JP2018048745A - 軸受装置、軸受装置の製造方法および情報記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第一内輪36および第二内輪46は、それぞれ内側端部36b,46bの外半径が、第一離間距離K1よりも小さく形成されるとともに、第一離間距離K1よりも外半径が大きくなるように形成された内輪転動面39,49を備え、第一外輪31および第二外輪41は、それぞれ外側端部31a,41aの内半径が、第二離間距離K2よりも大きく形成されるとともに、第二離間距離K2よりも内半径が小さくなるように形成された外輪転動面34,44を備え、第一外輪31および第二外輪41は、互いに一体的に形成されて外輪50を形成していることを特徴としている。
【選択図】図2
Description
そこで、例えば特許文献1には、スペーサを介して軸方向に並んで配置された一対の外輪を備え、前記外輪を従来の軸受装置の外輪よりも肉厚に形成するとともに、前記外輪を互いに固定するトレランスリングを設けることにより、スリーブを廃止した軸受装置が記載されている。
特許文献1によれば、スリーブを廃止することにより、軸受の部品点数を減少させ、軸受の組立工数と製造コストを低減させることができるとともに、外輪が厚くなったことにより、重負荷に耐えることができるため、軸受装置の小型化ができるとされている。
従来の軸受装置にあっては、回動部材を外輪に外嵌して組み込んだ際に、一対の外輪の中心軸が互いにずれてしまうおそれがある。この一対の外輪の相対ズレは、回動部材が回動する際のトルクリップルおよびトルク増大の原因となるため、スライダと磁気記録媒体との間で情報の記録および再生を行う際に、記録不良および再生不良が発生するおそれがある。
また、一対の転がり軸受部の外輪を互いに一体的に形成することで、従来技術のようにスペーサやトレランスリング、スリーブ等を設ける必要がない。したがって、軸受装置の部品点数を削減できるので、軸受装置の小型化、軽量化および低コスト化ができる。とりわけ、スペーサが不要となるので、一対の転がり軸受部を軸方向に近接させて配置できる。これにより、軸受装置の軸方向の薄型化ができるとともに、材料費の低コスト化ができる。
ところで、従来、転がり軸受の製造工程において、内輪と外輪との中心軸を径方向に相対的にずらして内輪と外輪との間に転動体の外径よりも大きな隙間を設けつつ、内輪と外輪との間に複数の転動体を個々に挿入した後、周方向に均等配列していた。しかし、本発明によれば、一対の転がり軸受部の内輪は、軸方向の内側端部の外半径が第一離間距離よりも小さく形成されるとともに、軸方向の内側から外側に向かって第一離間距離よりも外半径が大きくなるように形成された内輪転動面を備えているので、転動体を環状に均等配列した状態で軸方向の内側端部から挿入することにより、転動体を簡単に内輪転動面に載置できる。また、一体的に形成された一対の転がり軸受部の外輪は、軸方向の外側端部の内半径が、第二離間距離よりも大きく形成されるとともに、軸方向の外側から内側に向かって第二離間距離よりも内半径が小さくなるように形成された外輪転動面を備えているので、転動体を環状に均等配列した状態で軸方向の外側端部から挿入することにより、転動体を簡単に外輪転動面に載置できる。これにより、内輪と外輪とをずらしつつ転動体を内輪と外輪との間に挿入した後、複数の転動体を周方向に均等配列するという従来の煩雑な作業が必要ないので、簡単に転がり軸受部を形成できる。したがって、軸受装置の低コスト化ができる。
また、従来技術のように内輪と外輪とをずらしつつ転動体を内輪と外輪との間に挿入する場合、内輪と外輪との隙間の大きさにより、挿入可能な転動体の個数や大きさが制限されることとなる。これに対して、本発明によれば、上述のように、転動体を軸方向の内側端部から挿入することにより内輪転動面に載置でき、かつ転動体を軸方向の外側端部から挿入することにより外輪転動面に載置できるので、従来技術のように内輪と外輪との隙間によって個数や大きさの制限を受けることなく転動体を内輪転動面および外輪転動面に載置できる。したがって、軸受装置の剛性を増大させることができる。
また、転動体よりも軸方向の内側におけるデッドスペースにリテーナの本体部を配置できるので、リテーナの本体部によって軸受装置の薄型化が制限されるのを防止できる。これにより、軸受装置を極力薄型化することができる。
