
駆動信号COM−A(COM−B)については台形波形に限られず、正弦波などのように傾きに連続性を有する波形であっても良い。このような波形を例えば駆動回路120aが出力する場合、駆動信号COM−Aの電圧Out(信号Ainの電圧Vin)の変化が相対的に大きければ、具体的には、単位時間当たりの電圧変化の大きさが予め定められた閾値を超えていれば、信号FltaをLレベルとし、そのうち、電圧の低下時に信号OCaをHレベルとし、電圧の上昇時に信号OCaをLレベルとすれば良い。
また、駆動信号COM−Aの電圧Out(信号Ainの電圧Vin)の変化が相対的に小さければ、具体的には、単位時間当たりの電圧変化の大きさが上記閾値以下であれば、信号FltaをHレベルとすれば良い。
なお、信号FltaがHレベルであれば、スイッチ343がオンして、リニア増幅器341の出力信号が駆動信号COM−Aとなるので、当該リニア増幅器341には、駆動信号COM−A(信号Ain)が台形波形である場合と比較して、若干高い駆動能力が要求されることになる。
上記説明では、制御信号出力回路140は、データdA(dB)をアナログ変換したときの信号の電圧が一定であるか、変化するかを、当該データdA(dB)に基づいて判別する構成であったが、アナログ変換した信号を例えばを微分することによって電圧の傾きを求めて、電圧が一定であるか、変化するかを判別する構成としても良い。
上記説明では、印刷周期Taを期間T1およびT2に2分割するとともに、駆動信号COM−AおよびCOM−Bの2種類のうち、いずれかを選択して(または選択しないで)圧電素子Pztの一端に印加する構成(マルチコム)としたが、印刷周期Taの分割数は「2」に限られないし、また、駆動信号の数も「2」に限られない。
また、互いに異なる複数の台形波形を所定順に繰り返す1種類の駆動信号のなかから、印刷データSIに応じて1種以上の台形波形を抜き出して圧電素子Pztの一端に印加する構成(シングルコム)としても良い。
上記説明では、液体吐出装置を印刷装置1として説明したが、液体を吐出して立体を造形する立体造形装置や、液体を吐出して布地を染める捺染装置などであっても良い。
上記説明では、駆動回路120aおよび駆動回路120bの駆動対象としてインクを吐出するための圧電素子Pztを例にとって説明したが、駆動回路120aおよび120bを印刷装置から切り離して考えてみたときに、駆動対象としては、圧電素子Pztに限られず、例えば超音波モーターや、タッチパネル、静電スピーカー、液晶パネルなどの容量性成分を有する負荷のすべてに適用可能である。
1…印刷装置(液体吐出装置)、3…ヘッドユニット、100…メイン基板、120a、120b…駆動回路、130…DAC、140…制御信号出力回路、200a…増幅回路、221…差動増幅器、223…セレクター、231、231…トランジスター、341…リニア増幅器、343…スイッチ、442…キャビティ、Pzt…圧電素子、N…ノズル、C0…コンデンサー。

Claims (9)

  1. 所定の出力端からの駆動信号によって駆動される圧電素子を含み、当該圧電素子の変位によって液体を吐出する吐出部と、
    前記駆動信号の元となる元駆動信号を増幅して、前記出力端に向けて供給する第1増幅部と、
    前記元駆動信号の電圧変化の大きさが閾値以下であるか否かを判別する判別部と、
    前記電圧変化の大きさが閾値以下であると判定された場合に、前記元駆動信号に応じた電圧を前記出力端に向けて出力する第2増幅部と、
    を具備することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記判別部は、
    前記元駆動信号の波形を示す波形データに基づいて、前記元駆動信号の電圧変化の大きさが閾値以下であるか否かを判別する
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記波形データをアナログの前記元駆動信号に変換するD/A変換器を有する
    ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記第1増幅部は、
    前記出力端と電源高位側電圧の給電点との間に接続されたハイサイドトランジスターと、
    前記出力端と電源低位側電圧の給電点との間に接続されたローサイドトランジスターと、
    前記元駆動信号の電圧と前記駆動信号に応じた電圧との差電圧を増幅した制御信号を出力する差動増幅器と、
    前記元駆動信号の電圧変化に応じて前記ハイサイドトランジスターまたは前記ローサイドトランジスターを選択し、選択したトランジスターのゲート端子に向けて前記制御信号を供給するセレクターと、
    を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体吐出装置。
  5. 前記セレクターは、
    前記元駆動信号の電圧変化が上昇方向であって、前記元駆動信号の電圧変化の大きさが前記閾値を超える第1の場合、前記ハイサイドトランジスターのゲート端子に向けて前記制御信号を供給し、
    前記元駆動信号の電圧変化が低下方向であって、前記元駆動信号の電圧変化の大きさが前記閾値を超える第2の場合、前記ローサイドトランジスターのゲート端子に向けて前記制御信号を供給する
    ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
  6. 前記セレクターは、
    前記第1の場合、前記ローサイドトランジスターのゲート端子に向けて、当該ローサイドトランジスターをオフさせる信号を供給し、
    前記第2の場合、前記ハイサイドトランジスターのゲート端子に向けて、当該ハイサイドトランジスターをオフさせる信号を供給し、
    前記元駆動信号の電圧変化の大きさが前記閾値以下の第3の場合、前記ハイサイドトランジスターのゲート端子に向けて、当該ハイサイドトランジスターをオフさせる信号を供給するとともに、前記ローサイドトランジスターのゲート端子に向けて、当該ローサイドトランジスターをオフさせる信号を供給する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
  7. 前記第2増幅部は、
    前記元駆動信号の電圧を所定倍数で増幅するリニア増幅器と、
    前記リニア増幅器と前記出力端との間に設けられ、前記元駆動信号の電圧変化の大きさが前記閾値以下の場合に、オンするスイッチと、
    を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の液体吐出装置。
  8. 前記吐出部と、前記第1増幅部と、前記判別部と、前記第2増幅部と、が可動式のキャリッジに搭載された
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の液体吐出装置。
  9. 所定の出力端からの駆動信号によって容量性負荷を駆動する駆動回路であって、
    前記駆動信号の元となる元駆動信号を増幅して、前記出力端に向けて供給する第1増幅部と、
    前記元駆動信号の電圧変化の大きさが閾値以下であるか否かを判別する判別部と、
    前記電圧変化の大きさが閾値以下であると判定された場合に、前記元駆動信号に応じた電圧を前記出力端に向けて出力する第2増幅部と、
    を具備することを特徴とする駆動回路。
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