さらに、一対の転がり軸受部の内輪は、軸方向の内側から外側に向かって第一離間距離よりも外半径が大きくなるように形成された内輪転動面を備えているので、第一転動体配置工程において第一内輪に軸方向の他方側(軸方向の内側)から複数の転動体を挿入したときに、治具等を用いることなく簡単に内輪転動面に載置できる。また、一体的に形成された一対の転がり軸受部の外輪は、軸方向の外側から内側に向かって第二離間距離よりも内半径が小さくなるように形成された外輪転動面を備えているので、第二転動体配置工程において外輪に軸方向の他方側(軸方向の外側)から複数の転動体を挿入したときに、治具等を用いることなく簡単に外輪転動面に載置できる。
このように、本発明の軸受装置の製造方法によれば、軸受装置を簡単に製造できるので、製造コストを削減し、軸受装置の低コスト化ができる。
また、軸受装置の外輪を互いに一体的に形成しているので、外輪の軽量化および高剛性化ができる。これにより、軸受装置の共振周波数(共振点)を高くできるので、回動部材を高速に回動させることができる。したがって、情報記録再生装置の高性能化ができる。
また、一対の転がり軸受部の外輪を互いに一体的に形成することで、従来技術のようにスペーサやトレランスリング、スリーブ等を設ける必要がない。したがって、軸受装置の部品点数を削減できるので、軸受装置の小型化、軽量化および低コスト化ができる。とりわけ、スペーサが不要となるので、一対の転がり軸受部を軸方向に近接させて配置できる。これにより、軸受装置の軸方向の薄型化ができるとともに、材料費の低コスト化ができる。
ところで、従来、転がり軸受の製造工程において、内輪と外輪との中心軸を径方向に相対的にずらして内輪と外輪との間に転動体の外径よりも大きな隙間を設けつつ、内輪と外輪との間に複数の転動体を個々に挿入した後、周方向に均等配列していた。しかし、本発明によれば、一対の転がり軸受部の内輪は、軸方向の内側端部の外半径が第一離間距離よりも小さく形成されるとともに、軸方向の内側から外側に向かって第一離間距離よりも外半径が大きくなるように形成された内輪転動面を備えているので、転動体を環状に均等配列した状態で軸方向の内側端部から挿入することにより、転動体を簡単に内輪転動面に載置できる。また、一体的に形成された一対の転がり軸受部の外輪は、軸方向の外側端部の内半径が、第二離間距離よりも大きく形成されるとともに、軸方向の外側から内側に向かって第二離間距離よりも内半径が小さくなるように形成された外輪転動面を備えているので、転動体を環状に均等配列した状態で軸方向の外側端部から挿入することにより、転動体を簡単に外輪転動面に載置できる。これにより、内輪と外輪とをずらしつつ転動体を内輪と外輪との間に挿入した後、複数の転動体を周方向に均等配列するという従来の煩雑な作業が必要ないので、簡単に転がり軸受部を形成できる。したがって、軸受装置の低コスト化ができる。
また、従来技術のように内輪と外輪とをずらしつつ転動体を内輪と外輪との間に挿入する場合、内輪と外輪との隙間の大きさにより、挿入可能な転動体の個数や大きさが制限されることとなる。これに対して、本発明によれば、上述のように、転動体を軸方向の内側端部から挿入することにより内輪転動面に載置でき、かつ転動体を軸方向の外側端部から挿入することにより外輪転動面に載置できるので、従来技術のように内輪と外輪との隙間によって個数や大きさの制限を受けることなく転動体を内輪転動面および外輪転動面に載置できる。したがって、軸受装置の剛性を増大させることができる。
図1は、実施形態に係る情報記録再生装置1の斜視図である。
図1に示すように、情報記録再生装置1は、記録層を有するディスク(磁気記録媒体)Dに対して、書き込みおよび読み取りを行う装置である。情報記録再生装置1は、アーム(回動部材)8と、アーム8の先端側に支持されたヘッドジンバルアセンブリ4と、ヘッドジンバルアセンブリ4の先端に装着されたスライダ2と、ヘッドジンバルアセンブリ4をスキャン移動させるアクチュエータ(VCM:ボイスコイルモータ)6と、ディスクDを回転させるスピンドルモータ7と、情報に応じて変調した電流をスライダ2に供給する制御部5と、これら各構成品を内部に収容するハウジング9と、を備えている。
アーム8の先端には、ヘッドジンバルアセンブリ4が接続されている。ヘッドジンバルアセンブリ4は、サスペンション3と、サスペンション3の先端に装着され、ディスクDの表面に対向配置されたスライダ2と、を備えている。スライダ2は、ディスクDに対する情報の書き込み(記録)を行う記録素子と、ディスクDから情報の読み取り(再生)を行う再生素子とを備えている。
図2は、第一実施形態に係る軸受装置10の側面断面図である。なお、図2では、ハウジング9およびハウジング9の底部9aを二点鎖線で図示している。以下では、軸受装置10の軸線(すなわちシャフト20の軸線。以下、「中心軸L1」という。)に沿った方向を「軸方向」と呼ぶ。また、軸方向のうち、図1に示すハウジング9の底部9a側(すなわち図2における下側)を「一方側」と呼び、ハウジング9の開口側(すなわち図2における上側)を「他方側」と呼ぶ。また、一対の転がり軸受部30,40の軸方向の内側を「軸方向の内側」と呼び、一対の転がり軸受部30,40の軸方向の外側を「軸方向の外側」と呼ぶ。また、中心軸L1に直交する方向を「径方向」と呼び、中心軸L1回りに周回する方向を「周方向」と呼ぶ。
図2に示すように、第一実施形態に係る軸受装置10は、ハウジング9の底部9aに立設されるシャフト20と、シャフト20の軸方向に並んで配置された一対の転がり軸受部30,40と、を備えている。
シャフト20の基端部には、シャフト20の直径よりも拡径したフランジ部20aと、シャフト20の直径よりも縮径した縮径部20bと、が軸方向の他方側から一方側に向かってこの順番に連設されている。縮径部20bには、ハウジング9の底部9aに形成された図示しない雌ねじに螺合する図示しない雄ねじが形成されている。そして、シャフト20は上記螺合によってハウジング9の底部9aに立設されている。この際、フランジ部20aがハウジング9の底部9aに接することで、シャフト20の高さ方向の位置決めがなされている。
シャフト20には、軸方向に並んで一対の転がり軸受部30,40が配置されており、シャフト20の軸方向の一方側には、一対の転がり軸受部30,40のうち第一転がり軸受部30が配置され、シャフト20の軸方向の他方側には、第二転がり軸受部40が配置されている。
第一転がり軸受部30は、シャフト20の中心軸L1と同軸上に配置された第一内輪36と、シャフト20の径方向の外側から第一内輪36を囲繞する第一外輪31と、第一内輪36と第一外輪31との間に転動自在に保持された複数の転動体35と、複数の転動体35を転動自在に環状に均等配列する第一リテーナ60と、を備えている。
なお、以下では、径方向における複数の転動体35の最内部と、中心軸L1との離間距離を第一離間距離K1と定義し、径方向における複数の転動体35の最外部と、中心軸L1との離間距離を第二離間距離K2と定義する。
第一内輪36は、例えばステンレス等の金属材料からなる略円筒状の部材であり、例えば鍛造や機械加工等により形成されている。
第一内輪36は、軸方向の内側端部36bの外半径が、第一離間距離K1よりも小さく形成されている。
第一内輪36の外周面37における軸方向の中間部には、内輪転動面39が形成されている。内輪転動面39は、軸方向の内側から外側に向かって第一離間距離K1よりも外半径が漸次大きくなるように、側面断面が円弧状に形成されている。内輪転動面39は、第一内輪36の外周面37の全周にわたって形成されており、環状に配置された複数の転動体35の外表面が当接可能となっている。
第一外輪31は、第一内輪36と同様に、例えばステンレス等の金属材料からなる略円筒状の部材であり、例えば鍛造や機械加工等により形成されている。
第一外輪31は、軸方向の外側端部31aの内半径が、第二離間距離K2よりも大きく形成されている。
第一外輪31の内周面33における軸方向の中間部には、外輪転動面34が形成されている。外輪転動面34は、軸方向の外側から内側に向かって第二離間距離K2よりも内半径が漸次小さくなるように、側面断面が円弧状に形成されている。外輪転動面34は、第一外輪31の内周面33の全周にわたって形成されており、環状に配置された複数の転動体35の外表面が当接可能となっている。
第一外輪31の外周面は、軸方向にわたって外径が一様となるように形成されている。
転動体35は、金属材料により球状に形成されている。転動体35は、第一外輪31の外輪転動面34および第一内輪36の内輪転動面39の間に配置されており、各転動面34,39に沿って転動するようになっている。各転動面34,39の曲率半径は、転動体35の外面の曲率半径よりも若干大きくなるように形成されている。複数の転動体35は、第一リテーナ60によって、転動自在に周方向に沿って環状に均等配列されている。
図3は、第一リテーナ60および第二リテーナ70の斜視図である。
第一リテーナ60は、第一外輪31、第一内輪36および転動体35による案内によって、中心軸L1回りを回転しながら、各転動体35を転動可能に保持する例えば樹脂等からなる部材であって、本体部61と、該本体部61に一体的に形成された複数組の一対の爪部63と、を備えている。
図3に示すように、本体部61は、第一内輪36を径方向の外側から囲繞する円環状に形成されている。本体部61の軸方向の他方側には、周方向に等間隔を開けて転動体35が挿入可能な球面状のボールポケットPが、例えば7個凹み形成されている。
また、複数組の一対の爪部63がそれぞれ本体部61から軸方向に沿って立設されているので、複数組の一対の爪部63が軸方向に対して傾斜している場合に比べて、第一リテーナ60の内半径を極力大きくできるとともに第一リテーナ60の外半径を極力小さくすることができる。したがって、第一リテーナ60と第一内輪36および第一外輪31とが干渉するのを確実に抑制できるとともに、軸受装置10を径方向にも小型化できる。
第二転がり軸受部40は、シャフト20の中心軸L1と同軸上に配置された第二内輪46と、シャフト20の径方向の外側から第二内輪46を囲繞する第二外輪41と、第二内輪46と第二外輪41との間に転動自在に保持された複数の転動体35と、複数の転動体35を転動自在に環状に均等配列する第二リテーナ70と、を備えている。本実施形態では、第二転がり軸受部40の第二内輪46および第二外輪41が、それぞれ第一転がり軸受部30の第一内輪36および第一外輪31と面対称形状に形成されている。また、第二リテーナ70は、第一リテーナ60と同一の部材である(図3参照)。したがって、第二転がり軸受部40については、詳細な説明を省略する。
また、外輪50は、外径が一様となるように形成されている。これにより、外輪50にアーム8(図1参照)を外嵌しても、従来技術のように第一外輪31と第二外輪41との中心軸に、相対ズレが発生することがない。
続いて、本実施形態の軸受装置10の製造方法について説明する。
図4は、軸受装置10の製造工程(製造方法)のフローチャートである。
図4に示すように、軸受装置10の製造工程は、第一内輪配置工程S11と、リテーナ保持工程S13と、第一転動体配置工程S15と、外輪配置工程S17と、第二転動体配置工程S19と、第二内輪配置工程S21と、予圧付加工程S23とを備えている。以下に、各工程について説明する。
図5は、第一内輪配置工程S11の説明図である。
まず、図5に示すように、一対の転がり軸受部30,40の第一内輪36および第二内輪46(図2参照)のうち、第一転がり軸受部30の第一内輪36をシャフト20に挿入して軸方向の一方側に配置する第一内輪配置工程S11を行う。
第一内輪配置工程S11では、不図示の治具にシャフト20を立設させた状態で配置し、シャフト20の外周面に接着剤を塗布する。次いで、第一内輪36の内側端部36bを軸方向の他方側に配置した状態で、軸方向の他方側から軸方向に沿って第一内輪36をシャフト20に挿入する。次いで、第一内輪36がシャフト20のフランジ部20aに当接するまで、第一内輪36を押し込む。その後、接着剤を固化させ、第一内輪36をシャフト20に固定する。以上で、第一内輪配置工程S11が終了する。
図6は、リテーナ保持工程S13の説明図である。
続いて、図6に示すように、第一リテーナ60および第二リテーナ70のそれぞれに、複数の転動体35を転動自在に保持させて環状に均等配列するリテーナ保持工程S13を行う。
リテーナ保持工程S13では、第一リテーナ60の一対の爪部63の間に転動体35を押し込み、第一リテーナ60の本体部61のボールポケットP内に転動体35を組み入れる。一対の爪部63は、転動体35を押し込む際の押圧力により外側に弾性変形する。これにより、一対の爪部63間に転動体35を挿入でき、ボールポケットP内に組み入れることができる。また、転動体35がボールポケットP内に挿入されると、一対の爪部63が元の状態に弾性的に復元変形して開口径が狭まるので、転動体35をボールポケットP内で脱落させることなく一対の爪部63で転動自在に保持できる。同様に複数(本実施形態では7個)の転動体35を第一リテーナ60に組み入れることにより、複数の転動体35は、第一リテーナ60によって周方向に均等配列された状態で転動自在に保持される。さらに同様に、複数(本実施形態では7個)の転動体35を第二リテーナ70に組み入れた時点で、リテーナ保持工程S13が終了する。
なお、リテーナ保持工程S13は、第一内輪配置工程S11の前に行ってもよい。また、本実施形態では、第一リテーナ60および第二リテーナ70への転動体35の組み込みを、一工程(リテーナ保持工程S13)で行っているが、別工程で行ってもよい。具体的には、第一リテーナ60へ転動体35を組み込む第一リテーナ保持工程と、第二リテーナ70へ転動体35を組み込む第二リテーナ保持工程とに分割し、各リテーナ保持工程を異なるタイミングで行ってもよい。
図7は、第一転動体配置工程S15の説明図である。
続いて、図7に示すように、第一内輪36に、軸方向の他方側から複数の転動体35を第一リテーナ60ごと挿入し、第一内輪36の内輪転動面39に複数の転動体35を載置する第一転動体配置工程S15を行う。
第一内輪36の内側端部36bの外半径は、第一離間距離K1よりも小さく形成されている。したがって、第一転動体配置工程S15では、軸方向の他方側から複数の転動体35を第一リテーナ60ごと、第一内輪36の内側端部36bに干渉することなく容易に挿入できる。また、第一内輪36の内輪転動面39は、軸方向の内側から外側(すなわち軸方向の他方側から一方側)に向かって第一離間距離K1よりも外半径が漸次大きくなるように形成されている。したがって、第一転動体配置工程S15では、軸方向の他方側から複数の転動体35を第一リテーナ60ごと第一内輪36に挿入することで、複数の転動体35を簡単に内輪転動面39に載置できる。しかも、複数の転動体35は、第一リテーナ60により相対移動不能に均等配列されて保持されているので、治具等を用いることなく、複数の転動体35を内輪転動面39に載置した状態で保持できる。このように、本実施形態の第一転動体配置工程S15によれば、複数の転動体35を容易に第一内輪36の径方向外側に配置できる。以上で、第一転動体配置工程S15が終了する。
図8は、外輪配置工程S17の説明図である。
続いて、図8に示すように、第一内輪36に、外輪50を軸方向の他方側から挿入する外輪配置工程S17を行う。
外輪50の外側端部31aの外半径は、第二離間距離K2よりも大きく形成されている。したがって、外輪配置工程S17では、軸方向の他方側から外輪50を、複数の転動体35と干渉することなく第一内輪36に容易に挿入できる。また、外輪50の一方側に配置された第一転がり軸受部30(図1参照)の外輪転動面34は、軸方向の外側から内側(すなわち軸方向の一方側から他方側)に向かって第二離間距離K2よりも内半径が漸次小さくなるように形成されている。したがって、外輪配置工程S17では、軸方向の他方側から外輪50を第一内輪36に挿入したときに、外輪転動面34が複数の転動体35に当接できる。これにより、外輪50は、軸方向の所定位置に位置決めされるので、治具等を用いることなく、複数の転動体35に外輪転動面34が当接した状態で外輪50を保持できる。このように、本実施形態の外輪配置工程S17によれば、外輪50を容易に第一内輪36の径方向外側に配置できる。以上で、外輪配置工程S17が終了する。
図9は、第二転動体配置工程S19の説明図である。続いて、図9に示すように、外輪50に、軸方向の他方側から複数の転動体35を第二リテーナ70ごと挿入し、軸方向の他方側の外輪転動面44に複数の転動体35を載置する第二転動体配置工程S19を行う。
軸方向の他方側に配置された外輪50の外側端部41aの内半径は、第二離間距離K2よりも大きく形成されている。したがって、第二転動体配置工程S19では、軸方向の他方側から複数の転動体35を第二リテーナ70ごと、外輪50に干渉することなく容易に挿入できる。また、外輪50の軸方向の他方側に配置された第二転がり軸受部40(図1参照)の外輪転動面44は、軸方向の外側から内側(すなわち軸方向の他方側から一方側)に向かって第二離間距離K2よりも内半径が漸次小さくなるように形成されている。したがって、第二転動体配置工程S19では、軸方向の他方側から複数の転動体35を第二リテーナ70ごと外輪50に挿入することで、複数の転動体35を簡単に外輪転動面44に載置できる。しかも、複数の転動体35は、第二リテーナ70により相対移動不能に均等配列されて保持されているので、治具等を用いることなく、複数の転動体35を外輪転動面44に載置した状態で保持できる。このように、本実施形態の第二転動体配置工程S19によれば、複数の転動体35を容易に外輪50の径方向内側に配置できる。以上で、第二転動体配置工程S19が終了する。
図10は、第二内輪配置工程S21および予圧付加工程S23の説明図である。続いて、図10に示すように、一対の転がり軸受部30,40の第一内輪36および第二内輪46のうち、第二転がり軸受部40の第二内輪46をシャフト20に挿入して軸方向の他方側に配置する第二内輪配置工程S21を行う。
第二内輪配置工程S21では、第二内輪46の内側端部46bを一方側に配置した状態で、シャフト20の他方側から軸方向に沿って第二内輪46を挿入する。このとき、軸方向の一方側に配置された第二内輪46の内側端部46bの外半径は、第一離間距離K1よりも小さく形成されている。したがって、第二内輪配置工程S21では、軸方向の他方側から第二内輪46の内側端部46bを、複数の転動体35に干渉することなく容易に挿入できる。また、第二内輪46の内輪転動面49は、軸方向の内側から外側(すなわち軸方向の一方側から他方側)に向かって第一離間距離K1よりも外半径が漸次大きくなるように形成されている。したがって、第二内輪配置工程S21では、軸方向の他方側から第二内輪46をシャフト20に挿入したときに、第二内輪46の内輪転動面49が複数の転動体35に当接できる。これにより、第二内輪46は、軸方向の所定位置に位置決めされるので、治具等を用いることなく、複数の転動体35に内輪転動面49が当接した状態で第二内輪46を保持できる。このように、本実施形態の第二内輪配置工程S21によれば、第二内輪46を容易にシャフト20の径方向外側に配置できる。以上で、第二内輪配置工程S21が終了する。
続いて、第一内輪36および第二内輪46を軸方向に沿って相対的に押圧しつつ、シャフト20に固定する予圧付加工程S23を行う。本実施形態では、第一内輪36が固定された状態で、第二内輪46を他方側から一方側(すなわち第一内輪36側)に向かって押圧することにより、第一内輪36および第二内輪46を相対的に押圧している。なお、第二内輪46の押圧は、不図示の治具を用いて行う。
第二転がり軸受部40の第二内輪46を押圧することにより、第一転がり軸受部30の第一内輪36と、第二転がり軸受部40の第二内輪46との離間距離は短くなる。ここで、第一転がり軸受部30の第一外輪31と、第二転がり軸受部40の第二外輪41とは一体的に形成されて、第一転がり軸受部30および第二転がり軸受部40の共通の外輪50を形成している。したがって、第二内輪46を一方側に向かって押圧することにより、第二転がり軸受部40の転動体35が第二外輪41の外輪転動面44を押圧するとともに、外輪50が一方側に向かって押圧される。また、外輪50が一方側に向かって押圧されることにより、第一転がり軸受部30の転動体35が外輪50の外輪転動面34に押圧されて、第一内輪36の内輪転動面39を押圧する。
接着剤が硬化した時点で、予圧付加工程S23が終了し、本実施形態に係る軸受装置10が完成する。
第一実施形態によれば、第一転がり軸受部30の第一外輪31および第二転がり軸受部40の第二外輪41を互いに一体的に形成して一個の外輪50を形成しているので、外輪50にアーム8を外嵌したときに、第一外輪31と第二外輪41との中心軸に相対ズレが発生することがない。したがって、アーム8が回動する際のトルクリップルおよびトルク増大を抑制できる軸受装置10を提供できる。
また、第一転がり軸受部30の第一外輪31および第二転がり軸受部40の第二外輪41を互いに一体的に形成して一個の外輪50を形成することで、従来技術のようにスペーサやトレランスリング、スリーブ等を設ける必要がない。したがって、軸受装置10の部品点数を削減できるので、軸受装置10の小型化、軽量化および低コスト化ができる。とりわけ、スペーサが不要となるので、第一転がり軸受部30および第二転がり軸受部40を軸方向に近接させて配置できる。これにより、軸受装置10の軸方向の薄型化ができるとともに、材料費の低コスト化ができる。
さらに、第一転がり軸受部30の第一内輪36は、軸方向の内側から外側に向かって第一離間距離K1よりも外半径が漸次大きくなるように形成された内輪転動面39を備えているので、第一転動体配置工程S15において第一内輪36に軸方向の他方側(軸方向の内側)から複数の転動体35を挿入したときに、治具等を用いることなく簡単に内輪転動面39に載置できる。また、一体的に形成された第一転がり軸受部30および第二転がり軸受部40の外輪50は、軸方向の外側から内側に向かって第二離間距離K2よりも内半径が漸次小さくなるように形成された外輪転動面44を備えているので、第二転動体配置工程S19において外輪50に軸方向の他方側(軸方向の外側)から複数の転動体35を挿入したときに、治具等を用いることなく簡単に外輪転動面44に載置できる。
このように、第一実施形態の軸受装置10の製造方法によれば、軸受装置10を簡単に製造できるので、製造コストを削減し、軸受装置10の低コスト化ができる。
また、転動体35を軸方向の内側端部から挿入することにより第一内輪36の内輪転動面39に載置でき、かつ転動体35を軸方向の外側端部から挿入することにより第二外輪41の外輪転動面44に載置できるので、従来技術のように内輪と外輪との隙間によって個数や大きさの制限を受けることなく転動体35を配置できる。したがって、軸受装置10の剛性を増大させることができる。
また、軸受装置10の第一外輪31および第二外輪41を互いに一体的に形成して一個の外輪50を形成しているので、外輪50の軽量化および高剛性化ができる。これにより、軸受装置10の共振周波数(共振点)を高くできるので、アーム8を高速に回動させることができる。したがって、情報記録再生装置1の高性能化ができる。
図11は、第一実施形態の第一変形例に係る軸受装置10の説明図である。
続いて、第一実施形態の第一変形例に係る軸受装置10について説明する。なお、以下では、第一実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
第一実施形態の軸受装置10は、外輪50の軸方向の両外側端部31a,41aが、それぞれ第一内輪36の外側端部36aおよび第二内輪46の外側端部46aと、軸方向において略同一の位置に配置されていた(図2参照)。
これに対して、図11に示すように、第一実施形態の第一変形例の軸受装置10は、外輪50の軸方向の両外側端部31a,41aが、それぞれ第一内輪36の外側端部36aおよび第二内輪46の外側端部46aよりも軸方向の内側であって、外輪転動面34,44と、転動体35との当接部よりも外側に配置されている。
第一実施形態の第一変形例によれば、外輪50の軸方向の両外側端部31a,41aを、それぞれ第一内輪36の外側端部36aおよび第二内輪46の外側端部46aよりも軸方向の内側に配置しているので、外輪50の軸方向の長さを第一実施形態よりも短縮できる。これにより、軸受装置10の更なる軽量化および低コスト化ができる。
図12は、第一実施形態の第二変形例に係る軸受装置10の説明図である。
続いて、第一実施形態の第二変形例に係る軸受装置10について説明する。なお、以下では、第一実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。また、以下では、第一転がり軸受部30の複数の転動体35の中心P1を含む仮想面を仮想面F1と定義し、第二転がり軸受部40の複数の転動体35の中心P2を含む仮想面を仮想面F2と定義して説明する。
図12に示すように、第一実施形態の第二変形例の軸受装置10は、第一内輪36の内側端部36bおよび第二内輪46の内側端部46bが、第一実施形態よりも外側に配置されている。
第一実施形態の第二変形例によれば、軸受装置10の剛性を低下させることなく、第一内輪36および第二内輪46の軸方向の長さを短縮できる。これにより、軸受装置10の更なる薄型化、小型化および低コスト化ができる。また、軸受装置10の薄型化を制限する第一内輪36の軸方向の内側端部36bの長さおよび第二内輪46の軸方向の内側端部46bの長さを短縮できるので、第一実施形態よりも軸受装置10を薄型化できる。
図13は、第二実施形態の軸受装置210の説明図である。
続いて、第二実施形態の軸受装置210について説明する。なお、以下では、第一実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
第一実施形態の軸受装置10は、シャフト20と、第一内輪36および第二内輪46とが別部品として形成されていた(図2参照)。
これに対して、図13に示すように、第二実施形態の軸受装置210は、シャフト220と第一内輪36とが一体的に形成されている。第一実施形態においては、第一内輪36をシャフト20に挿入し、第一内輪36の外側端部36aをシャフト20のフランジ部20aに当接させることで、第一内輪36を軸方向に位置決めしつつ、シャフト20の軸方向の一方側に固定していた(図2参照)。これに対して、第二実施形態では、シャフト220と第一内輪36とが一体的に形成されており、第一内輪36を軸方向に位置決めする必要がないので、シャフト220の軸方向の一方側にフランジ部を設けなくてもよい。
第二実施形態によれば、軸受装置210の部品点数をさらに削減できるので、軸受装置210のさらなる小型化、軽量化および低コスト化ができる。また、第一転がり軸受部30の第一内輪36をシャフト220に挿入する必要がないので、軸受装置210の組立工数を短縮して製造コストを削減できる。したがって、軸受装置210のさらなる低コスト化ができる。
なお、第二実施形態では、シャフト220と第一転がり軸受部30の第一内輪36とが一体的に形成されている場合を例に説明したが、シャフト220と第二転がり軸受部40の第二内輪46とが一体的に形成されていてもよい。すなわち、第一転がり軸受部30の第一内輪36および第二転がり軸受部40の第二内輪46のうちのいずれか一方がシャフト220と一体的に形成されていれば、上記の作用効果を得ることができる。
図14は、第三実施形態に係る軸受装置310の説明図である。
続いて、第三実施形態に係る軸受装置310について説明する。なお、以下では、第一実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
第一実施形態の軸受装置10では、第一リテーナ60の本体部61を軸方向の外側に配置するとともに、第二リテーナ70の本体部61を軸方向の内側に配置していた(図2参照)。
これに対して、図14に示す第三実施形態に係る軸受装置310のように、第一リテーナ60の本体部61および第二リテーナ70の本体部61を、それぞれ軸方向の内側に配置してもよい。
また、第一リテーナ60および第二リテーナ70の形状や、転動体35の配置個数等は第一実施形態に限定されない。
Claims (8)
- シャフトと、
前記シャフトの軸方向に並んで配置された一対の転がり軸受部と、
を備え、
前記一対の転がり軸受部は、それぞれ前記シャフトの中心軸と同軸上に配置された内輪と、前記シャフトの径方向の外側から前記内輪を囲繞する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自在に保持された複数の転動体と、を備え、
前記径方向における前記転動体の最内部と前記中心軸との離間距離を第一離間距離とし、前記径方向における前記転動体の最外部と前記中心軸との離間距離を第二離間距離とし、前記軸方向における前記一対の転がり軸受部の間に向かう方向を前記軸方向の内側とし、前記軸方向における前記一対の転がり軸受部の間から離れる方向を前記軸方向の外側としたとき、
前記一対の転がり軸受部の前記内輪は、それぞれ前記軸方向の内側端部の外半径が、前記第一離間距離よりも小さく形成されるとともに、前記軸方向の内側から外側に向かって前記第一離間距離よりも外半径が大きくなるように形成された内輪転動面を備え、
前記一対の転がり軸受部の前記外輪は、それぞれ前記軸方向の外側端部の内半径が、前記第二離間距離よりも大きく形成されるとともに、前記軸方向の外側から内側に向かって前記第二離間距離よりも内半径が小さくなるように形成された外輪転動面を備え、
前記内輪の外半径は、前記内輪転動面と前記転動体との当接部から、前記内側端部に向かって全体にわたって漸次小さくなり、
前記外輪の内半径は、前記外輪転動面と前記転動体との当接部から、前記外側端部に向かって全体にわたって漸次大きくなり、
前記一対の転がり軸受部の外輪は、互いに一体的に形成されているとともに、外径が一様になるように形成され、
前記一対の転がり軸受部は、面対称形状となっていることを特徴とする軸受装置。 - 請求項1に記載の軸受装置であって、
前記外輪の前記軸方向の外側端部は、前記内輪の前記軸方向の外側端部よりも前記軸方向の内側に配置されていることを特徴とする軸受装置。 - 請求項1または2に記載の軸受装置であって、
前記複数の転動体の中心を含む仮想面から前記内輪の前記軸方向の内側端部までの距離は、前記仮想面から前記内輪の前記軸方向の外側端部までの距離よりも短くなるように形成されていることを特徴とする軸受装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の軸受装置であって、
前記一対の転がり軸受部の前記内輪のうちいずれか一方の内輪と、前記シャフトとは、互いに一体的に形成されていることを特徴とする軸受装置。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の軸受装置であって、
前記内輪および前記外輪は、鍛造により形成されていることを特徴とする軸受装置。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の軸受装置であって、
前記内輪と前記外輪との間に配置され、前記複数の転動体を転動自在に保持して環状に均等配列可能なリテーナを備え、
前記リテーナは、
本体部と、
前記本体部から前記軸方向に沿って立設され、前記転動体を転動自在に保持する複数対の爪部と、
を備え、
前記本体部を前記転動体よりも前記軸方向の内側に配置したことを特徴とする軸受装置。 - 請求項1に記載の軸受装置の製造方法であって、
前記一対の転がり軸受部の前記内輪のうち、第一内輪を前記シャフトに挿入して前記軸方向の一方側に配置する第一内輪配置工程と、
前記転動体を保持可能な第一リテーナおよび第二リテーナのそれぞれに、前記複数の転動体を転動自在に保持させて環状に均等配列するリテーナ保持工程と、
前記第一内輪に、前記軸方向の他方側から前記複数の転動体を前記第一リテーナごと挿入し、前記第一内輪の前記内輪転動面に前記複数の転動体を載置する第一転動体配置工程と、
前記第一内輪に、前記外輪を前記軸方向の他方側から挿入する外輪配置工程と、
前記外輪に、前記軸方向の他方側から前記複数の転動体を前記第二リテーナごと挿入し、前記軸方向の他方側の前記外輪転動面に前記複数の転動体を載置する第二転動体配置工程と、
前記一対の転がり軸受部の前記内輪のうち、第二内輪を前記シャフトに挿入して前記軸方向の他方側に配置する第二内輪配置工程と、
前記第一内輪および前記第二内輪を前記軸方向に沿って相対的に押圧しつつ、前記シャフトに固定する予圧付加工程と、
を備えたことを特徴とする軸受装置の製造方法。 - 請求項1に記載の軸受装置と、
前記軸受装置の一方側端部を支持するハウジングと、
前記外輪に外嵌され、前記シャフトの中心軸回りに回動する回動部材と、
前記回動部材に装着され、磁気記録媒体との間で情報の記録および再生を行うスライダと、
を備えたことを特徴とする情報記録再生装置。
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